商標拒絶査定不服審判
2021-014244
ワラビマン
- 審判番号
- 2021-014244
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-094744
- 請求日
- 2021年10月20日
- 審決日
- 2023年07月04日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】浪芳庵株式会社
- 【請求人代理人】森本 聡
- 審判長/審判官
- 審判長 矢澤 一幸
- 審判官 豊田 純一
- 審判官 杉本 克治
- 分類
- T18 .13 -Z (W30) / T18 .272-Z (W30)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号、商標法第3条第1項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020- 94744拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「わらびまん」の文字を標準文字で表してなり、第30類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。)」(以下「原審商品」という。)を指定商品として、令和2年7月31日に登録出願されたものである。
本願は、令和2年12月15日付けで拒絶理由の通知がされ、同3年4月23日に意見書が提出されたが、同年7月16日付けで拒絶査定がされたものである。
これに対し、令和3年10月20日に拒絶査定不服審判の請求がされ、原審商品は、同日受付の手続補正書により、第30類「和菓子」(以下「当審補正商品」という。)に補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、本願商標は「わらびまん」の文字を標準文字で表してなるところ、構成中「わらび」の文字は、「コバノイシカグマ科のシダ。山地の日当りのよい乾燥地に群生する。世界の温帯に広く分布。早春、地中の根茎からこぶし状に巻いた新葉を出し、これを『さわらび(早蕨)』という。食用。根茎から蕨粉をとる。」の意味を、「まん」の文字は、「饅頭」の意味を有する語で、原審商品を取り扱う業界において、わらび粉を使用したまんじゅうが取引されていることから、本願商標を原審商品中「わらび粉を使用した饅頭」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、わらび粉を使用した饅頭であることを認識するにとどまり、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものと判断するのが相当であるため、商標法第3条第1項第3号に該当し、「わらび粉を使用した饅頭」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における審尋
当審において、令和4年6月3日付け審尋により、請求人(出願人)(以下「請求人」という。)に対し、別掲1及び別掲2のとおりの事実を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第1号、同項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。
第4 審尋に対する請求人の回答(要旨)
請求人は、上記第3の審尋に対し、令和4年7月12日受付の意見書(以下「当審意見書」という。)を提出し、当審意見書において、要旨、以下、1ないし5のとおりの意見を述べた。
1 請求人による使用以外に「わらびまん」が通用されている事実は皆無であり、「わらびまん」が当審補正商品を取り扱う業界において、商品の普通名称を表示するものとして普通に使用されているという事実はなく、実際、わらび粉を原材料として使用した饅頭を「わらびまん」と称する使用例はないから、現時点において、本願商標が当審補正商品を取り扱う業界において、商品の一般的な名称(略称)であるということはできない。
2 本願商標の構成中「わらび」の文字が「コバノイシカグマ科のシダ。山地の日当りのよい乾燥地に群生。世界の温帯に広く分布。早春、地中の根茎からこぶし状に巻いた新葉を出し、これを「さわらび(早蕨)」という。食用。根茎から蕨粉をとる。」を示すものであることは認めるが、その構成中「まん」の文字には、「饅」のほかに、「間」、「万」、「満」、「man」などの意味がある(広辞苑第7版)から、本願商標の構成中の「まん」から「饅頭」の「饅」の意味のみが一義的に生じると解することは適切ではない。
