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商標異議申立

2020-900266

ヘアメス

審判番号
2020-900266
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2019-133625
登録番号
6275593
請求日
2020年10月15日
審決日
2021年12月01日
公報発行日
2022年02月25日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】ドッグ ディギン デザインズ,エルエルシー
  • 【異議申立人】エルメス・アンテルナショナル
  • 【異議申立人代理人】高松 薫
  • 【異議申立人代理人】鈴岡 正
  • 【異議申立人代理人】石田 晃士
  • 【異議申立人代理人】柴田 真理子
審判長/審判官
  • 審判長 佐藤 淳
  • 審判官 杉本 克治
  • 審判官 阿曾 裕樹
分類
T1651.251-Y (W2028) / T1651.252-Y (W2028) / T1651.253-Y (W2028) / T1651.261-Y (W2028) / T1651.262-Y (W2028) / T1651.263-Y (W2028) / T1651.271-Y (W2028) / T1651.222-Y (W2028)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号、商標法第43条の3第4項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6275593号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6275593号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6275593号商標(以下「本件商標」という。)は、「HAIRMES」の欧文字を標準文字で表してなり、令和元年10月16日に登録出願され、第20類「ペット用ベッド,愛玩動物用枕,ペット用クッション」及び第28類「ペット用のおもちゃ」を指定商品として、同2年7月27日に登録査定、同月31日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第6179160号商標(以下「引用商標」という。)は、「HERMES」の欧文字を標準文字で表してなり、平成28年5月25日に登録出願、第18類「動物用首輪,動物用引きひも」、第20類「愛玩動物用クッション,愛玩動物用巣箱」及び第28類「愛玩動物用のおもちゃ」を含む、第3類、第4類、第6類、第8類、第9類、第11類、第16類、第18類、第20類、第21類、第22類、第24類、第26類から第28類、第34類、第35類、第37類、第38類及び第41類から第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和元年9月13日に設定登録されたもので、現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号又は同項第19号の規定に該当するものであり、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取消されるべきものであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第47号証を提出した。 1 商標法第4条第1項第11号に該当すること (1)本件商標及び引用商標の類似性 本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念において同一又は類似する商標である。 ア 称呼について (ア)本件商標から生じる称呼 近年、ペット用品にファッション性やブランド力を求める需要者が増加しており、申立人を始めとする多数の高級ブランドから数多くのペット用品が販売され、流通している(甲3~甲5)。とりわけ、申立人を含むフランスのブランドは、そのファッション性やブランドの周知性、著名性の高さから特に注目されており、本件商標の指定商品の属する分野において、フランス語は馴染み深いものとなっている。このため、本件商標に接した需要者、取引者は、本件商標をフランス語と認識し、フランス語風の読みを行うのが通常である。 本件商標をフランス語として称呼する場合、フランス語では単語の先頭に「h」の文字が配列される場合に「h」の音自身は無音となり発音されず、また、「h」に続く母音「ai」は「エ」と発音されるから(甲6)、「エルメス」の称呼が生じる。 