商標拒絶査定不服審判
2021-004698
マネージドエックスデイアアル、マネージド、エックスデイアアル
- 審判番号
- 2021-004698
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2019-114356
- 請求日
- 2021年04月12日
- 審決日
- 2022年03月11日
- 公報発行日
- 2022年05月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】トレンドマイクロ株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人RIN IP Partners
- 審判長/審判官
- 審判長 小松 里美
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 渡邉 あおい
- 分類
- T18 .16 -Z (W0942)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号、商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2019-114356拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和元年8月27日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年8月25日付け :拒絶理由通知書
令和2年10月5日 :意見書の提出
令和3年1月13日付け :拒絶査定
令和3年4月12日 :審判請求書の提出
令和3年12月23日付け:審尋
令和4年2月2日 :回答書の提出
第2 本願商標
本願商標は、「Managed XDR」の文字を標準文字で表してなり、第9類及び第42類に属する別掲1のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、登録出願されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『Managed XDR』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『Managed』の文字は『管理された』程の意味を有する語であり、本願の指定商品及び指定役務の業界においては、一元管理された商品や役務に『マネージド』の語が使用されている実情がある。また、『XDR』の文字は、本願の指定商品及び指定役務の業界において、『エンドポイントやネットワーク、クラウドといったセンサーから情報を監視、収集及び分析し、セキュリティ脅威の検知や対応を自動化及び高度化するセキュリティプラットフォーム』程の意味合いで使用されている実情がある。そうすると、本願商標をその指定商品及び指定役務に使用した場合、取引者及び需要者は、当該商品及び役務が『一元管理されたXDR(セキュリティプラットフォーム)に関する商品及び役務』又は『一元管理されたXDR(セキュリティプラットフォーム)に用いられる商品及び役務』であると認識するにとどまるものと認められ、本願商標は、商品の品質及び用途、役務の質及び用途を、普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と判断するのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第4 当審における審尋
当審において、令和3年12月23日付けで通知した審尋により、別掲2ないし別掲4に示すとおりの、本願の指定商品及び指定役務に関する業界における「Managed」、「マネージド」、「XDR」、「Managed XDR」及び「マネージドXDR」等の各文字の使用状況に関する事実を新たに示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当する旨の見解を示し、請求人に意見を求めた。
第5 審尋に対する請求人の意見(要旨)
合議体は、本願商標を構成する「Managed XDR」の文字に関する僅か6件(そのうち、1件は情報サイトでの紹介記事であり、もう1件は本願商標そのものではないため、実質的には4件である。)のウェブサイトの用例をもって、本願商標について、商標法第3条第1項第6号に該当するとの見解を示しているが、これは、特殊的、限定的な用例に基づくものであるから、根拠を欠く不当なものである。
第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項第6号及び本願商標の同号該当性について
(1)商標法第3条第1項第6号の趣旨について
商標法第3条第1項第6号が、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは、同項第1号ないし第5号に例示されるような、識別力のない商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(知財高裁平成21年(行ケ)第10270号判決、及び知財高裁平成24年(行ケ)第10323号参照。)。
