商標取消審判
2021-300089
ズーム
- 審判番号
- 2021-300089
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願1989-119154
- 登録番号
- 4363622
- 請求日
- 2021年02月10日
- 審決日
- 2024年03月28日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】有限会社 パーム
- 【請求人代理人】押本 泰彦
- 【被請求人】株式会社 トンボ鉛筆
- 【被請求人代理人】弁理士法人清水・醍醐事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 豊田 純一
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 馬場 秀敏
- 分類
- T132 .1 -Z (X09)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第8号、商標法第50条、商標法第2条第3項、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第1号、商標法第50条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第4363622号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第4363622号商標の指定商品中、第9類「電子計算機,電子計算機用プログラム,電子式卓上計算機」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第4363622号商標(以下「本件商標」という。)は、「ZOOM」の欧文字を横書きしてなり、平成元年10月19日に登録出願、同12年2月25日に第11類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として設定登録され、同22年7月28日に、第7類ないし第12類、第17類及び第21類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品とする書換登録がなされ、その後、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,磁心,抵抗線,電極,電子計算機,電子計算機用プログラム,電子式卓上計算機」を指定商品として、令和2年1月21日に存続期間の更新登録がされたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和3年2月26日になされたものであり、この登録前3年以内の期間である平成30年2月26日ないし令和3年2月25日までを、以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び令和3年6月29日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年8月26日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証を提出した。
なお、以下、証拠の表記にあたっては、甲(乙)第1号証を「甲(乙)1」のように省略して表示する場合がある。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第9類「電気計算機,電子計算機用プログラム,電子式卓上計算機」(以下「本件審判請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において本件商標の権利者(以下「商標権者」という。)、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実がないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁について
(1)要証期間について
乙第1号証及び乙第2号証の「トンボ鉛筆総合カタログ」(抜粋)に関して、本来製版元により発行の日時等を第三者により証明すべきものであるが、カタログの表紙に「2020/2021」及び「2018/2019」と記載されていることから要証期間内については争わないが、日本国内で頒布されたものであることの立証がなされていない。
(2)乙第1号証及び乙第2号証で立証された商品について
カタログ抜粋の表紙には「ALL PRODUCTS」(全商品)と記載されているが、商品としての「ZOOM一覧」の部分が抜けている。
