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特許拒絶査定不服審判

2021-017132

内視鏡システム及びその作動方法

審判番号
2021-017132
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-552830外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年12月13日
審決日
2022年06月20日
公報発行日
2022年11月25日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (A61B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-552830「内視鏡システム及びその作動方法」拒絶査定不服審判事件〔令和元年5月16日国際公開、WO2019/093355〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 23項目
理 由

第1.手続の経緯

本願は、2018年(平成30年)11月7日(優先権主張 平成29年11月13日)を国際出願日とする出願であって、令和3年5月7日付けで拒絶の理由が通知され、これに対し同年6月23日に意見書及び手続補正書(以下「本件手続補正書」といい、これによる補正を「本件補正」という。)が提出され、同年10月22日付けで拒絶査定がなされ、同年12月13日に本件審判請求書が提出されたものである。

第2.本件請求項1に記載された発明

本件補正は特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、当該補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は次のとおりのものである。(以下「本件発明」という。各構成単位冒頭の「A」などは、分説のため当審にて付与した分説番号であり、以下、当該各構成単位を「構成A」などという。)

「A 互いに異なる波長帯域の光を発光する複数の半導体光源と、
B 前記複数の半導体光源を制御する光源制御部であり、第1発光比率を有する第1照明光と前記第1発光比率と異なる第2発光比率を有する第2照明光とを含む複数の照明光を、特定の発光サイクルに従って、切り替えながら発光する制御を行う光源制御部と、
C 各照明光により照明された観察対象を撮像して得られる複数の観察画像を取得する画像取得部であり、前記複数の観察画像には、前記第1照明光に対応する第1観察画像と前記第2照明光に対応する第2観察画像とが含まれる画像取得部と、
D 前記複数の観察画像を、特定の表示サイクルに従って、切り替えて表示部に表示する制御を行う表示制御部とを備え、
E 前記第1照明光と前記第2照明光との切替に伴って、前記発光サイクルに同期して、前記第1観察画像に対して施される第1照明光用ゲイン処理又は第1照明光用構造強調処理と前記第2観察画像に対して施される第2照明光用ゲイン処理又は第2照明光用構造強調処理とが切り替えられ、
F 前記特定の発光サイクルは固定であり、
G 前記特定の表示サイクルは変更可能であり、
H 前記特定の表示サイクルでは、前記第1観察画像を第1表示フレーム数に対応する期間、前記発光サイクルに同期することなく前記表示部に表示した後、前記第1観察画像を前記第2観察画像に切り替えて、前記第2観察画像を第2表示フレーム数に対応する期間、前記発光サイクルに同期することなく前記表示部に表示し、
I 前記発光サイクルを変更することなく、前記第1表示フレーム数を前記第2表示フレーム数よりも大きくすることと、前記第1表示フレーム数を前記第2表示フレーム数よりも小さくすることとを切り替えることが可能である
J 内視鏡システム。」

第3.原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、本件発明は、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に公知となった下記の引用文献1に記載された発明、並びに下記引用文献2~5に記載された技術事項及び周知技術に基づいて、優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。

引用文献1.特開2005-143991号公報

引用文献2.特開2015-159957号公報

引用文献3.特開2001-149303号公報

引用文献4.特開2016-55052号公報

引用文献5.国際公開第2017/057392号

第4.引用文献に記載された事項

1 引用文献1に記載された事項

(1)引用文献1の記載事項

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引用文献1には次の事項が記載されている。

・「【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、カプセル型内視鏡を用いて体内を撮像するカプセル型医療システムに関する。」

・「【0007】

以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。

【実施例1】

【0008】

図1ないし図7は、本発明の実施例1に係り、図1は本発明の実施例1のカプセル型医療システムの全体構成を示し、図2はカプセル型内視鏡の具体的な構成を示し、図3は図2における透明カバーを除いたA矢視図を示し、図4は本実施例における作動手順の動作を示し、図5及び図6は、表示方法の入力操作により表示モニタでの表示例を示し、図7は表示モニタでの他の表示例を示す。

図1に示すように本発明の実施例1のカプセル型医療システム1は、口から飲み込まれることにより体内に挿入され、体内を撮像するカプセル型内視鏡2と、体外に配置され、カプセル型内視鏡2により無線送信される画像データを受信して時系列で記録すると共に、表示する機能とを備えた体外装置3とから構成される。

【0009】

カプセル型内視鏡2は、カプセル型外装体4の内側に照明を行う照明手段5と、対物光学系(1)6A及びその結像位置に配置された固体撮像素子7Aとからなる第1の撮像手段8Aと、対物光学系(2)6B及びその結像位置に配置された固体撮像素子7Bとからなる第2の撮像手段8Bとを有する。なお、固体撮像素子7B及び固体撮像素子7Bは、図2等に示すように共通の固体撮像素子7を採用しても良い。

これらの照明手段5、第1の撮像手段8A及び第2の撮像手段8Bは、信号処理及び制御を行う制御手段9と接続され、制御手段9は照明及び撮像の制御と固体撮像素子7A及び7Bで撮像された撮像信号に対する信号処理を行い、さらにA/D変換した画像データを圧縮等して記録手段11に記録する。また、この制御手段は、記録手段11に記録される圧縮された画像データを無線送信手段12に送り、無線送信手段12は、その画像データを高周波で変調して無線送信する。つまり、制御手段9は、撮像した順序で画像データを時系列に記録手段11に記録したり、無線送信手段12から時系列に送信するように制御する。

【0010】

なお、制御手段9から画像データを一時記録手段11に記録した後、その記録手段11から読み出した画像データを無線送信手段12に送り、無線送信手段12は、その画像データを無線送信するようにしても良い。

また、制御手段9による制御プログラムデータは、記憶手段13に記憶されている。そして、スイッチ14により、電源手段15の電源がONにされると、制御手段13は、記憶手段13の制御プログラムデータを読み出し、この制御プログラムデータに従って、カプセル型内視鏡2の動作を制御する。

一方、体外装置3は、カプセル型内視鏡2から送信される画像データを受信して記録する記録装置部21と、記録装置部21を介して画像を表示する表示装置部22とを備えている。

記録装置部21は無線送信手段12により電波で送信される画像データを無線で受信する無線受信手段23を有し、この無線受信手段23は、受信して復調した画像データを体外記録手段24に送り、体外記録手段24は、画像データを記録する。無線受信手段23及び体外記録手段24には、電源手段25から動作用の電力が供給される。

【0011】

また、体外記録手段24に記録された画像データは、表示装置部22を構成する作動制御手段26により順次読み出され、表示する処理が行われて表示モニタ27に送られ、この表示モニタ27の表示画面にカプセル型内視鏡2の第1の撮像手段8A及び第2の撮像手段8Bにより撮像された画像を表示する。

作動制御手段26及び表示モニタ27は、表示制御手段28により制御される。ユーザは、表示方法入力部29からの表示方法の指示入力を行うことにより、表示制御手段28を介して画像の表示方法を選択設定できる。また、表示制御手段28は、カプセル型内視鏡2の記憶手段13に予め記憶させた情報により、表示制御手段28による表示方法を制御することもできる。このように本実施例では、カプセル型内視鏡2により得られた画像を表示モニタ27に表示する表示方法を、診断に適した表示方法やユーザの選択設定に対応して変更等ができるようにしている。

【0012】

・・・

なお、カプセル型内視鏡2内の記憶手段13としては、製造段階で書き換え可能なEEPROMや、書き換えはできないが安価なマスクROMなどを用いることができる。

また、カプセル型内視鏡2の記録手段11としては、SRAMなどのメモリを用いることができ、体外記録手段24としてはフラッシュメモリやハードディスクなど大容量で書き換え可能なものを用いることができる。」

【0013】

先端カバー31の内側には、リング形状の照明基板33が配置され、この照明基板33における円周に沿って多数の白色LED等の発光部34を実装して、図3に示すようにリング状の照明手段35が形成されている。・・・。」

・「【0015】

また、通常観察用対物光学系36Bも、固定レンズ39bに対して可動レンズ40bを光軸O2方向に移動調整して、固体撮像素子7の受光面にフォーカス状態で光学像を結像するようにフォーカス調整されて可動レンズ枠41bがレンズ枠に固定される。なお、この通常観察用対物光学系36Bによる観察範囲θ2は、約90°~140°である。

このように、本実施例では拡大観察用対物光学系36Aと通常観察用対物光学系36Bそれぞれにより、光学特性が異なる光学像を共通の固体撮像素子7に結像することにより、第1の撮像手段8Aと第2の撮像手段8Bとを形成している。

なお、拡大観察用対物光学系36Aは、通常観察用対物光学系(広域観察用対物光学系)36Bにおける観察範囲θ2内の一部を拡大した拡大観察像を得るためのものとなる。

また、図3に示すように上下に対物光学系36A、36Bを配置したのに対応して、縦長の固体撮像素子7が配置され、この固体撮像素子7の左右両側には、メインの照明を行う(発光部34よりも大きな発光量で発光する)発光部42を備えた照明手段43が配置されている。

【0016】

図1の照明手段5は、この照明手段43とリング状の照明手段35とを含めたものとして示している。

図2に示すように固体撮像素子7は、撮像基板44の一方の面(前面)に実装されている。この撮像基板44には、照明手段43も実装されている。また、この撮像基板44は、リード線等により、リング形状の照明基板33とも接続されている。

この撮像基板44の背面には、固体撮像素子7に対する信号処理を行うと共に、このカプセル型内視鏡2内の各回路等の制御動作を行う信号処理&制御部9aが(ICや電子部品の実装により)形成されている。この信号処理&制御部9aは、図1の制御手段9に相当する。」

・「【0019】

そしてステップS3に示すように制御手段9は、記憶手段13の指示データに従って、まず照明手段5及び第1の撮像手段8A若しくは第2の撮像手段8Bが作動状態に設定する。

ステップS3による照明手段5及び第1の撮像手段8A及び第2の撮像手段8Bが作動状態に設定された後、ステップS4に示すように、記憶手段13に予め記憶した指示データの撮像手順のデータに従って、照明及び撮像が行われ、撮像された画像が生成(取得)される。

そして、次のステップS5に示すように撮像された画像のA/D変換された画像データが時経列的に順次、記録手段11に記録される。この場合、記録される画像データには、カプセル型内視鏡2の種類と、そのカプセル型内視鏡2に内蔵され、撮像に用いられた第1の撮像手段8A或いは第2の撮像手段8Bの種類を示す識別コードも付加される。なお、撮像した時間の情報も記録するようにしても良い。

【0020】

また、ステップS6に示すように、記録手段11に記録される画像データが(識別コードと共に)順次、無線送信手段12に送られ、この無線送信手段12から高周波変調されて無線でカプセル型内視鏡2の外部に送信される。

