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特許拒絶査定不服審判

2021-002487

メカニカルシールの回り止め機構

審判番号
2021-002487
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-103594外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年02月25日
審決日
2021年12月07日
公報発行日
2022年01月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (F16J)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2017-103594号「メカニカルシールの回り止め機構」拒絶査定不服審判事件〔平成30年12月20日出願公開、特開2018-200057号、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 15項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、平成29年5月25日の出願であって、令和2年10月22日付けで拒絶理由通知がされ、同年12月4日に意見書が提出されるとともに、特許請求の範囲について補正をする手続補正書が提出されたが、同年12月25日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対して令和3年2月25日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に、特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要

この出願の下記請求項に係る発明は、この出願前に日本国内又は外国において、下記の頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項 1~4

・引用文献 1,2

・請求項 5~7

・引用文献 1~3

<引用文献等一覧>

1.国際公開第2016/125665号

2.実願昭59-151744号(実開昭61-67470号)のマイクロフィルム

3.特開2013-160122号公報

第3 本願発明

本願の請求項1~7に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1」~「本願発明7」という。)は、令和3年2月25日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認められる。

「【請求項1】
回転機械の回転軸が挿通される静止側の被取付部材と、前記被取付部材に固定された静止側のシールケースと、該シールケースに保持され、静止密封環及び該静止密封環との相対回転が規制されたリテーナから構成された静止密封側部材と、前記回転軸に保持され前記回転軸とともに回転し前記静止密封環と摺接する回転密封環と、前記静止密封環と前記回転密封環とを軸方向に圧接状態に付勢するスプリングと、を備えるメカニカルシールにおける前記リテーナに形成された凹部に前記シールケースに固定されたピン部材を係止させることで前記リテーナを前記シールケースに対して回り止めするメカニカルシールの回り止め機構であって、
前記ピン部材は、前記シールケースを径方向に貫通して形成される孔部に挿通される胴部と、前記孔部の内径よりも太径である頭部とを有し、
前記ピン部材の前記頭部の裏面は平面形状であり、かつ、前記孔部の外径側開口の周囲表面は平面形状であり、
続きを表示(全17行)
前記ピン部材の前記胴部を、前記シールケースの外径側から該シールケースの外径方向に開放された前記孔部に挿通して、互いに平面形状同士の前記頭部の裏面を前記孔部の周囲表面に当接させることにより、前記胴部の先端部が前記リテーナの前記凹部に係止されることを特徴とするメカニカルシールの回り止め機構。
【請求項2】
前記ピン部材には雄ねじ部が形成され、前記孔部には前記ピン部材の雄ねじ部に螺合する雌ねじ部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のメカニカルシールの回り止め機構。
【請求項3】
前記雄ねじ部は、前記胴部の前記先端部よりも前記頭部側に形成され、前記胴部の前記先端部には形成されていないことを特徴とする請求項2に記載のメカニカルシールの回り止め機構。
【請求項4】
前記シールケースに前記ピン部材の前記頭部の外径より大径に形成された大径孔部に、前記ピン部材の前記頭部が挿入されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のメカニカルシールの回り止め機構。
【請求項5】
前記大径孔部は、前記ピン部材の頭部が挿入される第1大径部と、該第1大径部よりも外径側に前記第1大径部より大径に形成された第2大径部とを備えていることを特徴とする請求項4に記載のメカニカルシールの回り止め機構。
【請求項6】
前記ピン部材よりも外径側に抜け止め部材が係合していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のメカニカルシールの回り止め機構。
【請求項7】
前記ピン部材よりも外径側に抜け止め部材が係合し、前記抜け止め部材には雄ねじ部が形成され、前記大径孔部には前記抜け止め部材の雄ねじ部に螺合する雌ねじ部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のメカニカルシールの回り止め機構。」