加えて、フランス語に親しみのない日本人が本件商標に接する場合には、その構成文字に対応し英語風の読みを行い、文字列全体を第1音節及び第2音節、第3音節及び第4音節の2つに分けて発音することが想定される。 このうち、第1音節及び第2音節は、英語風に読む場合「heer」(3文字目の「e」の文字は上下を逆にしてなる。)と発音されるところ、「e」(「e」の文字を上下を逆にしてなる。)の発音はいわゆる曖昧母音と称されるschwa母音であり、早く小さく、アクセントを置かず、口をあまり開けずに弱く曖昧に発音することを特徴とする母音である(甲7)。 そのため、本件商標は「ヘアメス」との称呼が生じ、2音節目の「ア」は、弱音として弱く発音される。 以上から、本件商標は、「エルメス」及び「ヘアメス」の称呼が生じる。 (イ)引用商標から生じる称呼 引用商標は、「HERMES」の欧文字を書してなる商標である。 引用商標は、申立人のブランド「HERMES」のブランドネームとして世界的に周知著名であり、その日本語表記としては、申立人自身がホームページにおいて「エルメス」と片仮名で記載していることに加え(甲8)、多くの広告媒体においても当該日本語表記が使用されているから、引用商標は「エルメス」の称呼が生じる。 また、申立人のブランド「HERMES」及び仏語に親しみのない日本人が引用商標に接する場合には、引用商標は、その文字構成に対応して英語風の読みにより、「ヘルメス」、「ハーメス」の称呼も生じる(甲9)。 以上から、引用商標は、「エルメス」、「ヘルメス」及び「ハーメス」の称呼が生じる。 (ウ)本件商標と引用商標の称呼の比較 本件商標と引用商標の称呼とを比較すると、まず、本件商標から「エルメス」の称呼が生じる場合には、引用商標から生じる「エルメス」の称呼と同一である。 次に、本件商標から「ヘアメス」の称呼が生じる場合には、引用商標から生じる「ヘルメス」又は「ハーメス」の称呼と類似する。すなわち、「ヘアメス」と「ヘルメス」の称呼とを比較すると、それぞれ4音からなる同音数の称呼であり、そのうち3音を共通とする。相違点は、両商標の2音目に位置する「ア」と「ル」のみであるが、両商標においてアクセントが置かれ最も強く発音される音は語頭部の「へ」であり、加えて、前述のとおり、「ア」は弱音として曖昧に弱く発音されることからすれば、2音目の「ア」と「ル」の差異が全体の称呼に与える影響は大きくない。 また、「ヘアメス」と「ハーメス」の称呼を比較すると、それぞれ4音からなる同音数の称呼であることは上記と同様であって、語頭部に位置する「へ」と「ハ」はいずれも50音図の同行に属する音であり、また、2音目の「ア」と「ー」はいずれも母音「ア」の発音となる点で共通である上、いずれも弱音であり、かつ、アクセントの弱い中間部に位置するため、これらの差異は全体の中で埋没しており目立つものではなく、全体の称呼に与える影響は大きくない。 したがって、「ヘアメス」と「ヘルメス」、「ヘアメス」と「ハーメス」の両称呼をそれぞれ一連に称呼した場合には、全体の語感語調が近似し、これらを互いに聞き誤るおそれがある。 したがって、本件商標から生じる称呼「ヘアメス」は引用商標から生じる称呼「ヘルメス」及び「ハーメス」と類似する。 (エ)小括 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、称呼において同一又は類似する。 イ 外観について (ア)本件商標と引用商標の外観 本件商標は「HAIRMES」の欧文字を書してなる商標であり、引用商標は「HERMES」の欧文字を書してなる商標である。 (イ)本件商標と引用商標の外観の比較 本件商標と引用商標の外観を比較すると、両者はいずれも通常用いられる書体、文字間隔をもって欧文字により表示され、両商標とも語頭部が「H」であり、語尾側の4文字が「RMES」である点を共通にする。 両者が相違するのは、本件商標が7文字配列であるのに対し、引用商標は6文字配列である点、及び語頭部「H」に続き中間やや左側に位置する文字が本件商標では「AI」であるのに対し、引用商標では「E」であるという点のみである。このうち、文字数の違いについては、本件商標と比較して引用商標はわずか1文字少ないのみである上、本件商標が7文字という比較的長い文字列で構成されている点に鑑みれば、わずか1文字の文字数の違いは、本件商標及び引用商標の全体の文字列において目立つものではない。 また、本件商標と引用商標はいずれも等間隔の欧文字によりひとかたまりでまとまりよく構成されており、いずれの書体もデザイン化されていない読みやすい標準の書体であるところ、「AI」と「E」の文字は、それぞれ文字列の中間部に位置しており、両商標が7文字と6文字という比較的長い文字列で構成されている点に鑑みれば、当該相違は、本件商標及び引用商標の文字列の中で埋没している。 