商標取消審判
2020-300583
アアルアンドエムインテリアストア、アアルエムインテリアストア、アアルアンドエムインテリア、アアルエムインテリア、アアルアンドエム、アアルエム
- 審判番号
- 2020-300583
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2014-006431
- 登録番号
- 5685459
- 請求日
- 2020年08月27日
- 審決日
- 2023年01月23日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】吉川 稔
- 【被請求人】株式会社 R&MJaPan
- 【被請求人代理人】岸本 忠昭
- 【被請求人代理人】松下 ひろ美
- 【被請求人代理人】池田 智洋
- 審判長/審判官
- 審判長 小松 里美
- 審判官 豊田 純一
- 審判官 小林 裕子
- 分類
- T131 .1 -Z (W35)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第3号、商標法第2条第3項第6号、商標法第2条第3項第8号、商標法第2条第3項、商標法第50条第1項、商標法第50条、商標法第50条第2項、商標法第2条第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5685459号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第5685459号商標の商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5685459号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成26年1月30日に登録出願、第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電球類及び照明用器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,屋内用ブラインドの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,すだれの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,装飾用ビーズカーテンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,日よけの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,織物製いすカバーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,織物製壁掛けの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,カーテンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,テーブル掛けの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,敷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,壁掛け(織物製のものを除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、平成26年7月11日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録は、令和2年9月11日にされたものであり、この登録前3年以内の期間(平成29年(2017年)9月11日~令和2年(2020年)9月10日)を、以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。
2 令和2年12月9日付け審判事件弁駁書
(1)乙第1号証は、被請求人が運営する通販サイト「R&Mインテリアストア」の写しであり、1頁目の左上に、本件商標に含まれている「R&M図形」及び「R&M Interior Store」が一体となったロゴは掲載されているが、本件商標は掲載されていない。
乙第2号証は、上記通販サイト内のURLの出力プリントで、「PHスノーボール取扱説明書」の写しである。その表紙には、大きく本件商標が表示されている。当該取扱説明書には、作成時期は記載されていない。
乙第3号証は、上記「PHスノーボール取扱説明書」へのリンクが張られたページ(乙3の2)及びその前ページ(乙3の2)の出力プリントである。乙第3号証の2にある「取扱説明書はコチラにてご確認下さい。」をクリックすると、上記「PHスノーボール取扱説明書」(乙2)が表示されるとの主張がなされている。当該ページを含め、被請求人が提出したウェブサイトには、サイト作成又は掲載時期は記載されていない。
