商標異議申立
2020-900212
フォルケホイスコーレ
- 審判番号
- 2020-900212
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2019-054460
- 登録番号
- 商標登録第6258013号(T6258013)
- 請求日
- 2020年08月30日
- 審決日
- 2021年06月03日
- 公報発行日
- 2021年10月29日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】一般社団法人IFAS
- 【異議申立人】前田 正志
- 【異議申立人】一般社団法人 フォルケホイスコーレ協会
- 【異議申立人代理人】佐藤 勝
- 審判長/審判官
- 審判長 岩崎 安子
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 小田 昌子
- 分類
- T1651.11 -ZC (W4143) / T1651.13 -ZC (W4143) / T1651.14 -ZC (W4143) / T1651.272-ZC (W4143)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法43条の3第2項商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第1項第4号、商標法第3条第1項第1号、商標法第4条第1項第16号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
登録第6258013号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
登録第6258013号商標の指定役務中、第41類「語学学校における教育,専門学校における教育,予備校・学習塾における教授,カルチャースクールにおける教授,小学校・中学校・高等学校・大学における教育,幼稚園における教授,学校における教育,留学のための受け入れ学校に関する情報の提供,学校に関する情報の提供,試験の企画・運営又は実施,試験の採点・集計又は評価,資格の認定又は付与,技芸・スポーツ又は知識の教授」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定役務についての商標登録を維持する。
理由
【理 由】
第1 本件商標
本件登録第6258013号商標(以下「本件商標」という。)は、「フォルケホイスコーレ」の片仮名を標準文字で表してなり、平成31年4月18日に登録出願、第41類及び第43類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、令和2年5月18日に登録査定、同年6月9日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由
1 登録異議申立1の理由
登録異議申立人1(以下「申立人1」という。)は、本件商標について、商標法第3条第1項第4号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。
本件商標は、「フォルケホイスコーレ」の片仮名を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、「フォルケホイスコーレ」は、デンマーク王国を発祥とする成人教育機関であり、戦前より「国民高等学校」との訳語が用いられ、その後1990年代より「フォルケホイスコーレ」という片仮名を用いた訳語が広く一般的に普及し、現在では特に北欧への留学や日本国内での同様の教育機関の設置、関連するセミナーやイベントの開催、各種関連情報の提供などについて日本国政府を含め広く使用されている。
そうすると、本件商標は、商標法第3条第1項第4号の「ありふれた(略)名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」にあたり、本件商標をその指定役務に使用しても、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第4号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
2 登録異議申立2の理由
登録異議申立人2(以下「申立人2」という。)は、本件商標について、商標法第3条第1項第1号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第17号証を提出した。
(1)商標法第3条第1項第1号は、「その商品の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」については商標登録を受けることができない旨定めているところ、辞書・辞典において、「フォルケホイスコーレ」はデンマーク語の“folkehojskole”(合議体注:「folkehojskole」の7文字目の「o」にはストロークが付されている。以下同じ。)の音読みに仮名文字を充てたものであり、デンマーク語の“folkehojskole”は、“国民高等学校”という意味として記載されている一般的な語であるから、フォルケホイスコーレは普通名称である。
また、デンマークにおけるフォルケホイスコーレは全寮制の北欧独自のスタイルで進められている大人向けの教育機関であり、単位などの取得はできないものの文化や体育、伝統、技芸などの分野での専門的な知識を教授する学校である。
(2)「フォルケホイスコーレ」の文字はデンマークを発祥とする寄宿制成人教育プログラム若しくはその教育機関を指す普通名称であり、本件商標を成人教育プログラム若しくはそのような教育機関に用いた場合には、商標法第3条第1項第1号に該当し、それ以外の指定役務に使用した場合には、役務の内容について誤認混同が生ずるため、第4条第1項第16号に該当する。
第3 本件商標に対する取消理由
当審において、商標権者に対し、「本件商標の登録異議の申立てに係る指定役務中、結論掲記の指定役務について、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、その登録を取り消すべきものである。」旨の取消理由を令和3年2月4日付けで通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。