請求人が入手した「2020/2021」総合カタログ抜粋(甲2)の【ZOOM一覧】には製品として「ズームL104(タッチペン付)」(製品番号:CLB-132)及び「ズームL104多機能ペン」(製品番号:SB-TZLB)に関する商品としての紹介がない。
乙第1号証で立証された内容は、333頁の「部品価格・修理費用」として「多機能ペン」、製品番号:CLB-132、本体価格3,520円、タッチペン440円、先軸1,100円、後軸2,200円の部品の価格が掲載されているにすぎない(甲2)。
「タッチペン付き多機能ペン」に関しての使用例を示すものはない。
(3)株式会社トンボ鉛筆(以下「トンボ鉛筆社」という。)の2015年10月14日発行のプレスリリース(乙3)で立証された商品について
2015年10月14日のプレスリリースとしてトンボ鉛筆社のウェブページに掲載されているが要証期間内の使用を示す書証ではない。
請求人が、出力したデータ(甲3)によれば、「販売計画は約2万本、約6千万円(小売価格)で、数量限定商品です。」、「タッチペン付3,456円とあるように、主がボールペンの商品である。」、「タブレットやスマートフォン対応のタッチペンを尾栓に搭載したモデル(ボールペン)用途がタブレット・スマートフォン用である。」及び「静電容量式タッチペンを尾栓に搭載とあり、静電容量タイプである。」の内容が記載されている。
(4)トンボ鉛筆社の2015年8月発行のリーフレット(乙4)
要証期間以前に頒布された書証であるが、誰が、いつ、何部印刷したもので、これがトンボ鉛筆社に納品された事実について何ら証明されていない。
(5)ZOOM L104のCLB-132A及びCLB-132Bの商品写真(乙5)
要証期間に販売された商品の写真ではなく、要証期間経過後に撮影されたものと思われる。
また、2021年6月7日に出力された「【楽天市場】Tombow(トンボ)多機能ペンZOOM L104(タッチペン付き)CLB-132B Col.ネイビー:AXAS Co.ONLINE COLLECTION」のウェブページ写しは、 要証期間に販売されていたことを立証するものでなく(出力日が2021年6月7日)、被請求人が出力したデータ及び請求人が2021年8月19日に出力したデータにおいても「おかげさまで売り切れました」と記載されており、使用を立証する証拠としての形態をなしていない。
(6)2016年発行の「ZOOM」ミニカタログ抜粋(乙6)
要証期間に発行された書証であるが、誰が、いつ、何部印刷したもので、これがトンボ鉛筆社に納品された事実について何ら証明されていない。
(7)被請求人は、乙第1号証ないし乙第6号証に記載された「タッチペン付き多機能ペン」について第9類の指定商品「電子計算機」に含まれる「ペン型データ入力具」について使用していると主張しているが、当該商品が指定商品「電子計算機」の使用に該当するか否について、以下に示すような疑問がある。
ア 書換登録された指定商品「電子計算機」の概念に電子計算機の周辺機器である「ペン型データ入力具」は含まれていない。
これは以下の(ア)ないし(エ)における出願経緯及び書換の経緯から指定商品に「ペン型データ入力具」は含まれていない。
(ア)平成元年10月19日に登録出願した時点では、旧第11類「電気機械器具(電池を除く),電気通信機械器具,電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く),電気材料」というように電子計算機の周辺機器を包含する概念の指定商品「電子応用機械器具」が指定されて登録出願された。
(イ)平成8年5月16日付手続補正書により指定商品は、旧第11類「電気機械器具(電池を除く)」,電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く),電気材料」に減縮された。
(ウ)拒絶査定不服審判の段階で平成8年7月30日付手続補正書より指定商品は、旧第11類「電気機械器具(電池を除く),電子計算機{中央処理装置及びその周辺機器(電子計算機プログラムを記憶させた電子回路、磁気ディスク、磁気テープを含む。)},電気材料」に減縮された。
(エ)平成22年6月23日の書換登録により旧第11類から第9類の指定商品「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,磁心,抵抗線,電極,電子計算機,電子計算機用プログラム,電子式卓上計算機」に書換登録申請することにより指定商品から「電子応用機械器具の部品」は放棄された。
特許庁類似商品・役務審査基準(以下「類似商品・役務審査基準」という。)第9版の第9類(甲4)によれば、「電子応用機械器具及びその部品」の小概念の商品「電子計算機,電子計算機用プログラム,電子式卓上計算機,電子計算機用プログラム」が選択されたことになる。
