2021-002704
真空バルブ
- 審判番号
- 2021-002704
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-171200外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年03月01日
- 審決日
- 2022年01月04日
- 公報発行日
- 2022年02月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社東芝
- 【請求人代理人】特許業務法人酒井国際特許事務所
- 【請求人】東芝インフラシステムズ株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人酒井国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WY (H01H) / P18 .537-WY (H01H)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 16項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成28年9月1日の出願であって、令和2年6月2日付けで拒絶理由通知がされ、同年8月3日に意見書が提出されるとともに、特許請求の範囲及び明細書について補正をする手続補正書が提出されたが、同年11月27日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされたものであり、それに対して令和3年3月1日に拒絶査定不服審判の請求がされ、当審が同年9月7日付けで拒絶理由通知をし、同年10月19日に意見書が提出されるとともに、特許請求の範囲について補正をする手続補正書が提出されたものである。
第2 当審拒絶理由について
・特許法第36条第6項第1号について
当審では、請求項2の「前記接触子と前記電極とのうち他方に、前記接触子と前記電極とのうち一方に面する平面と、前記平面から窪むとともに前記接続部に面する凹面と、が設けられ、前記凹面は、中央部と、前記中央部から前記第2の方向における外側に張り出した複数の張出部とを有し」なる記載では、上記接触子又は上記電極に、中央部と複数の張出部を有する凹部が設けられると解されるところ、上記接触子に上記凹面が設けられていることは、発明の詳細な説明の【0106】等及び図8に開示されているが、上記電極に上記凹面が設けられていることについては、発明の詳細な説明に記載を見いだせないから、請求項2、及び、同項を引用する請求項3に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない旨の拒絶理由を通知した。
それに対し、令和3年10月19日の手続補正書により、請求項2の上記記載は、「前記接触子に、前記電極に面する平面と、前記平面から窪むとともに前記接続部に面する凹面と、が設けられ、前記凹面は、中央部と、前記中央部から前記第2の方向における外側に張り出した複数の張出部とを有し」と補正され、上記凹面が設けられるのが上記接触子に限定されたことから、上記拒絶理由は解消された。
第3 本願発明
本願の請求項1~4に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1」~「本願発明4」という。)は、令和3年10月19日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認められる。
「 【請求項1】互いに近付き又は離間する第1の方向に相対的に移動可能であり、互いに接触可能な二つの電極部と、前記二つの電極部にそれぞれ設けられ、前記二つの電極部が互いに接触するときに他方の前記電極部に接触するよう構成され、前記第1の方向と直交する第2の方向における外縁部を有する、接触子と、前記二つの電極部にそれぞれ設けられ、複数のスリットと、前記接触子に向かって開口する凹部と、が設けられ、前記凹部に面する内周面と、前記内周面の反対側に位置する外周面と、前記複数のスリットにより互いに隔てられるとともに前記二つの電極部に電気が流れたときに磁界を発生させるよう構成された複数のコイル部と、を有し、前記接触子と続きを表示(全23行)の間に隙間を形成する、電極と、前記接触子と前記電極とのうち一方に設けられ、前記接触子と前記電極とのうち他方に向かって突出し、前記第2の方向において、前記接触子の前記外縁部よりも内側に位置し、且つ前記電極の前記外周面よりも内側に位置する、接続部と、前記接続部と、前記接触子と前記電極とのうち他方と、を接続し、前記第2の方向において、前記接触子の前記外縁部よりも内側に位置し、且つ前記電極の前記外周面よりも内側に位置する、接続金属と、を具備し、前記接続部は、前記接触子と前記電極とのうち一方から、前記接触子と前記電極とのうち他方に向かって突出する、複数の突起を有し、前記接続金属は、前記複数の突起と、前記接触子と前記電極とのうち他方と、を接続し、前記複数の突起のそれぞれの一部は、前記第2の方向において前記電極の前記内周面よりも内側に位置する、真空バルブ。