商標拒絶査定不服審判
2021-013743
- 審判番号
- 2021-013743
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2018-133223
- 請求日
- 2021年10月08日
- 審決日
- 2023年04月06日
- 公報発行日
- 2024年05月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エルメス・アンテルナショナル
- 【請求人代理人】高松 薫
- 【請求人代理人】鈴岡 正
- 【請求人代理人】石田 晃士
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 白鳥 幹周
- 分類
- T18 .13 -Z (W0314161835) / T18 .16 -Z (W0314161835) / T18 .17 -Z (W0314161835)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第5条第4項、特許法第150条第5項、商標法第3条第1項第6号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2018-133223拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、平成30年10月25日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和元年10月25日付け:拒絶理由通知書
令和2年 6月30日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 6月30日付け:拒絶査定
令和3年10月 8日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は、別掲1(1)のとおりの構成よりなり、商標法第5条第4項に基づく「商標の詳細な説明」を別掲1(2)のとおりに記載し、第3類、第14類、第16類、第18類及び第35類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、色彩のみからなる商標として登録出願されたものである。
本願の指定商品及び指定役務は、原審における上記1の手続補正書により、別掲2のとおり補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
(1)商標法第3条第1項第3号及び同項第6号について
本願商標は、商標記載欄の記載、色彩のみからなる商標である旨の記載及び商標の詳細な説明の記載から特定されるものであるところ、商品若しくは商品の包装に使用される色彩又は役務の提供の用に供する物に使用される色彩は、色彩を組み合わせたものを含め、多くの場合、それらの魅力向上等のために選択されるものであって、商品の出所を表示し自他商品を識別するための標識としては機能し得ないものである。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、商品又は商品の包装に通常使用される又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり、本願商標は、単に商品の特徴を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものといえる。
また、本願商標をその指定役務の提供の用に供する物に使用しても、これに接する取引者、需要者は、役務の提供の用に供する物に通常使用される又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり、何人かの業務に係る役務であるかを認識することができないものといえる。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同項第6号に該当する。
(2)本願商標が使用により自他商品役務の識別性を獲得していることについて
本願商標の使用に際しては、需要者の注意を強く引くように、他の文字や図形が常に本願商標と共に用いられており、本願商標の色彩と同一のものと推測される色彩及び同一視し得る色彩以外の構成要素を伴った使用態様であることから、本願商標の色彩が独立して自他商品・役務の識別標識としての機能を発揮する態様で使用されているとはいえない。
また、広告宣伝についても、本願商標の色彩が、ブランドの象徴や出願人商品の目印として積極的に用いられていたり、色彩のみで需要者の間で話題になっているといえる証拠に乏しく、出願人又は第三者により、色彩の識別力を高めるための広告宣伝が積極的に行われているということはできない。
さらに、証拠として提出されたアンケート調査の結果についても、調査対象がそもそも指定商品及び指定役務の需要者を対象としたアンケートとはいい難いものであるうえ、正答率も高くないことからすれば、本アンケート調査結果によって、需要者において、本願商標のみで出願人に係る商品又は役務であると広く認識されているものとはいえない。
こうしたことから、本願商標が、何人かの出所表示として、この商標登録出願に係る指定商品・指定役務の需要者の間で全国的に認識されているとはいえず、本願商標が使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識するに至っているということができない。
したがって、本願商標が、その使用により識別力を獲得したものとはいえない。
4 当審における職権による証拠調べ