(2)本願商標の構成及び本願の指定商品及び指定役務に関する業界における本願商標の構成文字の使用状況
ア 本願商標は、「Managed XDR」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「Managed」の文字は、「使う、やりくりする、操る、経営(管理・運営)する」等の意味を有する親しまれた英語「manage」の変化形であり(「英辞郎on the WEB」https://eow.alc.co.jp/search?q=manage)、本願の指定商品及び指定役務に関する業界において、別掲2のとおり、「通信サービスやITサービスなどのうち、サービスの利用に必要な機器やソフトウェアの導入や管理、運用などの業務も一体的に請け負うサービス」、「必要なリソースとその運用管理をすべてアウトソーシングするサービス」、「セキュリティなど、インフラの保守や運用といった業務をサービスとして提供するもの」について、「マネージドサービス(managed service)」と称する用例、及び「企業や組織の情報セキュリティシステムの運用管理を、社外のセキュリティ専門企業などが請け負うサービス」、「セキュリティ対策の管理・運用をアウトソースするサービス」、「ツールや技術、手続き、方法論を組み合わせ、サイバーセキュリティライフサイクル全体にわたる機能をサービスプロバイダーが企業に提供するサービス」について、「マネージドセキュリティサービス(Managed Security Service:MSS)」と称する用例で一般的に使用されている事実が認められる。
イ また、本願商標の構成中の「XDR」の文字は、別掲3のとおり、本願の指定商品及び指定役務に関する業界において、「XDRとは、エンドポイントやネットワーク、クラウドといったセンサーから情報を収集・分析し、今まで見えなかった攻撃を可視化するセキュリティ対策ソフトウェアの総称です。」、「先述のようなセキュリティソリューション進化の潮流で出てきたのが、NDRやXDRといった新しいセキュリティソリューションだ。・・・XDRとはすなわち、EDRやNDRといった検知・対応タイプのセキュリティ手法を発展させたものである。XDRの『X』は『Cross(横断した)』あるいは『Extended(拡張した)』という意味を指すとの解釈が一般的であり、EDRのようにエンドポイント対象、NDRのようにネットワーク対象と限定するのではなく、複数の領域のセキュリティソリューションを統合して集中管理することで企業全体のリスクを監視、可視化する。」、「・・・XDR製品は、保護をすり抜けた脅威に関して利用可能な情報のすべてを検出してつなぎ合わせ、進行中の攻撃の詳細分析をセキュリティアナリストに提供するために設計されました。こうして得られた情報があれば、セキュリティチームはインシデントにすばやく対応して解決でき、より積極的な脅威ハンティングにのぞめるようになります。」、「セキュリティ運用をログ分析とAI処理で効率化!マネージド提供も可能な『Stellar Cyber Starlight』の強み・・・企業のセキュリティ運用は限界に近づきつつある。・・・運用の効率化や自動化はどうすれば実現できるのか。そんななか注目を集めているのが、新しいマネジメントシステムを構築するためのコンセプト『XDR』だ。・・・XDRは、EDR製品における検知・対応の機能を社内ネットワークやWAN、クラウドなど、あらゆる領域をクロスオーバー(=X)して実現していくというコンセプトです。」、「次世代セキュリティプラットフォーム『XDR』とは?/XDR※は、ネットワークからエンドポイントまでをAIが監視・分析し、セキュリティ脅威の検知や対応を自動化・高度化する統合型セキュリティプラットフォームです。」の用例のように、情報セキュリティのソリューションに関する用語として、広く一般的に使用されている事実が認められる。
ウ さらに、本願商標を構成する「Managed XDR」の文字についても、別掲4のとおり、本願の指定商品及び指定役務に関する業界において、「三井物産セキュアディレクション(MBSD)について・・・2001年にサイバーセキュリティの専門会社として設立・・・統合ログ監視/Managed XDRサービス等の高度なセキュリティ技術サービス、コンサルティングサービス等を提供し、日本有数の高度セキュリティ技術人材が多数在籍する企業です。」、「マネージドXDRサービスはCortex XDRの導入・運用支援による端末セキュリティの強化および、24時間365日での端末監視を提供するサービスです・・・お客様に代わってXDRの高度な機能を使いこなしながら運用し、サイバー攻撃の能動的な可視化・防御やインシデント発生時の調査・対処を迅速に行うことで組織のサイバー攻撃によるリスクを乗り越える力を大幅に強化することができます。」、「マネージドXDRソリューション・・・エンドポイントからプラットフォームに及ぶ企業全体のセキュリティ運用を統合、生産性を高めて検出と対応を強化します。