その結果「電子計算機(中央処理装置及びその周辺機器)」は、書換登録申請の際に自発的に放棄されたことになる。
類似商品・役務審査基準第10版の第9類(甲5)によれば、「光学式マウス,スキャナー,電子計算機用ディスプレイ装置,ハードディスクユニット,プリンター」等の周辺機器は削除されたことになり、被請求人の主張する「ペン型データ入力具」は、「光学式マウス」に相当する周辺機器に含まれるものであるから、本件商標の指定商品に「ペン型データ入力具」は存在しない。
類似商品・役務審査基準第11版(2021年)の第9類(甲6)によれば、スマートフォン等の「携帯情報端末」及び第180頁の「コンピュータ用ジョイスティック(テレビゲーム用を除く。)」、「トラックボール(コンピュータ周辺機器)」、「ペン型データ入力具(コンピュータ画面用)」、「マウス(コンピュータ周辺機器)」等も除かれているとみるべきである。
イ 「ペン型データ入力具」が、平成元年10月19日の出願時点で、市場に存在していたか否かについて証明されていない。
電子計算機とケーブルを介して電気的接続されたタイプのペン型データ入力具は存在したかもしれない。
しかし、甲第3号証及び乙第3号証のプレスリリースの記事によれば、本件タッチペン付き多機能ペンは以下の用途・特徴を持つ商品として紹介されている。
(ア)タブレットやスマートフォン対応のタッチペンを尾栓に搭載したモデル(ボールペン)用途がタブレット・スマートフォン用である。
(イ)静電容量式タッチペンを尾栓に搭載とあり、静電容量タイプである。
ウィキペディアの「スマートフォン」出典(甲12)によれば、1996年(平成8年)の「ノキアによる電話機能付きPDA端末の発売から始まり」と記載されているように、スマートフォンは、本件商標の登録出願の7年後に出現した商品である。
ウィキペディアの「iPad」出典(甲13)によれば「2010年1月27日、サンフランシスコで開かれた製品発表会で発表された」と記載されているように、情報端末は本件商標の登録出願の21年後に出現した商品である。
したがって、平成元年10月19日に本件商標の登録出願時点で、タブレット・スマートフォン用で静電容量方式のタッチペンという商品は存在し得なかった。
そこで、特許庁J-PlatPatの商品・役務名検索「ペン」及び「入力」をキーワードとして検査結果を出力すると共にデータをエクセルにそのままペーストした結果は甲第7号証に示される結果となった。
併せてニース協定掲載商品及びTM5掲載商品の掲載日時について、請求人が米国特許庁の「USPTO’sID Manual for acceptable identifications of goods and services」にアクセスし検索した結果確認された掲載日付は以下の表(甲14)のとおり2007年(平成19年)8月11日が最古のものであった。
これらの事実から検索結果3番目に例示される「タッチスクリーン装置用容量ペン型データ入力具」が、乙第1号証ないし第3号証で説明されたボールペンの尾栓に搭載されたタッチペンを意味する商品名と類推される。
本件商標の指定商品は、用途がタブレットやスマートフォン対応であるが、審査の段階で、電気通信機械器具を削除している事実からも、ボールペンの尾栓に搭載された静電容量方式であるタッチペンは、本件商標の指定商品に含まれていない。
(8)乙第1号証ないし乙第6号証で証明している商品は、第9類「ペン型データ入力具」ではなく、第16類の文房具に属する「タッチペン付き筆記具」である。
甲第3号証のプレスリリースで、「株式会社トンボ鉛筆(社長・小川晃弘、本社・東京都北区)は、ボールペン黒・赤とシャープペンシルを1本におさめた多機能ペンを10月22日発売します。商品名は「ZOOM L104」で、メーカー希望小売価格は3,240円(本体3,000円)、タッチペン付3,456円(本体3,200円)です。」旨プレスリリースした。多機能ペンの価格は3,000円であり、タッチペン付は、プラス200円ということからも主たる商品は、多機能ペンである。
商標権者自らも多機能ペンを紹介している。
乙第3号証の商品が筆記具に相当するという請求人の主張は、登録第4189591号商標公報(甲8)にコクヨ株式会社の登録出願で第16類の指定商品「電子応用機械器具のデータのタッチ入力用タッチペン付きシャープペンシル・ボールペンその他の文房具類(「昆虫採集用具」を除く。)」が登録され、登録第5571944号商標公報(甲9)にゼブラ株式会社の出願で第16類の指定商品「タッチペン付き筆記具,タッチペン付き筆記具用の替芯,タッチペン付き筆記具用のリフィール」が登録されている事実からも明らかである。
