特許拒絶査定不服審判
2021-008612
ボルダリング壁体
- 審判番号
- 2021-008612
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-104582
- 請求日
- 2021年06月30日
- 審決日
- 2022年09月27日
- 公報発行日
- 2022年10月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社Carpediem
- 【請求人代理人】萩原 康司
- 【請求人代理人】金本 哲男
- 【請求人代理人】扇田 尚紀
- 【請求人代理人】齊藤 隆史
- 【請求人代理人】三根 卓也
- 審判長/審判官
- 審判長 藤本 義仁
- 審判官 比嘉 翔一
- 審判官 松田 直也
- 分類
- P18 .536-WY (A63B) / P18 .537-WY (A63B) / P18 .121-WY (A63B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-104582「ボルダリング壁体」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年12月12日出願公開、特開2019-208581、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年5月31日を出願日とする出願であって、令和2年8月18日付けで拒絶理由が通知され、同年10月19日に手続補正書及び意見書が提出され、同年12月1日付けで最後の拒絶理由が通知され、令和3年2月4日に手続補正書及び意見書が提出され、同年3月23日付けで、同年2月4日になされた手続補正についての補正の却下の決定がなされるとともに拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされ、これに対して同年6月30日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされた。その後、当審により、令和4年5月31日付けで、拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年8月3日に手続補正書及び意見書が提出されたものである。
第2 令和3年3月23日付けの補正の却下の決定及び原査定の概要
1.令和3年3月23日付けの補正の却下の決定の概要は以下のとおりである。
令和3年2月4日付けの補正は、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものであるが、当該補正後の本願請求項1ないし4に係る発明は、引用文献2ないし7に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであり、独立特許要件を満たさないから、令和3年2月4日付けの補正は却下すべきものである。
引用文献等一覧
引用文献2.「ボルダリングボックス」debut!!!,ボールドスタッフの徒然日記[online],2016年2月28日。[2020年8月6日検索],インターネット<URL:https://bold-gym.com/staff-blog/?p=518>
引用文献3.特開平8-84796号公報
引用文献4.韓国公開特許第10-2011-0046828号公報
引用文献5.特開2006-345949号公報
引用文献6.米国特許第8257088号明細書
引用文献7.登録実用新案第3152671号公報
2.原査定の概要は次のとおりである。
(1)本願請求項1ないし4の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(2)本願請求項1ないし4に係る発明は、上記引用文献2ないし7に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
1.理由1(実施可能要件)
本願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
2.理由2(サポート要件)
本願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
3.理由3(明確性)
本願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
記
●理由1(実施可能要件)について
・請求項 1~4
・備考
(1)請求項1に記載された事項について
請求項1には、「骨組み構造体は、棒鋼材で組み立てられ」「パネル部材は前記棒鋼材で構成される格子の内部に配置され、前記パネル部材の外表面は前記棒鋼材よりも外側に突出しないように取り付けられ、前記複数のパネル部材の周囲の全体が棒鋼材で囲まれるように取り付けられている」と記載されている。
(2)発明の詳細な説明に記載された事項について
上記(1)に記載の事項を具体的にどのように実施しているのかについて、発明の詳細な説明には、以下のとおり記載されている(下線は当審にて付した。以下同様。)。