また、「AI」及び「E」はいずれも母音の発音となる母音字であるところ、典型的に、母音字は一の音節に一つ含まれるものであるため文字列に多く含まれており、文字列全体の中に溶け込みやすく、視覚的な特徴がなくインパクトも小さいため、母音字には取引者・需要者の視覚的注意力が届きにくい。 以上からすれば、本件商標と引用商標の文字列の比較において、「AI」と「E」の相違は目立たない。 (ウ)小括 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、その外観において、時と所を異にして隔離的に観察した場合には、互いに見誤るほどに類似している。 ウ 観念について (ア)本件商標から生じる観念 本件商標は、欧文字で一連に表記され、これらの文字列に対応した語は一般に存在しない。 しかしながら、本件商標は、称呼及び外観において、引用商標と同一又は類似しており、また、引用商標が、申立人のブランド「HERMES」のブランドネームとして世界的に周知著名であることからすれば、本件商標に接した取引者、需要者には、申立人のブランド「HERMES」の観念が生じる。 したがって、本件商標は、申立人のブランド「HERMES」の観念が生じる。 (イ)引用商標から生じる観念 引用商標は、申立人のブランド「HERMES」のブランドネームとして世界的に周知著名であるから、引用商標に接した取引者・需要者が想起する観念は、申立人のブランド「HERMES」である。 したがって、引用商標は、申立人のブランド「HERMES」の観念が生じる。 (ウ)本件商標と引用商標の観念の比較 以上からすれば、本件商標及び引用商標から連想される観念は、いずれも申立人のブランド「HERMES」であり、本件商標と引用商標はその観念が同一である。 エ 小括 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、称呼において同一又は類似し、外観において類似し、観念において同一の商標である。 (2)指定商品の類似性 本件商標の指定商品は、いずれも、動物用首輪、動物用革製引きひも、愛玩動物用クッション、愛玩動物用巣箱、愛玩動物用のおもちゃ等の引用商標が使用されている商品と同一又は類似の関係にある。 (3)小結 以上のとおり、本件商標は、引用商標と称呼、外観及び観念の点で同一又は類似の商標であって、その指定商品又は指定役務において使用されれば、需要者、取引者において商品又は役務の出所につき誤認混同が生じ、引用商標の有する識別機能を害する。 したがって、本件商標は、引用商標と同一又は類似の商標を、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 商標法第4条第1項第10号に該当すること (1)申立人は、引用商標を動物用首輪、動物用革製引きひも、愛玩動物用クッション及び愛玩動物用のおもちゃ等に使用している。 引用商標は、申立人の商品を表示するものとして著名であるところ、本件商標は引用商標に類似し、かつ、申立人の業務に係る商品に類似する商品に使用されるものである。 (2)引用商標の周知性 ア 引用商標は、申立人のブランド「HERMES」のブランドネームである。 「HERMES」は、1837年、フランスのパリにおいて、ティエリー・エルメスにより馬具工房として創業された、バッグ、高級紳士・婦人服、アクセサリー及び馬具等で知られる高級ブランドである(甲10)。 「HERMES」の商品は、高級ブランド品として世界中で著名で、かつ人気を博しており、フランス、イギリス、イタリア、スペイン、ドイツ等の欧州の主要国、アメリカ、メキシコ、キューバ等の北中米の主要国、日本、中国、香港、台湾、韓国、タイ、シンガポール等のアジアの主要国、オーストラリア、インドネシア等のオセアニアの主要国等、世界中に店舗を有する(甲11)。 日本においては、申立人の商品は戦前から知られていたが、1964年に株式会社西武百貨店と提携し、渋谷、池袋を始め、名古屋、大阪、札幌等全国に合計15店舗の専門店を出店してから、その高い品質及びファッション性がより広い顧客層に知られるようになった。特に、1983年に申立人と株式会社西武百貨店の合同会社であるエルメスジャポン株式会社が設立されると、日本におけるさらに積極的な販売活動が行われるようになり、「HERMES」の店舗は年々増え、現在では、札幌、仙台、千葉、埼玉、東京、横浜、名古屋、大阪、京都、神戸、岡山、広島、福岡等、全国に29の直営店舗を有する(甲12)。 また、「HERMES」の商品は、現在、被服、バッグ、財布等の革小物、ジュエリー、時計、香水、化粧品、生活雑貨・インテリア雑貨、その他馬具及びペット用品に至るまで幅広いジャンルに及び、これらに係る無数の商品が日本中に流通している(甲13)。 