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商標拒絶査定不服審判

2021-000075

審判番号
2021-000075
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2019-044916
請求日
2021年01月05日
審決日
2021年12月15日
公報発行日
2022年08月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社アルビオン
  • 【請求人代理人】笹野 拓馬
審判長/審判官
  • 審判長 佐藤 松江
  • 審判官 鈴木 雅也
  • 審判官 石塚 利恵
分類
T18 .13 -Z (W03) / T18 .17 -Z (W03)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項3号商標法3条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項、商標法第5条第4項、商標法第3条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2019-44916拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成31年3月29日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和2年3月16日付け:拒絶理由通知 令和2年8月 7日付け:意見書の提出 令和2年9月29日付け:拒絶査定 令和3年1月 4日付け:審判請求書の提出 令和3年1月 8日付け:手続補足書の提出 第2 本願商標 本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、商標法第5条第4項に基づく「商標の詳細な説明」を「商標登録を受けようとする商標(以下『商標』という。)は、標章を付する位置が特定された位置商標であり、本願指定商品のスティック先端部分の立体的形状からなる。なお、破線は、商品の形状の一例を示したものであり、商標を構成する要素ではない。」と記載するものであり、第3類「リップスティック,口紅,リップグロス,リップクリーム,リップバーム,スティック状の化粧品,スティック状のデオドラント化粧品,スティック状の香料,スティック状の日焼け止め用化粧品,スティック状のシミ取り用化粧品,スティック状のニキビ防止用化粧品,スティック状の美容液,スティック状の美白美容液」を指定商品として、位置商標として登録出願されたものである。 第3 原査定の拒絶の理由(要点) 1 本願商標は、別掲1のとおりの構成態様からなるが、これは、その指定商品との関係において、商品のスティック先端部分の立体的形状からなるものである。 ところで、商品及び商品の包装の形状は、多くの場合、商品等に期待される機能をより効果的に発揮させたり、商品等の美観をより優れたものとする等の目的で選択されるものであって、直ちに商品の出所を表示し、自他商品を識別する標識として用いられるものではない。そして、本願商標の立体的形状は、美観をより優れたものとするための部分にすぎない。 そうすると、本願商標は、本願の指定商品において、同種の商品の形状として採用し得る立体的形状の範囲を超えるものとは認められないから、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、当該指定商品の形状を立体的に表示したもの、つまり、単に商品の品質、形状を普通に用いられる方法で表示したものと理解するにとどまる。 したがって、 本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 2 出願人は、本願商標は、商標法第3条2項の規定の適用を受けることにより、商標登録を受け得るものであると主張しているところ、本願商標は、2017年秋から「PAUL&JOE」の商品に使用され、当該商品はオンラインショップ、百貨店・専門店、免税店で取り扱われており、雑誌やウェブサイト等の各種メディアに取り上げられている事実が認められる。 しかしながら、各種メディアへの掲載は、42件にすぎず、出願人が積極的に宣伝広告を行っているとは認められない。また、本願商標を使用した商品の取扱店舗や売上数及びシェアについても明らかではない。 したがって、出願人が本願商標を使用した結果、本願商標が、需要者が出願人の業務に係る商品であることを認識することができるに至っているとは認められないから、本願商標が商標法第3条第2項に規定する要件を具備しているということはできない。 