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同項第6号に該当するか否かについて、職権による証拠調べをした結果、別掲3の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、その結果を請求人に通知し(令和4年9月8日付け証拠調べ通知書)、相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。
5 証拠調べの通知に対する請求人の意見(要旨)
請求人は、上記4の証拠調べ通知に対し、令和5年1月13日付けの意見書を提出し、要旨以下(1)及び(2)のとおりの意見を述べた。
(1)証拠調べ通知は、漠然と「橙色と茶色の組み合わせに近似した色彩」が存在するとのみ指摘するにすぎず、証拠調べ通知で挙げられた色彩の使用例は、本願商標と明らかに異なるものであって、その存在によって本願商標の自他商品役務識別力及び独占適応性が否定されることにはならない。
(2)本願商標に近似していると考えられる使用例が1件挙げられているが、そもそも本願商標に近似する色彩の使用例が存在することは、必ずしも本願商標が自他商品識別力を有しないことを意味するものではない。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同項第6号について
本願商標は、別掲1(1)及び別掲1(2)のとおり、橙色(RGBの組合せ:R221,G103,B44)と茶色(RGBの組合せ:R94,G55,B45)を組み合わせた、色彩のみからなるものであり、その付する位置は、橙色が箱状のもの全体、茶色が箱状のものの上部周囲に特定されているが、別掲1(1)に着色して示された図形の形状、輪郭のものに限定されるものではない。
ところで、商品若しくは商品の包装、又は、役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)に使用される色彩は、様々な色彩を組み合わせたものを含め、通常は商品又は役務のイメージや美感を高めるために適宜選択されるものであり、また、商品等の色彩には自然発生的な色彩や商品等の機能を確保するために必要とされるものもあることからすると、その色彩について、商品若しくは役務の出所を表示するものとして又は自他商品役務を識別するための標識として認識することはないとみるのが相当であって、かつ、本願商標の指定商品又は指定役務を取り扱う又は提供する分野において、それと異なる事情があるという事実は認められない。
そして、同分野において、別掲3のとおり、その商品等に橙色と茶色の組み合わせに近似した色彩が一般に用いられている事実があることから、本願商標が格別に特異な色彩よりなるとはいえず、また、箱状の商品等の全体に上述の理由により色彩を付すことも珍しくはない(別掲3の事例でいえば(2)、(9)ないし(13)、(19)、(21)及び(22))ことからすると、色彩を付する位置としてもありふれたものといえる。
そうすると、本願商標を、その指定商品又は指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者は、商品又は役務のイメージや美感を高める等、商品又は役務の魅力の向上等に資するため、通常使用される又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり、その色彩について、商品若しくは役務の出所を表示するものとして又は自他商品役務を識別するための標識として認識することはないというべきである。
したがって、本願商標は、その指定商品との関係において、商品の特徴(色彩)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、その指定役務との関係において、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というべきであるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)本願商標が使用により自他商品役務の識別性を獲得していることについて
請求人は、本願商標はその指定商品及び指定役務の分野において既に広く用いられており、需要者及び取引者の間において請求人の商標であると認知され、自他商品役務の識別力を十分に有している旨主張し、証拠方法として、原審において第1号証ないし第65号証を、当審において第66号証ないし第148号証を提出しているところ、上記証拠及び請求人の主張(上記1の意見書における主張を含む。)並びに職権による調査によれば、以下のとおりである。
ア 請求人のファッションブランド「HERMES」(「エルメス」。以下「エルメスブランド」という。)は、我が国や欧州、米国等で事業を展開している(第2号証ないし第4号証)。我が国においては、1964年(昭和39年)に専門店を出店し、2020年6月時点で13都道府県に29の直営店を有し、また、オンラインストアを開設するなど、継続して事業を行っている(請求人の主張、第6号証及び第7号証)。我が国における2018年のエルメスブランド全体の売上高は約928億円であり、本願の指定商品に係るものに限ってみても約642億円である(請求人の主張、第5号証)。
イ エルメスブランドは、第三者が作成したウェブサイトにおけるファッションブランドの人気ランキングないしブランド力ランキングにおいて、上位に評価されている(第13号証ないし第15号証)。
ウ 請求人は、エルメスブランドに係る商品の包装箱の色彩として、1960年代以降、本願商標を継続して使用しており、その商品等には、本願の指定商品又はそれと商品の同一性が損なわれない範囲の商品が含まれる(請求人の主張、第16号証、第21号証ないし第24号証)。
エ 請求人は、商品の包装箱に留まらず、以下(ア)ないし(エ)のとおり、本願商標を構成する色彩を用いた図柄や構造物を、エルメスブランド全体の又はエルメスブランドの個別商品の広告宣伝において、継続的に使用している。
