商標拒絶査定不服審判
2021-015672
コドモノミカタ
- 審判番号
- 2021-015672
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-062367
- 請求日
- 2021年10月11日
- 審決日
- 2022年11月15日
- 公報発行日
- 2023年02月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】弁護士法人伏見総合法律事務所
- 【請求人代理人】岩崎 浩平
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 淳
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 須田 亮一
- 分類
- T18 .16 -Z (W45)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号、商標法第3条第1項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020- 62367拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は,成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は,令和2年5月1日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年4月20日付け:拒絶理由通知書
令和3年6月4日 :意見書の提出
令和3年8月23日付け:拒絶査定
令和3年10月11日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は,「こどものみかた」の文字を標準文字で表してなり,第45類「養育費請求、生活保護、ドメスティック・バイオレンスその他に関する法律相談,民法、民事執行法、生活保護法、配偶者からの暴力の防止及び被害の保護等に関する法律その他の法律に関する助言,生活保護開始申請、生活保護変更申請その他の行政手続に関する助言又は代理,養育費請求調停その他の調停,訴訟事件その他に関する法律事務」を指定役務として,登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は,要旨以下のとおり,認定,判断し,本願を拒絶したものである。
本願商標は「こどものみかた」の文字を標準文字で表してなるところ,子どもが抱える問題の解決のための相談窓口の肩書や名称,及び法律事務所の理念等を表す際に,本願商標に通じる「子どもの味方」等の文字が,使用されている実情がある。
そうすると,本願商標をその指定役務に使用しても,これに接する需要者は,出願人に係る役務であることを理解するというよりも,単に役務の提供理念(子どもの味方をすること。)を端的に表した語句として認識するにとどまる。
したがって,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものというのが相当であるから,商標法第3条第1項第6号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号の趣旨について
商標法は,「商標を保護することにより,商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り,もつて産業の発達に寄与し,あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法第1条),商標の本質は,自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり,この自他商品の識別標識としての機能から,出所表示機能,品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法第3条第1項第6号が,「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは,同項第1号ないし第5号に例示されるような,識別力のない商標は,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに,一般的に使用される標章であって,自他商品の識別力を欠くために,商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(知財高裁平成21年(行ケ)第10270号,平成22年1月27日判決)。
そうすると,商標法第3条第1項第1号から同項第5号までにおいて例示的に列挙されたものではなくても,本件審決時において,本願商標がその指定役務に使用された場合に,将来を含め,その需要者において,役務の宣伝活動を行う際に一般的に使用される標章と認識されるものである等,識別力を欠き,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないと判断されるときは,本願商標は同項第6号に該当するものと解するのが相当である。
(2)商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は,「こどものみかた」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中,「こども」の文字は,「幼いもの。わらわ。わらべ。小児。」等の意味を有する「子供」の語を,また,「みかた」の文字は,「(敵方・相手方に対して)自分の属する方。自分の方の仲間。」「仲間として力をかすこと。助勢。」等の意味を有する「味方」の語を,それぞれ平仮名表記したものと容易に理解できるものである。
そして,原審で挙げた証左に加え,当審における職権調査によれば,本願の指定役務を取り扱う業界においては,子供やその保護者等を対象として,子供が抱える問題に関する相談窓口(以下「当該相談窓口」という。)が,日本弁護士連合会,地方自治体等によって,全国各地で設置されており,当該相談窓口の広告においては,幼い子供でも読めるように漢字には振り仮名を併記しているものも少なくなく,漢字でなく敢えて平仮名を用いて表しているものもある(別掲1)。さらに,当該相談窓口の広告や当該相談窓口を紹介するウェブサイトにおいては,本願商標に通じる「子どもの味方」の文字が,当該相談窓口の名称や,当該相談窓口やこれを開催する組織の理念等を表す際に使用されているものもある(別掲2)。
そうすると,本願商標を,「養育費請求、生活保護、ドメスティック・バイオレンスその他に関する法律相談」を始めとする養育費請求や生活保護に関する役務であって,子供を保護・養育することに関連する役務といえる本願の指定役務に使用したときには,本願商標の構成文字がすべて平仮名で記載されているとしても,これに接する取引者,需要者は,本願の指定役務との関係から,容易に「子供の味方」を表すものと看取し,当該役務が「子供の養育等に関する問題に対処する役務」であるという役務の説明や特性,あるいは「子どもの味方となる」程の役務の提供理念を表したものと理解するにとどまり,自他役務の識別標識としては認識しないものと判断するのが相当であって,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるというべきである。
