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商標拒絶査定不服審判

2021-015894

イキルチカラオオーエンスル

審判番号
2021-015894
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2019-117960
請求日
2021年11月19日
審決日
2023年05月24日
公報発行日
2023年08月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社リブドゥコーポレーション
  • 【請求人代理人】弁理士法人桶野知的財産事務所
審判長/審判官
  • 審判長 豊瀬 京太郎
  • 審判官 板谷 玲子
  • 審判官 須田 亮一
分類
T18 .16 -Z (W0510)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項6号
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第6号、商標法第3条第1項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2019-117960拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は,成り立たない。

理由

理 由 1 手続の経緯 本願は,令和元年9月4日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。 令和2年10月22日付け:拒絶理由通知書 令和3年3月8日 :意見書,手続補正書の提出 令和3年8月16日付け :拒絶査定 令和3年11月19日 :審判請求書の提出 2 本願商標 本願商標は,「生きるチカラを応援する」の文字を標準文字で表してなり,第5類及び第10類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,登録出願され,その後,指定商品については,上記1の手続補正書により,第5類「使い捨て失禁用おむつ,失禁用おむつ,パンツ型おむつ,使い捨て失禁用パッド,失禁用パッド,使い捨て失禁用ライナー,失禁用ライナー,おむつ,おむつカバー,失禁用おしめ,尿吸収用パッド,尿吸収ライナー,おむつ用の紙製ライナー,衛生マスク」及び第10類「医療用機械器具,手術用機械器具,医療用具用容器,医療用器具収納用のトレー,医療用手袋」とされたものである。 3 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は,要旨以下のとおり,認定,判断し,本願を拒絶したものである。 本願商標は,「生きるチカラを応援する」の文字を標準文字で表してなるところ,当該文字と同様の趣旨である「生きる力を応援します」等の文字が,例えば,介護支援や医療関連の分野において,基本理念・方針等を表す標語(キャッチフレーズ,スローガン)として一般的に使用されている実情が見受けられる。 そうすると,基本理念・方針等を表す標語(キャッチフレーズ,スローガン)として一般的に使用される語である本願商標を,その指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は,当該商品の販売者の企業理念等をうたった標語の一種として認識,理解するにとどまり,自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから,本願商標は,何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というのが相当である。 また,本願商標について,宣伝広告の実績があるとしても,本願商標がその指定商品に使用された結果,需要者が何人かの業務に係る商品であると認識されるに至っているものと認められない。 したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。 4 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第6号の趣旨について 商標法は,「商標を保護することにより,商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り,もつて産業の発達に寄与し,あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法第1条),商標の本質は,自己の業務に係る商品と識別するための標識として機能することにあり,この自他商品の識別標識としての機能から,出所表示機能,品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法第3条第1項第6号が,「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは,同項第1号ないし第5号に例示されるような,識別力のない商標は,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに,一般的に使用される標章であって,自他商品の識別力を欠くために,商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(知財高裁平成21年(行ケ)第10270号,平成22年1月27日判決)。 