(ア)2012年(平成24年)から2021年(令和3年)に、請求人によるウェブサイト等において使用(第25号証、第27号証ないし第40号証及び第66号証ないし第70号証)
(イ)2011年(平成23年)、2014年(平成26年)、2015年(平成27年)、2018年(平成30年)ないし2021年(令和3年)に、請求人により、全国紙又は地方紙の新聞広告において使用(第72号証ないし第100号証)
なお、新聞広告のうちの一部については、「朝日広告賞」や「読売広告大賞」における賞を受賞している(第102号証ないし第106号証)。
(ウ)2017年(平成29年)及び2020年(令和2年)に、請求人により、東京都(銀座、新宿、渋谷、表参道、池袋)、神奈川県(横浜)及び大阪府(梅田)の駅構内等の掲示物(広告物)として数日間ないし1月間使用(請求人の主張、第43号証、第107号証ないし第109号証)
(エ)2014年(平成26年)、2015年(平成27年)及び2018年(平成30年)に、請求人により、東京都(銀座、上野)及び大阪府(御堂筋)におけるイベントや店舗等の外観又は内装として使用(第49号証、第50号証、第69号証、第112号証及び第113号証)
オ エルメスブランド全体又はエルメスブランドの個別商品を紹介する雑誌や、エルメスブランドの中古品を取り扱う第三者のウェブサイトにおいて、本願商標を付した包装箱又は本願商標を構成する色彩を用いた図柄が掲載されている事例がある(第51号証ないし第60号証)。
カ エルメスブランドを紹介する第三者のウェブサイトにおいて、「オレンジボックス」などとして、本願商標を構成する色彩について言及、紹介等されている事例がある(第18号証、第19号証、第61号証、第62号証及び第135号証ないし第144号証)。
キ エルメスブランドの商品を購入したと思われる個人が、SNSやブログにおいて、本願商標を付した包装箱の画像、又は、その包装箱を積み上げたと思しき画像を投稿している事例がある(第118号証ないし第134号証)。
ク 請求人が実施した本願商標に係る識別力に関するアンケート調査によれば、調査対象者が、3種類の箱に本願商標を付したイラストを示された上で、それから想起するブランド名を自由回答した場合は約36.9%が、ブランド名を10個の選択肢から選んだ場合は約43.1%が、それぞれエルメスブランドを想起する旨回答した(第63号証)。
ケ 上記アないしクによれば、請求人は、約60年の長きにわたり、我が国においてエルメスブランドの商品(本願の指定商品又は指定役務に係る商品を含む。)を継続的に販売等しており、それに使用されている「HERMES」(エルメス)の文字及び馬車と人を描いた図形は、請求人の業務に係る商品を表示する商標として、我が国の需要者に相当程度広く認識されているといえるものである。また、それらの商品の販売に際して、本願商標を付した包装箱(以下「本件包装箱」という。)が用いられているほか、エルメスブランド全体又はエルメスブランドの個別商品の広告宣伝において、本願商標又はこれを構成する色彩を用いた図柄や構造物(以下「本件図柄等」という。)がしばしば使用されている事実が認められる。
しかしながら、提出された証拠からは、本件包装箱が用いられた数量は不明であり、また、広告宣伝における本件図柄等の使用は、上記「HERMES」等の文字及び図形からなる商標の使用と同等に、長期継続的に行われていたということを客観的に認めることはできない。
そして、本件図柄等について、請求人によるウェブサイト等における使用(上記エ(ア))は、そのウェブサイト等へのアクセス数が不明であり、請求人による掲示物(広告物)における使用(同(ウ))やイベントや店舗等の外観又は内装としての使用(同(エ))については、使用地域が相当程度限定的である。
また、請求人による本願商標又はこれを構成する色彩の使用に際しては、多くの場合、需要者の注意を強く引くように、包装箱中央や包装用リボン上などに「HERMES」「エルメス」の文字や馬車と人を描いた図形が用いられており、これらの文字又は図形から商品若しくは役務の出所が認識され又は認識され得ることは否定できない。
加えて、本願商標の指定商品及び指定役務は別掲2のとおりであり、その需要者に日本全国の一般消費者が含まれるものが少なくないところ、本件アンケート調査(上記ク)では、その調査の対象者が、請求人が直営店舗を有する都道府県(第6号証)のうちの9都道府県(「北海道、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、兵庫県、大阪府、福岡県」)エリアの、「30歳~59歳 男性・女性」であって、「世帯年収1,000万円以上」の者に限られていることからすれば、当該調査の対象の範囲の設定に問題があるといえ、この点において、上記アンケートの結果を基礎とした本願商標の認識度を推し量ることは適切とはいえない。
さらに、そのような問題がある当該調査の結果において、3種類の箱に本願商標を付し、ブランド名を自由回答させたアンケートの正答率は「36.9%」であり、10個の選択肢からの選択方式での正答率でも「43.1%」に過ぎないことからすれば、本アンケート調査結果によって、本願商標が請求人の業務に係る商品又は役務を表すものとして需要者の間で広く知られているものであると判断することは到底できない。
以上のことからすると、本願商標が、その指定商品及び指定役務との関係において、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるに至っているとは認められない。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標の実際の使用において、「HERMES」の文字や馬車と人を描いた図形とともに使用されているとしても、箱全体の大きさに比してごく小さく表示されているにすぎないことなどから、本願商標が独立して自他商品役務の識別機能を獲得していると認める上で何ら妨げとなるものではなく、それらの文字及び図形が付されていることを根拠に、本願商標の自他商品識別力を否定するのは誤りである旨主張する。