3 本願商標は「わらびまん」であって「わらび饅」ではないため、「わらびまん」の文字に接した取引者や需要者が、わらびを使った和菓子のマスコットキャラクターの名称やわらびの新葉が詰まった和菓子であるとイメージすることも可能であって、当審補正商品との関係に鑑みても、本願商標をわらびまんじゅうの略称であると断定することはできない。
4 本願商標は特定の品質を直接かつ具体的に表示するものとして、取引者・需要者に、認識・把握されていないこと、当審補正商品を取り扱う業界において、特定の商品の品質を表示するものとして、取引上、一般に使用されていないことの条件を満たすから、商標法第3条第1項第3号に該当するものではない。
5 「品質や原材料」を示す部分と「まん」や「マン」とを組み合わせてなる商標に対する審査において、「特定の原材料を使用したまんじゅう」以外の菓子に使用しても、その商品が「まんじゅう」であるかのように、商品の品質を誤認させるおそれがあるとは判断されていないため、本願商標を「まんじゅう」以外の和菓子に使用しても、その商品が「まんじゅう」であるかのように、商品の品質を誤認させるおそれがあるとはいえない。
第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「わらびまん」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「わらび」の文字は、「コバノイシカグマ科のシダ。山地の日当りのよい乾燥地に群生する。世界の温帯に広く分布。早春、地中の根茎からこぶし状に巻いた新葉を出し、これを「さわらび(早蕨)」という。食用。根茎から蕨粉をとる。」を意味し、「まん」の文字は「慢頭。」(いずれも「広辞苑第7版」発行者:株式会社岩波書店)を意味する語である。
そして、別掲1のとおり、当審補正商品に包含されると認められる商品「まんじゅう」(以下「当審補正商品中のまんじゅう」という。)を取り扱う業界において、わらび粉を原材料として使用したまんじゅうが「わらびまんじゅう(饅頭)」と称され、製造、販売されている事実がある。
また、別掲2のとおり、当審補正商品中のまんじゅうを取り扱う業界において、「○○まん」(「○○」は、まんじゅうの原材料を表す文字)の表記が、「○○」を原材料として製造されるまんじゅうであることを表す「○○まんじゅう」の略称を理解させる語として使用されている。
そうすると、「わらびまん」の文字は、構成各文字の意味合いから、「わらび粉を使用したまんじゅう」であることを容易に理解させるものである。
してみれば、「わらびまん」の文字を標準文字で表してなる本願商標を、当審補正商品中のまんじゅうに使用しても、これに接する需要者は、単に、その商品が、「わらび粉を使用した商品」であることを認識するにすぎないから、商品の原材料及び商品の品質を普通に用いられる方法で表示するものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 商標法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「わらびまん」の文字を標準文字で表してなるところ、上記1のとおり、本願商標は、構成各文字の意味合いから、「わらび粉を使用したまんじゅう」の意味合いを容易に理解させるものである。
また、本願商標の構成中の「まん」の文字は、当審補正商品との関係においては、別掲2のとおり、「まんじゅう」の略称を理解させるものと認められる。
そうすると、本願商標を、当審補正商品中のまんじゅう以外の和菓子に使用するときは、その商品が、あたかも「まんじゅう」であるかのように、商品の品質を誤認させるおそれがある。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、当審意見書にて、本願商標の構成中「わらび」の文字が「コバノイシカグマ科のシダ。山地の日当りのよい乾燥地に群生。世界の温帯に広く分布。早春、地中の根茎からこぶし状に巻いた新葉を出し、これを「さわらび(早蕨)」という。食用。根茎から蕨粉をとる。」を示すものであることは認めるが、その構成中「まん」の文字には、「饅」のほかに、「間」、「万」、「満」、「man」などの意味がある(広辞苑第7版)から、本願商標の構成中の「まん」から「饅頭」の「饅」の意味のみが一義的に生じると解することは適切ではない旨主張する。
しかしながら、当審補正商品は「和菓子」であるところ、別掲2のとおり、当審補正商品中のまんじゅうを取り扱う業界において、「○○まん」(「○○」は、まんじゅうの原材料を表す文字)の表記が、「○○まんじゅう」の略称を理解させる語として使用されていることからすると、請求人の主張のとおり、「まん」には、「饅」のほかに、「間」、「万」、「満」及び「man」などの意味があるとしても、本願商標の構成中の「まん」の文字は、「まんじゅう」の略称を表示したものと判断するのが相当である。
