商標拒絶査定不服審判
2020-017481
- 審判番号
- 2020-017481
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2018-152454
- 請求日
- 2020年12月22日
- 審決日
- 2021年11月17日
- 公報発行日
- 2022年02月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アリナミン製薬株式会社
- 【請求人代理人】橘 哲男
- 【請求人代理人】佐藤 大輔
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 松江
- 審判官 鈴木 雅也
- 審判官 阿曾 裕樹
- 分類
- T18 .13 -Z (W05) / T18 .17 -Z (W05)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項、商標法第5条第4項、特許法第150条第5項、商標法第6条第1項、商標法第5条第1項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2018-152454拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、商標法第5条第4項に基づく「商標の詳細な説明」を別掲2のとおりに記載して、第5類「薬剤(農薬に当たるものを除く。)」を指定商品として、平成30年12月12日に色彩のみからなる商標として登録出願されたものである。
原審では、令和元年12月17日付けで拒絶理由の通知、同2年6月9日付けで意見書の提出、同年9月16日付けで拒絶査定されたもので、これに対して同年12月22日付けで本件拒絶査定不服審判が請求されている。
2 原査定の拒絶の理由(要旨)
(1)本願商標は、願書記載の商標及び商標の詳細な説明から特定される。
ところで、商品又は商品の包装に使用される色彩は、多くの場合、商品の魅力向上等のために選択されるものであって、商品の出所を表示し自他商品を識別するための標識として認識し得ない。
そうすると、本願商標は、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、商品又はその包装に通常使用される又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり、単に商品の特徴を普通に用いられる方法で表示するにすぎない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)本願商標は、出願人が使用する商標とは、白色部分の有無や色彩の配置において異なるから、本願商標を使用しているものとは認められない。
そのため、本願商標は、出願人により使用された結果、出願人の業務に係る商品を表示する商標として需要者間に広く認識されるに至ったものと認められないから、商標法第3条第2項の要件を具備しない。
3 当審における証拠調べ
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲3に掲げる事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、その結果を請求人に通知し(令和3年8月17日付け証拠調べ通知書)、意見を求めた。
4 証拠調べ通知書に対する請求人の意見
請求人は、上記通知書に対して、意見を提出していない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
ア 本願商標は、別掲1及び別掲2のとおり、黄色(CMYKの組合せ:C0,M0,Y100,K0)、白色(CMYKの組合せ:C0,M0,Y0,K0)、銀色(DIC621)、白色(CMYKの組合せ:C0,M0,Y0,K0)、青色(DIC2188)の色彩を、左から順に一定の割合(それぞれの色彩は、31.2パーセント、3.2パーセント、31.2パーセント、3.2パーセント、31.2パーセント)で配置した、色彩のみからなる商標である。
このように、本願商標は、5色の色彩(黄色、白色、銀色、白色、青色)を組み合わせた商標であって、その配置順序(左から横並び)や構成割合を特定しているものの、文字や図形と組み合わせたものではなく、商標を使用する際の形態や使用態様も特定されていない。
