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商標異議申立

2020-685007

デルントクリンリンタイ、デルンドウオルンルンタイ、デルン、デラン、トクリンリンタイ、ドウオルンルンタイ

審判番号
2020-685007
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
—
請求日
2020年10月30日
審決日
2022年03月11日
公報発行日
2022年09月30日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】DELUN TIRE CO., LTD
  • 【異議申立人】ピーティー. インダストリ カレット デリ
  • 【異議申立人代理人】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
審判長/審判官
  • 審判長 小松 里美
  • 審判官 榎本 政実
  • 審判官 豊田 純一
分類
T1651.261-Y (W12) / T1651.262-Y (W12) / T1651.263-Y (W12) / T1651.271-Y (W12)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

国際商標登録第1466514号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

国際商標登録第1466514号商標の商標登録を維持する。

理由

第1 本件商標 本件国際登録第1466514号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおりの構成よりなり、2019年1月31日に国際商標登録出願、第12類「Casings for pneumatic tires; solid tires for vehicle wheels; automobile tires; treads for retreading tires; inner tubes for pneumatic tires; pneumatic tires; adhesive rubber patches for repairing inner tubes; repair outfits for inner tubes; tires for vehicle wheels; tires for two-wheeled vehicles.」を指定商品として、令和2年6月16日に登録査定され、同年8月21日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由に該当するとして引用する登録第5681854号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2に示すとおりの構成よりなり、平成25年10月15日に登録出願、別掲3に記載のとおりの第12類及び第28類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同26年6月27日に設定登録されたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第26号証を提出した。 1 具体的理由 (1)商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標の構成について 本件商標は、レタリングが施された欧文字「DELUN」と中国語の文字(4文字)を、横線を介して上下二段に横書きしてなり、全構成文字は右にやや傾けた太字の態様である。 本件商標の構成中の「D」の文字は、特徴的なレタリングが施されており、右から左にカーブした三日月様の部分と片仮名の「レ」字様部を組み合わせてなるものであり、「DELUN」の語は、一般の辞書等に載録がないため、一種の造語であると考えられる。 下段の中国語のうち、2文字目及び3文字目は「輪」の意味であり「輪胎」はタイヤの意味である。 よって、下段の中国語は、本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)である「DELUN TYRE」を中国語で表示したものと推測し得るが、一般的な日本人の中国語の認識レベルでは当該文字から特定の観念を看取するとはいえない。 そうすると、本件商標の構成中の「DELUN」の文字部分を要部と認識し、取引者、需要者は、当該欧文字部分を捉えて取引に資するとみるのが相当であるから、本件商標は、その構成中の「DELUN」の欧文字に相応して、「デルン」、「デラン」又は「デリュン」の称呼が生ずるものである。 イ 引用商標の構成について 引用商標は、欧文字「DELIUM」の構成文字全てを右にやや傾けた太字で横書きしてなる。 引用商標の構成中の「D」の文字は、特徴的なレタリングが施されており、右から左にカーブした三日月様の部分とそのカーブの内側に黒点を組み合わせてなり、「DELIUM」の語は、「古代アテナイの北西部のBoeotiaにあった海港“デリオン”」(リーダーズ・プラス英和辞典)の意味を有する語であるとしても、一般的に親しまれている語とはいえないため、特定の観念を生じないというのが相当である。 そうすると、引用商標は、「DELIUM」の欧文字に相応して、「デリウム」又は「デリュム」の称呼が生ずるものである。 ウ 本件商標と引用商標との類否について (ア)外観 本件商標と引用商標とを比較するに、本件商標の要部である「DELUN」の欧文字と引用商標「DELIUM」は、ともに語頭の3文字が「DEL」であること、及び、最後から2番目の文字が「U」であることを共通にするため、本件商標の要部である「DELUN」の文字中、4字が引用商標と共通し、配置順も同じである。 また、本件商標の要部「DELUN」の欧文字と引用商標「DELIUM」の語頭の「D」は、特徴的なレタリングが施されており、ともに左上から始まる細い線が徐々に太くなりながら右にカーブし、左下で終わる右から左にカーブした三日月様を描いている点でも共通する。 そして、両商標の「D」の文字は、左側が開放されている点においても共通する。 なお、引用商標の構成中には、本件商標にはない「I」の文字を有しているが、「I」の文字は、前後の文字の縦線と一体化しやすく視覚的に全体に与える影響が小さい。 