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商標拒絶査定不服審判

2021-015971

カーボンフリー

審判番号
2021-015971
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2020-028315
請求日
2021年11月22日
審決日
2023年02月16日
公報発行日
2023年05月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】香川電力株式会社
  • 【請求人代理人】植田 吉伸
審判長/審判官
  • 審判長 大森 友子
  • 審判官 旦 克昌
  • 審判官 山根 まり子
分類
T18 .13 -Z (W39) / T18 .272-Z (W39)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項3号商標法4条1項16号
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2020-28315拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年3月16日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和3年3月16日付け:拒絶理由通知書 令和3年7月30日付け:意見書、手続補正書 令和3年8月13日付け:拒絶査定 令和3年11月22日付け:審判請求書 令和4年9月26日付け:審尋 令和4年11月4日付け:回答書 第2 本願商標 本願商標は、「カーボンフリー」の文字を標準文字で表してなり、第39類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として登録出願されたものであり、その後、指定役務については、上記第1の手続補正書により、第39類「電気の供給,電気の供給に関する情報の提供,電気の供給に関するコンサルティング」に補正されたものである。 第3 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、「カーボンフリー」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「二酸化炭素を排出しない」ほどの意味を認識させ、エネルギー分野の業界で、当該意味合いで使用されている実情がある。そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する需要者は、「二酸化炭素を排出しない」エネルギーに関する役務であることを認識するにとどまるから、本願商標は、単に役務の内容、質を普通に用いられる方法で表示するものであり、上記役務以外の指定役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 第4 当審においてした審尋 当審において、本願商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について、請求人に対し、審尋で、別掲の1ないし8のとおりの事実を示すとともに、当審の暫定的見解について通知し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。 第5 審尋に対する請求人の意見の要点 請求人は、上記第4の審尋に対して、意見書において、要旨、以下のように主張した。 1 「カーボン」と「フリー」は、多義的な言葉であるため、これらを組み合わせた「カーボンフリー」という言葉の意味が「二酸化炭素が含まれていないこと」に直結するものではない。 また、本願の指定役務は、「電気の供給」等であるところ、電気(原子を構成する一要素に過ぎない自由電子)に化合物である二酸化炭素は含まれない。 そうすると、仮に、「カーボンフリー」の意味が「二酸化炭素が含まれていないこと」であると解釈されたとしても、本願の指定役務との関係で見たときに、「二酸化炭素が含まれていない」という言葉のみでは、どのような役務の特徴、質を表示しているのかが明らかではない。 2 別掲の事例において、「カーボンフリー」という単独の言葉が使用されているものは存在しない。 そして、別掲の事例の一部には、太陽光発電、風力発電や水素エネルギー等に関するものがあるが、「カーボンフリー」を構成している「カーボン」及び「フリー」は、どちらも「発電時」や「排出しない」という意味を有しないため、「カーボンフリー」という単独の言葉は、「発電時に二酸化炭素を排出しないこと」を間接的に表示したものにすぎず、また、水素は、電気や熱などの様々なエネルギーに変換できるものであるため、「水素を使った発電」に必ずしも直結しない。 3 以上のとおり、「カーボンフリー」という言葉を、役務の特徴、質を直接的かつ具体的に表示したものであると需要者が把握するとは考えにくいことから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号には該当しない。 第6 当審の判断 1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について 本願商標は、上記第2のとおり、「カーボンフリー」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「カーボン」の文字やその欧文字標記である「carbon」の文字は「元素としての炭素」の意味を有する語であり、例えば「カーボンオフセット」(自分のところで削減しきれない温室効果ガスを、他のところで削減してもらい、うめあわせる方法。)、「カーボンニュートラル」(大気中の二酸化炭素を増やさないこと。)(いずれも三省堂国語辞典 第八版)、「carbon-free」(炭素を含まない)、「carbon-free energy」(無炭素エネルギー、「英辞郎on the web」参照https://eow.alc.co.jp/search?q=carbon-free)などの辞書における載録があるように、「カーボン」の文字等は、他の語とも組み合わされ、広く一般的に使用されている。 また、構成中の「フリー」の文字は「自由。・・・がないようす。」(三省堂国語辞典 第八版)の意味を有する語であり、我が国において、広く一般的に親しまれている平易な語である。 そして、例えば、ストレスが生じないことを意味する「ストレスフリー」の語、カフェインや砂糖などが含まれていないことを意味する「カフェインフリー」の語や「シュガーフリー」の語などがあるように、「フリー」の文字は、「○○フリー」(○○には、生じない又は含まれていない対象の物質等の名称)と、他の語の下に付いて、その物質等が生じない又は含まれていないことを表すものとして広く一般的に使用されている。 