商標拒絶査定不服審判
2021-012871
オウチジカン、ウチジカン
- 審判番号
- 2021-012871
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-073427
- 請求日
- 2021年09月27日
- 審決日
- 2022年10月24日
- 公報発行日
- 2023年01月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】小林製薬株式会社
- 【請求人代理人】高梨 範夫
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 清川 恵子
- 審判官 山根 まり子
- 分類
- T18 .16 -Z (W010305)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-73427拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年6月15日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年5月7日付け:拒絶理由通知書
令和3年6月14日付け:意見書、手続補正書
令和3年6月21日付け:拒絶査定
令和3年9月27日付け:審判請求書
令和4年6月10日付け:審尋
令和4年7月25日付け:回答書
第2 本願商標
本願商標は、「おうち時間」の文字を標準文字で表してなり、第1類、第3類及び第5類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願されたものであり、その後、指定商品については、上記第1の手続補正により、第1類、第3類及び第5類に属する別掲1のとおりの商品に補正されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「おうち時間」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「新型コロナウイルスの感染拡大防止のために自宅で有意義にたのしく過ごすこと(時間)」を指称する文字(語)であり、多くの官公庁や企業等によって使用されている。そうすると、本願商標を、その指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、自宅の時間を表示したものと認識するにとどまり、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であると認識することができないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第4 当審においてした審尋
当審において、上記第1のとおり、本願商標の商標法第3条第1項第6号該当性について、別掲2の事実を示した上で、当審の暫定的見解について通知し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。
第5 審尋に対する請求人の意見の要点
請求人は、上記第4の審尋に対して、上記第1のとおりの回答書において、要旨、以下のように主張した。
1 審尋において引用された事例は、いずれも、一部の文章または語句に「おうち時間」の文字が用いられているが、それは、「おうち時間」の文字が他の文字とともに使用されているにすぎないものであり、「おうち時間」の文字がそれ単体で「商品やサービスの特性、特徴」を具体的かつ客観的に明示しているものではなく、かつ、「商品やサービスを宣伝広告」しているものではない。
そうすると、本願商標「おうち時間」が商品の特性、特徴を簡潔に表示したもの、商品の宣伝広告として表示したものと容易に認識されるにすぎないと認定するのは不当である。
2 請求人は、商標「消臭元」の使用に係る芳香消臭剤について異なったタイプの製品を数多く市場に提供しているが、一つ一つの製品毎にサブタイトル(商標)を付与して、このサブタイトルをもって商標「消臭元」の使用に係る製品の中のどの製品であるのかを明確に識別できるようにしている。そして、実際の商品取引の場において、商品「お部屋の消臭元 おうち時間」(甲3)のように、サブタイトルとして「おうち時間」の文字を商標として使用し、請求人が商標「消臭元」の下で製造販売する数多くの製品のうちの商標「おうち時間」を付した特定の商品であることを明確にしている。
そうすると、本願商標「おうち時間」は自他商品識別力を十分に発揮しており、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるとはいえない。
3 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しない。
第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、上記第2のとおり、「おうち時間」の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標の構成中、「おうち」の文字は「家の尊敬語・美化語」の意味を、「時間」の文字は「とき。用事がなく、自由になるひととき。ひま。」(三省堂国語辞典 第八版)の意味を、それぞれ有する語であり、全体として「家での時間」ほどの意味合いを容易に認識、理解されるものというのが相当である。
そして、近年、「おうち時間」の語が、家で過ごす時間を指称するものとして使用されていたところ、特に、令和2年の前半に、新型コロナウイルスの感染拡大防止対策の一環として、人と人との接触機会を減らすために、外出を控え、できるだけ家で過ごすことが奨励されたことをきっかけとして、事業者等から、家で過ごす時間に使用するための様々な商品やサービスの提案が活発になされており、当該商品やサービスの宣伝広告の文字の一部として、原審の拒絶理由通知書及び拒絶査定で示した事例並びに別掲2の事例、例えば、「おうち時間に取り入れる」、「おうち時間を楽しむ」、「おうち時間を充実させる」、「おうち時間を快適に過ごす」、「おうち時間を豊かにする」等のように、「おうち時間」の文字が、一般に広く使用されている実情が認められ、それは、本願の指定商品を取扱う業界においても同様である。
そうすると、本願商標を、その指定商品に使用する場合、その需要者において、家で過ごす時間に使用するための商品又は家で過ごす時間に使用することを推奨する商品であるなど、商品の特性、特徴を簡潔に表示したもの、商品の宣伝広告として表示したものと認識されるにすぎないものというべきであって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、(a)「おうち時間」の文字は、元々、「家や家庭における一定の長さの時」といった意味合いを有するものであり、「新型コロナウイルスの感染拡大防止のために自宅で有意義にたのしく過ごす」等は、本来の意味合いに含有されていないこと、(b)審尋で示された事例は、他の文字とともに使用されているにすぎないものであり、「おうち時間」の文字がそれ単体で「商品やサービスの特性、特徴」を具体的かつ客観的に明示しているものではなく、かつ、「商品やサービスを宣伝広告」しているものではないこと、(c)過去に「おうち時間」の文字からなる商標等が登録された例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が自他商品の識別標識として機能しうるか否かは、当該登録出願の査定時又は審決時において、個別具体的に判断されるべきものである。
そして、たとえ、「おうち時間」の文字に、「新型コロナウイルスの感染拡大防止のために自宅で有意義にたのしく過ごす」といった意味合いが本来含有されていないものであり、「おうち時間」の文字が他の文字とともに使用され、過去に「おうち時間」の文字からなる商標等が登録された例があったとしても、現在(審決時)は、事業者等から、家で過ごす時間に使用するための様々な商品やサービスの提案が活発になされており、当該商品やサービスの宣伝広告の文字の一部として、「おうち時間」の文字が、一般に広く使用されている実情があることを踏まえると、本願商標を、その指定商品に使用する場合、その需要者において、家で過ごす時間に使用するための商品又は家で過ごす時間に使用することを推奨する商品であるなど、商品の特性、特徴を簡潔に表示したもの、商品の宣伝広告として表示したものと認識されるにすぎないから、「おうち時間」の文字が他の文字とともに使用されていることをもって、本件の判断が左右されるものではなく、本願商標は自他商品の識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものというべきである。
(2)請求人は、商品「消臭芳香剤」に対し、著名商標「消臭元」を使用しているが、当該「消臭元」の商品シリーズの中に、たくさんの商品が存在し、各商品を識別させるため、たとえば、商品「お部屋の消臭元 おうち時間」(甲3)のように、商品毎にサブタイトル(商標)として「おうち時間」の文字を付与し、これをもって商品を特定して実情があることから、「おうち時間」の文字は、「お部屋の消臭元」とともに需要者に認識されるばかりでなく、「おうち時間」の文字のみをもって独立して自他商品の識別標識として機能している旨主張する。
しかしながら、請求人の提出した証拠によれば、請求人の業務に係る「消臭・芳香剤」の商品の包装に、「おうち時間」の表示がされていることがうかがえるとしても、その使用態様においては、「消臭元」の文字と共に「消臭元 おうち時間」として使用されているものであり、上記(1)の実情をみても「おうち時間」の文字のみが独立して請求人の出所識別標識として、需要者の間に認識されるとは言い得ない。したがって、提出された証拠は、本願商標が、商標法第3条第1項第6号に該当することを否定するものとはいえない。
(3)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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