乙第4号証は、本件商標と同一の「R&M図形」が大きく印刷された段ボールと、上記「PHスノーボール取扱説明書」をプリントアウトしたものが何らかの商品の上に置かれた写真の写しである。
乙第5号証は、被請求人が「PHスノーボール ペンダントライト」の注文を受けて発行した2019年10月18日付け、同年12月11日付け及び2020年7月22日付け(いずれも課税適用日)お買い上げ明細書の写しである。
乙第6号証は、被請求人の陳述書である。
以上の証拠からは、被請求人が主張する本件商標の使用が立証されておらず、その理由は、以下のとおりであり、被請求人が本件商標を使用していると主張する上記の行為が商標法第2条第3項各号のいずれの行為に該当するのか明らかにされていない。
(2)仮に上記各号の行為に該当するとしても、被請求人が本件商標を使用していると主張する上記の行為が要証期間のものであることが立証されていない。
まず、通販サイトへの公表については、提出された出力プリントにウェブサイトの作成又は掲載年月日は記載されておらず、当該年月日を証明する別途証拠も提出されていない。
また、被請求人は、「平成26(2014)年10月頃に「PHスノーボール取扱説明書」(乙2)を作成し、本件商標については、この「PHスノーボール取扱説明書」の表紙に大きく表示されている。この「PHスノーボール取扱説明書」は、R&Mが運営する通販サイト「R&Mインテリアストア」(乙1)において公表されている」とし、上記通販サイト内のページ(乙3の2)の「この商品説明の第1頁の最下段における「取扱説明書はコチラにてご確認下さい。」をクリックすると、「PHスノーボール取扱説明書」が表示され」る、と主張している。
そして、使用時期については、「被請求人は、商品「PHスノーボール」を販売するに際し、その取扱説明書(乙2)に本件商標を表示し、この取扱説明書を平成26年10月頃に作成して通販サイト「R&Mインテリアストア」に掲載するとともに、この取扱説明書を「PHスノーボール」とともに同梱して顧客(購入者)に納品している。このことは、この取扱説明書のインターネット上のURL中に「2014」の数字が含まれており、この数字が、この取扱説明書が、2014年に作成されて通販サイトに掲載されたことを示している。「被請求人は、2014年10月頃から継続して「PHスノーボール取扱説明書」を使用しており、・・・」と主張する。
この主張内容は、被請求人代表者が陳述している内容と同一である(乙6)。
これに対して、請求人は、本審判請求前である2020年8月24日に、乙第3号証の2のURLを出力しておいたので提出する(甲3)。
ここには、被請求人が、2014年に掲載したと主張している「取扱説明書はコチラにてご確認下さい。」の表示はない。
すなわち、この時点(2020年8月24日)では「PHスノーボール取扱説明書」はインターネット上で公表されていない。加えて、The Internet Archiveのウェブサイトで保存されている上記のページも証拠として提出する(甲4)。
上記URLのページは、2018年2月7日、同年9月8日、同月9日、同年11月9日、同月10日、2019年1月10日、同年3月13日、同年5月13日が保存されている(甲4)。
これらのいずれにも、被請求人が主張している「取扱説明書はコチラにてご確認下さい。」の記載はない。
なお、被請求人が2014年に通販サイトに掲載して継続して使用していると主張している「PHスノーボール取扱説明書」の掲載ページは、The Internet Archiveのウェブサイトには全く記載がない(甲5)。
以上の証拠より、URL上の表示「取扱説明書はコチラにてご確認下さい。」の表示について時系列にまとめると、2018年2月7日、同年9月8日、同月9日、同年11月9日、同月10日、2019年1月10日、同年3月13日、同年5月13日(甲4)及び2020年8月24日(甲3)には、表示はなく(2020年8月26日審判請求)、同年10月26日には、表示がある(乙3の2)。
よって、被請求人が提出した証拠では、2014年に「PHスノーボール取扱説明書」を通販サイトに掲載した事実を全く立証できていないだけでなく、むしろ、本件審判請求直前の2020年8月24日まではなかった「取扱説明書はコチラにてご確認下さい。」の表示を、審判請求書受領後に通販サイトに追加し、「2014年に通販サイトに掲載した」と主張して提出したものが乙第3号証の2であるとみるのが自然である。
そして、被請求人は、2014年に通販サイトに掲載したことを主張するため、「2014」の数字を加えたURLを作成し、このURLの出カプリントであるとして乙第2号証を提出したと考えられる。
審判請求直前まで通販サイトに「取扱説明書はコチラにてご確認下さい。」の表示が存在していなかったことは証明されている(甲3、甲4)。
よって、被請求人が、2014年に通販サイトに掲載した証拠は明らかに偽造された証拠であるといわざるを得ない。
