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商標異議申立

2020-900215

審判番号
2020-900215
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2019-017392
登録番号
6261891
請求日
2020年09月03日
審決日
2021年09月29日
公報発行日
2023年05月26日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】南京皚斯攸服飾有限公司
  • 【異議申立人】モンスター エナジー カンパニー
  • 【異議申立人代理人】柳田 征史
審判長/審判官
  • 審判長 中束 としえ
  • 審判官 杉本 克治
  • 審判官 黒磯 裕子
分類
T1651.261-Y (W25) / T1651.263-Y (W25) / T1651.271-Y (W25)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6261891号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6261891号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6261891号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおりの構成からなり、平成31年1月28日に登録出願、第25類「下着,被服,ズボン,トップス,子供服,ティーシャツ,オーバーコート,レギンス,着物,スカート,新生児用被服,水泳着,靴類,帽子,ソックス」を指定商品として、令和2年6月4日に登録査定され、同月22日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)。 1 登録第5431413号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の態様 別掲2のとおり 指定商品 第5類、第29類、第30類、第32類及び第33類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日 平成22年10月27日 設定登録日 平成23年8月12日 2 登録第5788675号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の態様 別掲3のとおり 指定商品 第9類、第16類、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日 平成26年12月25日 設定登録日 平成27年8月28日 3 登録第6191020号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の態様 別掲4のとおり 指定商品 第5類、第9類、第12類、第14類、第16類、第18類、第25類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日 平成30年11月7日 優先権主張 2018年5月8日 欧州連合知的財産庁 設定登録日 令和元年10月18日 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第441号証(枝番号を含む。)を提出した。 以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。 1 申立人の使用に係る爪の図柄の周知著名性 (1)MONSTERブランドの創設と爪の図柄の使用 申立人は、1930年代に創業した米国の飲料メーカーであり(甲3)、創業時以降、アルコールを含有しない飲料、すなわち、炭酸飲料、天然ソーダ水、フルーツジュース、エネルギー補給用飲料(エナジードリンク)等の飲料製品の企画、開発、製造、マーケティング、販売の事業に従事していたが、2015年6月からはエナジードリンクの事業に注力している(甲2、甲58)。 申立人は、2002年に「MONSTER」なるエナジードリンクのブランド(以下「MONSTERブランド」という。)を創設し、米国で同年3月から広告宣伝を開始し、同年4月から製造販売を開始した。MONSTERブランドのエナジードリンク(以下「MONSTERエナジードリンク」という。)の最初の製品(オリジナル版)は、個別製品名として、「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー)」が採用された(甲4、甲7、甲18、甲58)。 申立人のMONSTERブランドの各種エナジードリンク製品には、従来の清涼飲料製品にはほとんど採用されていなかった黒色をベースにした容器(缶)が採用された。