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特許拒絶査定不服審判

2020-015920

セラミック電子部品の製造方法

審判番号
2020-015920
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-173824外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年11月18日
審決日
2021年07月06日
公報発行日
2021年08月27日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H01G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-173824「セラミック電子部品の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月 9日出願公開、特開2017- 50453、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成27年9月3日の出願であって、その手続きの経緯は以下のとおりである。 平成31年 3月15日付け:拒絶理由通知 平成31年 5月21日  :意見書、手続補正書の提出 令和 1年10月28日付け:拒絶理由通知 令和 2年 1月17日  :意見書、手続補正書の提出 令和 2年 5月20日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知 令和 2年 7月21日  :意見書、手続補正書の提出 令和 2年 8月 4日付け:令和2年7月21日の手続補正についての補正の却下の決定、拒絶査定 令和 2年11月18日  :審判請求書、手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和2年8月4日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 この出願の請求項1ないし4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献2、引用文献1、及び引用文献3に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開2015-53495号公報 2.特開2014-197666号公報 3.特開2013-165178号公報 第3 本願発明 本願の請求項1ないし4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明4」という。)は、令和2年11月18日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1ないし4は以下のとおりの発明である。 「 【請求項1】 6面を有する直方体形状であり、高さ方向に互いに相対する第1主面及び第2主面、長さ方向に互いに相対する第1端面及び第2端面、幅方向に互いに相対する第1側面及び第2側面を有し、その前記高さ方向の寸法をDH、前記長さ方向の寸法をDL、前記幅方向の寸法をDWとしたときに、DH<DW<DL、(1/7)DW≦DH≦(1/3)DW、又は、DH<0.25mmである本体を備えるセラミック電子部品を製造する方法であって、 前記セラミック電子部品の本体と同じ6面を有する直方体形状であり、セラミック及び有機物を含むチップの表面に改質材を付与する工程と、 前記改質材が付与された前記チップの前記第1端面に設けられ、かつ、前記第1端面から前記第1主面、前記第2主面、前記第1側面及び前記第2側面のそれぞれの一部に延びるように、さらに、前記改質材が付与された前記チップの前記第2端面に設けられ、かつ、前記第2端面から前記第1主面、前記第2主面、前記第1側面及び前記第2側面のそれぞれの一部に延びるように、前記チップの表面に導電性ペーストを塗布する工程と、 前記チップ及び前記チップに塗布された前記導電性ペーストをともに焼成する工程と、 を備え、 前記改質材を付与する工程では、前記改質材を含む溶液に前記チップを浸漬することを特徴とするセラミック電子部品の製造方法。 【請求項2】 前記改質材は、ケイ素化合物である、請求項1に記載のセラミック電子部品の製造方法。 【請求項3】 前記改質材は、フッ素化合物である、請求項1に記載のセラミック電子部品の製造方法。 【請求項4】 前記チップは、 前記チップに埋設され、かつ前記端面に露出する内部電極層を含み、 前記導電性ペーストを塗布する工程は、 前記第1主面及び前記第2主面上の前記導電性ペーストの長さ方向の寸法が前記チップの高さ方向の寸法よりも大きくなるように、前記チップの前記第1端面及び前記第2端面の一部と前記第1主面及び前記第2主面の一部に前記導電性ペーストを塗布する、請求項1~3のいずれかに記載のセラミック電子部品の製造方法。」 第4 引用文献、引用発明等 1 引用文献2について (1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。) 「【0034】 図1を参照して、積層セラミックコンデンサ11は、互いに対向する第1および第2の端面12および13と第1および第2の端面12および13間を連結する4つの側面14~17(側面16および17は、図1紙面に平行な面であるが、図1では図示されない。)とを有する直方体形状の部品本体18を備える。部品本体18は、積層された複数のセラミック層19と、セラミック層19間の複数の界面に沿ってそれぞれ配置される各々複数の第1および第2の内部電極20および21とを備える。第1の内部電極20と第2の内部電極21とは、積層方向において交互に配置される。 【0035】 部品本体18の第1および第2の端面12および13上には、それぞれ、第1および第2の外部電極22および23が形成される。前述した第1の内部電極20は、第1の端面12にまで引き出され、第1の外部電極22に電気的に接続される。第2の内部電極21は、第2の端面13にまで引き出され、第2の外部電極23に電気的に接続される。