(3)被請求人は、お買い上げ明細書を3通提出して(乙5)、「PHスノーボール取扱説明書」が商品を収容した梱包箱に同梱されているから、本件商標を使用していると主張する。
しかしながら、被請求人は当該行為が商標法第2条第3項各号のいずれの行為に該当すると主張しているのか不明だが、被請求人が使用していると主張する指定役務「電球類及び照明用器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」のような小売役務の取引に当たっては、一般に、小売の対象となる商品を購入する前に目に触れる表示をもって自他役務の識別が行われるというべきであり、商品を購入した上で、商品の梱包箱を開いて商品と同梱されている取扱説明書をもって取引が行われるようなことは考え難い。
そうすると、「PHスノーボール取扱説明書」の表紙に記載された本件商標を小売役務の標識として用いられているものとはいい難く、数多ある小売役務を選択する目印にはなり得ないものといえる。
なお、乙第4号証は、単に被請求人の商品が収容されていると思われる梱包箱に「PHスノーボール取扱説明書」のプリントアウトしたものが置かれているだけなので、提出された全証拠から鑑みても、被請求人のいずれの主張も立証していない。
(4)被請求人は、この「PHスノーボール取扱説明書」の表紙に大きく記載された本件商標をもって使用していると主張しているが、通常、商品の取扱説明書の表紙には大きくその商品の形態が図として表されているものである。
本件商標の照明器具の図形は、商品である「PHスノーボール」の形態を表した図形であり、これを大きく取扱説明書の表紙に表示しても、需要者は商品の形態が表されていると認識するだけなので、「R&M図形」や「R&MInteriorStore」は出所表示と認識されても、「照明器具の図形」を含めた本件商標が、小売役務の標識として使用されているとはいえない。
(5)被請求人が提出した乙第2号証ないし乙第5号証には、被請求人が照明器具に「PHスノーボール」という商標を使用していることが記載されているが、照明器具に「PHスノーボール」を使用する行為は、LouisPoulsenA/Sが有している国際商標登録第1352457号「PH SNOWBALL」を侵害する行為である。
被請求人は「PHスノーボール取扱説明書」に本件商標を使用すると主張しているが、その使用は、違法な使用といえる。裁判例においても、違法な使用は、登録商標の正当な使用として考慮するに値しない、としており(昭和35年(行ナ)第41号)、本件の使用についても、違法な使用であり、この点からも、本件商標の正当な使用とはいえない。
(6)被請求人の提出に係る証拠によっては、本件商標は、要証期間に日本国内において、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、本件審判請求に係る指定役務について使用されていなかったものといわざるを得ない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第12号証(枝番号を含む。以下、枝番号を含む号証で枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出した。
1 令和2年10月26日付け審判事件答弁書
(1)株式会社R&MJaPanについて
被請求人である株式会社R&MJaPan(以下「R&M社」という。)は、各種照明器具、北欧家具、インテリア、デザイナーズ家具のリプロダクト製品などをインターネット販売している会社である(乙1)。
R&M社は、会社設立当初(2007年8月頃)から北欧照明器具類やインテリア商品などをインターネットを介して販売している。
(2)使用に係る商標について
R&M社は、照明器具を販売する際に本件商標、すなわち「R&Mのロゴマーク」と欧文字表記の「R&MInteriorStore」と「照明器具の図形」とを組み合わせた標章(以下「R&M照明マーク」という。)を使用している。
すなわち、R&M社は、本件商標を登録出願した平成26年(2014年)1月にR&M照明マークを作成し、商標登録された後の同年10月頃に「PHスノーボール取扱説明書」(乙2)を作成し、本件商標については、この「PHスノーボール取扱説明書」の表紙に大きく表示されている。
この「PHスノーボール取扱説明書」は、R&M社が運営する通販サイト「R&Mインテリアストア」(乙1)において公表されている。
通販サイト「R&Mインテリアストア」のカテゴリ欄「照明」における商品項目「ペンダントライト」をクリックすると、ペンダントライトの商品群が表示され(乙3の1)、この商品群のうちの上段の左から第2番目の商品「ポールヘニングセンPHスノーボール/ホワイト」をクリックすると、商品「PHスノーボール/ホワイト」の具体的な商品説明が表示され(乙3の2)、この商品説明の第1頁の最下段における「取扱説明書はコチラにてご確認下さい。」をクリックすると、「PHスノーポール取扱説明書」が表示される。
