商標拒絶査定不服審判
2021-007041
ゴホゴホ
- 審判番号
- 2021-007041
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-042166
- 請求日
- 2021年06月01日
- 審決日
- 2022年08月25日
- 公報発行日
- 2022年11月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】小林製薬株式会社
- 【請求人代理人】杉村 憲司
- 【請求人代理人】杉村 光嗣
- 【請求人代理人】門田 尚也
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 淳
- 審判官 大森 友子
- 審判官 須田 亮一
- 分類
- T18 .16 -Z (W05)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号、商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第1項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020- 42166拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は,成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は,令和2年4月15日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年9月14日付け:拒絶理由通知書
令和2年11月6日 :意見書の提出
令和3年2月10日付け:拒絶査定
令和3年6月1日 :審判請求書の提出
第2 本願商標
本願商標は,「ゴホゴホ」の文字を標準文字で表してなり,第5類「薬剤,医療用試験紙,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,綿棒,医療用接着テープ,歯科用材料,おむつ,おむつカバー,はえ取り紙,防虫紙,乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品,栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。),人工受精用精液」を指定商品として,登録出願されたものである。
第3 原審における拒絶理由(要旨)
原査定は,「本願商標は,「ゴホゴホ」の文字を標準文字で表してなるところ,これは,「咳をする音を表す語」である「ごほごほ」を,片仮名で表記したものとして容易に理解されるものである。そして,本願の指定商品中「薬剤」を取り扱う業界においては,ゴホゴホとした咳に効果がある商品が一般的に取引されており,そのような商品であることを表す際に「ゴホゴホ」の文字が使用されている実情がある。そうすると,本願商標をその指定商品中「薬剤」に使用するときは,需要者は,その商品が「ゴホゴホとした咳に効果がある薬剤」だと理解するにとどまり,本願商標を,商品の品質を普通に用いられる方法で表示した標章として認識するというのが相当である。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,「ゴホゴホとした咳に効果がある薬剤」以外の「薬剤」に使用するときは,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから,同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。
第4 当審における審尋
当審において,請求人に対し,令和4年3月8日付けで,別掲1及び別掲2のとおりの事実を示した上で,本願商標は,その指定商品中「薬剤」との関係において,商標法第3条第1項第6号に該当する旨の見解を示した審尋を発し,期間を指定してこれに対する回答を求めた。
第5 当審における審尋に対する請求人の意見(要旨)
請求人は,請求人は,上記第4の審尋に対し,令和4年4月21日付けの回答書を提出し,要旨以下のように主張した。
(1)「ゴホゴホ」の文字は,「ゴホゴホとした咳」以外の意味合いも想起しうる多義語である。また,原審における拒絶理由通知書,拒絶査定及び当審における審尋で示された使用例は,全て「ゴホゴホ」の文字が単体で使用されているものではなく,「ゴホゴホ」の語に続く語句や,「ゴホゴホ」の語が使用されている所与の文脈,状況があって初めて,取引者,需要者において,「ゴホゴホ」の文字が「咳の種類,咳をする音」を表す語として認識されるものである。一方,「ゴホゴホ」単独で表示した場合には,これらの手掛かりがないため,これに接した者をして,直ちに「咳の種類,咳をする音」との観念を一義的に想起するものではない。
したがって,上記使用例をもってしては,「ゴホゴホ」の文字単体に接した取引者,需要者が,直ちに「咳の種類,咳をする音」に想到する蓋然性は証明されていない。つまり,「ゴホゴホ」の語が単独で表示された場合,当該語は,本願指定商品との関係では,暗示的ではあっても,自他商品識別機能を果たし得ないほどに商品の品質等を直接的かつ具体的に記述しているものとはいえない。
(2)上記使用例は,「ゴホゴホ」の文字が単独で表示されて使用されている例ではないから,宣伝広告において,「ゴホゴホ」の文字のみを単独で表示することは,「一般的」とはいえない。さらに,請求人においてインターネット等を調査しても,「ゴホゴホ」の語が内容説明を示唆する語句を伴うなどの事情もなく,単独で表示されている使用例は発見されないし,「ゴホゴホ」の語が内容説明を示唆する語句を伴うなどの事情もなしに,それ単独で商品の宣伝広告において使用される状況も通常では考えられない。
したがって,「ゴホゴホ」の語自体は,商品の宣伝広告に,単独では「一般的に」使用されることもなく,また,「一般的に」使用される状況も想定し得ない。
(3)したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号該当性を否定する上記事情に当てはまるものである。
第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項第6号について