【請求項2】前記接触子に、前記電極に面する平面と、前記平面から窪むとともに前記接続部に面する凹面と、が設けられ、前記凹面は、中央部と、前記中央部から前記第2の方向における外側に張り出した複数の張出部とを有し、前記接続金属は、前記複数の突起と、前記複数の張出部と、を接続する、請求項1の真空バルブ。【請求項3】前記複数の張出部の前記第2の方向における内縁部が、前記複数の突起に接触する、請求項2の真空バルブ。【請求項4】前記複数のコイル部はそれぞれ、前記接触子に向くとともに前記接触子から離間した端面を有し、前記複数の突起は、前記複数のコイル部の前記端面から突出し、前記端面の中央よりも、前記複数のコイル部が延びる方向における前記端面の端部に近い位置に配置される、請求項1乃至請求項3のいずれか一つの真空バルブ。」
第4 原査定の概要
この出願の下記に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、下記の頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
・請求項 1~4
・引用文献等 1~3
・引用文献等一覧
1.実願昭58-159311号(実開昭60-67631号)のマイクロフィルム
2.特開2010-238386号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2010-267442号公報(周知技術を示す文献)
第5 引用文献の記載事項等
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1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載事項
引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審が付与。以下同様。)
ア 明細書1ページ16~17行
「[考案の技術分野]本考案は真空バルブに関する。」
イ 明細書1ページ18行~2ページ8行
「[考案の技術的背景とその問題点]一般に縦磁界型真空バルブは、種々提案がなされている。これは真空容器内に一対の電極が接離可能に配設されている。この電極部の構造の一例として第1図(a),(b)のように構成されたものがある。第1図(a),(b)において1は接点、2は主電極であり、これらはロウ材料により全面接合されている。コイル電極3は導電棒4と電気的に接続されコイル電極3は導電棒4から放射状に延びる腕部3aと同周方向に回る外周部3bと、主電極2との接続部3cを有している。」
ウ 明細書2ページ19行~3ページ11行
「このように構成された電極において、導電棒4から電流が流れると、コイル電極3の腕部3a→外周部3b→接続部3cの順に通電し、その電流径路によりアーク柱に対して軸方向の磁界、即ち縦磁界が発生する。磁界中でのアークは接点間に一様に分散し、アーク電圧が低く、安定しており、接点1の局部的な溶融が起こりにくいため、電流しや断性能が著しく向上するという特徴を持つている。また、コイル電極3の腕部3a、外周部3b、接続部3cは図に示す場合は4箇所に分割されているがそのバルブの持つしや断性能に応じて適宜3分割、2分割と分割数を決めている。」
エ 明細書3ページ12行~4ページ7行
「ところで、最近の真空バルブに要求される項目として、(1)機械的、電気的に長寿命であること、つまり信頼性が高いこと、(2)経済的にも有利であること等が要求されている。特に(2)の項目に対して、それぞれの部品を安価にできるようにしている。その一例がコイル電極、主電極等をプレスにより製作する例がある。このようなものでは次に示すような不具合が発生する可能性がある。すなわち、コイル電極をプレス等で製作した場合、それぞれの接続部の平行度が一様にならず、電極の組立てを実施するときコイル電極の接続部と、電極の接合がロウ材料によつて、うまく接合されず、一箇所あるいは数箇所接続不良が発生してしまう。このように、例えば一箇接続不良が発生した場合、電極間の軸方向の磁界には不安定、不均一が発生し、所定のしや断性能が得られなくなる。」
オ 明細書4ページ18行~5ページ16行