当該容器は、中央上部にモンスター(Monster)の頭文字「M」とモンスターの爪の形状をかたどって創作した図柄(甲328)(以下「爪の図柄」という。)を大きく目立つ態様で表示し、下方にブランド名の「MONSTER」の文字を特徴的な書体で表示(甲416)したデザイン(甲58)が特徴的であり、そのデザインから放たれる野性味あふれる独特な雰囲気が経済・ビジネス界でも注目を浴び(甲56、甲57)、若い世代の男性を中心に人気商品となった。 2002年以降、現在に至るまで「MONSTER」の文字を包含する個別製品名を使用して、味わいが異なる様々なエナジードリンクの販売を継続しており、当該個別製品の全てに爪の図柄を顕著に表示した容器を採用している(甲19~甲32、甲407~甲415)。 MONSTERエナジードリンクは、現在、世界130か国以上で販売されており、全世界では米ドル価格で第2位の売上げを記録した(甲58)。 日本国内では、MONSTERエナジードリンクは、アサヒ飲料株式会社(以下「アサヒ飲料」という。)を通じて国内で販売されている。2012年3月15日付けのニュースリリースでアサヒ飲料が国内独占販売権取得を公表し、2種類の「MONSTER」エナジードリンク、すなわち、製品名「MONSTER ENERGY」(モンスターエナジー 缶355ml)及び製品名「MONSTER KHAOS」(モンスターカオス缶 355ml)の発売を発表、2012年5月8日から販売を開始した(甲5~甲7、甲12、甲14、甲58)。 当該商品は、その発売直後から日本国内でもたちまち人気商品となり、2012年9月時点で既に年間売上目標の100万箱を突破し(甲8、甲65~甲67)、その後も好調に売上げを伸ばして157万箱の売上げを記録した(甲9、甲65~甲67)。 さらに、上記2種の新発売以降も、次のとおり新製品が発売されており、製品によってはリニューアルした製品を販売している(甲127、甲128 ほか)。 ア 2013年(平成25年)5月に「MONSTER ENERGY ABSOLUTELY ZERO(モンスターアブソリュートリーゼロ)」(甲10、甲13、甲15) イ 2014年(平成26年)8月に「MONSTER ENERGY M3(モンスターエナジー M3)」(甲59、甲61) ウ 同年10月に「MONSTER COFFEE(モンスターコーヒー)」(甲60、甲62) エ 2015年(平成27年)7月に「MONSTER ENERGY ULTRA(モンスターウルトラ)」(甲101~甲103、甲118、甲262、甲264) オ 2018年(平成30年)4月に「MONSTER CUBA-LIBRE(モンスターキューバリブレ)」(甲323、甲324) (2)販売国及び売上高 本件商標登録出願前の2010年時点で、MONSTERエナジードリンクは、世界57か国以上で販売されており、国内販売を開始した2012年時点では世界90か国以上で販売されており、「米国No.1のエナジードリンク」として国内の需要者の間で認知されていた(甲7、甲10)。 2019年5月14日時点では、日本に加えて世界130か国以上の国及び地域で販売され、米国で最も売れているエナジードリンクであり、全世界では2017年の米ドル価格で第2位の売上げを記録した(甲58)。 MONSTERエナジードリンクは、2002年に米国で販売開始以降、毎年売上げを伸ばし、2002年の発売以来、220億缶以上が販売され、世界中で毎年30億缶以上を売上げ、全世界で総額350億米ドルを超える収益を生み出している。全世界における小売販売額は毎年60億米ドルを超え、申立人の全売上の90%以上を占める(甲58)。 日本国内の市場では、2012年5月の販売開始から2018年12月までの期間において約8億3,800万缶を超えるMONSTERエナジードリンクを販売し、当該期間の総販売額は5億7,600万米ドルを超え、日本円で620億円以上に達した。MONSTERエナジードリンクは、日本のコンビニエンスストア、自動販売機、キオスク、スーパーマーケット、列車の売店、会員登録が必要な会員制ストア、店舗、ゲームセンター、ドラッグストア及びホームセンターなどを通じて販売されている(甲58)。 (3)爪の図柄の使用態様 申立人は、MONSTERブランドの統一されたイメージを確立、浸透させるため、2002年のMONSTERブランド創設から現在に至るまで、全世界的に変わることなく一貫して、MONSTERエナジードリンクの全ての個別製品名に「MONSTER(モンスター)」の文字を使用し、かつ、全ての個別製品に爪の図柄、並びに特徴的な書体で記した「MONSTER」の文字(甲416)を独立して看者の目を惹く態様で表示したデザインの包装容器(缶、瓶)を採用している。 (4)広告宣伝活動 申立人が2002年以降に費やした広告費は、2019年5月14日時点で46億米ドルを超える(甲58)。我が国では、MONSTERエナジードリンクの販売を開始した2012年から2017年末までに広告宣伝費として7,680万米ドルを費やした(甲58)。 