審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
商標拒絶査定不服審判

2020-016881

ニシカワ

審判番号
2020-016881
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2018-149083
請求日
2020年12月08日
審決日
2025年01月15日
公報発行日
2025年02月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】西川総業株式会社
  • 【請求人代理人】田中 克郎
  • 【請求人代理人】稲葉 良幸
  • 【請求人代理人】廣中 健
  • 【請求人代理人】千葉 尚路
  • 【請求人代理人】佐藤 力哉
  • 【請求人代理人】村瀬 純一
審判長/審判官
  • 審判長 大橋 良成
  • 審判官 杉本 克治
  • 審判官 渡邉 あおい
分類
T18 .014-WY (W202435) / T18 .017-WY (W202435)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項4号商標法3条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第4号、商標法第3条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2018-149083拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。

理由

理 由 第1 本願商標 本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第3類、第5類、第9類ないし第11類、第20類、第22類、第24類ないし第28類、第30類、第35類ないし第37類及び第39類ないし第44類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成30年12月4日に登録出願されたものである。 本願は、令和元年11月21日付けで拒絶理由が通知され、同2年2月7日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年9月1日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年12月8日に拒絶査定不服審判が請求されたものであり、本願の指定商品及び指定役務については、当審における同4年5月31日に提出の手続補正書により、最終的に、第20類「クッション,まくら,マットレス,寝台,ソファ」、第24類「タオル,かや,敷布,布団,布団カバー,まくらカバー,毛布」及び第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「本願補正商品及び役務」という。)に補正されている。 第2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、本願商標は「nishikawa」の欧文字を横書きしてなるところ、これは「西川」の読みを欧文字で表したものと認められるから、これに接する取引者、需要者は単にありふれた氏を普通に用いられる方法で表示するにすぎないと判断するので、商標法第3条第1項第4号に該当し、また、提出された資料を参酌するも、本願商標が使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品及び役務であることを認識することができるに至っているとはいえない旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 第3 当審における審尋 当審において、令和4年4月15日付け審尋により、請求人(出願人)(以下「請求人」という。)に対し、本願商標が商標法第3条第1項第4号に該当する旨の暫定的見解を示しこれに対する意見があれば意見書を提出するよう、合わせて、本願商標が請求人の使用の結果、商標法第3条第2項の要件を具備するに至ったことを主張するのであれば、必要に応じて指定商品及び指定役務を補正して、その適用を主張する商品及び役務を明確にした上で、本願商標の使用開始時期、使用期間、使用地域、販売実績、広告宣伝実績を客観的に把握できる証拠を提出するよう、期間を指定した上で請求人に対して求めた。 第4 審尋に対する請求人の回答の要点 請求人は、本願の指定商品及び指定役務を上記第1のとおりに補正するとともに、令和4年5月31日に回答書、同年8月4日及び同5年4月6日に上申書をそれぞれ提出し、本願商標は、本願補正商品及び役務について、請求人により長年使用された結果、需要者が請求人の業務に係る商品及び役務であることを認識することができる商標となっている旨主張した。 