第4 引用文献の記載事項等

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1 引用文献1について

(1)引用文献1の記載事項

引用文献1には、図面とともに、以下の記載がある(下線は当審が付与。以下同様。)。

「技術分野
[0001] 本発明は、メカニカルシールに関し、特に、部品点数が少なく、かつ、小型で安価な電動ウォーターポンプなどに適したメカニカルシールに関する。」
「【課題を解決するための手段】
[0006] 上記目的を達成するため本発明のメカニカルシールは、第1に、
ハウジングと回転軸との間に形成された軸封部に装着されて、ハウジングと回転軸との間をシールするメカニカルシールであって、
固定側密封環と、該固定側密封環に対向摺接する回転側密封環とを備え、
前記固定側密封環は、前記回転側密封環より高圧流体側に配設されると共に前記ハウジングに固定されて前記回転軸をラジアル方向及びスラスト方向の両方向において支持する摺動面を備え、
前記回転側密封環は、前記回転軸に装着された付勢手段により軸方向に移動自在に装着され、
前記回転軸は、前記固定側密封環のラジアル方向の摺動面と接触摺動してラジアル方向に支持される外周面を備え、
前記固定側密封環と前記回転軸との間には前記回転軸をスラスト方向において支持するスラストリングが設けられることを特徴としている。
この特徴によれば、固定側密封環のみで回転軸の支持が可能となり、別途軸受を設ける必要がないため、装置の小型化及び低コスト化に寄与することができる。また、固定側密封環をハウジングに固定して軸方向の移動を不要にしているため、軸受として安定した性能を発揮することができる。」
「[0020] 図1及び2を参照して、本発明の実施例1に係るメカニカルシールについて説明する。
図1に示す実施例1は、本発明に係るメカニカルシールが、液体を圧送するポンプ室と空気環境下の電動モータ室とが隣接して配置された小型の電動ウォーターポンプに適用された場合を示すものであって、メカニカルシールとしては、密封面の内周から外周方向に向かって漏れようとする高圧流体側の被密封流体を密封する形式のアウトサイド型のものである。
[0021] 図1において、ハウジング1内に配設された回転軸2の一端側(図1においては左側)にはポンプ装置3が、他端側(図1においては右側)にはモータ装置4が配設されている。
また、ハウジング1は、主にポンプ装置3が収納されるポンプハウジング5と、主にモータ装置4が収納されるモータハウジング6と、これらを区画する仕切り部材7とを備えている。
[0022] ポンプ装置3において、ポンプハウジング5は、円筒部5aと底部5bからなり、断面が有底カップ状をなし、開口側が仕切り部材7の一方の側面に当接され、内部の収容空間に回転羽根8を収容するとともにポンプ室9が形成されている。また、回転羽根8は、回転軸2を介してモータ装置4の駆動力により回転駆動され、液体を所定の個所に圧送するようになっている。さらに、ポンプハウジング5と仕切り部材7との間にはOリング11が装着されてポンプ室9から外部に液体が漏洩しないようにシールされている。」
「[0026] 仕切り部材7は、ポンプハウジング5とモータハウジング6とを区画し、これらを保持すると同時に、回転軸2を固定側密封環20を介して支持するものであり、一定の強度を備える必要から所定の厚みを有する。そのため、仕切り部材7の径方向中心には、固定側密封環20を固定するための貫通孔7aが形成される。貫通孔7aは小径部と大径部を有し、固定側密封環20の外周面と径方向及び軸方向の両方において確実に係合し、固定側密封環20をしっかりと保持できる構造になっている。更に、仕切り部材7と固定側密封環20との間に図示しない回り止め機構が形成され、仕切り部材と固定側密封環20が相対的に回らないようになっている。また、仕切り部材7には貫通孔7aと固定側密封環20の外周面とをシールするOリング22が設けられている。
なお、固定側密封環20の保持に関して、仕切り部材7に対し、仕切り部材7との隙間全面を埋める弾性体や、仕切り部材7に設置し易い部材を介して設けられてもよい。
・・・
[0028] 固定側密封環20のポンプ装置3側(被密封流体側)と反対側には、固定側密封環20の密封面20bと対向摺接する回転側密封環21が配設される。回転側密封環21は、固定側密封環20と同様に、機械的強度を有する他、自己潤滑性、耐摩耗性などの特性を備えるものであり、例えば、カーボン、SiCあるいは超硬合金などの中から相手部材とのなじみ性などを考慮して選定される。
[0029] 回転軸2には回転側密封環21を固定側密封環20側に向かって軸方向に付勢させるための付勢手段25が装着され、回転側密封環21の密封面21aが固定側密封環20の密封面20bに押圧されるようになっている。
本例において、付勢手段25はベローズから構成されており、ベローズ25の一端はカラー23に連結されると共に、他端はリテーナ24に連結され、回転側密封環21はリテーナ24の端面に焼嵌めまたは圧入されている。
なお、付勢手段としては、ベローズに限らず、コイルスプリングを用いてもよいことはもちろんである。」

図1

[図:0001380763000001.jpg]

(2)引用文献1の記載によって認められること

ア [0006]、[0020]、[0021]、[0026]、[0028]及び図1の記載によれば、メカニカルシールは、ポンプハウジング5と、仕切り部材7と、固定側密封環20と、回転側密封環21と、を備えると認められ、仕切り部材7は、ポンプハウジング5を保持すると認められ、固定側密封環20は、仕切り部材7に固定されると認められ、回転側密封環21は、回転軸2に支持され、固定側密封環20と対向摺接すると認められる。

