2021-007046
ビジネスジツムヨシンカンリケンテーシケン、ビジネスジツムヨシンカンリケンテー、ビジネスジツムヨシンカンリ
- 審判番号
- 2021-007046
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2019-043560外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年06月01日
- 審決日
- 2022年08月09日
- 公報発行日
- 2022年10月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 分類
- T18 .13 -Z (W41)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、特許法第150条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 9項目
第1 手続の経緯
本願は、平成31年3月27日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 本願商標
本願商標は、「ビジネス実務与信管理検定試験」の文字を標準文字で表してなるところ、第35類、第36類及び第41類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、登録出願されたものである。
その後、指定役務については、上記第1の手続補正により、第41類「検定試験の企画・運営又は開催,検定試験の実施に関する情報の提供,資格付与のための資格試験の実施及び資格の認定・資格の付与,企業のリスクマネジメントに関する知識の教授,技芸・スポーツ又は知識の教授」に補正されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「ビジネス実務与信管理検定試験」の文字を標準文字で表してなるところ、構成中の「ビジネス実務」の文字は「ビジネスの実務」ほどの意味合いで、また、構成中の「与信管理」の文字は「取引先からの代金未回収を排除・軽減する活動」ほどの意味合いで、それぞれ使用されている実情がある。そうすると、本願商標は、全体として「ビジネスの実務における与信管理の検定試験」ほどの意味合いを認識させるものであって、本願商標は、これをその指定役務中、例えば、第41類「検定試験の企画・運営又は開催,検定試験の実施に関する情報の提供,資格付与のための資格試験の実施及び資格の認定・資格の付与」等に使用したときは、これに接する取引者、需要者に、「ビジネスの実務における与信管理の検定試験に関する役務」であることを理解させるにすぎないものであり、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第4 当審においてした審尋
当審において、本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について、職権に基づく証拠調べを実施し、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、審尋で、別掲1の(1)~(3)及び別掲3の(1)~(10)のとおり、その結果を通知するともに、当審の暫定的見解について通知し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。
第5 審尋に対する請求人の意見の要点
請求人は、上記第4の審尋に対して、意見書において、要旨、以下のように主張した。
1 原審における証拠及び当審の審尋における証拠は、取引の実情のごく一部のみを偏重して切り取られて示されたわずかな事例であって、その全容のごく一部を切り取ったものにすぎず、その全容とは全くかい離している。そのようなわずかな事例をもって、「「与信管理」の文字は・・・「取引先の信用状況を管理すること」ほどの意味合い、すなわち「与信を管理する」ほどの意味合いを容易に理解させる語であると認められる。」と判断されるべきではない。
また、審尋における証拠は、本願商標の識別性を判断する客観的な証拠になり得ないか、証拠として認められるとしても、参加者が少人数である講座や、「与信管理」がカリキュラムのごく一部に過ぎないものであったりすることから適切ではない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。
2 請求人は、本願商標を、2010年7月から検定試験の名称として継続して使用している。当該「ビジネス実務与信管理検定試験」は、日本全国にて1年を通して受験可能であり、2013年以降は毎年1000名以上が本試験を受験しているところ、受験者数は毎年増加を続け、2020年の受験者数は約3000名である。
そして、請求人は東京商工会議所が会員宛て(2020年3月31日現在の会員数は80000件を超える。)に毎月2回発行している機関紙「東商新聞」やウェブページにおいて、本試験に関する広告を掲載する等の広告宣伝を行っている。
また、「与信管理」の語は、請求人とリスクモンスター株式会社(以下、2者をまとめて「請求人等」という場合がある。)が広く知らしめた語である。請求人等の代表者は共通するところ、その者が与信管理に関する幅広い知識、ノウハウ、経験則を体系的にまとめあげた書籍「与信管理論」が出版され、その累計発行部数が約10000部にも上ることからもそれが裏付けられる。
このような使用期間、使用範囲、広告宣伝等の実情から、需要者において「ビジネス実務与信管理検定試験」といえば、請求人が運営する試験であると全国的に認識されているものであり、本願商標を使用した結果、ビジネス実務与信管理検定試験」といえば請求人を指し示す語として認識されるに至っているものであり、本願商標は請求人の出所を示すものとして十分に機能していると判断されるべきである。
第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、上記第2のとおり、「ビジネス実務与信管理検定試験」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「ビジネス」の文字は「仕事。実務。事業。商業上の取引。」の意味を、「実務」の文字は「実際の事務。実地に扱う業務。」の意味を、「与信」の文字は「商取引で、取引相手に信用を供与すること。」の意味を、「管理」の文字は「管轄し処理すること。良い状態を保つように処置すること。財産の保存・利用・改良を計ること。事務を経営し、物的設備の維持・管轄をなすこと。」の意味を、「検定試験」の文字は「特定の資格を与えるべきか否かを検定するため行う試験。」の意味を、それぞれ有する一般に広く知られた語である(広辞苑 第七版)。
そして、本願商標の構成中、「ビジネス実務」の文字は、原審の拒絶理由通知書を含む別掲1で示した、例えば、「ビジネス実務マナー」、「ホテルビジネス実務」や「通関ビジネス実務」などの「ビジネス実務○○」や「○○ビジネス実務」といった事例があるように、ビジネスの実際の場において求められる知識、能力等を表す文字(語)と共に、日常的に使用されている。