第5 当審の判断 1 商標法第3条第1項第4号該当性について 本願商標は、別掲のとおり、「nishikawa」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字が、多少デザイン化されているとしても、この程度のデザイン化は普通に採択、使用されるものであって、特殊な態様からなるとまではいえないものであり、その構成文字は「西川」の表音を欧文字表記したものと容易に理解できるものである。 そして、「西川」の文字は、「姓氏の一つ」として「広辞苑 第7版」(株式会社岩波書店)や「大辞林 第4版」(株式会社三省堂)に掲載されているものであり、例えば、「名字由来net」のウェブサイト(https://myoji-yurai.net)によれば、「西川」は全国でおよそ156,000人存在し、全国順位が113位である多い姓氏と掲載されていることからしても、ありふれた氏の一つと認められ、また、一般の商取引においては、氏は必ずしも漢字だけで表すものではなく、ローマ字で表す場合も決して少なくないものである。 してみれば、本願商標は、ありふれた氏の一つである「西川」の文字を欧文字で表したものというべきであって、ありふれた氏を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというべきであるから、商標法第3条第1項第4号に該当する。 2 商標法第3条第2項該当性について (1)請求人は、上記第1のとおり、本願の指定商品及び指定役務について、当審において本願補正商品及び役務に補正した上で、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当するものであるとしても、同条第2項に規定する要件を具備する旨主張し、その証拠方法として、原審において資料1ないし資料18(枝番号を含む。)、当審において甲第1号証ないし甲第146号証(枝番号を含む。)を提出しているので、以下、本願商標が同項の要件を具備するものであるのかについて検討する。 なお、本審決においては、上記各証拠のうち、原審において提出された資料1ないし資料18(枝番号を含む。)については、順次、甲第1号証ないし甲第18号証(枝番号を含む。)と読み替え、当審において提出された甲第1号証ないし甲第146号証(枝番号を含む。)については、順次甲第19号証ないし甲第164号証(枝番号を含む。)と読み替えることとする。 ア 請求人について 請求人は、1566年(永禄9年)の創業以来455年余にわたって、「西川」の屋号を使用し、蚊帳その他の生活用品や弓などを扱ってきた西川家の事業の承継者である京都店を、1941(昭和16)年に法人化して株式会社京都西川に、大阪店を株式会社大阪西川(のちの西川リビング株式会社)としてそれぞれ法人化し、戦後、日本橋店を株式会社西川として法人化するとともに、卸部門として西川産業株式会社が設立され、これら西川各社が共同で「西川」ブランドを発展させてきたところ、2018年(平成30年)12月5日に、西川産業株式会社、西川リビング株式会社、株式会社京都西川の3社を経営統合して設立・事業承継した西川株式会社(以下「西川社」という。)と代表者を共通にする西川社の関係会社であって、本願商標を含む「西川」関連商標を一元的に管理している法人であり、西川社をはじめとする西川グループ企業及び小売店に対して本願商標を含む「西川」関連商標を使用する権利を許諾している者である(甲162~甲164。以下、請求人及び西川社をはじめとする西川グループ各企業をまとめて、「請求人ら」という。)。 イ 請求人らの使用に係る商標並びにその使用開始時期及び使用期間について 本願商標は、2018年(平成30年)12月5日に、3社合併により発足した西川社が、発足と同時に新生「西川」を象徴するロゴマークとして使用開始されたものであって、その使用開始時期は、2019年(平成31年)2月1日であり(甲27、甲28)、現在に至るまで継続して使用されている。 