商標拒絶査定不服審判
2021-017932
ギュートロドン、ギュートロ、ギュー
- 審判番号
- 2021-017932
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-010293
- 請求日
- 2021年12月24日
- 審決日
- 2023年03月31日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】有限会社十勝スロウフード
- 【請求人代理人】中山 俊彦
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 須田 亮一
- 分類
- T18 .13 -Z (W3043) / T18 .272-Z (W3043) / T18 .17 -Z (W3043)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020- 10293拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は,成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は,令和2年1月30日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年4月3日付け :拒絶理由通知書
令和2年5月25日 :意見書の提出
令和3年9月21日付け:拒絶査定
令和3年12月24日 :審判請求書の提出
第2 本願商標
本願商標は,「牛とろ丼」の文字を標準文字で表してなり,第30類「丼物のたれ・その他のたれ,調味料,調理済みの丼物,丼容器入りの弁当,その他の弁当」及び第43類「丼物を主とする飲食物の提供,その他の飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として,登録出願されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由(要点)
本願商標は「マグロの腹側の脂肪に富んだ部分。」を意味する「とろ」の文字と,本願の指定商品及び指定役務との関係においては,料理の一種である「丼ぶり」を容易に認識させる「丼」の文字を含む「牛とろ丼」の文字を標準文字で表してなるものである。
ところで,食品に係る業界においては,霜降りや脂がのった食材に対して,「○○(○○には,魚や肉の種などが入る。)トロ」や「トロ○○」の文字が使用されており,また,牛肉の脂がのった部分について,「牛とろ」の文字が使用されている事実がある。
そうすると,本願商標をその指定商品及び指定役務中,「牛とろ丼」に係る商品及び役務に使用した場合,これに接する取引者,需要者は,「脂がのった牛肉を使用した丼ぶり」程の意味合いを認識するに止まり,単に商品の品質及び役務の提供の用に供する物を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認める。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,「牛とろ丼」に係る商品及び役務以外の商品及び役務に使用するときは,商品の品質及び役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので,同法第4条第1項第16号に該当する。
第4 当審の判断
請求人は,本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない旨主張し,その証拠方法として,原審において,甲第1号証ないし甲第21号証を提出し,さらに,当審において,甲第1号証ないし甲第24号証を提出している(以下,当審における甲第1号証ないし甲第24号証は,順次,甲第22号証ないし甲第45号証と読み替える。)。
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は,「牛とろ丼」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中「牛」の文字は「牛肉。」等の,「とろ」の文字は「マグロの腹側の脂肪に富んだ部分。」等の,「丼」の文字は「丼飯(どんぶりめし)の略。」等の意味をそれぞれ有する語(いずれも「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)である。
そして,当審における職権調査によれば,「とろ」「トロ」の文字は肉について「脂がのった部位」であることを示す語として一般に使用されているものである(別掲1)。
また,本願の指定商品及び指定役務を取り扱う業界においては,「○○とろ」「○○トロ」(○○には肉の種類を示す文字が入る)の文字は,例えば,「豚とろ(トロ)」,「鳥とろ(トロ)」,「馬とろ(トロ)」のように「脂ののった○○の肉」の意味合いで一般に使用されており(別掲2),牛肉についても例外ではない(別掲3)。
