商標拒絶査定不服審判
2021-014696
- 審判番号
- 2021-014696
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2018-043036
- 請求日
- 2021年10月29日
- 審決日
- 2022年05月09日
- 公報発行日
- 2022年07月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】キッコーマン株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人浅村特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 矢澤 一幸
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 阿曾 裕樹
- 分類
- T18 .13 -WY (W30) / T18 .17 -WY (W30)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2018-43036拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。
理由
理 由
1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第30類「しょうゆ」を指定商品として、平成30年4月5日に立体商標として登録出願されたものである。
原審では、平成30年12月4日付けで拒絶理由の通知、同31年4月12日付け及び令和元年8月28日付けで意見書の提出、同3年7月28日付けで拒絶査定されたもので、これに対して同年10月29日付けで本件拒絶査定不服審判が請求されている。
2 原査定の拒絶の理由(要旨)
(1)商標法第3条第1項第3号
本願商標は、その指定商品との関係において、商品を包装する包装容器の基本的な形状を容易に認識させる立体的形状からなるものであり、その立体的形状は、商品の包装容器の機能又は美観を発揮させるための商品の包装容器の一形態を表示するにすぎず、同種商品の包装容器が一般的に採用し得る範囲内にとどまる。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、取引者、需要者は、単に商品の包装容器の一形態を表示するにすぎないと理解するにとどまり、自他商品の出所識別標識と認識し得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項
請求人提出の証拠には、本願商標の使用数量(生産数、販売数等)、使用期間及び使用地域、広告物、雑誌等での紹介などの証左はあるが、本願商標に係る広告物(新聞、雑誌、カタログ、ちらし、テレビCM等)では、本願商標の立体的形状のしょうゆ製品のパッケージにおいては、出願人の会社名及びハウスマーク等の文字図形が中央に配置されており、これらが需要者の目につき易く、強い印象を与える。
また、需要者の商標の認識度を調査したアンケートの結果などの証左もないため、提出証拠によっては、本願商標をその指定商品に使用した結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものとは認められない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備しない。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
ア 本願商標は、別掲1のとおり、(ア)下側になだらかに膨らんだ容器(キャップ部と胴体からなる。)の立体的形状であって、(イ)キャップ部付近は紫色を基調色とし、上部に縞状模様(赤紫及び黄系の色彩の細い横線を組み合わせてなる。)を周縁に配し、(ウ)胴体部分は白色を基調色とし、上部及び下部には縞状模様(青系、紫色、黄系及び桃色の色彩の細い横線を組み合わせてなる。)を周縁に配してなるものである。
イ 本願商標の指定商品を取り扱う業界においては、商品の包装容器として様々な形態のもの(下方に向けてなだらかに膨らんだ形状も含む。)が採択されており、その包装の装飾として、様々な図形や色彩、模様(縞状模様を含む。)を付すことが一般に広く行われている。
ウ そうすると、本願商標は、商品の機能又は美観に資することを目的とする、又はその目的からの形状の選択であると予測し得る範囲の形状(及び装飾)からなるものだから、商品の包装の形状を普通に用いられる方法で表示してなる商標である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項について
ア 請求人提出の証拠及び主張によれば、以下の事実が認められる。
(ア)請求人は、しょうゆ製造の大手企業であり(甲70)、2010年9月に「いつでも新鮮」シリーズの生しょうゆを発売(甲7)、2011年8月に200mlサイズの「いつでも新鮮卓上ボトル」シリーズを発売した(甲3)。
(イ)上記シリーズの商品のうち、「いつでも新鮮しぼりたて生しょうゆ200ml」(以下「請求人商品」という。)の容器は、別掲2のとおり、(a)下側になだらかに膨らんだ容器の立体的形状であって、(b)キャップ部付近は紫色を基調色とし、上部に縞状模様(赤紫及び黄系の色彩の細い横線を組み合わせてなる。)を配し、(c)胴体部分は白色を基調色とし、上部及び下部には縞状模様(青系、紫色、黄系及び桃色の色彩の細い横線を組み合わせてなる。)を配し、(d)上記縞模様以外の空白部分には文字(「キッコーマン」、「しぼりたて/生/しょうゆ」など)や図形を表示してなるところ、上記(a)から(c)は、本願商標の形状(及び模様)の構成要素と共通する。
(ウ)請求人商品は、日本全国の総合スーパー、スーパーマーケットチェーン店及びコンビニエンスストアなどにおいて販売されている(請求人の主張)。
そして、請求人に係る「いつでも新鮮」シリーズは、2011年度で11億円、2013年度で45億円の売上額(甲7)があり、「いつでも新鮮卓上ボトル」シリーズは、発売以来、売上高が毎年ほぼ倍増のペースが続いており(甲20。2014年の新聞記事情報。)、請求人商品は、2020年度で19億円に迫る売り上げがあったとされる(請求人の主張)。
(エ)請求人商品やそのシリーズ商品は、その発売以降継続的に、新聞や雑誌、インターネット上の記事情報などにおいて、請求人商品の写真を表示(色彩や全体構成が明瞭に確認できないものを含む。)した広告や商品紹介記事が掲載されている(甲3~甲5、甲7、甲8、甲16~甲44、甲60、甲65~甲67、甲76~甲81、甲84)。
(オ)請求人商品やそのシリーズ商品のテレビCM(請求人商品を表示するものを含む。)は、2010年から2021年にかけて、日本全国において放映されている(甲11~甲15、甲72~甲75)。
また、請求人商品やそのシリーズ商品と関連する情報を取り上げたり、同商品を画面に映り込ませたりするテレビ番組も放映されている(甲45~甲58、甲68、甲82、甲83)。
イ 判断
上記認定事実によれば、請求人商品は、2011年8月の発売以降、本願商標と共通する構成要素(形状、模様)を備える、社会通念上同一といえる容器形状を、現在に至るまで10年以上、継続的に採択しており、その商品の販売実績も、日本全国の小売店(スーパーマーケット、コンビニエンスストア)を通じて、相当程度の売上規模があるもので、その広告宣伝として、新聞や雑誌、インターネット上の記事情報、テレビCMやテレビ番組等を通じて、その容器の形状(模様)を表示しつつ、発売以来継続的に日本全国において周知されていたことを踏まえると、本願商標に相当する立体的形状(及び模様)は、請求人に係る商品(しょうゆ)を表示する標識として、我が国の需要者の間において、広く認識されているに至っていたと認められる。
そうすると、本願商標は、請求人による継続的な使用の結果、需要者が何人か(請求人)の業務に係る商品であることを認識することができるに至っているもので、商標法第3条第2項の要件を具備する。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものの、同条第2項の要件を具備するから、これを理由として本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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