商標拒絶査定不服審判
2021-014241
アブリミタラシ
- 審判番号
- 2021-014241
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-094742
- 請求日
- 2021年10月20日
- 審決日
- 2024年03月21日
- 公報発行日
- 2024年06月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】浪芳庵株式会社
- 【請求人代理人】森本 聡
- 審判長/審判官
- 審判長 豊田 純一
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 小田 昌子
- 分類
- T18 .13 -Z (W30) / T18 .272-Z (W30) / T18 .17 -Z (W30)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法3条2項商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第2項、商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号、特許法第150条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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商願2020-94742拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「炙りみたらし」の文字を標準文字で表してなり、第30類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。)」(以下「原審商品」という。)を指定商品として、令和2年7月31日に登録出願されたものである。
本願は、令和2年12月15日付けで拒絶理由の通知がされ、同3年4月23日受付の意見書(以下「原審意見書」という。)が提出されたが、同年7月16日付けで拒絶査定がされたものである。
これに対して令和3年10月20日に拒絶査定を不服とする審判の請求がされ、原審商品は、同4年8月16日受付、同5年3月31日受付及び同年5月18日受付の手続補正書により、第30類「もち米を主原料とするもち菓子」(以下「当審補正商品」という。)に補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、本願商標は「炙りみたらし」の文字を標準文字で表してなるところ、構成中の「みたらし」の文字は、原審商品を取り扱う業界において、「竹串に米粉で製した数個の団子を刺し、甘い醤油だれをからめたもの。」の意味を有する「みたらし団子」に通じるものとして使用され、また、甘い醤油だれを特徴とする商品の品質を表すものとして使用されており、そして、炙ったみたらし団子が「炙りみたらし」や「炙りみたらし団子」と称されて販売されている実情が認められることから、本願商標を原審商品中、「炙ったみたらし団子」に使用したときには、これに接する取引者、需要者は、商品の品質を表したものと認識するにとどまるため、商標法第3条第1項第3号に該当し、これを「炙ったみたらし団子」以外の原審商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当し、また、提出された証拠によっても、本願商標は、同法第3条第2項の要件を具備しない旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における証拠調べ通知及び審尋
1 当審において、請求人(出願人)(以下「請求人」という。)に対し、令和4年4月22日付け証拠調べ通知書(以下「証拠調べ通知」という。)により、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲1の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、その結果を示し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。
2 当審において、請求人に対し、令和4年7月5日付け審尋及び同5年2月27日付け審尋(以下、これらをまとめて「審尋」という。)により、別掲2及び別掲3の事実を提示したうえで、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。
第4 証拠調べ通知及び審尋に対する請求人の意見(要旨)
請求人は、上記第3の証拠調べ通知及び審尋に対して、令和4年6月6日、同年8月16日及び同5年3月31日受付の意見書(以下これらをまとめて「当審意見書」という。)を提出し、要旨、以下1ないし3のとおりの意見を述べた。
1 「炙りみたらし」をキーワードとしたインターネットの検索結果からみても、本願の指定商品を取り扱う業界において「炙りみたらし」の文字が商品の具体的な品質等を表示するものとして普通に用いられていると認めるに足る事実は皆無である。
2 請求人が長年にわたって、本願商標を、本願商標が使用されている商品に使用した結果、一般需要者の間で「炙りみたらし」といえば、請求人による商品を示すものであると広く認識されるに至っており、本願商標は、商標法第3条第2項に該当するものである。
3 一般論として、「餅」とはもち米からなるものであるのに対して、「団子」とはうるち米からなるものであるため、一般的な「みたらし団子」は「もち菓子」に含まれない。
第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第16号該当性について
本願の指定商品は、当審補正商品に補正された結果、本願商標を当審補正商品に使用しても商品の品質について誤認を生ずるおそれはなくなった。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定の拒絶の理由は解消した。
2 商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、上記第1のとおり、「炙りみたらし」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「炙り」の文字は、「火にあてて軽く焼く。」(「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店発行)の意味を、「みたらし」の文字は、「竹串に米粉で製した数個の団子を刺し、甘い醤油だれをからめたもの。」(前掲書)の意味を有する「みたらし団子の略。」(「大辞林 第四版」株式会社三省堂発行)を表すものであるから、本願商標は、その構成全体として「炙ったみたらし団子」ほどの意味合いを容易に理解させるものである。
そして、別掲1(1)及び別掲2(1)のとおり、「みたらし団子」を取り扱う業界において、「みたらし」の語が「みたらし団子(だんご)」を指称するものとして使用されている事実がある。
また、別掲2(2)のとおり、「みたらし団子」を取り扱う業界において、「みたらし団子」は、その製造工程として、火にあてて軽く焼くことが行われている事実がある。