なお、図4の点線で示すように、ステップS4からステップS5を経由することなく、ステップS6に進むようにしても良い。つまり、画像データを記録手段11で記録することなく無線送信信段12に(識別コードを付加して)送り、無線送信する様にしても良い。

一方、体外装置3は、ステップS11に示すように無線受信手段23によりカプセル型内視鏡2の無線送信手段12から無線送信される画像データの信号電波を受信し、復調して体外記録手段24に送る。」

・「【0021】

そして、ステップS12に示すように体外記録手段24は、復調された画像データを時経列的にハードディスク等に受信した時刻とカプセル型内視鏡2の種類と識別コード等とを付加して記録する。

そして、ステップS13に示すように体外記録手段24は、表示装置部22に画像データを無線又は有線で送る。また、このステップS14に示すように体外記録手段24は、表示制御手段28にカプセル型内視鏡2の種類と撮像手順の指示データを送る。

【0022】

また、この表示制御手段28には、ユーザ(操作者)が表示方法入力部29から入力した表示方法の指示データを入力することもできる。表示制御手段28は、表示方法入力部29から表示方法の指示データの入力が無い場合には、撮像手順の指示データに従って表示方法の制御を行う。なお、撮像手順の指示データとは異なる表示方法を予め記憶手段11に記憶して、撮像手順の指示データに付加して、この付加した指示データにより表示方法を制御するようにしても良い。

そして、ステップS15に示すように、表示制御手段28は、作動制御手段26に表示方法の指示データを送る。」

【0023】

そして、ステップS16に示すように表示モニタ27には画像が表示される。この場合、表示モニタ27には、表示方法の指示データと撮像手順の指示データとに応じて図5や図6に示すように表示される。例えば、表示方法入力部29から表示方法の指示入力を行わない場合には、記憶手段13に予め記憶させた撮像手順のデータに従って表示させることができる。

【0024】

図5は、例えば表示方法入力部29からユーザが表示方法の指示入力を行った場合の表示方法の例を示す。

図5に示すように表示モニタ27の表示画面において、通常観察像表示エリア51と、拡大観察像表示エリア52とを左右に配置して、それぞれ通常観察用対物光学系36Bによる通常観察像と、拡大観察用対物光学系36Aによる拡大観察像とを近くに並べて同時に表示する表示方法である。

更に右側の上部寄りに配置した拡大観察像表示エリア52の下側には、情報表示エリア53が設けられ、カプセル型内視鏡2の体腔内通過時間や体腔内での位置情報等の情報が表示されるようにしている。なお、通常観察像表示エリア51には、拡大観察用対物光学系36Aによる拡大観察の範囲51aを点線等により表示することにより、医療スタッフ等のユーザは、通常観察像と拡大観察像の関係を理解し易いように表示させることができるようにしている。

【0025】

この場合、カプセル型内視鏡2の記憶手段13に記憶された指示データにおける撮像順序は、第2の撮像手段8B(通常観察用対物光学系36B)による通常観察像の撮像と第1の撮像手段8A(拡大観察用対物光学系36A)による拡大観察像の撮像とを交互に行う。

つまり、第2の撮像手段8B→第1の撮像手段8A→第2の撮像手段8B→第1の撮像手段8A→…のように撮像を行う。

【0026】

そして、体外装置3側では、受信した画像を内部の通常画像格納用メモリ及び拡大画像格納用メモリに一時蓄積し、図5に示すように両表示エリア51,52において、それぞれ画像を表示し、新たに画像を受信すると、その画像データにより対応するメモリの画像データを更新し、表示する画像も更新する。

【0027】

図5に示すように両画像を同時に表示できるようにすることにより、医療スタッフ等のユーザは、両画像を観察できるので、診断し易い表示方法となる。また、表示方法入力部29を設けているので、ユーザが診断などし易いように表示させることができる。

また、図6に示す表示方法は、記憶手段13による撮像手順どうりに表示する場合を示す。

この場合には、表示モニタ27の表示画面には、通常観察像と拡大観察像とを撮像手順を反映するように表示する。この場合は、第2の撮像手段8B→第2の撮像手段8B→第1の撮像手段8A→第2の撮像手段8B→第2の撮像手段8B→第1の撮像手段8A→…のように撮像を行う撮影手順である。

従って、図6に示す表示方法では、図6(A)及び図6(B)は通常観察像が続けて表示された後、図6(C)に示すように拡大観察像の表示となり、その後、図6(D)及び図6(E)は通常観察像が続けて表示された後、図6(F)に示すように拡大観察像の表示となる。なお、この表示方法の場合には、現在の表示状態が通常観察像であるか拡大観察像であるかの情報(図6では、例えば通常観察像の場合には、”通常と”、拡大観察像の場合には”拡大”を)表示画面上に表示して、観察者が現在の表示状態(表示モード)を把握し易いように告知するようにしても良い。この場合においても、通常観察像中には、拡大観察像で得られる画像範囲を点線等で示し、両画像の関係を理解し易いように表示する。このため、医療スタッフにとって、診断等がし易い表示方法となる。」

・「【0030】

このように本実施例によれば、種類が異なる2つの撮像手段8A、8Bを共通の固体撮像素子7上に結像することにより、カプセル型内視鏡2を小型化して設けると共に、表示方法の情報をカプセル型内視鏡2側に予め設定してその表示方法で表示させたり、ユーザ側で表示方法の入力を行って診断に適した表示方法で表示させたりができるので、種類が異なる複数の撮像手段8A、8Bの場合にも診断し易い表示ができる。

また、種類が異なる撮像手段8A、8Bを内蔵しているので、一方のみを内蔵したカプセル型内視鏡の場合に比べて診断する機能を向上することができる。例えば、通常観察用のもののみに比べて、拡大観察用のものにより、より詳しく診断することができる。

また、種類が異なる画像の観察範囲の関係も表示することにより、ユーザにとって理解し易い表示方法となり、診断に適したシステムを提供できる。このため、1回のカプセル型内視鏡2による飲み込み検査により診断する機能を大幅に向上したり、表示方法を適切に設定できるので、効率的に診断を行うこともできる。」

・「【実施例2】

【0032】

次に図8及び図9を参照して本発明の実施例2におけるカプセル型内視鏡を説明する。

図8(A)は、先端カバーを外したカプセル型内視鏡2Bの概略の構成を示す。

このカプセル型内視鏡2Bは、図2及び図3のカプセル型内視鏡2において、縦長の固体撮像素子7の代わりに例えば正方形の受光面(撮像面)61aを有する略正方形の固体撮像素子61を採用し、またこの固体撮像素子61の前面には、同じ対物光学系、例えば通常観察用対物光学系8Bに相当する対物光学系62a、62bを隣接して配置している。

この場合、図8(A)に示すように2つの対物光学系62a、62bを共通の固体撮像素子61の正方形の受光面61aの対角線に沿って隣接するように配置している。各対物光学系62a、62bの光軸をOa、Obで示している。」

・「【実施例3】

【0035】

図10(A)は、本発明の実施例3における先端カバーを外したカプセル型内視鏡2Cの概略の構成を示す。本カプセル型内視鏡2Cは、図8のカプセル型内視鏡2と同様な固体撮像素子61を採用し、その正方形の受光面61aのにおける対角線に沿って、2つの対物光学系66a、66bを配置している。

この場合も図10(B)に示すように正方形の受光面61aにおける対角線に沿って2つの対物光学系66a、66bによる光学像結像エリア67a、67bに光学像を結ぶようにして小型化している。なお、斜線部分は使用しない不使用領域となる。

また、図10(A)に示すように固体撮像素子61の左右には照明用発光素子68a、68bが配置され、上下にも照明用発光素子68c、68dが配置されている。

【0036】

本実施例では、例えば発光素子68a、68dは、白色光を発光し、残りの発光素子68b、68cは狭帯域の波長の光を発光し、狭帯域の波長により特殊光観察像を得るようにする。その波長は、可視領域における生体が選択的に吸収する特性を示す波長や、病変組織が選択的に吸収する特定を示す波長でも良い。また、赤外領域の波長にして、深部側の情報が得られるようにしても良い。また、発光素子68a、68dと残りの発光素子68b、68cは、それぞれ異なるタイミングで間欠的に交互に発光するように制御される。

なお、固体撮像素子7としてCCDを採用した場合においては、白色照明と狭帯域の波長での照明を交互に間欠的に行って通常撮像と特殊光撮像とを交互に行う場合、撮像した信号を次の照明が開始する前に、固体撮像素子7の受光面61aから転送部に転送したり、固体撮像素子7の外部に読み出した後、次の照明を行うように制御手段9は制御する。

本実施例では、例えば一方の照明を行った場合、次の照明を行う前に固体撮像素子7の外部に読み出すようにしている。

【0037】

そして、この場合、不用となるエリア67a、或いは67b部分の信号電荷は、記録には用いないし、送信もしない。例えば白色照明を行って通常撮像を行った場合には、エリア67aの信号電荷を記録や送信するが、エリア67b部分の信号電荷は記録や送信には利用しない。狭帯域の波長での照明を行った場合には、エリア67aと67bの信号電荷に対する処理は逆になる。

本実施例における表示モニタ27による表示例を図11に示す。本実施例では、例えば通常観察像を大きな通常観察像表示エリア69aにより表示し、特殊光観察像を小さな特殊光観察像表示エリア69bに表示するようにしている。

なお、実施例1で説明した通常観察像と拡大観察像とを図11に示すように表示しても良い。

【0038】

なお、間欠的に発光した場合に撮像された種類が異なる画像データを体外記録手段に時系列的に蓄積し、それらを読み出して表示し、観察しようとするような場合、例えばユーザによる表示方法の入力により、毎秒20フレーム以上の高速でそれぞれのエリア69a、69bにおいて連続的に表示できるようにしても良い。

また表示方法を選択することにより、表示モニタ27の表示画面には、図12に示すように通常観察像と特殊光観察像とを交互に表示させるようにすることもできる。つまり、通常光→特殊光(狭帯域光)→通常光→特殊光(狭帯域光)、・・・と交互に行う。この場合にも、現在の表示モード”通常””特殊光”等とユーザが理解し易いように表示すると良い。

【0039】

また、図12に示すように交互でなく、例えば通常光→通常光→特殊光(狭帯域光)→通常光→通常光→特殊光(狭帯域光)…等のように一定の決まりを加えた上で交互に行うようにしても良い。

本実施例によれば、通常観察像と、特殊光による観察像とが得られるので、より診断する機能を向上することができる。

なお、特殊光としては、蛍光観察に用いる励起光を発生させ、この励起光による蛍光観察を行うようにしても良い。蛍光観察の場合にも同様に適用できる。つまり、上記特殊光観察として、より具体的に狭帯域観察、赤外光観察、蛍光観察とすることができる。」