このようにして、第1および第2の内部電極20および21間に形成された静電容量は、外部電極22および23によって取り出される。 【0036】 第1の外部電極22は、第1の端面12と側面14~17とが交差する稜線部分24上に位置するコーナー部25と、第1の端面12、コーナー部25、および側面14~17の各一部を覆う主要部26とから構成される。同様に、第2の外部電極23は、第2の端面13と側面14~17とが交差する稜線部分27上に位置するコーナー部28と、第2の端面13、コーナー部28、および側面14~17の各一部を覆う主要部29とから構成される。なお、外部電極22および23におけるコーナー部25および28と主要部26および29とは、後述する製造方法における別の工程で形成されるため、製造方法の説明の便宜上、区別されるべきものにすぎず、製品としての積層セラミックコンデンサ11においては一体化され、特に区別されるものではない。 【0037】 次に、図1に示した積層セラミックコンデンサ11の製造方法について説明する。 【0038】 まず、図2に示すような部品本体18が用意される。部品本体18は、たとえばバレル処理を施すことにより、第1および第2の端面12および13と側面14~17とが交差する稜線部分24および27において面取りされることが好ましい。この実施形態では、内部電極20および21のうちのいくつかは、面取りされた稜線部分24および27に引き出されている。なお、図示しないが、面取りは、側面14~17のうちの隣り合うものが互いに交差する稜線部分においても施されている。 【0039】 他方、外部電極22および23を形成するために用いる導電性ペーストが用意される。導電性ペーストは、金属粉末、樹脂および溶剤を含む。導電性ペーストは、好ましくは、さらにガラス成分を含み、後述する熱処理工程において焼き付けられることによって、外部電極22および23が形成される。なお、導電性ペーストは、ガラス成分を含まず、代わりに熱硬化性樹脂を含み、熱処理工程において樹脂が熱硬化されることによって、外部電極22および23が形成されるようにしてもよい。(中略) 【0040】 次に、部品本体18の少なくとも第1および第2の端面12および13上にそれぞれ上記導電性ペーストを付与する工程が実施される。この実施形態では、導電性ペースト付与工程の開始にあたって、部品本体18の少なくとも側面14~17に対して、導電性ペーストに含まれる溶剤に対する親和性を低くするための低親和化処理を施す、低親和化工程が実施される。 【0041】 低親和化工程は、溶剤に対する親和性の低い材料を部品本体18の少なくとも側面14~17に付与する工程であるが、この工程において、プラズマ処理を適用することが好ましい。より具体的には、溶剤に対する親和性の低い材料のガスを真空中に投入しながら、このガスに高周波の電圧をかけることにより、電子を走らせてガスの分子に衝突させる。それによって、ガスに由来するモノマーを生成させ、このモノマー、すなわち、溶剤に対する親和性の低い材料のモノマーを部品本体18の少なくとも側面14~17に付着させる。 【0042】 上述した溶剤に対する親和性の低い材料のガスとしては、たとえばフッ化炭素(CxFy)が有利に用いられる。特に、y/x≦2.5のCxFyガスが好ましい。このように、フッ化炭素が用いられたとき、CFとCF2とを主成分とするモノマーが生成される。 (中略) 【0044】 なお、低親和化処理をプラズマ処理によって達成すると、部品本体18の所定の面を斑なく低親和化することができるという利点を有するが、このような利点を特に望まないならば、低親和化処理は、プラズマ処理によるのではなく、部品本体18をたとえばフッ素を含有する液体中へ浸漬することによって達成されてもよい。 【0045】 低親和化処理は、部品本体18の少なくとも側面14~17が溶剤に対して親和性を完全に喪失するまで実施する必要はない。また、低親和化処理は、部品本体18の少なくとも側面14~17に施されていれば十分であるが、端面12および13にまで及ぶように施されていてもよい。 【0046】 次に、部品本体18の少なくとも第1および第2の端面12および13上にそれぞれ上記導電性ペーストが付与される。導電性ペーストを付与するため、たとえば、図3に示すような導電性ペースト付与装置31が用いられる。 (中略) 【0050】 以上説明した導電性ペースト付与装置31を用いて実施される導電性ペースト付与工程について、図4ないし図8を参照して以下に説明する。図4、図5および図7には、部品本体ホルダ38の図示が省略されているが、部品本体ホルダ38によって保持された1個の部品本体18が、それに関連するステージ32の一部とともに図示されている。また、図4ないし図7は断面図で示されているが、図4ないし図7において、部品本体18の内部に存在する内部電極20および21の図示は省略されている。 (中略) 【0052】 次に、部品本体ホルダ38の動作に従って、図4(2)に示すように、部品本体18が矢印方向に下降され、部品本体18の第1の端面12が導電性ペースト膜41中に浸漬される。このとき、部品本体18は、少なくとも、稜線部分24が導電性ペースト膜41によって覆われる。 (中略) 【0060】 以上のようにして、部品本体18の第1の端面12側についての第1の浸漬工程が終了する。 (中略) 【0062】 次に、部品本体18の第1の端面12側についての第2の浸漬工程が実施される。そのため、まず、ブレード37を作動させることによって、図7(1)に示すように、ステージ32上に、導電性ペースト34からなる導電性ペースト膜42が形成される。導電性ペースト膜42の厚みは、200~300μmというように比較的厚くされる。 【0063】 次に、部品本体ホルダ38の動作に従って、図7(2)に示すように、部品本体18が矢印方向に下降され、部品本体18の第1の端面12が導電性ペースト膜42中に浸漬される。このとき、部品本体18は、前述の第1の浸漬工程で付与された導電性ペースト34の端縁を乗り越えて部品本体18の側面14~17の各一部が導電性ペースト膜42によって覆われる深さまで浸漬される。また、部品本体18の第1の端面12上での導電性ペースト34の付与厚みを所定以上に確保するため、部品本体18の第1の端面12とステージ32との間隔は所定以上に保たれる。 (中略) 【0067】 図8には、図7(3)に示した工程を終えた後の導電性ペースト34の付与状態が正面図で示されている。前述したように、部品本体18の少なくとも側面14~17に低親和化処理が施されているので、外部電極22となるべき導電性ペースト34は、側面14~17に沿って濡れ上がりにくく、そのため、導電性ペースト34の端縁43の膨出度合いPを低減することができる。図8において、側面14~17に沿う濡れ上がりが無い場合の端縁43が1点鎖線で示されている。 (中略) 【0069】 次に、図3に示した導電性ペースト付与装置31における部品本体ホルダ38による部品本体18の保持姿勢が逆にされ、部品本体18の第2の端面13側に対しての第1の浸漬工程が実施される。なお、部品本体18の第2の端面13側に対しての第1の浸漬工程は、第1の端面12が第2の端面13に置き換わるだけで、前述した部品本体18の第1の端面12側に対しての第1の浸漬工程と同様であるので、繰り返しの説明は省略する。 (中略) 【0071】 次に、部品本体18の第2の端面13側に対しての第2の浸漬工程が実施される。部品本体18の第2の端面13側に対しての第2の浸漬工程についても、前述した部品本体18の第1の端面12側に対しての第2の浸漬工程と同様であるので、繰り返しの説明は省略する。 (中略) 【0073】 以上をもって、導電性ペースト付与工程が終了する。 【0074】 次に、第1および第2の外部電極22および23を形成するため、上述のように、部品本体18の第1および第2の端面12および13上に付与された導電性ペースト34が熱処理される。導電性ペースト34がガラス成分を含む場合、800℃程度の温度で熱処理される。導電性ペースト34が熱硬化性樹脂を含む場合、熱硬化性樹脂が硬化する温度で熱処理される。 【0075】 その後、必要に応じて、外部電極22および23にめっきが施され、外部電極22および23上に、図示しないが、たとえばNiめっき膜およびその上にSnめっき膜が形成される。 【0076】 以上のようにして、図1に示した積層セラミックコンデンサ11が完成される。」 図1 「 」 (2)引用文献2の上記記載及び図面よれば、以下のことがいえる。 ア 段落【0037】によれば、引用文献2には、積層セラミックコンデンサ11の製造方法が記載されている。 また、段落【0034】によれば、積層セラミックコンデンサ11は、互いに対向する第1および第2の端面12および13と第1および第2の端面12および13間を連結する4つの側面14~17とを有する直方体形状の部品本体18を備える。 してみると、引用文献2には、互いに対向する第1および第2の端面12および13と第1および第2の端面12および13間を連結する4つの側面14~17とを有する直方体形状の部品本体18を備える積層セラミックコンデンサ11の製造方法が記載されているといえる。 イ 段落【0038】によれば、積層セラミックコンデンサ11の製造方法では、まず、部品本体18が用意される。 また、段落【0034】によれば、部品本体18は、積層された複数のセラミック層19と、セラミック層19間の複数の界面に沿ってそれぞれ配置される各々複数の第1および第2の内部電極20および21とを備える。 してみると、積層セラミックコンデンサ11の製造方法では、積層された複数のセラミック層19と、セラミック層19間の複数の界面に沿ってそれぞれ配置される各々複数の第1および第2の内部電極20および21とを備える部品本体18が用意されるといえる。 ウ 段落【0040】、【0041】によれば、積層セラミックコンデンサ11の製造方法では、導電性ペーストに含まれる溶剤に対する親和性の低い材料を部品本体18の少なくとも側面14~17に付与する工程である低親和化工程が実施される。 エ 段落【0046】、【0050】によれば、積層セラミックコンデンサ11の製造方法では、低親和化処理が実施された部品本体18の第1および第2の端面12および13上にそれぞれ導電性ペーストが付与される導電性ペースト付与工程が実施される。 そして、段落【0052】、【0060】、【0062】、【0063】、【0069】、【0071】によれば、導電性ペースト付与工程は、部品本体18の第1および第2の端面12および13を、部品本体18の側面14~17の各一部が導電性ペースト膜によって覆われる深さまで、導電性ペースト膜中に浸漬させる工程である。 よって、積層セラミックコンデンサ11の製造方法では、低親和化処理が実施された部品本体18の第1および第2の端面12および13を、部品本体18の側面14~17の各一部が導電性ペースト膜によって覆われる深さまで、導電性ペースト膜中に浸漬させる導電性ペースト付与工程が実施されるといえる。 オ 段落【0073】、【0074】によれば、積層セラミックコンデンサ11の製造方法では、導電性ペースト付与工程が終了した後、第1および第2の外部電極22および23を形成するため、部品本体18の第1および第2の端面12および13上に付与された導電性ペースト34が、ガラス成分を含む場合、800℃程度の温度で熱処理され、熱硬化性樹脂を含む場合、熱硬化性樹脂が硬化する温度で熱処理される。 そして、段落【0039】によれば、導電性ペーストは、熱処理工程において焼き付けられることによって、外部電極22および23が形成される。 よって、積層セラミックコンデンサ11の製造方法では、導電性ペースト付与工程が終了した後、第1および第2の外部電極22および23を形成するため、部品本体18の第1および第2の端面12および13上に付与された導電性ペースト34が、ガラス成分を含む場合、800℃程度の温度で焼き付けられ、熱硬化性樹脂を含む場合、熱硬化性樹脂が硬化する温度で焼き付けられる熱処理工程が実施されるといえる。 カ 段落【0075】、【0076】によれば、積層セラミックコンデンサ11の製造方法では、必要に応じて、外部電極22および23にめっきが施され、積層セラミックコンデンサ11が完成される。 キ 段落【0044】によれば、低親和化処理は、部品本体18をフッ素を含有する液体中へ浸漬することによって達成される。 (3)以上アないしキによれば、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「互いに対向する第1および第2の端面12および13と第1および第2の端面12および13間を連結する4つの側面14~17とを有する直方体形状の部品本体18を備える積層セラミックコンデンサ11の製造方法において、 積層された複数のセラミック層19と、セラミック層19間の複数の界面に沿ってそれぞれ配置される各々複数の第1および第2の内部電極20および21とを備える部品本体18が用意され 導電性ペーストに含まれる溶剤に対する親和性の低い材料を部品本体18の少なくとも側面14~17に付与する工程である低親和化工程が実施され、 低親和化処理が実施された部品本体18の第1および第2の端面12および13を、部品本体18の側面14~17の各一部が導電性ペースト膜によって覆われる深さまで、導電性ペースト膜中に浸漬させる導電性ペースト付与工程が実施され、 導電性ペースト付与工程が終了した後、第1および第2の外部電極22および23を形成するため、部品本体18の第1および第2の端面12および13上に付与された導電性ペースト34が、ガラス成分を含む場合、800℃程度の温度で焼き付けられ、熱硬化性樹脂を含む場合、熱硬化性樹脂が硬化する温度で焼き付けられる熱処理工程が実施され、 必要に応じて、外部電極22および23にめっきが施され、積層セラミックコンデンサ11が完成され、 低親和化処理工程は、部品本体18をフッ素を含有する液体中へ浸漬することによって達成される、 積層セラミックコンデンサ11の製造方法。」 2 引用文献1について (1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。) 「【0021】 図1~7に示すように、本発明の一実施形態に係るセラミック電子部品100は、積層された複数の誘電体層150および複数の導電体層140を含む直方体状の積層体110と、積層体110の両端部に設けられ、全ての導電体層140と電気的に接続された1対の外部電極とを備える。 (中略) 【0069】 以下、本発明の一実施形態に係るセラミック電子部品の製造方法について図を参照して説明する。図8は、本発明の一実施形態に係るセラミック電子部品の製造方法を示すフローチャートである。 【0070】 図8に示すように、積層された複数の誘電体層150および複数の導電体層140を含む直方体状の積層体110を準備する(S10)。積層体110は、下記のように作製される。 【0071】 まず、セラミック粉末を含むセラミックペーストを、スクリーン印刷法などによりシート状に塗布して乾燥させることにより、セラミックグリーンシートを作製する。 【0072】 作製した複数のセラミックグリーンシートのうちの一部において、セラミックグリーンシート上に、スクリーン印刷法などにより内部電極形成用の導電性ペーストを所定のパターンとなるように塗布する。このようにして、内部電極となる導電パターンが形成されたセラミックグリーンシートと、導電パターンが形成されていないセラミックグリーンシートとを用意する。なお、セラミックペーストおよび内部電極形成用の導電性ペーストには、公知のバインダーおよび溶媒が含まれていてもよい。 【0073】 導電パターンが形成されていないセラミックグリーンシートを所定枚数積層し、その上に、導電パターンが形成された複数のセラミックグリーンシートを順次積層し、さらにその上に、導電パターンが形成されていないセラミックグリーンシートを所定枚数積層することにより、マザー積層体を作製する。必要に応じて、静水圧プレスなどの手段により、マザー積層体を積層方向にプレスしてもよい。 【0074】 マザー積層体を所定の形状にカットして分割することにより、複数の直方体状の軟質積層体を作製する。なお、直方体状の軟質積層体をバレル研磨して、軟質積層体の角部を丸めてもよい。 【0075】 軟質積層体を焼成することにより硬化させて、積層体110を作製する。焼成温度は、セラミック材料および導電材料の種類に応じて適宜設定され、たとえば、900℃以上1300℃以下の範囲内で設定される。 【0076】 次に、積層体110の第1主面111および第2主面112のみに、または第2主面112のみに疎油膜を形成する(S11)。疎油膜を形成する前に、積層体110の表面を洗浄することが好ましい。 (中略) 【0078】 疎油膜をフッ素系ポリマーの堆積膜で構成する場合には、疎油材料を含む原料ガスとして、フッ化炭素(CxFy:y/x≦2.5を満たす)が好適に用いられる。このフッ化炭素を用いた場合、プラズマ処理により、CFおよびCF2を主成分とするモノマーが生成される。モノマー化されたCFおよびCF2を含むコーティング剤が積層体110の表面に堆積することで、積層体110の表面に疎油膜が形成される。疎油膜は、後述する導電性ペーストが積層体110の表面上で濡れ広がることを抑制する。 (中略) 【0081】 次に、複数の導電体層140のうちの少なくとも一部の導電体層140と電気的に接続されるように積層体110の両端部に1対の外部電極を設ける(S20)。 【0082】 まず、疎油膜が形成された積層体110の両端部に導電性ペーストを塗布して焼き付ける(S21)。導電性ペーストは、金属成分およびガラス成分を含んでいる。金属成分としては、Ni、Cu、Ag、Pd、Auなどの金属、または、これらの金属の少なくとも1種を含む合金、たとえばAgとPdとの合金などを用いることができる。ガラス成分としては、B、Si、Ba、Mg、Al、またはLiなどを含むガラスを用いることができる。 【0083】 図10は、積層体の第1端面側に導電性ペーストを塗布している状態を示す側面図である。図11は、第1端面側に塗布された導電性ペーストの濡れ広がりの状態を示す側面図である。 【0084】 図10に示すように、疎油膜190が第1主面および第2主面のみに形成された積層体110の第1端面113側を、容器90内に入れられた導電性ペースト91に浸ける。具体的には、第1端面113側の疎油膜190の端部が導電性ペースト91に接触するまで、積層体110を導電性ペースト91内に浸ける。これにより、積層体110の第1端面113から第1主面111、第2主面112、第1側面115および第2側面116に亘って導電性ペーストが塗布される。 