したがって、R&M社は、不使用取消の対象となっている本件商標を使用している。
(3)使用に係る役務について
R&M社は、照明器具を通販サイト「R&Mインテリアストア」を通して販売する際に、商品の取扱説明をするために「PHスノーボール取扱説明書」を見ることができるように掲載し、この「PHスノーボール取扱説明書」の表紙に本件商標(R&M照明マーク)を使用しているとともに(乙2)、照明器具を納品する際にも、梱包用のダンボール箱に照明器具(商品名:PHスノーボール)を収容した後に、その上に「PHスノーボール取扱説明書」を同梱して顧客に発送しており(乙4)、通販サイト「R&Mインテリアストア」を通しての照明器具の販売業務は、「電球類及び照明用器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に該当する。
したがって、R&M社は、不使用取消の対象となっている役務を行っている。
(4)使用時期について
R&M社は、商品「PHスノーボール」を販売するに際し、その取扱説明書(乙2)に本件商標を表示し、この取扱説明書を平成26年10月頃に作成して通販サイト「R&Mインテリアストア」に掲載するとともに、この取扱説明書を商品「PHスノーボール」とともに同梱して顧客(購入者)に納品している。
このことは、この取扱説明書のインターネットのURL中に「・・・2014・・・」の数字が含まれており、この数字が、この取扱説明書が2014年に作成されて通販サイトに掲載されたことを示している。
R&M社は、2014年10月頃から継続して「PHスノーボール取扱説明書」を使用しており、例えば、2019年10月18日(課税適用日)付け買い上げ明細書(乙5の1) 、同年12月11日(課税適用日)付けお買い上げ明細書(乙5の2)及び2020年7月22日(課税適用日)付けお買い上げ明細書に記載されているように、これらの年月日に商品「PHスノーボール」が販売され、「PHスノーボール取扱説明書」とともに注文者に発送された。
そして、この発送に際して、R&M社の代表取締役が陳述するように、商品を収容した梱包箱に「PHスノーボール取扱説明書」を同梱して発送している(乙6)。
したがって、R&M社は、要証期間に我が国において本件商標を使用している。
2 令和3年3月3日付け審判事件答弁書
(1)主張立証の追加
R&M社は、商標登録された後の平成26年(2014年)10月頃に、本件商標を全体に施した検品確認シートを作成し(乙7)、商品「PHスノーボールリプロダクト品」を梱包した梱包箱に貼付して本件商標を使用している(乙8)。
R&M社は、商品「PHスノーボールリプロダクト品」を中国から輸入し、輸入した商品を一つずつ検品してR&Mマークを付した梱包箱に収容して倉庫に保管している。
そして、顧客から注文があると、この倉庫に保管している梱包箱(検品済み商品が収容されているもの)を注文者に発送している。
R&M社におけるこの発送業務は、パート従業員や外国人研修生などが行っており、このような経験の少ない人でも発送業務を間違いなく行うことができるように、梱包箱に検品確認シートを貼付するようにしている。
この検品確認シートが貼付されている梱包箱、すなわち、本件商標が付された梱包箱は、検品済みのものであることを示し、検品確認シートの有無(すなわち、本件商標の使用の有無)によって、検品済みのものと未検品のものとを区別している。
また、この検品確認シートには、商品「PHスノーボールリプロダクト品」の図形が示されていることから、梱包箱に貼付されている検品確認シートの図形を確認することによって、梱包箱に収容されている商品を判別しており、この検品確認シートを用いることにより、商品の出荷時の作業の効率化を図ることができる一方、商品の購入者(顧客)にとっては、この検品確認シートを確認することにより、梱包された商品が検品済みの商品であることを確かめることができるとともに、受け取ったときに梱包箱の内容物を知ることができ、この検品確認シートは、商品取引の分野において販売者及び顧客にとって非常に役立つものとなっている。
(2)使用行為について
R&M社における商品「PHスノーボールリプロダクト品」のインターネットを利用した販売業務は、「電球類及び照明用器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に該当する。
そして、商品「PHスノーボールリプロダクト品」の梱包箱に同梱される「PHスノーボール取扱説明書」は、商品の取扱上の注意事項、商品の取付け方法、電球の取付け方法などが記載され、顧客(役務の提供を受ける者)にとって重要な書面であり、販売する商品と一体不可分の付属品となっており、この取扱説明書に本件商標を使用する行為は、商標法第2条第3項第3号の使用行為に該当する。
