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商標拒絶査定不服審判

2021-015053

ジュクセーウナギ

審判番号
2021-015053
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2020-006816
請求日
2021年11月05日
審決日
2023年01月30日
公報発行日
2023年10月27日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】白幡 宜洋
  • 【請求人代理人】高橋 雄一郎
審判長/審判官
  • 審判長 旦 克昌
  • 審判官 馬場 秀敏
  • 審判官 綾 郁奈子
分類
T18 .13 -Z (W43) / T18 .272-Z (W43)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項3号商標法4条1項16号
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号、商標法第17条の2第1項、意匠法第17条の3第1項、特許法第150条第5項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2020-6816拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 本願商標及び手続の経緯 本願商標は、別掲1のとおり、普通に用いられる態様の縦長長方形の中に「熟成鰻」の文字を筆文字風書体で縦書きしてなり、第43類「死後硬直後のうなぎを用いたうなぎ料理の提供」を指定役務として、令和2年1月22日に、商願2018-121640に係る令和元年10月23日付け手続補正書に基づく商標法第17条の2第1項で準用する意匠法第17条の3第1項の規定による補正後の商標登録出願として、登録出願されたものである。 本願は、令和2年11月10日付けで拒絶理由の通知がされ、同3年3月31日に意見書が提出されたが、同年7月9日付けで拒絶査定がされ、これに対して同年11月5日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、ありふれた四角形内に「熟成鰻」の文字を筆文字風の書体で表してなるところ、本願商標構成中「熟成」の文字は「蛋白質・脂肪・炭水化物などが、酵素や微生物の作用により、腐敗することなく適度に分解され、特殊な香味を発すること。」の意味を有する語であり、「鰻」の文字は「ウナギ科の硬骨魚の総称」を意味する語である。そして、うなぎを熟成させたものが、食品として提供されている実情があり、また、「熟成魚」の語は、「時間をおいて熟成させた食用の魚のこと」ほどの意味合いを有する語であり、食用の魚を熟成させるという手法は、本願指定役務に係る業界において一般に用いられているものである。こうした実情を踏まえると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する需要者は、「熟成させた鰻を用いたうなぎ料理の提供」であることを認識するにとどまるというのが相当である。したがって、本願商標は、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認められるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、本願商標は商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審における証拠調べ通知 当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲2に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、令和4年4月14日付け証拠調べ通知書によって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。 4 証拠調べに対する請求人の意見の要点 (1)鰻についても、熟成という表現が風味や旨みを引き出す手段として使用されている状況があるといえるかもしれないが、「熟成鰻」と表現することが一般的であるということはできない。 (2)「熟成鰻」、「熟成うなぎ」という場合、大きく育てた鰻なのか、熟成させたタレを使用して蒲焼にした鰻なのか、風味や旨みを引き出すために数日間寝かせた鰻のことなのか、直ちに区別することはできない。 5 当審の判断 (1)本願商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について 本願商標は、別掲1のとおり、普通に用いられる態様の縦長長方形の中に「熟成鰻」の文字を筆文字風書体で縦書きしてなるところ、その構成中の「熟成」の文字は、「<1>十分に熟してできあがること。<2>[化]物質を適当な温度に長時間放置して化学変化を行わせること。発光の調節、コロイド粒子や沈殿の粒径の調節などにいう。時効。<3>蛋白質・脂肪・炭水化物などが、酵素や微生物の作用により、腐敗することなく適度に分解され、特殊な香味を発すること。なれ。」を、「鰻」の文字は、「ウナギ科の硬骨魚の総称、またその一種。」を意味する語(出典:いずれも「広辞苑 第七版」)であり、一般に親しまれた語であり、各文字の語義自体から「熟成させた鰻」の意味を認識させるものであって、それ以外の意味を認識できない。 そして、当審における証拠調べ通知において示したとおり、熟成により、魚の風味やうまみを出す方法が一般的に存在し、実際に、当該作用により、風味やうまみを出した鰻が提供されている事実があることも認められる。 このような実情からすると、「熟成」の語と「鰻」の語を結合した本願商標からは、「熟成させた鰻」ほどの意味合いを認識させるというのが相当である。 