第4 商標権者の意見
商標権者は、上記第3の取消理由の通知に対して、指定した期間を経過するも何ら意見を述べていない。
第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号について
(1)本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり「フォルケホイスコーレ」の片仮名を標準文字で表してなるものである。
ところで、別掲に示すとおり、デンマークには「folkehojskole」という、19世紀に同国を発祥とする、試験や成績評価がなく資格の付与もない全寮制の成人向け教育システム(及び同施設)があり、当該「folkehojskole」は「hojskole」(合議体注:「hojskole」の2文字目の「o」にはストロークが付されている。以下同じ。)と略称されていること、我が国においては、上記「folkehojskole」は「フォルケホイスコーレ」、「hojskole」は「ホイスコーレ」と表され、早くは1993年から近年までそれらを紹介等する書籍、新聞などが少なくないこと、早くは1994年から近年まで、上記施設が留学先や研修先等として紹介されていること、1998年から2002年まで、上記教育システムを採用した合宿形式のセミナーが開催されていること及び「宇和島版フォルケホイスコーレ」、「瀬棚フォルケホイスコーレ」、「国見ホイスコーレ」、「日本農業実践学園」などのように、デンマークの上記教育システムを採用した事業、施設が計画又は運営されていることが認められる。
そうすると、「フォルケホイスコーレ」及び「ホイスコーレ」の文字は、本件商標の登録査定時において、「(デンマークにおける)試験、成績評価がなく資格の付与もない全寮制の成人向け教育システム(及び同施設)」を表する語として、少なくとも教育に係る取引者の間に認識されているものと判断するのが相当である。
そして、本件商標の構成文字「フォルケホイスコーレ」は、上記のとおり「(デンマークにおける)試験、成績評価がなく資格の付与もない全寮制の成人向け教育システム(及び同施設)」を意味するものとして、教育に係る取引者の間に認識されている「フォルケホイスコーレ」の文字と同一の文字である。
(2)商標法第3条第1項第3号該当性について
上記(1)からすれば、本件商標は、結論掲記の指定役務との関係において、「(デンマークにおける)試験、成績評価がなく資格の付与もない全寮制の成人向け教育システム(及び同施設)」を認識させるものであるから、本件商標は、その登録査定時において、これをその指定役務中、教育に係る役務と認められる第41類に属する結論掲記の指定役務について使用するときは、これに接する取引者をして、該文字を「(デンマークにおける)試験、成績評価がなく資格の付与もない全寮制の成人向け教育システム(及び同施設)」を用いた役務や、同教育システム(及び同施設)に関する情報の提供であること、すなわち役務の質を表示したものと認識させるにすぎないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、その登録査定時において、これをその指定役務中、結論掲記の指定役務について使用するときは当該役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものと認識させるにすぎないものであって、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであり、自他役務識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 商標法第3条第1項第1号について
商標法第3条第1項第1号は、「その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」と規定しているところ、本件商標は、上記1のとおり、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、「(デンマークにおける)試験、成績評価がなく資格の付与もない全寮制の成人向け教育システム(及び同施設)」程の意味合いを容易に理解し、認識するものであるとしても、当該事実のみをもって、普通名称として本号に該当するものではないから、本件商標は、商標法第3条第1項第1号に該当しない。
3 商標法第3条第1項第4号について
商標法第3条第1項第4号は、「ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」と規定しているところ、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、「(デンマークにおける)試験、成績評価がなく資格の付与もない全寮制の成人向け教育システム(及び同施設)」程の意味合いを容易に理解し、認識するものであるとしても、当該事実のみをもって、ありふれた「名称」として本号に該当するものではないから、本件商標は、商標法第3条第1項第4号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第16号について
本件商標は、その指定役務中、結論掲記の指定役務について商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、提出された証拠からは、本件商標をそのいずれの指定役務について使用しても、役務の質について誤認を生ずるおそれがあるということはできないから、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。
5 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定役務中、結論掲記の指定役務については、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
また、本件登録異議の申立てに係るその余の指定役務については、本件商標の登録を取り消すべき理由がないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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