MONSTERエナジードリンクの広告宣伝活動の特徴は、従来のテレビコマーシャルや印刷媒体(新聞、雑誌)を用いた広告はほとんど行わず、これに代わり、国際的に有名な人気アスリート、チーム、ミュージシャン等に対するスポンサー活動を中核に、スポーツイベント等や大手コンビニエンスストアとタイアップしたMONSTERエナジードリンクのサンプル配布、販売キャンペーン、MONSTERブランドの非売品グッズの配布などである。 また、MONSTERエナジードリンクの中心的な需要者層である10~30代の若い世代が一般に多く利用(甲404、甲405)するウェブサイトやソーシャルメディアなどのインターネットメディアを駆使した情報発信によって、MONSTERエナジードリンクの販売促進を行っている。 加えて、MONSTERエナジードリンク及びMONSTERブランドの広告活動の一環として、申立人は、MONSTERブランドをアパレルメーカー等に使用許諾し、様々なMONSTERブランドライセンス商品(Tシャツ、スウェットシャツ、パーカー、帽子、ヘルメット、かばん類、ステッカー、転写シール等)を、ライセンシーを通じて、あるいは、申立人が運営するオンライン通販サイトやスポーツイベント等の会場で販売している。また、ビデオゲーム会社と提携してMONSTERブランドを使用したビデオゲームソフトの開発や当該ビデオゲームの発売とタイアップしたMONSTERエナジードリンクの共同販売促進活動を継続的に実施している(甲58)。 (5)第三者の記事(表彰等) 申立人とそのMONSTERブランドは、「TIME」「FORTUNE」「NEWSWEEK」「FORBES」といった我が国でも購読できる有名経済・ビジネス誌で度々紹介され、また、数々の賞を受賞している(甲54、甲55、甲391~甲393)。 (6)国内外における商標登録 申立人は、我が国を含む世界150を超える国及び地域において、MONSTERブランドマークを商標登録している(甲58、甲435~甲439)。 (7)ブランド認知度及び市場占有率 本件商標の登録出願時及び登録査定時の国内エナジードリンク市場におけるMONSTERエナジードリンクのブランド認知度は、首位のレッドブル(RedBull)に次ぐ第2位であり、両者が「二大ブランド」として認識されていた。 さらに、2013年の国内エナジードリンク市場出荷総数の約950万ケース(30本換算)のうち、レッドブル(RedBull)が550万ケース、MONSTERエナジードリンクが240万ケースを占め、当該二大ブランドで市場の8割以上を独占していた。 したがって、本件商標の登録出願日前の2013年の時点でMONSTERエナジードリンクのエナジードリンク市場における占有率は25%を超えていた(甲311~315、甲317 ほか)。 (8)小括 上記(1)ないし(7)で述べた事実を総合的に勘案すれば、申立人の登録及び使用に係る爪の図柄は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間で広く認識されていたこと明らかである。 2 本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当する理由 (1)申立人の使用及び登録に係る爪の図柄は、「MONSTER」(モンスター)の語の頭文字「M」とヴェロキラプトル(恐竜)の爪の形から着想を得て、独創的なデザインに高められた創造標章である。爪の図柄は、申立人の「MONSTER」エナジードリンクの缶を、ギザギザの金属の縁を残して引き裂く「爪」のイメージを喚起させるデザインとして考案され、採択されたものであり、生来的に商品出所識別力が極めて強い商標ということができる。 爪の図柄の図案画並びにこれを黒地の「MONSTER」エナジードリンク缶の正面及び裏面に描いた作品は、米国で著作権登録もなされている(甲440、甲441)。 引用商標1及び2は、別掲2及び別掲3のとおり、爪の図形からなり、当該図形は、左向きにとがった微細な突起部を有する上端部から下方向に向かって延びる細くとがった先端部を有する若干長さが異なる細長い帯様図形3本を、概ね互いに平行に均等間隔で並べ、当該3本のうち中央の帯様図形を最も長くしたものである。各帯様図形の輪郭線は滑らかではなく、不規則な形状の微細な突起を多数有する。引用商標3は、黒色の縦長長方形の中に濃淡の緑の色彩を付した爪の図柄を大きく表示してなるものである。 (2)本件商標は、不規則な方向を向いた突起部を有する上端部から下方向に向かって細くとがった先端部まで延びる若干長さが異なる細長い帯様図形5本を、概ね互いに平行に等間隔で並べ、当該5本のうち中央の帯様図形を最も長くした図形(以下「本件帯様図形」という。)と、その下方に、極小の水滴様図形3つを概ね等間隔で略水平に並べ、その下中央に若干大きな水滴様図形1つを並べたものから構成される。本件帯様図形において、各帯様図形の輪郭線は滑らかではなく、不規則な形状の微細な突起を多数有する。 