ア 「【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された発明は壁面が1面しかなく、多人数で同時に楽しむことができない構造である。また、特許文献2に開示された発明は壁面が2面あるものの、それらも壁面はいずれも緩傾斜(壁面の傾斜角度が90°(垂直)に満たない角度)であり、オーバーハングした(壁面の傾斜角度が90°(垂直)を超えるような急傾斜の)壁面とすることができず、面白味に欠けるといった課題がある。また、特許文献3に開示された発明は、繊維強化樹脂によって一体成型されたボルダリングユニットが筒状で相当な大きさを有しているため、運搬が容易でなく、また保管場所も広く必要になるといった課題がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、運搬や保管が容易であり、複数の壁面を備えた面白味に優れるボルダリング壁体を提供することを目的とする。」
イ 「【0014】
図2に示すように、骨組み構造体2の各壁面10は、例えば四角断面形状を有する角パイプ材やアングル材などの棒鋼材11を複数本用いて格子状に組み合わせることにより、平面に構成されている。なお、図示はしないが、棒鋼材11同士の接続は、適当な接続用金具やボルト、ナット等を用いて行われており、骨組み構造体2は、組み立て、および、分解を自在に行うことができる。」
ウ 「【0030】
例えば、四角柱形状のボルダリング壁体1を例示したが、三角柱形状、あるいは、五角柱形状以上の多角柱体形状でも良い。また、複数本の棒鋼材11を組み合わせて多角柱体形状の骨組み構造体2を組み立てる場合、例えば図9に示すように、多角柱体形状の骨組み構造体2の隅角部分において、3本の棒鋼材11の端部同士をスリーブ結合させる隅角部分連結部材30を用いても良い。この隅角部分連結部材30は、所定の角度(互いに約90°)で交差するように配置された3つのスリーブアウター部31を有しており、3本の棒鋼材11の端部には、スリーブインナー部32がそれぞれ形成されている。そして、3本の棒鋼材11の端部のスリーブインナー部32を、隅角部分連結部材30のスリーブアウター部31にそれぞれ挿入することにより、インロー方式(釣り竿のつなぎ目のような接続構造)で3本の棒鋼材11の端部同士を仮固定することができる。このように棒鋼材11の端部同士を隅角部分連結部材30で仮固定してとりあえず骨組み構造体2を自立させた後、ボルト等によって棒鋼材11と隅角部分連結部材30をしっかりと固定するようにすれば、骨組み構造体2の組み立て作業が容易となり、作業負担や作業時間を低減できる。また、棒鋼材11同士の軸心の位置合わせ精度が向上し、さらに、棒鋼材11同士の接合強度も向上するといった利点もある。なお、多角柱体形状の骨組み構造体2の隅角部分において棒鋼材11の端部同士をスリーブ結合させる例を説明したが、棒鋼材11の途中に棒鋼材11の端部を結合する際に、同様なスリーブ結合を利用しても良い。また、棒鋼材11と隅角部分連結部材30を固定する場合や、棒鋼材11の途中に棒鋼材11の端部を固定する場合には、共通のボルト、ナットおよびワッシャ類を用いることにより、部品点数の増加による煩雑さが回避される。」
(3)請求項1に係る発明(特に、上記(1)に記載の事項)を当業者が実施することができる程度に、発明の詳細な説明が明確かつ十分に記載されているかについての判断
ア 上記(2)アで示したとおり、本願は、運搬や保管が容易なボルダリング壁体を提供することを、課題の1つとするものである。
イ 棒鋼材同士の接続に関して、骨組み構造体の隅角部分における棒鋼材の端部同士の接続は、上記(2)イで摘記したとおり、「棒鋼材11の端部同士をスリーブ結合させる隅角部分連結部材30を用いて」、「棒鋼材11の端部同士を隅角部分連結部材30で仮固定してとりあえず骨組み構造体2を自立させた後、ボルト等によって棒鋼材11と隅角部分連結部材30をしっかりと固定する」ことで行われるものであることが、理解できる。
ウ また、棒鋼材同士の接続に関して、棒鋼材の途中に棒鋼材の端部を結合する際には、上記(2)イで摘記したとおり、「同様なスリーブ結合を利用しても良い」ことが、理解できる。
エ しかしながら、棒鋼材同士の接続に関して、上記(3)ア及びイ以外の場合については(例えば、棒鋼材の途中部分に他の棒鋼材の途中部分を結合するような、スリーブ結合をどのようにして用いるのか不明な場合等)、上記(2)アで摘記したとおり、発明の詳細な説明には、単に「棒鋼材11同士の接続は、適当な接続用金具やボルト、ナット等を用いて行われており」と記載されているのみである。そして、適当な接続用金具やボルト、ナット等をどのように用いることで、「パネル部材」を「前記棒鋼材で構成される格子の内部に配置」し、「パネル部材の外表面」を「棒鋼材よりも外側に突出しないように取り付け」、「複数のパネル部材の周囲の全体が棒鋼材で囲まれるように取り付けられ」るようにするのかが、理解できない。
このため、単に「棒鋼材11同士の接続は、適当な接続用金具やボルト、ナット等を用いて行われており」との記載とするのみで、上述した課題を解決するために、骨組み構造体が、具体的に、どのような、組み立てや分解を自在に行うことに適した構造になっているのか理解できない。
オ したがって、発明の詳細な説明は、本願発明1において特定されている「骨組み構造体は、棒鋼材で組み立てられ」「パネル部材は前記棒鋼材で構成される格子の内部に配置され、前記パネル部材の外表面は前記棒鋼材よりも外側に突出しないように取り付けられ、前記複数のパネル部材の周囲の全体が棒鋼材で囲まれるように取り付けられている」との事項を、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものではない。
カ 請求項1を引用する請求項2~4についても同様の点が指摘される。
(4)まとめ
