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商標拒絶査定不服審判

2021-012031

イシガキヤキ、イシガキ

審判番号
2021-012031
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2019-153651
請求日
2021年09月09日
審決日
2022年05月16日
公報発行日
2022年07月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】金子 晴彦
  • 【請求人代理人】特許業務法人 有古特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 矢澤 一幸
  • 審判官 杉本 克治
  • 審判官 阿曾 裕樹
分類
T18 .13 -Z (W21) / T18 .17 -Z (W21)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項3号商標法3条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2019-153651拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 本願商標及び手続の経緯 本願商標は、「石垣焼」の文字を標準文字で表してなり、第21類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、令和元年12月6日に登録出願されたものである。 原審では、令和2年10月5日付けで拒絶理由の通知、同3年1月7日付けで意見書及び手続補正書の提出、同年6月3日付けで拒絶査定されたもので、これに対して同年9月9日付けで本件拒絶査定不服審判が請求されている。 本願商標の指定商品は、原審における上記手続補正書により、第21類「石垣島で生産された陶磁器,石垣島で生産された陶器又は磁器製の台所用品(「ガス湯沸かし器・加熱器・調理台・流し台」を除く),石垣島で生産された陶器又は磁器製の食器類,石垣島で生産された陶器又は磁器製の花瓶,石垣島で生産された陶器又は磁器製の水盤,石垣島で生産された陶器又は磁器製の香炉,石垣島で生産された陶器製又は磁器製の装飾品,石垣島で生産された陶器製又は磁器製の造形品,石垣島で生産された陶器製又は磁器製の美術品,石垣島で生産されたガラスが融合した陶器,石垣島で生産されたガラスが融合した陶器でできた台所用品(「ガス湯沸かし器・加熱器・調理台・流し台」を除く),石垣島で生産されたガラスが融合した陶器でできた食器類,石垣島で生産されたガラスが融合した陶器でできた花瓶,石垣島で生産されたガラスが融合した陶器でできた水盤,石垣島で生産されたガラスが融合した陶器でできた香炉,石垣島で生産されたガラスが融合した陶器でできた装飾品,石垣島で生産されたガラスが融合した陶器でできた造形品,石垣島で生産されたガラスが融合した陶器でできた美術品」と補正された。 2 原査定の拒絶の理由(要旨) 本願商標は、「石垣焼」の文字を普通に用いられる方法(標準文字)で表してなる。 ところで、本願商標の構成中「石垣」の文字は、「沖縄県石垣島にある市」を表す語として広く知られている。 また、本願商標に係る指定商品を取り扱う業界において、「○○焼」(○○は地名が入る。)が「○○で生産又は販売されるもの」を表すものとして一般に使用されている実情がある。 したがって、本願商標は、その指定商品に使用した場合、これに接する需要者は、「沖縄県の石垣市で生産又は販売される商品」であることを認識するにとどまるから、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示するもので、商標法第3条第1項第3号に該当する。 また、提出証拠を総合してみても、本願商標が使用された結果、本願商標が独立して、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認識されるに至っているとはいえない。 よって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備しない。 3 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号について ア 本願商標は、「石垣焼」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「石垣」の文字は「沖縄県南部の島・市名など」(「コンサイス日本地名事典 第5版」三省堂)を指称する語で、「焼」の文字は「焼くこと。産地名などを付けて陶磁器の名をいう語。」の意味を有する語(「広辞苑 第7版」岩波書店)である。 イ また、本願商標の指定商品は、上記1のとおり、石垣島で生産された陶磁器類であるから、沖縄県の「石垣」とは産地としての密接な関連性がある。 ウ そうすると、本願商標は、その指定商品との関係において、「沖縄県の石垣で生産した陶磁器」であることを表記したものと認識、理解できるから、商品の品質(産地)を表示するにすぎない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)商標法第3条第2項について ア 請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。 (ア)請求人は、1999年に「石垣焼窯元」(2007年から「合同会社石垣焼窯元」に法人化。以下「請求人窯元」という。)を設立し、「テーブルウェア」、「高級クラフト」、「モダンアート」、「蒔絵」などの制作、販売や、体験陶芸などを行っている(甲5の1、2、甲31)。 (イ)請求人窯元は、「よろん焼」から技術の暖簾分けとして石垣島に創立されたもので、そこが手がける「石垣焼」は、漆黒の肌に無数の銀斑紋が現れる湯滴天目に、マリンブルーとエメラルドグリーンの色味が浮かび上がる神秘的な焼き物である(甲116の1)。 (ウ)請求人や請求人窯元の作品は、国内外のギャラリーや見本市、展示会、博物館などに出品され、各種賞も受賞しており、それにまつわる報道や請求人や請求人窯元と関連する記事情報が、沖縄地方の新聞やインターネット上の記事情報、テレビ番組(「八重山毎日新聞」、「琉球新報」、「沖縄タイムス」、「八重山日報」、「石垣経済新聞」、「琉球朝日放送」)に掲載、放映されている(甲36~甲38、甲41~甲43、甲45~甲57、甲59~甲62、甲67~甲70、甲72~甲74、甲76、甲78~甲86、甲119~甲120)。 上記記事の中には、「石垣焼は、様々な鉱石と透明のガラスを融合し、八重山の海を彷彿させるブルーやグリーンの色を発色させた焼物で・・・」(甲43)、「石垣焼はガラスと陶器を融合させた独特の焼き物で、沖縄の海を表現した青いガラス部の周囲を油滴天目の陶器が囲んでいる。」(甲48)、「石垣焼は土とガラスを融合させ、『沖縄の海の青』を発色させた作品が特徴。」(甲53)など、「石垣焼」を、一定の特徴を備える陶磁器類として解説、紹介する記述を伴う記事もある。 (エ)上記以外の新聞(2012年1月7日付けの「朝日新聞」、2012年11月16日付けの「読売新聞」、「日本経済新聞」、2015年12月24日付け「繊研新聞」)において、請求人、請求人窯元又は「石垣焼」と関連する記事情報が掲載されている(甲58、甲63、甲66、甲77)。 (オ)旅行情報誌やパンフレット、インターネット上の記事情報などにおいて、請求人窯元における体験陶芸や店舗情報、「石垣焼」などが紹介されている(甲7~甲9、甲13~甲19、甲95~甲109、甲118)。 イ 判断 (ア)以上の認定事実によれば、請求人は、「石垣焼」を手がける石垣島にある請求人窯元を20年以上経営し、そこではテーブルウェアや陶磁器作品などの制作、販売や体験陶芸を行っているところ、その作品は、国内外の展示会や博物館などでも評価されており、それにまつわるメディアを通じた報道や記事情報が、我が国においても継続して掲載、紹介されている実情はうかがえる。 (イ)しかしながら、請求人に係る商品の販売実績(売上高、市場シェア)や広告宣伝実績(広告宣伝費、宣伝媒体)を具体的に示す証拠の提出はなく、沖縄地方以外の地域における販売実績の程度も不明だから、我が国の需要者の間において、どの程度親しまれた商品であるのかは明らかではない。 (ウ)そして、「石垣焼」と関連するメディアを通じた報道や記事情報にしても、継続的な報道実績があるのは主に沖縄地方のメディアであって、その他の地域のメディアを通じた報道は散発的なものにとどまるから、沖縄地方の需要者の間において、請求人や請求人窯元、ひいてはその手がける「石垣焼」がある程度知られているとしても、我が国における全国的な需要者の間における認知度を推し測ることはできない。 (エ)また、旅行情報誌や旅行パンフレットなどを通じて、沖縄を訪問する観光客の間において請求人窯元や「石垣焼」が認知される可能性があるとしても、当該観光客の間における認知度を、その指定商品に係る日本全国の一般の需要者の間における認知度とは同一視できない。 (オ)さらに、「石垣焼」を紹介する記事情報にしても、その原材料や色彩、産地(沖縄)などが強調されているから、それら記事内容に接する者をして、「石垣焼」が一定の品質(原材料、色彩、産地)を備える焼物の一種を指称する語と漠然と理解されるとしても、請求人固有の出所識別標識であるとは直ちに理解し得ない。 (カ)したがって、請求人提出の証拠によっては、「石垣焼」の文字からなる本願商標について、請求人の出所識別標識として、我が国の需要者の間において広く認識されていると認めることはできない。 そのため、本願商標は、使用をされた結果需要者が何人か(請求人)の業務に係る商品であることを認識することができる商標とはいえないから、商標法第3条第2項の要件を具備しない。 ウ 請求人の主張について (ア)請求人は、「石垣焼」に対する展示会などでの高い評価や美術館などでの所蔵、展示は、何億円もの費用を投下して行う宣伝広告に匹敵する宣伝効果があるもので、テレビや雑誌の広告に頼らずとも広く世に知らしめることができた旨を主張する。 しかしながら、国内外の展示会や博物館などでの出展や評価に関するメディアの報道や記事情報が一定程度の広告宣伝効果を有するとしても、上記イ(ウ)のとおり、請求人や請求人窯元に関する継続的な報道実績があるのは主に沖縄地方のメディアであって、その他の地域のメディアを通じた報道は散発的なものにとどまるから、請求人提出の証拠によっては、「石垣焼」が、我が国における全国的な需要者の間において広く知られていると認めることはできない。 (イ)請求人は、独自の技法で制作する陶器を「石垣焼」と銘打って世に送り出してから20余年、その名称を唯一使用しているのは請求人であり、その結果、「石垣焼」は、石垣島産の鉱石と透明のガラスを融合して油滴天目の器に独特の青色を発色させるという独自の技法で制作される陶器を示す語として広く知られるようになった旨を主張する。 しかしながら、「石垣焼」は、その紹介記事情報などにおいても、上記イ(オ)のとおり、その原材料や色彩、産地などが強調されているから、一定の品質(原材料、色彩、産地)を備える焼物の一種を指称する語として漠然と理解されるとしても、請求人固有の出所識別標識であるとは直ちに理解し得ないもので、本願商標は、請求人の出所識別標識として、我が国の需要者の間において広く認識されているとはいえないから、「石垣焼」と称する商品の請求人以外の生産者や販売者の存否にかかわらず、商標法第3条第2項の要件を具備しない。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、同条第2項の要件を具備しないから、登録することはできない。 よって、結論のとおり審決する。

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