本件帯様図形は、本件商標全体の面積の大部分を占めており、その太く不規則な輪郭線で描いた帯様図形の印象が看者の注意を惹きつけ、商品出所識別標識として強い印象を与える。これに対して、本件帯様図形の下に配置された合計4つの水滴様図形は、全体に占める面積が僅かであり、小さく目立たない。また、本件帯様図形と4つの水滴様図形は物理的に分離しており、さらに、両者に観念上の一体性も認められない。 したがって、本件商標の構成においては、本件帯様図形の印象が顕著であり、出所識別標識として看者の視覚に訴え、記憶にとどまる。 (3)本件帯様図形は、不規則な輪郭線と細くとがった先端部を有する細長い帯様図形5本を概ね互いに平行かつ均等間隔で並べ、当該5本中、中央に位置するものを最も長くして構成されている点、各帯様図形の輪郭線が滑らかではなく、不規則な形状の微細な突起を多数有する点で、申立人の使用に係る爪の図柄と基本的構造を同じくし、外観の印象が近似する。 加えて、本件帯様図形は、不規則な輪郭線と細くとがった先端部を有する図形5本を並べ、中央に位置するものを若干長くした外観が、モンスター、恐竜などの「鋭くとがった強靭な爪」の観念及び印象を喚起させる点で、申立人の爪の図柄から想起連想される観念及び印象と類似する。 このように、本件商標は申立人の爪の図柄(引用商標)と商品出所識別標識として類似する印象を取引者、需要者に与えるものであるから、両者は類似のものである。 (4)本件商標は、第25類「下着,被服,ズボン,トップス,子供服,ティーシャツ,オーバーコート,レギンス,着物,スカート,新生児用被服,水泳着,靴類,帽子,ソックス」(以下「本件指定商品」という。)に使用されるものである。本件指定商品は、引用商標2の登録に係る第25類「被服,履物,帽子」、並びに、引用商標3の登録に係る第25類「被服,ティーシャツ,フード付きシャツ及びフード付きスウェットシャツ,スウェットシャツ,ジャケット,ズボン及びパンツ,バンダナ,手袋及びオートバイ用手袋,帽子,つば付帽子及びビーニー帽,履物」と同一又は類似のものである。上記引用商標は、本件商標よりも先に登録出願されたものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当することが明らかである。 3 本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当する理由 上記のとおり、本件商標は、申立人の使用に係る爪の図柄と外観の印象及びこれより想起連想される観念が類似するものであるから、両者の類似性の程度は高い。 申立人及びその商標ライセンシーは、爪の図柄を、様々な一般消費者向け商品、例えば、ジャケット、パーカー、帽子、Tシャツ、バックパック等に使用している(甲47、甲48 ほか)。 本件指定商品は上記のとおりであるから、本件商標は、申立人及びその商標ライセンシーが爪の図柄を実際に使用している一般消費者向けのライセンス商品と同一又は類似のものに使用されるものであることが明らかである。 本件指定商品の最終的な需要者は一般消費者を多く含むものであり、通常の需要者の注意力の程度は高いものとはいえない。 加えて、先に詳述したとおり、爪の図柄は、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして取引者、需要者の間で広く認識されていた。 よって、これらの事柄を総合して考察すれば、本件商標が本件指定商品に使用された場合、これに接した取引者、需要者は、申立人がその商品及び役務の出所識別標識として長年継続使用している爪の図柄と申立人を想起連想し、当該指定商品が申立人又は申立人と経済的又は組織的関係を有する者(例えば、申立人から商標使用許諾を受けたライセンシー)の取り扱いに係るものであると誤信することにより、その出所について混同を生じるおそれがある。 また、爪の図柄は、申立人の商品及び役務の代表的出所識別標識として、その製造販売に係るMONSTERブランドのエナジードリンクの全ての個別製品に使用されていることに加えて、申立人から商標使用許諾を受けた者の製造販売に係るアパレル製品、かばん類、帽子等の各種ライセンス商品、申立人の支援を受けている世界的に有名なアスリート及びチームが競技会で着用又は使用するスポーツウエア、運動用具等に付されており、また、これらに係る大量の模倣品が水際で輸入差止めされる程度まで国内外で高い人気を獲得するに至っている。 このような事情の下で、爪の図柄を容易に想起連想させる本件商標が使用された場合は、2002年から現在に至る申立人による継続的使用と営業努力によって申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されるに至っている爪の図柄の出所表示力が希釈化するおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当することが明らかである。 