商標拒絶査定不服審判
2021-013072
- 審判番号
- 2021-013072
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2019-101595
- 請求日
- 2021年09月29日
- 審決日
- 2022年12月06日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】森永製菓株式会社
- 【請求人代理人】田中 克郎
- 【請求人代理人】鳥海 哲郎
- 【請求人代理人】廣中 健
- 【請求人代理人】小林 彰治
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 松江
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 飯田 亜紀
- 分類
- T18 .13 -Z (W30) / T18 .17 -Z (W30)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第2項、商標法第3条第1項第3号、商標法第2条第1項第1号、商標法第2条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2019-101595拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和元年7月26日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年 7月22日付け:拒絶理由通知書
令和2年10月 6日 :意見書及び手続補足の提出
令和3年 7月 5日付け:拒絶査定
令和3年 9月29日 :審判請求書の提出
令和4年 6月10日付け:審尋
令和4年 7月25日 :回答書及び手続補足書の提出
第2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第30類「アイスクリーム」を指定商品として、令和元年7月26日に登録出願されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要点
原審において、「本願商標は、その指定商品との関係において、チョコレートをマーブル状に配した棒付きのアイスクリームを写実的に描いたものと容易に理解される図柄からなるものである。そして、アイスクリームを取り扱う業界においては、チョコレートをマーブル状に入れたアイスクリームや、マーブル模様のアイスクリームが、一般に多数製造・販売されているから、本願商標をその指定商品について使用しても、これに接する需要者は、単に「チョコレートをマーブル状に配した棒付きのアイスクリーム」であることを認識するにすぎず、本願商標は、商品の形状、品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものといえる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、拒絶したものである。
第4 当審における審尋
当審において、審判長は、請求人に対し、令和4年6月10日付けで、別掲13及び別掲14に示すとおりの使用例の事実を提示した上で、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、同条第2項に規定する要件を具備しないとする旨の見解を示した審尋を通知し、期間を指定して、これに対する回答を求めた。
第5 審尋に対する請求人の回答(要旨)
請求人は、前記第4の審尋に対し、要旨以下の意見を述べた。
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
(1)「アイスクリームを取り扱う業界においては、円柱状や四角柱状などの形状の棒付きアイスクリームが販売され、チョコレートやその他の素材をマーブル状若しくは層状に配したアイスクリームが複数存在している」について
ア 別掲13の「円柱状や角柱状などの形状の棒付きアイスクリームが販売されている事実」に表されたアイスクリームの形状は、本願商標とは「立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合」(商標法第2条第1項第1号)のいずれか、又は、いずれもが全く異なり、これらの事実をもって、本願商標が一般的に使用されているとは到底いえない。過去の拒絶査定に対する審判事件(甲9の1、甲9の2)の審決では、「本願商標の指定商品を取り扱う業界において、本願商標のごとき構成の商標が、商品の形状を表示するものとして取引上普通に使用されている事実は発見できなかった」と説示されており、本願商標も「本願商標の指定商品を取り扱う業界において、本願商標のごとき構成の商標が、商品の形状を表示するものとして取引上普通に使用されている事実」はない。
