商標拒絶査定不服審判
2021-013778
カゾクソーノセレモニーハウス
- 審判番号
- 2021-013778
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-027029
- 請求日
- 2021年10月11日
- 審決日
- 2023年02月20日
- 公報発行日
- 2023年05月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ライフアンドデザイン・グループ株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人白坂
- 審判長/審判官
- 審判長 岩崎 安子
- 審判官 大森 友子
- 審判官 馬場 秀敏
- 分類
- T18 .13 -Z (W3545) / T18 .17 -Z (W3545)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項、商標法第3条第1項第6号、商標法第3条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-27029拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年3月12日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 3月 8日付け:拒絶理由通知書
令和3年 4月 8日付け:意見書
令和3年 7月13日付け:拒絶査定
令和3年10月11日付け:審判請求書
令和4年 7月14日付け:審尋
令和4年 8月29日付け:回答書、手続補正書
第2 本願商標
本願商標は、「家族葬のセレモニーハウス」の文字を標準文字で表してなり、第35類及び第45類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として登録出願され、その後、指定役務については、上記第1の手続補正書により、最終的に、第45類「火葬を伴う葬儀の執行,葬儀に関する情報の提供,インターネットを利用した葬儀・通夜・法要の執行に関する費用の見積もり及びこれらに関する情報の提供,葬儀に関する相談」に補正されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は、「本願商標は、「家族葬のセレモニーハウス」の文字を標準文字で表してなるところ、全体として「家族葬のための葬儀場」ほどの意味を認識させる。そして、本願の指定役務を取り扱う業界において、近年、家族葬の需要を捉え、家族葬を取り扱っていることや家族葬に適したサービスが提供されている実情がある。そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する需要者は、「家族葬のための葬儀場」に関する役務であることを理解し、認識するにとどまり、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第4 当審における審尋
当審において、令和4年7月14日付け審尋により別掲のとおりの事実を提示した上で、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。
第5 審尋に対する請求人の回答(要旨)
請求人は、上記第4の審尋に対し令和4年8月29日付け回答書を提出し、要旨以下のように主張するとともに、同日付け手続補正書により指定役務を補正した。
なお、請求人は上記回答書と同時に甲第1号証ないし甲第11号証を提出しているが、当審において審判請求書と同日付け手続補足書で、甲第1号証ないし甲第14号証を提出しているため、回答書と同時に提出された甲各号証は、以下、甲第15号証ないし甲第25号証と読み替える。
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
(1)本願指定役務の需要者は、葬儀の執行や葬儀に係る情報を必要とする者であり、誰もが需要者となり得る。これをふまえ、本業界に知識のない需要者が本願商標に接した際に、「セレモニーハウス」を「家族葬を行うための家のような施設」と一義的に解するのは自然とはいえない。
(2)また、本願商標「家族葬のセレモニーハウス」は、一語の造語となっており、役務の質や提供場所を一義的な意味で解釈させる語とはいい難く、「家族葬」「セレモニーハウス」の文字が使用されているとしても「家族葬のセレモニーハウス」で使用されている事実は見いだすことはできない。
2 商標法第3条第2項該当性について
(1)「家族葬のセレモニーハウス」でネット検出されるのは、請求人及び子会社(以下、これらを「請求人ら」という場合がある。)のサービス施設であり、121施設を経営し、業界トップである。このうち、75施設において本願商標を店舗やパンフレット等に使用している(甲15、甲16)。
(2)本願商標は、「火葬を伴う葬儀の執行,葬儀に関する情報の提供」等(以下、「使用役務」という。)に2019年4月から使用を開始した。
(3)請求人らが本件商標の使用を開始した時点での同業者による本願商標の使用はなく、請求人らは、現在石川県、京都府、滋賀県、神奈川県、大阪府、東京都、兵庫県、北海道の121施設のうち、75施設に本願商標を使用したサービスを提供している。
(4)請求人らにおける葬儀の契約件数は、2020年3月期8,381件、2021年3月期12,003件、2022年3月期17,252件、2023年3月期6,592件であり、多くの需要者に本願商標が認識されている。
(5)2022年6月時点の関西エリアにおける直営葬儀場数は、請求人らにおける葬儀場数がトップである(甲18)。
(6)本願商標を使用した事業について、テレビCM、インターネット広告、チラシ・折り込み広告及び看板・交通広告を用いて広告を行っており、2019年4月から2023年3月の4年間の投資額は、合計で57億6千万円を上回る。特にテレビCMにおけるGRP(Gross Rating Point)は2021年7月からの一年間で計8343%となっている(甲19~甲25)。
(7)したがって、本願商標が仮に商標法第3条第1項第3号に該当しても、使用により周知となっており、識別力を備えるに至っている商標である。
第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
(1)本願商標は、「家族葬のセレモニーハウス」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「家族葬」の文字は、「家族・親族を中心に営まれる葬式。多く、通夜・告別式などの儀式を小規模に行う。故人の親しい友人が参列することもある。」(デジタル大辞泉 株式会社小学館)の意味を有するものとして一般に知られている。
また、「セレモニーハウス」の文字は、全体として辞書に載録のない語であるものの、「セレモニ-」の文字は「儀式」等の意味を、「ハウス」の文字は「家、家屋、建物」等の意味を、それぞれ有する語として親しまれていることもあって、「セレモニーハウス」の文字は、本願指定役務を提供する業界において、原審で示した事例の他にも、別掲のとおり、「(家族葬を行うための)家のような施設」「(家族葬を行うための)小さな施設」として使用されている実情がある。