「[考案の概要]本考案は、コイル電極の接続部に段差を設け、嵌合部を形成し、また電極裏面にも、嵌合部を設けて、それぞれの嵌合部が、ロウ材料等により接合されるようにしたものである。[考案の実施例]以下本考案の一実施例を図面によつて説明する。第2図(a),(b)に於いて、同一部品は同一符号を付し、その相異点について説明する。1は接点、2は主電極であり、これらはロウ材料により全面接合されている。このとき、主電極2の裏面は凹状に形成されている。3は導電棒4と電気的に接続されたコイル電極で、これは導電棒4から放射状に延びる腕部3aと、同周方向に回る外周部3bと、主電極2との接続部3cを有している。そしてコイル電極3の接続部3cは、第3図にその詳細斜視図を示すように、切欠き部が設けられている。この切り欠き部は、主電極2の裏面の凹状部の底と接触する接触面10、およびその接触側面11を有する。」
オ 明細書6ページ1~8行
「このように構成された電極部を組立てるとき、主電極2と、コイル電極接続部3cとの接触面10にロウ材がそう入され、温度処理により組立てられる。このとき、加工等の不備により、この接触面10がロウ付に対して適正間隙になつていなくても、接触側面11までロウ材の流出があり、コイル電極3と主電極2の接合が完全となり、発生アークに対して適正な磁界強度を与えることができる。」
第1図
[図:0001381505000001.jpg]
第2図
[図:0001381505000002.jpg]
第3図
[図:0001381505000003.jpg]
(2)引用文献1の記載から認められること
ア 上記(1)イの記載によれば、縦磁界型真空バルブは、縦方向に接離可能な一対の電極が配設されることが認められる。
イ 上記(1)イ、オ及び第1,2図の記載によれば、一対の電極のそれぞれは、全面接合されている接点1及び主電極2と、導電棒4から放射状に伸びる4つの腕部3aと、腕部3aの先端に接続して同周方向に回るとともに隣接する腕部3aとギャップを有する外周部3bと、外周部3bの先端に設けられて主電極2に向けて突出する接続部3cを有し、主電極2との間に隙間を有するコイル電極3とを備えることが認められ、また、接続部3cは、切り欠き部が設けられ、切り欠き部は、主電極2の裏面の凹状部の底と接触する接触面10、およびその接触側面11を有し、外周部3bの内周面より内側の部分はないことが認められる。
ウ 上記(1)オの記載及び上記イによれば、接続部3cと主電極2の裏面の凹状部の間に挿入されたロウ材で、コイル電極3と主電極2を接合することが認められる。
(3)引用発明
上記(2)ア~ウによれば、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「縦方向に接離可能な一対の電極が配設され、一対の電極のそれぞれは、全面接合されている接点1及び主電極2と、導電棒4から放射状に伸びる4つの腕部3aと、腕部3aの先端に接続して同周方向に回るとともに隣接する腕部3aとギャップを有する外周部3bと、外周部3bの先端に設けられて主電極2に向けて突出する接続部3cを有し、主電極2との間に隙間を有するコイル電極3とを備え、接続部3cは、切り欠き部が設けられ、切り欠き部は、主電極2の裏面の凹状部の底と接触する接触面10、およびその接触側面11を有し、外周部3bの内周面より内側の部分はなく、接続部3cと主電極2の裏面の凹状部の間に挿入されたロウ材で、コイル電極3と主電極2を接合する、縦磁界型真空バルブ。」
2 引用文献2について
引用文献2には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
「【0016】実施の形態2.図8は本実施の形態2に係る真空バルブの電極を示す正面図、図9はその接触子台を示す平面図である。これらの図において、図1~図7と共通する箇所には同一符号を付して説明を省略する。本実施の形態2に係る接触子台1は、円板状の導体からなり、円板状導体の円周方向に沿って複数個(図では4個)のスリット1cが切込まれている。スリット1cの切込みで形成された嘴状部の先端には、前記円板状導体の中心軸に平行な方向への突出部となる所定厚さの接点10が設けられていて、この接点10上に載置される接触子2と接触子台1とはこの接点10を通して電気的に接続される。・・・【0017】縦磁界発生の動作は実施の形態1と同じであるが、本実施の形態では、実施の形態1と比べて、接触子台をカップ状とするための加工が不要となるメリットがある。」
図8
[図:0001381505000004.jpg]
図9
[図:0001381505000005.jpg]
3 引用文献3について