加えて、「HERMES」の商品は、日本で極めて高い人気を誇っていることから、多数の雑誌に取り上げられている上(一例として、甲14~甲17)、「Precious」、「Vogue」、「OCEANS」等の有名なファッション雑誌のオンライン情報においても、「HERMES」の商品等に関する記事が頻繁に掲載されており(一例として、甲18~甲30)、多くの需要者、取引者による認識の対象となっている。 イ また、引用商標は世界中で販売される「HERMES」の商品に付されるだけでなく、これらの商品のパッケージ(箱・紙袋等)や店舗の外装・内装にも表示され、高い品質及びファッション性を有する「HERMES」のブランドネームとして40年以上にもわたり使用されている。 日本においても、引用商標が付された「HERMES」の商品(パッケージを含む)が多数販売されて流通している上(甲13)、これらの商品は多数の雑誌に取り上げられており、その掲載雑誌等は枚挙にいとまがない(一例として、甲14~甲30)。 ウ 加えて、申立人は、そのブランドネーム「HERMES」に関して、日本国内だけでも引用商標を含む合計150以上の登録商標を取得しており(甲31)、「HERMES」に係る権利保護のための必要な措置を、長期にわたり継続して講じている。 その結果、引用商標と同様に、「HERMES」の欧文字に「エルメス」の片仮名が併記された商標(登録第810370号商標)は、日本国周知・著名商標リストに掲載されており(甲32)、引用商標が、我が国において著名であることは顕著な事実である。 エ 以上の点からすれば、引用商標は、本件商標の登録出願前から現在に至るまで、申立人のブランド「HERMES」の商品を表示するものとして、需要者、取引者の間に広く認識されている。 (3)商標の類似性 本件商標と引用商標は、その称呼、外観及び観念において、同一又は類似する商標である。 (4)指定商品の類似性 本件商標の指定商品は、そのすべてにおいて引用商標が使用されている商品と同一又は類似の関係にある。 (5)小括 以上のとおり、本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者及び取引者の間に広く認識されている引用商標に類似する商標であって、かつ、申立人の業務に係る商品又は役務と類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。 3 商標法第4条第1項第15号に該当すること (1)引用商標は、申立人のブランド「HERMES」の商品を表示する標章として、日本国内のみならず、世界的に周知著名なものである。 したがって、これと同一又は類似する本件商標を使用することは、需要者、取引者をして、本件商標が付された商品が、「HERMES」の業務に係る商品であると誤認させ、出所の混同を生じさせるおそれがある。 (2)引用商標の著名性 引用商標は、本件商標の登録出願前から現在に至るまで、申立人のブランド「HERMES」の商品を表示するものとして、需要者、取引者の間に広く認識されている商標であり、その著名性の高さから出所表示力が極めて強い。 (3)本件商標と引用商標の類似性及び混同のおそれ 本件商標と引用商標は、その称呼、外観及び観念において、同一又は類似する商標である。 そして、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品は同一又は類似であって、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品は、その需要者、取引者を共通にする。 加えて、申立人は、商品の包装に、いわゆる「オレンジボックス」と称されるオレンジ色の包装箱と、引用商標を含む「HERMES-PARIS」の文字や馬車と従者のロゴマーク(登録第6179161号商標等)が白色で記され、リボンと平行に沿うように両端に白色の点線が描かれた茶色の「ボルデュック」と呼ばれるリボンを、長年にわたって使用しているところ、これらの包装箱やリボン等は、エルメスを「象徴する」アイテムとして世界中で広く周知されており(甲33、甲34)、申立人の商品であることを強く印象付ける役割を担っている。 さらに、オレンジボックスは、商品の包装としてだけでなく、申立人により、イベントや店舗のインテリア、申立人の商品の宣伝広告にも継続的に使用されている上(一例として、甲35、甲36)、オレンジボックスのイラストを示された対象者の約45.1%が、その色彩のみから申立人のブランド「エルメス」であると識別した調査結果も出ており(甲37)、申立人のブランドを象徴するカラーとしてオレンジ色が特徴的であることは、需要者において周知になっているといえる。 