商標拒絶査定不服審判
2021-017434
- 審判番号
- 2021-017434
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2019-166630
- 請求日
- 2021年12月17日
- 審決日
- 2023年01月10日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】日世株式会社
- 【請求人代理人】山田 威一郎
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 須田 亮一
- 分類
- T18 .16 -Z (W3043)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2019-166630拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は,成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は,令和元年12月25日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年2月12日付け:拒絶理由通知書
令和3年3月26日 :意見書の提出
令和3年9月27日付け:拒絶査定
令和3年12月17日 :審判請求書の提出
第2 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの立体的形状からなり,第30類「ソフトクリーム」及び第43類「飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として,立体商標として登録出願されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は,要旨以下のとおり,認定,判断し,本願を拒絶したものである。
本願商標は,ソフトクリームをコーンにのせた状態を表した立体的形状からなるところ,かかる構成からなる形状が,本願商標に係る指定商品を販売又は指定役務を提供するにあたり,広告物として一般に使用されている実情がある。
そうすると,広告物として一般に採用されているソフトクリームをコーンにのせた状態を表した立体的形状からなる本願商標を,その指定商品又は指定役務について使用しても,これに接する需要者は,当該指定商品又は指定役務の広告物の形状と認識するにとどまり,自他商品又は役務の識別標識としての機能を果たし得ないといえるから,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標と判断するのが相当である。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。
第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は,別掲1のとおり,白色のソフトクリームが黄色がかった茶色のコーンの上にのっている状態を表した立体的形状からなるものである。
そして,原審で示した証左に加え,当審における職権調査によれば,別掲2のとおり,本願の指定商品及び指定役務を取り扱う業界において,ソフトクリームがコーンにのっている状態を表した立体的形状からなる物は,広告物として一般に使用されているものである。
そうすると,本願商標は,これをその指定商品及び指定役務に使用しても,単に商品又は役務の広告物を表してなるものと認識,理解されるにすぎず,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識できる特徴を備えるものではないから,商標法第3条第1項第6号に該当する。
2 使用による自他商品・役務の識別力の獲得について
請求人は,本願商標は,その使用によって,ソフトクリームの需要者の間で広く知られた商標になっているといえ,かかる使用実績を考慮すると,本願商標が自他商品・役務識別力を発揮していることはより一層明らかである旨を主張し,第2号証を提出している。
そこで,本願商標が使用された結果,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるに至っているか否かについても,以下検討する。
(1)本願商標の使用について
請求人の提出する証拠及び同人の主張によれば,以下のとおりである。
ア 本願商標の使用実績について
請求人が長年にわたり使用していると主張する標章は,白色のソフトクリームが黄色がかった茶色のコーンの上にのっている状態を表した立体的形状における,当該コーンの上部の縁の部分に「NISSEI」の文字及び請求人の会社のロゴマークとされるものを立体的に表示したものからなる広告物(以下,「ミニソフトスタンド」という。)である(請求人の主張)。
そして,ミニソフトスタンドは,平成18年(2006年)ないし令和3年(2021年)に,年に498台ないし878台が日本全国に存在する請求人の顧客宛に出荷され,累計出荷台数は,令和3年(2021年)10月10日時点において,1万1185台であるとされる(請求書に添付の写真,第2号証,請求人の主張)。
