2020-015790
高い活性質量装填量を有するスーパーキャパシタ電極およびセル
- 審判番号
- 2020-015790
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-526770外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年11月16日
- 審決日
- 2022年01月14日
- 公報発行日
- 2022年02月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ナノテク インスツルメンツ インク
- 【請求人代理人】末成 幹生
- 分類
- P18 .121-WY (H01G) / P18 .537-WY (H01G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
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結論
理由
目次 ▾ 15項目
第1 手続の経緯
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本願は、2016年11月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2015年11月23日、米国)を国際出願日とする出願であって、令和元年11月15日に手続補正がされ、令和元年11月28日付けで拒絶理由通知がされ、令和2年5月22日に手続補正がされ、令和2年7月9日付けで拒絶査定され、令和2年11月16日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がされ、当審において、令和3年5月25日付けで拒絶理由通知がされ、令和3年11月25日に手続補正(以下、「本件補正」という。)がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(令和2年7月9日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
「理由2本願請求項1ないし33に係る発明(本件補正後の請求項1ないし29に係る発明)は、以下の引用文献1ないし3に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。引用文献等一覧1.国際公開第2013/073526号2.特開2012-186142号公報(周知技術を示す文献)3.特開2011-35205号公報(周知技術を示す文献)」
第3 本願発明
本願請求項1ないし29に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明29」という。)は、本件補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし29に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「【請求項1】スーパーキャパシタセルを製造するための方法であって、(A)複数の導電性多孔質層と、第1の液体またはゲルの電解質と混合されたアノード活性材料および任意選択の導電性添加剤を含有しかつバインダーを含有しない複数の湿潤アノード層と、第2の液体またはゲルの電解質と混合されたカソード活性材料および任意選択の導電性添加剤を含有しかつバインダーを含有しない複数の湿潤カソード層とを用意するステップであって、前記導電性多孔質層が、相互接続された電子伝導経路と、少なくとも80体積%の細孔とを含むステップと、(B)所望の数の前記導電性多孔質層および所望の数の前記湿潤アノード層を積層して圧密化して、400μm~5mmの厚さを有するアノード電極を形成するステップと、続きを表示(全73行)(C)多孔質セパレータ層を前記アノード電極と接触させて配置するステップと、(D)所望の数の前記導電性多孔質層および所望の数の前記湿潤カソード層を積層して圧密化して、前記多孔質セパレータ層と接触するカソード電極を形成するステップであって、ここで、前記カソード電極が400μm~5mmの厚さを有し;ステップ(D)がステップ(B)の前または後に行われるステップと、(E)前記アノード電極、前記多孔質セパレータ層、および前記カソード電極を組み立ててハウジング内に封止して、前記スーパーキャパシタセルを製造するステップとを含み、前記アノード電極および/または前記カソード電極が、20mg/cm2~100mg/cm2の活性材料質量装填量を有し、前記アノード活性材料および/または前記カソード活性材料が、複数の炭素材料粒子および複数のグラフェンシートを含み、ここで、前記複数のグラフェンシートが、単層グラフェン、または1~10個のグラフェン面をそれぞれが有する少数層グラフェンを含み、前記複数の炭素材料粒子が、乾燥状態で測定したとき、500m2/g~2500m2/gの比表面積を有し、前記グラフェンは、黒鉛をインターカレーションして得られる黒鉛インターカレーション化合物(GIC)または酸化黒鉛(GO)であることを特徴とする、方法。