引用文献3には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0025】本発明による真空インタラプタ用縦磁界電極の別の実施例を図4に示しており、従来と同様の部分は同符号を用いている。以下は、実施例1と同様に可動側縦磁界電極のみについて説明する。【0026】本実施例では、可動側縦磁界電極となる縦磁界電極18は、機械加工により、実施例1と同様に図4の如くコイル電極18Aの開口側端部18Dの外周面に段部を設ける。そして、コイル電極18Aと蓋状接点部材18Bとを蝋付け等により固着することにより、コイル電極18Aの開口側端部18Dの外周面に設けた段部と蓋状接点部材18Bの外周部間とで所定の寸法の鉤状溝19を形成する。」
図4
[図:0001381505000006.jpg]
第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
ア 本願発明1と引用発明とを対比すると、後者の「縦方向」は、その機能や構造からみて、前者の「第1の方向」に相当し、以下同様に、「一対の電極」は「二つの電極部」に、「接点1及び主電極2」は「接触子」に、「ギャップ」は「スリット」に、「コイル電極3」は「電極」に、「接続部3c」は「接続部」に、「切り欠き部」は「突起」に、「ロウ材」は「接続金属」に、「縦磁界型真空バルブ」は「真空バルブ」に、それぞれ相当する。
イ 後者の「縦方向に接離可能な一対の電極」は、「互いに近付き又は離間する第1の方向に相対的に移動可能であり、互いに接触可能な二つの電極部」に相当する。
ウ 後者の「接点1及び主電極2」は、一対の電極のそれぞれに備えられ、一対の電極が接触する際は接点1同士が接触し、主電極2の外縁部は縦方向と直交する径方向にあるから、後者の「全面接合されている接点1及び主電極2」は、前者の「前記二つの電極部にそれぞれ設けられ、前記二つの電極部が互いに接触するときに他方の前記電極部に接触するよう構成され、前記第1の方向と直交する第2の方向における外縁部を有する、接触子」に相当する。
エ 後者の「コイル電極3」は、一対の電極のそれぞれに備えられるから、後者の「主電極2との間に隙間を有するコイル電極3」は、前者の「前記二つの電極部にそれぞれ設けられ、」「前記接触子との間に隙間を形成する、電極」に相当する。
オ 後者の「接続部3c」は、コイル電極3に設けられ、主電極2の裏面の凹状部に接触するものであり、主電極2の外縁部より凹状部が内側にあるのは明らかであるから、後者の「主電極2に向けて突出する接続部3c」は、前者の「前記接触子と前記電極とのうち一方に設けられ、前記接触子と前記電極とのうち他方に向かって突出し、前記第2の方向において、前記接触子の前記外縁部よりも内側に位置し、且つ前記電極の前記外周面よりも内側に位置する、接続部」に相当する。
カ 後者の「ロウ材」は、接続部3cと主電極2の裏面の凹状部の間に挿入されて、コイル電極3と主電極2を接合するから、前者の「前記接続部と、前記接触子と前記電極とのうち他方と、を接続し、前記第2の方向において、前記接触子の前記外縁部よりも内側に位置し、且つ前記電極の前記外周面よりも内側に位置する、接続金属」に相当する。
キ 後者の「接続部3c」は4つであり、主電極2に向けて突出するから、後者の「接続部3cは、切り欠き部が設けられ」ることは、前者の「前記接続部は、前記接触子と前記電極とのうち一方から、前記接触子と前記電極とのうち他方に向かって突出する、複数の突起を有」することに相当する。
ク 上記カ及びキによれば、後者の「ロウ材で、コイル電極3と主電極2を接合する」は、前者の「前記接続金属は、前記複数の突起と、前記接触子と前記電極とのうち他方と、を接続する」に相当する。
ケ 後者の「4つの腕部3a」、「腕部3aの先端に接続して同周方向に回るとともに隣接する腕部3aとギャップを有する外周部3b」及び「外周部3bの先端に設けられ」る「接続部3c」は、一対の電極に電流が流れたときに磁界が発生するから(上記第5 1(1)ウ参照)、前者の「前記複数のスリットにより互いに隔てられるとともに前記二つの電極部に電気が流れたときに磁界を発生させるよう構成された複数のコイル部」に相当し、後者の「腕部3a」及び「外周部3b」によって囲われた部分は、主電極2に向かって開口するから、前者の「前記接触子に向かって開口する凹部」と、「前記接触子に向かって開口する部分」という点で共通する。
