商標拒絶査定不服審判
2021-006635
ファスティングアドバイザー、ファスティング、アドバイザー
- 審判番号
- 2021-006635
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-051088
- 請求日
- 2021年05月24日
- 審決日
- 2022年08月09日
- 公報発行日
- 2022年10月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】松尾 通
- 【請求人代理人】特許業務法人タナベ・パートナーズ国際特許事務所
- 【請求人代理人】田辺 敏郎
- 【請求人代理人】田辺 恵
- 審判長/審判官
- 審判長 岩崎 安子
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 山根 まり子
- 分類
- T18 .13 -Z (W414344) / T18 .272-Z (W414344)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第10条第1項、特許法第150条第5項、商標法第4条第1項第16号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-51088拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成31年3月14日に登録出願された商願2019-38036に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、令和2年5月4日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年7月3日付け:拒絶理由通知書
令和2年11月13日受付:意見書
令和3年2月17日付け:拒絶査定
令和3年5月24日受付:審判請求書
令和4年4月12日付け:審尋
令和4年5月30日受付:意見書
第2 本願商標
本願商標は、「ファスティングアドバイザー」の文字を標準文字で表してなり、第41類、第43類及び第44類に属する別掲1のとおりの役務を指定役務として、登録出願されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「ファスティングアドバイザー」の文字を標準文字で表してなり、全体として「(健康法・ダイエットとしての)断食の助言者」ほどの意味合いを容易に認識できるものであって、当該文字が、そのような意味合いを表す語として使用されている事実があるから、本願商標を、その指定役務中、「セミナーの企画・運営又は開催」等に使用しても、これに接する取引者、需要者に「(健康法・ダイエットとしての)断食の助言者に関する内容の役務」又は「(健康法・ダイエットとしての)断食の助言者によって提供される役務」であることを認識させるにすぎない。そうすると、本願商標は、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第4 当審においてした審尋
当審において、本願商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について、職権に基づく証拠調べを実施し、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、審尋で、別掲2及び別掲3の(1)~(6)のとおり、その結果を通知するともに、当審の暫定的見解について通知し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。
第5 審尋に対する請求人の意見の要点
請求人は、上記第4の審尋に対して、意見書において、要旨、以下のように主張した。
1 審尋で示された記事において、本願の指定役務に「ファスティングアドバイザー」の語が他人によって使用されている事実は見受けられないものであり、本願商標は、「セミナーの企画・運営又は開催,・・・個々の需要に応じた料理人による飲食物の提供」に使用した場合であっても、これらに接する取引者、需要者は、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示したものとして認識されている事実はなく、本願商標は自他役務識別力を有する商標である。また、その他の指定役務に使用した場合であっても役務の質の誤認を生ずるおそれはない。
2 本願商標「ファスティングアドバイザー」の語は、請求人及び請求人が主催する団体(以下「請求人等」という場合がある。)が使用する造語商標として認識されており優に自他役務識別力を有するものである。
2009年8月1日に請求人等の協会を設立し、講習の実施、資格認定制度の運営、奨学支援制度の実施、セミナーの実施を通じて、「ファスティングアドバイザー」の有資格者を育成する事業を永年にわたり行ってきた(甲1~甲11)。そして、請求人等は、2019年3月から2020年10月にかけて三回の「ファスティングアドバイザー養成講座」を開催し(甲6~甲8)、その有資格者は、現在は14名である。「ファスティングアドバイザー」の資格を知る取引者・需要者は優に5000人を超える(甲27-1、甲33)。
請求人等の商標「ファスティングアドバイザー」に係る事業の活動は、複数のメディアにも取り上げられ、請求人等の事業として広く認識されている(甲21~甲32)。
3 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。
第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、上記第2のとおり、「ファスティングアドバイザー」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「ファスティング」が「断食。絶食。」の意味を、「アドバイザー」が「忠告者。助言者。顧問。」の意味を、それぞれ有する語であって(株式会社三省堂 大辞林 第四版)、各語は、我が国において広く一般的に親しまれている語である。
そして、例えば、自治会等の防災活動において指導・助言を行う「防災アドバイザー」(大分県のウェブサイト参照https://www.pref.oita.jp/soshiki/13550/bousaiadviser.html)や、地域の活性化・交流の課題を抱える市町村に派遣された専門家がその助言をする「地域振興アドバイザー」(国土交通省のウェブサイト参照https://www.mlit.go.jp/kokudoseisaku/chisei/crd_chisei_tk_000028.html)、消費者からの苦情相談などに対して迅速かつ適切なアドバイスをする「消費生活アドバイザー」(経済産業省のウェブサイト参照https://www.meti.go.jp/policy/economy/consumer/consumer/adviser.html)などの事例があるように、何らかの専門的知識について助言、すなわちアドバイスをする者を「○○アドバイザー」(○○には、その助言する内容の語)と呼称されることが一般に行われている。
そうすると、本願商標は、これに接する取引者、需要者に、全体として「ファスティング(断食)のアドバイザー(助言者)」ほどの意味合いを容易に認識、理解させるものである。