また、この取扱説明書は、商品若しくは役務に関する取引書類に該当し、これに本件商標を使用する行為は、商標法第2条第3項第8号に該当する。 さらに、検品確認シートは、中国から輸入した商品の検品済みを示すシートとして用いられ、このような検品確認シートを商品の梱包箱に貼付して使用することは、商標法第2条第3項第6号の使用行為、すなわち役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為に該当する。
この商標法第2条第3項第6号について、知的財産権法質疑応答集(発行所:第一法規出版株式会社)第3265頁に、「3項6号は役務の提供の対象物が役務の提供を受ける者の側に属するものである場合に、その対象物に商標を付する行為が使用となるものと規定している。例えば、自動車の修理又は整備(37類)の役務で修理又は整備が完了したことを示すために商標が付されている張り紙をその修理又は整備を依頼した顧客の自動車に張る行為、洗濯(37類)の役務で洗濯済みの顧客の被服を返却するために商標を表示した袋に入れること等がある。」と解説されている。
(3)要証期間における使用について
R&M社は、要証期間において商品「PHスノーボールリプロダクト品」の取扱説明書及び検品確認シートを継続して使用しており、例えば、この要証期間中である、2019年(令和元年)10月18日、同年12月11日及び2020年(令和2年)7月22日に、商品「PHスノーボールリプロダクト品」及びその取扱説明書を同梱した梱包箱に検品確認シートを貼付したものを注文者(顧客)に発送してこの商品を販売している。
(4)請求人の主張に対して
請求人は、照明器具に「PHスノーボール」を使用する行為は、「Louis Poulsen A/S」が有している国際商標登録第1352457号の商標権を侵害する行為であり、本件商標の使用は、違法な使用であると主張しているが、R&M社は、本件商標を相似形で拡大したものを商品説明書の表紙に使用し、また商品の梱包箱に貼付する検品確認シートについても相似形で拡大したものを使用しているものである。
請求人は、本件商標権者等ではなく、何ら権利を有しない個人であり、単なる個人のこのような主張は、認められるべきものではない。
加えて、本件審判事件は、商標法第50条第1項の規定による商標登録第5685459号取消審判事件であり、審理されるべき事項は本件商標についての使用事実が存在するか否かであり、このような観点から審理されるべきものであり、請求人の主張は認められない。
3 令和3年5月6日付け審判事件答弁書
(1)主張立証の追加
R&M社は、有限会社ラグホーム(以下「ラグホーム社」という。)の代表取締役(乙9)から依頼があったので、令和2年(2020年)4月1日に、商品「PHスノーボールリプロダクト品」を梱包した状態で貸し渡し、そのときに同氏から預り書を受け取った(乙10)。
このときの梱包箱には、商品「PHスノーボールリプロダクト品」が未組立ての状態で収容され、併せて取扱説明書も同梱されていたので、同氏は、取扱説明書を見ながら商品「PHスノーボールリプロダクト品」を組み立て、組み立てた商品「PHスノーボールリプロダクト品」は現在においてもラグホーム社の事務所内に展示されている(乙11の1)。
また、このときの梱包箱(乙11の2)及び取扱説明書(乙11の3)も残っていた。
この梱包箱には、乙第7号証と同じ検品確認シートが貼付され、この検品確認シートには、本件商標が大きく表示されていた(乙11の2)。
また、この梱包箱には、乙第2号証と同じ取扱説明書が同梱され、この取扱説明書の表紙には、本件商標が大きく表示されていた(乙11の3)。
これが事実であることを立証するために、ラグホーム社の代表取締役の陳述書を提出する(乙12)。
(2)使用行為について
R&M社は、商品「PHスノーボールリプロダクト品」を含む各種照明器具類について、インターネットを利用して販売しており、かかる販売業務は、「電球類及び照明用器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に該当する。
また、本件商標は、要証期間内である令和2年(2020年)4月1日に、商品「PHスノーボールリプロダクト品」をラグホーム社の代表取締役に貸し渡しており、この商品「PHスノーボールリプロダクト品」の貸渡しの際の梱包箱に同梱された「取扱説明書」は、商品の取扱上の注意事項、商品の取付け方法、電球の取付け方法などが記載され、顧客(役務の提供を受ける者)にとって重要な書面であり、販売する商品と一体不可分の付属品となるものであり、この取扱説明書に本件商標を使用する行為は、商標法第2条第3項第3号の使用行為に該当する。
また、この取扱説明書は、商品若しくは役務に関する取引書類に該当し、これに本件商標を使用する行為は、商標法第2条第3項第8号に該当する。