コ 上記エ及びケによれば、後者の「導電棒4から放射状に伸びる4つの腕部3aと、腕部3aの先端に接続して同周方向に回るとともに隣接する腕部3aとギャップを有する外周部3bと、外周部3bの先端に設けられて主電極2に向けて突出する接続部3cを有し、主電極2との間に隙間を有するコイル電極3」は、前者の「前記二つの電極部にそれぞれ設けられ、複数のスリットと、前記接触子に向かって開口する凹部と、が設けられ、前記凹部に面する内周面と、前記内周面の反対側に位置する外周面と、前記複数のスリットにより互いに隔てられるとともに前記二つの電極部に電気が流れたときに磁界を発生させるよう構成された複数のコイル部と、を有し、前記接触子との間に隙間を形成する、電極」と、「前記二つの電極部にそれぞれ設けられ、複数のスリットと、前記接触子に向かって開口する部分と、が設けられ、前記開口する部分に面する内周面と、前記内周面の反対側に位置する外周面と、前記複数のスリットにより互いに隔てられるとともに前記二つの電極部に電気が流れたときに磁界を発生させるよう構成された複数のコイル部と、を有し、前記接触子との間に隙間を形成する、電極」という点で共通する。
そうすると、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
互いに近付き又は離間する第1の方向に相対的に移動可能であり、互いに接触可能な二つの電極部と、
前記二つの電極部にそれぞれ設けられ、前記二つの電極部が互いに接触するときに他方の前記電極部に接触するよう構成され、前記第1の方向と直交する第2の方向における外縁部を有する、接触子と、
前記二つの電極部にそれぞれ設けられ、複数のスリットと、前記接触子に向かって開口する部分と、が設けられ、前記開口する部分に面する内周面と、前記内周面の反対側に位置する外周面と、前記複数のスリットにより互いに隔てられるとともに前記二つの電極部に電気が流れたときに磁界を発生させるよう構成された複数のコイル部と、を有し、前記接触子との間に隙間を形成する、電極と、
前記接触子と前記電極とのうち一方に設けられ、前記接触子と前記電極とのうち他方に向かって突出し、前記第2の方向において、前記接触子の前記外縁部よりも内側に位置し、且つ前記電極の前記外周面よりも内側に位置する、接続部と、
前記接続部と、前記接触子と前記電極とのうち他方と、を接続し、前記第2の方向において、前記接触子の前記外縁部よりも内側に位置し、且つ前記電極の前記外周面よりも内側に位置する、接続金属と、
を具備し、
前記接続部は、前記接触子と前記電極とのうち一方から、前記接触子と前記電極とのうち他方に向かって突出する、複数の突起を有し、
前記接続金属は、前記複数の突起と、前記接触子と前記電極とのうち他方と、を接続する、
真空バルブ。
<相違点1>
開口する部分について、本願発明1では、「凹部」であるのに対し、引用発明では、腕部3a及び外周部3bによって囲われた部分である点。
<相違点2>
本願発明1では、「前記複数の突起のそれぞれの一部は、前記第2の方向において前記電極の前記内周面よりも内側に位置する」のに対し、引用発明では、切り欠き部は、外周部3bの内周面より内側に位置する部分はない点。
(2)相違点についての判断
事案を鑑み、まず相違点2から検討する。
引用発明において、切り欠き部に、外周部3bの内周面より内側に位置する部分を設けることは、引用文献1には何ら記載も示唆もなく、むしろ製造が複雑になり、製造コストが高くなることは明らかであるから、引用発明において、相違点2に係る本願発明1の構成とすることに動機付けがあるとは認められない。
また、引用文献2の「スリット1c」は、接触子2(本願発明1の「接触子」に相当。)に向かって開口する凹部とはいえず、本願発明1の「凹部」に相当するものではないこと等を勘案すると、相違点2に係る本願発明1の構成について、引用文献2に記載も示唆もあるとはいえず、また、引用文献3にも記載も示唆もなく、他に、相違点2に係る本願発明1の構成が周知技術であると認めるに足る証拠もない。
以上によれば、相違点1を検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 本願発明2~4について
本願発明2~4は、本願発明1の全ての構成を有し、更に構成を限定するものであるから、上記1で説示したのと同様に、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第7 原査定についての判断
上記第6で説示したとおり、当業者であっても、本願発明1~4は、引用発明及び周知技術に基いて、本願出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定の拒絶理由は維持できない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由及び当審の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-002704