そして、全構成文字が右にやや傾けた太字の態様であるため、「LU」と「LIU」の部分が近似した視覚的印象を与える。 また、語尾に「N」と「M」の違いがあるとしても、両文字は外観上紛らわしく近似しており、本件商標を構成する5字のうち4字が引用商標と共通し、「D」の文字に共通する特徴的なレタリングを施し、全構成文字が右にやや傾けた太字の態様という、その構成全体において共通するものであるから、デザインの構成が軌を一にするものといえ、看者に近似した印象を与えるとみるのが相当である。 (イ) 称呼 本件商標から生じる称呼はその欧文字部分に対応した「デリュン」の称呼が生じ得る。 一方、引用商標からは「デリュム」の称呼が生じ得る。 そうすると、両商標は3音という短い音構成において、称呼識別上重要な語頭の2音「デリュ」が共通し、語尾において「ン」と「ム」の音の差異を有する。 しかし、「ン」と「ム」の音は他の音に比較して極めて弱い鼻音で、かつ、近似の音であり、称呼の識別上、印象の弱い語尾に位置する点を考慮すれば、両称呼を一連に称呼するときは、その語調、語感が近似し、互いに聴き誤るおそれがあるというべきである。 (ウ)観念 本件商標と引用商標とは、ともに特定の観念を有しないものであるから、観念上は比較することができない。 (エ)小括 以上より、本件商標と引用商標とは、両者を時と場所を異にしてみた場合において、互いに近似した印象を与え、外観及び称呼上、相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。 エ まとめ 以上のとおり、本件商標は引用商標と外観及び称呼において共通する類似の商標であり、本件異議申立に係る指定商品も同一又は類似である。 したがって、本件商標を指定商品に使用した場合には、引用商標と相紛れるおそれがあり、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第15号について 引用商標の権利者である申立人は、自身が製造販売するタイヤ関連製品のブランドとして世界各国で本件商標と同一の商標を登録し、使用している(甲7)。 申立人は、インドネシアで創立され、世界で広く営業する著名なタイヤメーカーである。1956年にゴムぞうりメーカーとして創立され、1970年にタイヤ及びタイヤチューブの製造を開始後は、50年以上にわたり、自転車、自動二輪車、産業・農業用トラックやバスのタイヤ等様々なタイヤを製造し、世界50か国以上で流通、販売されている。 全世界での売上高は、2018年には1,580万ドル(約16億円)を超える。 そして、引用商標を付した商品は、長年にわたって世界中で製造・販売され、世界中で販売促進のための広告や展示会や博覧会等での展示がなされてきた。 国際的な博覧会及びトレードショーヘの参加実績として、タイヤエキスポアジア2017 (シンガポール)、マニラオートサロン2018、マニラオートショー2018 (フィリピン)、オートメカニカドバイ2018及び2019(ドバイ)、パナマタイヤエキスポ2016、Pnewshow2016(ブラジル)、アートスピード2016 (マレーシア)、EICMAミラノモーターサイクルトレードショー、タイヤエキスポアフリカ、台北国際サイクルショーなどがある(甲8~甲17)。 また、インターネットでも広く広告されておりウェブサイトや様々なソーシャルネットワークサービスにおいても引用商標が付された多数の製品が広告宣伝されている(甲18~甲26)。 このことから、引用商標は、申立人の商品の出所識別標識として世界中で著名であると考えられる。 そうすると、ウェブサイトやソーシャルメディアを国境の垣根なく活用する昨今の商取引事情においては、その著名商標は我が国においても、取引者、需要者の間にも周知されていると容易に推定できる。 そして、本件商標の商標権者及び申立人はいずれもタイヤメーカーであって、その需要者、取引者は一致しているから、引用商標と外観及び称呼が類似する本件商標をタイヤ及びタイヤチューブ等の関連商品に付して販売等した場合、当該商品は申立人の取り扱いに係る商品であると誤認、混同させるおそれがある。 本件商標は、引用商標に類似する商標であるが、仮に、「チューブ修理用粘着性ゴムパッチ、チューブ修理用具」が引用商標に係る指定商品と非類似であるとして、商標法第4条第1項第11号に該当しない場合であっても、引用商標は、タイヤ及びタイヤチュープ等を取り扱う業界分野において申立人の出所を表す標識として周知であるから、引用商標と類似する本件商標を使用した場合、需要者、取引者は、当該商品を申立人の取り扱いに係る商品であると誤認、混同するおそれがある。 したがって、本件商標は、その指定商品に使用された場合には、需要者が、本件商標を申立人の取り扱いに係る商品であると誤認し、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。 第4 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について 本件商標は、別掲1のとおり、上段の左側に、欧文字「D」をモチーフとした幾何図形(以下「本件図形」という。)とその右側に、ややデザイン化した「ELUN」の文字を横書きにし、中間に横線を介して、下段に中国語の文字を4文字横書きしてなるものである。 そして、本件商標の構成中、下段に配された中国語の文字は、我が国において、一般に慣れ親しまれた文字とはいえないため、これより、直ちに、特定の称呼や特定の意味合いを認識するものとは認められないものであり、また、中央に位置する横線は、単に上段と下段とを分けるために配されたものと容易に認識できるものであるから、特定の称呼や特定の意味合いを生じないものである。 そうすると、本件商標は、上段に配された本件図形及び「ELUN」の文字を本件商標の要部として抽出し、当該上段部分のみを引用商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。 したがって、本件商標の構成中、上段の「ELUN」の文字より「エルン」の称呼を生じ、また、本件図形を欧文字「D」を図案化したものと捉え、一連に「DELUN」の文字を表したものと理解される場合は、「デルン」の称呼を生じるものであり、「ELUN」及び「DELUN」は、いずれも辞書等に載録された成語とは認められないから、特定の観念は生じないものである。 (2)引用商標について 引用商標は、別掲2のとおり、構成の左側に、欧文字「D」をモチーフとしたと思しき幾何図形(以下「引用図形」という。)とその右側に「ELIUM」の文字を横書きにしてなるものである。 そして、引用商標の構成中、「ELIUM」の文字よりは「エリウム」の称呼を生じ、また、引用図形を欧文字「D」を図案化したものと捉え、一連に「DELIUM」の文字を表したものと理解される場合は「デリウム」の称呼を生じるものであり、「ELIUM」及び「DELIUM」は、いずれも辞書等に載録された成語とは認められないから、特定の観念は生じないものである。 (3)本件商標と引用商標の類否について ア 外観について 本件商標の構成全体と引用商標の構成全体とは、中国語の文字の有無や、本件図形と引用図形の構成が明らかに相違するものであるから、これらの外観は、明瞭に相違するものである。 また、本件商標の要部「ELUN」又は「DELUN」の文字と引用商標の「ELIUM」又は「DELIUM」の文字は、いずれの比較においても構成文字数が明らかに相違し、「I」の文字の有無及び語尾の「N」と「M」とが相違することから、両者は、視覚的な印象が著しく相違し、外観上、判然と区別し得るものである。 イ 称呼について 本件商標の要部から生じる「エルン」又は「デルン」の称呼と引用商標から生じる「エリウム」又は「デリウム」の称呼とは、本件商標は3音、引用商標は4音という短い音構成にあって、両者は、語頭の「エ」又は「デ」の音を共通にするものの、それ以外の音は全て異なるものであるから、全体の構成音数及び音構成の相違並びに相違する音の音質や音感の相違により、これらを一連に称呼した場合、称呼上、明確に聴別し得るものである。 ウ 観念について 本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することができない。 エ 小括 以上から、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないものであるとしても、外観において判然と区別し得るものであり、称呼において明確に聴別し得るものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に考察すれば、両者は、相紛れるおそれのない非類似の商標であて、別異の商標というべきものである。 その他、本件商標と引用商標とが類似するというべき特段の事情は見いだせない。 (4)まとめ したがって、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、同一又は類似するものであるとしても、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。 2 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)引用商標の周知著名性について 申立人の提出した証拠によれば、申立人は、自身が製造販売するタイヤ関連製品のブランドとして世界各国で引用商標と同一の商標を登録していること(甲7)、国際的な博覧会及びトレードショーヘ参加していること(甲8~甲17)が確認できる。 しかしながら、申立人は、全世界での売上高は、2018年には1,580万ドル(約16億円)を超える旨主張するが、これを裏付ける証拠は提出されていない。 また、申立人は、引用商標が付された多数の製品がインターネットでも広く広告宣伝されている旨主張し、甲第18号証ないし甲第26号証を提出しているが、これらの広告を我が国の需要者が、どの程度閲覧したのかも不明であり、広告の掲載期間等も明らかではなく、その宣伝広告の費用も確認することができない。 その他、我が国における市場占有率等の量的規模を客観的な使用事実に基づいて、引用商標の使用状況を把握することができず、その周知性の程度を推し量ることができないものであって、引用商標が、我が国において、申立人の取り扱いに係るタイヤ関連製品を表示するものとして、周知著名性を有していると判断し得る証拠は提出されていない。 そうすると、申立人が提出した全証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が申立人の取り扱いに係るタイヤ関連製品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 (2)本件商標と引用商標との類似性の程度について 上記1のとおり、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であり、別異の商標というべきであるから、類似性の程度は低いというべきである。 (3)本件商標の指定商品と申立人の取り扱いに係るタイヤ関連製品との関連性について 本件商標の指定商品と申立人の取り扱いに係るタイヤ関連製品とは、同一又は類似の商品であると認められるものであるから、密接な関連性を有するものである。 (4)出所の混同のおそれについて 上記(3)のとおり、本件商標の指定商品と申立人の取り扱いに係るタイヤ関連製品とは、密接な関連性を有するものであるとしても、上記(1)のとおり、引用商標は、申立人の取り扱いに係るタイヤ関連製品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができず、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標とは、別異の商標というべきであるから、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者が引用商標を想起、連想して、当該商品を申立人の取り扱いに係るタイヤ関連製品、あるいは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の取り扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標ということはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 3 まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、その登録は、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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