よって、本願の発明の詳細な説明は、当業者が本願発明1~4を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。
●理由2(サポート要件)について
・請求項 1~4
・備考
請求項1には、「パネル部材は前記棒鋼材で構成される格子の内部に配置され」、「前記複数のパネル部材の周囲の全体が棒鋼材で囲まれるように取り付けられている」と記載されており、当該記載は、「格子」の一般的な文言の意味を考慮すると、図2の9分割されたものの1つと解釈されるところ、格子の内部に取り付けられるパネルは1又は複数の場合があるものと解釈される。
他方、上記請求項の記載に対応する記載として、発明の詳細な説明には、図面とともに次の記載がある。
「【0020】
図8に示すように、パネル部材3は、格子状に配置された棒鋼材11の内部面の内側に挿入された状態で、構造体2に取り付けられる。パネル部材3は、人の体重を支えるのに十分な強度を有する厚さ(例えば20mm程度)を有するコンパネ、構造用合板などからなり、任意の形状に切断加工することにより、格子状に配置された棒鋼材11の内部面の内側に挿入可能な形状に容易に加工することができる。このようにパネル部材3を、格子状に配置された棒鋼材11の内部面の内側に挿入することにより、パネル部材3の周囲が棒鋼材11で囲まれた状態にされる。」
「【図2】
[図:0001388868000001.jpg]
」
「【図6】
[図:0001388868000002.jpg]
」
「【図7】
[図:0001388868000003.jpg]
」
以上の記載によると、発明の詳細な説明には、1つの格子に対し、「1つのパネル」が配置された構造が記載されているものの、前記1つの格子に対し、「複数のパネル」が配置された構造については記載されていない。
このため、請求項1の上記記載は、発明の詳細な説明に記載したものではない。
請求項1を引用する請求項2~4についても同様の点が指摘される。
よって、本願発明1~4は、発明の詳細な説明に記載したものではない。
●理由3(明確性)について
・請求項 1~4
・備考
請求項1には、「パネル部材の外表面」及び「棒鋼材よりも外側」との記載があるが、何を基準に「外」と定義されているのか、不明確である(「ホールドが取り付けられる」側が「外」か?なお、発明の詳細な説明には、多角柱体形状を有する骨組み構造体の内部に、ホールドを取り付けることは記載されていないことに注意されたい。)。
請求項1を引用する請求項2~4についても同様の点が指摘される。
よって、本願発明1~4は、明確ではない。
第4 本願発明
1.本願発明の内容
本願の請求項1ないし3に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明3」という。)は、令和4年8月3日に提出された手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
多角柱体形状を有する骨組み構造体の周側面に、
登攀用の手掛かり又は足掛かりとなるホールドが取り付けられる複数のパネル部材を脱着自在に取り付け、
前記骨組み構造体は、棒鋼材で組み立てられ、
前記骨組み構造体の隅角部分において、3本の棒鋼材の端部同士が隅角部分連結部材を用いてスリーブ結合され、
前記パネル部材は前記棒鋼材で構成される格子の内部に配置され、パネル部材の外表面と、前記棒鋼材の外側面は、同一平面に配置され、前記パネル部材の外表面に前記ホールドが取り付けられ、一つの格子に対し、一つのパネル部材が配置され、各パネル部材の周囲の全体が棒鋼材で囲まれるように取り付けられていることを特徴とする、ボルダリング壁体。
【請求項2】
前記パネル部材の外表面と、前記パネル部材の周囲を囲む位置にある棒鋼材の外側面は、同一平面に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のボルダリング壁体。
【請求項3】
前記棒鋼材には、前記パネル部材の裏面に当接して、前記パネル部材の外表面と、前記パネル部材の周囲を囲む位置にある棒鋼材の外側面を、同一平面に位置合わせさせる支持ブラケットが設けられていることを特徴とする、請求項2に記載のボルダリング壁体。」
第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献2について
(1)引用文献2記載事項
原査定の拒絶の理由において引用文献2として引用され、本願の出願日前である平成28年2月28日に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった「「ボルダリングボックス」debut!!!,ボールドスタッフの徒然日記[online],2016年2月28日,[2020年8月6日検索],インターネット<URL:https://bold-gym.com/staff-blog/?p=518>」(以下、「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。
ア 「「ボルダリングボックス」がついにデビューしました!!」
イ 「見た目コンパクトですが、スラブ、垂壁、傾斜と本格的なボルダリングのコースが体験でき、さらにマントルを返してトップアウトも出来る、なんでもこいな仕様になっています!」
ウ 「今後もいろんなイベントで皆さまに触れて頂ければと思っております!
イベントの用途に合わせて子供向けのコースや大人向けのコースなど様々なコースの設定が可能!
