商標拒絶査定不服審判
2021-008120
ピュアゼリイ、ピュアゼリー
- 審判番号
- 2021-008120
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-105427
- 請求日
- 2021年06月21日
- 審決日
- 2022年07月05日
- 公報発行日
- 2022年09月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社オランダ家
- 【請求人代理人】梶 俊和
- 【請求人代理人】中村 英子
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 淳
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 石塚 利恵
- 分類
- T18 .16 -Z (W30)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号、商標法第6条第1項、特許法第150条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-105427拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和2年8月25日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年10月28日付け:拒絶理由通知
令和3年 4月19日付け:拒絶査定
令和3年 6月21日 :審判請求書、手続補正書の提出
2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第30類「菓子」を指定商品として登録出願され、その後、指定商品については、前記1の手続補正により、第30類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。)」と補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、以下の(1)及び(2)の拒絶の理由をもって、本願を拒絶した。
(1)商標法第6条第1項及び同条第2項について
本願の指定商品「菓子」は、その内容及び範囲を明確に指定したものとは認められないから、本願は、商標法第6条第1項及び同条第2項の要件を具備しない。
(2)商標法第3条第1項第6号について
本願商標は、「ぴゅあ」及び「ぜりぃ」の文字を上下二段に、ややレタリングを施してなるところ、その書体及び構成等は、商品の取引上、一般に用いられる範囲にとどまるものである。
そして、本願商標の構成中の「ぴゅあ」の文字は、「まじりけのないさま。純粋。」の意味を有する「ピュア(pure)」の語を、また、「ぜりぃ」の文字は、「ラチン・寒天・ペクチンなどの凝固する性質を利用して材料を固めた冷菓」の意味を有する「ゼリー(jelly)」の語を、それぞれ平仮名で表記したものと容易に認識できるものである。
そして、菓子を取り扱う業界において、「ピュアゼリー」又は「ピュア○○ゼリー」などの語は、上記「ピュア」の文字の意味から転じて、「素材そのものの味わいや食感が感じられる」といった意味合いを看取させるための語として、商品名として広く採択されている実情があることから、同業界において「ピュアゼリー」の語は、「素材そのものの味わいや食感が感じられる」ような、商品の品質が高いことを看取させるための表記としてありふれたものであり、誰しもがその使用を欲するものである。
以上を勘案すると、「ピュアゼリー」の文字を、商品の取引上、一般に用いられる範囲にとどまる書体及び態様で表したに過ぎない本願商標を、その指定商品について使用しても、これに接する需要者は、上記のような商品の品質の高さを看取させるありふれた表記であると認識するにとどまり、その認識を超えて、自他商品の識別標識としての機能は果たし得ないといえるから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
4 当審においてした証拠調べ
審判長は、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲3に示すとおりの事実を発見したので、令和4年4月12日付けで、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、上記証拠調べの結果を通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えた。
5 証拠調べ通知に対する請求人の意見
請求人は、前記4の証拠調べ通知に対し、要旨以下の意見を述べた。
