商標拒絶査定不服審判
2021-011632
クマノベンケー、ベンケー
- 審判番号
- 2021-011632
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2018-141872
- 請求日
- 2021年09月01日
- 審決日
- 2022年04月15日
- 公報発行日
- 2022年05月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】プラム食品株式会社
- 【請求人代理人】中田 和博
- 【請求人代理人】青木 博通
- 審判長/審判官
- 審判長 豊田 純一
- 審判官 小田 昌子
- 審判官 渡邉 潤
- 分類
- T18 .22 -WY (W33)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項7号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第7号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2018-141872拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。
理由
理 由
1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「熊野弁慶」の文字を標準文字で表してなり、第33類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成30年11月15日に登録出願されたものである。
本願は、令和元年9月4日付けで拒絶理由の通知がされ、同年10月21日に意見書が提出された後、同2年3月19日に拒絶理由の通知がされ、同3年5月19日に意見書が提出されたが、同年6月3日付けで拒絶査定がされたものである。
これに対し、令和3年9月1日に拒絶査定不服審判の請求がされ、本願の指定商品は、当審における同月30日付け手続補正書により、第33類「ウイスキー」に補正されている。
2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、「熊野弁慶」の文字を標準文字で表してなるところ、これは、「紀伊半島南部、牟婁(むろ)地方の総称。」であり、現在の和歌山県、三重県の地方を表す「熊野」の文字と「鎌倉初期の僧。幼名は鬼若丸、熊野の別当の子という。武蔵坊と号して比叡山西塔にいたが、源義経に仕えた」歴史上の人物として知られる「弁慶」の文字を結合したものと理解される。特に和歌山県田辺市は「弁慶」生誕の地とされ、当地で開催される「弁慶まつり」の2019年の来場者数は2日間で約5万人との記事がある。そうすると、本願商標は、「熊野」生まれの著名な歴史上の人物である「弁慶」を表したものと認識され、また、「日本酒」等の酒類は、土産物や特産品として生産、販売されていることから、本願商標を一私人である出願人の商標として、その指定商品に独占的な使用を認めることは、「弁慶」の文字を使用した観光振興や地域興しなどの公益的な施策の遂行を阻害するおそれや同人ゆかりの地における各種商品等を取り扱う事業者等の公正な商取引を害するおそれがある。したがって、本願商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標であり、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、上記1のとおり、「熊野弁慶」の文字を標準文字で表してなるところ、「熊野弁慶」の文字は、「紀伊半島南部、牟婁(むろ)地方の総称。」であり、現在の和歌山県、三重県の地方を表す「熊野」の文字と「鎌倉初期の僧。幼名は鬼若丸、熊野の別当の子という。武蔵坊と号して比叡山西塔にいたが、源義経に仕えた」歴史上の人物として知られる「弁慶」の文字を結合したものであるとしても、この構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるような構成でないことは明らかである。
また、「熊野弁慶」の文字は、一般的な辞書には載録がなく、特定の意味合いを有する語として需要者の間で広く知られているものであると判断しなければならない特段の事情はないものである。
さらに、本願商標の構成中の「弁慶」の文字が、歴史上の人物を表すものであるとしても、一般に「熊野」の地が「弁慶」の生誕の地として正確に理解されているとはいい難いものであり、また、「弁慶」の文字は、「強い者のたとえ。」等を意味する語(「広辞苑 第7版」発行者:株式会社岩波書店)としても一般に知られている。
そうすると、本願の指定商品「ウイスキー」の取引者、需要者が、「熊野弁慶」の文字に接するときに、これより直ちに、歴史上の人物である「弁慶」を想起するとはいい難く、構成全体で一体不可分の造語として認識するものとみるのが自然である。
また、当審において職権をもって調査すると、和歌山県田辺市で「弁慶まつり」が開催されているとしても、「熊野弁慶」の文字を商標として採択、使用することが、「弁慶」の生誕の地とされる地域等の人々の感情を害するおそれや、「弁慶」の文字を活用した観光振興や地域興しなどの施策の遂行を阻害するおそれがあると認め得る具体的な事情は、発見できない。
さらに、本願商標は、その登録出願の経緯等に社会通念に照らして著しく社会的相当性を欠くものがあるとも認められないから、請求人(出願人)(以下「請求人」という。)が、本願商標をその指定商品「ウイスキー」について使用することが、社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するものではない。
加えて、本願商標は、他の法律によって、その商標の使用等が禁止されているものではなく、特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反するものでもない。
以上からすると、本願商標は、これを一私人である請求人の商標として、その指定商品について独占的な使用を認めることが、「弁慶」の文字を使用した観光振興や地域興しなどの公益的な施策の遂行を阻害するおそれや同人ゆかりの地における各種商品等を取り扱う事業者等の公正な商取引を害するおそれがあるものとはいえないものである。
したがって、本願商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標に該当するものではないから、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当ではなく、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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