またレンタルですがボックス自体のカラーの変更、ロゴなどを挿入してアピールすることもできます!」
エ 「
[図:0001388868000004.jpg]
」
オ 「
[図:0001388868000005.jpg]
」
カ 「
[図:0001388868000006.jpg]
」
(2)引用文献2の記載から認定できる事項
ア 上記「(1) エ」ないし「(1) カ」から、「ボルダリングボックス」は、複数の面を有している立体構造物であることが看取できる。
イ 上記「(1) エ」ないし「(1) カ」から、「ボルダリングボックス」は周側面を有すること、当該周側面が登攀面であること、及び、当該登攀面には、登攀用の手掛かり又は足掛かりとなるホールドが取り付けられていることが看取できる。
(3)引用発明2
上記(1)及び(2)より、引用文献2には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「本格的なボルダリングのコースが体験でき、イベントの用途に合わせて子供向けのコースや大人向けのコースなど様々なコースの設定が可能な、複数の登攀面を有している立体構造物であるボルダリングボックスであって、
当該ボルダリングボックスの周側面が登攀面であり、当該登攀面には、登攀用の手掛かり又は足掛かりとなるホールドが取り付けられている、
ボルダリングボックス。」
2.引用文献3について
(1)引用文献3記載事項
本願の出願前の平成8年4月2日に頒布された刊行物である特開平8-84796号公報(以下、「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0005】
【実施例】図に示すクライミング用人工壁装置は、起立状に設置される壁面部材(1)と、該壁面部材を揺動可能に枢着し室内の床面や屋外の地面上に置かれる台部材(2)と、上記壁面部材と台部材間に渡されその相対的位置関係を調整して壁面部材の傾斜角を設定する支持部材(3)を備えている。
【0006】上記壁面部材(1)は、図示のものでは金属製の角パイプで外枠(4)とその間に渡した棧部材(5)を形成し、外枠の横部(6)と棧部材の横部(7)の端部に溶接したL字状の取付具(8)をもって、外枠の縦部(9)に外枠の横部(6)と棧部材の横部(7)をそれぞれ六角穴付ボルト等のボルト(10)で固定し、又棧部材の縦部(11)はその端部に溶接した取付具(12)をもって上記のボルト(10)で上記外枠の横部(6)と棧部材の横部(7)に、あるいは棧部材の横部(7)間にそれぞれ固定している。
【0007】外枠(4)と棧部材(5)で組立てた基部材の表面には、FRP,ポリエステル等の丈夫なプラスチックで形成したボ-ド(13)が複数枚上記のボルト(10)で固定されている(図3)。なおボ-ド表面には適宜石灰岩風にサンドブラスト加工が施される。
【0008】<略>
【0009】ホ-ルド(14)は、そのほぼ中央に形成した段(18)付ボルト用孔(19)に六角穴付ボルト(20)を通してボ-ドに固定されるが、図5に示すインナ-タイプではボ-ドに埋込んだ三方向に突出した舌片(21)を有するナット(22)で固定し、又図6に示すアウタ-タイプではツメ付ナット(23)で固定している。その際、上記ホ-ルドには適宜ワッシャ-(55)が埋込まれる。なお、アウタ-タイプでは、ホ-ルドの外周に上記ボ-ドと同様の材料あるいは他の材料で形成した補助部(24)をボ-ドに接着等して一体的にあるいは一体に成形する等している。」
イ 「
[図:0001388868000007.jpg]
」(【図2】)
ウ 「
[図:0001388868000008.jpg]
」(【図3】)
(2)引用文献3の記載から認定できる事項
ア 上記「(1) イ」から、「外枠(4)」と「桟部材(5)」とにより格子が形成されることが看取できる。
また、上記「(2) イ」及び「(2) ウ」から、一つの格子に対し、一つの「ボード(13)」が配置されていることも看取できる。
(4)引用文献3に記載された技術的事項
上記(1)及び(2)より、引用文献3には、次の技術的事項(以下、「技術的事項3」という。)が記載されていると認められる。
「起立状に設置される壁面部材(1)と、該壁面部材(1)を揺動可能に枢着し室内の床面や屋外の地面上に置かれる台部材(2)と、上記壁面部材(1)と台部材(2)間に渡されその相対的位置関係を調整して壁面部材(1)の傾斜角を設定する支持部材(3)を備えている、クライミング用人工壁装置であって、
上記壁面部材(1)は、金属製の角パイプで外枠(4)とその間に渡した棧部材(5)を形成し、外枠(4)の横部(6)と棧部材(5)の横部(7)の端部に溶接したL字状の取付具(8)をもって、外枠(4)の縦部(9)に外枠(4)の横部(6)と棧部材(5)の横部(7)をそれぞれ六角穴付ボルト等のボルト(10)で固定し、又棧部材(5)の縦部(11)はその端部に溶接した取付具(12)をもって上記のボルト(10)で上記外枠(4)の横部(6)と棧部材(5)の横部(7)に、あるいは棧部材(5)の横部(7)間にそれぞれ固定し、
外枠(4)と棧部材(5)で組立てた基部材の表面には、FRP、ポリエステル等の丈夫なプラスチックで形成したボ-ド(13)が複数枚上記のボルト(10)で固定され、
ホ-ルド(14)は、そのほぼ中央に形成した段(18)付ボルト用孔(19)に六角穴付ボルト(20)を通してボ-ドに固定され、
前記外枠(4)と桟部材(5)とにより格子が形成され、一つの格子に対し、一つのボ-ド(13)が配置される、
クライミング用人工壁装置。」
3.引用文献5、引用文献6、引用文献7、周知技術1
(1)本願の出願前の平成18年12月28日に頒布された刊行物である特開2006-345949号公報(以下、「引用文献5」という。)には、次の事項が記載されている。
「【0021】
本発明に係るジャングルジムは、所定個数の継手部材3と所定の長に揃えて形成される複数の樹脂製のパイプ2とを1セットにして梱包された状態で販売される子供用の組立式ジャングルジムであり、図1に示されるように、パイプ2と継手部材3を組立てて行くことにより、様々な形状のジャングルジム1が組立て可能とされている。
【0022】
図2乃至図5に示されるように、前記継手3には、3つの継手軸32が設けられる第1継手3Aと、4つの継手軸32が設けられる第2継手3Bと、5つの継手軸32が設けられる第3継手3Cと、6つの継手軸32が設けられる第4継手3Dの4種類が用意されている。
【0023】
図6には、一例として、継手3Aに使用される継手本体33の構成を示しているが、他の継手3B~3Dに関しても、これと同様に継手本体は樹脂成形して一体に形成されており、前記複数の継手軸32は同寸法の円筒状に形成されており、各継手軸32は互いに直行する位置関係で継手本体33に立設されている。
この継手軸32の基部には、円筒状のパイプ連結リング31が回転自在に係止されており、パイプ連結リング31の前部と継手軸32との間にはパイプ2が挿入される間隙部5が設けられている。」