しかしながら、請求人による本願商標又はこれを構成する色彩の使用に際しては、多くの場合、「HERMES」「エルメス」の文字や馬車と人を描いた図形が付され又は近傍に表されているものであり、これらは、包装等の全体において小さく表されている場合があるとはいえ、それと理解できる態様で明確に表されているものであって、また、上記(2)ケのとおり、それらの文字及び図形は請求人の業務に係る商品を表示する商標として我が国の需要者に相当程度広く認識されているものであって、看者の注意を引きやすい部分といえるものであるから、これらの文字や図形から商品又は役務の出所が認識され又は認識され得ることは否定できないものである。
イ 請求人は、本願の指定商品及び指定役務に係る分野において、本願商標と同一又は類似した色彩の使用例は不見当であり、また、別掲3の証拠にしても、包装(箱)の使用例ではないとか、色彩の使用位置が異なるなど、本願商標と明らかに異なる事例であるから、それによって本願商標の自他商品役務の識別力及び独占適応性が否定されることにはならない旨主張する。
しかしながら、本願商標それ自体が、本願の指定商品又は指定役務を取り扱う又は提供する分野において、商品の特徴を表示するものとして広く一般に使用されていないとしても、上記(1)のとおり、商品等に使用される色彩は、色彩を組み合わせたものも含め、多くの場合、商品等の魅力向上などのために選択されるものであり、商品役務の出所を表示し自他商品役務を識別するための標識として認識し得ないものであって、同分野において、別掲3のとおり、その商品等に橙色と茶色の組み合わせに近似した色彩が一般に用いられている事実があり、また、色彩を付する位置としてもありふれたものといえることからすれば、本願商標は、それに接する需要者において、商品若しくは役務の出所を表示するものとして又は自他商品役務を識別するための標識として認識されないというのが相当であるし、そのように判断するに当たって、同分野において橙色と茶色の組み合わせに近似した色彩が商品等において使用されていることを勘案することは、合理的であるというべきである。
加えて、本願商標は、別掲1(1)及び別掲1(2)によりその内容が特定されるものであるところ、それが「包装(箱)」に使用される色彩に限られるものであることを前提に証左の適否を判断するべきであるという事情は見当たらないのであるから、別掲3のごとき事例に基づいて、本願商標に接する需要者が、それがどのようなものであると認識するかを推し量ることは妥当であって、それらの事例は、審理において勘案されて然るべきものである。
ウ 請求人は、上記(2)クのアンケート調査について、本願の指定商品又は指定役務の需要者層は、そのような奢侈品を購入することができるだけの収入を得ている層、すなわち、収入が平均以上の比較的高所得者層がその中心と考えるのが自然であり、調査の対象者が「世帯年収1000万円以上」となっていることは、むしろ合理性があるといえる旨主張する。
しかしながら、本願の指定商品及び指定役務は、別掲2のとおりであって、その一部に高価な商品が含まれることや、その需要者の一部に高所得者層が含まれることは否定できないとしても、それらの商品及び役務には、日常的に消費される比較的安価な価格帯のもの又はそれを含むものも多数あり、それらの需要者が高所得者層に限定されるものでもないことから、「世帯年収1000万円以上」という当該アンケート調査の対象の範囲の限定は適切とはいえないものであって、そのほか、調査エリアや調査対象者の年齢層が限定的であることは上記(2)ケのとおりであるから、当該調査の対象の範囲の設定には問題があるというべきである。
エ 請求人は、請求人の本国フランスとアメリカにおいては、請求人の出願に係る橙色(単色)のみからなる商標について、商標登録が認められており(第64号証及び第65号証)、国際的調和の観点から、我が国においても本願商標につき商標登録を認めるべきである旨主張する。
しかしながら、請求人の提示する商標登録例は、その商標が本願商標と態様が異なるうえ、そもそも、出願に係る商標が登録要件等を具備しているか否かについては、当該出願に係る国の法令及びその国の商取引の実情等に照らして判断がなされるべきものであるから、諸外国の商標登録事情をもって、本願商標が自他商品役務の識別機能を有するとか、使用の結果その機能を獲得したということはできない。
オ 請求人は、そもそも本願商標に近似する色彩の使用例が存在することは、必ずしも本願商標が自他商品識別力を有しないことを意味するものではなく、本願商標が周知著名で、高い自他識別力と顧客吸引力を有しているからこそ、本願商標に近似する色彩が使用されているともいえる旨主張する。
しかしながら、別掲3に掲げるような商品が流通している実情は、それら商品が流通している背景事情とは関わりなく、それに接する需要者の認識に大きく影響する事実関係であるから、本願商標の登録適格性の判断をするための取引の実情として考慮することに支障はない。
カ したがって、請求人の上記アないしオの主張は、いずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同項第6号に該当するものであって、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるに至っているともいえないから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-013743