(1)商標法第3条第1項第6号の趣旨について
商標法は,「商標を保護することにより,商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り,もつて産業の発達に寄与し,あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法第1条),商標の本質は,自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり,この自他商品の識別標識としての機能から,出所表示機能,品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法第3条第1項第6号が,「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは,同項第1号ないし第5号に例示されるような,識別力のない商標は,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに,一般的に使用される標章であって,自他商品の識別力を欠くために,商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(知財高裁平成21年(行ケ)第10270号,平成22年1月27日判決)。
そうすると,商標法第3条第1項第1号から同項第5号までにおいて例示的に列挙されたものではなくても,本件審決時において,本願商標がその指定商品に使用された場合に,将来を含め,その需要者において,商品の宣伝活動を行う際に一般的に使用される標章と認識されるものである等,識別力を欠き、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないと判断されるときは,本願商標は同項第6号に該当するものと解するのが相当である。
(2)本願商標について
本願商標は,「ゴホゴホ」の文字を標準文字で表してなるところ,当該文字は,「咳などの音。ごほんごほん。」(「広辞苑第七版」株式会社岩波書店),「咳をする音を表す語」(「大辞林第四版」株式会社三省堂),「軽く咳をする声を表す語。」(「大辞泉第二版」株式会社小学館)の意味を有する語である「ごほごほ」を片仮名表記したものであると容易に認識できるものである。
そして,別掲1のインターネット情報によれば,本願の指定商品中「薬剤」を取り扱う業界においては,「ゴホゴホ」及び「ごほごほ」の文字が,商品の説明や宣伝広告の中で「せきの種類,せきをする音」を表す語として使用されている事実がある。
また,別掲2の新聞記事によれば,「ゴホゴホ」の文字が「せきの種類,せきをする音」を表す語として,広く一般に使用されている事実もある。
そうすると,本願商標をその指定商品中「薬剤」に使用しても,これに接する取引者,需要者は,「(ゴホゴホ(ごほごほ)という音のする)せきの種類」を表示したものと認識するにすぎず,商品の説明,又は宣伝広告に一般的に使用される語句を表したものと理解させるに止まり,何人かの業務に係る商品であることを表示したものと認識することはないというのが相当である。
したがって,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるから,商標法第3条第1項第6号に該当する。
2 請求人の主張について
請求人は,「ゴホゴホ」の語が多義語であること,また,原審及び当審において示した「ゴホゴホ」の使用例は「ゴホゴホ」の語が単独で使用された例ではないことを挙げ,「「ゴホゴホ」の語が単独で表示された場合には,当該語は,本願指定商品との関係では,暗示的ではあっても,自他商品識別機能を果たし得ないほどに商品の品質等を直接的かつ具体的に記述しているものとはいえないし,「ゴホゴホ」の語が内容説明を示唆する語句を伴うなどの事情もなしに,それ単独で商品の宣伝広告において「一般的に」使用される状況も通常では考えられない」旨を主張している。
しかしながら,上記1のとおり,「ゴホゴホ」の文字は,「咳などの音。ごほんごほん。」の意味を有する語である「ごほごほ」を片仮名表記したものであると容易に認識できるものであること,また,本願の指定商品中「薬剤」を取り扱う業界において,「ゴホゴホ」及び「ごほごほ」の文字が,商品の説明や宣伝広告の中で「せきの種類,咳せきをする音 」を表す語として使用されている事実があることからすれば,「ゴホゴホ」の文字は,本願の指定商品中「薬剤」との関係においては,これが単独であっても,「せきの種類,咳せきをする音」を表していることを容易に理解,認識し得るものである。
そうすると,本願商標が,その指定商品中「薬剤」に使用するときは,これに接する取引者,需要者は,「(ゴホゴホ(ごほごほ)という音のする)せきの種類」を表示したものと認識するにすぎず,商品の説明,又は宣伝広告に一般的に使用される語句を表したものと理解させるに止まり,何人かの業務に係る商品であることを表示したものと認識することはないというのが相当である。
また,上記1(1)のとおり,商標法第3条第1項第6号に該当する商標であるか否かは,本件審決時において,本願商標がその指定商品に使用された場合に,将来を含め,その需要者において,商品の宣伝活動を行う際に一般的に使用される標章と認識されるものであって,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないと判断されるものであるから,「ゴホゴホ」の文字が単独で現実に使用されていないとしても,そのことをもって本件の判断が左右されるものではない。
3 まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから,登録することができない。
なお,原査定は,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものとして拒絶したものであるが,本願商標は,上記のとおり,自他商品の識別標識としての機能を有しないものとするものであるから,この当審の認定,判断の内容は,原査定と実質的に相違するものではない。
よって,結論のとおり審決する。
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