ウ 本願商標を使用する商品及び役務について (ア)請求人らは、本願商標を本願補正商品及び役務中、「クッション,まくら,マットレス,寝台,ソファ」、「タオル,かや,敷布,布団,布団カバー,まくらカバー,毛布」についての使用している事実を証明する資料として、「西川リビング2019年春夏シーズンカタログ(原本 甲64)」、「東京西川2019年春夏 ホームファッションカタログ(原本 甲65)」、「東京西川2019年春・夏タオルカタログ(原本 甲66)」、「2019秋冬西川ホームファッションカタログ(原本 甲67)」、「2019秋冬西川ホームファッションカタログ(原本 甲68)」、「2019秋冬西川タオルカタログ(原本 甲69)」、「2019秋冬西川総合ギフトカタログ(原本 甲70)」、「2020春夏西川ホームファッションカタログセレクト版(原本 甲71)」、「2020春夏西川ホームファッションカタログ(原本 甲72)」、「2020春夏西川タオルカタログ(原本 甲73)」、「2020秋冬西川ホームファッションカタログ【セレクト版】(原本 甲74)」、「2020秋冬西川ホームファッションカタログ(原本 甲75)」、「2020秋冬西川タオルカタログ(原本 甲76)」、「2021春夏西川ホームファッションカタログセレクト版(甲77)」、「2021春夏西川ホームファッションカタログ(甲78)」及び「NISHIKAWA COLLECTION 2022 SPRING & SUMMER 西川総合カタログ(甲79)」等があり、当該カタログの表表紙及び裏表紙に本願商標が表示されており、当該カタログには、毛布、タオルケット、敷きパッド、掛ふとん、ふとんカバー、まくら、マットレス、クッション、タオルなどの商品が掲載されている。 また、「かや」については、「西川」創業時からの取扱商品である。 (イ)「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての使用を証明する資料 請求人らが取り扱う「クッション,まくら,マットレス,寝台,ソファ,タオル,かや,敷布,布団,布団カバー,まくらカバー,毛布」等の商品は、全国各地に所在する582か所に及ぶ百貨店、デパート、専門店等において大々的に販売されているものであり、それらの店舗の店頭において本願商標が使用されている(甲16)。 エ 本願商標の使用地域について 請求人らの取扱いに係る商品は、2021年2月6日現在における請求人らの販売ネットワークにおいて、北は北海道から南は鹿児島県まで、全国各地に所在する582か所に及ぶ百貨店、デパート、専門店等において大々的に販売されている(甲33)。また、これらの実店舗のみならず、「西川公式オンラインショップ」(https://shop.nishikawa1566.com/shop/default.aspx)においても請求人らの商品は全国の需要者に向けて販売されている。 さらに、請求人らの全国の販売店における商標使用の状況を示す証拠として、屋内外に設置された看板、POP(Point of Purchase)等の形で本願商標が大々的に掲示され(甲16)、また、西川社の東京ショールーム及び大阪ショールームでの商品展示状況においても本願商標が掲示されている(甲80~甲82)。 オ 販売実績について 本願商標を付した商品を販売する西川社の売上高は、西川社の第76期(2019年2月1日~2020年1月31日)の決算公告(甲61の1)によれば640億円であり、2020年度(2021年1月末決算)の売上高は568億円(甲143)であった。 2019年7月31日付け、2020年8月12日付け及び2021年9月1日付け日経MJ紙に掲載された「18年度日本の卸売業調査(第48回)」、「19年度日本の卸売業調査(第49回)」及び「20年度日本の卸売業調査)」(甲61の2、甲61の3、甲142)の各記事によると、「寝装品・インテリア」の分野において、「寝装品」取扱事業者の中では西川社がトップにランキングされているなど、西川社が寝装品の分野において高い市場シェアを有している。 カ 広告宣伝の方法、期間、地域及び規模等について 西川社が行った広告活動の内容については、以下のような宣伝広告活動を大々的かつ継続的に行ってきた。 (ア)2019年度の販売支援活動の内容について 請求人らは、2019年2月以降、日本全国に所在する販売店における商品の活発な売上促進を支援し、実現するため、著名なスポーツ選手(プロ野球選手、プロゴルファー、プロサッカー選手等)や芸能人を起用し、多様な宣伝広告活動を行っている。そしてそれらの宣伝広告媒体において、商品の出所表示として本願商標を付して使用している。 甲第22号証は、2019年2月以降、成田空港、東急中目黒駅等の都内各所で西川社の広告看板が掲示された状況を撮影したものである。 甲第23号証は、2019年4月頃、西川社が制作し、販売店に回覧、頒布した広告宣伝媒体に関する内部説明資料である。西川社の機能性寝具「Air(エアー)」のPOPに本願商標が使用されていること(2頁目)、プロ野球選手の田中将大氏、プロゴルファーの松山英樹氏、プロサッカー選手の三浦知良氏、ネイマール氏といった著名人を起用したポスター、POP、チラシなどの広告物において本願商標が表示されていること(3頁目)が確認できる。 