パロアルトネットワークス社のCortex XDRをマネージドサービスでご提供します。」、「NRIセキュア、ログ分析によるセキュリティマネージドサービス、パロアルトのCortex XDRを利用・・・NRIセキュアテクノロジーズの『マネージドXDRサービス powered by Cortex XDR from Palo Alto Networks』は、エンドポイント(端末)、企業のネットワーク、クラウド環境などのセキュリティを一元管理するマネージドサービスである」、「ネットワーク全体を監視するマネージドXDRサービス・・・を活用した、マネージドXDRサービスです。専用アプライアンスをスイッチ等に繋ぐだけで、IDS、Sandbox、NTAといったセキュリティ製品の機能に加え、既に導入されているUTMやアンチウィルス、EDRといったセキュリティ機器のログを取込み、AIが統合的に解析し危険な兆候をアラート、日本語でレポートをおこないます。」、「フォーティネットのサービス・・・また、継続的なMxDR(Managed eXtended Detection and Response)サービスを提供し、24時間365日、専門家による継続監視を可能にします。」などの例のように、本願商標と同一の文字からなる「Managed XDR」、文字種を置換えたにすぎない「マネージドXDR」、及び本願商標に通じる「MxDR(Managed eXtended Detection and Response)」の各文字が、複数の情報セキュリティ関連の事業者によって、当該事業者が企業にXDRを提供することを表す際に、使用されている事実が認められる。
(3)本願商標の商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、前記第2のとおり、「Managed XDR」の文字を標準文字で表してなるものであるから、文字の表し方に特徴があるものではないことは明らかである。
そして、上記(2)のとおり、本願の指定商品及び指定役務に関する業界においては、「Managed(マネージド)」の語が、「ツールや技術、手続き、方法論を組み合わせ、サイバーセキュリティライフサイクル全体にわたる機能をサービスプロバイダーが企業に提供するサービス」や、「企業や組織の情報セキュリティシステムの運用管理を、社外のセキュリティ専門企業などが請け負うサービス」などについて、それぞれ「マネージドサービス(managed service)」、「マネージドセキュリティサービス(Managed Security Service:MSS)」と称する例で一般的に使用されており、また、「XDR」の語が、情報セキュリティのソリューションに関する用語として、広く一般的に使用されており、さらに、「Managed XDR」、「マネージドXDR」、「MxDR(Managed eXtended Detection and Response)」の各語についても、複数の情報セキュリティ関連の事業者によって、当該事業者が企業にXDRを提供することを表す際に使用されている事実に照らすと、「Managed XDR」の文字からなる本願商標は、上記のような請求人以外の事業者によって使用される表示に比して、需要者が特定の営業主体の商品又は役務であることを理解できる程度に特異なものということは到底できず、その指定商品及び指定役務について使用する場合には、取引者又は需要者に「情報セキュリティ関連の専門事業者が提供するXDR」程度の意味合いを理解させるものであり、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、自他商品及び自他役務の識別力を欠き、商標としての機能を果たし合えないものであるというのが相当である。
したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標として、商標法第3条第1項第6号に該当する。
2 請求人の主張について
請求人は、合議体は、本願商標を構成する「Managed XDR」の文字に関する僅か6件(そのうち、1件は情報サイトでの紹介記事であり、もう1件は本願商標そのものではないため、実質的には4件である)のウェブサイトの用例をもって、本願商標について、商標法第3条第1項第6号に該当するとの見解を示しているが、これは、特殊的、限定的な用例に基づくものであるから、根拠を欠く不当なものである旨主張する。
しかしながら、上記1(1)に記載した商標法第3条第1項第6号の趣旨に基づき、本願の指定商品及び指定役務に関する業界における「Managed(マネージド)」、「XDR」及び「Managed XDR」等の各語の使用状況に関する事実を総合して勘案すれば、本願商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、自他商品及び自他役務の識別力を欠き、商標としての機能を果たし合えないものであるというのが相当である。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2021-004698