第4 当審の判断 1 商標法第3条第1項第3号該当性について (1)判断の枠組み 商標法第3条第1項第3号は、その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(包装の形状を含む。・・・)、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標は、商標登録を受けることができない旨を規定しているが、これは、同号掲記の標章は、商品の産地、販売地その他の特性を表示、記述する標章であって、取引に際してこれらを使用する必要性が高く、誰もがその使用を欲するものであるから、特定人による独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、これらの標章は、一般的に使用される標章であって、多くの場合、自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないことから、登録を許さないとしたものである。同号掲記の標章のうち商品等の形状は、多くの場合、商品等に期待される機能をより効果的に発揮させたり、商品等の美観をより優れたものとするなどの目的で選択されるものであって、その反面として、商品・役務の出所を表示し自他商品・役務を識別する標識として用いられるものは少なく、需要者としても、商品等の形状は、文字、図形、記号等により平面的に表示される標章とは異なり、商品の機能や美観を際立たせるために選択されたものと認識するものであり、出所表示識別のために選択されたものとは認識しない場合が多いといえる。また、商品等の機能又は美観に資することを目的とする形状は、同種の商品等に関与する者が当該形状を使用することを必要とし、その使用を欲するものであるから、先に商標出願したことのみを理由として当該形状を特定の者に独占させることは、公益上の観点から適切でないといえる。したがって、商品等の形状は、同種の商品が、その機能又は美観上の理由から採用すると予測される範囲を超えた形状である等の特段の事情のない限り、普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として、商標法第3条第1項第3号に該当すると解するのが相当である(知財高裁令和2年(行ケ)第10076号 令和2年12月15日判決参照)。 (2)本願商標について 本願商標は、標章を付する位置が特定された位置商標であり、別掲1のとおり、スティック状の商品の先端部分に、耳、目、鼻、口及びひげを有する猫の頭部を模した立体的形状を配してなるものである。 ところで、本願の指定商品である「リップスティック,口紅,リップクリーム」等は、固形棒状の化粧料を繰り出して用いるスティック状のものが主流であるところ、これらの商品を取り扱う化粧品業界においては、当該商品の性質から要求される一定の制約の下においても、商品の魅力向上や需要者の関心を引くなどといった目的のため、固形棒状の化粧料に立体的形状による装飾を付したものが、一般に製造、販売されている実情が認められる(原審において示した別掲2及び別掲3に示す例参照)。そして、これらの立体的形状は、固形棒状の化粧料の先端又は全体の位置に付されることが一般的である上に、別掲2及び別掲3に示す各記載等に照らしてみると、これらの立体的形状は、柔らかな感触などの機能や、かわいらしさなどの美観の観点から採用されているとみるのが相当である。 そこで、これらを踏まえて本願商標をみるに、本願商標は、上記のとおり、スティック状の商品の先端部分に、猫の頭部を模した立体的形状を配してなる位置商標であるところ、本願商標に採択されている猫の形状は、造形が細かく、一定の特徴的形態を有するものといえる一方、当該形状に接する需要者に対して、美観を兼ね備えた商品であるとの印象を与えるにとどまり、それを超えて、当該形状の特徴をもって、当然に、商品の出所を識別する標識と認識させるものとまではいえず、また、当該形状を付す位置は、スティック状の商品の先端部分であり、一般的なものである。 そうすると、本願商標を構成する立体的形状及びそれを付す位置は、需要者及び取引者において、商品の機能又は美観上の理由により採用されたものと予測し得る範囲のものであるというべきである。 したがって、本願商標は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であり、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (3)請求人の主張について 請求人は、本願商標を構成する立体的形状のような複雑で造形が細かい形状を、スティック先端部分自体に施した商品は見たことがない旨、また、本願商標は、スティックの先端部分自体を「猫の頭」とした特徴的で個性的な形状であって、取引者・需要者に「かわいらしさ」を強く印象づけており、そのかわいらしさから、新商品を販売すれば、即完売に近い状態になるほどの人気になっている旨を述べ、このことは、取引者・需要者が、本願商標を、商品のブランドの世界観を象徴したものと識別して認識していることの証左である旨主張する。 