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商標拒絶査定不服審判

2021-015043

ポータブルウインチ、ポータブル

審判番号
2021-015043
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2019-074483
請求日
2021年11月05日
審決日
2023年08月07日
公報発行日
2023年09月29日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】株式会社富士製作所
  • 【請求人代理人】高橋 三雄
  • 【請求人代理人】高橋 大典
審判長/審判官
  • 審判長 小松 里美
  • 審判官 鈴木 雅也
  • 審判官 藤村 浩二
分類
T18 .13 -WY (W07) / T18 .17 -WY (W07)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項3号商標法3条2項商標法4条1項16号
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項、商標法第4条第1項第16号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2019- 74483拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。

理由

理 由 1 手続の経緯 本願は、令和元年5月28日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和2年1月20日付け:拒絶理由通知書 令和2年4月3日 :意見書の提出 令和3年7月30日付け:拒絶査定 令和3年11月5日 :審判請求書、手続補足書の提出 令和4年12月5日付け:審尋 令和5年1月16日 :回答書、手続補正書の提出 令和5年1月17日付け:手続補足書の提出 令和5年3月27日 :上申書の提出 2 本願商標 本願商標は、別掲1のとおり、「ポータブルウインチ」の片仮名を横書きしてなり、第7類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願され、その後、指定商品については、上記1の手続補正により、第7類「手動ウインチ,手動巻上機」に補正されたものである。 3 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、「ポータブルウインチ」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、構成中の「ポータブル」の文字は、「持ち運びのできるさま。小型で携帯に便利なさま。」の意味を有する語として、また「ウインチ」の文字は、「巻揚げ機」の意味を有する語として、それぞれ一般に用いられているものである。そして、辞典に、「ポータブルウィンチ」の文字が「電動式ウィンチのうち、小容量で簡単に取り付け、操作できる形式のもの。」を意味する語として掲載されているものである。そうすると、本願商標をその指定商品中の「ウインチ」に使用する場合、これに接する取引者、需要者は、これを一体不可分の造語として認識するというよりも、「小型で簡単に持ち運びや操作等を行うことのできるウインチ」程の意味合いを理解するにすぎないものというのが相当であり、本願商標は、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものというべきである。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがありますから、同法第4条第1項第16号に該当する。また、本願商標は、出願人の業務に係る商品の出所表示として広く認識されているものとはいえないものであるから、これを出願人がその指定商品に使用した結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識するに至ったものと認めることはできず、商標法第3条第2項の要件を具備するものということはできない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 4 当審における審尋 当審において、令和4年12月5日付けで通知した審尋により、別掲2に示すとおりの事実を新たに示した上で、本願商標は、その指定商品中「ウインチ、巻上機」に使用した場合は、「小型で簡単に持ち運びや操作等を行うことのできるウインチ」を表示するものと容易に理解させるにとどまり、商標法第3条第1項第3号に該当する旨及び前記商品以外の指定商品に使用した場合は同法第4条第1項第16号に該当する旨の見解を示すとともに、請求人の主張及び上記1の手続補足書により提出された甲第1号証ないし甲第23号証からは、本願商標が、その指定商品について使用された結果、請求人の商品を表示するものとして、全国的な周知・著名性を獲得したものということはできず、同条第2項を適用することができない旨の見解を示し、請求人に意見を求めた。 5 審尋に対する請求人の意見 (1)請求人は、上記4の審尋に対し、令和5年1月16日提出の手続補正書にて指定商品を補正するとともに、同日提出の回答書において、本願商標は、補正後の指定商品である「手動ウインチ,手動巻上機」について使用された結果、請求人の商品を表示するものとして、全国的な周知・著名性を獲得しており、商標法第3条第2項の要件を具備している旨主張し、令和5年1月17日付け手続補足書により、甲第24号証ないし甲第35号証を提出した。 (2)さらに、請求人は、令和5年3月27日提出の上申書とともに、甲第36号証ないし甲第38号証を提出した。 6 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号該当性について 本願商標は、別掲1のとおり、「ポータブルウインチ」の文字をややデザインされた書体で横書きしてなり、一見して容易に「ポータブルウインチ」の片仮名を表したと看取、把握されるものであり、他に構成上の特徴は見いだせないものである。そして、その構成中の「ポータブル」の文字は、「持ち運びのできるさま。小型で携帯に便利なさま。」(広辞苑第七版 岩波書店)の意味を有する語として、また「ウインチ」の文字は、「巻揚げ機」(コンサイスカタカナ語辞典第4版 三省堂)の意味を有する語として、それぞれ一般に用いられている。 