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商標取消審判

2021-300220

クレモイングリーディエンツ、クレモ

審判番号
2021-300220
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願2005-091051
登録番号
4985334
請求日
2021年03月26日
審決日
2023年03月31日
公報発行日
2023年09月29日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【請求人】クレモ エス アー
  • 【請求人代理人】弁理士法人浅村特許事務所
  • 【被請求人】クレモ イングリーディエント アーエス
  • 【被請求人代理人】弁理士法人太陽国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 大森 友子
  • 審判官 小俣 克巳
  • 審判官 石塚 利恵
分類
T131 .1 -Z (Y29)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法2条3項商標法50条
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第2条第3項、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第8号、商標法第38条第5項、商標法第38条、商標法第50条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第4985334号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 登録第4985334号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第4985334号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成17年9月29日に登録出願、第29類「プロセスチーズ,粉チーズ,ピザトッピング用のチーズ,その他のチーズ,チーズを主原料とする錠剤状・粒状・顆粒状・粉末状・ゲル状・ゼリー状・液状・チュアブル状・シロップ状・カプセル状・球状・スティック状・ビスケット状・ペースト状の加工食品,その他の乳製品」を指定商品として、同18年9月8日に設定登録され、現に有効に存続するものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、令和3年4月14日にされたものであり、この登録前3年以内の期間である平成30年4月14日から令和3年4月13日までを以下「要証期間」という場合がある。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び令和3年7月21日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年9月24日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。 1 請求の趣旨 本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁書に対する弁駁 (1)乙第1号証について 被請求人は、「食品等輸入届出控」の写し(乙1、以下「本件輸入届出」という。)をもとに、2021年(令和3年)4月14日時点で、本件商標と社会通念上同一の商標が指定商品「プロセスチーズ」について日本国内で使用されている旨主張している。 しかし、「食品等輸入届出」は、事前届出制度が設けられており(甲3)、実際には貨物の到着予定日の7日前から提出が可能な書類である。 本件輸入届出は、届出種別の欄に「事前」と記載されており、事前届出制度(甲4)により提出された届出であることが示されている。 また、「食品等輸入届出」は、提出後に、届出済の内容を変更することも可能であるから(甲5)、そこに記載された内容の手続が実際に行われたことを証明するものではない。 また、仮に本件輸入届出に記載されたとおりの手続が行われたとしても、本件輸入届出は次の3つの理由により、本件商標の使用を証明するものではない。 ア 輸入を証明するものではない 「食品等輸入届出」が提出された貨物は、その後の審査や検査の結果により、食品衛生法に基づく我が国への輸入可否が判断されるのであって、本件輸入届出に記載された商品の輸入が認められたか否かを判断することはできない(甲3)。 したがって、本件輸入届出は、被請求人が主張する指定商品「プロセスチーズ」についての輸入の事実を証明するものではない。 イ 要証期間内の使用を証明するものではない 本件輸入届出は、2021年(令和3年)4月14日付で届出がなされ、搬入日も同日とされている。 仮に本件輸入届出に記載されたとおりの手続が行われたとしても、検疫所での審査・検査の結果輸入が認められ、その後税関での通関手続を経て最終的に輸入が許可されるのは、最短でも2021年(令和3年)4月14日ということになる。 したがって、本件輸入届出は、要証期間における商標の使用を証明するものではない。 ウ 本件商標の使用を証明するものではない 被請求人は、本件輸入届出に基づき、本件商標と社会通念上同一の商標が使用されている旨を主張している。 本件商標は、「CREMO」の文字を中央に配し、その下にごく小さな書体で「Ingredients」の文字を、また、「CREMO」の文字の右上に若干重ねて扇型の図形を配し、全体としてまとまりよく構成された商標である。 これに対し、乙第1号証に示されているのは、被請求人の商号「CREMO INGREDIENTS A/S」である。 本件商標と「CREMO INGREDIENTS A/S」を比較すると、扇型の図形がなく、「A/S」の文字を付加した「CREMO INGREDIENTS A/S」は、社会通念上同一と認められる商標として商標法第38条第5項かっこ書きに例示されている「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標」、「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」、「外観において同視される図形からなる商標」のいずれにも該当しないことは明らかである。 