「
[図:0001388868000009.jpg]
」
(2)本願の出願前の2012年(平成24年)9月4日に頒布された刊行物である米国特許第8257088号明細書(以下、「引用文献6」という。)には、次の事項が記載されている(括弧内の訳文は、当審が作成した。以下同じ。)。
「Referring to the drawings, FIG. 1 depicts an embodiment of an assembly of the invention. The assembly 100 is composed of multiple frame member supports 104 A-L. The frame member supports 104 A-L are of any suitable shape and can be in particular cylindrical or tubular in shape. The frame member supports 104 A-L are connected to form a framed enclosure 102 that is generally the shape of a non-solid polyhedron, such as a cube, rectangular prism, or other geometric shape. In the embodiment shown in FIG. 1, the polyhedron-shaped framed enclosure 102 has six square faces, facets, or sides, with three faces, facets or sides meeting at a vertex.
The framed enclosure 102 has a base side 106, which is formed by frame member supports 104A, 104B, 104C and 104D. The base side 106 may be positioned on top of a substantially flat surface, such as a ground or floor. A top side 108 of the framed enclosure 102 is formed by frame member supports 104E, 104F, 104G and 104H. The top side 108 lies substantially parallel to the base side 106. The framed enclosure 102 has four vertical sides: vertical back side (104K, 104G, 104L and 104C); vertical front side (104J, 104E, 104I and 104A); vertical right side (104K, 104F, 104J and 104B); and vertical left side (104L, 104H, 104I and 104D). Each vertical side is defined by four frame member supports (104I, 104J, 104K, 104L) that extend vertically from the base side 106 and support the top side 108. The top, base and vertical sides in the described embodiment are equal in area and structure such that the assembly functions and looks the same whether the assembly is turned on its side or is upside down such that the top side is positioned on a ground or floor. The interchangeable positioning of the sides allows for ease of set up and a variety of uses. However, other geometric shapes are possible, for example, the base side may be larger or smaller in area than the top side, as further discussed below.
At each vertex of the polyhedron-shaped enclosure, three sides are joined or connected by a connecting member 114. FIG. 2 shows, in detail, an example of a connecting member 114 joining frame member supports 104E, 104H and 104I. The connecting member 114, as shown in FIG. 2, is an L-shaped element having three apertures or openings 112 (112E, 112H, 112I). Each aperture or opening is configured to receive and secure one end 110 (110E, 110H, 110I) of a frame member support 104 (104E, 104H, 104I). The openings 112E, 112H, and 112I open in the direction of three independent axes, 120, 122 and 124, respectively, as shown in FIG. 2. Two openings 112E and 112H extend orthogonally in two horizontal directions and one opening 112I extends orthogonally in a vertical direction. The openings 112E and 112H cooperate with frame member supports 104E and 104H to form two edges of the horizontal, top side 108 of the polyhedron-shaped enclosure. The opening 112I is vertically facing and receives a frame member support 104I that extends vertically and downward from the connecting member toward the base side 106 of the polyhedron-shaped enclosure. The frame member support 104I forms one edge of the front, vertical side of the polyhedron-shaped enclosure of FIG. 1.」(第2欄第23行~第3欄第10行)