したがって,商標法第3条第1項第6号に該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は,「本願商標は,「みかた」という平仮名を用いる点で特徴的であって,この特徴によって「みかた」が多義的に認識され易くなる。」旨を主張している。
しかしながら,我が国においては平仮名表記することは特殊なこととはいえないことに加え,前記(2)で挙げた事実(別掲1,別掲2)があって,本願の指定役務には,ドメスティック・バイオレンス等から子供を保護する等,その保護の対象が子供であることからすれば,本願商標をその指定役務について使用するときは,容易に「子供の味方」の意味合いを認識するというのが自然である。加えて,本願商標は「子供の味方」であることを訴求するため,むしろ,平仮名による平易な記載によって,子供の味方であるという意味合いをより強く理解させるといえる。
イ 請求人は,「「こどものみかた」又は「子どものみかた」という商標に関して,本願商標の指定役務についての使用状況を見れば,専ら役務の提供理念を示すものとして一般的に使用されているというような実情は存在しない」旨を主張している。
しかしながら,仮に「こどものみかた」又は「子どものみかた」という文字が役務の提供理念を示すものとして一般的に使用されている実情がないとしても,本願商標を,その指定役務に使用したときには,これに接する取引者,需要者は,「子供の味方」を表すものと容易に看取し,当該役務が「子供の養育等に関する問題に対処する役務」であるという役務の説明や特性,あるいは「子どもの味方となる」程の役務の提供理念を表したものと理解するにとどまるものであることは,前記(2)のとおりである。なお,「子どもの味方」の文字が,当該相談窓口やこれを開催する組織の理念等を表す際に使用されている実情があること(別掲2)は,たとえ本願商標が平仮名で表されているとしても,自他役務の識別力の評価において参酌すべき取引の実情といえる。
ウ 請求人は,「請求人が既に1年以上の期間に渡って,養育費請求,養育費請求調停等の役務について「子どものみかた」という商標を自他役務識別標識として使用し続け,その結果,原審における意見書を提出した時点で100件以上の案件を受任済みであること,審判請求人の管理に係るウェブサイト上で「子どものみかた」という商標が現に自他役務識別機能を果たしていると客観的に明らかであること(甲4)などからすれば,本願商標は自他役務識別機能を果たし得るものである」旨を主張している。
しかしながら,請求人が,本願の指定役務に含まれる役務について,本願商標を1年以上にわたって,実際に使用しており,100件以上の案件を受任済みであるとしても,需要者が当該「子どものみかた」の文字を,自他役務の識別標識として把握,理解していると認めるに足る客観的な事実は見いだせず,本願商標が,自他役務の出所識別標識としての機能を果たしているものであると認めることはできない。
そして,上記主張が,本願商標は,請求人がその指定役務について使用した結果,自他役務の識別力を獲得し,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるに至っている旨の主張であるとしても,本願商標について,我が国における周知性の度合いを客観的に判断するための資料,すなわち,本願商標に係る役務の売上高,市場シェア並びに広告宣伝の方法及び回数など取引状況を具体的に示す証拠は見いだすことはできないから,我が国における客観的な使用事実に基づいて,本願商標の使用状況を把握することはできない。そうすると,本願商標は,その指定役務について使用をされた結果,自他役務の識別力を獲得し,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるに至っていると認めることもできないし,その他,当審において,職権で調査するも,本願商標が,その指定役務を取り扱う業界において,自他役務の出所識別標識としての機能を発揮し得るものであると認めるに足りる事情を見いだすこともできなかった。
エ 請求人は,「こどものみかた」又は「子どものみかた」の文字が,小児歯科・子育て相談用の書籍の題号として使用している例があることを挙げ,「これらの使用例が子どもに関連する商品・役務について,「こどものみかた」又は「子どものみかた」という商標が自他商品・自他役務の識別標識としての機能を果たし得ることを示すものである」旨を主張するとともに,「社会常識に属する部類の事柄であるが,書籍の著作者等において,需要者の誘引のために,識別力を生じ得る文字を題号として選択可能であるにもかかわらず,識別力が生じ得ない文字を敢えて題号として採用するはずがない。現に,小児歯科・子育て相談用の書籍の題号としての使用例(例えば,甲3の1)をみれば,「こどものみかた」又は「子どものみかた」という文字に識別力が生じていることは明らかである」旨述べている。
しかしながら,これらの主張は請求人独自の主張であって,裏付けとなる証拠の提出はないし,書籍の題号として使用されていることをもって,当該題号が,本願の指定役務について,自他役務の識別標識としての機能を果たし得ることを示すとはいい難い。そのほか,請求人の主張及び同人が提出する全証拠を総合してみても,「こどものみかた」又は「子どものみかた」の文字が,本願の指定役務の分野において,自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものであると認めるに足りる事情も見いだせない。
オ 請求人は,本願商標と同一の商標及び「こどもの味方」の文字から成る商標が登録されている(甲5,甲6)ことを挙げ,本願商標も登録されるべき旨を主張している。
しかしながら,登録出願に係る商標がその指定役務との関係において,自他役務の識別標識として機能し得るか否かは,当該商標の構成態様と指定役務との関係や取引の実情をも踏まえて個別具体的に判断されるべきものであるところ,請求人の示す登録例(甲5,甲6)と本願商標とは,その指定商品及び指定役務が異なり,事案を異にするものであるし,本願商標は,前記(2)のとおり,その指定役務との関係において,自他役務の識別力を欠くものというのが相当であるから,本願商標と同一の商標の登録例があるからといってその判断が左右されることはない。
カ したがって,請求人の主張はいずれも採用できない。
(4)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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