以上からすれば,本願商標は,構成全体として「脂ののった牛肉を使用した丼料理(丼物)」程の意味合いを容易に認識させるものであり,これをその指定商品及び指定役務について使用するときは,これに接する取引者,需要者は,当該商品が「脂ののった牛肉を使用した丼料理(丼物)」,当該「丼物のたれ」又は「脂ののった牛肉を使用した丼料理(丼物)の提供」であるという商品の品質,用途又は役務の質を普通に用いられる方法で表示したものと認識するにとどまり,自他商品又は自他役務の識別標識としては認識し得ないというのが相当である。
また,本願商標を,その指定商品及び指定役務中,「脂ののった牛肉を使用した丼料理(丼物)」,「脂ののった牛肉を使用した丼料理(丼物)用のたれ」及び「脂ののった牛肉を使用した丼料理(丼物)の提供」以外の商品及び役務に使用するときは,商品の品質及び役務の質の誤認を生ずるおそれがあるというべきである。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は,「「とろ」の語は,食品の分野において極めて多義的に使用されており(「とろろ」の略,「とろみ」の意味等),直接的かつ一義的に「脂がのった部分」を意味する語として用いられていないものであるから,「牛とろ」の文字から「牛肉の脂がのった部分」を指すものとしては認識されず,また「牛肉の脂がのった部分」を指すものとして一般的に用いられている事実もない」旨主張している。
しかしながら,前記1のとおり,当審における職権調査によれば,「とろ」「トロ」の文字は,肉について「脂がのった部位」であることを示す語として一般に使用されており(別掲1),また,本願の指定商品及び指定役務を取り扱う業界において,「○○とろ」「○○トロ」(○○には肉の種類を示す文字が入る)の文字は,「脂ののった○○の肉」の意味合いで一般に使用されており(別掲2),牛肉についても例外ではない(別掲3)ことからすると,本願商標は,構成全体として「脂ののった牛肉を使用した丼料理(丼物)」程の意味合いを容易に認識させるものであるというのが相当であって,たとえ請求人が主張するように「とろ」の文字が「とろろ」の略,「とろみ」の意味等で使用されている事例があったとしても,本願商標の構成全体から上記意味合い(脂ののった牛肉を使用した丼料理(丼物))を認識させることが否定されるものではなく,本願商標を自他商品又は自他役務の識別標識としては認識し得ないという判断が左右されるものではない。
(2)請求人は,本願商標は,その使用によって,全国の取引者,需要者の間で広く知られるところとなっており,その継続的な使用事実も相まって請求人の商品ないし役務を表すものとして機能している旨主張し,甲第12号証ないし甲第21号証及び甲第36号証ないし甲第45号証を提出している。
そこで,本願商標が使用された結果,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるに至っているか否かについても,以下検討する。
ア 本願商標の使用について
請求人の提出する証拠及び同人の主張によれば,以下のとおりである。
(ア)本願商標の使用実績について
a 「牛とろフレーク」と「牛とろ丼」について
(a)請求人のウェブサイトにおいて,請求人の業務に係る商品である「牛とろフレーク」の製造方法が掲載されており,「牛とろ」について「牛とろフレーク」と称しているものの,本願商標の記載は見当たらない(甲12,甲36)。
(b)十勝毎日新聞のウェブサイトにおいて,2011年12月23日付けで「「牛とろフレーク」非加熱で復活」というタイトルの記事が掲載されており,「牛とろ」について「「牛とろ」は同社(請求人)の専属提携牧場で育てた牛の肉をフレーク状に加工した商品で,生で食べても牛特有の臭みがないと人気を集めていた。」等の記載がある。また,「牛とろ」をご飯の上にのせた丼料理の写真とともに「新製法で復活した「牛とろフレーク」を使った牛とろ丼」の記載がある(甲13)。
(c)Rakutenのウェブサイトにおける請求人の業務に係る商品である「牛とろフレーク」のページにおいて,当該商品がテレビ番組で紹介された旨の記載があり,当該商品の内容量の説明として「牛とろ丼5杯分程度」の記載がある(甲14,甲38)。
(d)Rakutenのウェブサイトにおける請求人の業務に係る商品である「牛とろフレーク」のページにおいて,2016年10月13日に日本テレビで「牛とろ丼」が紹介された旨の記載とともに,その放送直後の「総合リアルタイムランキング」で「牛とろフレーク」が1位を獲得した旨が記載されている。また,そのページには,当該商品とは別売りの「牛とろ丼の「たれ」」が紹介されるとともに,「思い立ったら3分で。お手軽かんたん♪ 「牛とろ丼」をつくろう!」の見出しの下,「牛とろ丼」の作り方が紹介されている。さらに,当該商品の内容量の説明として「牛とろ丼はお茶碗で10杯分!!」の記載がある(甲15,甲37)。
(e)十勝毎日新聞のウェブサイトにおける,2013年5月24日付けの「牛とろ丼 道内7大学の学食で復活」というタイトルの記事において,「十勝スロウフード・・・の「牛とろフレーク」を使った「牛とろ丼」が,道内7大学の学食で復活した。」の記載がある(甲21,甲45)。
