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商標異議申立

2020-900259

エコクラウン

審判番号
2020-900259
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2018-108428
登録番号
6271770
請求日
2020年10月07日
審決日
2021年11月24日
公報発行日
2022年01月28日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】高橋 正則
  • 【異議申立人】株式会社 エコクラウン
  • 【異議申立人代理人】川岸 弘樹
審判長/審判官
  • 審判長 榎本 政実
  • 審判官 豊田 純一
  • 審判官 小俣 克巳
分類
T1651.22 -Y (W03)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項7号商標法43条の2商標法43条の3第4項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項、商標法第43条の2第1号
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6271770号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6271770号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6271770号商標(以下「本件商標」という。)は、「エコクラウン」の文字を標準文字により表してなり、平成30年8月14日に登録出願、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料」を指定商品として、令和2年6月18日に登録査定、同年7月21日に設定登録されたものである。 第2 申立人商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は、商標法第4条第1項7号に該当するとして、本件登録異議の申立てに引用する商標は、「エコクラウン」の文字よりなるもの(以下「申立人商標」という。)であり、申立人の取扱いに係る商品「業務用洗浄剤」(以下「申立人商品」という。)の販売の際に使用していると主張するものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録された ものであるから、その登録は、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである旨申し立て、令和2年10月7日付け商標登録異議申立書及び同年11月6日付け手続補正書(以下「手続補正書」という。)において要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第28号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 当事者 (1)申立人について 申立人は、平成15年9月24日に「株式会社エコクラウン」の商号で設立された、洗浄剤の開発・製造・販売等を主な業務目的とする株式会社である(甲1、甲2)。 申立人は、申立人商標を使用した申立人商品の販売を行っており、「エコクラウンエース」及び「エコクラウンスーパー」(以下、これらをまとめて「申立人商品の商標」という。)はその主力商品である(甲3、甲5)。 (2)商標権者について 本件商標の権利者(以下「商標権者」という。)は、申立人の元代表取締役であったが、平成18年3月31日に退任した(甲2)。 その後、商標権者は、平成20年3月6日に、洗浄剤の製造、仕入、販売等を主な業務目的とするセイコウ株式会社(以下「セイコウ社」という。)を設立して同社の代表取締役に就任し、現在に至っている(甲7)。 2 本件商標の登録に至る経緯について (1)商標権者による競合会社の設立と事業の競合について 商標権者は、平成20年3月6日付けで、洗浄剤の製造、仕入、販売等を主な業務目的とするセイコウ社を設立して同社の代表取締役に就任し、申立人商品と競合する「エコクリーナー」なる業務用洗浄剤の販売を開始した(甲7、甲10、甲12、甲13)。 「エコクリーナー」は、現在、他社の販売店を通じて、一般向けに販売されている(甲14、甲16、甲17)。 (2)商標権者と申立人間の訴訟について 商標権者は、平成18年3月に申立人の代表取締役を退任するにあたり、商標権者と申立人との間では、ア 商標権者が、申立人の役員に申立人の営業を譲渡し、申立人に対する貸付金を放棄し、株式を他の役員に譲渡することや、イ 申立人との競合行為を行わないこと(ただし、この点については、後述する訴訟における争点の一つとなった)の見返りとして、平成18年3月27日付けで、同年4月以降毎月末日限り、分割で所定の金額を商標権者が生存している限り、所定の金額に達するまで支払う旨の合意をしていた(以下「本件合意」という。)(甲8~甲12)。 しかしながら、上記(1)のとおり、商標権者による競合行為が明らかとなったことから、平成22年6月以降の本件合意に基づく分割金の支払を留保していたところ、同23年4月に商標権者から本件合意に基づく分割金の支払を求める訴訟が提起された(和解金請求事件:甲9)。 これに対し、申立人も、商標権者が代表取締役を務めるセイコウ社を設立して競合行為を行ったのは本件合意違反であるとして、平成20年3月以降の分割金の返還を求める反訴を提起した(不当利得返還反訴請求事件:甲11)。 これら一連の訴訟(甲9~甲14)において、本件合意に競業禁止が含まれるかが争点の一つにはなったが、最終的に、平成25年4月26日付けで訴訟上の和解が成立した(甲15)。 (3)商標権者による本件商標の登録出願について ア 商標権者は、平成30年8月14日付けで、本件商標を登録出願し、その後、令和元年8月19日付で指定商品を第3類「せっけん類、歯磨き、化粧品、香料、薫料」と変更する手続補正を行っている。 イ 申立人による刊行物等提出 申立人は、令和元年10月31日付けで、本件商標は、商標法第4条第1項7号に該当するものであるから、商標登録はなされるべきではないとして、刊行物等の提出を行った。 ウ 商標権者による原審における意見書の提出 商標権者は、上記刊行物等提出を受けた令和元年8月1日付け拒絶理由通知に対し、同2年2月18日付けで、商標権者が申立人の代表取締役退任の経緯や、競合行為を行うに至った経緯を述べた上で、本件合意には申立人が刊行物提出書で述べるような競合行為を行わないことは、その内容には含まれていないこと、また、商標に関しては、商標権者の無知から一度は期限喪失になったものを、改めて平成30年8月に再登録出願したにすぎない旨を内容とする意見書(以下「原審意見書」という。)を提出した。 エ その後、本件商標は、令和2年6月18日付けで登録査定、同年7月21日に設定登録、そして、同年8月11日付けで商標公報が発行された。 3 商標法第4条第1項第7号該当性について (1)本件商標は、申立人の略称と同一であって、申立人商品の商標とも類似するものであるとともに、その指定商品も互いに類似し、あるいは極めて関連の深いものである。 (2)商標権者は、申立人の元代表取締役であって(甲2)、当時も申立人においては、申立人商品(「エコクラウン」シリーズ)を販売していたから(甲4~甲6)、商標権者による本件商標の採択は、申立人の略称であり、申立人商品を表示する商標「エコクラウン」と偶然に一致したものではなく、申立人が申立人商標を使用している事実を知りつつ、本件商標の登録出願をしたものであることは明白である。 (3)商標権者は、申立人の業務と競合する会社を設立し、その代表取締役に就任し(甲7)、その後、実際に申立人商品と競合する商品「エコクリーナー」を販売していたことから(甲12、甲13)、これを巡って商標権者と申立人間では訴訟問題にも発展した他(甲9~甲15)、現在に至り、商標権者は、上記「エコクリーナー」を他社を通じて販売するなど競合関係にある(甲16、甲17)。 (4)これらの経過における本件商標の登録出願は、商標権者が、申立人商標が、登録されていないことを奇貨として、申立人に無断で、先取り的に登録出願したものであり、申立人における略称(社名)である「エコクラウン」、あるいはその主力商品である「エコクラウン」シリーズの商品名の使用を妨害することによって、自社(セイコウ社)が競争上優位に立ち、あるいは、申立人から商標使用の対価を得んとの不正な目的の下でなされたものであることは明らかである。 (5)この点、商標権者は、本件商標の審査段階における原審意見書において、商標権者が申立人の代表取締役退任の経緯や、競合行為を行うに至った経緯を述べた上で、本件合意には競合行為を行わないこととする内容は含まれておらず、これが含まれていることを前提とする拒絶理由通知は理由がない旨主張していた。 申立人としては、上記の申立人の主張に反する商標権者の主張については、具体的な裏付けもなく全て否認するが、いずれにせよ、本件においては、当事者間で本件合意に競合行為を行わないことが内容となっていたか否かや、商標権者が競合行為を行うに至った経緯そのものが問題なのではない。 重要なのは、申立人と商標権者が競合関係にもある中で、申立人の元代表取締役であって、代表取締役を退任して申立人と関係がなくなり、競合会社を経営するに至った商標権者に、申立人において登録がなされていないことを奇貨とした、申立人の略称又は申立人商標と一致する本件商標の登録を認めることが公正な商取引の秩序の観点から是認されるか否かなのであって、商標権者の主張は的外れである。 (6)さらに、商標権者は、原審意見書において、「エコクラウン商標に関しては、商標権者の無知から一度は期限喪失になり、改めて平成30年8月に再登録出願した。」旨述べ、エコクラウン商標は自身のものであったものを今回再登録したものにすぎない旨の主張も行っている。当該エコクラウン商標は、おそらく商標登録第4797070号(平成15年7月25日出願、同16年8月27日登録、同26年8月27日存続期間満了につき消滅。以下「旧『エコクラウン』商標」という。甲18)のことを指しているものと思われる。 しかし、旧「エコクラウン」商標の権利者が商標権者となっているのは、以下のような理由によるものであり、かかる事情は、商標権者による本件商標権の登録を何ら正当化するものではない。 すなわち、申立人は、平成15年9月24日に会社を設立しており(甲1、甲2)、当該商標の登録出願時(平成15年7月25日)では、まだ会社設立前であって会社が登録出願人になれないために、代表取締役に就任予定であった商標権者の名前でとりあえず登録出願を行ったものである。 結果的に、そのまま平成16年8月27日に商標登録がなされ、その時点において代表取締役が商標権者であったこともあって、その後も会社に名義変更がなされないままとなっていたにすぎない。 あくまで申立人の事業において使用するために登録出願したものであって、申立人の商標として取得したものであるため、取得のための費用も申立人において負担しており(いったん商標権者が立替えて支払い、会社設立後に申立人から支払っているので、あくまで申立人が保有する商標との認識であった(甲19、甲20)。 それゆえ、申立人は、商標権者の申立人在籍時も、また、代表取締役を退任した後も、商標権者に対して一度たりとも旧「エコクラウン」商標の使用料を支払ったことはないし、商標権者からも一度たりとも使用料の請求を受けたこともない。 