・「【実施例4】

【0040】

・・・

【0041】

それぞれ半球形状の透明なカバー71a、71bの円筒状の基端は嵌合されて、カプセル形状の密閉容器が形成されている。

この密閉容器内には、カバー71aに対向する中央にはレンズ枠に取り付けた対物光学系72aが配置され、その結像位置には固体撮像素子を配置した撮像部73aがLED基板74aに取り付けてある。また、このLED基板74aにおける対物光学系72aの周囲には複数のLED75aを実装して照明部が設けてある。

【0042】

同様にカバー71bに対向する中央にはレンズ枠に取り付けた対物光学系72bが配置され、その結像位置には固体撮像素子を配置した撮像部73bがLED基板74bに取り付けてある。また、このLED基板74bにおける対物光学系72bの周囲には、複数のLED75bを実装して照明部が設けてある。

LED基板74aの背面には、撮像部73a、73bを駆動するとともに他の回路を制御する駆動&制御回路76と、電源77と、無線回路78が配置されている。また、例えば、駆動&制御回路76の内部には、例えばEEPROM等の撮像手順を記憶した不揮発性メモリ等が設けてある。

対物光学系72a及び撮像部73aによる前方用の観察範囲は、θaであり、その周囲の複数のLED75aによる照明部の照明範囲φaは、この観察範囲θaより広くなるように設定している。

【0043】

同様に対物光学系72b及び撮像部73bによる後方用の観察範囲は、θbであり、その周囲の複数のLED75bによる照明部の照明範囲φbは、この観察範囲θbより広くなるように設定している。

また、観察範囲θaとθbとは、例えば異なるように設定されている。このカプセル型内視鏡2Dは、例えば前方と後方の両方の撮像を交互に行い、無線回路78により外部に画像データを無線で送信する。画像データを送信する場合、カプセル型内視鏡2Dの識別コード等を付加して送信する。また、一方を2回撮像した後、他方を1回撮像するというような撮像手順に設定(上記不揮発性メモリに記憶)しても良い。

図14は、実施例4における第2のカプセル型内視鏡2Eの概略の構成を示す。本カプセル型内視鏡2Eは、例えば図13のカプセル型内視鏡2Dにおいて、一方の撮像手段を変更した構成になっている。例えば、図13における後方視側の構成において、基本的には対物光学系72bに対向して、円錐形状の光学素子81を配置した構成に変更している。

・・・

【0045】

なお、図13及び図14において、無線回路78の代わりにメモリを内蔵し、撮像した画像データをメモリに蓄積(格納)しても良い。メモリに蓄積する場合には、最初に識別コードを記録し、各画像データには撮像時刻や(前方側或いは後方側等の)撮像部の情報も記録する。また、無線回路78とメモリの両方を内蔵し、前方視の撮像による画像データと全周側方の画像データとを時分割でメモリに記録すると共に、無線で体外に送信しても良い。画像データを送信する場合、カプセル型内視鏡2Eの識別コード等を付加して送信する。

また、本実施例における体外装置3Bの構成を図15に示す。この体外装置3Bは、内部に無線受信手段と共にフラッシュメモリを内蔵した体外記録手段24Bと、その前面に表示方法入力部29Bが設けられた表示制御手段28Bと、作動制御手段26Bと一体化された表示モニタ27Bと、体外記録手段24Bが着脱自在に装着されるクレードル82とから構成される。

【0046】

体外記録手段24Bは、クレードル82に装着することにより、商用電源を用いて動作させることができると共に、このクレードル82に(設けたコネクタ部に)画像伝送用ケーブル83を接続することにより、作動制御手段26Bと電気的に接続され、体外記録手段24Bのフラッシュメモリに記録された画像データを作動制御手段26B側に伝送できるようにしている。

また、この体外記録手段24Bは、クレードル82に接続される伝送用ケーブル84を介して表示制御手段28Bと接続され、この伝送用ケーブル84を介して表示制御手段28Bにカプセル型内視鏡2D或いは2Eの記憶手段からの情報を伝送できるようにしている。

また、表示制御手段28Bは、接続ケーブル85を介して作動制御手段26Bと電気的に接続され、表示方法入力部29Bから入力された表示方法の情報を作動制御手段26B側に伝送できるようにしている。

【0047】

また、体外記録手段24Bの外表面には、受信状況表示手段として、例えばLED86が設けてある。

また、表示モニタ27には、表示方法入力部29Bでの入力設定に応じた表示方法により、カプセル型内視鏡2Dや2Eにより撮像された画像が表示される。この表示方法入力部29Bには、例えば同時表示を指示するボタン、交互表示を指示するボタン、画像取得どうりの表示を指示するボタン、表示速度の可変設定を行う摘み等が設けてある。

図15における表示モニタ27には、カプセル型内視鏡2D及び2Eのいずれにも対応する表示ができるようにしている。図15における表示例では、2つのカプセル型内視鏡2D及び2Eに対応する表示をまとめて示している。」

・「【0053】

図17は、第2変形例におけるカプセル型内視鏡2Gの概略の構成を示す。このカプセル型内視鏡2Gは、例えば図13のカプセル型内視鏡2Dにおいて、前方視用の撮像手段の構成を一部変更して、例えばLED基板74の前に薬剤収納タンク111を配置し、この薬剤収納タンク111の前にLED75aを配置している。

つまり、対物光学系72aにおける観察範囲θaの外側に沿って略リング形状に薬剤収納タンク111を配置している。この薬剤収納タンク111は、外部に連通する孔の部分に電気信号により閉から開となる弁112が設けてあり、この弁112を開くことにより内部に収納された薬剤113を放出させることができるようにしている。この薬剤113を放出するために、例えば体外から信号を送り、無線回路78を介して駆動&無線回路76は弁112を開にし、止血剤等を放出する。」

・図1

「
[図:0001390366000001.jpg]
」

(2)引用文献1の記載事項の解釈について

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【実施例1】に関し、【図5】に係る撮像手順は【0025】に「第2の撮像手段8B→第1の撮像手段8A→第2の撮像手段8B→第1の撮像手段8A→…のように撮像を行う。」と記載され、【図6】に係る撮像手順は【0027】に「第2の撮像手段8B→第2の撮像手段8B→第1の撮像手段8A→第2の撮像手段8B→第2の撮像手段8B→第1の撮像手段8A→…のように撮像を行う撮影手順」と記載され、両撮影手順は相違している。

しかし、【0010】に「制御手段9による制御プログラムデータは、記憶手段13に記憶されている。そして、スイッチ14により、電源手段15の電源がONにされると、制御手段13は、記憶手段13の制御プログラムデータを読み出し、この制御プログラムデータに従って、カプセル型内視鏡2の動作を制御する。」と記載されるとおり、撮影手順は、カプセル内視鏡のスイッチ14をONにすることにより、カプセル内視鏡内の記憶手段13に記憶された制御プログラムに従って行われるものであり、【0012】には「カプセル型内視鏡2内の記憶手段13としては、製造段階で書き換え可能なEEPROMや、書き換えはできないが安価なマスクROMなどを用いることができる。」と記載されていることから、記憶手段13の制御プログラムはユーザーが変更できないものとして記憶されているといえる。

また、実施例1において、ユーザの指示により撮像手順を変更することやそのための手段に関する記載はなく、さらに、【0009】・【0010】の記載、及び図1によれば、カプセル内視鏡と体外装置とは、前者の送信手段と後者の受信手段とのみにより行われるのであり、「表示方法入力部29」からの出力は図1において「表示制御手段28」にのみ入力され、その後カプセル内視鏡に伝送されると看取できる記述もなく、その他、体外装置からカプセル内視鏡へ向かう方向の伝送手段や、該方向の指示系統についての開示は引用文献1の記載中にない。

そうすると、上記【図5】及び【図6】の表示形態について異なる撮像手順が記載されていることは、ユーザによる表示方法の指示の有無により選択されることを意図したものと解することはできず、仮に前記記載が誤記を含まないとすれば、図5や図6の表示例にとって好適な撮像手順を個別に例示したものと解するほかない。

上記解釈に従い、実施例1に係る下記引用発明1-1において、撮影手順と表示形態に係る構成b1・d1は、図5に係る、【0023】冒頭~【0027】の第1段落までの記載事項をもとに認定した。

(3)引用文献1に記載された発明

上記(1)の記載事項から、引用文献1には次の各発明が記載されていると認められる。ここで、文節番号については上記第2.で述べたものと同様である。また、認定の根拠となる記載箇所を各構成単位末尾括弧内に示す(以下同様)。

ア 実施例1に係る発明

引用文献1の【0008】~【0031】及び図1~7に記載された実施例1に係る発明(以下「引用発明1-1」という。)は次のとおりである。

「a1 カプセル型外装体の内側に、複数の白色LED等の発光部34及び該発光部34より大きな発光量のメインの照明を行う発光部42からなる照明手段、対物光学系、及び、共通の固体撮像素子からなる第1・第2の撮像手段を備え、(【0009】・【0012】・【0015】)
b1 照明および撮像の制御を行う制御手段であって、(【0009】)
製造段階で書き換え可能なEEPROMや書き換え不可能なマスクROMからなるカプセル内視鏡内の記憶手段13に予め記憶された撮像手順の指示データに従って、照明手段及び第1または第2の撮像手段を作動状態とし、(【0012】・【0019】)
前記指示データの撮像手順のデータに従って照明及び撮像を行い、第1及び第2の撮像手段による撮像を交互に行い、
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記憶手段13に記憶された指示データにおける撮像順序は、第2の撮像手段による通常観察像の撮像と第1の撮像手段による拡大観察像の撮像とを交互に行い、第2の撮像手段→第1の撮像手段→第2の撮像手段→第1の撮像手段→…のように撮像を行うものである、制御手段と、(【0019】・【0025】)
c1 前記指示データの撮像手順のデータに従う照明及び撮像により第1及び第2の撮像手段により撮像された第1・第2の画像を取得する手段と、(【0019】)
d1 前記取得した第1・第2の画像のデータを体外装置に送信する無線送信手段と、(【0020】)
該送信された画像データを受信する体外装置の無線受信手段と、
該受信した画像データを記録する体外記録手段と、を備え、(【0020】・【0021】)
前記体外記録手段に記録された画像データは作動制御手段に読み出されて表示モニタに送られ、ユーザが入力した表示方法の指示データが表示制御手段により作動制御手段に送られ、作動制御手段及び表示モニタは表示制御手段に制御され、(【0011】・【0022】)
前記作動制御手段により、前記ユーザが入力した表示方法に従い表示モニタに前記画像データが表示されるものであり、(【0011】・【0023】)
ユーザが表示方法入力部から表示方法の指示入力を行わない場合には、記憶手段13に予め記憶させた撮像手順のデータに従って表示させ、(【0023】)
ユーザが表示方法入力部から表示方法の指示入力を行った場合は、例えば、表示モニタの表示画面の左右に通常観察像表示エリアと拡大観察像表示エリアとを配置し、通常観察像と拡大観察像とを同時に表示させ、(【0024】)
f1 照明手段及び第1または第2の撮像手段を作動状態とし、また、照明及び撮像を行い、第1及び第2の撮像手段による撮像を交互に行うのは、製造段階で書き換え可能なEEPROMや書き換え不可能なマスクROMからなるカプセル内視鏡内の記憶手段13に予め記憶された撮像手順の指示データに従うものであり、(構成b1)
g1 表示モニタへの各画像データの表示は、ユーザが入力した表示方法に従うものであり、(構成d1)
h1 ユーザが表示方法の指示を行った場合は、例えば、第1・第2の各画像の表示エリアを表示モニタの左右に配置し、記憶手段13に予め記憶された撮像手順の指示データに従い、第1・第2の撮像手段による撮像を交互に行い、(【0024】・【0025】)
体外装置側では、新たな画像をカプセル型内視鏡から受信するごとに、前記各表示エリアに表示する画像を更新するものであり、(【0026】)
ユーザが表示方法の指示を行わない場合には、記憶手段13に予め記憶された各画像の撮像順である《第2→第1→第2→第1・・・》との撮像手順どおりに、表示モニタに第2→第1→第2→第1の各画像が順に表示される、(【0027】)
j1 カプセル型内視鏡システム。」