また、「CREMO INGREDIENTS A/S」は、製造者名・製造所名の欄に記載されていることからも、その構成全体として商号を表示したものとのみ理解されるものである。 「CREMO INGREDIENTS A/S」が商号を表示するものであり、登録商標がこれと異なるものである場合に、「CREMO INGREDIENTS A/S」が登録商標と社会通念上同一の商標には当たらないことは、過去の審決例からも明らかである(甲6、甲7)。 本件についてみると、本件商標は前述のとおりの構成からなり、その構成全体を1つの商標として登録されているものである。また、本件商標は、商号であると認識できる構成でもない。 これに対し、「CREMO INGREDIENTS A/S」は、同一書体かつ一連で表した文字のみからなる。また、その使用態様からこれが商号を表すことは明らかである。 両者は、その構成はもとより、称呼、観念を異にするものであるから、これをもって、社会通念上、本件商標と同一のものとみることはできない。 なお、被請求人は、商品及びその包装等に商標が付されて使用されることはない旨主張している。また、取引書類の多くは商標表示スペースに制限があり、本件商標の態様をそのまま記載することができない旨主張している。 しかし、被請求人の述べるような業務用の商品であっても、商品を包装する袋や段ボール箱等に商標を付すことは可能であり、かつ通常行われている(甲8、甲9)。また、取引書類についても、民間の事業者間の取引書類について書式の制限は無い。 よって、この点における被請求人の主張は失当である。 (2)乙第2号証について 被請求人は、「事前教示に関する照会書」の写し(乙2、以下「本件照会書」という。)をもとに、遅くとも2019年(平成31年)3月の時点から、本件商標と社会通念上同一の商標がその指定商品について日本国内で使用されている旨主張している。 「事前教示に関する照会書」は、実際に商品が輸入される際に提出される書類ではない。また、「事前教示に関する照会書」に対する税関からの回答書は、有効期間が3年間とされている(甲10)。 本件照会書には、輸入予定時期として「2019年3月上旬」と記載されており、被請求人はこれを元に2019年(平成31年)3月の時点からの商標の使用を主張している。しかし、「事前教示に関する照会書」の性質から、本件照会書は、そこに記載された貨物が実際に2019年(平成31年)3月上旬に輸入されたことを証明するものではないことは明らかである。 なお、本件照会書では、照会貨物が未到着である旨も明示されている。 また、本件照会書は2019年(平成31年)2月21日付とされている。前述のとおり、照会に対する税関からの回答書の有効期限は3年間である。 そうすると、本件照会書の照会に対し税関から回答書が出されたのであれば、その回答書は要証期間経過後の2021年(令和3年)4月14日以降の輸入に際しても有効であると推察される。 よって、本件照会書からは、要証期間内の輸入の蓋然性も認められない。 以上のことから、本件照会書は、要証期間内の輸入の事実を証明するものではない。 さらに、被請求人は、本件照会書に基づき、本件商標と社会通念上同一の商標が使用されている旨を主張している。 本件照会書に示されているのは、製造者の欄に記載された「Cremo Ingredients A/S」であり、本件輸入届出(乙1)に示されているものと同じく商号を示すものである。そして上記(1)ウで述べたとおり、本件商標と、商号を示す「Cremo Ingredients A/S」とは社会通念上同一のものとみることはできない。 したがって、本件照会書は、本件商標の使用を証明するものではない。 (3)結論 以上のとおり、乙各号証からは、本件商標がその指定商品について要証期間内に使用されたものということはできない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする旨主張し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第2号証を提出した。 1 本件商標は、本件商標権者(被請求人)の商号の略称を示す「CREMO」及び「Ingredients」の欧文字と三角形状の図形とからなる商標であるところ、本件商標と社会通念上同一である商標(商標法第38条5項かっこ書き)が、プロセスチーズ、その他のチーズ等につき日本国内において本件商標権者により継続して使用されている。そのことを証するものとして、以下2点の証拠を提出する。 2 本件商標権者は、プロセスチーズをはじめとする各種チーズ製品を製造販売する者であるところ、日本の企業に対しても製品の販売を行っている。 乙第1号証は、本件商標権者の業務に係る商品(プロセスチーズ等)が日本に輸入される際の取引書類(本件輸入届出)である。2021年(令和3年)4月14日の時点で、本件商標と社会通念上同一の商標(「CREMO INGREDIENTS」)が指定商品「プロセスチーズ」について日本国内で使用されていることが示されている。 乙第2号証は、本件商標権者がプロセスチーズまたは粉チーズを日本国内の業者に販売する際、商品の成分等について照会された際の書類(本件照会書)である。本件照会書にも本件商標と社会通念上同一の商標(「CREMO Ingredients」(審決注:「Cremo Ingredients」の誤記と思われる。))が付されており、本件商標がその指定商品について遅くとも2019年(平成31年)3月の時点から継続的に使用されてきたことが示されている。 なお、本件商標権者の業務に係る商品は、日本国内の業者に販売されたのち、さらに加工が施されて日本国内の市場に流通するという性質があることから、商品及びその包装等に商標が付されて使用されることはなく、多くの場合、取引書類上に商標が表示される形で商標の使用がなされるという事情がある。また、取引書類の多くは本件輸入届出及び本件照会書のような書類であって、商標表示スペースに制限があり、かかる制限のもと、本件商標権者は本件商標の態様そのままを記載することができず、本件商標を社会通念上同一の商標である本件輸入届出及び本件照会書記載の態様にて使用しているものである。 