イ 別掲14の「チョコレートやその他の素材がマーブル状若しくは層状になったアイスクリームが販売されている事実」があることは請求人も認めるが、別掲14の商品を、形状や色彩といった点から見れば、本願商標と同一又は類似の商品が全くないことが明らかである。換言すれば、特許庁の調査においても、「本願商標のごとき構成の商標が、商品の形状を表示するものとして取引上普通に使用されている事実」は全くないことになる。
(2)「一般にマルチアイスと称される一箱に複数本のアイスクリームを詰めた商品が、外装箱に中の商品を写実的に表していることは別掲13より裏付けられるから、本願商標もこれらと同様に、箱の中の商品を表したにすぎないといえる」について
商標法第2条第1項では、商標について、「人の知覚によって認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(略)であって、次に掲げるものをいう。」と規定し、商品を模した図形であるという理由で、殊更登録の対象から除外されていない。また、同条4項では、商品その他の物に標章を付する行為につき、「商品若しくは商品の包装、役務の提供の用に供する物又は商品若しくは役務に関する広告を標章の形状とすること。」を特掲している。そうすると、「箱の中の商品を表したにすぎないといえる」という理由で、本願商標の識別力を否定することはできない。
2 商標法第3条第2項適合性について
(1)「文字を併記することをもって本願商標の周知性は否定されない」について
永年の販売実績や宣伝広告の効果は、文字がある場合には図形商標の周知性獲得の障害となり、逆に、図形が並置されていることが、文字商標の周知性獲得を阻害するという関係にはない。商品の包装箱や広告媒体に、文字を含んで宣伝広告されているからといって、図形部分に信用が化体していないといえないことは、商品一般の包装や広告の実態に照らして明らかである。
(2)「複数の図形が表されていても、それだけの理由で、商標の周知性を否定すべきではない」について
3本のアイスクリームの図形から本願商標を認識することは可能であり、かかる観察方法は、従前からの、登録商標と使用商標における特許庁の同一性判断にも整合する登録商標に他の図形が付加された表示や、他の文字が付加された表示も、そのことのみを理由として、登録商標との社会通念上の同一性は否定されていない。過去の取消審判の事件においても、図形と文字とからなる使用商標と、図形のみからなる登録商標の同一性が認められている(甲51~甲54)。
(3)「使用商標からでも、本件商標が認識できる」について
新聞、雑誌広告等(甲48、甲49)では、本願商標を使用する出願人のアイスクリーム商品(以下「本件商品」という。)の全体が表されており、本件商品の宣伝広告という目的から、商品全体、又は、棒の先端をつまんで商品全体を表示しており、これをもって、出願商標の同一性が否定されるべきではない。
第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、正面の斜め上方から見た、チョコレートをマーブル状若しくは層状に配した円柱状の棒付きのアイスクリーム全体を写実的に描いたもの(又はアイスクリームの写真)と容易に理解される図形からなるものである。そして、本願の指定商品であるアイスクリームを取り扱う業界においては、別掲13のように、円柱状や四角柱状などの形状の棒付きアイスクリームが販売されており、そして、原審で示した使用例及び別掲14のように、チョコレートやその他の素材をマーブル状若しくは層状に配したアイスクリームが複数存在している事実がうかがえる。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者に、「チョコレートをマーブル状若しくは層状に配した円柱状の棒付きアイスクリーム」という商品の形状、品質を表したものと理解させるにとどまり、商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはできないとみるのが相当である。
したがって、本願商標は、商品の形状、品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて
(1)商標法第3条第2項について
商標登録出願された商標が、商標法第3条第2項の要件を具備し、登録が認められるか否かは、使用に係る商標及び商品、使用開始時期及び使用期間、使用地域、当該商品の販売数量等並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して、出願商標が使用された結果、判断時である審決時において、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるか否かによって決すべきものであり、商標法第3条第2項の要件を具備するためには、使用商標は、出願に係る商標と同一であることを要するものというべきである(知財高裁平成21年(行ケ)第10388号 同22年6月29日判決参照)。