そうすると,商標法第3条第1項第1号から同項第5号までにおいて例示的に列挙されたものではなくても,本件審決時において,本願商標がその指定商品に使用された場合に,将来を含め,その需要者において,商品の宣伝活動を行う際に一般的に使用される標章と認識されるものである等,識別力を欠き,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないと判断されるときは,本願商標は同項第6号に該当するものと解するのが相当である。 (2)商標法第3条第1項第6号該当性について 本願商標は,「生きるチカラを応援する」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中,「チカラ」の文字は,「自らの体や他の物を動かし得る,筋肉の動き。気力。能力。」等の意味を有する「力」の語(「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)を片仮名表記したものと容易に理解できるものである。 そして,原審で挙げた証左に加え,当審における職権調査によれば,別掲のとおり,本願の指定商品を取り扱う業界において,本願商標の構成中「チカラ」の片仮名を「力」の漢字に置き換えた「生きる力を応援する」や,例えば「生きる力を応援します」等の本願商標と同趣旨の文字が,宣伝広告の語句や,企業理念や経営方針等を表す際に,一般に使用されているものである。 そうすると,本願商標を,その指定商品に使用したときには,これに接する取引者,需要者は,商品の宣伝広告又は企業理念や経営方針を表したものと理解するにとどまり,自他商品の識別標識としては認識しないものと判断するのが相当であるから,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるというべきである。 したがって,商標法第3条第1項第6号に該当する。 (3)使用による自他商品の識別力の獲得について 請求人は,本願商標の使用状況を参酌すれば,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できない商標に該当しないことは明らかである旨を主張し,その証拠方法として,原審において甲第1号証ないし甲第7号証(枝番含む。),当審において甲第1号証ないし甲第11号証(枝番含む。)を提出しているので,本願商標が使用された結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているか否かについて,以下検討する。 なお,本審決においては,上記各証拠のうち,当審における甲第1号証ないし甲第11号証(枝番含む。)は,順次,甲第8号証ないし甲第18号証(枝番含む。)と読み替える。 ア 本願商標の使用について 請求人の提出する証拠及び同人の主張によれば,以下のとおりである。 (ア)請求人について 請求人は,昭和40年(1965年)4月に設立され,2020年3月末時点で1077名の社員を擁する,「大人用紙おむつ,介護用品・用具,メディカルディスポーザブル用品(医療用不織布製品,キット製品)の製造及び販売」を事業内容とする会社であり(甲1),売上高は約490億円とされる(甲1,甲10,請求人の主張)。 (イ)本願商標の使用状況について a ウェブサイト 請求人のウェブサイトや第三者のウェブサイトにおいて,遅くとも2017年3月以降,請求人の名称の略称及び請求人がCIマークと称する図形(以下「CIマーク」という。)を組み合わせてなるロゴマーク(以下「請求人ロゴマーク」という。)やCIマークとともに,請求人の企業理念や経営方針を表示するものとして,本願商標と同一の文字である「生きるチカラを応援する」の文字が表示されている(甲3,甲4の1,甲6等)。 b テレビCM,インフォマーシャル等について 請求人は,2019年10月ないし2022年2月の間,継続的にテレビCMやインフォマーシャル(以下,これらをまとめて「テレビCM等」ということがある。)を放送しており(甲4の1~81,甲16の1~125等),これらの中では,終盤に,請求人ロゴマークや請求人の略称とともに本願商標が表示され,本願商標と同一の語句からなる音声も流れたことがうかがえる(甲4の4,甲16の107,甲16の111等)。そして,テレビCMに要した費用は,2019年10月ないし2021年11月で約1億8800万円,2021年11月ないし2022年2月で約700万円であるとされる(請求人の主張)。 c 商品カタログ等 請求人の「リフレ 総合カタログ」(甲5の1,甲15の1,甲15の2)及び「リフレプロケアガイド」(甲5の2,甲15の3,甲15の4)(それぞれ2020年版及び2021年版。以下,これらをまとめて「カタログ等」という。)の裏表紙の上部には本願商標と同一の文字である「生きるチカラを応援する」の文字が表示されている。 