さらに、別掲の事例があるように、本願の指定役務を提供する業界において、「カーボンフリー」の文字が、太陽光や水力など再生可能エネルギーを用い、CO2(二酸化炭素)が排出されることなく発電した電気の種類を示すものとして使用されていることが認められる。 そうすると、「カーボンフリー」の文字からなる本願商標は、これに接する取引者、需要者に、全体として「二酸化炭素が生じないこと」や「二酸化炭素が含まれていないこと」ほどの意味合いを容易に認識、理解させるものであり、本願商標を、その指定役務に使用するときは、その役務が「CO2(二酸化炭素)を排出(生じ)させず発電された電気の供給,同電気の供給に関する情報の提供,同電気の供給に関するコンサルティング」(以下「前記役務」という。)であることを取引者、需要者に、認識させるにとどまるものというのが相当である。 してみれば、本願商標は、役務の特徴、質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 また、本願商標を、その指定役務中、前記役務以外の指定役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがある。 よって、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。 2 請求人の主張について (1)請求人は、(a)「カーボン」と「フリー」は、多義的な言葉であり、「カーボンフリー」という言葉の意味が「二酸化炭素が含まれていないこと」に直結するものではなく、また、いずれの語も「発電時」や「排出しない」という意味を有しないため、「カーボンフリー」は、「発電時に二酸化炭素を排出しないこと」を間接的に表示したものにすぎないこと、(b)本願の指定役務は、「電気の供給」等であるところ、別掲の事例の一部には、「カーボンフリーの電気」等の言葉が使用されているが、電気(原子を構成する一要素に過ぎない自由電子)に化合物である二酸化炭素は含まれないから、本願の指定役務との関係で、どのような役務の特徴、質を表示しているのかが明らかではないこと、(c)別掲の事例には、「カーボンフリー」に何らかの言葉を結合させた文言が使用されているが、「カーボンフリー」という単独の言葉が使用されているものは存在しないこと等を述べ、「カーボンフリー」という言葉を、役務の特徴、質を直接的かつ具体的に表示したものであると需要者が把握するとは考えにくい旨を主張する。 しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号にいう役務の質に該当するというには、指定役務に関する取引者、需要者が当該商標に接した場合、これをどのように認識し理解するかが重要であり、取引者、需要者が、役務の特徴、質を表示したものと一般に認識することをもって足りると解されるものである。 そして、仮に、請求人主張のように、本願商標を構成する「カーボンフリー」の語が、単独での他人の使用例がなく、「カーボン」と「フリー」の文字は、いくつかの意味合いが生じ得るものであり、「カーボン」と「フリー」の文字が、「発電時」や「排出しない」という意味を有していないとしても、上記1のとおり、「カーボン」の文字は、例えば「カーボンオフセット」、「カーボンニュートラル」なと「カーボン○○」のように他の語と組み合わされた態様においても(二酸化)炭素に係る意味を表すものとして使用されていることに加え、「フリー」の文字が、「○○フリー」と、他の語の下に付いて、その物質等が生じない又は含まれていないことを表すものとして広く一般的に使用されている。さらに、本願の指定役務を提供する業界において、「カーボンフリー」の文字が、太陽光や水力など再生可能エネルギーを用い、CO2(二酸化炭素)が排出されることなく発電した電気の種類を示すものとして使用されている。 以上を踏まえると、「カーボンフリー」の文字からなる本願商標は、全体として「二酸化炭素が生じないこと」や「二酸化炭素が含まれていないこと」ほどの意味合いを容易に認識、理解させるというべきであり、本願商標を、その指定役務に使用するときは、その役務が「CO2(二酸化炭素)を排出(生じ)させず発電された電気の供給等であるという役務の特徴、質を直接的に表示したものと取引者、需要者に認識されるものであり、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものと認められるから、自他役務の識別力を欠くものというべきである。 (2)請求人は、請求人が、商標として「カーボンフリー」の文字を、電気の供給に関するサービスに使用しており、このことが、プレスリリース等を通じて多くのメディアに報じられた結果、本願商標は、何人かの業務に係る役務の名称であることを認識することができる状態に至っている旨主張し、証拠方法として、請求人のウェブサイト、プレスリリース、請求人に関連するニュース記事のURLの一覧等の証拠を提出している。 しかしながら、提出された証拠からは、請求人が、2021年7月から、販売、供給する電気料金メニューやプランの名称として、「カーボンフリー」、「カーボンフリープラン」等の文字を使用していることが確認できるとしても、それはわずか1年程度と短い期間であるし、提出された証拠から確認できるこれらの文字は、「実質的に再生可能エネルギー100%でCO2排出量ゼロ」とする電気料金メニューやプランの特徴を簡潔に表した名称とみるのが自然である。また、「カーボンフリー」の文字は別掲のとおり、請求人以外の多数の者によっても、太陽光や水力など再生可能エネルギーを用い、CO2(二酸化炭素)が排出されることなく発電した電気の種類を示すものとして使用されているものである。 してみれば、請求人が「カーボンフリー」の文字を料金メニュー等に使用しているとしても、当該文字は、これに接する取引者、需要者には、当該文字にかかる役務の特徴、質を表示したものと認識されるにすぎないというべきである。 (3)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。 3 まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、これを登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。

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