商標拒絶査定不服審判
2021-010924
レンジグリルアイエイチ、レンジグリルアイエッチ、レンジグリル、グリルアイエイチ、グリルアイエッチ
- 審判番号
- 2021-010924
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2019-148175
- 請求日
- 2021年08月17日
- 審決日
- 2023年01月17日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】三菱電機株式会社
- 【請求人代理人】加藤 哲治
- 【請求人】三菱電機ホーム機器株式会社
- 【請求人代理人】加藤 哲治
- 審判長/審判官
- 審判長 豊田 純一
- 審判官 小田 昌子
- 審判官 岩谷 禎枝
- 分類
- T18 .16 -Z (W11)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号、商標法第3条第1項第3号、商標法第3条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2019-148175拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「レンジグリルIH」の文字を標準文字で表してなり、第11類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、令和元年11月25日に登録出願されたものである。
本願は、令和2年11月27日付けで拒絶理由の通知がされ、同3年2月26日に意見書が提出され、本願の指定商品は、同日受付の手続補正書により、第11類「業務用加熱調理機械器具,家庭用電熱用品類」(以下「原審補正商品」という。)に補正されたが、同年5月14日付けで拒絶査定がされたものである。
これに対し、令和3年8月17日に拒絶査定不服審判の請求がされ、本願の指定商品は、同日受付の手続補正書により、第11類「業務用加熱調理機械器具,家庭用電気加熱調理器」(以下「当審補正商品」という。)に補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、要旨、以下のとおり認定、判断し、本願を拒絶したものである。
本願商標は、「レンジグリルIH」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「レンジ」は、「電子レンジ・オーブンレンジの略称」を表し、「グリル」は、「肉や魚の焼網、またはそれを使った網焼き料理」等の意味を有し、「IH」は、「電磁誘導を利用した加熱、導体に交流磁場を加えると導体に渦電流が流れ発熱することを利用するもの」の意味を有するものであり、原審補正商品との関係において、グリル料理を作ることができる機能を備えた電子レンジが取引されている実情が認められ、また、IH式の商品に「IH」の語が付されている実情も見受けられる。そうすると、本願商標は、「グリル料理を作ることができる機能を備えたIH式の電子レンジ」ほどの意味合いを容易に理解させることから、本願商標を原審補正商品に使用しても、これに接する取引者、 需要者は、「グリル料理を作ることができる機能を備えたIH式の電子レンジ」であること、すなわち、商品の品質を表したものと認識するにすぎないから、本願商標は、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示するものと判断するのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記意味合いに照応する商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
第3 当審における審尋
当審において、令和4年4月22日付け審尋(以下「審尋」という。)により、請求人(出願人)(以下「請求人」という。)に対し、別掲のとおりの事実を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。
第4 審尋に対する請求人の回答(要旨)
請求人は、上記第3の審尋に対し、令和4年6月3日受付の意見書(以下「意見書」という。)及び同年7月21日受付の上申書(以下「上申書」という。)を提出し、意見書及び上申書において、要旨、以下、1及び2のとおりの意見を述べた。
1 「レンジグリル」は、加熱の方法及び原理が明確に異なる技術を組み合わせ、レンジ機能、グリル機能による加熱を自動で連続して行う、従来は存在しなかった新しいタイプの加熱調理器具・機能を指し示すものであり、現在に至るまで、このような加熱調理器具が「レンジグリル」の普通名称として使用されているという事実は見いだせず、「レンジグリル」の文字は、請求人以外には使用されていないから、需要者等だけではなく、業界内においても、「レンジグリル」は請求人独自の造語であり、“技術ブランド”と認識されている。
2 過去の登録例からすると、「○○グリル」と表記された場合の商標中の「グリル」の語は、必ずしも、商品「加熱器」等の「グリル調理機能」を説明する語として一義的に捉えられていないことは明らかである。
第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、「レンジグリルIH」の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標は、同書、同大、等間隔で表されているとしても、その構成は、「レンジ」、「グリル」及び「IH」の文字を横一連に結合したものと容易に認識できるものである。