【0085】 疎油膜190は、導電性ペースト91が積層体110の表面上で濡れ広がることを抑制する。そのため、第1および第2主面111,112に塗布された導電性ペースト91は、ほとんど疎油膜190上で濡れ広がらない。 【0086】 積層体110を容器90の内部から引き上げると、図11に示すように、積層体110の第1端面113側に導電性ペースト91が塗布されている。第1および第2側面115,116に塗布された導電性ペースト91が第2端面側に濡れ広がっているのに対して、第1および第2主面111,112に塗布された導電性ペースト91は、第2端面側にほとんど濡れ広がっていない。 【0087】 その結果、第1端面113と第2端面114とを最短で結ぶ方向(積層体110の長手方向L)において、第1主面111および第2主面112の各々に設けられた第1焼結金属層121の最大長さLaは、第1側面115および第2側面116の各々に設けられた第2焼結金属層131の最大長さLdより短くなる。 【0088】 同様に、積層体110の第2端面114側に、第2焼結金属層131を設ける。その結果、第1端面113と第2端面114とを最短で結ぶ方向(積層体110の長手方向L)において、第1主面111および第2主面112の各々に設けられた第2焼結金属層131の最大長さLbは、第1側面115および第2側面116の各々に設けられた第2焼結金属層131の最大長さLeより短くなる。 【0089】 導電性ペースト91を塗布した積層体110を加熱することにより、導電性ペースト91に含まれる金属成分を焼結させる。加熱温度は、700℃以上900℃以下であることが好ましい。なお、疎油膜190は導電性ペースト91を焼き付ける際に消失する。これにより、後述する導電性樹脂ペーストを積層体110に塗布することが可能となる。 【0090】 本実施形態においては、焼成後の積層体110の両端部に塗布した導電性ペースト91を焼き付けて第1および第2焼結金属層121,131を設けたが、焼成前の軟質積層体の両端部に塗布した導電性ペースト91を導電体層140と同時に焼成することにより第1および第2焼結金属層121,131を設けてもよい。」 (2)引用文献1の上記記載及び図面よれば、以下のことがいえる。 ア 段落【0021】、【0069】によれば、引用文献1には、積層された複数の誘電体層および複数の導電体層を含む直方体状の積層体と、積層体の両端部に設けられ、全ての導電体層と電気的に接続された1対の外部電極とを備えるセラミック電子部品の製造方法が記載されている。 イ 段落【0070】によれば、積層された複数の誘電体層および複数の導電体層を含む直方体状の積層体を準備することが記載されている。 また、段落【0071】ないし【0075】によれば、積層体は、公知のバインダー及びセラミック粉末を含むセラミックペーストを用いてセラミックグリーンシートを作製し、複数のセラミックグリーンシートを順次積層してマザー積層体を作製し、マザー積層体を所定の形状にカットして複数の直方体状の軟質積層体を作製し、軟質積層体を焼成することにより作製されることが記載されている。 よって、引用文献1に記載されたセラミック電子部品の製造方法では、公知のバインダー及びセラミック粉末を含むセラミックペーストを用いてセラミックグリーンシートを作製し、複数のセラミックグリーンシートを順次積層してマザー積層体を作製し、マザー積層体を所定の形状にカットして複数の軟質積層体を作製し、軟質積層体を焼成して作製された積層体が準備されるといえる。 ウ 段落【0076】によれば、セラミック電子部品の製造方法では、積層体の第1主面および第2主面のみに、または第2主面のみに疎油膜が形成する。 また、段落【0078】、【0085】によれば、疎油膜は、導電性ペーストが積層体の表面上で濡れ広がることを抑制するものである。 よって、引用文献1に記載されたセラミック電子部品の製造方法では、積層体の第1主面および第2主面のみに、または第2主面のみに、導電性ペーストが積層体の表面上で濡れ広がることを抑制する疎油膜が形成されるといえる。 エ 段落【0082】によれば、セラミック電子部品の製造方法では、疎油膜が形成された積層体の両端部に導電性ペーストが塗布される。 オ 段落【0089】によれば、セラミック電子部品の製造方法では、導電性ペーストが塗布された積層体を加熱することにより、導電性ペーストに含まれる金属成分が焼結される。 (3)以上アないしオによれば、引用文献1には、次の技術事項(以下、「引用文献1に記載された技術事項」という。)が記載されている。 「積層された複数の誘電体層および複数の導電体層を含む直方体状の積層体と、積層体の両端部に設けられ、全ての導電体層と電気的に接続された1対の外部電極とを備えるセラミック電子部品の製造方法において、 公知のバインダー及びセラミック粉末を含むセラミックペーストを用いてセラミックグリーンシートを作製し、複数のセラミックグリーンシートを順次積層してマザー積層体を作製し、マザー積層体を所定の形状にカットして複数の軟質積層体を作製し、軟質積層体を焼成して作製された積層体が準備され、 積層体の第1主面および第2主面のみに、または第2主面のみに、導電性ペーストが積層体の表面上で濡れ広がることを抑制する疎油膜が形成され、 疎油膜が形成された積層体の両端部に導電性ペーストが塗布され、 導電性ペーストが塗布された積層体を加熱することにより、導電性ペーストに含まれる金属成分が焼結されること。」 3 引用文献3について (1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。) 「【0020】 図1~図4に示すように、積層コンデンサ1は、複数の板状のセラミックグリーンシートを積層して一体化することによって略直方体形状に構成された素体2と、素体2の両端面側に形成された外部電極3,4とを備えて構成される。積層コンデンサ1は、例えば、長さが0.95mm~1.05mm程度に設定され、幅が0.45mm~0.55mm程度に設定され、高さが0.10mm~0.33mm程度に設定されている。 (中略) 【0025】 外部電極3,4は、素体2の外面にCuやNi、あるいはAg、Pd等を主成分とする導電性ペーストを例えば浸漬工法などによって付着させた後に所定温度(例えば、700℃程度)にて焼き付け、更に電気メッキを施すことにより形成される。