イ そして、商品やその包装の色彩又は色彩構成は、本来的には商品の出所を表示する目的を有するものではなく、また、現実の取引においても、商品やその包装には、外装色やその模様、図形、文字等を装飾する目的で様々な色彩が採択されており、構成全体としては、複数の色彩(「黄色」、「銀色」、「青色」、「白色」を含む。)を組み合わせて表示する商品が流通している実情がある(別掲3)。
ウ そうすると、本願商標は、その色彩の組合せは、商品やその包装において一般的に採択、採用されている彩色手法の範ちゅうにあるもので、その配置順序や構成割合も自他商品の識別標識として機能し得るような具体的な特徴を備えるものではないから、その指定商品について使用されたとしても、商品やその包装の美観を向上させる目的で採択された色彩との印象を与えるもので、商品の特徴(商品やその包装の色彩)を表示するにすぎない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項について
請求人は、証拠(請求人提出の参考資料1から参考資料16は、甲1から甲16と記載する。)を提出し、本願商標は、請求人による継続した使用により、自他商品の出所識別標識としての機能を獲得しており、商標法第3条第2項の要件を具備する旨を主張するため、以下検討する。
ア 証拠及び請求人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(ア)請求人は、一般用医薬品や健康食品などを主に取り扱う事業会社であって、「ベンザブロックプラスシリーズ」の3種類の商品(以下「請求人商品」という。)、すなわち、かぜの症状を緩和する医薬品「ベンザブロックSプラス」(鼻水・鼻づまりに)、「ベンザブロックLプラス」(のどの痛み・発熱に)、「ベンザブロックIPプラス」(発熱・さむけ・頭痛に)を製造、販売している(甲2~甲5)。
(イ)請求人商品の包装箱は、「ベンザブロックSプラス」は黄色、「ベンザブロックLプラス」は銀色、「ベンザブロックIPプラス」は青色を、外装の基調色として採択しているが、各商品の外装には、本願商標に相当する色彩の組合せ(5色の組合せ、配置順序、構成割合)は表示されていない(甲2~甲4)。
(ウ)請求人商品に係るテレビCMは、2016年から2019年を含む期間において継続的に放映されている(甲10~甲13)。
当該テレビCMの中には、請求人商品の紹介とともに、例えば別掲4のような態様で、3種類の請求人商品(黄色、銀色、青色)を、それぞれわずかに間隔を空けて(「白色」とは限らない。)、横並びで表示する映像も差し込まれているが、各色彩とそれぞれの商品の効能(鼻水、のど、発熱)を関連付けた表示がある(甲6~甲9)。
(エ)請求人商品に係る広告は、雑誌や新聞(2019年から2020年に発行されたものを含む。)に掲載されている(甲14~甲16)。
当該広告には、例えば別掲5のような態様で、3種類の請求人商品(黄色、銀色、青色)を、それぞれわずかに間隔を空けて、横並びで表示する画像が掲載されているが、各色彩とそれぞれの商品の効能(鼻、のど、熱)を強調する表示がある。
(オ)請求人商品の商品紹介をするウェブサイトやパンフレット(甲2~甲5)には、3種類の請求人商品(黄色、銀色、青色)が掲載されているものの、それら商品は必ずしも並べて表示されておらず、仮に並べる場合であっても本願商標とは異なる態様(「白色」の欠如、縦並び、異なる色彩割合)であるばかりか、各色彩とそれぞれの商品の効能(鼻、のど、熱)を強調する表示がある。
イ(ア)以上を踏まえて、請求人商品に係る色彩の使用態様について検討すると、3種類の請求人商品は、それぞれ異なる色彩(黄色、銀色又は青色)を外装の基調色として採択しているとしても、個別の商品の外装には、本願商標に相当する色彩の組合せ(5色の組合せ、配置順序、構成割合)は表示されていないから、本願商標と同一の商標(色彩の組合せ)が使用されていない。
(イ)また、請求人商品の広告やパンフレットでは、3種類の請求人商品(黄色、銀色、青色)を、わずかに間隔を空けて、横並びで掲載することで、本願商標とも共通する構成態様(「白」は積極的に表示されていない。)で色彩の組合せを表示する場合があるとしても、本願商標とは異なる態様で表示する場合も多く、色彩の組合せ(5色の組合せ、配置方法、構成割合)の表示態様も一貫していない。
(ウ)さらに、請求人商品の広告や商品紹介において、その色彩について言及するときも、それぞれの商品の効能(鼻、のど、熱)との関連が強調されているから、請求人商品のシリーズ内の効能に応じて色分けがされていると理解されるとしても、それら色彩の組合せが独立した出所識別標識として採択、使用されているとの印象を与えるとは直ちに考えにくい。