(図面を参照すると、図1は、本発明のアセンブリの実施形態を示す。アセンブリ100は、複数のフレーム部材支持体104A-Lから構成される。フレーム部材支持体104A-Lは、任意の適切な形状であり、特に円筒形または管状の形状であり得る。フレーム部材支持体104A-Lは、接続されて、立方体、直角プリズム、または他の幾何学的形状などの非固体多面体の形状であるフレーム付きエンクロージャ102を形成する。図1に示す実施形態では、多面体形状のフレーム付きエンクロージャ102は、6つの正方形の面、ファセット、または辺を有し、3つの面、ファセット、または辺が頂点で交わる。
フレーム付きエンクロージャ102は、フレーム部材支持体104A、104B、104C、および104Dによって形成される底辺106を有する。底辺106は、地面または床などの実質的に平坦な表面上に配置されてもよい。フレーム付きエンクロージャ102の上辺108は、フレーム部材支持体104E、104F、104G、および104Hによって形成される。上辺108は、底辺106と実質的に平行に位置する。フレーム付き筐体102は、4つの垂直側面、すなわち、垂直背面(104K、104G、104L、および104C)と、垂直前面(104J、104E、104I、および104A)と、垂直右側面(104K、104F、104J、および104B)と、垂直左側面(104L、104H、104I、および104D)とを有する。各垂直側面は、基部側面106から垂直に延在し、上辺108を支持する、4つのフレーム部材支持体(104I, 104J, 104K, 104L)によって画定される。説明される実施形態における上面、底面、および垂直面は、面積および構造が等しく、したがって、アセンブリは、上面が地面または床の上に位置付けられるように、アセンブリがその側面を下にして回転されるか、または逆さまにされるかにかかわらず、同じように機能し、見える。側部の交換可能な位置決めは、セットアップの容易さ及び様々な使用を可能にする。しかしながら、他の幾何学的形状も可能であり、例えば、以下でさらに説明するように、基部側は、頂部側よりも面積が大きくても小さくてもよい。
多面体形状のエンクロージャの各頂点において、3つの辺が接続部材114によって接合又は接続される。図2は、フレーム部材支持部104E、104H、104Iを連結する連結部材114の一例を詳細に示す。接続部材114は、図2に示されるように、3つのアパーチャまたは開口部112(112E, 112H, 112I)を有するL字型要素である。各アパーチャまたは開口部は、フレーム部材支持体104(110E, 110H, 110I)の一端110(104E, 104H, 104I)を受け入れて固定するように構成される。開口部112E、112H、112Iは、図2に示すように、それぞれ独立した3つの軸120、122、124の方向に開口している。2つの開口部112E及び112Hは、2つの水平方向に直交して延在し、1つの開口部112Iは、垂直方向に直交して延在する。開口部112E及び112Hは、フレーム部材支持体104E及び104Hと協働して、多面体形状のエンクロージャの水平な上面108の2つの縁部を形成する。開口部112Iは、垂直方向に面しており、接続部材から多面体形状のエンクロージャのベース側106に向かって垂直下方に延びるフレーム部材支持体104Iを受け入れる。フレーム部材支持体104Iは、図1の多面体形状のエンクロージャの前側の垂直側部の1つの縁部を形成する。)
「The frame member supports are between 6 inches and 10 feet in length when the assembly is erected. In another embodiment, the frame member supports are between 4 and 7 feet in length when erected. The length of the frame member supports varies depending on the application of the invention. For example, an athlete may be asked to perform various agility exercises within the assembly. An athlete may be instructed to climb into the enclosure by stepping over a frame member support that is positioned on the ground or on a floor. In one embodiment, the athlete is instructed to step around certain tensile members, to step on certain tensile members, or to step into the voids created by the tensile members. Climbing through the tensile members, for example by placing a foot in a void created by the tensile members, requires a user to use ankle, knees, hips, core, wrists, elbows, shoulders and neck in non-traditional movement. This movement can be an ideal warm up or pre-workout activity. The exercise of stepping in and out of the voids created by the tensile members also forces a user to balance on one foot while extending the other foot, which both strengthens and stretches muscles, such as leg, stomach and other core muscles. In further embodiments, a user is instructed place his hands on certain tensile members or into the voids created by the tensile members, thus allowing the user to move his upper body in non-traditional movement patterns, which enables and strengthens core and upper body muscles.」(第8欄第55行~第9欄第15行)