イ 実施例3に係る発明

引用文献1の【0035】~【0039】及び図8・9に記載された実施例3に係る発明(以下「引用発明1-3」という。)は次のとおりである。

「a3 カプセル内視鏡の先端カバー内に固体撮像素子、2つの対物光学系を設け、前記固体撮像素子の左右に、通常観察像に係る白色光を発光する2つの照明用光学素子a・dを配置し、前記固体撮像素子の上下には、特殊光観察像に係る、可視域の一部や赤外領域などの狭帯域の波長を発光する2つの照明用光学素子b・cを配置し、(【0035】・【0036】)
b3 発光素子a・dと発光素子b・cとはそれぞれ異なるタイミングで間欠的に交互に発光するように制御する手段を備え、(【0036】)
c3 CCDを固体撮像子として、白色照明と狭帯域の波長での照明を交互に間欠的に行うことで通常撮像と特殊光撮像とを交互に行って撮像した信号を、次の照明が開始する前に、固体撮像素子の受光面から転送部に転送し、固体撮像素子の外部に読み出した後、次の照明を行うように制御する手段を備え、(【0036】)
d3 前記のとおり発光素子a・dと発光素子b・cとを間欠的に発光した場合に、撮像された種類が異なる画像データを体外記録手段に時系列的に蓄積し、それらを読み出して表示し、観察しようとするような場合、ユーザの表示方法の選択により、表示モニタの表示画面には、通常観察像と特殊光観察像とを《通常光→ 特殊光(狭帯域光)→通常光→特殊光(狭帯域光)、・・・》 と交互に表示させるようにすることもでき、また、《通常光→通常光→特殊光→通常光→通常光→特殊光・・・》等のように一定の決まりを加えた上で交互に行うようにしてもよく、(【0038】・【0039】)
f3 発光素子a・dと発光素子b・cとはそれぞれ異なるタイミングで間欠的に交互に発光するように制御されるものであり(b3)
g3 前記のとおり発光素子a・dと発光素子b・cとを間欠的に発光した場合に、撮像された種類が異なる画像データを体外記録手段に時系列的に蓄積し、それらを読み出して表示し、観察しようとするような場合、ユーザの表示方法の選択により、表示モニタの表示画面には、通常観察像と特殊光観察像とを《通常光→ 特殊光(狭帯域光)→通常光→特殊光(狭帯域光)、・・・》 と交互に表示させるようにすることもでき、また、《通常光→通常光→特殊光→通常光→通常光→特殊光・・・》等のように一定の決まりを加えた上で交互に行うようにしてもよいものである、(d3)
j3 カプセル型内視鏡システム。」

ウ 実施例4に係る発明

引用文献1の明細書【0040】~【0053】及び図13~15に記載された実施例4に係る発明(以下「引用発明1-4」という。)は次のとおりである。

「a4 カプセル形状の密閉容器内に対物光学系、該対物光学系周囲の複数のLEDからなる照明部、固体撮像子からなる撮像部の組を前方観察用、後方観察用として2組備え、(【0041】~【0043】)
b4 不揮発性メモリに記憶された撮像手順に従い、前方・後方のうち一方を2回撮像した後、他方を1回撮像する撮像するように制御され、(【0043】)
c4 カプセル内視鏡内にメモリが内蔵されず、前記のとおり交互に撮像された前方の観察像、後方の観察像の各画像データは、無線回路により体外装置に無線で送信され、(【0043】、【0045】)
d4 前記無線で送信された各画像は、体外装置の体外記録手段内の無線受信受信手段で受信され、該体外記録手段内のフラッシュメモリに記録され、(【0045】、【0046】)
該各画像は、表示方法入力部の、同時表示入力を指示するボタン、交互表示を指示するボタン、画像取得どおりの表示を指示するボタン、表示速度の可変設定を行うつまみ、等により入力され表示方法に従い、体外装置の表示制御手段により、表示モニタに表示され、(【0046】・【0047】)
カプセル内視鏡内には薬剤収納タンクをさらに内蔵し、体外から無線で信号を送り、止血剤等を放出させ、(【0053】)
f4 前記のとおり、撮像手順は不揮発性メモリに記憶された、前方・後方のうち一方を2回撮像した後、他方を1回撮像する撮像するというものであり、(b4)
g4 各画像の表示は、表示方法入力部の、同時表示入力を指示するボタン、交互表示を指示するボタン、画像取得どおりの表示を指示するボタン、表示速度の可変設定を行うつまみ、等により入力され表示方法に従い、体外装置の表示制御手段により選択されるものである、(c4)
i4 カプセル型内視鏡システム。」

2 引用文献2に記載された事項

(1)引用文献2の記載事項

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・「【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、LEDなど複数の半導体光源を用いて被検体内を照明する内視鏡システム及びその作動方法に関する。」

・「【0019】

また、操作部12bには、アングルノブ12eの他、モード切替SW13が設けられている。モード切替SW13は、通常観察モードと、特殊観察モードと、第1キャリブレーションモードとの3種類のモード間の切り替え操作に用いられる。通常観察モード(特定の観察モード)は、白色光を用いて通常光画像をモニタ18上に表示するモードである。

特殊観察モード(特定の観察モード)は、表層血管などの特定構造を粘膜とのコントラスト差を付けて強調表示することができる特定波長の光を用いて、モニタ18上に特殊光画像を表示するモードである。第1キャリブレーションモードは、通常観察モード及び特殊観察モードで用いる複数色の光の設定発光比率を設定するとともに、通常観察モード及び特殊観察モード時に行うホワイトバランス処理に用いる設定ゲイン係数を設定するモードである。」

・「【0022】

図2に示すように、光源装置14は、V-LED(Violet Light Emitting Diode)20a、B-LED(Blue Light Emitting Diode)20b、G-LED(Green Light Emitting Diode)20c、R-LED(Red Light Emitting Diode)20d、これら4色のLED20a~20d(光源部)の駆動を制御する光源制御部21、G-LEDの光路上に挿脱される緑色狭帯域フィルタ22と、4色のLED20a~20dから発せられる光の光路を結合する光路結合部23とを備えている。光路結合部23で結合された光は、挿入部12a内に挿通されたライトガイド41及び照明レンズ45を介して、被検体内に照射される。なお、LEDの代わりに、LD(Laser Diode)を用いてもよい。また、緑色狭帯域フィルタ22はフィルタ挿脱部22aにより挿脱される。」

・「【0024】

光源制御部21は、通常観察モード時には、緑色狭帯域フィルタ22をG-LED20cの光路上から退避させた状態で、V-LED20a、B-LED20b、G-LED20c、R-LED20dを全て点灯する。これにより、図3に示すように、紫色光V、青色光B、緑色光G、赤色光Rの4色の光が混色することで、通常光が生成される。また、これら紫色光V、青色光B、緑色光G、赤色光Rは設定発光比率で発光される。この設定発光比率は、発光比率設定部87(図6参照)で設定される。なお、通常観察モード時には、青色光B、緑色光G、赤色光Rの3色で発光を行ってもよい。

【0025】

一方、特殊観察モード時には、緑色狭帯域フィルタ22をG-LED20cの光路上に挿入した状態で、V-LED20a、G-LED20cを同時点灯することにより、紫色光V(第1狭帯域光)、緑色狭帯域光Gn(第2狭帯域光)を同時に発生する。これにより、図4に示すように、V-LED20aからの紫色光Vと、緑色狭帯域フィルタ22で波長制限された緑色狭帯域光Gnとが同時に生成される。また、これら紫色光Vと緑色狭帯域光Gnのは、設定発光比率で発光される。この設定発光比率は、発光比率設定部87(図6参照)で設定される。なお、特殊観察モード時には、第1狭帯域光として、紫色光Vに代えて、青色狭帯域光を発光してもよい。」

・「【0037】

画像処理切替部60は、モード切替SW13により、通常観察モードにセットされている場合には、RGB画像信号を通常光画像処理部62に送信し、特殊観察モードにセットされている場合には、RGB画像信号を特殊光画像処理部63に送信し、第1キャリブレーションモードにセットされている場合には、RGB画像信号をキャリブレーション部64に送信する。

【0038】

通常光画像処理部62は、通常用色変換部68と、ホワイトバランス処理部70と、色補正マトリックス処理部72とを有し、被検体内を通常の生体の色調で表現した通常光画像を生成する。通常用色変換部68は、RGB画像信号に対して色変換処理を施すことにより、色変換済RGB画像信号を出力する。色変換済R画像信号は色変換処理前のR画像信号に対応しており、色変換済G画像信号は色変換処理前のG画像信号に対応しており、色変換済B画像信号は色変換処理前のB画像信号に対応している。

【0039】

ホワイトバランス処理部70は、色変換済RGB画像信号に対してホワイトバランス処理を施して、ホワイトバランス処理済みRGB画像信号を出力する。ホワイトバランス処理では、下記式(1)に示すマトリックス演算により行われ、ホワイトバランス処理済みR画像信号Ry(「Ry」と表記)は、色変換済みR画像信号(「Rx」と表記)に通常観察用の設定ゲイン係数GainRを乗算することにより得られる。また、ホワイトバランス処理済みG画像信号Gy(「Gy」と表記)は、色変換済みG画像信号(「Gx」と表記)に通常観察用の設定ゲイン係数GainGを乗算することにより得られる。また、ホワイトバランス処理済みB画像信号By(「By」と表記)は、色変換済みB画像信号(「Bx」と表記)に通常観察用の設定ゲイン係数GainBを乗算することにより得られる。