しかしながら、仮に、造形が細かい立体的形状を、スティック状の商品の先端部分に配した口紅等が、現在、存在しないとしても、本願商標を構成する立体的形状及びそれを付す位置は、通常、同種商品に採用されると予測し得る形状及び位置の範囲を超えるものではなく、機能又は美観に資することを目的として採用されたものと認められるのは、上記(2)のとおりである。請求人が主張するように、本願商標を構成する立体的形状が、複雑で造形が細かい「猫の頭」の形状であったとしても、そのことは、需要者が商品を選択するに際し、外観上の美観(かわいらしさ)という嗜好上の意味合いを与え得るにすぎず、客観的に、需要者はそれをいまだ商品の形状であると認識するにとどまるものであるから、本願商標が、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるとの認定を左右するものではない。 したがって、請求人の上記主張は採用することができない。 2 商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて (1)判断の枠組み 立体的形状からなる位置商標が使用により自他商品識別力を獲得したといえるかどうかは、当該商標の形状、その使用期間及び使用地域、当該商標が付された商品の販売数量やその広告の期間及び規模並びに当該商標の形状に類似した形状を有する他の商品の存否などの事情を総合考慮して判断すべきである(知財高裁令和2年(行ケ)第10076号 令和2年12月15日判決参照)。 (2)本願商標の使用について 請求人は、本願商標について、仮に商標法第3条第1項第3号に該当するものであったとしても、使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できるものである旨主張し、その主張の裏付けとして、当審において、甲第1号証ないし甲第11号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出している(なお、請求人は原審においても甲第1号証ないし甲第44号証を提出しているが、書証が共通するので当審において提出された書証を採用する。)。 そこで、請求人の主張及び同人提出の証拠について、以下検討する。 ア 使用開始時期及び使用態様 請求人は、「ALBION」、「IGNIS」、「Elegance」等のブランドを取り扱う化粧品会社であり(甲1)、取扱いブランドの一である「PAUL&JOE」は、ブランドイメージの一つである猫をモチーフにした商品が多く(請求人の主張)、ラッピングボックス(甲8の1、6、35等)、リップスティック等商品の包装容器(甲8の14、31、42、63等)、販売店舗装飾用品(甲8の96、108、111、甲11の39等)などに、様々な猫の絵図又は立体的形状を使用している。 請求人は、「PAUL&JOE」のブランドの下、2010年(甲11の1)、2011年(甲11の2)、2012年(甲11の3)、2017年1月(甲11の5等)などに、数量限定商品として、猫の頭部を模した立体的形状を配したリップスティックやチークスティックを発売した後、2017年に、リップスティックの先端部分に、耳、目、鼻、口及びひげを有する猫の頭部を模した立体的形状を配した商品(以下「請求人商品」という。)の販売を開始した。請求人商品として、2017年8月に「リップスティック トリートメント(商品記号:APADTJ)」及び「リップスティック スクレドール(商品記号:APADTH)」(甲9の110、甲11の13、14等)の2種類が、2018年1月に「リップスティック UV(商品記号:APADTM)」(甲11の25、26等)が販売されたほか、2019年5月に「リップスティック リミテッド(3色)(商品記号:APAETF)」(甲5の5、甲8の62等)が限定販売され、2020年1月に「ティント リップスティック(商品記号:APAETN)」(甲5の4、甲8の21等)が限定販売された(甲5、甲6)。 なお、上記5種類のリップスティック以外に、同様の立体的形状を配した商品が継続的に販売されていた事実は見受けられない。 イ 販売状況及び市場占有率 請求人は、全国の百貨店や専門店、免税店等を通じて請求人商品を販売しているとするところ、国内の取扱店の合計数は、2018年は73店舗、2019年は79店舗、2020年は88店舗であるとされる(甲2、甲4)。