商標拒絶査定不服審判
2021-015117
アルコールフチョー
- 審判番号
- 2021-015117
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-115034
- 請求日
- 2021年11月08日
- 審決日
- 2022年09月21日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】小林製薬株式会社
- 【請求人代理人】山田 威一郎
- 審判長/審判官
- 審判長 齋藤 貴博
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 綾 郁奈子
- 分類
- T18 .13 -Z (W05) / T18 .272-Z (W05)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号、特許法第150条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-115034拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「アルコール不調」の文字を標準文字で表してなり、第5類「薬剤,医療用試験紙,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,綿棒,医療用接着テープ,歯科用材料,おむつ,おむつカバー,はえ取り紙,防虫紙,乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品,栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。),人工受精用精液」を指定商品として、令和2年9月16日に登録出願されたものである。
本願は、令和3年3月5日付けで拒絶理由の通知がされ、同年4月14日に意見書が提出されたが、同年8月13日付けで拒絶査定がされた。
これに対して令和3年11月8日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「アルコール不調」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「アルコール」の文字は、「アルコール飲料のこと。酒類。」等の意味を有する語であり、「不調」の文字は、「調子が悪いこと。」等の意味を有する語である。(いずれも広辞苑第7版)そうすると、本願商標は、全体として「アルコール飲料による不調」程の意味合いを容易に認識させるものである。ところで、お酒(アルコール)を飲み過ぎると、「アルコール性肝炎」や「肝硬変」という病気になったり、その他にも、口、のど、胃、腸といった消化器官、脳や心臓など、体中に悪い影響が現われ様々な疾患や症状の原因になるとされている。そして、本願の指定商品を取り扱う業界においては、前記のような疾患や症状を改善するための薬剤が普通に取引されている実情がある。そうすると、本願商標を、その指定商品中「アルコール飲料による不調を改善するための薬剤」に使用した場合、これに接する需要者は、単に商品の品質等を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するというべきである。また、本願商標を前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質等の誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質等の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審においてした証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲1及び別掲2に示したとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、証拠調べの結果を通知した。
4 証拠調べに対する意見
請求人は、前記3の証拠調べ通知に対して、要旨以下のように述べた。
(1)別掲1について
ア 15件のウェブサイトのうち、請求人のウェブサイトである3(1)以外の14件のウェブサイトには「アルコール不調」の語は一切使用されていない。
イ このことは、アルコール飲料の摂取により、体調に不調を来すことを表すより適切な他の表現(例えば、1(1)のウェブサイトに掲載の「アルコールによる不調」との表現)が多数存在していることの証左であり、本願商標の表現が特異な表現であることの裏付けになるものである。
(2)別掲2について
ア 10件のウェブサイトに「アルコール不調」の語が使用されている例はない。
イ これらのウェブサイトで使用されている表現の大半は、前半の語と「不調」との語は併記されているもの、前半の語が「不調」の具体的内容を示しているものであり、「アルコール(飲料)」のような特定物を摂取することによって、体調に不調を来すことを「○○不調」と表現している事例は1件も存在しない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「アルコール不調」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「アルコール」の文字は、「アルコール飲料のこと。酒類。」を、「不調」の文字は、「調子が悪いこと。」等(出典:いずれも広辞苑第7版)の意味を有するいずれも親しまれた語である。
ところで、当審における令和4年3月17日付け証拠調べ通知書(別掲1)のとおり、「アルコール」を摂取することにより「不調」を来すことがある事実が、例えば、「アルコールの飲み過ぎは肝臓に悪い・・・」「アルコールによる不調が気になる方は、こちらにお問い合わせください。」(別掲1の1.(1))、「アルコールは中枢神経系や胃に影響を与え、意識障害や胃の不調につながります。」(別掲1の1.(3))のように、「アルコール」及び「不調」の語を用いて説明されている事例が認められる。
また、「アルコール」を摂取することによる「不調」(頭痛・二日酔・酒残り・吐き気など)を改善、予防する薬剤、サプリメント等があることを示す事実(別掲1の2.)及びそれらの薬剤、サプリメント等が、例えば、「アルコールや脂肪の分解を助けるタイプや、翌日の胃の不調などに対して服用するタイプのお薬です。」のように、「アルコール」及び「不調」の語を用いて説明されている事例(別掲1の3.(5))などが認められる。
さらに、令和4年5月13日付け証拠調べ通知書(別掲2)のとおり、例えば、「更年期を原因とする不調」を「更年期不調」、「ストレスを原因とする不調」を「ストレス不調」、「ホルモンを原因とする不調」を「ホルモン不調」などのように、その原因によって心身に不調を来すことを「○○不調」と表現する事例も見受けられる。
以上を踏まえると、「アルコール」及び「不調」の語を結合してなる本願商標が、薬剤やサプリメントを含む本願指定商品に使用された場合には、これに接する取引者、需要者は、本願商標から、「アルコール飲料による身体の不調」ほどの意味合いを認識し、当該商品が「アルコール飲料による身体の不調」を改善、予防する薬剤やサプリメントであることを理解するものといえるから、本願商標は、商品の用途、品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記に照応する商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、審判請求書において、「アルコール」の語には、「アルコール飲料」のほか「アルコール消毒液」等の様々な意味があり、また、「不調」の語は、身体のどの部位が調子が悪いのか不明確であり、本願商標からは具体的な品質を認識することができない旨主張する。
しかしながら、前記(1)のとおり、本願指定商品の分野における取引実情に鑑みれば、本願商標を構成する「アルコール」の語は「アルコール飲料」を認識させるといい得る。また、アルコール摂取による様々な身体の不調が一般的に「不調」の語を用いて表現されている事実から、本願商標が、その指定商品に用いられた場合に生じる「アルコール飲料による身体の不調」を改善、予防する薬剤やサプリメントであるとの認識は、十分に具体的である。
イ 請求人は、薬剤を取り扱う業界において、請求人以外に「アルコール不調」の語を使用している例はない旨主張する。
しかしながら、本願商標が、その指定商品について商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには、本願商標がその指定商品との関係で商品の品質等を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標がその指定商品に使用された場合に、本願商標の取引者、需要者によって、将来を含め、商品の品質を表示したものとして一般に認識されるものであれば足りるものであって、必ずしも本願商標が現実にその指定商品に使用されていることを要しないのであるから、請求人の主張は、その前提において誤りがある。
ウ 請求人は、過去の審決例、審査例から、本願商標も同様に自他商品識別力を有することが認められて然るべきである旨主張する。
しかしながら、本願商標は、商品の用途、品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当であることは、前記(1)のとおりであって、過去の審決例、審査例の存在をもって、本願商標がその指定商品に使用された場合も、自他商品の識別機能を有するとすることはできない。
エ したがって、請求人の主張はいずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであって、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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