さらに、タッチペンに代わる表現として「スタイラスペン」を用いた指定商品として登録第5296372号商標公報(甲10)にゼブラ株式会社の登録出願で第16類の指定商品「スタイラスペン付き筆記具,スタイラスペン付き筆記具用の替芯,スタイラスペン付き筆記具用のリフィール」が登録され、登録第5919792号商標公報(甲11)に株式会社ラゴデザインの登録出願で第16類の指定商品「スタイラスペン付き筆記具」が登録されており、「タッチペン付きの筆記具」は第16類の筆記具に属することは明らかである。
被請求人の主張及び特許庁における審査の結果から、タブレットやスマートフォン等のディスプレイに入力するための静電容量方式のタッチペンが搭載された筆記具は、第16類に属する。
したがって、被請求人が立証した商品「タッチペン付き多機能ペン」は、第9類の「ペン型データ入力具」ではなく第16類に属する商品「筆記具」であることから、本件審判請求に係る指定商品中の「電子計算機」に関して本件商標を使用した事実を証明していない。
なお、乙第9号証の物品受領書において「品番TK-TZLBT」、「製品コード:3081399」のZOOM L104タッチ用としてタッチペン替えが納品された旨証明しているが、「タッチペン」は、新法における「電子計算機」の概念に含まれておらず、「静電容量方式のタッチペン」は、甲第7号証に示すように用途により類似群が異なるものであり、タブレット及びスマートフォン用の「タッチペン」は、電子計算機とは異なる。
さらに、「タッチペン替え」という商品であり、電子計算機という商品に関して商標「ZOOM」を使用していた事実は証明されていない。
(8)まとめ
以上述べたように被請求人は、商標出願の段階及び書換の段階において指定商品を「電子計算機」に限定したことにより、電子応用機械器具の部品に該当する「静電容量式のペン型データ入力具」は、本件商標の指定商品ではない。
例え「ペン型データ入力具」が「電子計算機」に含まれるとしても平成元年(1989年)10月19日の時点で「ペン型データ入力具」が商品として存在していた事が立証されておらず、さらに「タッチスクリーンを搭載したスマートフォン用の静電容量方式のタッチペン」が、商品「ペン型データ入力具」に含まれるか否について立証されていない。
さらに、立証された商品は、「多機能ペン」であって、第9類の指定商品「電子計算機」とは全く異なる第16類の商品である。
したがって、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが本件審判請求に係る指定商品について本件商標を要証期間内に使用している事実を立証していない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書及び令和5年10月27日付け審尋(以下「審尋」という。)に対する同年12月28日付け回答書(以下「回答書」という。)において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第17号証を提出した。
1 答弁の要旨
(1)本件商標を使用している者及びその使用の態様
商標権者であるトンボ鉛筆社は、本件商標を、販売に係る製品の包装、カタログ、パンフレット等に明記している。
乙第1号証は、トンボ鉛筆社の制作した2020/2021年版の総合カタログ(トンボ鉛筆総合カタログ)の抜粋であり、同カタログの333頁には製品名ズームL104(タッチペン付)、製品番号CLB-132と記載されており、同カタログの334頁にはトンボ鉛筆社の名称及び住所が記載されており、同カタログの333頁にはタッチペン部分のみが製品として販売されていることを示す「ZOOM L104のタッチペンは製品として販売していますので担当営業員にお問合せください。品名:ZOOM L104用タッチペン替え、品番:TK-TZLBT、製品コード:3081399」の記載もある。
すなわち、トンボ鉛筆社が発行するカタログに本件商標と同一又は社会通念上同一である商標「ZOOM」及び「ズーム」がタッチペンについて使用されていることが示されている。
乙第2号証は、トンボ鉛筆社の制作した2018/2019年版の総合カタログ(トンボ鉛筆総合カタログ)の抜粋であり、同カタログの325頁には製品名ズームL104(タッチペン付)、製品番号CLB-132と記載され、同カタログの326頁にはトンボ鉛筆社の名称及び住所が記載されており、同カタログの325頁にはタッチペン部分のみが製品として販売されていることを示す「ZOOM L104のタッチペンは製品として販売していますので担当営業員にお問合せください。品名:ZOOM L104用タッチペン替え、品番:TK-TZLBT、製品コード:3081399」の記載もある。