第4 当審の判断 1 引用商標の周知性について (1)申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査(インターネット情報)によれば、次のとおりである。 ア 申立人は、米国の飲料メーカーであって、我が国においてはアサヒ飲料を通じて2012年(平成24年)5月にエナジードリンク「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー)」及び「MONSTER KHAOS(モンスターカオス)」の販売を開始し、その販売量は同年9月には累計100万箱を超え、12月には累計157万箱となった(甲7~甲9 ほか)。 イ 申立人は、我が国において2013年(平成25年)5月に「MONSTER ENERGY ABSOLUTELY ZERO(モンスターアブソリュートリーゼロ)」(甲10)、2014年(平成26年)8月に「MONSTER ENERGY M3(モンスターエナジー M3)」(甲59)、同年10月に「MONSTER COFFEE(モンスターコーヒー)」(甲60)、2015年(平成27年)7月に「MONSTER ENERGY ULTRA(モンスターウルトラ)」(甲101 ほか)、2017年(平成29年)6月に「MONSTER ENERGY THE DOCTOR(モンスターロッシ)」(甲256 ほか)、2018年(平成30年)4月に「MONSTER CUBA-LIBRE(モンスターキューバリブレ)」(甲323 ほか)、2019年(平成31年)4月に「MONSTER PIPELINE PUNCH(モンスターパイプラインパンチ)」(甲360 ほか)の販売を開始し、製品によってはリニューアルした製品を販売した(甲127、甲128 ほか)(以下、これら商品と上記アの商品をまとめて「申立人商品」という。)。 ウ 申立人商品のうち、「MONSTER ENERGY」、「MONSTER KHAOS」(2016年(平成28年)5月から)、「MONSTER ENERGY ABSOLUTELY ZERO」、「MONSTER ENERGY M3」、「MONSTER ENERGY ULTRA」、「MONSTER ENERGY THE DOCTOR」及び「MONSTER PIPELINE PUNCH」の容器には、別掲5のとおりの商標(色彩が異なるものを含む。以下「別掲5商標」という。)又はこれとともに別掲2ないし別掲4の爪の図柄の商標(以下「申立人商標」という。)が表示されている(甲7、甲10、甲59、甲101、甲130、甲257~甲263、甲357 ほか)。 また、「MONSTER COFFEE」の容器にはその中央に別掲5商標の上段のデザイン化された「MONSTER」の文字部分(以下「MONSTERロゴ」という。)と「COFFEE+ENERGY」の文字が2段に表示され、「MONSTER CUBA-LIBRE」の容器には、「MONSTERロゴ」が表示されており、さらにこれらの文字とともに申立人商標も表示されている(甲60、甲324 ほか)。 エ 申立人は、我が国で開催される各種のスポーツ競技会、イベントにおいて、看板、ユニフォーム、車体など多種多様なものに、別掲5商標又はこれと共に申立人商標を表示している(甲73~甲80、甲82 ほか)。 オ 我が国において、別掲5商標又はこれとともに申立人商標が表示されたステッカー、衣類、帽子、ヘルメットなどが販売されている(甲47、甲48、甲98 ほか)。 カ 平成25年7月以降、我が国の税関において、申立人の商標権(国際登録第1048069号など)を侵害する疑いがある貨物(帽子、ショートパンツ、Tシャツなど)が多数発見されている(甲169~甲224)。 キ JMR生活総合研究所による消費者調査 No.196「エナジードリンク(2014年(平成26年)7月版)」によれば、ブランド認知率の1位は「レッドブル・エナジードリンク」で45%、2位が「モンスターエナジー」で31%であった(甲311)。また、同消費者調査 No.232「エナジードリンク(2016年(平成28年)8月版)」でも、ブランド認知率の1位は「レッドブル・エナジードリンク」であり、2位は「モンスターエナジー」であった(甲312)。 ク 飲料総研の調査によれば、我が国における2013年(平成25年)のエナジードリンクの出荷数は約950万ケース(1ケース30本換算)であり、首位のレッドブルが550万ケース、2位のモンスターエナジーは240万ケースであった(甲317 ほか)。 ケ ジャストシステムによるエナジードリンクに関する調査(2014年(平成26年)4月)によれば、認知度が高い商品の1位は82.8%の「RedBull」、2位は47.6%の「MONSTER ENERGY」であった(甲319)。 