(1)証拠調べ通知において示された内容は、食品、特に菓子の業界において、「ぴゅあ」の文字や「ぜりぃ」の文字が、各々単独で菓子の原料等と共に商品名として用いられる事実があることを示すに過ぎない。それに対して、本願商標は、「ぴゅあ」の文字と「ぜりぃ」の文字とが平仮名で、曲線部分と直線部分とが組み合わされてデフォルメされた特徴的なフォントで表されており、二段構成ではあるものの、文字の大きさに比較して文字同士の距離が近く、全体としてまとまりよく一体に表示されている。文字のフォント及びその配置に特徴がある本願商標は、「ぴゅあぜりぃ」と一体不可分に把握されるものであり、当該商品が販売されて需要者によって請求人の業務に係る商品であることが認識されている。
(2)請求人は、ウェブサイトのみならず、例えば、イオンリテール、イトーヨーカ堂等、全54店舗にて本願商標を用いた商品を販売しており、数多くの店舗やパンフレット等の媒体において、請求人の商品が本願商標を付された状態で販売又は周知されており、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っている。
(3)文字のみからなり、かつ、「ぴゅあ」の文字と商品の原材料、又は形状等との組合せに係る標章のみからなる商標であると思われる商標登録例が存在する。
6 当審の判断
(1)商標法第6条第1項及び同条第2項について
本願は、その指定商品について、前記2のとおり補正された結果、商品の内容及び範囲が明確なものとなり、かつ、政令で定める商品及び役務の区分に従ったものとなったと認められる。
その結果、本願は、商標法第6条第1項及び同条第2項の要件を具備するものとなった。
したがって、本願が商標法第6条第1項及び同条第2項の要件を具備しないとして本願を拒絶した原査定の拒絶の理由は、解消した。
(2)商標法第3条第1項第6号該当性について
ア 本願商標は、別掲1に示すとおりの構成態様からなるところ、これよりは、一見して容易に「ぴゅあ」の文字と「ぜりぃ」の文字とを丸みを帯びた書体で二段に表したと看取、把握されるものといえ、また、その構成中、「ぴゅあ」の文字は「まじりけのないこと」の意味を有する「ピュア」の語を、「ぜりぃ」の文字は「水で溶いたゼラチン・寒天・ペクチンなどに、砂糖・水飴などを加え、流し固めた菓子」の意味を有する「ゼリー」の語(いずれも「広辞苑 第七版」(株式会社岩波書店)から引用。)を、それぞれ平仮名表記したもの(「ゼリー」の長音符号の「ー」は「ぃ」で表されている。)として、認識、理解されるものといえる。
そして、原審において示した事実(別掲2)に加え、別掲3の事実からすると、本願の指定商品を取り扱う業界においては、(a)辞書上の意味から転じて、「素材そのものの味わいや食感が感じられる」といった意味合いで「ピュア」又は「ぴゅあ」の文字が一般的に用いられている、(b)ゼリー菓子を表す際に「ぜりぃ」の文字が一般的に用いられている、(c)素材そのものの味わいや食感が感じられるようなゼリー菓子であることを表すものとして、「ピュアゼリー」又は「ピュア○○ゼリー」の文字が一般的に用いられている、という実情が認められる。
そうすると、本願の指定商品を取り扱う業界において、素材そのものの味わいや食感が感じられるようなゼリー菓子であること、すなわち、商品の品質の高さを端的に表す語として一般的に用いられている「ピュアゼリー」の文字を、特異な態様とはいえない平仮名の書体で二段に表記した本願商標は、それ自体を本願の指定商品に使用しても、商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識されることはないというべきである。
イ 請求人は、自社ウェブサイト等のほか、イオンリテール、イトーヨーカ堂等、全54店舗において本願商標を用いた商品(以下「請求人商品」という。)を販売しており、頒布又は通信販売用パンフレットにも請求人商品が掲載されていることから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っている旨主張する。
しかしながら、令和4年5月26日提出の意見書に掲載された画像によれば、本願商標とおおむね同一の態様と言い得る文字が使用されているのは、「2022年頒布のパンフレット2」のみであり、かつ、当該文字の画像は小さく不鮮明で、当該文字が付されている対象物が明らかでない。そのほかの使用例においては、標準的なフォントで「ぴゅあぜりぃ」と一連に横書きしてなるもの(「2021年頒布のパンフレット」、「2022年頒布のパンフレット3」)、本願商標よりも更に丸みを帯びた書体(例えば、「ぜ」の濁点が、本願商標は四角形で構成されているのに対し、掲載画像の濁点は丸形で構成されている。)で「ぴゅあぜりぃ」と一連に横書きしてなるもの(「2022年頒布のパンフレット1」)、袋文字で「ぴゅあ」及び「ぜりぃ」と二段に横書きしてなるもの(「通販用パンフレット」)であり、本願商標とこれらの使用態様とは、同一性があるものとは認められない。加えて、これらのパンフレットの具体的な頒布地域(頒布先)、頒布数は明らかでなく、その他、請求人が、請求人商品に関する広告宣伝を行った事実を示す証拠の提出はない。