また、別掲1のとおり、ビジネスの実際の場において、求められる知識、能力等を測定するための検定や検定試験が行われ、当該検定等に「ビジネス実務」と、「検定」又は「検定試験」とを組み合わせた文字が使用され、別掲2のとおり、それらの知識、能力等の学習が行われ、そのための講座等に「ビジネス実務」の文字が使用されている実情が認められる。
さらに、本願商標の構成中、「与信管理」の文字は、別掲3の(2)及び(3)並びに(11)ないし(14)における「与信管理」の定義の説明の他、別掲3の(1)の会計分野の辞書の載録を踏まえると、「取引先の信用状況を管理すること」ほどの意味合い、すなわち「与信を管理する」ほどの意味合いを容易に理解させる語であると認められる。
そして、本願の指定役務に関連する分野において、別掲3の(4)ないし(10)並びに(14)のとおり、「与信管理」をテーマにした講座、研修、講義等が開催され、「与信管理」の知識を学ぶことが行われている実情が認められる。
以上を踏まえると、「ビジネス実務与信管理検定試験」の文字は、これに接する取引者、需要者に、全体として「ビジネス実務での与信管理に関する検定試験」や「ビジネス実務で求められる与信管理の知識・能力を測定する検定試験」ほどの意味合いを容易に理解させるものとみるのが相当である。
してみれば、「ビジネス実務与信管理検定試験」の文字からなる本願商標は、これをその指定役務に使用しても、当該役務が、ビジネス実務での与信管理の知識、能力等を測定するための検定試験や、ビジネス実務で求められる与信管理の知識、能力等を測定するための検定試験に関する役務であること、すなわち、役務の質(内容)を表示したものとして認識させるにとどまり、自他役務の識別標識としては認識し得ないというのが相当である。
したがって、本願商標は、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、「ビジネス実務与信管理検定試験」の語や、「与信管理」と「検定試験」の各語を組み合わせて使用している者が請求人以外に存在しない旨主張する。
しかしながら、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、本件審判の審決時において、本願商標がその指定役務との関係で役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の指定役務に係る事業の取引者、需要者によって本願商標がその指定役務に使用された場合に、将来を含め、役務の特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足り、それが取引上現実に使用されていた事実があったことまで必要とするものではないというべきであるから、「ビジネス実務与信管理検定試験」の文字や、「与信管理」と「検定試験」の各語を組み合わせた文字が、本願の指定役務の分野において実際に使用されていないからといって、同号の該当性が否定されるものではない。
(2)請求人は、(a)本願商標の構成中の「与信」及び「管理」の各語の語義から、「与信管理」の文字から「商取引で取引相手に信用を供与することを管理する」といった意味合いが暗示的に看取され得るとしても、「与信管理」の語は、広辞苑に例示がなく、「(自身の)信用を供与する行動を管理する」や「(相手の)信用を供与する行動を管理する」など、複雑かつ多義的な意味合いが生じ得るものであること、(b)「ビジネス実務」と「与信管理」の各語を組み合わせた他人の使用例はなく、各語の組合せに独自性があることを挙げ、(c)本願商標は、その構成から「ビジネスにおける実務である、与信の管理に関する試験」ほどの意味合いを想起させる場合があるとしても、実施されている具体的な試験の内容を直接的に表示するものと直ちに理解されるとはいえず、むしろ、漠然とした抽象的な語として認識されるに止まるものであり、その構成全体をもって特定の意味合いを有しない一連一体の造語であると認識されるというべきであり、これを指定役務に使用しても、役務の質等を直接的かつ具体的に表示するものではなく、自他役務の識別標識機能を十分に発揮するものである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号にいう役務の質に該当するというには、その取引者、需要者が役務の質を表示するものとして認識するものであれば足りるといえるものである。
そして、請求人主張のように、「与信管理」の文字からいくつかの意味合いが生じ得るとしても、それが「取引先の信用状況を管理すること」ほどの意味合い、すなわち「与信を管理する」ことに何らかわりはないというべきである。また、「与信管理」の語は、別掲3のとおり、会計分野の辞書に載録され、各記事において「与信管理」の定義が説明されていることに加え、「与信管理」の知識、能力等を得るための講座等も開催されている。
さらに、別掲1ないし別掲3における実情をも踏まえると、「ビジネス実務与信管理検定試験」の文字は、これに接する取引者、需要者に、全体として「ビジネス実務での与信管理に関する検定試験」や「ビジネス実務で求められる与信管理の知識・能力を測定する検定試験」ほどの意味合いを容易に理解させるものというのが相当であり、本願商標は、これをその指定役務に使用しても、当該役務が、上記の各検定試験に関する役務であるという役務の質(内容)を表示したと取引者、需要者に、認識させるものであって、十分に直接的かつ具体的である。
(3)請求人は、本願商標を、約10年にわたり継続して使用し続けた結果、需要者において「ビジネス実務与信管理検定試験」といえば請求人を指し示す語として認識されるに至っているものであり、本願商標は請求人の出所を示すものとして十分に機能していると判断されるべき旨主張する。
しかしながら、請求人に係る証拠及びその主張によれば、「ビジネス実務与信管理検定試験」の文字を、請求人が検定試験の名称として使用していることはうかがえるものの、当該試験の受験者数や合格者数の規模は、本願の指定役務の需要者層の規模との対比において、決して多いものとはいえず、また、その広告宣伝の実績も大規模かつ広範囲のものとはいえない。
したがって、本願商標が、請求人の出所を示すものとして認識されていると認めることはできない。
(4)請求人は、登録例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、それらの登録例は、商標の構成文字及び取引の実情において本願とは事案を異にするものであり、また、登録出願に係る商標が自他役務の識別標識として機能しうるか否かは、当該登録出願の査定時又は審決時において、個別具体的に判断されるべきものであって、本願商標についての判断は、上記1のとおりであるから、請求人が挙げる登録例をもって本件判断が左右されるものではない。
(5)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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