また、請求人商品は、「三越伊勢丹オンラインショップ」、「タカシマヤ オンラインストア」、「阪急百貨店公式通販」、「@cosme shoppinng」等のオンラインショップにおいても取り扱われているとされる(甲3)。 また、請求人は、請求人商品の販売個数について、2017年度は約16万個、2018年度は約16万5千個、2019年度は約16万4千個、2020年度は約9千個であるとしている(甲6。なお、請求人は、2020年度の販売実績は、通年のものではないと主張するが、2020年度に係るデータが集計された具体的期間は不明である。)。 なお、請求人商品の売上高や市場占有率は明らかでないが、株式会社富士経済が発行する「化粧品マーケティング要覧2019 総括編」(甲7の2)及び「化粧品マーケティング要覧2020 総括編」(甲7の1)によれば、2018年ないし2020年(見込)の「リップメイク」における「ブランドシェア」について、上位11ブランド中に請求人商品の記載はない。 ウ 広告宣伝 請求人は、「PAUL&JOE」がfacebook(甲8)、instagram(甲9)及びtwitter(甲10)上に開設する公式アカウントにおいて、それぞれ、2017年10月ないし2020年12月の期間、2017年7月ないし2020年12月の期間及び2019年8月ないし2020年11月の期間に、継続的に、請求人商品又は請求人商品及びその他の商品の画像を掲載した。各画像に係る説明文において、請求人商品は「キュートなネコのUVリップ」(甲8の10、甲9の10、甲10の7等)、「ネコ型リップ」(甲8の17、59、66、甲10の11等)、「かわいい猫の形をしたリップトリートメント」(甲8の69等)、「cat-shaped lip treatment」(甲9の1、4等)、「cat-shaped lipsticks」(甲9の25、31等)などと紹介されているが、請求人商品に係る立体的形状及びその位置について、それを商品の特徴としてうたうなど、需要者に対し、それ自体を商品の出所を表示する標識又は自他商品を識別する標識として強く印象付けるような記述などは確認できない。 また、請求人は、「PAUL&JOE」のウェブサイトに請求人商品の画像を掲載しているところ、各商品の説明文において、請求人商品は「ネコのリップ」(甲5の1)、「ネコのリップトリートメント」(甲5の2)、「ネコ型のリップスティック」(甲5の3)などと紹介されているが、請求人商品に係る立体的形状及びその位置について、それを商品の特徴としてうたうなど、需要者に対し、それ自体を商品の出所を表示する標識又は自他商品を識別する標識として強く印象付けるような記述などは確認できない。 なお、請求人商品に係る広告費等は明らかでなく、その他の方法による広告宣伝を確認できる客観的かつ具体的な証拠は提出されていない。 エ ウェブサイトの記事等における紹介 請求人商品は、2017年5月ないし2020年5月の期間に、主に美容雑誌系ウェブサイトにおいて、「PAUL&JOE」の季節ごとの新製品、限定品やコンセプトショップ開店を紹介する記事、あるいは、各化粧品ブランドの季節ごとの新製品を特集する記事などに、継続的に、画像とともに掲載されている(甲11)。これらの紹介記事において、請求人商品は、「胸キュンなネコちゃん形リップ」(甲11の13)、「目にも美しいネコのリップスティック」(甲11の14)、「猫型リップスティック」(甲11の18)、「猫形のトリートメントリップも最高にキュート」(甲11の19)、「猫を象ったキュートなデザイン」(甲11の26)、「カワイイねこの形」(甲11の57)、「可愛い猫の形のリップクリーム」(甲11の60)などと記載されている。 なお、「PAUL&JOE」のコンセプトショップでは、請求人商品に類似するものの、猫の耳や頭部の模様など、立体的形状の細部が異なるリップスティックが販売されている様子がうかがえ(甲11の40、4葉目)、請求人商品も含め、猫の頭部を模した立体的形状を配したリップスティックについて、「ネコリップは登場のたびに進化して“顔立ち”が変わっています。」と紹介している記事もある(甲11の42)。 (3)判断 上記(2)を総合勘案すれば、請求人は、2017年以降、本願商標と実質的に同一の形状からなる請求人商品を継続して販売しており、2017年度ないし2020年度の期間の販売個数は約9千個ないし約16万5千個であることがうかがえ、facebook等のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を用いて広告宣伝を行ってきたことが認められる。 