甲第24号証は、2019年5月頃、西川社が制作し、販売店に回覧、頒布した広告宣伝媒体に関する内部説明資料である。西川社の機能性寝具「Air(エアー)」についてプロ野球選手の田中将大氏、プロゴルファーの松山英樹氏、プロサッカー選手の三浦知良氏やネイマール氏といった著名人を起用したポスター、POP、チラシなどの広告物において本願商標が表示されていること(2頁目)が確認できる。 甲第25号証では、ネイマール選手を起用した西川社の機能性寝具「Air(エアー)」の宣伝媒体(ポスター、タペストリー)において本願商標が表示されていること(2頁目)が確認できる。4頁目では2019年の夏から年末にかけ、国民的話題となっていたラグビー日本代表選手を起用したポスター、うちわ、チラシといった販促資料に本願商標が使用されていることが分かる。甲第26号証も同様である。 甲第27号証は、西川社の機能性寝具「Air(エアー)」の発売10周年を記念して強化された同商品の販売促進企画書(2019年3月29日時点)である。これを見ると、2019年2月から9月末にかけて、インターネット上のバナー広告、SNS(インスタグラム)での広告、交通広告、米国のメジャーリーグ・ベースボールが開催される野球場での看板掲出、「ニコニコ超会議」への出展、ウェブ上の記事とのタイアップ企画、日本の空の玄関口である成田空港の休憩スペースでの広告等、様々な媒体や方法を活用した販売促進・広告活動が企画され、実行されたことが分かる。地下鉄などの駅構内でのポスター掲出状況は甲第23号証でも確認できる。 甲第28号証は、販売店向けに制作され、配布された「Air(エアー)販促ツール一覧 2019.4改訂」との資料であり、請求人らの機能性寝具「Air(エアー)」の販売促進のため、世界的に著名なスポーツ選手をイメージキャラクターとした大小さまざまな販売促進媒体が制作されたこと、そして、それらの販売促進媒体には出所表示として本願商標が表示されていたことが分かる。 甲第29号証は、請求人らの機能性寝具「Air(エアー)」の販売促進企画書(2019年5月8日時点)であり、米国メジャーリーグ・ベースボールの人気選手である大谷翔平氏の復帰後初打席のシーンで本願商標が表示されたことが分かる。最終頁によると、東京都調布市の「味の素スタジアム」の大型看板で本願商標を表示した大々的に表示されたり、広告が「FC東京ファンブック」に広告が掲載されたことが分かる。 甲第30号証の1は、請求人らの機能性寝具「Air(エアー)」の販売促進企画書(2019年5月8日時点)であり、成田空港内に設置された休憩スペース「エアーリラクゼーションスペース」のポスターや休憩用ベッドの側面に本願商標が表示されていることが分かる。また、最終頁をみると、東京ドームのベンチ上にも本願商標が表示されたことが分かる。 甲第31号証の1は、請求人らの機能性寝具「Air(エアー)」の販売促進企画書(2019年7月4日時点)であり、請求人らが、2019年秋に最大の話題となった「ラグビーワールドカップ」に関連してリーチ・マイケル選手、立川理道選手、福岡堅樹選手と「Air(エアー)」のイメージキャラクターとして契約したことが分かる。リーチ・マイケル選手らとの契約については、西川社にてプレスリリースも行った(甲31の2)。そして、田中将大選手、松山英樹選手、三浦知良選手らとともにラグビー日本代表選手を起用したうちわなどの販促品が制作され、そこには本願商標が表示されたことが分かる(4~5頁目)。また、このうちわが配布された日、場所及び枚数は、甲第31号証の3の5頁目で確認でき、配布の様子は甲第23号証の4頁目でも確認できる。 (イ)2020年の販売支援活動の内容について 甲第32号証は、「『エアー』2020年5月~7月販売支援活動」と題する西川社の社内資料であり、2020年6月、約2週間にわたってメジャーリーグ・ベースボールで活躍する大谷翔平選手を起用したテレビCMを全国で放映したことが分かる。 甲第33号証は、「2020年7月・8月『エアー』販売支援活動」であり、2020年7月25日、27日に大谷翔平選手が出場した試合が行われた野球場において、本願商標を表示した看板が大きく表示されたことが分かる。 甲第34号証は、「2020年8月・9月『エアー』追加販売支援活動」であり、関東ローカル局で過去最大規模のテレビコマーシャル放映(甲59の1、3及び4)による認知度の強化を図ったことが分かる。また、「LINE」、「YouTube」、「Facebook」、「Instagram」、「Twitter」等のSNSを通じた宣伝広告活動も大々的に行われた。また、甲第35号証の5頁目では、甲第34号証の1で予告された大谷選手出場試合で本願商標を付した看板が実際に掲示され、これが我が国のテレビでも放映されたことが確認でき、6頁目では2020年7月27日の報知新聞で「紙面ジャック」として、大谷翔平選手を起用した広告が大々的に掲載されたが、本願商標も大きく表示されている。 