商標拒絶査定不服審判
2021-008577
バーチャルキンム
- 審判番号
- 2021-008577
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2019-122269
- 請求日
- 2021年06月29日
- 審決日
- 2022年05月11日
- 公報発行日
- 2022年06月24日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】杉山 靖彦
- 【請求人代理人】鶴若 俊雄
- 審判長/審判官
- 審判長 齋藤 貴博
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 綾 郁奈子
- 分類
- T18 .16 -WY (W4142)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2019-122269拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。
理由
理 由
1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「バーチャル勤務」の文字を標準文字で表してなり、第41類及び第42類に属する別掲1のとおりの役務を指定役務として、令和元年9月17日に登録出願されたものである。
本願は、令和2年10月19日付けで拒絶理由の通知がされ、同3年1月22日に意見書が提出されたが、同年3月23日付けで拒絶査定がされ、これに対して同年6月29日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、「バーチャル勤務」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、「バーチャル」の文字は「実体を伴わないさま。仮想的。疑似的。」の意味を有する語であるが、現在では、例えば「バーチャル広告」や「バーチャル試着」のように、様々な語の上について、実際に存在しないもの・ことを擬似的・仮想的に存在する状態とすることを意味するものとして、広く使用されている。また、「勤務」の文字は「会社などにつとめて仕事をすること。また、その仕事。」の意味を有する語であるから、本願商標は、その構成全体として、「仮想的に会社などにつとめて仕事をすること。」程の意味合いを、これを見る者に理解させるものといえる。そして、情報通信技術の発展により、当該技術を利用することで、従来は会社等の事業所に出勤して行っていた仕事を、それら事業所以外の場所で行う勤務形態が一般化された現在では、仮想空間上で会社等に勤務し、仕事をすることも行われている実情があり、それらを指称する語として、「バーチャル勤務」の文字が使用されている事実もある。そうすると、本願商標は、これを見る者に、これを構成する語句が有する意味と、現代社会における勤務形態を取り巻く状況をふまえた上で、「実際に出勤することなく、仮想空間上で会社等に勤務し、仕事をすること」程の意味合いを認識させるものというのが相当である。してみれば、本願商標をその指定役務中、例えば、「電子出版物の提供」や「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」や「コンピュータやインターネット等の情報通信技術に関連する役務」に使用した場合、これに接する取引者、需要者に、これが仮想空間上の勤務に関連する役務であることを認識されるにとどまるものであるから、本願商標は、自他役務の識別標識としての機能を有するものということはできず、需要者が何人かの業務にかかる役務であることを認識することができないものというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、「バーチャル勤務」の文字を標準文字で表したものであるところ、その構成中の「バーチャル」の語には、「仮想的。虚像の。」(出典:広辞苑第七版)の意味や、コンピュータ用語として「ネットワーク上の。インターネット上の。」(出典:ランダムハウス英和大辞典第2版)等の意味があることが認められ、「勤務」の語は、「職務に従事すること。」(出典:広辞苑第七版)の意味を有するものである。
ところで、「バーチャル」の語については、我が国においては、「バーチャルリアリティ(仮想現実)」、「バーチャルオフィス(仮想オフィス)」、「バーチャルモール(仮想商店街)」などの用例が親しまれていたり、最近では「バーチャルYouTuber(VTuber)」というものが注目を集めていたり、これらを踏まえると、一般的な取引者、需要者は、「バーチャル」の語を「仮想的」の意味合いで理解するとみるのが相当であり、そうすると、本願商標全体からは「仮想的な勤務」の意味合いを看取するものといえるが、「仮想的な勤務」(原審が示した「仮想的に会社などにつとめて仕事をすること。」)が、どのような勤務であるのか、直ちに特定の意味合いを認識するとはいい難い。
そして、原審が示す事例(別掲2)及び当審における職権調査によれば、「バーチャル勤務」の語が、一定程度使用されている実情が認められるが、これらは「リモートワーク」等の言い換えとして使用されているものであったり、バーチャルオフィスに勤務することを指し示して使用されているものであったり、様々な意味合いで使用されているところであり、前者の場合であっても、その使用状況からすれば、いまだ「リモートワーク」や「テレワーク」の語が用いられることが主流であるといえ、後者の事例は、具体的な説明を補って初めてその内容が理解できる程度のものといえるから、これらの事例の存在によっても、本願商標の語義から認識される「仮想的な勤務」がどのような勤務であるのかを、直接的、具体的に理解させるほどの実情にあるとはいえない。
そうすると、本願商標を構成する文字の語義、その認識のされ方、「バーチャル勤務」等の使用のされ方を、総合的に勘案すれば、「バーチャル勤務」の文字が、本願の指定役務との関係において、直接的、具体的な意味合いを理解させるものであるとはいえない。
してみれば、本願商標は、その指定役務との関係において、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標とはいえず、自他役務を識別する機能を果たし得るものである。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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