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商標拒絶査定不服審判

2021-015107

キンビ、キビ

審判番号
2021-015107
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2020-138127
請求日
2021年11月05日
審決日
2022年03月04日
公報発行日
2022年05月27日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社近代美術
  • 【請求人代理人】福島 康文
審判長/審判官
  • 審判長 齋藤 貴博
  • 審判官 馬場 秀敏
  • 審判官 綾 郁奈子
分類
T18 .261-Z (W41) / T18 .262-Z (W41) / T18 .263-Z (W41)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
行政事件訴訟法46条商標法4条1項11号商標法6条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第6条第1項、商標法第4条第1項、商標法第4条第1項第11号、商標法第10条第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2020-138127拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 本願商標及び手続の経緯 本願商標は、別掲1のとおり、「KIBI」の黒色の欧文字の「KI」と「BI」の間に灰色の直角三角形を二個配してなり、第41類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、令和元年9月4日に登録出願された商願2019-122972に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同2年11月9日に登録出願されたものである。 本願は、令和3年3月30日付けで拒絶理由の通知がされ、同年5月11日に意見書及び手続補正書が提出され、指定役務については、第41類「セミナーの企画・運営又は開催,出版物・電子出版物の企画・編集及び制作,出版物の貸与,電子出版物の提供,書籍・電子書籍の企画・編集及び制作,書籍の貸与,書籍・電子書籍の提供,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作,イベントの企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),写真撮影」と補正されたが、同年8月5日付けで拒絶査定がされた。 これに対して令和3年11月5日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定は、要旨次のとおり判断し、本願を拒絶したものである。 (1)商標法第6条第1項及び同第2項に係る拒絶の理由 本願の指定役務のうち、第41類「書籍・電子書籍の提供」は、その内容及び範囲を明確に指定したものとは認められない。そのため、本願は、政令で定める商品及び役務の区分に従って役務を指定したものと認めることもできない。したがって、この本願は、商標法第6条第1項及び同第2項の要件を具備しない。 (2)商標法第4条第1項11号に係る拒絶の理由 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5901048号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおり、「K」の文字をややデザイン化した「KIBI」の欧文字を青色で表してなり、平成28年2月10日に登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,書籍の制作,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」及び第42類「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案(広告に関するものを除く。)」を指定役務として、同年12月2日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 3 当審の判断 (1)商標法第6条第1項及び同第2項について 本願の指定役務中、第41類「書籍・電子出版物の提供」のうち、「書籍の提供」は、第41類に属する「図書の貸与」との関係で不明確であり、かつ、第16類に属する商品「書籍」との関係で、第41類に属する役務として適切な表示であるとはいえないから、政令で定める商品及び役務の区分に従ったものとは認められない。 したがって、本願は、商標法第6条第1項及び同第2項の要件を具備しない。 (2)商標法第4条第1項11号について ア 本願商標 本願商標は、別掲1のとおり、「KIBI」の黒色の欧文字の間に灰色の直角三角形を二個配してなるところ、その構成文字に応じて、「キビ」の称呼が生じ、「KIBI」の文字は辞書等に載録のない造語であるから、特定の観念は生じないものである。 イ 引用商標 引用商標は、別掲2のとおり、「K」の文字をややデザイン化した「KIBI」の欧文字を青色で表してなるところ、その構成文字に応じて「キビ」の称呼が生じ、上記アと同様の理由から、特定の観念は生じないものである。 ウ 本願商標と引用商標の類否 (ア) 外観について 本願商標を構成する欧文字は普通の書体で「KIBI」と書されており、「KI」と「BI」の間に灰色の直角三角形を二個配してなるものの、黒色で明瞭に書された「KIBI」の欧文字が、看者に対し強い印象を与えるものというべきである。 一方、引用商標は、「K」の文字がややデザイン化されているものの、別掲3のとおり、「K」の文字の縦棒に略三角形を接合させたり、縦棒を斜線が貫くように表したりするデザインは普通に採択される範囲のものといえ、さして特徴のあるものとはいえず、いまだ「K」の文字であることは十分に認識されるものであるから、引用商標が全体として「KIBI」の欧文字から構成されることは容易に看取されるものである。 そうすると、本願商標と引用商標は、本願商標の構成における三角形の図形の有無、引用商標の構成における「K」の文字のデザインに相違はあるものの、いずれも「KIBI」の欧文字からなるものであり、文字種、綴りが共通するから、外観において類似するものというべきである。 (イ) 称呼について 本願商標と引用商標は、「キビ」の称呼を共通にするものである。 (ウ) 観念について 本願商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することができない。 (エ) 小括 以上から、本願商標と引用商標は、観念において比較することはできないものの、称呼を共通にし、両者の外観において類似するものであるから、これらの外観、称呼及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合勘案すれば、両者は、相紛らわしい商標であり、互いに類似する商標というべきである。 したがって、本願商標と引用商標は、類似する商標であるというのが相当である。 エ 本願商標の指定役務と引用商標の指定役務の類否 本願商標の指定役務中「セミナーの企画・運営又は開催,出版物・電子出版物の企画・編集及び制作,出版物の貸与,電子出版物の提供,書籍・電子書籍の企画・編集及び制作,書籍の貸与,電子書籍の提供,イベントの企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」は、引用商標の指定役務中「セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,書籍の制作,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」と同一又は類似の役務である。 オ まとめ 以上によれば、本願商標と引用商標とは、互いに類似する商標であり、かつ、本願商標の指定役務と引用商標の指定役務も同一又は類似するものである。 したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (3)請求人の主張について 請求人は、本願商標は、知覚心理学または認知科学の分野における主観的輪郭の概念を取り入れて表現されたものであり、本願商標の構成において、欧文字「I」と、一対の直角不等三角形と、欧文字「B」との間に白地の三本の直線上のスペースが配されているのであり、白地スペースに欧文字及び一対の直角不等三角形の色彩の濃淡からも、一般的に人間には欧文字「N」が浮かび上がり認知されるものであり、全体として「KINBI」の文字が認知され、「キンビ」の称呼のみが生じ、引用商標とは非類似である旨主張する。 そこで、本願商標を構成する「KI」と「BI」の間に「N」の文字が主観的輪郭をもって浮かび上がり認知されることが一般的か否かを検討する。 請求人が提出した「視知覚」(松田隆夫著)(提出物件2)(以下、「同書」という。)によれば、「主観的輪郭」の説明において、「客観的に何も存在しないところに何かがあたかも存在することが、一層まとまりのある知覚的体制化を導くのであれば、我々はそのように知覚しがちであり、輪郭もその例外ではない。」(90頁、15~18行目)、「何もないところに何かが見え、それによって知覚的体制化が達成されることがあり、主観的輪郭の“発生”はそれを例示しているといえよう。」(92頁、11~12行目)との記載が認められる。 ところで、同書に掲載されている事例は、そもそも文字の主観的輪郭の事例ではなく、本願商標とは構成も態様も全く異なるものであるため、当審において職権により、欧文字の文字列のうちの一文字が主観的輪郭をもって一般的に浮かび上がるといい得る事例を調査し(別掲4)、これとの比較において検討する。別掲4(1)の事例は、「THINK」の文字列のうち「N」、別掲4(2)の事例は、「SHIFT」の文字列のうち「H」が、主観的輪郭の概念を取り入れて浮かび上がるよう表現されているものであり、一見して「THI」と「K」の間の「N」、「S」と「IFT」の間の「H」が主観的輪郭をもって認知し得るものといえる。なぜならば、前者は「N」があることによって「THINK」、後者は「H」があることによって「SHIFT」という親しまれた成語を構成するからであって、そのように認知することが、明らかに「一層まとまりのある知覚的体制化を導く」からと考えられる。 翻って、本願商標の構成において、「KI」と「BI」の間に「N」の文字が主観的輪郭をもって浮かび上がるというためには、「N」の文字があることによって「一層まとまりのある知覚的体制化を導く」といえることが判断の一要素になると考えられるところ、本願商標の構成においては、「KI」と「BI」の間に「N」の文字があることによって、成語を構成するものでもなく、そこに「N」の文字がある必然性がないのだから、別掲4の事例と比較すれば、「一層まとまりのある知覚的体制化を導く」ということはできない。 よって、本願商標の構成において、「KI」と「BI」の間に「N」の文字が主観的輪郭をもって認知される場合があることは否定しないまでも、常に必ず認知されるものであるとまではいい難く、上記(2)ウ(ア)のとおり、一般的には、黒色で明瞭に書された「KIBI」の欧文字が、看者に対し強い印象を与えるというべきであり、他に「N」の文字が主観的輪郭をもって浮かび上がり認知されることが一般的であるとの請求人の主張を裏付ける立証はされていない。 なお、同書には、「図が知覚されるための基礎となる輪郭の発生については、明暗の境目など視野内の急激な非等質領域においてである」(90頁、13~14行目)と記載があるところ、本願商標が使用される際の背景色によっては、必ずしも「N」の文字であると主張する部分が白色であるとも限らないから、白色の背景色との関係において、背景色とその余の部分の濃淡(明暗)を述べることは、その前提において誤りがある。また、「KIBI」の文字部分と三角形の図形部分の色彩の濃淡(明暗)が、その余の部分に係る主観的輪郭の発生に関連性を有するかについては、同書にも記載が認められず、その他のこれを裏付ける立証もない。よって、白地スペースに欧文字及び一対の直角不等三角形の色彩の濃淡からも、一般的に人間には欧文字「N」が浮かび上がり認知されるとの請求人の主張は認められない。 したがって、請求人の主張は、いずれも採用できない。 (4)むすび 以上のとおり、本願商標は、商標法第6条第1項及び同第2項並びに同法第4条第1項第11号に該当するから、登録することはできない。

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2021-015107

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