また、請求人らは、2020年2月26日以降、甲子園球場において本願商標を付した巨大な看板を掲示している(甲35の1及び2)。この看板は、甲子園球場で行われたプロ野球の試合が放映されるたびに映し出され、その動画視聴は91万2千回を超えている(甲35の3、甲35の4)。 甲第36号証は、「2020年下期 販促支援活動」であり、「医師がすすめる健康枕」をテーマに、テレビ、雑誌、インターネット、SNSを通じて多様な広告宣伝活動が企画され、実施されたことが分かる。 甲第37号証の1は、京急品川駅のJR連絡通路に掲示された看板掲示を示す資料であり、当該看板の中央上部に本願商標が付されている。 甲第38号証は、掲示された広告を撮影した写真及び株式会社近宣作成の資料であるが、これによれば、2020年1月現在、京都市営バスの車体側面に本願商標を付した広告を装着したバス23台が京都市内を走行している。 これら以外にも、JR東海の新幹線京都駅及びJR西日本の京都駅における電照広告(甲39、甲40)、プロ野球東北楽天イーグルスのホームグラウンドである楽天球場に掲出された電飾広告(甲41)、2020年10月9日から10月27日までの間に1,500万回表示され、4万回クリックされたインターネット上のバナー広告(甲42)、2020年11月及び12月の2か月間にわたる販売促進キャンペーン(動画配信、テレビコマーシャル、店頭のPOP、「YouTube」、SNS等のほか、同年11月16日から30日にかけて実施された、東京都心部を走るJR山手線の通勤車両をまるごと活用した宣伝広告活動である(甲44)。 (ウ)チラシ広告の頒布実績について 2019年2月から3月にかけて西川社の販売店において頒布された「新生活&AiR10周年チラシ」のチラシには、その表面の右上に本願商標が付されており、合計213万枚以上の本件チラシが印刷された(甲45)ほか、2019年10月下旬、西川社の販売店において頒布されたチラシ「ラグビーワールドカップ&キャッシュレス還元チラシ」のチラシは、合計77万枚以上が印刷された(甲46)。 2019年8月から9月にかけて、西川社の販売店において頒布された「西川統合感謝祭」のチラシは、合計23,000枚以上が印刷された(甲47)。 2019年9月頃、西川社の販売店において頒布された「増税前クーポンセール」との顧客向け封筒型ダイレクトメールは、43,000部以上が印刷された(甲48)。 2019年10月頃、西川社の販売店において頒布された「特別ご優待会」との顧客向けダイレクトメールは、約39,000部が印刷された(甲49)。 2019年10月頃、西川社の販売店において頒布された「本物のぐっすりが月々3,000円~」は、約143万部が印刷された(甲50)。 2020年6月頃、西川社の販売店において頒布された「健康応援宣言」とのチラシは、東京版、大阪版を合計して約508万部が印刷され、全国の226店の販売店に納品された(甲51)。 2020年2月頃、西川社の販売店において頒布された「新生活応援します」とのチラシは、約82万枚が印刷された(甲52)。 2020年3月中旬頃、西川社の販売店において頒布されたチラシ(4種類)は、8万部が印刷、納品された(甲54)。 2020年9月頃、西川社の販売店において頒布された「お客様大感謝祭」とのチラシは、約2万部が印刷、納品された(甲55)。 2020年10月頃、西川社の販売店において頒布された「秋のダイナマイトセール」との封筒型ダイレクトメールは、29,000部が印刷、納品された(甲56)。 2020年秋に西川社の販売店において頒布された6種類の手配り用チラシは、8万部が印刷、納品された(甲57)。 (エ)テレビコマーシャルの制作、放映について 西川社は、2020年6月17日から同年11月7日にかけて断続的にテレビコマーシャル(以下「CM」という。)を全国放送網や地方テレビ局を通じて放映し、当該CMには本願商標が表示され、当該CMのGRP(延べ視聴率、ある一定期間に流した1本のCMの視聴率の合計)は5,998%であった(甲58)。 また、請求人らは、2020年8月から10月にかけても日本テレビ、TBS、朝日放送及び中京テレビを通じて、CMを放映し、そのGRPは485.8%であった(甲58)。 さらに、2020年「西川の羽毛ふとん総集編」とのCM(甲58の6)を全国各国の放送網を通じて放映した。 当該CMのGRPは5,943%であった(甲58の7)。 (オ)SNSによる訴求効果 甲第59号証の1は、「西川公式Facebook 投稿別リーチ数一覧表」である。