【請求項2】スーパーキャパシタセル用の電極を製造するための方法であって、(a)複数の導電性多孔質層と、液体またはゲル電解質と混合された電極活性材料および任意選択の導電性添加剤を含有しかつバインダーを含有しない複数の湿潤電極層とを用意するステップであって、前記導電性多孔質層が、相互接続された導電経路と、少なくとも80体積%の細孔とを含むステップと、(b)所望の数の前記多孔質層および所望の数の前記湿潤電極層を積層して圧密化して、400μm~5mmの厚さを有する電極を形成するステップとを含み、前記電極が、20mg/cm2~100mg/cm2の活性材料質量装填量を有し、前記電極活性材料が、複数の炭素材料粒子および複数のグラフェンシートを含み、ここで、前記複数のグラフェンシートが、単層グラフェン、または1~10個のグラフェン面をそれぞれが有する少数層グラフェンを含み、前記複数の炭素材料粒子が、乾燥状態で測定したとき、500m2/g~2500m2/gの比表面積を有し、前記グラフェンは、黒鉛をインターカレーションして得られる黒鉛インターカレーション化合物(GIC)または酸化黒鉛(GO)であることを特徴とする、方法。【請求項3】前記電極がカソード電極であり、前記方法がさらに、(c)プレリチウム化またはプレナトリウム化されたアノード活性材料を含むアノード電極を供給するステップと、(d)前記アノード電極と、多孔質セパレータと、前記カソード電極とを積層して、リチウムイオンキャパシタまたはナトリウムイオンキャパシタを形成するステップとを含む、請求項2に記載の方法。【請求項4】前記導電性多孔質層が、少なくとも85体積%の細孔を有する請求項1に記載の方法。【請求項5】前記導電性多孔質層が、少なくとも90体積%の細孔を有する請求項1に記載の方法。【請求項6】前記導電性多孔質層が、少なくとも95体積%の細孔を有する請求項1に記載の方法。【請求項7】前記導電性多孔質層が、金属発泡体、金属ウェブまたはスクリーン、穿孔された金属シートベースの3D構造、金属繊維マット、金属ナノワイヤマット、導電性ポリマーナノファイバマット、導電性ポリマー発泡体、導電性ポリマー被覆ファイバ発泡体、炭素発泡体、黒鉛発泡体、炭素エアロゲル、炭素ゼロックスゲル、グラフェン発泡体、酸化グラフェン発泡体、還元酸化グラフェン発泡体、炭素繊維発泡体、黒鉛繊維発泡体、剥離黒鉛発泡体、またはそれらの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。【請求項8】前記アノード活性材料またはカソード活性材料が、(a)グラフェンシートのみ;(b)炭素材料と混合されたグラフェンシート;(c)擬似容量を生成するためにグラフェンシートとの酸化還元対を形成するパートナー材料と混合されたグラフェンシート;または(d)擬似容量を生成するためにグラフェンシートまたは炭素材料との酸化還元対を形成するパートナー材料と混合されたグラフェンシートおよび炭素材料から選択され、ここで、前記アノード電極内に他のアノード活性材料がなく、前記カソード電極内に他のカソード活性材料がない、請求項1に記載の方法。【請求項9】前記湿潤アノード層内の前記アノード活性材料と前記電解質との体積比が、1/5~20/1であり、および/または前記湿潤カソード層内の前記カソード活性材料と前記電解質との体積比が1/5~20/1である請求項1に記載の方法。【請求項10】前記湿潤アノード層内の前記アノード活性材料と前記電解質との体積比が、1/3~5/1であり、および/または前記湿潤カソード層内の前記カソード活性材料と前記電解質との体積比が1/3~5/1である請求項1に記載の方法。【請求項11】前記アノード活性材料またはカソード活性材料が、金属酸化物、導電性ポリマー、有機材料、非グラフェン炭素材料、無機材料、またはそれらの組合せから選択される酸化還元対パートナー材料をさらに含み、前記パートナー材料が、グラフェンまたは炭素材料と組み合わさって、擬似容量のための酸化還元対を形成する、請求項1に記載の方法。【請求項12】前記電極活性材料からなるアノード活性材料またはカソード活性材料が、金属酸化物、導電性ポリマー、有機材料、非グラフェン炭素材料、無機材料、またはそれらの組合せから選択される酸化還元対パートナー材料をさらに含み、前記パートナー材料が、グラフェンまたは炭素材料と組み合わせて、擬似容量のための酸化還元対を形成する、請求項2に記載の方法。【請求項13】前記金属酸化物が、RuO2、IrO2、NiO、MnO2、VO2、V2O5、V3O8、TiO2、Cr2O3、Co2O3、Co3O4、PbO2、Ag2O、またはそれらの組合せから選択される、請求項11に記載の方法。【請求項14】前記無機材料が、金属炭化物、金属窒化物、金属ホウ化物、金属ジカルコゲナイド、またはそれらの組合せから選択される、請求項11に記載の方法。