そして、請求人は、本願商標について、仮に、商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、その使用がされた結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至った商標であるから、同条第2項の規定により、商標登録を受けることができるものである旨主張し、その証拠方法として、甲第1号証ないし甲第54号証を提出しているため(枝番号を含む。以下、枝番号のすべてを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)、本願商標が同条第2項の要件を具備するかについて、前記判決に照らし、以下、検討する。
(2)商標の使用について
ア 本願商標と使用に係る標章との同一性について
(ア)本願商標は、別掲1のとおり、正面の斜め上方から見た、チョコレートをマーブル状若しくは層状に配した円柱状の棒付きのアイスクリーム全体を写実的に描いたものと容易に理解される図形からなるものである。
(イ)これに対し、商標法第3条第2項の要件を具備するものとして登録出願に係る商標と同一性を有すると主張する標章(以下「使用商標」という。)は、以下のとおりである。
a 指定商品とされる商品の外装箱に使用されているところ、提出された甲第1号証、甲第33号証ないし甲第38号証に掲載の標章(以下「使用商標1」という。)は、別掲2(1)ないし(3)のとおり、青色の外装箱に、複数本のアイスクリームの図形を表した構成からなるものである。
b 甲第48号証の1及び甲第48号証の2に掲載の標章(以下「使用商標2」という。)、及び甲第48号証の3ないし甲第48号証の10に掲載の標章(以下「使用商標3」という。)は、別掲3及び別掲4のとおり、皿の上に置かれたアイスクリームから、棒付きアイスクリーム全体が掲載されていることが認められる。
c 甲第49号証の1ないし甲第49号証の7に掲載の標章(以下「使用商標4」という。)は、別掲5のとおり、青色の外装箱に、複数本のアイスクリームの図形を表した構成からなるもの及び商品の宣伝広告を行う者が棒付きアイスクリームの棒の先端をつまんだ写真であることが認められる。
d 甲第49号証の10に掲載の標章(以下「使用商標5」という。)は、別掲6のとおり、テレビCMにおいて、棒付きアイスクリーム全体が掲載されていることが認められる。
e 甲第49号証の11に掲載の標章(以下「使用商標6」という。)は、別掲7のとおり、テレビCMにおいて、棒付きアイスクリームが掲載されていることが認められる。
f 甲第49号証の12に掲載の標章(以下「使用商標7」という。)は、別掲8のとおり、新聞広告において、棒付きアイスクリーム全体が掲載されているもの及び青色の外装箱に、複数本のアイスクリームの図形を表した構成からなるものである。
g 甲第50号証の18に掲載の標章(以下「使用商標8」という。)は、別掲9のとおり、青色の外装箱に、複数本のアイスクリームの図形を表した構成からなるものである。
h 甲第50号証の19に掲載の標章(以下「使用商標9」という。)は、別掲10のとおり、青色の外装箱に、複数本のアイスクリームの図形を表した構成からなるものである。
i 甲第50号証の42に掲載の標章は(以下「使用商標10」という。)、別掲11のとおり、外装箱に、複数本のアイスクリームの図形を表した構成からなるものである。
j 甲第50号証の50に掲載の標章は(以下「使用商標11」という。)、別掲12のとおり、外装箱に、複数本のアイスクリームの図形を表した構成からなるもの及び皿の上に置かれたアイスクリームから、棒付きアイスクリーム全体が掲載されていることが認められる。
(ウ)判断
a 本願商標と使用商標1とを比較すると、両者は、ともに、チョコレートをマーブル状若しくは層状に配した円柱状の棒付きのアイスクリームを写実的に描いたもの(又はアイスクリームの写真)と容易に理解される図形(以下「写実的図形」という。)からなるが、本願商標はアイスクリームが1本であるのに対して、使用商標1は複数本であり、アイスクリームの本数が異なることからすれば、両商標は明確に異なるうえ、本願商標と使用商標1のうちの1本のアイスクリームをそれぞれ比較してみても、本願商標は、アイスクリーム部分から棒の部分の端まで把握できる棒付きアイスクリーム全体の態様であるのに対して、使用商標1は、棒の部分が途中で切れていたり、アイスクリーム部分の途中で切れていて棒の部分が確認できない又はアイスクリーム部分に他の文字や図形が重なっている等、棒付きアイスクリーム全体の図形ではない点において明らかに異なり、1本の棒状アイスクリームが単独で自他商品の出所識別標識としての機能を発揮しているとはいい難いものである。