また、別掲2のとおり、本願の指定商品である荷役機械を取り扱う分野において、「ポータブルウインチ」の文字は、「小型で簡単に持ち運びや操作等を行うことのできるウインチ」程の意味合いを表すものとして一般的に使用されている事実がある。なお、「ウィンチ」の文字は、「ウインチ」の語同様、「winch」の英語を片仮名表記したものと認められ、本願商標を構成する「ウインチ」の語と同義のものとみるのが相当である。 そうすると、「ポータブルウインチ」の文字を普通に用いられる方法で横書きした構成からなる本願商標を、その指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、当該文字から、その使用に係る商品が、「小型で簡単に持ち運びや操作等を行うことのできるウインチ」であると認識するものと判断するのが相当である。 してみれば、本願商標は、その指定商品に使用した場合は、その構成全体をもって、「小型で簡単に持ち運びや操作等を行うことのできるウインチ」を表示するものと容易に理解させるにとどまり、取引者・需要者をして、商品の品質を表したものと認識されるものというべきである。 したがって、本願商標は、その指定商品に使用するときは、単に「小型で簡単に持ち運びや操作等を行うことのできるウインチ」であるという、商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものであり、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて 請求人は、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるとしても、同条第2項を適用して登録が認められるべきである旨を主張し、上記1の手続補正書にて、本願商標の指定商品を「手動ウインチ,手動巻上機」に補正したうえで、甲第1号証ないし甲第38号証を提出している。 ア そこで検討するに、請求人の主張及び請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。 (ア)請求人は、1964年に「ポータブルウインチ」と称する「手動ウインチ,手動巻上機」の製造販売を開始し(甲1)、当該商品名の商品を継続して販売している(甲2~甲8、甲37等。以下、当該「手動ウインチ,手動巻上機」を「使用商品」という。)。 (イ)使用商品に係るカタログ及びパンフレット(甲2、甲3、甲4、甲37)、当該商品本体に付された銘板(甲31、甲38)並びに当該商品の包装容器(甲32)に表示された「ポータブルウインチ」の片仮名は、いずれも本願商標と文字構成が同一で、本願商標と同一視できるものとみるのが相当である。 (ウ)使用商品の1979年ないし2021年上期までの43年間の販売の数量は543,401台、売上高は11,492,513,588円である(甲8)。 (エ)本願商標の指定商品の国内シェアは、請求人と他2社で国内市場をほぼ独占している状況であり、請求人を含む2社で国内市場の7割以上を占めている。また、請求人の日本国内の手動ウィンチのシェアは、2019年からの3年間で28.0%であり、使用商品のシェアは24.1%である(甲36)。 (オ)請求人は、東京都、大阪府、石川県に本社及び営業所等を構え、本件使用商品を日本全国で販売している(甲1、甲5)。 (カ)本件使用商品に係るパンフレットの発行部数は、2013年から累計で95,000部であり、配布先は日本全国である(甲7)。 (キ)請求人は,「日本物流新聞」、「会社ガイド」、「モノづくりハンドブック セレシナ」において、2013年1月から継続して本件使用商品の広告を行い、これらの新聞、定期刊行物は日本全国で頒布された(甲12~甲16)。また、「日本産機新聞」、「仕入ガイドブック」、「全国機械工具業者名鑑」、「全国製造工場名鑑」においても2010年3月から継続して本件使用商品の広告を行い、これらの新聞、定期刊行物は日本全国で頒布された(甲17~甲21)。 (ク)第三者による紹介記事として、「日本産機新聞」において本件使用商品が多数紹介された(甲22)。 (ケ)本願商標の指定商品の分野において、「ポータブルウインチ」の文字が請求人の製品以外の商品について使用されている事実は見当たらない。 イ 以上(ア)ないし(ケ)の事実を総合して判断するに、請求人は、本願商標を補正後の指定商品(本件使用商品)について約60年にわたり、商標の同一性を損なわない範囲で継続して使用しており、その市場シェア、売上げ規模も相当程度高いものであり、また、本願商標の指定商品は土木機械や荷役機械の類いであって、その需要者は、主に建設工事等に関わる専門的で限られた取引者、需要者であるところ、それらの取引者、需要者が目にするようなパンフレット、新聞、雑誌等において継続的に多数使用商品の宣伝広告がされていることに加え、本願商標の指定商品の分野においては、請求人以外に「ポータブルウインチ」の文字を使用していないことからすれば、本願商標は、使用をされた結果、請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものということができる。 したがって、本願商標は、その指定商品「手動ウインチ,手動巻上機」について、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものであり、商標法第3条第2項の要件を具備するものとして、商標登録を受けることができる。 (3)商標法第4条第1項第16号該当性について 本願の指定商品は、上記2のとおり補正された結果、指定商品に使用をしても商品の品質について誤認を生ずるおそれはなくなったものと認められる。 したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。 (4)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものの、同条第2項の規定により商標登録を受けることができるものであり、かつ、同法第4条第1項第16号に該当しないから、原査定は、取消を免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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