すなわち、トンボ鉛筆社が発行するカタログに本件商標と同一又は社会通念上同一である商標「ZOOM」及び「ズーム」がタッチペンについて使用されていることが示されている。
乙第3号証は、2015年にトンボ鉛筆社が発行したプレスリリースであり、品名「ZOOM L104」に該当する商品の機能を示し、当該商品の品番「CLB-132」は尾栓にタッチペンを付した多機能ペンで、ボディカラーがシルバーの品番(枝番)「CLB-132A」と同ネイビーの品番(枝番)「CLB-132B」の2種類があり、このタッチペンがスマートフォンやタブレットヘの入力に用いられることが写真及び説明文で示されている。
なお、タブレットはいくつかの意味を有する語であるが、上記記載の「タブレット」はペンでの入力に用いられることから、「コンピュータで、ペンで平面版をなぞって図形データを入力する装置(広辞苑第七版)」を意味している。
すなわち、品名「ZOOM L104」の品番「CLB-132」は「ペン型データ入力具」であることを示している。
乙第4号証は、2015年にトンボ鉛筆社が発行したリーフレットであり、乙2号証と同様に品名「ZOOM L104」の品番「CLB-132」は尾栓にタッチペンを付した多機能ペンであり、このタッチペンがスマートフォンに対応できること、すなわち、「ペン型データ入力具」であることを示している。
乙第5号証は、品名「ZOOM L104」の品番「CLB-132A(シルバー)」/「CLB-132B(ネイビー)」の商品写真、タッチペン部分(前記品名「ZOOM L104用タッチペン替え」としての品番:TK-TZLBT)の写真及び取付方法を示す写真、商品の包装箱の台紙部分の写真、並びに商品写真が掲載されたECサイトの写しである。
商品の包装箱には包装状態の表面下段及び裏面上段に商標「ZOOM」が大きく表示され、また裏面右下にはトンボ鉛筆社の名称が示されており、表面には「タッチペン搭載/Stylus Pen」の丸形シールが貼付され、商品にタッチペンが搭載されていることが明示されている。
すなわち、トンボ鉛筆社が商品の包装に本件商標と同一の商標「ZOOM」をタッチペンについて使用していること、よって「ペン型データ入力具」に使用されていることが示されており、台紙部分には「使用上の注意(タッチペン)*[CLB-132]を購入された方は必ずお読みください。」との注意書き及び「タッチペン[対応機種]静電容量方式タッチパネル端末のみ対応」の記載があり、当該商品が「ペン型データ入力具」であることを示している。
乙第6号証は、2016年発行のトンボ鉛筆社の製作した「ZOOM」のミニカタログであり、同カタログの表紙の右端には本件商標と同一のZOOMが大きく表示されており、同カタログの11頁では中央に「ZOOM」と大きくロゴで表示されその横に普通書体で品名のL104の表示、これらの下に商品写真が紹介され、同ページの右下に「タッチペン付多機能ペン」として「(6)CLB-132A silver」(審決注:「(6)」は○付き数字の6。以下同じ。)と「(7)CLB-132B navy blue」(審決注:「(7)」は○付き数字の7。以下同じ。)との表示があり、写真の(6)、(7)がタッチペン付多機能ペンであることがわかる。
「ZOOM」のミニカタログには「ZOOM PRICE LIST」が挿入されており、そこでは「ZOOM L104」のタッチペン付多機能ペンとして品番「CLB-132A(シルバー)」/「CLB-132B(ネイビー)」の価格が示されるとともに、その下方にトンボ鉛筆社の表示があり、当該商品が「ペン型データ入力具」であることを示している。
(2)本件商標の使用商品
本件商標の使用商品は、本件審判請求に係る指定商品中の「電子計算機」に含まれる「ペン型データ入力具」である。
本件商標は、平成元年10月19日に昭和34年法に基づく旧第11類「電気機械器具(電池を除く),電気通信機械器具,電子応用機械器具,(医療機械器具に属するものを除く),電気材料」、その後審査段階で拒絶理由通知に対応する手続補正及び拒絶査定不服審判時の手続補正を行った結果、類似商品審査基準(乙7)に基づく「電気機械器具(電池を除く),電子計算機[中央処理装置及びその周辺機器(電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路,磁気ディスク,磁気テープを含む)]電子式卓上計算機,電気材料」の指定商品の表記で同12年2月25日に登録された。
さらに、存続期間の更新登録後(平成21年12月22日登録)、平成22年5月10日に書換登録申請を行い、同申請が平成22年7月28日に登録されている。