・・・

【0041】

特殊光画像処理部63は、特殊用色変換部74と、ホワイトバランス処理部76と、色補正マトリックス処理部78とを有し、表層血管など特定構造を強調表示した特殊光画像を生成する。特殊用色変換部74は、3色のRGB画像信号に対して色変換処理を施すことにより、色変換済RGB画像信号を出力する。色変換済みB画像信号は色変換処理前のB画像信号に対応しており、色変換済みG画像信号は色変換処理前のG画像信号に対応しており、色変換済みB画像信号は色変換処理前のB画像信号に対応している。なお、特殊観察モード時には撮像センサ48のR画像にはほとんど光が入らないため、色変換済みR画像信号の画素値はほぼ「0」である。

【0042】

ホワイトバランス処理部76は、色変換済RGB画像信号に対してホワイトバランス処理を施して、ホワイトバランス処理済みRGB画像信号を出力する。ホワイトバランス処理は、特殊観察用の設定ゲイン係数GainR、GainG、GainBを用いて、ホワイトバランス処理部70でのホワイトバランス処理(式(1)によるマトリックス演算)と同様の方法で行われる。」

(2)引用文献2の記載事項から認定される技術事項

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上記(1)の各記載から、引用文献2には次の技術事項(以下「引用文献2技術事項」という。)が記載されていると認められる。

「LEDなど複数の半導体光源を用いて被検体内を照明する内視鏡システムにおいて、(【0001】)
白色光を用いて通常光画像をモニタ18上に表示する通常観察モード(特定の観察モード)と、表層血管などの特定構造を粘膜とのコントラスト差を付けて強調表示することができる特定波長の光を用いて、モニタ18上に特殊光画像を表示する特殊観察モード(特定の観察モード)とを有し、(【0019】)
通常観察モード時には、緑色狭帯域フィルタ22をG-LED20cの光路上から退避させた状態で、V-LED20a、B-LED20b、G-LED20c、R-LED20dを全て点灯することにより、図3に示すように、紫色光V、青色光B、緑色光G、赤色光Rの4色の光が混色することで、通常光が生成されるものであり、(【0024】)
特殊観察モード時には、緑色狭帯域フィルタ22をG-LED20cの光路上に挿入した状態で、V-LED20a、G-LED20cを同時点灯することにより、紫色光V(第1狭帯域光)、緑色狭帯域光Gn(第2狭帯域光)を同時に発生するものであり、(【0025】)
画像処理切替部60は、モード切替SW13により、通常観察モードにセットされている場合には、RGB画像信号を通常光画像処理部62に送信し、特殊観察モードにセットされている場合には、RGB画像信号を特殊光画像処理部63に送信し、(【0037】)
通常光画像処理部62のホワイトバランス処理部70が行うホワイトバランス処理では、色変換済みR・G・B各画像信号に個別の通常観察用の設定ゲイン係数GainR・GainG・GainBを乗算してホワイトバランス処理済みR・G・B各画像信号を得るものであり、(【0039】)
特殊光画像処理部63のホワイトバランス処理部76が行うホワイトバランス処理では、色変換済みR・G・B各画像信号に対し、個別の特殊観察用の設定ゲイン係数GainR・GainG・GainBを乗算してホワイトバランス処理済みR・G・B各画像信号を得ること。(【0042】)」

3 引用文献4の記載事項

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(1)引用文献4の記載事項

・「【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、波長帯域が異なる複数色の照明光で観察対象を照明する内視鏡システム、光源装置、内視鏡システムの作動方法、及び光源装置の作動方法に関する。」

・「【0022】

また、操作部12bには、アングルノブ12eの他、モード切り替えスイッチ(以下、モード切替SWという)13a、ズーム操作部13bが設けられている。モード切替SW13aは、観察モードの切り替え操作に用いられる。内視鏡システム10は、観察モードとして通常観察モードと特殊観察モードとを有している。通常観察モードは、白色光を観察対象に照射し、その戻り光によって観察対象を撮像して得た画像信号を用いて、自然な色合いの画像(以下、通常画像という)をモニタ18に表示する。特殊観察モードは、青色の狭帯域光Bnと緑色の狭帯域光Gnを観察対象に照射し、これらの戻り光によって観察対象を撮像して得た画像信号を用いて、観察対象に含まれる血管やピットパターン等の特定構造が強調された画像(以下、特殊画像という)をモニタ18に表示する。」

・「【0024】

図2に示すように、光源装置14は、互いに独立に制御可能な光源として、第1光源21と、第2光源22とを備える。第1光源21は、例えば中心波長445±10nmの狭帯域な光を発光するLEDである。第1光源21の発光面には蛍光体23が設けられている。図3に示すように、蛍光体23は、第1光源21が発する狭帯域な青紫光(以下、励起光BEXという)の一部を吸収し、主に緑色から赤色の波長帯域を有する蛍光FLを発する。したがって、第1光源21を点灯させた場合、蛍光体23を透過した励起光BEXと、蛍光体23が発光する蛍光FLとによって形成される白色光WLが発生する。蛍光体23は、励起光BEXの一部を吸収して、主に緑色から赤色の波長帯域を有する蛍光FLを発生するものであれば任意であるが、複数種類の蛍光体(例えばYAG系蛍光体、あるいはBAM(BaMgAl10O17)等の蛍光体)を含んで構成されるものを使用することが好ましい。」

・「【0026】

第2光源22は、例えば405±10nmの狭帯域な波長帯域を有する光を発するLEDである。第1光源21とは異なり、第2光源22の発光面には蛍光体は設けられていないので、第2光源22が発する狭帯域光は、そのまま照明光として利用される。なお、第2光源22が発する狭帯域光の戻り光は、撮像センサの青色画素で受光されるので、以下、第2光源22が発する狭帯域光を青色狭帯域光Bn(第2光(または第1光))という。したがって、第2光源22は、青色狭帯域光Bnを発光する第2発光部(または第1発光部)である。」

・「【0041】

撮像センサ48から出力される各色の画像信号は、CDS/AGC回路50に送信される。CDS/AGC回路50は、アナログ信号である画像信号に相関二重サンプリング(CDS;Correlated Double Sampling)や自動利得制御(AGC;Automatic Gain Control)を行う。CDS/AGC回路50を経た画像信号は、A/Dコンバータ52により、デジタル画像信号に変換される。A/D変換後のデジタル画像信号がプロセッサ装置16に入力される。

【0042】

プロセッサ装置16は、画像信号取得部53と、DSP(Digital Signal Processor)56と、ノイズ除去部58と、画像処理切替部60と、通常画像処理部62と、特殊画像処理部63と、映像信号生成部66と、プロセッサ制御部68とを備えている。画像信号取得部53は、内視鏡12からのデジタルのRGB画像信号を取得する。

【0043】

DSP56は、受信した画像信号に対して、欠陥補正処理、オフセット処理、ゲイン補正処理、リニアマトリクス処理、ガンマ変換処理、デモザイク処理等の各種信号処理を施す。欠陥補正処理では、撮像センサ48の欠陥画素の信号が補正される。オフセット処理では、欠陥補正処理が施されたRGB画像信号から暗電流成分が除かれ、正確な零レベルが設定される。ゲイン補正処理では、オフセット処理後のRGB画像信号に特定のゲインを乗じることにより信号レベルが整えられる。ゲイン補正処理後のRGB画像信号には、色再現性を高めるためのリニアマトリクス処理が施される。その後、ガンマ変換処理によって明るさや彩度が整えられる。リニアマトリクス処理後のRGB画像信号には、デモザイク処理(等方化処理、または同時化処理とも言う)が施され、各画素で不足した色の信号が補間によって生成される。このデモザイク処理によって、全画素がRGB各色の信号を有するようになる。

【0044】

ノイズ除去部58は、DSP56でデモザイク処理等が施されたRGB画像信号に対してノイズ除去処理(例えば移動平均法やメディアンフィルタ法等による)を施すことによって、RGB画像信号からノイズを除去する。ノイズが除去されたRGB画像信号は、画像処理切替部60に送信される。画像処理切替部60は、モード切替SW13aによって通常観察モードにセットされている場合には、RGB画像信号を通常画像処理部62に送信し、特殊観察モードにセットされている場合には、RGB画像信号を特殊画像処理部63に送信する。

【0045】

通常画像処理部62は、通常観察モードにセットされている場合に作動し、RGB画像信号に対して、色変換処理、色彩強調処理、及び構造強調処理を行い、通常画像を生成する。色変換処理では、RGB画像信号に対して3×3のマトリックス処理、階調変換処理、及び3次元LUT(Look Up Table,ルックアップテーブル)処理などにより色変換処理を行う。色彩強調処理は、色変換処理済みのRGB画像信号に対して行われる。構造強調処理は、例えば表層血管やピットパターン等の観察対象の構造を強調する処理であり、色彩強調処理後のRGB画像信号に対して行われる。上記のように、構造強調処理まで各種画像処理等を施したRGB画像信号を、RGBの対応する各チャンネルに用いたカラー画像が通常画像である。

【0046】

特殊画像処理部63は、特殊観察モードにセットされている場合に作動し、RGB画像信号に対して、色変換処理、色彩強調処理、及び構造強調処理を行って、特殊画像を生成する。特殊画像処理部63が行う色変換処理、色彩強調処理、及び構造強調処理は、パラメータ等が異なるが通常画像処理部62で行うものと同類の処理である。特殊画像処理部63が生成する特殊画像は、B画像信号をBチャンネルとGチャンネルに割り当て、G画像信号をRチャンネルに割り当てたカラー画像であり、通常画像よりもさらに血管等の観察対象の構造が強調される。」

・「【0070】

なお、上記実施形態及び変形例では、撮像センサ48が設けられた内視鏡12を被検体内に挿入して観察を行う内視鏡システム10によって本発明を実施しているが、カプセル内視鏡システムでも本発明は好適である。例えば、図16に示すように、カプセル内視鏡システムでは、カプセル内視鏡300と、プロセッサ装置(図示しない)とを少なくとも有する。

【0071】

カプセル内視鏡300は、光源302と、光源制御部303と、撮像センサ304と、信号処理部306と、送受信アンテナ308とを備えている。光源302は、白色光WLを発生させるための第1光源及び蛍光体、白色光WLから緑色狭帯域光Gnを生成するBPF、及び青色狭帯域光Bnを発生させる第2光源を有している。また、BPFは常に蛍光体上に配置されているので、光源302は、上記実施形態の内視鏡システム10が特殊観察モードに設定されている状態に対応する。