さらに、この商品「PHスノーボールリプロダクト品」の貸渡しの際の梱包箱に貼付された「検品確認シート」は、商品の検品済みを示すシートとして用いられ、このような検品確認シートを商品の梱包箱に貼付して使用することは、商標法第2条第3項第6号の使用行為、すなわち役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為に該当する。
(3)まとめ
以上のとおり、R&M社は、要証期間に日本国内において、本件審判請求に係る指定役務のうち「電球類及び照明用器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、本件商標を商標法第2条第3項第3号、同項第6号及び同項第8号の行為について使用したことは明らかであり、本件商標は取り消されるべきものではない。
第4 当審の判断
1 被請求人の立証責任
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、ア 要証期間に、イ 日本国内において、ウ 本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、エ 本件審判請求に係る指定役務のいずれかについての、オ 本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。
2 認定事実
被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証は、2020年10月22日に出力された「R&Mインテリアストア」と称する商標権者のウェブサイト(https://www.rmjp.net)の出力書面であり、1頁目には、別掲2のとおりの標章(以下「使用標章1」という。)とともに、「北欧照明、デザイナーズ家具通販【R&Mインテリアストア】の記載がある。
なお、上記出力書面には、被請求人が「PHスノーボール」と称する照明器具については掲載されていない。
(2)乙第2号証は、被請求人がWEBページで公開していると主張する「PHスノーボール 取扱説明書」であり、その表紙には、「PHスノーボール 取扱説明書」の記載の下、本件商標と構成を同一にする標章(以下「使用標章2」という。)が表示されている。そして、その内容は、「PHスノーボール」と称する照明器具について、取り扱い上の注意、定格、電球の取り付け方に関するものである。
なお、当該取扱説明書には作成日及び作成者の表記がなく、被請求人が出力日と主張する2020年10月22日は、要証期間外である。
(3)乙第3号証は、2020年10月22日に出力された「R&Mインテリアストア」(商標権者のウェブサイト)の「ペンダントライト」及び「ポールヘニングセンPHスノーボール/ホワイト」のページである。
「ポールヘニングセンPHスノーボール/ホワイト」のページ(乙3の2)には、「ポールヘニングセンPHスノーボール/ホワイト」と称する照明器具の画像が掲載され、商品の説明(カラー、サイズ、コード長さ、重量等)とともに「取扱説明書はコチラにてご確認下さい。」の記載がある。
(4)乙第4号証は、被請求人が、商品の梱包順序を示す写真の写しと主張するものであり、4枚の写真画像のうち、斜め上から撮影された写真画像には、包装箱の側面に別掲3のとおりの標章(以下「使用標章3」という。)が表示されている。
(5)乙第5号証は、2019年10月18日付け、2019年12月11日付け、2020年7月22日付けで「R&Mインテリアストア」が顧客宛に作成した「<R&Mインテリアストア>お買い上げ明細書」であり、購入された商品の商品名はいずれも「PHスノーボール ペンダントライト ホワイト ポールヘニングセン」である。
なお、上記明細書に記載されている「R&Mインテリアストア」のURLは「https://www.rakuten・・・」であって、商標権者のウェブストアである「R&Mインテリアストア」のURLとは異なるものであり、また、上記明細書の下部には「Rakuten」の表示がある。
(6)乙第6号証は、令和2年10月19日付けの商標権者の代表取締役が作成した陳述書であり、要するに、商標権者は照明器具等のリプロダクト製品をインターネット販売していること、その際に本件商標を使用していること、2014年頃「PHスノーボール 取扱説明書」を作成し、本件商標をその表紙に表示していること、当該説明書は「R&Mインテリアストア」(商標権者のウェブサイト)で公開していること、また、当該説明書を商品「PHスノーボール」に同梱して顧客に納品していることを内容として陳述している。
(7)乙第7号証は、被請求人が、梱包箱に貼付する「検品確認シート」のプリントアウトと主張するものであるが、本件商標と構成を同一にする標章が表示されているのみの書面であって、その他この書面が「検品確認シート」であることを示す記載はない。
(8)乙第8号証は、被請求人が、商品の梱包箱の保管状態などを示す写真のプリントアウトと主張するものであるが、当該写真画像には3個の梱包箱が配かれ、それらの箱の側面に何らかの書面が付されていることが確認できるのみであって、撮影日や撮影場所など詳細は不明である。