したがって、旧「エコクラウン」商標は、形式的には商標権者が権利者となっているものの、実質的な権利者はあくまで申立人であったのであり、旧「エコクラウン」商標の権利者が形式上商標権者となっていたからといって、商標権者による本件商商標の登録を正当化するものとはなり得ないものである。 (7)以上のとおり、商標権者に本件商標の登録を認めることは、著しく社会的妥当性を欠き、公正な商取引の秩序を乱し、ひいては公の秩序を害するおそれがあるものとして、到底容認し得ないというべきである(東京高裁判決、特許庁異議事件参照:甲21~甲24)。 4 手続補正書による申立て理由の補充 旧「エコクラウン」商標は、平成16年6月18日に登録料の納付を行ったものの、納付額が不足していたことから同年7月29日に追加納付を行い、同年9月7日に登録証が発行、という手続経過をたどっているが(甲25)、これらの登録料は申立人の費用負担にて納付がなされている。 すなわち、旧「エコクラウン」商標の登録料の納付にあたっての名義は商標権者となっているものの、実際には申立人において費用を負担しているものである(甲28)。 このように、旧「エコクラウン」商標についても、登録出願費用も登録料も全て申立人において負担していて、実質的な権利者は申立人であり、旧「エコクラウン」商標の存在が、商標権者による本件商標の登録を正当化し得るものではない。 むしろ、原審意見書における商標権者の上記主張は、旧「エコクラウン」商標が形式上商標権者名義のままとなっていたことを奇貨として、審査官を欺まんする意図のもとになされたものというほかない。 商標権者に本件商標の登録を認めることは、著しく社会的妥当性を欠き、公正な商取引の秩序を乱し、ひいては公の秩序を害するおそれがあるものとして、到底容認し得ないことは明らかである。 5 結語 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項7号に該当する。 第4 当審の判断 1 商標法第4条第1項第7号該当性について (1)商標法第4条第1項第7号でいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、ア その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、イ 当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会的公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、ウ 他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、エ 特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、オ 当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合、などが含まれるというべきである(平成17年(行ケ)第10349号判決)。 しかしながら、先願主義を採用している日本の商標法の制度趣旨などからすれば、商標法第4条第1項第7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」を私的領域にまで拡大解釈することによって商標登録出願を排除することは、商標登録の適格性に関する予測可能性及び法的安定性を著しく損なうことになるので、特段の事情のある例外的な場合を除くほか、許さないというべきである。そして、特段の事情があるか否かの判断に当たっては、出願人と、本来商標登録を受けるべきと主張する者との関係を検討して、例えば、本来商標登録を受けるべきであると主張する者が、自らすみやかに出願することが可能であったにもかかわらず、出願を怠っていたような場合や、契約等によって他者からの登録出願について適切な措置を採ることができたにもかかわらず、適切な措置を怠っていたような場合は、出願人と本来商標登録を受けるべきと主張する者との間の商標権の帰属等をめぐる問題は、あくまでも、当事者同士の私的な問題として解決すべきであるから、そのような場合にまで「公の秩序や善良な風俗を害する」特段の事情がある例外的な場合と解するのは妥当でない(平成19年(行ケ)第10391号判決)。 (2)本件商標は、上記第1のとおり、「エコクラウン」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるようなものでないこと明らかであり、さらに、社会の一般的道徳観念に反するなど、公序良俗に反するものというべき証左も見あたらない。 そして、本件商標は、他の法律によって、その商標の使用等が禁止されているものではなく、特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合があるとはいえない。 また、商標権者は、旧「エコクラウン」商標の権利者であるところ、自らの失念により、係る商標権を抹消したものを、改めて登録出願したにすぎず、商標権者の係る行為を剽窃であると判断することはできない。 加えて、商標権の帰属をめぐる問題は、当事者間の私的な問題として解すべき問題であって、公の秩序や善良な風俗を害する特段の事情がある例外的な場合に該当すると判断するべき事情はない。 その他、本件商標が不正の利益を得る目的をもって剽窃的に登録出願したものと認めるに足りる具体的事実を見いだすことができない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 2 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号にも該当するものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2020-900259

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