この点、本件商標権者は、本件商標を付したほぼすべての商品をオレンジ色の生地を用いて製作しており、さらに、その商品の多くには、「HAIRMES FRANCE」や犬の足跡を表すマークが白色で記され、両端に白色の点線が描かれた茶色のリボンでラッピングしているように見せるデザインが採用されている(甲38~甲47)。 これは、申立人の「オレンジボックス」において使用されるオレンジ色や、申立人の「ボルデュック」のデザインを模倣したものであることが一見して明らかであるところ、そのような本件商標の使用態様は、本件商標が付された商品の出所について、申立人と混同を生じさせるものである。 したがって、本件商標が、その指定商品において使用された場合、需要者及び取引者において、申立人の商品又は申立人と経済的あるいは組織的に関連を有する者の業務に係る商品と誤認し、その出所について混同を生じるおそれがある。 (4)小括 以上のとおり、本件商標は、国内外において周知著名な標章である引用商標と、称呼、外観及び観念の点で同一又は類似する商標であって、本件商標がその指定商品において使用された場合、需要者、取引者において、当該使用対象となった商品が、申立人の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同が生じる。 したがって、本件商標は、申立人の業務に係る商品と混同を生じるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。 4 商標法第4条第1項第19号に該当すること (1)引用商標は、申立人のブランド「HERMES」の商品を表示する標章として、日本国内のみならず、世界的に周知著名なものである。本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であり、かつ、不正の目的をもって使用するものである。 (2)引用商標の日本国内又は外国における周知性 引用商標は、本件商標の登録出願前から現在に至るまで、申立人のブランド「HERMES」の商品を表示するものとして、需要者、取引者の間に広く認識されている商標である。 (3)本件商標と引用商標の類似性 本件商標と引用商標は、称呼、外観及び観念において、同一又は類似する商標である。 このため、本件商標に接した需要者、取引者が、申立人のブランド「HERMES」を想起する可能性は極めて高い。 (4)不正の目的 ア 本件商標権者は、自身のインターネット上のホームページにおいて、本件商標を使用した商品を自ら「Parody Beds」、「Parody Toys」と紹介しており(甲38)、本件商標権者の商品を取り扱うインターネット上の店舗においても、本件商標権者の商品は「超有名高級ブランドをパロディしたユニークなUSAおもちゃブランド」(甲40)、「有名ブランドのパロディスタイルや定番アロハスタイルなど、秀逸なデザインが大人気◎」(甲42)、「お部屋に飾るだけでも可愛いゴージャスなパロディのおもちゃ」(甲43)、「大人気のパロディTOYです」(甲45)、「このドッグディギンデザインズのブランドパロディおもちゃはインスタ映えも最高です」(甲47)と説明されている。 また、本件商標権者は、申立人以外にも、「CHANEL」、「GUCCI」といった著名なブランドを想起させるデザインの商品を多数販売している(甲38~甲40、甲44、甲46)一方で、申立人が確認する限り、これら著名ブランドを想起させない完全に独自デザインの商品は一切販売していない。 したがって、本件商標権者は、「パロディ」をうたい、申立人を始めとする著名ブランドを想起させ、その著名性にフリーライドする商品のみを販売しており、引用商標の著名性を顧客誘引のための手段として利用していることが明らかである。 イ 加えて、本件商標が付されている本件商標権者の商品の大半は、申立人商品の包装箱(オレンジボックス)で使用されるオレンジ色と、同じく包装に用いられるリボン(ボルデュック)のデザインを模倣したものである。 本件商標権者は、申立人の引用商標、特徴的な色彩やデザインに酷似させることにより、引用商標に化体した信用、名声、顧客吸収力等にただ乗りすることを企図していることは明白である。 したがって、本件商標権者は、申立人の周知著名な引用商標と類似する本件商標を不正な目的をもって使用している。 (5)小結 以上のとおり、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であり、かつ、不正の目的をもって使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。 第4 当審の判断 1 引用商標の周知著名性 (1)申立人の主張及び提出証拠によれば、以下の事実が認められる。 