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商標無効審判

2020-890078

タコヤキコーボー

審判番号
2020-890078
法域
商標
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
商願2016-046024
登録番号
5883054
請求日
2020年10月22日
審決日
2022年01月14日
公報発行日
2022年10月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社 三光食品
  • 【請求人代理人】安達 友和
  • 【請求人代理人】八神 真由
  • 【被請求人】山口 滋巳
  • 【被請求人代理人】茅島 真吾
審判長/審判官
  • 審判長 佐藤 淳
  • 審判官 平澤 芳行
  • 審判官 大森 友子
分類
T112 .13 -Y (W30) / T112 .16 -Y (W30)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項3号商標法3条1項6号商標法46条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第5883054号商標の商標登録無効審判事件について,次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第5883054号商標(以下「本件商標」という。)は,「たこ焼工房」の文字を標準文字で表してなり,平成28年4月22日に登録出願,第30類「たこ焼き,たこ焼きソース,たこ焼き用の粉」及び第41類「たこ焼きに関する知識の教授,たこ焼きに関するセミナー・研修会・講習会の企画・運営又は開催及びこれらに関する情報の提供」を指定商品及び指定役務として同年7月28日に登録査定,同年9月16日に設定登録されたものである。 第2 請求人の主張 請求人は,本件商標の指定商品及び指定役務中,第30類「全指定商品」についての登録を無効とする,審判費用は,被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を審判請求書及び答弁に対する弁駁において要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第72号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 請求の理由 本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同項第6号に該当するものであるから,同法第46条第1項第1号の規定により,その登録を無効にすべきものである。 (1)商標法第3条第1項第3号及び同項第6号について 本件商標は,「たこ焼工房」の文字を書してなるところ,「工房」の文字部分は,本来,「美術家や工芸家などの仕事場。アトリエ」を意味する語であるが,近年(本件商標の査定時を含む)では,食品業界(すなわち食品を提供する分野)においても職人的な技法により商品の付加価値を付けるような工夫をすることが行われ,このような「商品の製造場所・販売場所」を例えば「パン工房」,「菓子工房」などと称することが一般的に行われているところであり,たこ焼についてもたこ焼き店等で,上記と同様に商品にそのような工夫を凝らしていることを表すというような意味合いで「たこ焼き工房」,「たこ焼工房」,「たこやき工房」及び「蛸焼工房」の文字を「たこ焼きの製造場所・販売場所」の意味で普通に使用されている(甲3~甲26,甲64~甲69)。 そうすると,本件商標をその指定商品及び指定役務中「たこ焼き,たこ焼きソース,たこ焼き用の粉」に使用しても,商標全体として「たこ焼きの製造場所・販売場所」という単に商品の製造・販売場所を表示するにすぎないものであり,あるいは,そのような製造場所で製造された商品であることを表したものと認識されるにすぎず,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標である。(甲27~甲61,甲70)。 したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同項第6号に該当する。 (2)本件無効審判請求に至るまでの経緯の説明 請求人は,平成6年5月30日に,愛知県岡崎市を所在地として設立した,たこ焼き,たい焼き等和風ファーストフードの製造販売やたこ焼き専門店のチェーン及びフランチャイズ展開を事業内容とする株式会社であり,平成11年(1999年)1月に屋号を「蛸焼工房」に変更した(甲62)。 請求人は,第43類において,図案化された「蛸焼工房」商標(別掲,登録第4653322号,以下「請求人商標」という。)についての商標権を有する。請求人商標を商標登録出願したのは,本件商標の商標登録出願より14年早い平成14年4月22日である。 請求人は,平成30年2月9日に被請求人から最初の通知書を受けた。被請求人は,請求人が被請求人の本件商標に係る商標権を侵害している旨の通知をし,本件商標の使用許諾の交渉を要求したが,請求人は,同11年より請求人商標を使用しており,使用時期及び使用店舗数等より先使用権を有するものと信じ,また被請求人とは商圏も異なるから,使用許諾の交渉には一切応じずにいたところ,被請求人より同31年1月に商標権侵害訴訟(差止請求及び損害賠償請求)を起こされた。 その後,当該訴訟に係る裁判が続く中,請求人は,請求人商標の使用を中止したのであるが,被請求人は損害賠償請求金額を拡張してきていることから,商標登録無効審判を請求するものである。 なお,請求人商標は,毛筆で描いたような円形の図形を有し,これにより請求人商標は自他商品等識別力を有すると考えており,また,「蛸焼工房」の文字部分についても,本来的に自他商品等識別力はないものの,長年の使用により,また,40店舗を超えるチェーン展開により,少なくとも店舗を展開する愛知県,岐阜県,静岡県,三董県,滋賀県,京都府において自他商品等識別力を備えるに至っていると信じていたものである。 一方,本件商標は単なる標準文字からなるため,上述したとおり自他商品等識別力を有さない。 2 弁駁における主張 (1)本件商標の構成について 「焼」の文字を「やき」と読むことは一般的であり(乙1,乙2,甲71),「たこ焼」の文字から「タコヤキ」以外の「タコショウ」などといった称呼が生じるとは認め難く,「たこやき」の称呼のみが生じる。 また,食料品の加工の分野において「工房」の語が「製造場所,販売場所」を表すものとして普通に使用されている実情がある(甲34~甲61)。 そして,被請求人は,「たこ焼き」は「パン」や「菓子」のように,他と隔離された製造場所で,職人的な技法により付加価値を付けて工夫するような商品ではなく,また「ラーメン」のように,職人のような調理師が1つ1つ調理する食品ではないと主張しているところ,被請求人のウェブサイト(甲72)においても,自分のことを「たこ焼き職人 山口滋巳」と呼んでいること等から,「たこ焼き」は「パン」や「菓子」と同様に,職人的な技法により付加価値を付けて工夫するような商品性を有し,また,「ラーメン」と同様に職人のような調理師が1つ1つ調理する食品性を有する。 「たこ焼き工房」等の文字に他の商標が併記されているのは,「たこ焼き工房」等の文字に出所表示としての機能がないためであり,「たこ焼き工房」等の文字自体は,たこ焼きの「製造場所・販売場所」の意味合いで普通に使用されている。 「たこ焼工房」と「たこ焼工房」及び「蛸焼工房」を区別する理由はなく,これらの店舗は,全国で少なくとも30店舗の実例がある(甲3~甲26,甲65~甲69)。よって,「たこ焼工房」の語が「たこ焼きの製造場所・販売場所」との意味で普通に使用されていないとはいえない。 (2)拒絶例について 本件商標においては商標審査基準の改定第10版や第11版と改定第12版との相違は,本件商標の登録の違法性に影響を与えるようなものではない。 (3)「○○工房」の登録例について 請求人は,「工房」の文字が,商品の製造場所,販売場所等を表すものとして普通に使用されている実情を踏まえ,普通名称「たこ焼」と「工房」を組み合わせた本件商標「たこ焼工房」をその指定商品及び指定役務中「たこ焼き,たこ焼きソース,たこ焼き用の粉」に使用しても,商標全体として「たこ焼きの製造場所・販売場所」を表示するにすぎないものであり,あるいは,そのような製造場所で製造されたたこ焼きであることを表したものと認識されるにすぎず,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であると主張しているのであり,商品の普通名称を含まない「地名+工房」の登録例があるからといって,本件商標が直ちに商標法第3条第1項第3号にも同項第6号にも該当しないということにはならない。 