そして、本願商標の構成中の「レンジ」の語は、「こんろ。電子レンジ・オーブンレンジの略称。」を、「グリル」の語は、「肉や魚の焼網。」を、「IH」の語は、「誘導加熱」(いずれも「広辞苑 第7版」株式会社岩波書店)を意味する語であり、別掲の(1)ないし(6)のとおり、当審補正商品を取り扱う業界において、「レンジ」の語は、「マイクロ波で食材を熱する機能や器具」を、「グリル」の語は、「ヒーターで食材の表面を熱する機能や器具」を、「IH」の語は、「誘導加熱で鍋等を加熱することで食材を熱する機能や器具」を表す語として一般に使用されている。
また、別掲の(7)及び(8)のとおり、請求人以外の者が、加熱調理機械器具である業務用又は家庭用IH調理器を「IHレンジ」と称して商品を製造・販売している事実もある。
そうすると、本願商標「レンジグリルIH」は、当審補正商品の名称や機能を表す語を羅列したにすぎないものであって、本願商標は、その他、自他商品の識別機能を有すると判断し得る構成要素を有さないものである。
よって、本願商標を当審補正商品について使用しても、これに接する取引者、需要者は、本願商標を自他商品の識別標識として認識するというよりも、単に、当審補正商品の商品名や機能を表す語を羅列したにすぎないものと理解するにとどまるものであって、当審補正商品の需要者において、他人の同種商品と識別するための標識であるとは認識し得ないものというべきであって、その構成自体からして、当審補正商品に使用されるときには、自他商品の出所識別機能を有しないものと認められる。
その他、本願商標の構成中に、自他商品の識別標識と認識し得る構成要素を有さないことから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であるかを認識することができない商標と判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、「レンジグリル」は、加熱の方法及び原理が明確に異なる技術を組み合わせ、レンジ機能、グリル機能による加熱を自動で連続して行う、従来は存在しなかった新しいタイプの加熱調理器具・機能を指し示すものであり、現在に至るまで、このような加熱調理器具が「レンジグリル」の普通名称として使用されているという事実は見いだせず、「レンジグリル」の文字は、請求人以外には使用されていないから、需要者等だけではなく、業界内においても、「レンジグリル」は請求人独自の造語であり、“技術ブランド”と認識されている旨主張する。
しかしながら、「商標法3条1項6号は,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標につき,それ故に登録を受けることができないとしたものであって,当該商標が取引上現実に使用されている事実は,同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである」(知財高裁平成25年(行ケ)第10142号,同25年11月14日判決)と判示されていることからすると、請求人が主張するとおり、請求人以外の者が、「レンジグリル」の文字を使用していないとしても、上記1のとおり、「レンジ」、「グリル」及び「IH」の文字を横一連に結合したものと容易に認識できる本願商標を当審補正商品について使用しても、これに接する取引者、需要者は、本願商標を自他商品の識別標識として認識するというよりも、単に、当審補正商品の商品名や機能を表す語を羅列したにすぎないものと理解するにとどまるものであって、当審補正商品の需要者において、他人の同種商品と識別するための標識であるとは認識し得ないものというべきであって、その構成自体からして、当審補正商品に使用されるときには、自他商品の出所識別機能を有しないものと認められることから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であるかを認識することができない商標と判断するのが相当である。
また、仮に、請求人が、「レンジグリル」と称する商品が、加熱の方法及び原理が明確に異なる技術を組み合わせ、レンジ機能、グリル機能による加熱を自動で連続して行う、従来は存在しなかった新しいタイプの加熱調理器具・機能を指し示すものであるとしても、当該文字は、「マイクロ波で食材を熱する機能や器具」を意味する「レンジ」の文字と「ヒーターで食材の表面を熱する機能や器具」を意味する「グリル」の文字とを結合したにすぎないことからすると、上記請求人の主張により、上記1の認定、判断が左右されるものではない。
(2)請求人は、過去の登録例からすると、「○○グリル」と表記された場合の商標中の「グリル」の語は、必ずしも、商品「加熱器」等の「グリル調理機能」を説明する語として一義的に捉えられていないことは明らかである旨主張する。
しかしながら、登録出願された商標が自他商品の識別機能を有するか否かは、当該登録出願の査定時又は審決時において、これに接する取引者、需要者の認識を基準として判断されるべきであり、当該商標の構成態様と指定商品との関係や商品の取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるものであって、他の登録例の存在によって、上記判断が左右されるものではない。
そして、上記1のとおり、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であるかを認識することができない商標と判断するのが相当である。
(3)請求人の上記主張は、いずれも採用することができず、また、その他の請求人の主張は、採用するべき事情はない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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