【請求項15】前記金属酸化物または無機材料が、ナノワイヤ、ナノディスク、ナノリボン、またはナノプレートレットの形態での、ニオブ、ジルコニウム、モリブデン、ハフニウム、タンタル、タングステン、チタン、バナジウム、クロム、コバルト、マンガン、鉄、またはニッケルの酸化物、ダイカルコゲナイド、トリカルコゲナイド、硫化物、セレン化物、またはテルル化物から選択される請求項12に記載の方法。【請求項16】前記無機材料が、(a)セレン化ビスマスもしくはテルル化ビスマス、(b)遷移金属ダイカルコゲナイドもしくはトリカルコゲナイド、(c)ニオブ、ジルコニウム、モリブデン、ハフニウム、タンタル、タングステン、チタン、コバルト、マンガン、鉄、ニッケル、もしくは遷移金属の硫化物、セレン化物、もしくはテルル化物、(d)窒化ホウ素、または(e)それらの組合せ、から選択される無機材料のナノディスク、ナノプレートレット、ナノコーティング、またはナノシートから選択され、ここで、前記ディスク、プレートレット、またはシートが100nm未満の厚さを有する請求項11に記載の方法。【請求項17】前記アノード活性材料および/または前記カソード活性材料が、(i)セレン化ビスマスもしくはテルル化ビスマス、(ii)遷移金属ダイカルコゲナイドもしくはトリカルコゲナイド、(iii)ニオブ、ジルコニウム、モリブデン、ハフニウム、タンタル、タングステン、チタン、コバルト、マンガン、鉄、ニッケル、もしくは遷移金属の硫化物、セレン化物、もしくはテルル化物、(iv)窒化ホウ素、または(v)それらの組合せ、から選択される無機材料のナノディスク、ナノプレートレット、ナノコーティング、またはナノシートを含み、ここで、前記ディスク、プレートレット、コーティング、またはシートが、乾燥状態で測定したときに、100nm未満の厚さと、200m2/g~2500m2/gの比表面積とを有する請求項1に記載の方法。【請求項18】前記アノード活性材料またはカソード活性材料が、純粋グラフェン、酸化グラフェン、還元酸化グラフェン、フッ化グラフェン、塩化グラフェン、臭化グラフェン、ヨウ化グラフェン、水素化グラフェン、窒素化グラフェン、ホウ素ドープされたグラフェン、窒素ドープされたグラフェン、化学的に官能化されたグラフェン、またはそれらの組合せから選択されるグラフェンシートをさらに含む請求項17に記載の方法。【請求項19】前記アノード活性材料またはカソード活性材料が、炭素材料、グラフェン材料、金属酸化物、導電性ポリマー、有機材料、またはそれらの組合せから選択される酸化還元対パートナー材料をさらに含み、前記パートナー材料が、前記無機材料と組み合わさって、擬似容量を得るための酸化還元対を形成する、請求項17に記載の方法。【請求項20】前記金属酸化物が、RuO2、IrO2、NiO、MnO2、VO2、TiO2、Cr2O3、Co2O3、Co3O4、PbO2、Ag2O、またはそれらの組合せから選択される、請求項19に記載の方法。【請求項21】 前記炭素材料が、活性炭、活性化メソカーボンマイクロビーズ、活性化黒鉛、活性化または化学的にエッチングされたカーボンブラック、活性化硬質炭素、活性化軟質炭素、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ、活性化カーボン繊維、活性化黒鉛繊維、剥離黒鉛ワーム、活性化黒鉛ワーム、活性化膨張黒鉛フレーク、またはそれらの組合せから選択される請求項1に記載の方法。【請求項22】前記炭素材料が、活性炭、活性化メソカーボンマイクロビーズ、活性化黒鉛、活性化または化学的にエッチングされたカーボンブラック、活性化硬質炭素、活性化軟質炭素、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ、活性化カーボン繊維、活性化黒鉛繊維、剥離黒鉛ワーム、活性化黒鉛ワーム、活性化膨張黒鉛フレーク、またはそれらの組合せから選択される請求項2に記載の方法。【請求項23】前記第1の液体電解質または前記第2の液体電解質が、水性液体、有機液体、イオン性液体、または有機液体とイオン性液体の混合物から選択される請求項1に記載の方法。【請求項24】前記アノード活性材料が前記カソード活性材料と異なる、請求項1に記載の方法。【請求項25】少なくとも1つの保護被膜を供給して、前記少なくとも1つの多孔質表面を覆って、保護された電極を形成するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。【請求項26】前記アノード活性材料または前記カソード活性材料が、10mg/cm2~100mg/cm2の電極活性材料装填量を構成し、および/または前記アノード電極または前記カソード電極が200μm~5mmの厚さを有する、請求項1に記載の方法。【請求項27】前記電極活性材料からなるアノードまたはカソード活性材料装填量が15mg/cm2~100mg/cm2であり、前記アノード活性材料と前記カソード活性材料の合計が、前記スーパーキャパシタセルの40重量%を超え、および/または前記電極からなるアノード電極またはカソード電極が300μm~5mmの厚さを有する、請求項2に記載の方法。【請求項28】前記アノード活性材料またはカソード活性材料の装填量が20mg/cm2~100mg/cm2であり、前記アノード活性材料と前記カソード活性材料の合計が、前記スーパーキャパシタセルの50重量%を超え、および/または前記アノード電極またはカソード電極が400μm~5mmの厚さを有する、請求項1に記載の方法。【請求項29】前記電極活性材料からなるアノード活性材料とカソード活性材料との合計が、前記スーパーキャパシタセルの60重量%を超え、および/または前記電極からなるアノード電極またはカソード電極が500μm~5mmの厚さを有する、請求項2に記載の方法。」