【0072】

光源制御部303は、上記実施形態の光源制御部25と同様にして光源302の駆動を制御する。また、光源制御部303は、送受信アンテナ308によって、カプセル内視鏡システムのプロセッサ装置と無線で通信可能である。カプセル内視鏡システムのプロセッサ装置は、上記実施形態のプロセッサ装置16とほぼ同様であるが、特殊画像処理部63の機能を有する信号処理部306はカプセル内視鏡300に設けられている。信号処理部306が生成した特殊画像は、送受信アンテナ308を介してプロセッサ装置に送信される。撮像センサ304は上記実施形態の撮像センサ48と同様に構成される。また、バッテリ309は、カプセル内視鏡300の各部に電力を供給する電源であり、放熱板310は、上記実施形態の放熱機構27に対応する。

【0073】

カプセル内視鏡300は、光源302で発生する熱の放熱先が被検体内であるため、発熱量による光量の制限が大きい。また、カプセル内視鏡300は、保有電力に限りがあるバッテリ309で駆動されるので、バッテリ309の保有電力によっても光源302の発光量に制限を受けやすい。したがって、本発明はカプセル内視鏡300に特に好適である。」

(2)引用文献4の記載事項から認定される技術事項

上記(1)の各記載から、引用文献4には次の技術事項(以下「引用文献4技術事項」という。)が記載されていると認められる。

「波長帯域が異なる複数色の照明光で観察対象を照明する、カプセル内視鏡を含む内視鏡システムにおいて、(【0001】;【0070】~【0073】)
白色光を観察対象に照射し、その戻り光によって観察対象を撮像して得た画像信号を用いて、自然な色合いの画像(以下、通常画像という)をモニタ18に表示する通常観察モードと、青色の狭帯域光Bnと緑色の狭帯域光Gnを観察対象に照射し、これらの戻り光によって観察対象を撮像して得た画像信号を用いて、観察対象に含まれる血管やピットパターン等の特定構造が強調された画像(以下、特殊画像という)をモニタ18に表示する特殊観察モードとを有し、(【0022】)
互いに独立な第1光源21と、第2光源22とを備え、第1光源は白色光を発生するLEDであり、(【0024】)
第2光源は例えば405±10nmの狭帯域な波長帯域を有する光を発するLEDであり、(【0026】)
受信した画像信号に対してゲイン補正処理を行うDSP56、(【0043】)
通常観察モードにセットされている場合に作動し、RGB画像信号に対して構造強調処理を行い、通常画像を生成する通常画像処理部62、(【0045】)
特殊観察モードにセットされている場合に作動し、RGB画像信号に対して通常画像処理部62で行うものとパラメータ等が異なる構造強調処理を行って、特殊画像を生成する特殊画像処理部63を備え、(【0046】)
画像処理切替部60が、モード切替SW13aによって通常観察モードにセットされている場合には、RGB画像信号を通常画像処理部62に送信し、特殊観察モードにセットされている場合には、RGB画像信号を特殊画像処理部63に送信するようにすること。(【0044】)」

第5.対比

1 本件発明と引用発明1-3との対比

(1)構成a3の、「通常観察像に係る白色光を発光する2つの照明用光学素子a・d」及び「特殊光観察像に係る、可視域の一部や赤外領域などの狭帯域の波長を発光する2つの照明用光学素子b・c」は、構成Aの「互いに異なる波長帯域の光を発光する複数の半導体光源」と、《互いに異なる波長帯域の光を発光する複数の光源》である点で共通する。

(2)ア 構成Bの「発光比率」について、本件明細書【0023】には「本明細書において、発光比率とは、各半導体光源の光強度比をいい光強度比は0(ゼロ)の場合を含む。」と定義されている。よって、構成Bの「第1発光比率を有する第1照明光と前記第1発光比率と異なる第2発光比率を有する第2照明光」とは、「第1照明光」に係る光源(群)と「第2照明光」に係る光源(群)とが、一方が非点灯で他方が点灯の場合と、一方が点灯で他方が非点灯である場合とが交番するような点灯形態に制御される場合(何れも光強度比がゼロ)を含むといえる。

イ 一方、構成b3の「発光素子a・dと発光素子b・cとはそれぞれ異なるタイミングで間欠的に交互に発光する」ことは、《(白色光による通常観察像に係る)発光素子a・dが点灯、(狭帯域光による特殊観察像に係る)発光素子b・cが非点灯》である第1の照明光と、《発光素子a・dが非点灯、発光素子b・cが点灯》である第2の照明光とが交互に繰り返すことである。

ウ 上記アにおける構成Bの認定に照らし、上記イの引用発明1-3に係る「それぞれ異なるタイミングで間欠的に交互に発光する」「発光素子a・dと発光素子b・c」は、それぞれ構成Bの「第1発光比率を有する第1照明光」、「前記第1発光比率と異なる第2発光比率を有する第2照明光」に相当するといえる。

また、上記イで《第1の照明光と第2の照明光とが交互に繰り返す》照明形態は、構成Bの「複数の照明光を特定の発光サイクルに従って、切り替えながら発光する」ことに相当するといえる。

エ 以上から、上記イの照明形態を含む構成b3の「発光素子a・dと発光素子b・cとはそれぞれ異なるタイミングで間欠的に交互に発光する」こと、及びこのような発光形態に「制御する手段」は、それぞれ構成Bの「第1発光比率を有する第1照明光と前記第1発光比率と異なる第2発光比率を有する第2照明光とを含む複数の照明光を、特定の発光サイクルに従って、切り替えながら発光する」こと、及びこのような発光形態に「制御を行う光源制御部」に相当する。

(3)ア 構成c3の「通常撮像と特殊光撮像」、「白色照明」による「通常撮像」、「狭帯域の波長での照明」による「特殊光撮影」は、それぞれ構成Cの「各照明光により照明された観察対象を撮像して得られる複数の観察画像」、「前記第1照明光に対応する第1観察画像」、「前記第2照明光に対応する第2観察画像」に相当する。

ここで、構成Cの「複数の観察画像」が、各照明光による観察画像をそれぞれ複数撮像するとの意味であるとしても、構成c3は、「白色照明と狭帯域の波長での照明を交互に間欠的に行って通常撮像と特殊光撮像とを交互に行い、撮像した信号を次の照明が開始する前に、固体撮像素子の受光面から転送部に転送し、固体撮像素子の外部に読み出した後、次の照明を行うように制御する」という手順により、各照明による撮像を交互に繰り返して行うものであるから、個々の照明についても複数の画像が撮像されるものであるといえ、構成c3は、構成Cの「各照明光により照明された観察対象を撮像して得られる複数の観察画像」に相当する技術事項を含むといえる。

イ 上記アのとおりであるから、構成c3で「通常撮像と特殊光撮像とを交互に行い、撮像した信号を次の照明が開始する前に、固体撮像素子の受光面から転送部に転送し、固体撮像素子の外部に読み出」す処理を「制御する手段」は、「撮像した信号」が画像の信号(データ)を意味することが明らかであることから、構成Cの「各照明光により照明された観察対象を撮像して得られる複数の観察画像を取得する画像取得部」に相当するといえる。

(4)構成d3の「通常観察像と特殊光観察像とを《通常光→ 特殊光(狭帯域光)→通常光→特殊光(狭帯域光)、・・・》 と交互に表示させる」こと、及び該表示を「《通常光→通常光→特殊光→通常光→通常光→特殊光・・・》等のように一定の決まりを加えた上で交互に行う」制御は、共に構成Dの「前記複数の観察画像を、特定の表示サイクルに従って、切り替えて表示部に表示する制御」に相当する。

構成d3が前記制御を司る手段を備えることは自明であり、該制御を司る手段は、構成Dの「表示制御部」に相当する。

(5)構成f3における「発光素子a・dと発光素子b・cとはそれぞれ異なるタイミングで間欠的に交互に発光する」ことは、構成Fの「特定の発光サイクル」に相当する。

(6)構成g3の「ユーザの表示方法の選択により、表示モニタの表示画面には、通常観察像と特殊光観察像とを《通常光→ 特殊光(狭帯域光)→通常光→特殊光(狭帯域光)、・・・》 と交互に表示させるようにすることもでき、また、《通常光→通常光→特殊光→通常光→通常光→特殊光・・・》等のように一定の決まりを加えた上で交互に行うようにしてもよい」ことは、構成Gの「特定の表示サイクルは変更可能であ」ることに相当する。

(7)上記(3)アの相当関係を前提とすれば、構成g3における、「通常観察像と特殊光観察像とを・・・交互に表示させる」際の「一定の決まり」である「《通常光→通常光→特殊光→通常光→通常光→特殊光・・・》」なる表示形態のうち、《通常光→通常光》と通常観察像が2単位連続する表示期間、前記2単位の通常観察像表示に挟まれた、《特殊光》が1単位表示される表示期間は、それぞれ構成Hの「前記第1観察画像を第1表示フレーム数に対応する期間」、「前記第2観察画像を第2表示フレーム数に対応する期間」に相当し、前記通常観察像の《2単位》、特殊光観察像の《1単位》はそれぞれ構成Hの「第1表示フレーム数」、「第2表示フレーム数」に相当する。

よって、上記(4)の相当関係も踏まえると、構成g3は、構成Hの「第1観察画像を第1表示フレーム数に対応する期間、前記表示部に表示した後、前記第1観察画像を前記第2観察画像に切り替えて、前記第2観察画像を第2表示フレーム数に対応する期間、前記表示部に表示」するとの構成に相当する技術事項を含むといえる。

(8)上記(3)ア・(7)の相当関係を前提とすれば、構成g3で、「《通常光→通常光→特殊光→通常光→通常光→特殊光・・・》等のように一定の決まりを加えた上で交互に行う」こと、すなわち通常観察像と特殊光観察像とを2:1の表示期間長比で表示することは、構成Hの「前記第1表示フレーム数を前記第2表示フレーム数よりも大きくすること」に相当する。

また、構成g3で、通常観察像と特殊光観察像とを、「交互に表示」すなわち均等な期間ずつ交番表示することは、通常観察像と特殊光観察像とを1:1の表示期間長比で表示することであるといえる。

よって、構成Iと構成g3とは、「前記第1表示フレーム数を前記第2表示フレーム数よりも大きくすることと、前記第1表示フレーム数を前記第2表示フレーム数よりも大きくなくすることとを切り替えることが可能である」点で共通する。