さらに、別掲1(2)及び別掲2(3)のとおり、「みたらし団子」を取り扱う業界において、「炙ったみたらし団子」が販売され、請求人以外の者が、「火にあてて軽く焼くという製造工程を経たみたらし団子」を表示する際に、「炙りみたらし団子(あぶりみたらしだんご)」又はその略と認識できる「炙りみたらし(あぶりみたらし)」の語を一般に使用している事実がある。
加えて、別掲3(2)のとおり、みたらし団子は、うるち米(上新粉)と餅米(白玉粉)を主原料とする商品も存在する事実がある。
そうすると、「炙りみたらし」の文字を標準文字で表してなる本願商標は、これを、当審補正商品について使用しても、これに接する取引者、需要者は、「もち米を主原料とする炙った(火にあてて軽く焼くという製造工程を経た)みたらし団子」であることを認識するにとどまるから、本願商標は、単に、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に該当すると判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
3 本願商標の使用による自他商品の識別性について
請求人は、原審意見書及び令和4年8月16日受付の意見書にて、本願商標は、請求人が長年にわたって、本願商標が使用されている商品(以下「本件商品」という。)に使用した結果、一般需要者の間で「炙りみたらし」といえば、請求人による商品を示すものであると広く認識されるに至っており、本願商標は、商標法第3条第2項に該当する旨主張しているが、その前提として、本願商標が同条第1項第3号に該当するものであることは、上記2のとおりである。
そこで、請求人の主張及び同人が提出した証拠(原審において請求人が提出した資料1ないし資料33は、資料1を甲第1号証、資料2を甲第2号証のように順次読み替え、当審において請求人が提出した甲第1号証ないし甲第37号証(枝番を含む。)は、甲第1号証を甲第34号証、甲第2号証を甲第35号証のように順次読み替える。また、甲各号証の表記にあたっては、「甲○」のように省略して表示する場合がある。)を参照し、以下、本願商標の使用による自他商品の識別性(本願商標の商標法第3条第2項該当性)について検討する。
(1)商標法第3条第2項について
ある標章が商標法第3条第2項所定の「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるもの」に該当するか否かは、出願に係る商標と外観において同一とみられる標章が指定商品とされる商品に使用されたことを前提として、その使用開始時期、使用期間、使用地域、使用態様、当該商品の販売数量又は売上高等、当該商品又はこれに類似した商品に関する当該標章に類似した他の標章の存否などの事情を総合考慮して判断されるべきである(知的財産高等裁判所 平成24年(行ケ)第10285号、平成25年1月24日判決参照)。
そこで、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するかについて、以下、判断する。
(2)請求人の主張及び同人の提出に係る証拠によれば、以下のとおりである。
請求人の主張及び同人から提出された証拠によれば、請求人が2010年頃から本件商品を販売していたこと(甲5)、2011年以降のウェブサイトやブログ等に本件商品に関する需要者による投稿記事が掲載されたこと(甲18~甲21、甲24、甲25)、2011年から2022年にかけて、雑誌やテレビ番組等で本件商品が紹介されたこと(甲22、甲23、甲26、甲27、甲51~甲66)、2021年時点で本件商品を取り扱う店舗は、大阪周辺に5店舗、2010年から2020年に青森県で1店舗存在していたこと(甲28~甲30)、2018年から2021年の間に計65か所で開かれた催事に出店し、本件商品を販売してきたこと(甲31、甲50)がうかがえる。
しかしながら、提出された証拠からは、ウェブサイトや雑誌、テレビ等での本件商品に関する広告宣伝の頻度はさほど多いとはいえず、本件商品を取り扱う店舗も大阪を中心とした限定された地域にとどまり、全国規模とはいえない上、本件商品が販売されたとする催事についても、4年間での開催実績としては決して多いとはいえない。
その他、本願商標が本件商品に使用された結果、請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至ったことを判断するための証拠(本件商品の販売数量、売上高、市場占有率、広告宣伝費など)は確認することができない。
以上からすれば、本願商標が本件商品に使用された結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものと認めることはできない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備しない。
4 請求人の主張について
(1)請求人は、令和4年6月6日受付の意見書にて、「炙りみたらし」をキーワードとしたインターネットの検索結果からみても、本願の指定商品を取り扱う業界において「炙りみたらし」の文字が商品の具体的な品質等を表示するものとして普通に用いられていると認めるに足る事実は皆無である旨主張する。
しかしながら、「炙りみたらし」の文字から理解される意味合いや、「火にあてて軽く焼くという製造工程を経たみたらし団子」を表示する際に、「炙りみたらし団子(あぶりみたらしだんご)」又はその略と認識できる「炙りみたらし(あぶりみたらし)」の語を一般に使用している事実があることからすると、「炙りみたらし」は、「炙った(火にあてて軽く焼くという製造工程を経た)みたらし団子」であることを認識するにとどまるというべきであり、商品の具体的な品質等を表示するものとして普通に用いられているものと判断するのが相当である。
(2)請求人は、令和4年8月16日受付の意見書にて、請求人が長年にわたって、本願商標を、本願商標が使用されている商品に使用した結果、一般需要者の間で「炙りみたらし」といえば、請求人による商品を示すものであると広く認識されるに至っており、本願商標は、商標法第3条第2項に該当するものである旨主張する。
しかしながら、上記3のとおり、本願商標が本件商品に使用された結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものと認めることはできないことからすると、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものとはいえない。
(3)請求人は、令和5年3月31日受付の意見書にて、一般論として、「餅」とはもち米からなるものであるのに対して、「団子」とはうるち米からなるものであるため、一般的な「みたらし団子」は「もち菓子」に含まれない旨主張する。
しかしながら、別掲3(2)のとおり、「みたらし団子」と称される商品には、もち米を主原料とするものが存在することは明らかである。
(4)請求人の上記主張は、いずれも採用することができず、また、請求人によるその他の主張も、採用することはできない。
5 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しないとしても、同法第3条第1項第3号に該当し、また、同条第2項の要件を具備するものではないから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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