そうすると、「家族葬」と「セレモニーハウス」の文字を格助詞の「の」で結合させた「家族葬のセレモニーハウス」の文字は、「家族葬(葬儀)を行うための施設」ほどの意味合いを理解させるというべきである。
してみれば、「家族葬のセレモニーハウス」の文字からなる本願商標をその指定役務に使用しても、取引者、需要者をして「家族葬(葬儀)を行うための施設に係る役務」又は役務の提供の場所であること、すなわち役務の質(内容)又は役務の提供の場所を表したものと認識、理解させるとみるのが相当である。
したがって、本願商標は、単に役務の質(内容)又は提供の場所を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、自他役務識別標識としての機能を果たさないから、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
なお、原査定は、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして、本願を拒絶したものであるが、原査定と当審における判断とは、いずれも、本願商標は自他役務識別標識としての機能を有するものではなく、商標法第3条第1項所定の商標登録の要件を欠くという共通の結論に至るものであるから、両者はその判断の内容において実質的に相違するものではない。
(2)請求人の主張について
請求人は、本業界に知識のない需要者は、本願商標に接した際に、「家族葬を行うための家のような施設」と一義的に理解するのは自然といい難いこと、本願商標は一語の造語であり、「家族葬」と「セレモニーハウス」の使用例はあるとしても本願商標の使用の事実は見いだせない旨を主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号の商品の品質に該当するというには、我が国の需要者、取引者が、商品の品質(役務の質)を表示するものとして認識するものであれば足りるといえるものであり、本願商標が実際に使用されていることまでを要求するものではないと解されるところ(東京高裁平成12年(行ケ)第76号 同年9月4日判決)、「家族葬のセレモニーハウス」の文字は、上記(1)のとおり、家族・親族を中心に営まれる葬式を表す文字として「家族葬」の文字が使用されており、その「家族葬(葬儀)」を行う施設を表す文字として「セレモニーハウス」の文字がそれぞれ使用されている実情があることを踏まえると、その構成文字(家族葬、セレモニー、ハウス)の語義の理解が容易であることも相まって、その指定役務に係る需要者及び取引者をして、構成文字全体として「家族葬を行うための施設」程度の意味合いを認識、理解させるというべきである。
したがって、たとえ「家族葬のセレモニーハウス」の文字が本願商標に係る指定役務の質を表すものとして実際に使用されていないとしても、取引者、需要者が、その役務の質等を表示するものとして認識するものというべきであるから、請求人の上記主張は採用できない。
2 商標法第3条第2項該当性について
請求人は、本願商標は、仮に、商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、同条第2項の規定により商標登録を受けることができるものである旨主張し、その証拠方法として、当審において甲第15号証ないし甲第25号証を提出しているので、以下検討する。
(1)請求人は、2022年8月9日現在、請求人の子会社を含め、葬儀関連サービス施設を121経営し、そのうち75の施設に本願商標を施設の外観、パンフレット等に使用している旨主張し、そのうち63施設について店舗外観の写真を提出している(甲15、甲16)が、当該パンフレット及び写真においては、「家族葬のセレモニーハウス」の文字が図形とともに使用されているものであって、本願商標のみで使用されているものは見つけられない。
(2)請求人は、2019年4月から、本願商標を「火葬を伴う葬儀の執行,葬儀に関する情報の提供」等の役務について使用を開始した旨主張しているが、それを証する客観的証拠はない。
(3)請求人の子会社も含めた2021年度の請求人らによる葬儀契約件数は17,252件で、葬儀専門会社部門で国内の葬儀件数が日本一であり、関西エリアにおける葬儀場数第1位である(甲18)。
(4)本願商標を使用した事業について、テレビCM、インターネット広告、チラシ・折り込み広告及び看板・交通広告を用いて行った広告費は、2019年4月から2023年3月の4年間で合計57億6千万円を上回る旨主張し(甲19)テレビCMやチラシ内容等(甲21~甲25)を提出している。
また、テレビCMにおけるGRP(Gross Rating Point)は2021年7月からの一年間で計8343%となっている旨主張している(甲20)。
(5)しかしながら、提出された証拠における店舗外観の写真における「家族葬のセレモニーハウス」の文字は、図形とともに使用されているものであり、本願商標「家族葬のセレモニーハウス」のみが独立して出所識別標識として機能を果たしていることを認めることができない。
そして、請求人は、本願商標の使用は、2019年4月からと主張するが、その客観的証拠は見つけられず、仮に請求人主張のとおりであるとしても、その期間は短いものであり、主に関西地域に限られるものである。また、葬儀契約件数及び広告宣伝費は、請求人だけでなく子会社を含めた数字である上、本願商標とは相違する名称の店舗における葬儀契約件数も含まれたものであるから、その数値をもって本願商標がどの程度、取引者及び需要者に知られているのかを把握することができない。
また、広告宣伝等が行われていることは認められるものの、テレビCMについては、2021年7月から一年間のみで、放映地域や期間回数等は不明であり、パンフレット等についても配布地域や数量、期間等が不明であるだけでなく、「家族葬のセレモニーハウス」の文字が図形とともに使用されているものであって、当該文字のみが独立して出所識別標識として機能を果たしていることを認めることができない。
したがって、これらの広告宣伝によって文字のみからなる本願商標が、取引者、需要者にどの程度認識されていたのかについてうかがい知ることはできない。
さらに、提出された証拠から、文字のみからなる本願商標の使用と認められるのは、野立看板の4件のみである。
そうすると、提出された証拠から、「家族葬のセレモニーハウス」(本願商標)の文字が独立して、我が国の需要者の間において、請求人の業務に係る役務を表示する標章として、広く認識されるに至っているものとは認められない。
したがって、本願商標は、請求人により使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるものとはいえず、商標法第3条第2項の要件を具備しない。
3 結論
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、同条第2項の要件を具備するものとも認められないから登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2021-013778