イ 本願商標を使用した請求人の業務にかかる商品又は役務(以下「請求人商品・役務」という。)の市場シェア,売上高,販売数,広告費,広告宣伝の方法・回数等については,客観的な証拠の提出がなく不明である。
(2)判断
前記(1)によれば,請求人の提出する証拠及び同人の主張からは,ミニソフトスタンドが存在したことはうかがえる。
しかしながら,ミニソフトスタンドに立体的に表示されている「NISSEI」の文字及び請求人のロゴマークが看者に強い印象を与えるといえ,当該立体的に表示されている部分を含め,広告物の全体の形状が特定され得るものであるから,本願商標とは別異のものというべきであり,別異のものの使用をもって,本願商標に対する需要者の認識を推し量ることはできない。
その他,本願商標が使用された具体的な事実(例えば,商品又は役務の取引の際に,本願商標が商品の広告に使用された事実,本願商標の立体的形状からなる広告物が店頭に展示された事実など)があったことを示すような証拠の提出はなく,本願商標が,これまでに,本願の指定商品又は指定役務について使用されたことがあるのかどうかを含め,その使用の事実を確認することができない。
そうすると,本願商標について,具体的な使用事実に基づいて使用状況を把握し,その周知性の程度を客観的に推し量ることができないから,本願商標は,請求人商品・役務を表すものとして,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないし,その他,当審において,職権で調査するも,本願商標が,その指定商品及び指定役務を取り扱う業界において,自他商品・役務の出所識別標識としての機能を発揮し得るものであると認めるに足りる事情を見いだすこともできなかった。
3 請求人の主張について
(1)請求人は,「本願商標と原審で挙げた広告物の形態の差異に関し,本願商標に接する需要者は,「ソフトクリームをコーンにのせた状態」を表した立体的形状であるというような大雑把な特徴ではなく,本願商標の特徴点(コーンの上端に幅広な縁部が形成され,その下の円錐の部分も横幅が広く,下部がとがった形状が採用され,また,コーンの下端には無模様の円錐部分が設けられ,その上の部分には,横方向の線が5本設けられているほか,上方向に向けた放射線上の線からなる模様が表されている。)を認識した上で,本願商標と他社の看板とを区別し,出所を認識する。本願商標の類似範囲を,本願商標の具体的な形態及びこれと類似する形態に限定して解釈するとすれば,他社への制約もさほど大きなものとはならないから,本願商標の自他商品・役務の識別力を考える際に,本願商標の形態的な特徴を,「ソフトクリームをコーンにのせた状態」というような大雑把な捉え方をすることは妥当ではなく,原審で指摘の他社の広告物は本願商標の自他商品・役務の識別力を否定する根拠にはならない。」旨を主張している。
しかしながら,当該主張は請求人の独自の主張であって,これを裏付ける証拠の提出はないし,ほかに請求人の主張する本願商標の立体的形状の特徴によって,取引者,需要者が,本願商標と別掲2に挙げた広告物とを区別して出所を認識するというべき事情を見いだすこともできない。
また,請求人の述べる本願商標の立体的形状と原審で挙げた広告物の立体的形状の差異(ソフトクリームの幅がコーンの幅よりも太いか細いかの違いやコーンの下端がとがっているか否か等)はいずれも微差であって,当該差異があるとしても,本願商標の立体的形状も原審で挙げた広告物の立体的形状も,いずれも,これらに接する取引者,需要者にソフトクリームの形状を表したものと容易に認識されるものである。
そして,別掲2の事実によれば,ソフトクリームをコーンにのせた立体的形状からなる広告物は,本願の指定商品又は指定役務を取り扱う業界において,広告物として一般に使用されているものであり,本願商標はこれをその指定商品及び指定役務に使用しても,単に商品又は役務の広告媒体を表してなるものと認識,理解されるにすぎないものであることは前記1のとおりである。
(2)請求人は,過去における立体商標の登録例(第3号証)を挙げて,本願商標も登録されるべき旨を主張している。
しかしながら,登録出願に係る商標がその指定商品及び指定役務との関係において,自他商品・役務の識別標識として機能し得るか否かは,当該商標の構成態様と指定商品及び指定役務との関係や取引の実情をも踏まえて個別具体的に判断されるべきものであるところ,請求人の示す登録例と本願商標とは,立体的形状が全く異なり,事案を異にするものであるし,本願商標が自他商品・役務の識別力を欠くものであることは,前記1のとおりであるから,登録例があるからといってその判断が左右されることはない。
(3)したがって,請求人の主張は採用できない。
4 まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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