また、当審における証拠調べ通知において示したとおり、鰻などの魚類の名称を四角囲みで表すことが普通に行われている実情も認められ、筆文字風書体で表すことも普通に採用される方法であるといえる。 そうすると、本願商標をその指定役務に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、当該文字から「熟成させた鰻の提供」であることを理解するにとどまるというべきであって、本願商標は、役務の質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものといわざるを得ない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 また、本願商標をその指定役務中、「熟成させた鰻の提供」以外の役務に使用するときは、その役務が「熟成させた鰻の提供」であるかのように、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。 (2)請求人の主張について ア 請求人は、鰻についても、熟成という表現が風味や旨みを引き出す手段として使用されている状況があるといえるかもしれないが、「熟成鰻」と表現することが一般的であるということはできない旨主張する。 しかしながら、鰻についても、熟成という表現が風味や旨みを引き出す手段として使用されている状況があるといえるのならば、これに接する取引者、需要者は、「熟成鰻」の文字から、「熟成させた鰻」を認識すると判断するのが相当である。 なお、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品(役務)の品質(質)等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それゆえに登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質(役務の質)等を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解される(東京高等裁判所 平成12年9月4日言渡 平成12年(行ケ)第76号等)ことから、「熟成鰻」と表現する例が、本号適用において要求されるものではない。 イ 請求人は、「熟成鰻」、「熟成うなぎ」という場合、大きく育てた鰻なのか、熟成させたタレを使用して蒲焼にした鰻なのか、風味や旨みを引き出すために数日間寝かせた鰻のことなのか、直ちに区別することはできない旨主張する。 しかしながら、熟成により、魚の風味やうまみを出す方法が一般的に存在し、実際に、当該作用により、風味やうまみを出した鰻が提供されている事実があることも認められることからすれば、本願商標に接する取引者、需要者は、当該文字から「熟成させた鰻の提供」であることを理解するにとどまるというべきであることは、上記(1)のとおりである。 ウ 請求人は、うま味を引き出す加工を意味する「熟成○○」の「〇〇」には一般的に食べ物として表現された文言が用いられる(熟成肉、熟成魚、熟成野菜、熟成ハム等。熟成牛とは一般的に言わない。)ことから、「熟成」に動物自体を意味する語を組み合わせると、「成熟して十分なころあいに達すること。」の意味をも生じる旨主張する。 しかしながら、本願商標に接する取引者、需要者は、当該文字から「熟成させた鰻」であることを理解するにとどまるというべきであることは、上記(1)のとおりであり、「熟成」に動物自体を意味する語を組み合わせた、「熟成鮭」(https://www.sato-suisan.co.jp/shop/product/detail/828)や「熟成鯛」(https://agoramarche.com/?pid=120676642)のようなものも普通に見受けられるから、請求人の主張は必ずしも当てはまらないばかりか、「成熟して十分なころあいに達すること。」の意味であったとしても、「熟成させた鰻」であることに変わりはない。 エ 請求人は、捌いた鰻を熟成させてから調理することを試み、試行錯誤のすえ、初めて「死後硬直後のうなぎを用いたうなぎ料理の提供」というサービスを始めたパイオニアであり、極めて独創的なサービスを考案したものであり、その独創性を表現した本願商標は登録されるべきである旨主張する。 しかしながら、本願商標が、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当することは、上記(1)のとおりであって、請求人自身も「鰻を熟成させてから調理する」旨述べている上、仮に、請求人が独創的なサービスを考案したのであったとしても、そのことと本願商標が自他役務識別機能を有することとは、直接の関係はない。 オ 請求人は、本願商標は、書家によって作成された特徴ある書体からなる標章であり、商標全体として識別力を発揮する旨主張する。 しかしながら、書家によって作成された書体であったとしても、当審における証拠調べ通知において示したとおり、鰻などの魚類の名称を四角囲みで表すことが普通に行われている実情も認められ、筆文字風書体で表すことも普通に採用される方法であるといえ、その書体も、普通に読める範囲の崩し方、書体におさまるものといえるから、いまだ普通に用いられる方法の域を出るものとはいえない。 カ よって、請求人の主張はいずれも採用できない。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することはできない。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

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2021-015053

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