電気メッキには、Cu、Ni、Sn等を用いることができる。」 (2)上記(1)の段落【0020】、【0025】によれば、引用文献3には、次の技術事項(以下、「引用文献3に記載された技術事項」という。)が記載されている。 「複数の板状のセラミックグリーンシートを積層して一体化することによって略直方体形状に構成された素体と、素体の両端面側に導電性ペーストを浸漬工法などによって付着させた後に所定温度(例えば、700℃程度)にて焼き付け形成される外部電極とを備えて構成される積層コンデンサにおいて、長さを0.95mm~1.05mm程度に設定し、幅を0.45mm~0.55mm程度に設定し、高さを0.10mm~0.33mm程度に設定すること。」 第5 対比、判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア 引用発明の「積層セラミックコンデンサ11」は、本願発明の「セラミック電子部品」に相当する。 そして、引用発明の「部品本体18」は「直方体形状」であることからすれば、「互いに対向する第1および第2の端面12および13と第1および第2の端面12および13間を連結する4つの側面14~17」とは、長さ方向に対向する2つの端面、高さ方向に対する2つの側面、幅方向に対向する2つの側面であるといえる。 よって、引用発明の「互いに対向する第1および第2の端面12および13と第1および第2の端面12および13間を連結する4つの側面14~17とを有する直方体形状の部品本体18を備える積層セラミックコンデンサ11の製造方法」と本願発明1とは、「6面を有する直方体形状であり、高さ方向に互いに相対する第1主面及び第2主面、長さ方向に互いに相対する第1端面及び第2端面、幅方向に互いに相対する第1側面及び第2側面を有する本体を備えるセラミック電子部品を製造する方法」である点で共通する。 ただし、本体に関し、本願発明1は「高さ方向の寸法をDH、前記長さ方向の寸法をDL、前記幅方向の寸法をDWとしたときに、DH<DW<DL、(1/7)DW≦DH≦(1/3)DW、又は、DH<0.25mmである」のに対し、引用発明はその旨特定されていない点で相違する。 イ 本願発明1の「改質」に関し、本願明細書には、 「【0003】 特許文献1には、本体に導電性ペーストが塗布される前に、本体の表面と導電性ペーストに含まれる溶剤との親和性を低くするために、本体の表面を改質(表面改質)する方法が開示されている。この方法を用いた場合、本体の表面上における導電性ペーストの広がりを抑制し、外部電極の縁端の丸みを抑制することができる。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 【特許文献1】特開2014-197666号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 特許文献1では、積層セラミックコンデンサの本体に対して表面改質が行われる。特許文献1における表面改質の対象物である「本体」は高温で焼成されたセラミックからなるので、表面改質の対象となる表面は焼成されたセラミックからなる面である。」(下線は当審で付与した) との記載がある。 ここで、上記「【特許文献1】特開2014-197666号公報」は、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(上記「第2」を参照)であるから、引用文献2の段落【0040】に記載された「部品本体18の少なくとも側面14~17に対して、導電性ペーストに含まれる溶剤に対する親和性を低くするための低親和化処理を施す、低親和化工程」を、本願明細書では、「本体に導電性ペーストが塗布される前に、本体の表面と導電性ペーストに含まれる溶剤との親和性を低くするために、本体の表面を改質(表面改質)する方法」と記載していることがわかる。 そして、引用発明の「少なくとも側面14~17」は、部品本体18の「表面」であるといえ、引用発明の「部品本体18」と本願発明1の「チップ」とは、ともに「部品」である点で共通する。 してみると、引用発明の「導電性ペーストに含まれる溶剤に対する親和性の低い材料を部品本体18の少なくとも側面14~17に付与する工程である低親和化工程」と本願発明1とは、「部品の表面に改質材を付与する工程」である点で共通する。 ウ ただし、本願発明1における「チップ」は、「セラミック及び有機物を含」み、「導電性ペーストとともに焼成」されるものであるところ、本願明細書の【0036】の「セラミックと有機物および溶媒等が混合されたセラミックスラリーを、キャリアフィルム上に・・(中略)・・塗布することによって、セラミックシートを得る。・・(中略)・・。セラミックシート上に、・・(中略)・・内部導体層となる導電膜を形成する。導電膜が形成されたセラミックシートを複数枚積層して、積層シートを得る。」、【0037】の「積層シートを・・(中略)・・加圧することで成形し、積層ブロックを得る。そして、積層ブロックが・・(中略)・・分割され、複数のチップが得られる。」、段落【0055】の「そして、導電性ペーストが塗布されたチップを焼成することにより、チップはセラミック電子部品を構成する本体となり、導電性ペーストが外部電極の一部である下地層となる。また、焼成により、チップを構成していた導電膜は内部導体層となりセラミックシートはセラミック層となる。」との記載も参酌すれば、「チップ」とは、未焼成のものであり、焼成されて「本体」となるものといえる。 一方、引用発明では、「導電性ペースト付与工程が終了した後、第1および第2の外部電極22および23を形成するため、部品本体18の第1および第2の端面12および13上に付与された導電性ペースト34を、ガラス成分を含む場合、が800℃程度の温度で焼き付け、熱硬化性樹脂を含む場合、熱硬化性樹脂が硬化する温度で焼き付ける熱処理工程が実施され」、「必要に応じて、外部電極22および23にめっきが施され、積層セラミックコンデンサ11が完成され」るところ、熱硬化性樹脂が硬化する温度はセラミックの焼成温度よりかなり低温であることは普通に知られていることから、未焼成の「部品本体18」ではなく、すでに焼成された「部品本体18」に対して、導電ペースト塗布工程および熱処理工程が実施されることは明らかである。 