この表によれば、例えば、2020年11月29日の投稿は36,700人に閲覧され、2,300人が当該投稿をクリックしているが、クリックした閲覧者は、西川社の公式ウェブサイト中の当該記事画面に誘導され、遷移した画面の上部に表示された本願商標に接することになる(甲59の2)。同様に、2020年10月31日の投稿は30,000人に閲覧され、2,300人が当該投稿をクリックしているが、クリックしたものは、西川社のホームページが表示され、その冒頭に表示された本願商標に接したことになる(甲59の3)。2020年5月11日の投稿は53,400人に閲覧され、4,600人が当該投稿をクリックしているが、クリックしたものは、西川社のホームページが表示され、その冒頭に表示された本願商標に接したことになる(甲59の4)。このように、西川社の公式「Facebook」アカウントを通じて、本願商標が多くの人の目に触れ、認知度の向上に寄与していることが分かる。 (カ)検索連動型バナー広告表示による広告宣伝 甲第60号証は、2021年1月現在、検索エンジンサイト「Yahoo」、「Google」と連動して配信されている様々なバナー広告である。これらにおいても本願商標が表示されている。 (キ)前記以外でも、東京及び大阪の地下鉄各線の駅構内や羽田空港・成田空港で実施した交通広告(甲83)、新幹線、東海道本線及び山陽本線の経路沿いに設置された屋外看板広告(甲84)、羽生結弦選手、大谷翔平選手、女優の中村アン氏を起用したコマーシャルフィルムを制作し、テレビで放映、YouTobeで配信、店頭で上映するなどしており、これらのコマーシャル動画では、本願商標が使用されている(甲140)。 また、西川社では、動画配信サイト「YouTube」でも、コマーシャル動画をアップロードしており、当該動画においても本願商標が冒頭や末尾、画面の右下に表示されるなどしている(甲141)。 キ 本願商標単独での使用 本願商標は、「西川」の文字を図案化した商標と並置して使用されている例が多数見受けられるが、両商標は重なり合うことなく配置され、外観上分離しており、それぞれが独立した商標として認識されるから、両商標を並置して使用されたものも本願商標に着目して自他商品の識別標識として認識されるものといえ、また、「西川」の文字を図案化した商標を伴わず、本願商標のみが使用されている例も決して少なくない(甲80~甲82、甲86~甲88、甲90、甲91~甲116、甲139)。 (2)判断 請求人の主張及び上記(1)によれば、請求人らは、創業から455年を越える我が国でも有数の老舗企業であり、1887年(明治20年)に布団の取り扱いを開始して以降、請求人らが使用する「nishikawa」の文字は、布団、枕等の寝具類の分野において、請求人らにより使用された結果、請求人らの取り扱いに係る商品を表す文字として、当該分野の取引者、需要者の間で広く認識されているものといえる。 そして、2019年から現在に至るまでの間、本願商標と同一の態様の標章を、本願補正商品及び役務が掲載された商品カタログや「公式オンラインショップ」、全国の店舗・プロスポーツ開催施設・鉄道の駅・公営バス車体側面・JR山手線の車両等への看板・電照広告などに使用しており、さらに、テレビCM、販売店舗における配布チラシやダイレクトメール・ウェブサイト上のバナー広告などで広く広告宣伝がなされてきたといえるものである。 また、請求人らは、全国各地に所在する百貨店、デパート専門店あるいはウェブサイト上のオンラインショップなどを通じて、ふとんなどの寝具を販売し、その売上高は約640億円(2019年2月~2020年1月)であり(甲61の1)、寝装具の卸売業に関する業界の売上高において、2018年度から2019年度まで業界1位となっている。 そうすると、本願商標は、本願補正商品及び役務について使用をされた結果、需要者が請求人らの業務に係る商品及び役務であることを認識するに至ったものというのが相当である。 してみれば、本願商標は、請求人らにより使用をされた結果、本願補正商品及び役務の取引者、需要者の間で、何人かの業務に係る商品及び役務であることを認識することができるものと判断するのが相当であるから、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものというべきである。 3 まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当するものの、同条第2項の要件を具備するものであり、商標登録を受けることができるものであるから、原査定は、取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2020-016881

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存