(2)請求人は、当審意見書にて、本願商標は「わらびまん」であって「わらび饅」ではないため、「わらびまん」の文字に接した取引者や需要者が、わらびを使った和菓子のマスコットキャラクターの名称やわらびの新葉が詰まった和菓子であるとイメージすることも可能であって、当審補正商品との関係に鑑みても、本願商標をわらびまんじゅうの略称であると断定することはできない旨主張する。
しかしながら、請求人の主張のとおり、本願商標は「わらびまん」であって「わらび饅」ではないとしても、別掲2のとおり、当審補正商品中の「まんじゅう」を取り扱う業界において、「○○まん」(「○○」は、まんじゅうの原材料を表す文字)の表記が、「○○まんじゅう」の略称を理解させる語として使用されていることからすると、本願商標に接する取引者、需要者に「わらび粉を使用したまんじゅう」であることを容易に理解させるものである。
また、本願商標に接する取引者や需要者が、請求人の主張のように、「わらびを使った和菓子のマスコットキャラクターの名称」や「わらびの新葉が詰まった和菓子である」とイメージすると客観的に判断し得る証拠は何ら提出されていない。
(3)請求人は、当審意見書にて、本願商標は特定の品質を直接かつ具体的に表示するものとして、取引者・需要者に、認識・把握されていないこと、指定商品を取り扱う業界において、特定の商品の品質を表示するものとして、取引上、一般に使用されていないことの条件を満たすから、商標法第3条第1項第3号に該当するものではない旨主張する。
しかしながら、「商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである」(東京高裁平成12年(行ケ)第76号、同年9月4日判決参照)と判示されていることからすると、仮に、「わらびまん」の文字が商品の具体的な品質等を表示するものとして、取引上一般に使用されているという事実がないとしても、別掲1のとおり、当審補正商品中のまんじゅうを取り扱う業界において、わらび粉を原材料として使用したまんじゅうが「わらびまんじゅう(饅頭)」と称され、製造、販売されている事実があり、別掲2のとおり、当審補正商品中のまんじゅうを取り扱う業界において、「○○まん」(「○○」は、まんじゅうの原材料を表す文字)の表記が、「○○まんじゅう」の略称を理解させる語として使用されていることからすると、「わらびまん」の文字は、構成各文字の意味合いから、「わらび粉を使用したまんじゅう」であることを容易に理解させものである。
したがって、本願商標は、単に、その商品が「わらび粉を使用した商品」であることを認識するにすぎないから、商品の原材料及び商品の品質を普通に用いられる方法で表示するものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当すると判断するのが相当である。
(4)請求人は、「品質や原材料」を示す部分と「まん」や「マン」とを組み合わせてなる商標に対する審査において、「特定の原材料を使用したまんじゅう」以外の菓子に使用しても、その商品が「まんじゅう」であるかのように、商品の品質を誤認させるおそれがあるとは判断されていないため、本願商標を「まんじゅう」以外の和菓子に使用しても、その商品が「まんじゅう」であるかのように、商品の品質を誤認させるおそれがあるとはいえない旨主張する。
しかしながら、上記1のとおり、本願商標は、構成各文字の意味合いから、「わらび粉を使用したまんじゅう」の意味合いを容易に理解させるものであり、本願商標の構成中の「まん」の文字は、当審補正商品との関係においては、別掲2のとおり、「まんじゅう」の略称を理解させるものと認められることから、本願商標を当審補正商品中のまんじゅう以外の和菓子に使用するときは、その商品が、あたかも「まんじゅう」であるかのように、商品の品質を誤認させるおそれがあると判断するのが相当である。
そして、請求人の挙げる判決例、審決例等は、本願商標とは、構成文字や構成態様が異なるものであって、かつ、具体的事案の判断においては、過去の登録例等に拘束されることなく、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と取引の実情に応じて個別的に判断されるべきであるから、請求人の挙げる判決例、審決例及び登録例の存在によって、上記1及び上記2の認定、判断が左右されるものではない。
(5)以上のとおり、請求人の上記主張は、いずれも採用することができず、その他、請求人の主張は、採用するべき事情はない。
4 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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