(フレーム部材支持体は、アセンブリが組み立てられたとき、長さが6インチ~10フィートである。別の実施形態では、フレーム部材支持体は、直立時に長さが4~7フィートである。フレーム部材支持体の長さは、本発明の用途に応じて変化する。例えば、アスリートは、アセンブリ内で様々な敏捷性運動を行うように求められ得る。アスリートは、地面または床の上に配置されたフレーム部材支持体の上を踏むことによってエンクロージャの中に登るように指示され得る。一実施形態では、アスリートは、特定の引張部材の周りを踏むように、特定の引張部材の上を踏むように、または引張部材によって形成された空隙の中に踏み込むように指示される。例えば、引張部材によって形成された空隙内に足を配置することによって引張部材を登るには、ユーザは、足首、膝、腰、体幹、手首、肘、肩、及び首を非伝統的な動きで使用する必要がある。この動きは、理想的なウォームアップまたはトレーニング前活動であり得る。引張部材によって形成された空隙を出入りする運動はまた、脚、胃および他のコア筋肉などの筋肉を強化および伸張する他の足を伸ばしながら、ユーザに一方の足のバランスを取らせる。さらなる実施形態では、ユーザは、特定の引張部材上に、または引張部材によって生成された空隙内に手を置くように指示され、したがって、ユーザが、非従来移動パターンで上半身を移動させることを可能にし、これは、体幹および上半身筋肉を可能にし、強化する。)
「
[図:0001388868000010.jpg]
」
「
[図:0001388868000011.jpg]
」
(3)本願の出願前の平成21年8月6日に頒布された刊行物である登録実用新案第3152671号公報(以下、「引用文献7」という。)には、次の事項が記載されている。
「【0031】
この4個の係止孔20は、各々直交する4方向に向ってパイプの内側から外側に貫通しており、且つ、一端の係止孔20の中心と他端の係止孔20の中心とを結ぶ線がパイプ2の中心軸線と平行となるように配置される。つまり、パイプ2は、ジャングルジム用継手1が挿入されることで、ジャングルジム用継手1の係止突起15がパイプ2の係止孔20に嵌合してジャングルジム用継手1に装着される。そして、このようなパイプ2をジャングルジム用継手1によって縦横に連結することで、均整のとれたジャングルジム10が形成される。
【0032】
また、ジャングルジム用継手1は、合成樹脂製であってパイプ2が着脱自在に装着されるものである。また、このジャングルジム用継手1は、基部11の円筒部18から突出されてパイプ2に挿入される円筒状の継手軸12を3~6個備えている。この継手軸12は、互いに直交する方向に配置される。そして、ジャングルジム用継手1には複数の種類があり、継手軸12が3方に分岐する第1継手1Aと、4方分岐継手である第2継手1Bと、5方分岐継手である第3継手1Cと、6方分岐継手である第4継手1Dと、3方分岐継手に支持部19を備えた第5継手1Eと、がある。」
「【0047】
そして、支持部19を有する第5継手1Eは、図1に示したように、支持部19を外方に配置させるようにジャングルジム10における下端の角部に取付けることで、ジャングルジム10の安定性を向上させることができるものである。この第5継手1Eは、特に、ジャングルジム10が1列や2列などの少ない列数で構成されているときに有効である。」
「【図1】
[図:0001388868000012.jpg]
」
(4)上記「(1)」ないし「(3)」から、引用文献5ないし7には、次の周知技術(以下、「周知技術1」という。)が記載されていると認められる。
「骨組み構造体の角部において、3本のパイプの端部が、3方分岐継手を用いて結合されること。」
第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)本願発明1と引用発明2との対比
本願発明1と、引用発明2とを対比すると、以下のことがいえる。
ア 引用発明2の「ボルダリングボックス」は、その登攀面を、子供や大人が登攀するものであるから、本願発明1の「ボルダリング壁体」と、「壁体」である点で共通する。
イ 引用発明2の「登攀用の手掛かり又は足掛かりとなるホールド」は、本願発明1の「登攀用の手掛かり又は足掛かりとなるホールド」に相当する。また、引用発明2の「周側面」は、本願発明1の「周側面」に相当する。してみると、引用発明2の「周側面が登攀面であり、当該登攀面には、登攀用の手掛かり又は足掛かりとなるホールドが取り付けられている」は、本願発明1の「周側面に、登攀用の手掛かり又は足掛かりとなるホールドが取り付けられる」に相当する。
ウ 上記ア及びイから、本願発明1と引用発明2とは、以下の点で一致する。
[一致点]
「周側面に、登攀用の手掛かり又は足掛かりとなるホールドが取り付けられている、ボルダリング壁体。」
エ そして、本願発明1と引用発明2とは、以下の点で相違する。
[相違点1]
本願発明1の「ボルダリング壁体」は、「多角柱体形状を有する骨組み構造体」であるのに対し、引用発明2は、「多角柱体形状」であるか不明であり、また、「骨組み構造体」であるのか不明である点。
[相違点2]
本願発明1は、「周側面に、登攀用の手掛かり又は足掛かりとなるホールドが『取り付けられる複数のパネル部材を脱着自在に取り付け』」たものであるのに対し、引用発明2は、「パネル部材」を有するか不明であるから、「周側面に、登攀用の手掛かり又は足掛かりとなるホールドが『取り付けられる複数のパネル部材を脱着自在に取り付け』」たものであるのか不明である点。
[相違点3]
本願発明1の「骨組み構造体は、棒鋼材で組み立てられ」るものであるのに対し、引用発明2は、「骨組み構造体」であるか、及び、「棒鋼材」を有するか、不明であるから、「骨組み構造体は、棒鋼材で組み立てられ」るものか、不明である点。
[相違点4]