3 このように、本件商標は、本件商標権者によって、要証期間において、本件商標をその請求に係る指定商品(「プロセスチーズ,その他のチーズ」等)について使用されているものである。 以上の次第であるから、本件商標は商標法第50条第1項の規定に該当しない。 第4 当審の判断 1 事実認定 被請求人の主張及び同人の提出に係る証拠によれば、以下のとおりである。 (1)使用商標1について 「食品等輸入届出控」(本件輸入届出、乙1)の「輸入者(入力)」の項目の「製造者名」及び「製造所名」の欄に記載されている表記は、「CREMO INGREDIENTS A/S」の文字であるところ、被請求人は、当該構成文字中の「CREMO INGREDIENTS」の欧文字部分を使用商標(以下「使用商標1」という。)と主張する。 (2)使用商標2について 「事前教示に関する照会書」(本件照会書、乙2)の「製造者」の項目に記載されている表記は、「Cremo Ingredients A/S」の文字であるところ、被請求人は、当該構成文字中の「Cremo Ingredients」の欧文字部分を使用商標(以下「使用商標2」という。また、以下「使用商標1」及び「使用商標2」をまとめていうときは「使用商標」という。)と主張する。 2 判断 (1)本件商標と使用商標との社会通念上の同一について ア 本件商標 本件商標は、別掲のとおり、太く大きく表された「CREMO」の欧文字とその下部に小さく表された「Ingredients」の欧文字とを上下2段に配し、さらに、上段の欧文字の末尾「O」の右上部に扇型の図形が一部重なるように配され、全体として一体的にまとまりよく表された構成よりなるものある。 イ 使用商標 使用商標1は、上記1(1)のとおり、「CREMO INGREDIENTS」の欧文字よりなるものであり、使用商標2は、上記1(2)のとおり、「Cremo Ingredients」の欧文字よりなるものである。 ウ 本件商標と使用商標との社会通念上の同一について 本件商標と使用商標とを比較すると、両者は、「扇形の図形」の有無に差異があることからすれば、両者はその構成態様を異にするものである。 したがって、本件商標と使用商標は、社会通念上同一の商標とは認められない。 (2)使用商標の使用行為について ア 本件輸入届出(乙1)について 「食品等輸入届出」は、食品等の輸入に際しその安全性の確保の観点から、食品衛生法に基づき、輸入者が厚生労働省検疫所(以下「検疫所」という。)に届出をする書類(甲3、甲4)であるところ、本件輸入届出の「品目名」の項目に「プロセスチーズ」が表示されていることから、「プロセスチーズ」(使用商品)の輸入に際して、検疫所へ届出がなされたことはうかがえる。 しかしながら、「食品等輸入届出」は、輸入申告に先立ち、食品の品名、数量、重量、輸入者名、生産国、製造者、輸出者名、積込港等に加え、貨物が加工食品であるときには、製造または加工の方法等を検疫所(行政官庁)に提出する書類(甲4)にすぎず、商標の広告的使用を目的とした商品に関する取引書類(例えば、注文書、納品書、送り状、出荷案内書、物品領収書、カタログ等)でないことは明らかであるから、商標法第2条第3項第8号所定の「取引書類」には該当しない。 したがって、本件輸入届出が、商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為(商標法第2条第3項第8号)に使用された証拠であるとは認められない。 また、本件輸入届出の「届出年月日」及び「搬入年月日」の項目には、ともに「2021年04月14日」の日付が表示されているが、これは要証期間外である。 イ 本件照会書(乙2)について 「事前教示に関する照会書」は、輸入関係者が、あらかじめ輸入を予定している貨物の関税率表上の所属区分及び関税率等について税関に照会する際の書類(甲10)であるところ、本件照会書(乙2)の「照会貨物の説明」の「名称」欄に「プロセスチーズ」が表示されており、照会者の氏名として「ケリー・ジャパン株式会社」と表示されていることから、「ケリージャパン株式会社」が「プロセスチーズ」の輸入に際して、税関へ照会を行ったことはうかがえる。 しかしながら、「事前教示に関する照会書」は、上記アと同様に、輸入予定の貨物に関する関税率等の照会を目的に税関(行政官庁)に提出する書類にすぎず、取引書類には該当しない。 したがって、本件照会書が、商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為(商標法第2条第3項8号)に使用された証拠であるとは認めらない。 また、本件照会書の「照会貨物」欄は「未到着」、「輸入予定時期」欄には「2019年3月上旬」と表示されているものの、同時期に記載された貨物か輸入されたかは明らかでなく、要証期間内に日本国内において、本件商標が使用商品に使用された事実を明確に把握することができない。 (3)使用者について 本件輸入届出(乙1)に記載された輸入者の「KERRY JAPAN K.K.」及び本件照会書(乙2)に記載された照会者の「ケリー・ジャパン株式会社」と本件商標権者との関係が明らかでないことから、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標を使用したということはできない。 3 まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件取消審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その請求に係る指定商品について、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を商標法第2条第3項各号に掲げる使用をしていた事実を証明したものとは認められない。 その他、被請求人は、商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為を行ったことを証明していない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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