そして,総合カタログは2020年版及び2021年版がそれぞれ7300部(甲15の5,甲15の6,甲15の9,甲15の10),プロケアガイドは2020年版が3万部,2021年版が3万8000部作成され(甲15の7,甲15の8,甲15の10,甲15の11),これらは全国にある請求人の13の事業所に発送されたとされる(甲15の12,請求人の主張)。 d 看板広告 請求人は,請求人ロゴマークとともに本願商標と同一の文字である「生きるチカラを応援する」の文字が表示された看板を,JR宇都宮駅の新幹線改札外に,2021年3月2日ないし2022年2月28日に掲出した(甲17の1~3)。そして,当該看板広告に要した費用は約240万円であるとされる(請求人の主張)。 e その他 (a)株式会社はいせつ総合研究所が2021年11月19日に開催した排泄ケアセミナーにおいて配布された「第11回 むつき庵はいせつケア実践報告会 抄録集」における広告掲載ページに,請求人ロゴマークとともに本願商標と同一の文字である「生きるチカラを応援する」の文字が表示されている(甲17の7)。当該セミナーの参加者は約30名であるとされ,その様子はオンライン動画で配信したとされる(請求人の主張)。 (b)請求人は,「徳島ヴォルティス激闘の軌跡2021」(徳島新聞社発行)に企業広告を掲載しており,当該広告には,請求人ロゴマークとともに本願商標と同一の文字である「生きるチカラを応援する」の文字が表示されている(甲17の10)。 (c)請求人は,2022年1月3日付け愛媛新聞に広告を掲載しており,当該広告には,請求人ロゴマークとともに本願商標と同一の文字である「生きるチカラを応援する」の文字が表示されている(甲17の11)。 (ウ)市場シェアについて 請求人の市場シェアは,2018年度は「大人用紙おむつ」では第3位(12.4%),「医療用キット製品」では第2位(15.2%),「医療用覆い布(ドレープ)」では第3位(16.1%),「不織布製品小物類」では第2位(8.7%),「医療用シーツ」では第2位(9.6%)である(甲12)。また,2020年度は「大人用紙おむつ」では第3位(12.2%),「医療用キット製品」では第2位(15.0%),「医療用覆い布(ドレープ)」では第3位(15.4%),「不織布製品小物類」では第4位(7.9%),「医療用シーツ」では第2位(9.9%)である(甲13)。 イ 判断 以上によれば,請求人は,遅くとも2017年3月から現在に至るまでの間,継続的に,本願商標を請求人ロゴマークや請求人の略称とともに,請求人の企業理念や経営方針を表すものとして,ウェブサイト,商品カタログ,テレビCM,インフォマーシャル,駅構内での看板広告等において,使用していることが推察し得る。また,請求人の業務にかかる商品のうち「大人用紙おむつ」,「医療用キット製品」,「医療用覆い布(ドレープ)」,「不織布製品小物類」,「医療用シーツ」についての,2018年度及び2020年度における市場シェアは第2位ないし第4位であった(7.9%~16.1%)。 しかしながら,請求人の提出する証拠から認められる本願商標の使用の期間は,2017年3月からとそれほど長い期間ではない。そして,請求人による本願商標の使用は,請求人ロゴマークや請求人の略称,CIマークとともに使用されていることが多いところ,前記(2)のとおり,「生きるチカラを応援する」の文字は需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標である一方,請求人ロゴマークや請求人の略称,CIマークは本願商標と比較して自他商品の識別標識としての機能の強いものであることからすると,このような使用態様においては,これに接する取引者,需要者は,より強い自他商品の識別力を有する請求人ロゴマークや請求人の略称,CIマークをもって,商品の出所を識別するというのが自然であるというべきであるし,本願商標が単独で使用されている例についても,請求人の業務にかかる商品に本願商標が付されている事実は確認できず,商品カタログやテレビCM等における表示についてみても,商品カタログについては,需要者の目にとまりにくい裏表紙にのみ記載がされていること,テレビCMでは本願商標が表示されるものの,その終盤のわずか数秒間しか表示されないことからすれば,取引者,需要者の印象に残るような使われ方がされたものとはいい難い。 そして,テレビCMに要した費用については2019年10月ないし2021年11月で約1億8800万円,2021年11月ないし2022年2月で約700万円であったとされるが,これの裏付けとなる証拠の提出はないし,これが事実であるとしても,その多寡を判断するための証拠の提出はないから,判断することができない。 また,カタログ等の送付先については,請求人の各事業所に送付されたことが事実であるとしても,各事業所から取引者,需要者に対して配布された部数,配布期間,配布先等は不明である。 さらに,JR宇都宮駅の新幹線改札外に掲出された看板広告については,これがどの程度の取引者,需要者の目に触れたのかについては不明である。 その他,株式会社はいせつ総合研究所が2021年11月19日に開催した排泄ケアセミナーにおいて配布された「第11回 むつき庵はいせつケア実践報告会 抄録集」における広告掲載ページについては,当該セミナーへの参加者は約30名と少ない上,オンライン配信により,どの程度の者の目に触れるものであったかも不明である。