b 本願商標と使用商標2及び使用商標3とを比較すると、両者は、ともに、チョコレートをマーブル状若しくは層状に配した円柱状の棒付きのアイスクリーム(以下「チョコレートの棒付きアイスクリーム」という。)を表したものであるが、本願商標は、写実的図形であるのに対し、使用商標2及び使用商標3は、立体形状からなるものと認められる。本願商標は、平面商標であるのに対し、使用商標2及び使用商標3は立体商標であるから、その商標の同一性は認められない。
c 本願商標と使用商標4とを比較すると、両者は、ともに、チョコレートの棒付きアイスクリームを表したものであるが、本願商標は、写実的図形であるのに対し、使用商標4は、青色の外装箱に、複数本のアイスクリームの図形を表した構成からなるものについては、使用商標1と同様であるから前記aのとおりであり、また、商品の宣伝広告を行う者が棒付きアイスクリームの棒の先端をつまんだものについては、立体形状からなるものと認められる。本願商標は、平面商標であるのに対し、使用商標4の後者は、立体商標であるから、その商標の同一性は認められない。
d 本願商標と使用商標5とを比較すると、両者は、ともに、チョコレートの棒付きアイスクリームを表したものであるが、本願商標は、写実的図形であるのに対し、使用商標5は、立体形状からなるものと認められる。本願商標は、平面商標であるのに対し、使用商標5は、立体商標であるから、その商標の同一性は認められない。
e 本願商標と使用商標6とを比較すると、両者は、ともに、チョコレートの棒付きアイスクリームを表したものであるが、本願商標は、写実的図形であるのに対し、使用商標6は、立体形状からなるものと認められる。本願商標は、平面商標であるのに対し、使用商標6は、立体商標であるから、その商標の同一性は認められない。また、使用商標6は、棒の部分が途中で切れていることから、棒付きアイスクリーム全体を表したものではない点においても異なる。
f 本願商標と使用商標7とを比較すると、両者は、ともに、チョコレートの棒付きアイスクリームの写実的図形からなるが、使用商標7は、青色の外装箱に、複数本のアイスクリームの図形を表した構成からなるものについては、使用商標1と同様であるから前記aのとおりであり、また、棒付きアイスクリーム全体が掲載されているものについては、本願商標と社会通念上同一であるとしても、継続的な使用がなされている事実は認められない。
g 本願商標と使用商標8とを比較すると、両者は、ともに写実的図形からなるが、アイスクリームの本数が異なることからすれば、両商標は明確に異なるが、本願商標と使用商標8のうちの1本のアイスクリームをそれぞれ比較してみると、本願商標は、アイスクリーム部分から棒の部分の端まで把握できる棒付きアイスクリーム全体の態様であるのに対して、使用商標8は、アイスクリーム部分から棒の部分の端まで把握できる棒付きアイスクリーム全体の態様で表されているものが含まれている。しかしながら、これが、本願商標と社会通念上同一であるとしても、使用商標8は、継続的な使用がなされている事実は認められない。
h 本願商標と使用商標9とを比較すると、両者は、ともに写実的図形からなるが、アイスクリームの本数が異なることからすれば、両商標は明確に異なるが、本願商標と使用商標9のうちの1本のアイスクリームをそれぞれ比較してみると、本願商標は、アイスクリーム部分から棒の部分の端まで把握できる棒付きアイスクリーム全体の態様であるのに対して、使用商標9は、アイスクリーム部分から棒の部分の端まで把握できる棒付きアイスクリーム全体の態様で表されているものが含まれている。しかしながら、これが、本願商標と社会通念上同一であるとしても、使用商標9は、継続的な使用がなされている事実は認められない。
i 本願商標と使用商標10とを比較すると、両者は、ともに写実的図形からなるが、アイスクリームの本数が異なることからすれば、両商標は明確に異なるが、本願商標と使用商標10のうちの1本のアイスクリームをそれぞれ比較してみると、本願商標は、アイスクリーム部分から棒の部分の端まで把握できる棒付きアイスクリーム全体の態様であるのに対して、使用商標10は、アイスクリーム部分から棒の部分の端まで把握できる棒付きアイスクリーム全体の態様で表されているものが含まれている。しかしながら、これが、本願商標と社会通念上同一であるとしても、使用商標10は、継続的な使用がなされている事実は認められない。
j 本願商標と使用商標11とを比較すると、両者は、チョコレートの棒付きのアイスクリームを表したものであるが、本願商標は、写実的図形であるのに対し、使用商標11は、外装箱に、複数本のアイスクリームの図形を表した構成からなるものについては、使用商標1と同様であるから前記aのとおりであり、また、皿の上に置かれたアイスクリームについては、立体形状からなるものと認められる。本願商標は、平面商標であるのに対し、使用商標12の後者は立体商標であるから、その商標の同一性は認められない。