そして、引用発明では、「複数のセラミック層19」と「複数の第1および第2の内部電極20および21とを備え」る「部品本体18」を「用意」した上で、「部品本体18」に「低親和化工程」が実施されるのであるから、「低親和化工程」でも、すでに焼成された「部品本体18」に対して行われていると考えるのが自然である。 してみると、部品の表面に改質材を付与する工程に関し、本願発明1は「前記セラミック電子部品の本体と同じ6面を有する直方体形状であり、セラミック及び有機物を含む」未焼成の「チップ」に付与するのに対し、引用発明は、すでに焼成された「部品本体18」に付与する点で相違する。 エ 本願発明1の「導電性ペーストを塗布」に関し、本願明細書段落【0048】に「次に、改質材が付与されたチップの表面に導電性ペーストを塗布する。導電性ペーストは外部電極となるためのペーストであり、例えば浸漬法を用いて塗布することができる。図6は、浸漬法によりチップに導電性ペーストを塗布する工程の一例を示す模式図である。」と記載されていることから、本願発明1の「導電性ペーストを塗布する工程」とは、「浸漬法を用いて塗布すること」も含む。 そして、上記イで述べたように、引用発明の「部品本体18」と本願発明1の「チップ」とは、ともに「部品」である点で共通する。 してみると、引用発明の「低親和化処理が実施された部品本体18の第1および第2の端面12および13を、部品本体18の側面14~17の各一部が導電性ペースト膜によって覆われる深さまで、導電性ペースト膜中に浸漬させる導電性ペースト付与工程」と本願発明1とは、「改質材が付与された部品の前記第1端面に設けられ、かつ、前記第1端面から前記第1主面、前記第2主面、前記第1側面及び前記第2側面のそれぞれの一部に延びるように、さらに、前記改質材が付与された前記部品の前記第2端面に設けられ、かつ、前記第2端面から前記第1主面、前記第2主面、前記第1側面及び前記第2側面のそれぞれの一部に延びるように、前記部品の表面に導電性ペーストを塗布する工程」である点で共通する。 ただし、部品の表面に導電性ペーストを塗布する工程に関し、本願発明1は、未焼成の「チップ」に塗布するのに対し、引用発明は、すでに焼成された「部品本体18」に塗布する点で相違する。 オ 引用発明の「導電性ペーストを焼き付ける熱処理工程」により、「導電性ペースト」が焼成されることは明らかである。 そして、上記イで述べたように、引用発明の「部品本体18」と本願発明1の「チップ」とは、ともに「部品」である点で共通する。 してみると、引用発明の「導電性ペースト付与工程が終了した後、第1および第2の外部電極22および23を形成するため、部品本体18の第1および第2の端面12および13上に付与された導電性ペースト34が、ガラス成分を含む場合、800℃程度の温度で焼き付けられ、熱硬化性樹脂を含む場合、熱硬化性樹脂が硬化する温度で焼き付けられる熱処理工程」と本願発明1とは、「部品に塗布された導電性ペーストを焼成する工程」である点で共通する。 ただし、部品に塗布された導電性ペーストを焼成する工程に関し、本願発明1は、未焼成の「チップ及び前記チップに塗布された前記導電性ペーストをともに」焼成するのに対し、引用発明は、すでに焼成された「部品本体18」に「付与された導電性ペーストを焼き付ける点で相違する。 カ 上記イで述べたように、引用発明の「部品本体18」と本願発明1の「チップ」とは、ともに「部品」である点で共通する。 してみると、引用発明の「低親和化処理工程は、部品本体18をフッ素を含有する液体中へ浸漬することによって達成される」ことと本願発明1とは、「改質材を付与する工程では、改質材を含む溶液に部品を浸漬する」点で共通する。 ただし、改質材を付与する工程に関し、本願発明1は、改質材を含む溶液に未焼成の「チップ」を浸漬するのに対し、引用発明は、すでに焼成された「部品本体18」を浸漬する点で相違する。 上記アないしカによれば、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点及び相違点があるといえる。 (一致点) 「6面を有する直方体形状であり、高さ方向に互いに相対する第1主面及び第2主面、長さ方向に互いに相対する第1端面及び第2端面、幅方向に互いに相対する第1側面及び第2側面を有する本体を備えるセラミック電子部品を製造する方法であって、 部品の表面に改質材を付与する工程と、 改質材が付与された前記部品の前記第1端面に設けられ、かつ、前記第1端面から前記第1主面、前記第2主面、前記第1側面及び前記第2側面のそれぞれの一部に延びるように、さらに、前記改質材が付与された前記部品の前記第2端面に設けられ、かつ、前記第2端面から前記第1主面、前記第2主面、前記第1側面及び前記第2側面のそれぞれの一部に延びるように、前記部品の表面に導電性ペーストを塗布する工程と、 前記部品に塗布された前記導電性ペーストを焼成する工程と、 を備え、 前記改質材を付与する工程では、改質材を含む溶液に前記部品を浸漬するセラミック電子部品の製造方法。」 (相違点1) 本体に関し、本願発明1は、「高さ方向の寸法をDH、長さ方向の寸法をDL、幅方向の寸法をDWとしたときに、DH<DW<DL、(1/7)DW≦DH≦(1/3)DW、又は、DH<0.25mmである」のに対し、引用発明はその旨特定されていない点。 (相違点2) 部品の表面に改質材を付与する工程に関し、本願発明1は「前記セラミック電子部品の本体と同じ6面を有する直方体形状であり、セラミック及び有機物を含む」未焼成の「チップ」に付与するのに対し、引用発明は、すでに焼成された「部品本体18」に付与する点で相違する。 (相違点3) 部品の表面に導電性ペーストを塗布する工程に関し、本願発明1は、未焼成の「チップ」に塗布するのに対し、引用発明は、すでに焼成された「部品本体18」に塗布する点で相違する。 (相違点4) 部品に塗布された導電性ペーストを焼成する工程に関し、本願発明1は、未焼成の「チップ及び前記チップに塗布された前記導電性ペーストをともに」焼成するのに対し、引用発明は、すでに焼成された「部品本体18」に「付与された導電性ペーストを焼き付ける点で相違する。 (相違点5) 改質材を付与する工程に関し、本願発明1は、改質材を含む溶液に未焼成の「チップ」を浸漬するのに対し、引用発明は、すでに焼成された「部品本体18」を浸漬する点で相違する。 (2)相違点についての判断 本願発明1は、未焼成の「チップ」に対し、改質材を付与する工程を行うのに対し、引用発明では、焼成された「部品本体18」に対し、改質材を付与する工程で相違するものである。 従って、上記の点について、以下、検討する。 ア 引用文献1に記載された技術には、バインダー、すなわち有機物を含むセラミックグリーンシートを積層し、さらにカットして軟質積層体とし、該軟質積層体を焼成して積層体とし、積層体に導電性ペーストが表面上で濡れ広がることを抑制する疎油膜を形成することが示されているにすぎず、未焼成の「チップ」に「改質材」を付与することは記載も示唆もされていない。 よって、引用文献1に記載された技術を考慮しても、引用発明において、未焼成の「チップ」に対して低親和化工程を実施することは、当業者であっても、容易に想到し得ないことである。 イ なお、引用文献1の段落【0090】には、「焼成前の軟質積層体の両端部に塗布した導電性ペーストを導電体層と同時に焼成しても」よいと記載されている。 しかし、該記載は、引用文献1における「疎油膜」の形成時期との関連を考慮に入れてなされた記載ではなく、単なる例文に過ぎないから、該記載のみから、「『疎油膜』の形成と『導電ペースト』の塗布とを行ってから、軟質磁性体を焼成する」との技術思想を読み取ることはできない。 ウ また、引用文献3には、「素材」に「改質材」を付与することは記載されていないから、引用文献3に記載された技術を考慮しても、引用発明において「部品本体18」に対して低親和化工程と、それに続く導電ペースト塗布工程を実施し、その後に「部品本体18」を焼成することは、当業者であっても、容易に想到し得ないことである。 エ さらに、本願明細書を参照すると、本願発明1は、特許文献1(原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2)に記載された、外部電極の縁端の丸みを抑制するため、本体に導電性ペーストを塗布する前に本体の表面を改質(表面改質)する方法では、本体の表面が高温で焼成されたセラミックからなる面であり、面改質に使用する材料がセラミックとの親和性があまり高くないことから、短時間の表面改質処理では表面改質の効果はそれほど得られないという課題(本願明細書の段落【0003】、【0005】、【0006】を参照)を解決するために成されたものであり、無機物であるセラミックよりも有機物のほうが改質材を吸着しやすく、セラミック及び有機物を含むチップの表面に改質材を付与することにより、チップ表面の改質をより確実に行うことができる(本願明細書の段落【0013】を参照)という効果を奏するものである。 してみると、本願発明が奏する効果は、引用発明が奏する効果とは異質な効果であるといえる。さらに、引用文献2、1、3に、無機物であるセラミックよりも有機物のほうが改質材を吸着しやすいこと、及び、セラミック及び有機物を含むチップの表面に改質材を付与することによりチップ表面の改質をより確実に行うことができることを開示及び示唆する記載はないことから、本願発明が奏する効果は、当業者が引用発明、引用文献1に記載された技術事項、及び引用文献3に記載された技術事項から予測し得たものであるとはいえない。 したがって、本願発明1は、当業者が引用発明、引用文献1に記載された技術、及び引用文献3に記載された技術から予測し得ない格別顕著な効果を奏するといえる。 カ よって、相違点2に係る構成は、引用発明、引用文献1に記載された技術、及び引用文献3に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)以上から、相違点1、3ないし5について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用文献2に記載された発明、引用文献1に記載された技術、及び引用文献3に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 2 本願発明2ないし4について 本願発明2ないし4は、本願発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用文献2に記載された発明、引用文献1に記載された技術、及び引用文献3に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 第6 むすび 以上のとおり、本願請求項1ないし4に係る発明は、引用文献2に記載された発明、引用文献1に記載された技術、及び引用文献3に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明できたものではない。 したがって、原査定の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2020-015920

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  • 2025-014717拒絶査定不服審判 / 2026-08-19 / 原査定取消(特許/登録すべき)コンデンサアレイ
    共通の審決分類: 121・H01G
  • 2025-012929拒絶査定不服審判 / 2026-08-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)リチウムイオンキャパシタの製造方法
    共通の審決分類: 121・H01G
  • 2025-014774拒絶査定不服審判 / 2026-07-27 / 原査定取消(特許/登録すべき)電解コンデンサ、および、その製造方法
    共通の審決分類: 121・H01G
  • 2025-016097拒絶査定不服審判 / 2026-07-27 / 原査定取消(特許/登録すべき)電解コンデンサおよびその製造方法
    共通の審決分類: 121・H01G

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