そして、「ファスティング(断食)」は、別掲2のとおり、健康、美容、ダイエットなどの目的において、あらゆる者により関心をもたれ、広く行われているところ、別掲2の(1)ないし(5)の記事によれば、めまい、頭痛、動悸(どうき)などを引き起こすことがある、糖尿病に伴う薬物療法中の者などは低血糖のリスクがある等、ファスティング(断食)を行うことによって健康を損ねる場合もあることがうかがえるものであり、ファスティング(断食)を行うに際して、自己流ではなく、ファスティング(断食)に関する専門的な知識を有する者による指導、助言を受けることが求められ、実際にそれがなされている実情が認められる。
また、同分野において、別掲3の事例があるように、ファスティング(断食)に関する専門的な知識を得て、その指導、助言をする者を育成する講座等が開講され、その受講後に「ファスティングアドバイザー」をはじめとして「ファスティング」及び「アドバイザー」の各文字を組み合わせた名称からなる資格が付与され、それらの資格を持つ者が「ファスティングアドバイザー」等として、ファスティングに関するアドバイスを行う活動している事例が認められる。
さらに、知識の教授やセミナーの企画・運営又は開催を行う業界においては、講義内容に関するテキスト、問題集及びDVD等が制作・販売されている実情があること、講義内容に関する各種の検定試験を行っている実情があることは、経験則上明らかであるといえる。
そうすると、「ファスティング」及び「アドバイザー」の各文字を組み合わせた「ファスティングアドバイザー」の文字からなる本願商標は、これに接する取引者、需要者に、「ファスティング(断食)に関する専門的な知識を有し、その指導、助言をする者」ほどの意味合いを理解させるものであるから、これをその指定役務中、「セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,書籍の制作,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),飲食物の提供,食事の支度に関する情報の提供及び助言,個々の需要に応じた料理人による飲食物の提供」に使用しても、これに接する取引者、需要者に、ファスティング(断食)に関する専門的な知識を有し、その指導、助言をする者による、ファスティング(断食)に関する役務であること、すなわち、役務の質(内容)を表示したものとして認識させるにとどまり、本願商標は、自他役務の識別標識としては認識し得ないというのが相当である。
したがって、本願商標は、これをその指定役務中、「セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,書籍の制作,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),飲食物の提供,食事の支度に関する情報の提供及び助言,個々の需要に応じた料理人による飲食物の提供」に使用するときは、単に役務の質(内容)等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記以外の役務に使用するときは、役務の質について誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、本願の指定役務に「ファスティングアドバイザー」の語が他人によって使用されている事実は見受けられないものであり、本願商標は、セミナーの企画・運営又は開催等の役務に使用した場合であっても、これらに接する取引者、需要者は、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示したものとして認識されている事実はなく、本願商標「ファスティングアドバイザー」の語は、請求人等が使用する造語商標として認識されており自他役務識別力を有する商標である旨主張する。
しかしながら、上記1のとおり、何らかの専門的知識について助言、すなわちアドバイスをする者を「○○アドバイザー」(○○には、その助言する内容の語)と呼称されることが一般に行われていること、そして、本願商標を構成する「ファスティング」及び「アドバイザー」の各語が、我が国において広く一般的に親しまれている語であることを踏まえると、本願商標は、全体として「ファスティング(断食)のアドバイザー(助言者)」ほどの意味合いを容易に認識、理解させるものである。加えて、別掲2及び別掲3のように、ファスティング(断食)を行うに際して、自己流ではなく、ファスティング(断食)に関する専門的な知識を有する者による指導、助言を受けることが求められ、実際にそれがなされている実情、ファスティング(断食)に関する専門的な知識を得て、その指導、助言をする者に対し、「ファスティングアドバイザー」をはじめとして「ファスティング」及び「アドバイザー」の各文字を組み合わせた名称からなる資格が付与され、それらの資格を持つ者が「ファスティングアドバイザー」等として、ファスティングに関するアドバイスを行う活動している事例を考慮すれば、「ファスティングアドバイザー」の文字からなる本願商標は、これに接する取引者、需要者に、「ファスティング(断食)に関する専門的な知識を有し、その指導、助言をする者」ほどの意味合いを理解させるものであるから、これを、上記の指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者に、役務の質(内容)を表示したものとして認識させるにとどまり、本願商標は、自他役務の識別標識としては認識し得ないというべきである。
(2)請求人は、2009年の協会設立後、2019年3月から2020年10月にかけて、「ファスティングアドバイザー養成講座」を開催するなど「ファスティングアドバイザー」の有資格者を育成する事業を行っており、請求人等の事業の活動は、複数のメディアにも取り上げられ広く認識されているから、「ファスティングアドバイザー」の文字は、請求人等の事業名として広く認識され、自他役務識別力を有するものである旨主張する。
しかしながら、「ファスティングアドバイザー」の文字は、「ファスティング(断食)に関する専門的な知識を有し、その指導、助言をする者」ほどの意味合いを理解させるものであり、別掲3の事例があるように、「ファスティング」及び「アドバイザー」の各文字を組み合わせた名称からなる資格を持つ者が「ファスティングアドバイザー」等として、ファスティングに関するアドバイスを行う活動しているとの他人による事例があることから、「ファスティングアドバイザー」の文字は、上記の指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者に、役務の質(内容)を表示したものとして認識させるにとどまるものであることは、上記1のとおりであるから、請求人が、「ファスティングアドバイザー養成講座」を開催し「ファスティングアドバイザー」の有資格者を育成する事業などを行い、メディアに取り上げられることがあるとしても、それが上記判断を左右するものではない。
(3)請求人は、登録例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、それらの登録例は、商標の構成文字及び取引の実情において本願とは事案を異にするものであり、また、登録出願に係る商標が自他役務の識別標識として機能しうるか否かは、当該登録出願の査定時又は審決時において、個別具体的に判断されるべきものであって、本願商標についての判断は、上記1のとおりであるから、請求人が挙げる登録例をもって本件判断が左右されるものではない。
(4)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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