(エ)そうすると、請求人は、個別の請求人商品の外装において、本願商標と同一の商標(色彩の組合せ)を使用しておらず、広告等において、3種類の請求人商品を並置する際も、必ずしも本願商標と同一の態様における色彩の組合せ(5色の組合せ、配置方法、構成割合)が一貫して表示されていないばかりか、各商品の色彩についても商品の効能に応じた色分けとの印象を与えるにすぎないから、それに接する需要者の間において、請求人商品に係る色彩の組合せに係る認識や記憶は、抽象的かつ散漫なものとなる。
そのため、請求人商品に係る使用実績によっては、請求人商品の販売実績や広告宣伝実績にかかわらず、本願商標に係る色彩の組合せが、請求人に係る独立した出所識別標識として、需要者の間において認識、記憶されるとは評価し難い。
したがって、本願商標は、請求人商品について使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているとはいえないから、商標法第3条第2項の要件を具備しない。
ウ 請求人の主張について
(ア)請求人は、本願商標を請求人商品の製品パッケージに表示しており、一貫してその色彩を使用しているため、本願商標から請求人が製造、販売する風邪薬であると容易に想起、認識できる旨を主張する。
しかしながら、本願商標は、上記(1)アのとおり、5色の色彩(黄色、白色、銀色、白色、青色)を組み合わせた商標であって、その配置順序や構成割合が特定されているもので、それが単一かつ独立した商標(商標法第6条第1項)として登録出願されているものである。
他方、請求人が使用を主張する色彩の組合せは、3種類の請求人商品のシリーズがそれぞれ備える3色(黄色、銀色、青色)の基調色を抽象的に組み合わせたにすぎず、それら商品を並置する場合があるとしても、上記イ(イ)と同様に、本願商標に相当する態様(5色の組合せ、左から横並び、特定の構成割合)で、色彩の組合せが一貫して表示されているとはいえない。
そうすると、本願商標と請求人主張の色彩の組合せは、白色の有無だけでなく、配置順序や構成割合において、比較自体が困難なほどの客体の相違があるもので、互いに同一とは評価し得ない。
さらに、請求人商品の各商品の個別の色彩(黄色、銀色、青色)にしても、上記イ(ウ)のとおり、その使用態様に鑑みると、商品シリーズ内の効能(鼻、のど、熱)に応じた色分けと理解されるとしても、独立した出所識別標識として採択、使用されているとの印象を与えるとは直ちに考えにくい。
そうすると、請求人商品に係る色彩の組合せに接する需要者の間において、それら色彩の組合せに係る認識や記憶は、抽象的かつ散漫なものとなるから、請求人商品に係る使用実績によっては、本願商標に係る色彩の組合せが、請求人係る独立した出所識別標識として、需要者の間において認識、記憶されるとは評価し難い。
(イ)請求人は、確かに本願商標は、その構成中に一定程度の白色が存在するが、現実の取引においては、請求人商品は一定程度の間隔を空けて販売されることが通常であるから、当該白色部分は余白部分として機能する旨を主張する。
しかしながら、本願商標は、別掲1及び別掲2のとおり、願書に記載された商標登録を受けようとする商標(商標法第5条第1項第2号)及びその商標の詳細な説明(同条第4項)によって、その構成要素として「白色」(CMYKの組合せ:C0,M0,Y0,K0)を明確に特定しているから、それを商標の構成要素として除外又は変更することで、商標の範囲を変更するかのような、請求人の主張は採択できない。
なお、3種類の請求人商品を、間隔を空けて、横並びで掲載する場合があるとしても、その間隔部分の色彩は背景色に依存するから「白色」に限られるものではないばかりか、通常は、単なる隙間と理解されるもので、具体的な色彩として認識、理解されるとは考えにくい。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、請求人による使用実績によっては、我が国の需要者の間において、何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているものとはいえないから、同条第2項の要件を具備しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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