しかしながら、上記SNSの広告記事に、どの程度の閲覧者がアクセスしたのかは不明であるし、SNS上での請求人商品の広告宣伝においては、猫の立体的形状の美観(かわいい、キュート)や形状(ネコ型、cat-shaped)を強調する記述は多く見受けられるものの、本願商標を商品に係る特徴としてうたうなど、当該広告宣伝に接する需要者に対し、それを商品の出所を表示する標識又は自他商品を識別する標識として強く印象付けるような手法は用いられていない(美容雑誌系ウェブサイトの記事等における紹介についても、猫の立体的形状の美観(目にも美しい、キュート)や形状(ネコちゃん形、猫の形)の記載にとどまるものである。)。また、請求人は、2010年以降、猫の頭部を模した立体的形状を配したリップスティックやチークスティックを散発的に発売しているところ、各々の猫の立体的形状が異なっていることがうかがえるのに加え、「PAUL&JOE」のブランドにおいては、様々な猫の絵図又は立体的形状が、その商品や広告宣伝活動に使用されている事実も併せ鑑みれば、請求人商品は、単に、猫のデザインを使用した多様な商品の中の一にすぎないとの印象を需要者に与えるものである。 そして、請求人商品の販売期間は4年程であって、さほど長いものとはいえず、請求人商品の販売規模も明らかではない。 さらに、本願の指定商品には、請求人商品と異なる「スティック状のデオドラント化粧品,スティック状の香料,スティック状の日焼け止め用化粧品,スティック状のシミ取り用化粧品,スティック状のニキビ防止用化粧品,スティック状の美容液,スティック状の美白美容液」が含まれている。 そうすると、本願商標は、請求人商品に係る使用実績を勘案しても、リップスティックの先端部分の位置に配した耳、目、鼻、口及びひげを有する猫の頭部を模した立体的形状をして、その指定商品に係る需要者の間において広く認知されていると認めることはできず、請求人による使用の結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものとはいえない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第2項に規定する要件を具備しない。 (4)請求人の主張について ア 請求人は、化粧品業界の特性について、特定の企業が高いシェアを獲得することはなく、低いマーケットシェアの中に多くのブランドが併存する、商品の入れ替わりが激しい業界であるとし、当該特性を考慮すれば、請求人商品を数年にわたり継続的に販売していることは、一定程度の周知性を獲得していることの証左である旨主張する。 しかしながら、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するか否かを判断するに当たり、商品の販売実績は、請求人商品に対する需要者の認識の程度を推し量る一要素であるところ、請求人商品の販売実績の多寡を評価し得る証拠の提出はない(化粧品業界におけるリップメイクの販売金額は甲第7号証として提出されているが、請求人商品の売上高は明らかでなく、市場占有率も不明である。)から、業界の特性を踏まえたとしても、需要者の認識の程度を推し量ることは困難である。また、請求人商品の販売が継続されているとしても、その販売期間は4年程であり、さほど長いものとはいえない。 イ 請求人は、SNSに請求人商品の写真や記事を継続的に投稿することによって、積極的な広告宣伝を行っており、これらの情報の拡散による効果も相まって、請求人商品は、相応の認知度を獲得している旨主張する。 しかしながら、SNSを利用した広告宣伝活動は、現在においては一般的に採択されている手法にすぎないし、その内容についても、当該広告宣伝に接する需要者に対し、本願商標を商品の出所を表示する標識又は自他商品を識別する標識として強く印象付けるような手法を長年にわたり用いているといった場合は格別、そうでない場合(すなわち、広告宣伝の内容が、単に商品の美観や形状を強調するにとどまる場合。)には、需要者が、本願商標を、商品の出所を表示する標識又は自他商品を識別する標識として認識するとは考えにくい。 ウ したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。 3 まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、かつ、同条第2項に規定する要件を具備するものとも認められないから、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-000075

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