(9)乙第9号証は、ラグホーム社の履歴事項全部証明書である。
(10)乙第10号証は、2020年4月1日付けでラグホーム社が株式会社R&MJaPan宛に作成した「商品名 PHスノーボール」に関する「預り書」である。
(11)乙第11号証は、被請求人の主張によれば、照明器具の展示状態を示す写真の写し(乙11の1)、照明器具の梱包箱の写真の写し(乙11の2)、照明器具の梱包箱に同梱されていた取扱説明書の写真の写し(乙11の3)である。
(12)乙第12号証は、令和3年4月26日付けで作成されたラグホーム社の代表取締役による陳述書であり、「当該照明器具PHスノーボールですが、弊社のお得意様からの引き合いがありましたので、2020年4月1日に、お客様にデモストレーションする目的で株式会社R&MJaPanから当該照明器具を委託でお預かりし、その際、当該照明器具についての預り書に署名しました。」の記載がある。
(13)上記(1)ないし(12)によれば、商標権者は、2020年10月22日の時点において、「ポールヘニングセンPHスノーボール/ホワイト」と称する商品「照明器具」を、使用標章1を表示した自身のウェブサイトに掲載し、その商品の説明とともに当該商品の取扱説明書についてリンクを貼っていたことが推認できる。
しかしながら、上記ウェブサイトの情報は要証期間における内容とはいえないし、上記商品の取扱説明書が使用標章2を付した「PHスノーボール 取扱説明書」(乙2)であるという被請求人の主張を裏付ける証拠は見いだせない。
また、2019年10月、同年12月、2020年7月の時期に、商標権者は、顧客と商品「PHスノーボール ペンダントライト ホワイト ポールヘニングセン」について、Rakutenに設置した自身の「R&Mインテリアストア」内で取引を行ったことが推認できるものの、そのRakuten内の「R&Mインテリアストア」において、いかなる標章が表示されているかなどは主張、立証がされていない。
さらに、商標権者が「PHスノーボール」と称する商品を購入した顧客へ配送する際に、その梱包箱に使用標章3が表示されていることを示す証拠は、唯一、乙第4号証の画像のみであって、その他の証拠からは、梱包箱に使用標章3が表示されていることを示す証左は見いだせない。
加えて、被請求人は、上記梱包箱に「PHスノーボール 取扱説明書」を同梱したと主張するも、それを証するものは、商標権者の代表取締役による陳述のみであって、それ以外の客観的な裏付けはなく、これを主たる証拠として認めることはできない。
3 判断
(1)使用標章について
ア 本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、「照明器具図形」と「照明器具図形」の左下に「カップ様図形」を配し、「照明器具図形」の下、カップ様図形の右に「R&M Interior Store」の欧文字を横書きにしてなるものである。
イ 使用標章1について
使用標章1は、別掲2のとおり、「カップ様図形」の下に、「R&M Interior Store」の欧文字を横書きし、その下に「Life style Lab」の欧文字と「ライフスタイルラボ」の片仮名を横一列に記載したものである。
そうすると、本件商標と使用標章1は、「照明器具図形」の有無及び「Life stylelab」の欧文字及び「ライフスタイルラボ」の片仮名の有無において、明らかに相違するものであるから、使用標章1は、本件商標と社会通念上同一の商標とは認められない。
ウ 使用標章2について
使用標章2は、別掲1のとおり、「照明器具図形」とその左下に「カップ様図形」を配し、その右に「R&M Interior Store」の欧文字を配してなるものであるから、本件商標と構成を同一にするものである。
そうすると、使用標章2は、本件商標と同一のものといえる。
エ 使用標章3について
使用標章3は、別掲3のとおり、「カップ様図形」よりなるものである。
本件商標と使用標章3は、「照明器具図形」の有無及び「R&M Interior Store」の欧文字の有無において、明らかに相違するものであるから、使用標章3は、本件商標と社会通念上同一の商標とは認められない。
(2)使用行為について
被請求人は、商標権者は、要証期間に日本国内において、本件審判の請求に係る指定役務のうち「電球類及び照明用器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、本件商標を商標法第2条第3項第3号、同項第6号及び同項第8号の行為について使用した旨主張しているので、以下検討する。
ア 商標法第2条第3項第3号について
商標法第2条第3項第3号に該当する使用行為は、「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。)に標章を付す行為」である。