書換登録申請を「商標権の指定商品の書換のための書換ガイドライン(国際分類第9版対応)」(乙8)に基づいて行った結果、本件商標の第9類の指定商品は「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電気磁気測定器,電線及びケープル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,磁心,抵抗線,電極,電子計算機,電子計算機用プログラム,電子式卓上計算機」となった。
すなわち、本件商標の登録時の指定商品である「電子計算機」はその周辺機器を含んでおり、上記ガイドラインに従って「電子計算機」を「電子計算機、電子計算機用プログラム」に書き換えていることから現在の本件商標の指定商品「電子計算機」はその「周辺機器」を含んでいる。
本件商標の使用商品は、使用状況から明らかなようにタッチペン部分、タッチペン部分が装着された多機能ペンとしてタブレット等のタッチスクリーンに用いる「データ入力具」であり、電子計算機に含まれる商品である。
(3)本件商標の使用の時期
乙第9号証は、上記(1)で示された「ZOOM L104」の「品番:CLB-132A」が要証期間に日本国内で販売されたことを示す物品受領書控えの写し3通と「ZOOM L104用タッチペン替え、品番:TK-TZLBT」が要証期間に日本国内で販売されたことを示す物品受領書の控えの写し2通である。
発注者、単価、金額はマスキングされているがトンボ鉛筆社の記載、宛先、取引の年月日、商標「ZOOM」及び品名等が表示されており,書類が真正なものであることに疑いはない。
よって、トンボ鉛筆社は要証期間に本件商標を使用していた(商標法第2条第3項第1号及び同項第2号)ことは明らかである。
また、乙第1号証は、2020年1月から2021年12月までの2年間用の2020/2021年版総合カタログ(トンボ鉛筆総合カタログ)であり、2020年時点でトンボ鉛筆社のHP等で閲覧可能になっていて現在まで引き続いて使用されており、トンボ鉛筆社が要証期間に本件商標を使用していたことを示すものである(商標法第2条第3項第8号)。
乙第2号証は、2018年1月から2019年12月までの2年間用の2018/2019年版総合カタログ(トンボ鉛筆総合カタログ)であり、2018年時点でトンボ鉛筆社のHP等で閲覧可能になっており、トンボ鉛筆社が2018年から2019年の要証期間に本件商標を使用していたことを示すものである(商標法第2条第3項第8号)。
(4)本件商標と使用に係る商標との社会通念上の同一性
乙第1号証ないし乙第6号証及び乙第9号証で記載された使用に係る商標は、「ZOOM」又は「ズーム」であり、本件商標と同一又は社会通念上同一と考えられることは明らかである。
(5)まとめ
以上のとおり、商標権者であるトンボ鉛筆社は、日本国内において、要証期間に、本件商標と同一又は社会通念上同一の商標を本件審判請求に係る指定商品中の「電子計算機」について正当に使用していることから、本件商標の登録は取り消されるべきではない。
2 回答書の要旨
合議体の暫定意見では、「乙第1号証ないし乙第6号証の記載から、本件商標が使用された商品は、第16類「筆記具(文房具)」の範ちゅうに属す商品であり、取消請求に係る対象商品とは異なる商品と認められる。」と述べられている。
被請求人は、本件商標が使用された商品が第16類「筆記具(文房具)」の範ちゅうに属す商品であるとの見解を示されていることについて異を唱えるものではないが、本件商標が使用された商品は同時に本件審判請求に係る指定商品中の「電子計算機」に含まれる「電子計算機の周辺機器」にも使用されていると考えるべきであると思料する。
(1)本件商標が使用された商品
乙第3号証ないし乙第5号証に示すように本件商標が使用された商品(ZOOM L104 タッチペン付)は、ボールペン及びシャープペンシルの機能に加え、尾栓にタッチペン機能を搭載した多機能ペンであり、当該商品はボールペン及びシャープペンシルとして使用できるのは無論、スマートフォンやタブレットを使用する際にも利用できるものとなっている。
すなわち、本件商標が使用された商品は「筆記用具(文房具)」の機能を有すると同時に電子計算機の周辺機器である、スマートフォンやタブレットに用いられる「ペン型データ入力具」としての機能も有する「ペン(筆記用具)と一体になったコンピュータ用ペン型データ入力具」である。
また、その尾栓のタッチペン部分(別売りあり。乙第5号証等)は「ペン(筆記用具)に装着して用いるコンピュータ用データ入力具」でもある。
(2)二面性を有する商品の分類
二面性を有する商品であれば、当該2つの分類に属する商品について登録商標が使用されているものと扱って差支えないとして、裁判所で判示(審決注:判例のみではなく審決を含む。)している(乙10~乙14)。
(3)特許庁の登録例