(エ)小括
前記aないしjのとおり、請求人の主張する使用商標1ないし使用商標6、及び使用商標11は、出願商標の使用とは認められず、また、使用商標7ないし使用商標10は、本願商標と1本のアイスクリーム部分のみを比較した場合には、本願商標と社会通念上同一の商標と認められるとしても、使用期間や継続的な使用がなされている事実は確認できないため、本願商標が使用された結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至った商標であると認めることはできない。
イ 商品の同一性について
請求人が使用商標を付して販売する商品は、一般にマルチアイスと称される一箱に複数本のアイスクリームを詰めた商品であり、本願の指定商品「アイスクリーム」と請求人が本願商標を使用する商品とは同一のものといえる。
ウ その他
請求人は、本願商標を使用していると主張する商品(以下「請求人商品」という。)についての、販売金額(甲30の1、甲30の2)、販売数量(甲31の2)、シェア(甲31の1)、広告宣伝(甲32、甲33~甲38、甲48、甲49)及び各社の代表的なアイスに関する認知度調査(甲41)について述べているが、請求人商品の使用実績は、前記kのとおり、本願商標と同一の商標に係る使用実績とは同一視できないから、本願商標に関する主張とは認められない。
エ 小括
以上のとおり、本願商標が、商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものとは認められない。
3 請求人の主張について
ア 請求人は、別掲13に表されたアイスクリームの形状は、本願商標とは「立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合」(商標法第2条第1項第1号)のいずれか、又は、いずれもが全く異なり、これらの事実をもって、本願商標が一般的に使用されているとは到底いえない。過去の拒絶査定に対する審判事件(甲9の1、甲9の2)の審決では、「本願商標の指定商品を取り扱う業界において、本願商標のごとき構成の商標が、商品の形状を表示するものとして取引上普通に使用されている事実は発見できなかった」と説示されており、本願商標も「本願商標の指定商品を取り扱う業界において、本願商標のごとき構成の商標が、商品の形状を表示するものとして取引上普通に使用されている事実」はない。また、別掲14についても「チョコレートやその他の素材がマーブル状若しくは層状になったアイスクリームが販売されている事実」があることは請求人も認めるが、別掲14の商品を、形状や色彩といった点から見れば、本願商標と同一又は類似の商品が全くないことが明らかである旨主張する。
しかしながら、本願商標は、正面の斜め上方から見た、チョコレートをマーブル状若しくは層状に配した円柱状の棒付きのアイスクリーム全体を写実的に描いたもの(又はアイスクリームの写真)と容易に理解される図形からなるものであり、本願の指定商品であるアイスクリームを取り扱う業界においては、別掲13のように、円柱状や四角柱状などの形状の棒付きアイスクリームが販売されており、そして、原審で示した使用例及び別掲14のように、チョコレートやその他の素材をマーブル状若しくは層状に配したアイスクリームが複数存在している事実がうかがえることは前記1のとおりであり、前記した業界において、本願商標と同一又は類似の商品が存在しないとしても、本願商標は、チョコレートをマーブル状若しくは層状に配した円柱状の棒付きのアイスクリームというアイスクリームの一種類を表したものと認識、理解される以上に特別顕著なところはないものといわざるを得ない。
イ 請求人は、3本のアイスクリームの図形から本願商標を認識することは可能である。登録商標に他の図形が付加された表示や、他の文字が付加された表示も、そのことのみを理由として、登録商標との社会通念上の同一性は否定されていない。過去の取消審判の事件においても、図形と文字とからなる使用商標と、図形のみからなる登録商標の同一性が認められている(甲51~甲54)と主張する。
しかしながら、請求人が挙げている審判事件は、いずれも商標登録取消審判のものであり、商標登録取消審判における登録商標と登録商標の使用の同一性と、商標法第3条第2項における出願商標と使用商標の同一性の判断では、その判断基準が異なるものであるから、請求人の主張は、その前提が異なっているものである。
ウ したがって、請求人の前記主張は、いずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、かつ、同条第2項に規定する要件を具備するものではないから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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