ア 申立人は、1837年に、フランス国のパリにおいて馬具工房として創業したもので、引用商標に係る「HERMES」(エルメス)のブランド名を用いて、バッグ、腕時計、装身具、香水などの、高級アクセサリー及び衣料品のデザイン、製造、販売をしている(甲10)。 イ 引用商標に係るブランドは、全世界45カ国に300店以上の店舗を構えており、我が国では1960年代から輸入販売が開始され、全国各地(北海道、東京、愛知、大阪、広島、福岡など)に約30店の店舗がある(甲8、甲10、甲12)。 ウ 雑誌やインターネット上の記事情報(「BOAO」、「AneCan」、「GOETHE」、「Them magazine」、「Precious.jp」、「VOGUE」)などにおいて、引用商標に係る商品(バッグ、香水、ブーツ、帽子、スカーフ、ネクタイ、アミュレット等)の紹介記事が継続的に掲載されている(甲14~甲30)。 なお、引用商標に係る商品には、犬用キャリーバッグ、犬用リードや犬用首輪などのペット用品が含まれている(甲3~甲5、甲13)。 (2)以上を踏まえると、引用商標に係るブランド「HERMES」(エルメス)は、創業から180年以上の歴史を有し、我が国でも50年以上の輸入販売実績がある高級アクセサリーや衣料品に係るファッション分野におけるブランド(取扱商品にはペット用品も含む。)で、雑誌やインターネット記事などのメディアを通じて継続的に商品紹介記事も掲載されているため、引用商標に係るブランドは、本件商標の登録出願時点において、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認められる。 2 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標について 本件商標は、「HAIRMES」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、辞書等に掲載された成語ではなく、特定の意味合いを有する語として一般に親しまれたものではないから、特定の意味を有しない造語と認識、理解できる。 なお、申立人は、本件商標をフランス語風に称呼すると「エルメス」の称呼が生じ、英語風に称呼すると「ヘアメス」の称呼が生じる旨を主張するが、一般的に特定の意味を有しない欧文字からなる造語にあっては、我が国において親しまれた外国語である英語読み風又はローマ字読み風に称呼されるから、本件商標は、フランス語の成語ではないことも相まって、英語風に「ヘアメス」と称呼されるのが自然である。 したがって、本件商標は、「ヘアメス」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。 (2)引用商標について 引用商標は、「HERMES」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は「ギリシャ神話の神(ヘルメス)」を意味する英語又はフランス語(参照:「広辞苑 第7版」岩波書店、「ジーニアス英和辞典 第5版」大修館書店、「クラウン仏和辞典 第7版」三省堂)に相当するもので、上記1(2)のとおり、引用商標に係るブランド(HERMES、エルメス)が我が国の需要者に広く認識されていることを踏まえると、その構成文字に相応する「ヘルメス」の称呼のほか、「エルメス」の称呼を生じる。 したがって、引用商標は、「ヘルメス」又は「エルメス」の称呼が生じ、「ギリシャ神話の神(ヘルメス)」の観念が生じる。 (3)本件商標と引用商標の類否 本件商標と引用商標を比較すると、外観については、語頭と語尾の構成文字(「H」と「MES」)を共通にするが、その間の構成文字(「AI」と「E」)の差異から、互いに異なる語であると一見して看取できるから、判別は容易である。 また、称呼については、本件商標の称呼「ヘアメス」と引用商標の「ヘルメス」の称呼とは、語頭1音と語尾2音は共通するものの、2音目の音(「ア」と「ル」)の差異により、全体の語調、語感は異なるものとなるから、聴別は容易である。そして、本件商標の称呼「ヘアメス」と引用商標の「エルメス」の称呼については、語尾2音は共通するものの、語頭2音(「ヘア」と「エル」)の差異により、聴別は極めて容易である。 さらに、観念については、本件商標は特定の観念を生じないものの、引用商標からは具体的な観念(ギリシャ神話の神、ヘルメス)が生じるから、互いに記憶される印象において相違する。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観及び称呼において判別は容易で、観念における印象も相違するから、それらを総合してみれば、互いに別異の商標と認識、理解されるというべきで、相紛れるおそれのない非類似の商標である。 (4)小括 以上のとおり、本件商標は、引用商標とは同一又は類似する商標ではないから、その指定商品及び指定役務を比較するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第10号について 引用商標は、上記1(2)のとおり、ファッション分野におけるブランドとして我が国の需要者の間に広く認識されている商標ではあるとしても、本件商標と引用商標は、上記2(3)のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標である。 そうすると、本件商標は、他人(申立人)の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標(HERMES)と同一又は類似する商標ではないから、その指定商品と引用商標の使用に係る商品を比較するまでもなく、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第15号について (1)ア 引用商標「HERMES」は、上記1(2)のとおり、ファッション分野におけるブランドとして我が国の需要者の間に広く認識されている商標であるが、「ギリシャ神話の神(ヘルメス)」を意味する英語又はフランス語(前掲書参照)の成語でもあるから、独創性の高い造語ではない。 イ 本件商標と引用商標は、上記2(3)のとおり、外観、称呼及び観念を総合してみても、互いに別異の商標と認識、理解されるものである。 ウ 本件商標の指定商品は、「ペット用ベッド,愛玩動物用枕,ペット用クッション」(第20類)及び「ペット用のおもちゃ」(第28類)であるところ、いずれも愛玩動物用(ペット用)の商品であるから、引用商標に係る取扱商品に含まれるペット用品とは、同種商品である。 エ 以上を踏まえると、引用商標は、ファッション分野におけるブランドとして我が国の需要者の間に広く認識されている商標であるとしても、独創性の高い造語ではなく、また、本件商標と引用商標は、互いに別異の商標と認識、理解されるものであるから、本件商標をその指定商品(引用商標に係る一部取扱商品と同種商品である。)について使用したとしても、それに接する需要者及び取引者をして、申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように連想、想起することは考えにくく、その商品の出所について混同を生ずるおそれはない。 (2)申立人の主張について 申立人は、商品の包装にオレンジ色の包装箱と、マークが白色で示された茶色のリボンを長年使用している(甲33、甲34)ところ、本件商標権者は、本件商標に係る商品をオレンジ色の生地を用いて製作し、マークを白色で表した茶色のリボンでラッピングしているように見せるデザインを採用しており(甲38~甲47)、申立人のデザインを模倣しているから、本件商標の使用態様は、その商品の出所について、申立人と混同を生じさせる旨を主張する。 しかしながら、申立人主張の商品の包装箱やリボン、商品デザインと関連する使用態様は、本件商標の構成態様とは直接関連しない、本件商標権者の使用態様に係る個別具体的な実情であって、本件商標と引用商標は、上記2(3)のとおり、互いに別異の商標と認識、理解されることを踏まえると、申立人主張のような使用態様においても、むしろ、本件商標は、需要者及び取引者に対して、申立人に係る商品との誤認混同の発生を防ぐ要素として機能すると理解できる。 (3)小括 以上のとおり、本件商標は、他人(申立人)の業務に係る商品と混同を生ずるおそれのある商標ではないから、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 5 商標法第4条第1項第19号について 引用商標は、上記1(2)のとおり、ファッション分野におけるブランドとして我が国の需要者の間に広く認識されている商標であるとしても、本件商標と引用商標は、上記2(3)のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標である。 そうすると、本件商標は、他人(申立人)の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標(HERMES)と同一又は類似する商標ではないから、その使用に係る不正目的の有無を検討するまでもなく、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 6 結論 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれの規定にも違反してされたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2020-900266

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