さらに,「普通名詞+工房」の登録例については,これらの商標は,その指定商品を取り扱う業界において,商品の品質や商品の製造,販売場所を表示するものとして,取引上普通に使用されている事実が発見されなかったため登録になったものであり,本件商標とは事案を異にする。 (4)「商品の産地」について 本件商標に「たこ焼きの製造場所・販売場所」という意味合いが生じた場合には,直ちにその指定商品「たこ焼き」の製造・販売場所を直接的かつ具体的に表示するものとして認識される。 なお,仮に本件商標が商標法第3条第1項第3号に該当しない場合であっても,同項第6号に該当する。 第3 被請求人の主張 被請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を令和3年3月10日差出及び同年8月12日付け審判事件答弁書において要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第73号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 本件商標の構成について 本件商標は被請求人による造語であり,「たこ焼」と「工房」を組み合わせた構成で,強い識別力を持つ。 「たこ焼」の語は商品「たこ焼き」を間接的に暗示させるが,一般的に使用されている語ではなく,普通名称とはいえない。「たこ焼」の文字から「たこやき」の称呼のみが生じるわけではない(乙1)。 「たこ焼」の語は,看板やのぼり等に使用される例があるものの,一般需要者である消費者が普通に使用することはない。したがって「たこ焼」の語は普通名称ではない。 一方「工房」の語は「美術家や工芸家などの仕事場。アトリエ」の意味であり,「製造場所・販売場所」の意味は生じない(乙2)。 特に「たこ焼き」は客の目の前で大量の商品を素早く焼き上げて販売する,といった形態を取ることが多く,「パン」や「菓子」のように,他と隔離された製造場所で,職人的な技法により付加価値を付けて工夫するような商品ではないため,「工房」の語から直ちに「製造場所・販売場所」の意味を想起させることはあり得ない。また,たこ焼き業界において,「たこ焼き工房」等の文字は,併記された他の商標とともに単なる出所表示として使用されているだけであり,請求人の主張するような「製造場所・販売場所」の意味合いで普通に使用されている事実はなく,少なくとも「たこ焼工房」を使用している店舗は数店舗であるから,「たこ焼工房」の語が「たこ焼きの製造場所・販売場所」との意味で普通に使用されているとはいえない。さらに他の食品において「工房」の語が「製造場所・販売場所」の意味で使用されている事実があったとしても,「ラーメン」のように,職人のような調理師が1つ1つ調理する食品と一度に大量製造する「たこ焼き」を同様に判断するのは妥当ではなく,それぞれの指定商品との関係を個別・具体的に判断されるべきものであるから,他の食品業界での事情をたこ焼き業界に当てはめて判断することはできない。 以上より,商品「たこ焼き」を暗示させる「たこ焼」と,「たこ焼き」の印象とは相反する印象を持つ「工房」の語をあえて使用し組み合わせた本件商標は強い識別力を有する。 2 拒絶例について 請求人が挙げた拒絶例は,「普通名称+工房」の構成をとるものであり,上述のとおり,本件の商標は「普通名称+工房」の構成ではないため,構成が異なっている。 請求人は,「普通名称+工房」の拒絶例が多数あることを主張しているが,請求人が挙げた例は,全て「平成26年改正法」より前のものが適用され,審査基準も商標審査基準改訂第12版より前のものが適用されている。したがって本件商標とは,判断時期及び適用法が異なるため,これらの拒絶例を根拠に本件商標が無効であるとする請求人の主張は誤りである(乙6~乙62)。 3 「商品の産地」について 一般に「商品の産地・販売地」とは,少なくとも,当該商品に関する地理的名称若しくは当該商品に関する地理的記述であることを要するものと理解されるものであるところ,「工房」の文字自体にはそのような要素を見出すことはできない。したがって仮に本件商標に「たこ焼きの製造場所・販売場所」という意味合いが生じたとしても,直ちにその指定商品「たこ焼き」の製造・販売場所を直接的かつ具体的に表示するものとしては認識されず,商品の特徴を直接的に表示したものでもない。 