イ [0021]及び図1の記載によれば、回転軸2は、モータ装置4によって回転すると認められ、[0022]も参酌すると、ポンプハウジング5は、回転軸2の一端を収容すると認められる。

ウ [0026]の記載によれば、回り止め機構は、仕切り部材7と固定側密封環20との間に形成されると認められる。

エ [0029]の記載によれば、付勢手段25は、コイルスプリングであり、回転側密封環21を固定側密封環20側に向かって軸方向に付勢させるためのものであると認められる。

(3)引用発明

上記(2)ア~エを総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「モータ装置4によって回転する回転軸2の一端を収容するポンプハウジング5と、ポンプハウジング5を保持する仕切り部材7と、仕切り部材7に固定される固定側密封環20と、回転軸2に支持され、固定側密封環20と対向摺接する回転側密封環21と、回転側密封環21を固定側密封環20側に向かって軸方向に付勢させるためのコイルスプリングである付勢手段25と、を備えるメカニカルシールにおける、仕切り部材7と固定側密封環20との間に形成される回り止め機構。」

2 引用文献2について

引用文献2には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(1)明細書2ページ9~13行

「本考案は、各種機器の回転部分を密封するメカニカルシールの回り止め機構の改良に関し、さらに詳しくは、メカニカルシールを構成するメイティングリングのシャフトとの相対的な回転を防止する手段の改良を提案するものである。」

(2)明細書7ページ7行~8ページ13行

「本考案メカニカルシールの回り止め機構の好ましい一実施例を第1図にもとづいて説明する。図において、(1)は回転するシャフト(2)外側の所定位置に、段部(3a)を有する筒状のスリーブ(3)を介して装着され、該シャフト(2)とともに回転するメイティングリング、(4)は図示しない非回転のハウジング側に固定されたフローティングシートで、該フローティングシート(4)と前記メイティングリング(1)はその対向端面において互いに摺接し、流体を密封するようになる。前記メイティングリング(1)の内周側には、所用数の切欠(1a)が形成されており、他方、該メイティングリング(1)を嵌合する前記スリーブ(3)の段部(3a)近傍部には、所用数のねじ孔(3b)が周方向に配設され、該ねじ孔(3b)に、スリーブ(3)内径側より螺入した略ボルト状の係合ねじ(5)の、スリーブ(3)外径側へ突入した先端部(5a)が前記切欠(1a)と互いに係合しており、これによってメイティングリング(1)と、スリーブ(3)にひいては該スリーブ(3)と図示しない固定手段により一体となるシャフト(2)との相対的な回転を阻止している。」

[図:0001380763000002.jpg]

3 引用文献3について

引用文献3には、図面とともに以下の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧燃料を圧送するサプライポンプに関し、特に円筒状の摺動壁に沿って軸方向へ往復駆動されるタペットの回り止め技術に関する。」
「【0023】
このタペット6は、ハウジング7に設けられた円筒状の摺動壁8に沿って往復駆動されるものであり、タペット6の側面に形成された軸方向に延びる長穴9の内側に、ハウジング7に組付けられた回止ピン10が嵌め入れられて、ハウジング7に対するタペット6の回り止めが成される。
回止ピン10は、ハウジング7に形成されたピン組付穴11の内部に組み入れられるものであり、先端部が長穴9の内側に嵌め入れられる先端ピン12と、この先端ピン12がハウジング7から抜けるのを防ぐプラグ13とを備える。
そして、先端ピン12とプラグ13とが別体で設けられる。」

図1

[図:0001380763000003.jpg]

第5 対比・判断

1 本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明とを対比すると、後者の「モータ装置4」は、前者の「回転機械」に相当し、以下同様に、「回転軸2」は「回転軸」に、「ポンプハウジング5」は「被取付部材」に、「仕切り部材7」は「シールケース」に、「固定される」ことは「保持され」ることに、「固定側密封環20」は「静止密封環」に、「支持され」ることは「保持され」ることに、「対向摺接する」ことは「摺接する」ことに、「回転側密封環21」は「回転密封環」に、「コイルスプリングである付勢手段25」は「スプリング」に、「メカニカルシール」は「メカニカルシール」に、「回り止め機構」は「回り止め機構」に、それぞれ相当する。

後者の「モータ装置4によって回転する回転軸2の一端を収容するポンプハウジング5」は、前者の「回転機械の回転軸が挿通される静止側の被取付部材」に相当し、後者の「ポンプハウジング5を保持する仕切り部材7」は、前者の「前記被取付部材に固定された静止側のシールケース」に相当し、後者の「回転軸2に支持され、固定側密封環20と対向摺接する回転側密封環21」は、前者の「前記回転軸に保持され前記回転軸とともに回転し前記静止密封環と摺接する回転密封環」に相当し、後者の「回転側密封環21を固定側密封環20側に向かって軸方向に付勢させるためのコイルスプリングである付勢手段25」は、前者の「前記静止密封環と前記回転密封環とを軸方向に圧接状態に付勢するスプリング」に相当する。