請求人は、甲第8号証ないし甲第11号証を示して「タッチペン付きの筆記具」が第16類の筆記具に属することは明らかであると主張している。
しかし、トンボ鉛筆社の登録第6001279号(乙15)においては、「ペン(筆記用具)と一体になったコンピュータ用データ入力具,ペン(筆記用具)に装着して用いるコンピュータ用データ入力具」が第9類に属する商品として登録されている。
また、登録第6001280号(乙16)においては「ペン(筆記用具)と一体になったタッチスクリーンに用いるデータ入力具,べン(筆記用具)に装着してタッチスクリーンに用いるデータ入力具」も第9類に属する商品として登録されている。
さらには、登録第6761119号(乙17)においても「ペン(筆記用具)と一体になったコンピュータ用データ入力具,ペン(筆記用具)に装着して用いるコンピュータ用データ入力具」が第9類に属する商品として登録されている。
少なくともトンボ鉛筆社が本件商標を登録出願してから第6761119号の登録査定の間において、特許庁においては「コンピュータ用データ入力具付きの筆記用具」の両面性を認識し、同社の登録出願において指定した第9類又は第16類のいずれかの区分での登録を認めてきたものであると思料する。
また、合議体の暫定意見に従えば、登録第6001279号が仮に不使用取消審判を請求された場合を想定すると、乙第1号証ないし乙第9号証に相当する資料により第9類の「ペン(筆記用具)と一体になったコンピュータ用データ入力具」の使用を立証しようとしても、同記載が指定商品として登録原簿に記載されているにも関わらず第16類に属すべき商品であることを理由として使用が認められないことになりかねない。
(4)まとめ
以上述べたように、本件商標が使用された商品は、第16類「筆記具(文房具)」に属するのみならず第9類「電子計算機」にも属すると思料する。
よって、商標権者であるトンボ鉛筆社は、日本国内において、要証期間に本件商標と同一又は社会通念上同一の商標を本件審判請求に係る指定商品中の「電子計算機」について正当に使用していることから、本件商標の登録は取り消されるべきではない。
第5 当審の判断
1 被請求人の立証責任
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、ア 要証期間に、イ 日本国内において、ウ 商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、エ 本件審判請求に係る指定商品のいずれかについての、オ 本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。
2 事実認定
被請求人の主張及び同人の提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証及び乙第2号証について
乙第1号証は、商標権者が製作した「トンボ鉛筆総合カタログ2020/2021」の抜粋、及び乙第2号証は、「トンボ鉛筆総合カタログ2018/2019」の抜粋であるところ、該カタログの333頁(乙1)及び325頁(乙2)の表中、「ZOOM L104(タッチペン付き)」の右横に「多機能ペン」の記載がある。
(2)乙第3号証について
乙第3号証は、商標権者が2015年に発行したプレスリリースであり、「2015.10.14 プレスリリース」の1頁に「ボールペン黒・赤とシャープペンシルを1本におさめた多機能ペン」の記載がある。
(3)乙第4号証について
乙第4号証は、商標権者が2015年に発行したリーフレットであり、本号証の1葉目の下部に「タッチペン付き多機能ペン(黒色+赤色ボールペン0.7mm&シャープペンシル0.5mm&タッチペン)の記載がある。
(4)乙第5号証について
乙第5号証は、「ZOOM L104のCLB‐132A及びCLB‐132B商品写真」であり、本号証の4葉目に「多機能ペン 油性黒・赤ボール0.7mm+シャープ0.5mm」の記載がある。
(5)乙第6号証について
乙第6号証は、商標権者が2016年に発行した「ZOOM」のミニカタログの抜粋であり、本号証の3葉目に「コンパクトなボディに、シャープペンシル、黒ボールペン、赤ボールペンの機能を搭載。」の記載がある。
3 判断
上記2によれば、以下のとおりである。
(1)使用者、使用商標及び使用時期について
商標権者であるトンボ鉛筆社は、2018年(平成30年)ないし2021年(令和3年)頃に「トンボ鉛筆総合カタログ」を発行し、当該カタログにおいて、「シャープペンシル、黒ボールペン、赤ボールペンの機能を有する筆記用具」(以下「使用商品」という。)を紹介し、使用商品に「ZOOM」の欧文字よりなる商標(以下「使用商標」という。)が使用されていたことが推認できる。