4 経緯の説明について 「請求人適格」については,本件商標による裁判の被告である事実を述べれば十分に認められるものであり,経緯の詳細は不要である。それにもかかわらず,本来秘密事項である和解交渉の詳細まで記載し,被請求人を一方的におとしめる記述は,不当な方法で心証を悪化させることを意図する悪質なものといわざるを得ない。 5 令和3年8月12日付け答弁書における主張 (1)「焼」の読みについて 「焼」そのものから「やき」の読みが生じる場合は,人名などの特殊な場合に限られ,常用漢字の使用法としては,認められていない。 (2)「たこ焼」の表記について 「看板やのぼり」はコストの削減を主目的として,できるだけ文字数を減少させるという特殊な事情が存在する。こうした特殊な事情を考慮せず,「たこ焼」が普通名称であるとする請求人の主張は,明らかな誤りである。 (3)「工房」の意味について 「工房」について「製造場所,販売場所」の意味は生じないとしているのは,一般的な語句の意味合いとしてのことである(乙2)。一般的ではない意味合いを生じるのは,その分野において「工房」が「製造場所,販売場所」を表すものとして普通に使用されている特別な実情がある場合のみである。 (4)「たこ焼き」と「工房」の関係について 「たこ焼き職人」や「一球入魂」のような表記を用いただけで,「たこ焼き」に対し「職人的な技法により,付加価値を付けて工夫するような商品性」が生じるはずがない。「職人」と名乗れば「職人的な技法」を使用したことになり,「一球入魂」の表記を用いれば「1つ1つ調理し,付加価値をつけて工夫することになる」などという請求人の主張は,根拠が一切ない。 (5)出所表示について 前述のように「工房」の語の本来の意味合いは「美術家や工芸家の仕事場」であるから,これらの店舗名のみから「たこ焼き工房○○」について「たこ焼きの製造場所,販売場所の○○」という意味合いが,直ちに生じるとは考えられない。店舗名や店舗名が記載された看板等は,その商品を生産・販売する特定の者を表示する出所表示として使用されており,「商品の産地・販売地を示す」ものではない。 したがって「たこ焼き工房○○」の店舗名及びその看板等を根拠に「たこ焼き工房」等が「たこ焼きの製造場所・販売場所」の意味合いで普通に使用されているとする請求人の主張は明らかな誤りである(乙35,乙50,乙63,乙64)。 (6)「たこ焼き工房」,「たこ焼工房」,「蛸焼工房」の使用例(以下「請求人の提示する使用例」という。)について 請求人は,「たこ焼き工房」,「たこ焼工房」,「蛸焼工房」を区別する理由がない,と主張しているが,商標法第3条第1項第3号及び同項第6号の適用は,出願に係る商標の識別力を判断するものであり,類似商標の存在をもって適用を判断されることはない。本件商標は「たこ焼工房」であり,これに類似する「たこ焼き工房」及び「蛸焼工房」の使用例がどれほど多くても,「たこ焼工房」の使用例が少ない以上,本件商標が「普通に使用されている」とはいえないのである。 また,グルメサイト「食ベログ」によれば,たこ焼き店は全国で約6000店舗ほどあり,当該サイトでの検索にヒットしない店舗もあることから,たこ焼き店はさらに多く存在しているものと予想されるが,請求人の提示する使用例は30店舗ほどであり,全体の0.5%に満たない(乙65)。しかも,本件商標及び被請求人店舗は,多くのメディアに取り上げられており,少なくとも近畿圏において十分な知名度を有していたため(乙66,乙67),使用例として挙げられた店舗の中には,本件商標を模倣していたものも少なからず含まれているものと推定される。 また請求人の提示する使用例の多くは,検索エンジンの検索上位にはヒットせず,店舗のウェブサイトさえ持っていない。さらに情報検索サイト「iタウンページ」で「たこ焼き工房」「たこ焼工房」「蛸焼工房」の店名で検索をしたところ,請求人の提示する使用例は,ほとんどヒットしなかった(乙68)。 したがって,そもそも請求人の提示する使用例はその件数が極めて少なく,一般需要者が,「たこ焼き工房○○」の店舗名と接することは稀であり,接したとしてもそれが本件商標の模倣である可能性が高いことも鑑みれば,「たこ焼き」業界において,「工房」の語が「たこ焼きの製造場所,提供場所」の意味合いで普通に使用されていたとはいえない(乙69,乙70)。 (7)旧法(旧審査基準)で拒絶された商標の登録例について 旧法及び旧審査基準で拒絶された商標であっても,後日の出願によって登録され得ることから,請求人が提示した拒絶例は,本件商標に適用することはできない(乙71)。 (8)「商品の産地」について 審査基準第12版によれば「商品の産地・販売地」について,特に地理的名称についての詳細が記載されているところ,「商標法第3条第1項第3号及び同項第6号」が想定している商品の産地・販売地は,地理的名称を含むものを想定していることが伺える(乙72,乙73)。 第4 当審の判断 請求人が本件審判を請求する利害関係を有することについては,当事者間に争いがなく,また,請求人は被請求人によって,商標権侵害訴訟が提起されているものであるから,請求人が本件審判を請求する利害関係を有するものと認める。 以下,本案に入って審理する。 1 「たこ焼工房」の文字について 本件商標は,「たこ焼工房」の文字を標準文字で表してなるところ,構成中の「たこ焼」の文字は,その語尾に送り仮名の「き」の文字を有していないとしても,「溶いた小麦粉にゆでたタコを刻んで入れ,型に流して球状に焼いたもの。」である「たこやき(蛸焼(き))」(大辞林第四版)を容易に看取させるものであり,また,「工房」の文字は「美術家や工芸家などの仕事場。」(広辞苑第六版,乙2)の意味を有する文字である。 そうすると,これらを一連に書した「たこ焼工房」の文字からは「たこ焼きの仕事場」ほどの意味合いを認識させるというのが自然である。 しかしながら,当該意味合いは漠然としており,本件商標が直ちにその指定商品及び指定役務中「たこ焼き,たこ焼きソース,たこ焼き用の粉」の産地,販売地を表示するものとは認められない。 2 両当事者の提出した証拠について 請求人の提出した証拠において,店名中に「たこ焼き工房」,「たこ焼工房」,「たこやき工房」及び「蛸焼工房」等の文字を含む,たこ焼きを販売する店舗は,奈良県,滋賀県,福岡県,兵庫県,大阪府,長崎県,東京都,岐阜県,京都府,愛知県,静岡県,熊本県,岡山県,高知県,北海道において30件ほどである(甲3~甲26,甲65~甲69)。 一方,「食ベログ」のサイトによれば,ジャンルを「たこ焼き」とする店舗は2021年(令和3年)6月2日現在,全国で6083店舗ほどである(乙65)ところ,当該数は本件商標の登録査定時においても同じ程度であったと推認できる。 そうすると,店名中に「たこ焼き工房」,「たこ焼工房」,「たこやき工房」及び「蛸焼工房」等の文字を含む,たこ焼きを販売する店舗は,全国に30件ほどしかなく,それに加えて,たこ焼きに関連する6083店舗のうち,「たこ焼き工房」,「たこ焼工房」,「たこやき工房」及び「蛸焼工房」を使用している数の30件は,全体のわずか0.5%ほどであり,決して多いものということはできない。 さらに,請求人の提出した各号証を検討しても,本件商標の登録査定時において,「たこ焼工房」の文字が,本件商標の指定商品の製造場所あるいは販売場所等を表示するものとして,取引上普通に使用されていると認めるに足りる証拠は見いだせなかった。 3 商標法第3条第1項第3号及び同項第6号について 上記1及び2より,本件商標は,これをその指定商品及び指定役務中,第30類「たこ焼き,たこ焼きソース,たこ焼き用の粉」について使用したときには,これに接する取引者,需要者が,漠然と「たこ焼きの仕事場」ほどの意味合いを想起する場合があるとしても,具体的な商品の製造場所あるいは販売場所等を表示するものと認識するとはいえない。 また,「たこ焼工房」等の文字は,自他商品の識別標識としての機能が生じないほどまでに店名として多数使用されているものとも認められず,本件商標に接する取引者,需要者が,何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるとはいえない。 したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同項第6号に該当しない。 4 まとめ 以上のとおり,本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同項第6号のいずれにも該当するものでなく,その登録は,同条の規定に違反してされたものではないから,同法第46条第1項の規定に基づき,その登録を無効とすることはできない。 よって,結論のとおり審決する。

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