(f)一般社団法人日本記念日協会のウェブサイトにおいて,9月16日が「牛とろの日」と記載されており,その説明文には「有限会社十勝スロウフードが制定。同社の提携牧場であるボーンフリーファームと開発した「牛とろ」を多くの人に食べてもらい,その美味しさを知ってもらうのが目的。1997年に誕生した「牛とろフレーク」は凍ったまま温かいご飯に振りかけて「牛とろ丼」にすると絶品。」の記載がある(甲16,甲39)。
b 食をテーマとするイベントについて
(a)まんパクのウェブサイトにおいて,「殿堂入り」として「十勝牛とろ丼」が紹介されている(甲17,甲41)。また,このことは,十勝毎日新聞のウェブサイトにおける2019年6月7日付けの「十勝牛とろ丼,まんパク3連覇で初の殿堂入り」というタイトルの記事において,「東京都内で開かれた日本最大級の食のイベント「満腹博覧会(まんパク)2019」で,十勝スロウフード・・・が出品した「十勝牛とろ丼」が人気グルメランキングで3年連続の総合1位に輝いた。11年に始まったまんパク史上初の3連覇で,初めての「殿堂入り」となった。」のように紹介されている(甲18,甲42)。
(b)全国ご当地どんぶり選手権のウェブサイトにおいて,請求人が,請求人の商品提供先の店舗であると主張する株式会社円らくの「十勝牛とろ丼」が準グランプリとして紹介されている(請求人の主張,甲19,甲43)。
また,このことは,十勝毎日新聞のウェブサイトにおける,2020年1月20日付けの「牛とろ丼準優勝 全国ご当地どんぶり選手権」というタイトルの記事において,「8回目の出場となった十勝スロウフード・・・の「十勝牛とろ丼」は2度目の準グランプリに輝いた。・・・牛とろ丼は前回3位で,前々回が過去最高となる2位だった。」のように紹介されている(甲20,甲44)。しかしながら,上記株式会社円らくは,請求人といかなる関係にある者なのか(販売先なのか使用権者であるのか等)について,何ら証拠の提出もなく不明である。
(イ)本願商標を使用した請求人の業務にかかる商品又は役務(以下「請求人商品・役務」という。)の市場シェア,売上高,販売数,広告費,広告宣伝の方法・回数等については,客観的な証拠の提出がなく不明である。
イ 判断
前記ア(ア)によれば,請求人は「専属提携牧場で育てた牛の肉をフレーク状にした商品」を「牛とろフレーク」と称して販売しており,当該商品は複数のテレビ番組で紹介等され,当該商品を温かいご飯にのせたものは「牛とろ丼」と称し,Rakuten等のウェブサイトにおいて紹介した。
また,請求人又は,請求人が請求人の商品提供先の店舗であると主張する者によって製造された「牛とろ丼」は,「十勝牛とろ丼」の名称で,複数のイベントにおいて出品され,その人気投票において,上位入賞を果たしており,そのことが十勝毎日新聞において紹介された。
さらに,上記「牛とろフレーク」をご飯にのせた「牛とろ丼」は,北海道内の7つの大学の学食において提供された。
しかしながら,これら使用の事実を証する証拠は,それほど多いとはいえず,また,請求人の業務に係る商品又は役務として紹介されているものも少ない。その上,これら使用の事実によって,本願商標が,その指定商品及び指定役務の取引者,需要者のうちのどの程度の者の目に触れたのかも不明である。
さらに,上記「十勝牛とろ丼」の名称は,本願商標とは「十勝」の文字の有無において相違することから,当該名称の使用をもって,本願商標の使用とはいえないものである。
さらにまた,前記ア(イ)のとおり,請求人商品・役務の市場シェア,売上高,販売数,広告費,広告宣伝の方法・回数等については,客観的な証拠の提出がなく不明であって,本願商標について,具体的な使用事実に基づいて使用状況を把握し,その周知性の程度を客観的に推し量ることができない。
その他,当審において,職権で調査するも,本願商標が,その指定商品及び指定役務を取り扱う業界において,自他商品及び自他役務の出所識別標識としての機能を発揮し得るものであると認めるに足りる事情を見いだすこともできなかった。
そうすると,本願商標は,請求人商品・役務を表すものとして,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないし,また,請求人主張のように請求人の商品ないし役務を表すものとして機能しているということもできない。
(3)請求人は,過去における登録例を挙げて,本願商標も登録されるべき旨を主張している。
しかしながら,登録出願に係る商標がその指定商品及び指定役務との関係において,自他商品及び自他役務の識別標識として機能し得るか否かは,当該商標の構成態様と指定商品及び指定役務との関係や取引の実情をも踏まえて個別具体的に判断されるべきものであるところ,請求人の示す登録例(甲7~甲9,甲29~甲31)と本願商標とは,構成態様や指定商品及び指定役務が異なり,事案を異にするものであり,本願商標が自他商品及び自他役務の識別力を欠くものであることは,前記1のとおりであるから,登録例があるからといってその判断が左右されることはない。
(4)したがって,請求人の主張はいずれも採用できない。
3 まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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