コ JMR生活総合研究所による消費者調査データ No.269「エナジードリンク(2018年(平成30年)5月版)」には、「モンスター、レッドブル、リアルゴールド 寡占化すすむエナジードリンク市場」のタイトルの下、「今回の調査では、『リアルゴールド(日本・コカコーラ)』『レッドブル・エナジードリンク(レッドブル・ジャパン)・・・』『モンスターエナジー(アサヒ飲料)』の3ブランドがほとんどの項目で上位3位を独占した。」の記載がある(職権調査:https://www.jmrlsi.co.jp/trend/mranking/02-drink/mranking269.html)。 また、同消費者調査データ No.293「エナジードリンク(2019年(令和元年)5月版)」には、「リアルゴールド、レッドブル、モンスターエナジー。3強上位独占」のタイトルの下、「エナジードリンクの市場は、2桁の伸びの後に、2016年(平成28年)は対前年比5%増、2017年(平成29年)は同じく8%増とやや落ち着いたものの、依然として成長を続けている。」の記載がある(職権調査:https://www.jmrlsi.co.jp/trend/mranking/02-drink/mranking293.html)。 サ 申立人及びアサヒ飲料は、本件商標の登録出願の日前から、申立人商品のキャンペーンに係るニュースリリース、ポスター、ウェブサイト等において、申立人商品の画像、別掲5商標、「モンスターエナジー」の文字若しくはこれらの文字とともに申立人商標を表示又は掲載している(甲69、甲71、甲101、甲112、甲113、甲115、甲118、甲119、甲124 ほか)。 (2)上記(1)のとおり、申立人及びアサヒ飲料は、我が国において、2012年(平成24年)5月からエナジードリンク「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER KHAOS」の販売を開始し、その後現在まで、計9種の申立人商品を販売するとともに、各種のスポーツ競技会、イベント及びキャンペーンなどを通じ、申立人商品の広告宣伝を行っていたこと、2013年(平成25年)のエナジードリンクの出荷数約950万ケースのうち、申立人商品の出荷数は240万ケースで第2位であったこと、申立人商品の認知度が2014年(平成26年)において、その数値は31%と47.6%と差異はあるものの、いずれの調査でも第2位であったことが認められ、2016年(平成28年)の認知度はその数値は不明であるものの2位であったと推認できることに加え、2018年(平成30年)及び2019年(令和元年)の調査において、いずれも申立人商品はエナジードリンクで3強の一つとされ、また、エナジードリンクの市場は2017年(平成29年)において成長を続けているとされていることを併せみれば、申立人商品は、本件商標の登録出願の日(平成31年1月28日)前から、登録査定日(令和2年6月4日)はもとより現在においても継続して、我が国のエナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものと判断するのが相当である。 そして、申立人商品は、そのほとんどの容器の中央に、「MONSTER ENERGY」の文字が別掲5のとおりの態様で表示されていること、及びニュースリリース、各種記事などにおいて「MONSTER ENERGY」「モンスターエナジー」と表示され、「モンスターエナジー」ブランドと称されていることから、「MONSTER ENERGY」及び「モンスターエナジー」の文字は、いずれも本件商標の登録出願の日前から、登録査定日はもとより現在においても継続して、申立人及びアサヒ飲料の業務に係る商品(エナジードリンク)を表示するものとして、エナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものといえる。 しかしながら、申立人商品の広告宣伝は、各種のスポーツ競技会、イベント及びキャンペーンなどを通じて行われているものの、老若男女を問わず幅広い需要者層が目にする機会の多い一般的なメディアを通じたものとはいえないばかりか、我が国における申立人商品の清涼飲料に対する市場占有率等も確認することができないこと等を総合的に判断すると、申立人商品は、幅広い需要者層を有する一般的なアパレル商品の分野においてまでも、取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたとまでは認めることができない。 また、申立人商標は、ニュースリリース、ポスター、ウェブサイト、販促用商品等において、「MONSTER ENERGY」若しくは「モンスターエナジー」又は別掲5商標とともに表示又は掲載されているように、常に当該文字等とともに表示等されていることからすれば、これに接する需要者は、そのような場合に限って、申立人商標を、申立人及びアサヒ飲料の業務に係る商品(エナジードリンク)を表示するものとして認識するというべきである。 さらに、申立人商標は、申立人商品の容器に「MONSTER ENERGY」の文字とともに表示されてはいるものの、申立人商標のみが表示されている商品は見当たらない。 