本願発明1は、「骨組み構造体の隅角部分において、3本の棒鋼材の端部同士が隅角部分連結部材を用いてスリーブ結合され」るものであるのに対し、引用発明2は、「骨組み構造体」であるか、「棒鋼材」を有するか、及び、「隅角部分連結部材」を有するか、不明であるから、「骨組み構造体の隅角部分において、3本の棒鋼材の端部同士が隅角部分連結部材を用いてスリーブ結合され」るものであるかも不明である点。
[相違点5]
本願発明1は、「パネル部材は前記棒鋼材で構成される格子の内部に配置され」るものであるのに対し、引用発明2は、「パネル部材」、「棒鋼材」、及び、「格子」を有するか不明であるから、「パネル部材は前記棒鋼材で構成される格子の内部に配置され」るものであるか不明である点。
[相違点6]
本願発明1は、「パネル部材の外表面と、前記棒鋼材の外側面は、同一平面に配置され」るものであるのに対し、引用発明2は、「パネル部材」及び「棒鋼材」を有するか不明であるから、「パネル部材の外表面と、前記棒鋼材の外側面は、同一平面に配置され」るものか不明である点。
[相違点7]
本願発明1は、「パネル部材の外表面に前記ホールドが取り付けられ」るのに対し、引用発明2は、「パネル部材」を有するか不明であるから、「パネル部材の外表面に前記ホールドが取り付けられ」るのか不明である点。
[相違点8]
本願発明1は、「一つの格子に対し、一つのパネル部材が配置され」るのに対し、引用発明2は、「格子」及び「パネル部材」を有するか不明であるから、「一つの格子に対し、一つのパネル部材が配置され」るのか不明である点。
[相違点9]
本願発明1は、「各パネル部材の周囲の全体が棒鋼材で囲まれるように取り付けられている」のに対し、引用発明2は、「パネル部材」及び「棒鋼材」を有するか不明であるから、「各パネル部材の周囲の全体が棒鋼材で囲まれるように取り付けられている」か不明である点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点5について先に検討すると、相違点5に係る本願発明1の「パネル部材は前記棒鋼材で構成される格子の内部に配置され」るという構成は、上記引用文献2及び3には記載されておらず、本願出願日前において周知技術であるともいえない。また、相違点5が設計的事項といえる理由もない。
よって、上記相違点5に係る本願発明1の発明特定事項は、当業者であっても引用発明2に基づいて容易に想到し得たことであるとはいえない。
そして、上記相違点5により、「パネル部材3は格子状に配置された棒鋼材11の内部面の内側に保持されるので、組み立て作業がしやすい」、「パネル部材3は格子状に配置された棒鋼材11の内部面の内側に保持されるので、ボルト25の取り付け、取り外しが容易であり、作業がしやすい」という作用・機能を奏するものである。
(3)小括
以上検討したとおり、相違点1ないし4、及び、6ないし9について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明2、技術的事項3、周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
また、原査定で引用された引用文献4を参酌しても、容易に発明をすることができたとはいえない。
2.本願発明2及び3について
本願発明2及び3も、本願発明1の「パネル部材は前記棒鋼材で構成される格子の内部に配置され」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明2、技術的事項3、周知技術1に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
第7 当審拒絶理由についての判断
1.理由1(実施可能要件)について
令和4年8月3日に提出された手続補正書でした補正によって、本願発明1ないし3が、「骨組み構造体の隅角部分において、3本の棒鋼材の端部同士が隅角部分連結部材を用いてスリーブ結合され」るものであることが特定され、意見書において、「写真1~9」の添付とともに「なお、骨組み構造体の隅角部分以外の箇所(隅角部分以外の箇所において棒鋼材の途中に棒鋼材の端部を結合する際)においても、スリーブ結合やブラケットを用いて棒鋼材同士を交差させた状態で結合することが一般的に行われている。」と釈明された結果、この拒絶理由は解消した。
2.理由2(サポート要件)について
令和4年8月3日に提出された手続補正書でした補正によって、本願発明1ないし3が、「一つの格子に対し、一つのパネル部材が配置され」るものであることが特定されたことから、この拒絶理由は解消した。
3.理由3(明確性)について
令和4年8月3日に提出された手続補正書でした補正によって、本願発明1ないし3が、「パネル部材の外表面と、前記棒鋼材の外側面は、同一平面に配置され、前記パネル部材の外表面に前記ホールドが取り付けられ」るものであることが特定されたことから、この拒絶理由は解消した。
第8 原査定についての判断
1.令和2年10月19日に提出された手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に係る発明が、特許法第36条第6項第2号の規定により特許を受けることができないとされた点について
(1)令和4年8月3日付け手続補正書でした補正によって特定された本願発明1ないし3においては、「鋼材で組み立てられた」との特定はなされていないことから、上記「第2 令和3年3月23日付けの補正の却下の決定及び原査定の概要原査定の概要」の「2.(1)」の拒絶理由は、解消した。
2.令和2年10月19日に提出された手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に係る発明が、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとされた点について
(1)上記「第2 令和3年3月23日付けの補正の却下の決定及び原査定の概要原査定の概要」の「2.(2)」で示した、原査定の拒絶の理由において引用された引用文献2、3、5~7は、それぞれ、上記「第5 引用文献、引用発明等」で示した引用文献2、3、5~7と同一である。
(2)上記(1)、並びに、「第5 引用文献、引用発明等」、及び、上記「第6 対比・判断」での検討を踏まえれば、本願発明1は、当業者が、原査定の拒絶の理由において引用された引用文献2、3、5~7に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。したがって、「第2 令和3年3月23日付けの補正の却下の決定及び原査定の概要原査定の概要」の「2.(2)」の拒絶理由は解消した。3.したがって、原査定を維持することはできない。
第9 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし4は、当業者が引用発明2、引用文献3に記載された技術的事項、周知技術1に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-008612