(9)構成j3の「カプセル型内視鏡システム」は、構成Jの「内視鏡システム」に相当する。

2 本件発明と引用発明1-3との一致点・相違点

上記1によれば、本件発明と引用発明1-3とは、下記(1)の点で一致し、(2)の各点で相違する。

(1)一致点

「A’ 互いに異なる波長帯域の光を発光する複数の光源と、
B 前記複数の光源を制御する光源制御部であり、第1発光比率を有する第1照明光と前記第1発光比率と異なる第2発光比率を有する第2照明光とを含む複数の照明光を、特定の発光サイクルに従って、切り替えながら発光する制御を行う光源制御部と、
C 各照明光により照明された観察対象を撮像して得られる複数の観察画像を取得する画像取得部であり、前記複数の観察画像には、前記第1照明光に対応する第1観察画像と前記第2照明光に対応する第2観察画像とが含まれる画像取得部と、
D 前記複数の観察画像を、特定の表示サイクルに従って、切り替えて表示部に表示する制御を行う表示制御部とを備え、
G 前記特定の表示サイクルは変更可能であり、
H’ 前記特定の表示サイクルでは、前記第1観察画像を第1表示フレーム数に対応する期間、前記表示部に表示した後、前記第1観察画像を前記第2観察画像に切り替えて、前記第2観察画像を第2表示フレーム数に対応する期間、前記表示部に表示し、
I’前記第1表示フレーム数を前記第2表示フレーム数よりも大きくすることと、前記第1表示フレーム数を前記第2表示フレーム数よりも大きくなくすることとを切り替えることが可能である、
J 内視鏡システム。」

(2)相違点

ア 相違点1(構成A)

互いに異なる波長帯域の光を発光する複数の光源が、本件発明では「半導体」光源であるのに対し、引用発明1-3では、いかなる種類の光源であるのか不明である点。

イ 相違点2(構成E)

本件発明が、「前記第1照明光と前記第2照明光との切替に伴って、前記発光サイクルに同期して、前記第1観察画像に対して施される第1照明光用ゲイン処理又は第1照明光用構造強調処理と前記第2観察画像に対して施される第2照明光用ゲイン処理又は第2照明光用構造強調処理とが切り替えられ」るものであるのに対し、引用発明1-3では、対応する構成を明示的に備えない点。

ウ 相違点3(構成F・I)

本件発明は、特定の発光サイクルが「固定」であり、そのため、表示サイクルにおける第1表示フレーム数と第2表示フレーム数との大小関係の切り替えが「発光サイクルを変更することなく」行われるのに対し、引用発明1-3は、特定の発光サイクルが固定か否かが不明であり、そのため、表示サイクルにおける第1表示フレーム数と第2表示フレーム数との大小関係の切り替えについても、それが発光サイクルを変更することなく行われるか不明である点。

エ 相違点4(構成H)

本件発明では、「前記特定の表示サイクルでは、前記第1観察画像を第1表示フレーム数に対応する期間、前記表示部に表示した後、前記第1観察画像を前記第2観察画像に切り替えて、前記第2観察画像を第2表示フレーム数に対応する期間、前記表示部に表示」するにあたり、該各表示が「発光サイクルに同期することなく」行われる、すなわち発光サイクルに対し表示サイクルが同期しないのに対し、引用発明1-3では、両サイクルが同期するか否か不明である点。

オ 相違点5(構成I)

表示サイクルにおける第1表示フレーム数と第2表示フレーム数との大小関係の、「前記第1表示フレーム数を前記第2表示フレーム数よりも大きい」状態との切り替えが、本件発明では「前記第1表示フレーム数を前記第2表示フレーム数よりも小さ」い状態との間で行われるのに対し、引用発明1-3で例示されるのは、両フレーム数が均等である状態との間で行われる点。

第6.相違点についての検討

1 相違点1について

(1)白色光源や狭帯域光源の光源発光素子としてLEDはごく周知慣用のものであり、引用発明1-3において各発光素子の選択肢としてLEDが含まれることは明らかである。

また、引用文献1には、別の実施例として、引用発明1-1の構成a1として認定したとおり、カプセル内視鏡の例えば白色光源にLEDを用いることが記載されているし、そのほか、照明用光学素子としてLEDを用いることについては、引用発明1-4の構成a4として認定したとおりの開示もある。

よって、相違点1は実質的なものではないか、実質的な相違点であるとしても当業者が引用文献1の記載や周知技術を参照して容易に選択し得たことである。

(2)また、同じく白色光照明下と狭帯域光照明下とでそれぞれ撮像を行うカプセル内視鏡を含む内視鏡システムにおいて、何れの撮像に用いる光源もLEDとすることは、引用文献4(【0022】・【0024】・【0026】)にも記載されており、このことからも、引用発明1-3において各光学素子をLEDとすることは、当業者が容易になし得たことである。

2 相違点2について

内視鏡システムにおいて、LED光源により白色光を照射することによる通常光撮影モードと、LED光源の狭帯域光の特殊な組み合わせによる照明光を照射することによる特殊光撮影モードとについて、それぞれの撮影モードの選択に応じて、相互に異なるゲイン値や構造強調処理を行う個々の画像処理部に切り替えるようにすることは、上記第4.2・3で引用文献2技術事項、及び引用文献4技術事項として認定したとおり、本願優先日前において少なくとも公知の技術事項であるから、同じく通常光撮影モードと特殊光撮影モードとを切り替える引用発明1-3において、前記公知の技術事項を適用して相違点2の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

ここで、引用文献4技術事項は引用発明1-3と同様のカプセル内視鏡への適用を含むが、引用文献2技術事項はカプセル内視鏡への適用について特定がない。

しかし、撮影に係る照明や対物光学系、センサなどが切り替わった際にゲインの調整が必要になるとの課題は内視鏡の種別によらず共通するものであるから、当業者にとって、引用文献4技術事項のみならず、引用文献2技術事項を引用発明1-3に適用する動機付けも十分に存するといえる。

3 相違点3について

(1)引用発明1-3は構成d3として、

「前記のとおり発光素子a・dと発光素子b・cとを間欠的に発光した場合に、撮像された種類が異なる画像データを体外記録手段に時系列的に蓄積し、それらを読み出して表示し、観察しようとするような場合、ユーザの表示方法の選択により、表示モニタの表示画面には、通常観察像と特殊光観察像とを《通常光→ 特殊光(狭帯域光)→通常光→特殊光(狭帯域光)、・・・》 と交互に表示させるようにすることもでき、また、《通常光→通常光→特殊光→通常光→通常光→特殊光・・・》等のように一定の決まりを加えた上で交互に行うようにしてもよく、」

なる構成を備える。

この前提として、構成c3では、照明・撮像方式について、

「c3 CCDを固体撮像子として、白色照明と狭帯域の波長での照明を交互に間欠的に行うことで通常撮像と特殊光撮像とを交互に行って撮像した信号を、次の照明が開始する前に、固体撮像素子の受光面から転送部に転送し、固体撮像素子の外部に読み出した後、次の照明を行うように制御する手段を備え、(【0036】)」

と特定する。

そして、引用発明1-3が基づく実施例3において、ユーザの表示方法の選択により照明・撮像方式が変更される旨の記載はない。

これらから、引用発明1-3においては、照明・撮像については「白色照明と狭帯域の波長での照明を交互に間欠的に行うことで通常撮像と特殊光撮像とを交互に行って撮像」する方式しか採らず、これによる撮像データを「体外記録手段に時系列的に蓄積し、それらを読み出して表示」する際に、ユーザの表示方法の選択により(照明・撮像と同様の)交互の表示や、それとは異なる「一定の決まりを加えた上で交互に行う」表示形態が選択できるものと理解される。

(2)上記(1)によれば、引用発明1-3において、各画像の表示形態は「ユーザの表示方法の選択」により可変であるのに対し、照明・撮像方式は前記各画像の表示形態が「ユーザの表示方法の選択」により選択・変更されることに伴って変更されない場合を少なくとも含む、すなわち、可変である表示サイクルに対し、照明・撮像方式に係る発光サイクルは固定である(態様を少なくとも含む)といえる。

よって、引用発明1-3は、実質的に相違点3に相当する構成を備えるといえ、相違点3は実質的なものではない。

(3)仮に、引用発明1-3において、相違点3が実質的なもの、すなわち、発光サイクルが可変である場合しか含まれない、または発光サイクルと表示サイクルとの関係が不明であるとしても、以下ア~エのとおり、引用発明1-3において相違点3の構成とすることは、引用文献1の他の実施例に係る引用発明1-1に基づき当業者が容易に想到し得たことである。

ア 引用文献1には、実施例1として、上記第4.1において引用発明1-1として認定したとおり、「第1・第2の2つの撮像手段を備え(構成a1)、該第1及び第2の撮像手段により撮像された第1・第2の画像を交互に取得し(構成b1・c1)、それらをユーザーの指示した表示方法に従って表示モニタに可変の方式にて表示する(構成h1)内視鏡システムにおいて、照明手段及び第1または第2の撮像手段を作動状態は、「製造段階で書き換え可能なEEPROMや書き換え不可能なマスクROMからなるカプセル内視鏡内の記憶手段13に予め記憶された撮像手順の指示データ」に従って行う(構成b1)」との技術事項が記載されている。

イ ここで、「撮像手順の指示データ」は、「製造段階で書き換え可能なEEPROMや書き換え不可能なマスクROM」に「予め記憶」されているのであるから、ユーザの指示により変更することが不可能であることが明らかであり、該「指示データ」は「照明手段及び第1または第2の撮像手段を作動状態」すなわち各撮像手段の作動に伴い照明手段の作動についての指示も含むものである。よって、前記技術事項(引用発明1-1)は、相違点3に係る「特定の発光サイクルが固定」であるとの特定事項に相当するといえる。

ウ また、前記技術事項(引用発明1-1)は、前記固定(製造段階設定)である照明手段及び各撮像手段の作動に対し、各撮像手段による画像の表示については、「ユーザーの指示した表示方法」に従い可変であることも含む。

つまり、「第2の撮像手段による通常観察像の撮像と第1の撮像手段による拡大観察像の撮像とを交互に行い、第2の撮像手段→第1の撮像手段→第2の撮像手段→第1の撮像手段→…のように撮像を行う」場合において、(構成b1)、「ユーザが表示方法入力部から表示方法の指示入力を行わない場合には、記憶手段13に予め記憶させた撮像手順のデータに従って表示させ、(構成d1)、「ユーザが表示方法入力部から表示方法の指示入力を行った場合は、例えば、表示モニタの表示画面の左右に通常観察像表示エリアと拡大観察像表示エリアとを配置し、通常観察像と拡大観察像とを同時に表示させ」(構成d1)るものである。

ここでは、ユーザが表示方法入力部から表示方法の指示入力を行わない場合の表示は、「記憶手段13に予め記憶させた撮像手順のデータに従って表示」すなわち「第2の撮像手段→第1の撮像手段→第2の撮像手段→第1の撮像手段→…」と切り替え表示されるのに対し、ユーザが表示方法入力部から表示方法の指示入力を行った場合は、撮像手順が前記の通り2種の像を交互に撮像するものであるのに対し、表示は「表示モニタの表示画面の左右に」配置された「通常観察像表示エリアと拡大観察像表示エリアと」に「同時に」行われる、すなわち撮像手順のように交互に表示されるのではなく、一方を撮像している場合も他方が同時に表示されている形式をとるのであるから、前記両場合において、個々の観察像の表示タイミング(サイクル)は相違しているといえる。