そうすると、申立人商標は、「MONSTER ENERGY」若しくは「モンスターエナジー」又は別掲5商標と関連なく、単独で表示された場合には、需要者において申立人に係るエナジードリンクを表示するものとして理解されるとはいい難い。 したがって、申立人商標のみでは、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていると認めることはできない。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について 申立人は、本件商標は、引用商標2及び引用商標3との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当すると主張しているので、本件商標と引用商標2及び引用商標3との関係について、以下検討する。 (1)本件商標について 本件商標は、別掲1のとおり、上端部から下方向に向かって延びる細くとがった先端部を有し、若干長さが異なる細長い帯様図形5本を、中央の図形を最も長くし、下方先端部が接近するように若干カーブさせながら縦方向に並べ、その下方に、極小の水滴様図形3つをほぼ水平に並べ、その下中央にやや大きな水滴様図形1つを並べた構成からなるものであり、その5本の細長い帯様図形の輪郭は滑らかではなく、不規則な凹凸を有するものである。 このような構成からなる本件商標は、構成全体をもって特徴的な図形を表したものと認識されるものであり、また、当該図形は、特定の事物等を表すものとして認識されているというような事情は見いだせないことから、これより特定の称呼及び観念は生じないものである。 (2)引用商標2及び引用商標3について 引用商標2及び引用商標3は、別掲3及び別掲4のとおり、上端に左向きの突起を設け、下向きに幅が徐々に細くなる不規則な凸凹上の輪郭を有するかぎ裂き状の長さの異なる帯状図形を、3本縦方向に平行に配置してなる図形であって、黒の色彩又は黒地に緑の色彩を施してなるものである。 そして、引用商標2及び引用商標3は、上記1のとおり、我が国において周知著名な商標と認めることはできず、特定の事物等を表すものとして認識されているというような事情も見いだせないことから、これより特定の称呼及び観念は生じないというべきである。 (3)本件商標と引用商標2及び引用商標3との比較について 本件商標と引用商標2及び引用商標3とは、本件商標が、不規則な凹凸を有する細長い帯様図形を5本有するのに対し、引用商標2及び引用商標3は、かぎ裂き状の帯様図形が3本であること、本件商標は、5本の帯様図形の下方先端部が接近するように若干カーブしているのに対し、引用商標2及び引用商標3は、3本のかぎ裂き状の帯様図形が縦方向に平行に配置されるという差異があり、また、本件商標は、下方に、極小の水滴様図形3つをほぼ水平に並べ、その下中央にやや大きな水滴様図形1つを並べたものを有するのに対し、引用商標2及び引用商標3は当該図形を有しないという差異がある。 そうすると、本件商標と引用商標2及び引用商標3とは、上記した構成上の明らかな差異を有するものであるから、構成全体から受ける印象は顕著に異なるため、対比して観察した場合はもとより、両者を時と所を異にして離隔的に観察した場合であっても、外観において、十分に区別し得るものである。 (4)小括 したがって、本件商標と引用商標2及び引用商標3とは、上記のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)申立人商標の周知性について 上記1のとおり、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものである。 (2)本件商標と申立人商標との類似性の程度 本件商標と申立人商標とは、上記2(3)と同様に、非類似の商標であって、別異の商標であるから、類似性の程度は高いとはいえない。 (3)出所の混同を生ずるおそれについて 上記(1)のとおり、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないことに加え、上記(2)のとおり、本件商標と申立人商標の類似性の程度は高いとはいえないことから、本件商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして申立人商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、ほかに同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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2020-900215

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