また、本件商標「ZOOM」と使用商標「ZOOM」は、構成文字を同じくし、いずれも「ズーム」の称呼を共通にする社会通念上同一の商標であると認められる。
(2)使用商品について
被請求人が商標権者であるトンボ鉛筆社が本件商標を使用したと主張する商品は、「シャープペンシル、黒ボールペン、赤ボールペンの機能を有する筆記用具」であり、第16類「筆記具(文房具)」の範ちゅうに属する商品と判断するのが相当であるから、本件審判請求に係る指定商品の範ちゅうに属する商品とは認めらない。
(3)被請求人の主張について
被請求人は、使用商品(ZOOM L104 タッチペン付)は、ボールペン及びシャープペンシルの機能に加え、尾栓にタッチペン機能を搭載した多機能ペンであり、「筆記用具(文房具)」の機能を有すると同時に電子計算機の周辺機器である、スマートフォンやタブレットに用いられる「ペン型データ入力具」としての機能も有する「ペン(筆記用具)と一体になったコンピュータ用ペン型データ入力具」であり、また、その尾栓のタッチペン部分(別売りあり。乙5等)は「ペン(筆記用具)に装着して用いるコンピュータ用データ入力具」(以下「タッチペン部分」という場合がある。)でもある。
そして、二面性を有する商品であれば、当該2つの分類に属する商品について登録商標が使用されているものと扱って差支えないとして、裁判所で判示(審決注:特許庁の審決を含む。乙10~乙14)していると主張する。
しかしながら、二面性を有する商品については、2つの分類に属する商品が存在することは認められるとしても、請求人が主張する使用商品の「タッチペン部分」は、使用商品の尾栓として装着する専用品であることからすれば、ペン(筆記用具)の一部であり、たとえ、タッチペン部分のみが別売りされる場合があるとしても、商品の取引者、需要者は、タッチペン部分を使用商品の尾栓(専用品)と認識したうえで購入するものであるとするのが相当である。
また、被請求人が提出した全証拠をみても、使用商品及びタッチペン部分が「コンピュータ用ペン型入力具」として販売されている証拠は確認することができない。
したがって、被請求人主張は採用することはできない。
(4)まとめ
上記(1)ないし(3)のとおり、商標権者であるトンボ鉛筆社は、要証期間と認められる2018年(平成30年)ないし2021年(令和3年)頃に「トンボ鉛筆総合カタログ」を発行し、当該カタログに、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付した使用商品を紹介したことは推認し得る。
しかしながら、使用商品は、第16類「筆記具(文房具)」の範疇に属する商品であり、本件審判請求に係る指定商品の範ちゅうに属する商品とは認めらない。
そして、仮に使用商品が本件審判請求に係る指定商品の範ちゅうに含まれる商品であるとした場合について、上記「トンボ鉛筆総合カタログ」(乙1、乙2)をトンボ鉛筆社のホームページで公開している旨主張しているが、当該「トンボ鉛筆総合カタログ」を要証期間にホームページに公開していた事実を客観的に示す証拠の提出はないことからすれば、「物品受領書」(乙9)及びその他の証拠によっては、使用商標を付した使用商品が実際に譲渡されたものと推認することができるとはいえない。
そうすると、被請求人の主張及び同人の提出した証拠によっては、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、要証期間に本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を本件審判請求に係る指定商品に使用したことを被請求人は証明していない。
その他、被請求人が提出した全証拠によっても、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、要証期間に本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を本件審判請求に係る指定商品の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしたとは認められない。
4 結び
以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件審判請求に係る指定商品について、本件商標を使用したことを証明したものと認めることはできない。
また、被請求人は、その指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により指定商品中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2021-300089