商標拒絶査定不服審判
2020-650031
- 審判番号
- 2020-650031
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 1387220
- 請求日
- 2020年07月02日
- 審決日
- 2021年11月24日
- 公報発行日
- 2022年07月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】PEM Management, Inc.
- 【請求人代理人】飯田 伸行
- 【請求人代理人】飯田 和彦
- 審判長/審判官
- 審判長 半田 正人
- 審判官 大森 友子
- 審判官 水落 洋
- 分類
- T18 .13 -Z (W06) / T18 .17 -Z (W06)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項、商標法第5条第5項、商標法第3条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
国際登録第1387220号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。
結論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年)11月13日に国際商標登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
2018年(平成30年)10月 9日付け :暫定拒絶通報
2019年(令和 元年) 6月 6日付け :意見書及び手続補正書の提出
2019年(令和 元年) 9月 2日効力発生:基礎効力一部終了通報
2019年(令和 元年) 9月11日付け :上申書の提出
2020年(令和 2年) 3月23日付け :拒絶査定
2020年(令和 2年) 7月 2日付け :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、「商標の詳細な説明」については、上記1の手続補正書により、別掲2のとおりに補正され、また、指定商品については、上記1の基礎効力一部終了の通報があった結果、第6類「Metal fasteners, namely, metal clinch fastener for mounting two sheets or panels in perpendicular orientation.(参考訳:金属製締め具、すなわち垂直配向に二枚のシート又はパネルを取付けるためのクリンチファスナー)」とされたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
(1)本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなるところ、実線と破線が連結して表されており、標章の立体的な形状を特定することができないから、標章の形状及びその位置を特定することができない。
(2)本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなるところ、指定商品を取り扱う業界において、本願商標と同様の機能を有する商品が各種の形状で取引されている実情があることからすれば、本願商標は、その指定商品において採択しうる形状の一つとして需要者に認識されるにすぎないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(3)請求人が提出した証拠によっても、本願商標は、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものとは認められない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備しない。
(4)本願商標に係る「商標の詳細な説明」は、別掲2に記載のとおりであるところ、実線による立体的形状と破線部分が、別掲1で表された標章のどの部分に該当するのか、明確に特定することができない。
したがって、本願商標は、商標法第5条第5項の要件を具備しない。
4 当審においてした審尋
審判長は、請求人に対し、別掲3に示すとおりの事実を提示した上で、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当する旨の見解を示した審尋を発し、期間を指定してこれに対する回答を求めた。
5 審尋に対する請求人の回答
請求人は、上記4の審尋に対し、指定期間を経過するも、何ら回答をしていない。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項柱書き及び同法第5条第5項該当性について
本願商標に係る標章の形状及びその位置については、「商標の詳細な説明」が、上記1により、別掲2のとおり補正された結果、特定されたものと認められる。
その結果、本願は、同法第3条第1項柱書き及び同法第5条第5項の規定の要件を具備するものとなった。
したがって、同法第3条第1項柱書き及び同法第5条第5項に係る拒絶の理由は解消した。
(2)商標法第3条第1項第3号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は、別掲1のとおりの凹部を有する6面体状の土台の凹部から上の部分及び当該土台につながってなる横向きの円柱からなる立体形状(以下「本願立体形状」という。)であって、本願立体形状が付されている位置は、上記6面体(土台部分)の凹部から下の部分であるという構成からなる位置商標であり、別掲2のとおり、「商標の詳細な説明」において、「クリンチファスナーの土台の上部分及び土台の上部分と繋がっている円形の横断面の立体的形状からなる。」とされており、第6類「Metal fasteners, namely, metal clinch fastener for mounting two sheets or panels in perpendicular orientation.」を指定商品とするものである。
そして、当該指定商品は、上記2の参考訳のとおり「垂直配向に2枚のシート又はパネルを取り付けるためのクリンチファスナー」であって、シート又はパネルを取り付けるための金具の一種であるところ、別掲3のとおり、当該商品を取り扱う業界においては、シート又はパネルを接合するための金具として、複数の形状からなる商品が取り扱われている事実が認められる。
また、請求人は、請求書において、本願商標の使用権者である「Penn Engineering and Manufacturing社」(以下「PennEngineering社」という。)の製品カタログから抜粋の「Fig.2」ないし「Fig.4」の商品の立体形状(別掲4)について、「競合他社は、第1号証のFig.2~Fig.4に示す形状及びその他のファスナー形状を任意にかつ自由に採用できます。」旨述べている。
そうすると、本願立体形状は、指定商品の形状の一類型を表したものと認識されるものであり、これに接する取引者、需要者には、商品等の機能の向上及び美観に資することを目的とする形状であって、商品の形状を普通に用いられる方法で表示されたことを認識させるにとどまるものと判断するのが相当である。
また、本願立体形状の付されている位置も、指定商品(クリンチファスナー)の土台部分の上部であると認められ、商品の付される位置を普通に用いられる方法で表示したにすぎないものである。
そうすると、本願商標は、その指定商品との関係おいては、商品の形状及びそれが一般的に付される位置を表したものと認識するにとどまるものであって、自他商品の識別標識として認識し得ないものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商品の形状及び当該形状を付す位置を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
イ 請求人の主張について
請求人は、本願商標は自他商品識別のために選択されたものであって、商品の美観に資する目的のために採用されたものではなく、また、需要者において美観上の理由による形状の変更又は装飾等と予測するものでもなく、いわば顕著な特徴を備えるものである旨主張する。
しかしながら、上記アのとおり、本願立体形状は、商品等の機能の向上及び美観に資することを目的として、採用されうる指定商品の形状の一類型といえるものであり、また、別掲5のとおり、我が国におけるPennEngineering社の製造販売に係る商品を取り扱う事業者において、本願立体形状と同一視できる垂直パネル取付けファスナーについて、「材料軽減・工程短縮・コスト削減に寄与すると同時にデザイン・外観の面でも優れた効果を発揮。」のように紹介している事実がある。
そうすると、本願商標は、商品等の機能の向上及び美観に資することを目的とする形状として採択されたものであるといわざるを得ない。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(3)商標法第3条第2項該当性について
請求人は、本願商標について、その使用がされた結果、請求人の取り扱うクリンチファスナーを表示する商標として、取引者及び需要者に広く認識されているため、本願商標が自他商品の出所識別標識としての機能を果たす旨主張し、その証拠方法として、当審において、第1号証ないし第5号証を提出している(なお、請求人は、原審においても第1号証ないし第5号証を提出しているが、当審において提出した証拠と同一と認められる。)。
しかしながら、当該第1号証ないし第5号証は全て外国語で記載されているものであって、その翻訳文の提出もないから、当該証拠をもって、請求人の主張が証されたものと認めることはできない。
また、請求人は、本願商標が、我が国において取引者、需用者において、どの程度認識されているかを客観的に把握できる証拠を提出しているとも認められない。
そうすると、請求人が提出した証拠からは、本願商標が、使用をされた結果、需用者が請求人の業務に係る商品であることを認識するに至っているとは認められない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものとはいえない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同条第2項の要件を具備するものではないから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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