これを本件について検討するに、被請求人は、本件商標権者が運営するウェブサイト「R&Mインテリアストア」において使用標章1を付す行為や同ウェブサイトで購入した商品の梱包箱に使用標章3を付す行為が上記使用行為に該当すると主張するが、上記「R&Mインテリアストア」が要証期間に存在したことやその梱包箱に使用標章3が表示されていることを客観的に認めることはできないし、また、仮に、使用標章1が要証期間において上記ウェブサイトに、及び使用標章3が商品の梱包箱にそれぞれ付されていたとしても、使用標章1及び使用標章3は、上記(1)のとおり、本件商標と社会通念上同一の商標とは認めることはできない。
また、被請求人は、商品「PHスノーボール」を販売した際の梱包箱に同梱された「取扱説明書」は、商品の取扱上の注意事項、商品の取付け方法、電球の取付け方法などが記載され、顧客(役務の提供を受ける者)にとって重要な書面であり、販売する商品と一体不可分の付属品となるものであり、この取扱説明書に使用標章2を付す行為は、商標法第2条第3項第3号の使用行為に該当する旨主張するが、当該「取扱説明書」が、要証期間に存在し、当該使用行為がなされたことが明らかとはいえない。
そうすると、商標法第2条第3項第3号の使用行為があったと認めることはできない。
イ 商標法第2条第3項第6号について
商標法第2条第3項第6号に該当する使用行為は、「役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付す行為」であり、これを本件について検討しても、「役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物」に該当するものは見いだせない。
その他、被請求人は、本件商標を「役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物」に使用したことを証明していない。
なお、被請求人は、「検品確認シート」(乙7)は、商品の検品済みを示すシートとして用いられ、このような検品確認シートを商品の梱包箱に貼付して使用することは、商標法第2条第3項第6号の使用行為、すなわち、役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為に該当する旨主張するが、当該「検品確認シート」には、単に標章が表示されているのみであって、これが、「役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物」に当たるとはいえない。
そうすると、商標法第2条第3項第6号の使用行為があったと認めることはできない。
ウ 商標法第2条第3項第8号について
商標法第2条第3項第8号に該当する使用行為は、「商品又は役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは領布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」である。
被請求人は、商品「PHスノーボールリプロダクト品」の貸し渡しの際の梱包箱に同梱された「取扱説明書」は、商品又は役務に関する取引書類に該当すると主張するが、当該「取扱説明書」が取引書類の一種であるとしても、この「取扱説明書」の作成日、作成者、作成部数に係る事実は見いだせないし、これを頒布した事実も立証したとはいえないことから、「取扱説明書」の存在のみで上記使用行為を証明したとはいえない。
そうすると、商標法第2条第3項第8号の使用行為があったと認めることはできない。
(3)小括
その他、被請求人が提出した全証拠を総合してみても、要証期間に、商標権者が、本件審判の請求に係る指定役務について、本件商標(本件商標と社会通念上同一の商標を含む。)を使用している事実を見いだせない。
4 被請求人の主張について
被請求人は、商品「PHスノーボールリプロダクト品」をラグホーム社の代表取締役に貸し渡している旨主張し乙第9号証ないし乙第12号証を提出しているが、この「照明器具の貸し渡し」は、顧客の商品選択の便宜のために、販売する商品のレイアウト等を工夫したカタログの提供、例えばインテリア関連の商品の通信販売カタログ上の品揃えでは、TPOに応じた家具やカーテン、照明器具等を設置したときの状態を顧客が視認できるような、商品の掲載方法を工夫したカタログにより商品の選択の便宜を図ることには該当せず、これは、役務「照明器具の貸与」の範ちゅうの属する役務であって、本件審判の請求に係る指定役務の範ちゅうに属さないものである。
5 結論
以上のとおり、被請求人は、要証期間に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件審判請求に係る指定役務のいずれかについて、商標法第2条第3号各号に規定する使用行為を行ったことを証明していない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2020-300583