また、「記憶手段13に予め記憶された撮像手順の指示データに従って、照明手段及び第1または第2の撮像手段を作動状態と」されることは構成b1として認定したとおりである。

つまり、引用発明1-1は、2種の観察画像について、固定された照明・撮像手順に対し、ユーザ指示の有無により異なるサイクルの表示方式が選択されるとの技術事項を含むといえる。

エ よって、上記第5.1(2)イ~エ、及び第5.2で認定したとおり、「第1の照明光」と「第2の照明光」とが「特定の発光サイクルに従って切り替えながら発光する」と共に、「特定の表示サイクルは変更可能であ」り「表示サイクルにおける第1表示フレーム数と第2表示フレーム数との大小関係を切り替える」引用発明1-3に対し、同じ引用文献1に記載された前記技術事項を適用し、「特定の発光サイクル」を製造時設定の固定とすることで、相違点3の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(4)同様に、以下ア~イとおり、引用発明1-3において相違点3の構成とすることは、引用文献1の他の実施例に係る引用発明1-4に基づき当業者が容易に想到し得たことである。

ア 引用発明1-4は、対物光学系、固体撮像素子、LED光源の組を、前方、後方観察用に2組備え、その個々による撮像は、不揮発性メモリに記憶された固定(変更不能)の手順にしたがって行われる(構成a4・b4)一方、該個々の組により撮像した各画像は、体外装置側で、ユーザが選択した手順で表示モニタに表示されるものである(構成d4)。

また、引用発明1-4では、カプセル内視鏡内に画像の記憶手段を備えず、また、カプセル内視鏡が体外装置からの無線指示により薬剤を体内に放出する手段・機能も備えている(構成d4)ことから、体外装置に蓄積された画像を後に表示するのではなく、撮像とモニタへの表示が同時進行で行われる場合が少なくとも含まれることが明らかである。

イ よって、引用発明1-3に対し、引用発明1-4の、撮影と画像表示とが同時進行する状況下で、可変である表示サイクルに対し、異なる組の照明・撮像手段による撮像のサイクルを固定とする技術思想を適用して、相違点3の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるといえる。

4 相違点4について

(1)引用発明1-3において、各画像の表示形態は「ユーザの表示方法の選択」により可変であるのに対し、照明・撮像方式は前記各画像の表示形態が「ユーザの表示方法の選択」により選択・変更されることに伴って変更されない場合を少なくとも含む、すなわち、可変である表示サイクルに対し、照明・撮像方式に係る発光サイクルは固定である(態様を少なくとも含む)といえることは、上記3(1)・(2)で説示したとおりである。

(2)上記(1)によれば、引用発明1-3では、固定(不変)の発光サイクルに対し、構成d3で「《通常光→ 特殊光(狭帯域光)→通常光→特殊光(狭帯域光)、・・・》 と交互に表示させるようにすることもでき、また、《通常光→通常光→特殊光→通常光→通常光→特殊光・・・》等のように一定の決まりを加えた上で交互に行うようにしてもよく」と特定されるように、異なる複数の表示サイクルを備えるのであるから、少なくともそのいずれかにおいては、表示サイクルの通常光または特殊光の各画像表示と発光サイクルにおける通常光または特殊光の発光とは同期していないといえる。

また、構成d3における「《通常光→通常光→特殊光→通常光→通常光→特殊光・・・》等のように」とは、一つの例示にすぎないから、他の任意の表示サイクルを選択する場合も含まれるといえ、その意味においても、発光サイクルと表示サイクルとの種々の非同期の場合が含まれるといえる。

よって、相違点4は実質的な相違点とはいえない。

(3)仮に、引用発明1-3において、相違点4が実質的なもの、すなわち、発光サイクルが常に表示サイクルに合わせて変更され、両サイクルが同期している場合しか含まれない、または、引用発明1-3において発光サイクルと表示サイクルとの関係が不明であるとしても、上記3(3)で説示したものと同様の理由により、引用発明1-3において相違点4の構成とすることは、引用文献1の他の実施例に係る記載事項(引用発明1-1)に基づき当業者が容易に想到し得たことである。

5 相違点5について

構成d3において、表示サイクルについて、通常光撮影と特殊光撮影とが均等な「《通常光→ 特殊光(狭帯域光)→通常光→特殊光(狭帯域光)、・・・》 と交互に表示させる」ものと、「《通常光→通常光→特殊光→通常光→通常光→特殊光・・・》等のように一定の決まりを加えた上で交互に行う」ものとが例示されているが、後者については、「等のように一定の決まり」と付記されるとおり一例を示したものに過ぎないといえ、表示サイクルにおける通常光撮影画像と特殊光撮影画像の表示期間の配分は、これらのうち長く観察したいものが何れであるかに応じ適宜変更されるべき設計上の事項にすぎないといえる。

6 効果について

本件発明により奏される効果は、当業者が、引用発明1-3、その他引用文献1の記載事項、引用文献2・4の記載事項及び周知の技術事項から予測し得た範囲内のものであって、格別のものではない。

第7.審判請求書における請求人の主張について

1 請求人の主張

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審判請求書において請求人は概略、以下の主張をする。

「(1)本願請求項1は、第1照明光と第2照明光とを含む複数の照明光を、特定の発光サイクルに従って切り替えながら発光し、第1観察画像と第2観察画像とを含む複数の観察画像を、特定の表示サイクルに従って切り替える場合において、第1照明光と第2照明光との切替に伴って、発光サイクルに同期して、第1照明光用ゲイン処理又は第1照明光用構造強調処理と第2照明光用ゲイン処理又は第2照明光用構造強調処理とを切り替えること(特徴A)と、第1観察画像を第1表示フレーム数に対応する期間、発光サイクルに同期することなく表示部に表示した後、第1観察画像を第2観察画像に切り替えて、第2観察画像を第2表示フレーム数に対応する期間、発光サイクルに同期することなく表示部に表示すること(特徴B)と、発光サイクルを変更することなく、第1表示フレーム数を第2表示フレーム数よりも大きくすることと、第1表示フレーム数を第2表示フレーム数よりも小さEくすることとを切り替えることが可能であること(特徴C)を特徴とします。
(2)一方、引用文献1には、画像の表示サイクルを切り替えることについて(図12、[0038]、[0039])記載されているものの、引用文献1はカプセル内視鏡に関するもののため、発光サイクルに同期して表示サイクルを切り替えることは記載がありません。
これに対して、引用文献2([0019]、[0039]、[0042])、引用文献3([0008])には、光の切り替えに応じて、ゲイン処理を異ならせることが記載されており、引用文献4([0044]~[0046])、引用文献5([0039])には、モードに応じて、構造強調処理を異ならせることが記載されています。
しかしながら、引用文献2~5については、画像の表示制御に従って、発光制御をどのように行うかについては記載及び示唆がありません。そのため、本願の特徴B及び特徴Cのように、表示サイクルを切り替えたときに発光サイクルを同期させないことについては、引用文献2~5に記載及び示唆がありません。本願の特徴B及び特徴Cによれば、表示サイクルを切り替えた場合であっても発光サイクルを同期させないことで、複数の半導体光源の切り替えに伴う負荷を軽減することができます。」

2 当審の見解

(1)「引用文献1には、画像の表示サイクルを切り替えることについて(図12、[0038]、[0039])記載されているものの、引用文献1はカプセル内視鏡に関するもののため、発光サイクルに同期して表示サイクルを切り替えることは記載がありません。」との主張について

ア 本件発明は、構成Hとして

「H 前記特定の表示サイクルでは、前記第1観察画像を第1表示フレーム数に対応する期間、前記発光サイクルに同期することなく前記表示部に表示した後、前記第1観察画像を前記第2観察画像に切り替えて、前記第2観察画像を第2表示フレーム数に対応する期間、前記発光サイクルに同期することなく前記表示部に表示し、」

なる構成、すなわち、請求人も上記「特徴B」として挙げるとおり、発光サイクルと表示サイクルとが同期しないことを特徴とするものであり、この点で、請求人の前記「発光サイクルに同期して表示サイクルを切り替えることは記載がありません。」との主張は、本件発明の構成に基づく相違点の主張とはいえず、主張の根拠を欠き失当である。

イ また、本件発明は内視鏡の種別について特段の特定を備えないから、構成において明示的に排除されないカプセル内視鏡も含みうるものであり、この点においても、前記請求人の主張は失当である。

ウ カプセル内視鏡の場合、内視鏡の照明・センサ部分と体外装置とは無線接続され、挿入型の内視鏡の場合は有線接続されることが多いが、データの伝送形態として有線・無線何れも周知慣用かつ可換(同様の通信が行える)であることが技術常識に照らし明らかであるから、無線接続であることが発光・表示サイクルの非同期化について特段の阻害要因とはなり得ない。現に、上記第6.3(2)で説示したとおり、引用発明1-3は、可変である表示サイクルに対し、照明・撮像方式に係る発光サイクルを固定である(態様を少なくとも含む)といえる。

エ 撮像と表示の概略同時性については以下のとおりである。

引用文献1の【0020】には「図4の点線で示すように、ステップS4からステップS5を経由することなく、ステップS6に進むようにしても良い。つまり、画像データを記録手段11で記録することなく無線送信信段12に(識別コードを付加して)送り、無線送信する様にしても良い。」なる記載があり、【0026】には「体外装置3側では、受信した画像を内部の通常画像格納用メモリ及び拡大画像格納用メモリに一時蓄積し、図5に示すように両表示エリア51,52において、それぞれ画像を表示し、新たに画像を受信すると、その画像データにより対応するメモリの画像データを更新し、表示する画像も更新する。」なる記載があることからも理解できるとおり、カプセル内視鏡であっても、カプセル内視鏡で撮像した画像は内視鏡内部に保管せず体外装置に送信され得、外部装置では、受信した画像(データ)を受信する都度表示する制御が行い得るのであるから、体外装置に長期保管された画像データを表示するのではなく、撮像の都度表示するような表示形態も採りうるといえるから、前記請求人の主張がこの点を述べる(カプセル内視鏡では撮像の都度表示できない)ものであるとしても、引用文献1や技術常識に照らし、当該主張はあたらない。

(2)引用文献2~5については、画像の表示制御に従って、発光制御をどのように行うかについては記載及び示唆がありません。そのため、本願の特徴B及び特徴Cのように、表示サイクルを切り替えたときに発光サイクルを同期させないことについては、引用文献2~5に記載及び示唆がない、旨の主張について

この点が引用文献1の記載事項から導出できることは、上記第6.3~5において説示したとおりである。

第8.むすび

以上のとおり、本件発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2・4に記載された技術事項、並びに周知技術に基づいて、その出願(優先日)前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-017132

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