後者の「固定側密封環20」と前者の「静止密封環及び該静止密封環との相対回転が規制されたリテーナから構成された静止密封側部材」は、「静止密封環から構成された静止密封側部材」という点で共通し、後者の「仕切り部材7に固定される固定側密封環20」と前者の「該シールケースに保持され、静止密封環及び該静止密封環との相対回転が規制されたリテーナから構成された静止密封側部材」は、「該シールケースに保持され、静止密封環から構成された静止密封側部材」という点で共通する。

そうすると、本願発明1と引用発明の一致点及び相違点は以下のとおりである。

<一致点>

「回転機械の回転軸が挿通される静止側の被取付部材と、前記被取付部材に固定された静止側のシールケースと、該シールケースに保持され、静止密封環から構成された静止密封側部材と、前記回転軸に保持され前記回転軸とともに回転し前記静止密封環と摺接する回転密封環と、前記静止密封環と前記回転密封環とを軸方向に圧接状態に付勢するスプリングと、を備えるメカニカルシールの回り止め機構。」

<相違点1>

静止密封側部材について、本願発明1は、「静止密封環及び該静止密封環との相対回転が規制されたリテーナ」から構成されるのに対し、引用発明は、固定側密封環20により構成され、2つの部材では構成されていない点。

<相違点2>

メカニカルシールの回り止め機構について、本願発明1は、「メカニカルシールにおける前記リテーナに形成された凹部に前記シールケースに固定されたピン部材を係止させることで前記リテーナを前記シールケースに対して回り止めし、前記ピン部材は、前記シールケースを径方向に貫通して形成される孔部に挿通される胴部と、前記孔部の内径よりも太径である頭部とを有し、前記ピン部材の前記頭部の裏面は平面形状であり、かつ、前記孔部の外径側開口の周囲表面は平面形状であり、前記ピン部材の前記胴部を、前記シールケースの外径側から該シールケースの外径方向に開放された前記孔部に挿通して、互いに平面形状同士の前記頭部の裏面を前記孔部の周囲表面に当接させることにより、前記胴部の先端部が前記リテーナの前記凹部に係止される」のに対し、引用発明は、仕切り部材7と固定側密封環20との間に形成され、具体的な構成は不明である点。

(2)相違点についての判断

事情に鑑み、まず、相違点2について検討する。

回転密封環と、静止密封環と、回転密封環と静止密封環を回転軸の軸方向に付勢するスプリングとからなるメカニカルシールにおいて、被取付部材に固定された静止側のシールケースを径方向に貫通して形成される孔部に挿通される胴部と、前記孔部の内径よりも太径である頭部とを有するピン部材を、前記シールケースの外径側から該シールケースの外径方向に開放された前記孔部に挿通することによって、前記静止密封環を前記シールケースに対して回り止めすること(以下、「技術事項1」という。)は、引用文献2,3には、記載も示唆もない。

そして、技術事項1が、本願出願前において、技術常識や周知技術であることを認めるに足る証拠もない。

よって、たとえ、リテーナに関する、相違点1に係る本願発明1の構成が、本願出願前の技術常識や周知技術であると認められても、引用発明において、相違点2に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。

以上によれば、本願発明1は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。

また、引用文献3には、ハウジング7に設けられたピン取付穴11に、外径側から回止ピン10を挿入することによる、タペット6の回り止め機構が記載されている(上記第4 3)が、引用文献3に記載されたものは、メカニカルシールに関するものではなく、引用発明とは基本的な構造が異なるものであるから、引用発明において、引用文献3に記載される事項を適用する動機付けがあるとは認められないから、本願発明1は、引用発明及び引用文献2,3に記載された事項に基いても、当業者が容易に発明することができたものであるとはいえないのは明らかである。

2 本願発明2~7について

本願発明2~7は、本願発明1の構成を全てを含み、その構成に更なる限定を付加するものであるから、上記1(2)に説示したのと同様に、引用発明及び引用文献2に記載された事項、又は、引用発明及び引用文献2,3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。

第6 原査定について

第5に説示したとおり、当業者であっても、本願発明1は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえず、本願発明2~7は、引用発明及び引用文献2に記載された事項、又は、引用発明及び引用文献2,3に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

したがって、原査定の拒絶理由を維持できない。

第7 むすび

以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-002487

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