また、請求人は、自社ウェブサイト等のほか、全54店舗において、請求人商品を販売しているとし、令和4年5月26日提出の意見書に、[本願商標が付された商品の販売店舗]として、千葉県を中心とした54の店舗名を記載しているものの、これらの販売店又は自社ウェブサイト等において、請求人商品を販売している事実を確認することができる証拠の提出はなく、その他、請求人商品の販売期間、売上高、売上げの多寡を評価し得る市場占有率等を具体的に裏付ける証拠の提出もない。
以上によれば、請求人は、請求人商品を、自社ウェブサイト等を通じて販売しているとしても、請求人提出に係る証拠からは、請求人商品の販売期間、売上高や市場占有率等を客観的に把握することができないことに加え、広告宣伝の程度についても明らかでないことから、本願商標に対する需要者の認識を推し量ることはできない。
してみれば、本願商標は、その使用がされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているとは認められない。
ウ 以上によれば、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、外国語を語源とする「ピュア」及び「ゼリー」の語は、片仮名で表記するのが一般的であり、原審において提示された例(別掲2)は、いずれも素材そのものの味わいや食感が感じられることや、商品の品質の高さを看取させることを意図して「ピュアゼリー」、「ピュア○○ゼリー」等の片仮名の名称を採用していることが明らかである一方、本願商標は、あえて平仮名で表示されており、片仮名で表示された「ピュアゼリー」とは、外観が本質的に異なることを述べ、さらに、本願商標の構成態様について、(a)標準的なフォントではなく、デフォルメされた特徴的なフォントで表示されていること、(b)「ぜりー」でなく、あえて小さい文字で「ぃ」と表記していること、(c)二段構成ではあるものの、全体としてまとまりよく一体に配置されていること、から識別力を有するものである旨主張する。
しかしながら、本願の指定商品を取り扱う業界のみならず、様々な業界において、片仮名を平仮名で表記することが普通に行われていることは顕著な事実であるところ、菓子を取り扱う業界においても、「ピュア」を平仮名で表記した「ぴゅあ」の文字や、「ゼリー」を平仮名で表記し、長音符号の「ー」を「ぃ」で表した「ぜりぃ」の文字が一般的に用いられていること上記(2)のとおりであって、本願商標を構成する「ぴゅあ」の文字及び「ぜりぃ」の文字と、原審において提示した用例「ピュアゼリー」の文字も、単に平仮名と片仮名の違いにすぎないものである。また、本願商標を構成する要素(書体、二段書き)も、取引上、普通に採択されている程度のものであり、全体として「ぴゅあ」及び「ぜりぃ」の文字を表したものと容易に認識できるものであるから、本願商標の態様は、特異な表現態様とはいえない。加えて、片仮名で表記された「ピュアゼリー」の文字については、同業他社が「素材そのものの味わいや食感が感じられることや、商品の品質の高さを看取させることを意図して「ピュアゼリー」、「ピュア○○ゼリー」等の名称を採用していることが明らかである。」(令和3年6月21日提出の審判請求書)と請求人も述べている。
そうすると、請求人の主張する上記(a)ないし(c)の点を考慮しても、本願商標が、商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識されることはないというべきである。
イ 請求人は、複数の既登録例を引用しつつ、「商品の品質の高さを看取させるゼリー菓子」程の意味合いを表すものとして、平仮名の「ぴゅあぜりぃ」との標章が普通に使用されている事実は認められないことから、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たし得る旨主張する。
しかしながら、請求人が挙げる既登録例に係る商標は、いずれも商標の構成態様を本願商標と異にするものであるから、本件とは事案を異にするというべきものであるし、また、たとえ、「ぴゅあぜりぃ」の文字が、菓子を取り扱う業界において、一般的に使用されているとはいえないとしても、当該文字を片仮名で表記したものが、取引上、普通に採択されていること(別掲2)に照らせば、本願商標についても、取引者、需要者をして、商品の品質の高さを端的に表す語を、単に平仮名で表記したものとして認識されるというべきであって、格別、自他商品の識別標識としての機能を有するなどということはできない。
ウ したがって、上記請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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