また,請求人の企業広告については,地方紙(2022年1月3日付け愛媛新聞)の1回のみとわずかである。さらに「徳島ヴォルティス激闘の軌跡2021」(徳島新聞社発行)に掲載した企業広告については,当該書籍の発行部数や頒布数は不明であり,これがどの程度の取引者,需要者の目に触れたのかについては不明である。 加えて,請求人の示す商品の市場シェアも2018年度及び2020年度の2年間のみであって,これ以降現在までの市場シェアは不明である。 そうすると,本願商標について,具体的な使用事実に基づいて使用状況を把握し,その周知性の程度を客観的に推し量ることができないから,本願商標は,請求人の業務に係る商品を表すものとして,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。その他,当審において,職権で調査するも,本願商標が,その指定商品を取り扱う業界において,自他商品の出所識別標識としての機能を発揮し得るものであると認めるに足りる事情を見いだすこともできなかった。 (4)請求人の主張について ア 請求人は,「日本語において通常,片仮名で表記されるのは外来語,外国人の名前,外国の地名等であるところ,本願商標は,一般的に漢字表記が用いられる「力」の文字を敢えて「チカラ」と片仮名に改めることにより,本願商標を目にする者に外観上,躍動感や斬新な印象を与え,訴求力をより高める構成態様となっている」旨を主張している。 しかしながら,我が国の商取引においては,例えば平仮名や漢字からなる商標をその読みに対応した片仮名や欧文字で代替的に表記したり,又は,その逆に記載したりすることは一般的に行われていることであるから,「力」の漢字を「チカラ」の片仮名に置き換えて表記することが特徴的なこととはいいがたい。 イ 請求人は,「本願商標は,「力」を「チカラ」と片仮名で表現している点,「大人用紙おむつ,メディカルディスポーザブル用品(医療用不織布製品,キット製品)の製造・販売」の業界で「生きるチカラを応援する」の語が企業理念や経営方針と示すスローガン・キャッチフレーズとして使用されている実情が確認できない点,及び,医療・介護業界においても「生きるチカラを応援する」の語が基本理念や活動方針等を示す標語として広く一般的に使用されているとはいえない点を総合的に考察すると,自他商品識別力を否定し得ない商標である」旨を主張している。 しかしながら,前記アのとおり,我が国の商取引においては,例えば平仮名や漢字からなる商標をその読みに対応した片仮名や欧文字で代替的に表記したり,又は,その逆に片仮名や欧文字からなる商標を平仮名や漢字で代替的に標記したりすることは,一般的に行われているものである。 また,仮に,「大人用紙おむつ,メディカルディスポーザブル用品(医療用不織布製品,キット製品)の製造・販売」の業界において,「生きるチカラを応援する」の文字が請求人以外の者によって使用されている例がなく,さらに,医療・介護業界においても「生きるチカラを応援する」の語が基本理念や活動方針等を示す標語として広く一般的に使用されていないとしても,前記(1)のとおり,商標法第3条第1項第6号に該当するというためには,審決時点において,本願商標がその指定商品に使用された場合に,将来を含め,その需要者において,商品の宣伝活動を行う際に一般的に使用される標章と認識されるものである等,識別力を欠き,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないと判断されるものであれば足り,それが取引上現実に使用されていた事実があったことまで必要とするものではないというべきである。 さらにまた,本願商標と同趣旨の文字が,本願の指定商品を取り扱う業界において,宣伝広告の語句や,企業理念や経営方針等を表す際に,その一部として一般に使用されているものであることからすれば,本願商標を,その指定商品に使用したときには,これに接する取引者,需要者は,商品の宣伝広告又は企業理念や経営方針を表したものと理解するにとどまり,自他商品の識別標識としては認識しないものと判断するのが相当であることは前記(2)のとおりである。 ウ 請求人は,過去における登録例(甲18)を挙げ,本願商標も登録されるべき旨を主張している。 しかしながら,登録出願に係る商標がその指定商品との関係において,自他商品の識別標識として機能し得るか否かは,当該商標の構成態様と指定商品との関係や取引の実情をも踏まえて個別具体的に判断されるべきものであるところ,請求人の示す登録例(甲18)と本願商標とは,その商標の構成態様が異なり,事案を異にするものであるし,本願商標は,前記(2)のとおり,その指定商品との関係において,自他商品の識別力を欠くものというのが相当であるから,甲第18号証の登録例があるからといってその判断が左右されることはない。 エ したがって,請求人の主張はいずれも採用できない。 (5)まとめ 以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから,登録することができない。 よって,結論のとおり審決する。

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