第4 当審拒絶理由について
1 当審では、
(1)請求項2、請求項14、請求項29及び請求項31に記載された「前記」に該当する記載が見当たらないため、これらの請求項の意味が不明確である。
(2)請求項8、9の記載は、これらが引用する請求項1、2を技術的に限定するものとなっていない。
よって、請求項2、8、9、14、29、31及びこれらの記載を引用する請求項3、17、24、27に係る発明は明確でなく、この出願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない、との拒絶の理由を通知した。
2 これに対し、本件補正によって、
(1)請求項2の「前記湿潤アノード層」が「前記湿潤電極層」と補正され、
(2)請求項14(本件補正後の請求項12)の「前記アノード活性材料またはカソード活性材料」が「前記電極活性材料からなるアノード活性材料またはカソード活性材料」と補正され、
(3)請求項29(本件補正後の請求項27)の「アノードまたはカソード活性材料装填量」及び該記載を受けた「前記アノード電極またはカソード電極」との記載が、それぞれ「前記電極活性材料からなるアノードまたはカソード活性材料装填量」及び「前記電極からなるアノード電極またはカソード電極」と補正され、
(4)請求項31(本件補正後の請求項29)の「アノード活性材料とカソード活性材料」及び該記載を受けた「前記アノード電極またはカソード電極」との記載が、それぞれ「前記電極活性材料からなるアノード活性材料とカソード活性材料」及び「前記電極からなるアノード電極またはカソード電極」と補正され、
(5)さらに、請求項8、9が削除された。
3 上記2(1)ないし(5)の補正によって、当審で通知した拒絶の理由は解消した。
第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
「[0001] 本発明は、蓄電デバイス用電極、蓄電デバイスおよび蓄電デバイス用電極の製造方法に関する。」
「[0059]・・・(省略)・・・(三次元網目状金属多孔体)三次元網目状金属多孔体は、蓄電デバイス用電極において集電体の役割を担っている。」
「[0065] 三次元網目状金属多孔体の内部空間の体積が占める気孔率はとくに限定されるものではないが、80%~98%程度とするのが好ましい。」
「[0066] 本発明の蓄電デバイス用電極によれば、バインダーを用いなくても、活物質を集電体である三次元網目状金属多孔体の孔中に保持することができる。したがって、本発明の一実施の形態において蓄電デバイス用電極はバインダーを含まないことが好ましい。」
「[0067]・・・省略・・・(導電助剤)蓄電デバイス用電極は導電助剤を含んでいても良い。」
「[0073] 電極の厚さは、電極の単位面積あたりの放電容量の観点からは、0.2mm以上1.0mm以下の範囲とすることが好ましい。また、単位面積あたりの出力の観点からは、0.05mm以上0.5mm以下の範囲とすることが好ましい。」
「[0074] イオン液体吸収体の物性や孔径はとくに限定されるものではないが、親水性のイオン液体(たとえば、EMI-BF4、DEME-BF4、C13-BF4など)」
「実施例 1[0083] 本実施例では、・・・(省略)・・・[実施例1-1、1-2、1-3、1-4](混練物の作製)単層CNTとEMI-BF4とを用いて、単層CNTの量が、単層CNTとEMI-BF4の合計質量の7質量%となるように準備した。次に、単層CNTとEMI-BF4とを乳鉢を用いて10分間混練して混練物を得た。(蓄電デバイス用電極の作製)三次元網目状アルミニウム多孔体(平均孔径550μm、厚さ1.0mm)を準備し、予めロールプレスにより厚さ300μmに調整した。次に、厚さを調整した三次元網目状アルミニウム多孔体の上面に各実施例の混練物を置き、スキージを使用して多孔体内部に摺りこんだ。(電気二重層キャパシタの作製)本発明の蓄電デバイス用電極を直径15mm(電極面積1.77cm2)の円状に2枚打ち抜き、それぞれ正極電極、負極電極とした。セルロース繊維製セパレータ(ニッポン高度紙工業社製の「TF4035」、厚さ35μm)を挟んで対向して配置させ、R2032型のコインセルケースに収納した。次にコインセルケース内に電解液としてEMI-BF4を注入し、その後ケースを封口して、コイン型の電気二重層キャパシタを作製した。」
「実施例 3[0095] 本実施例では、電極の厚さを変化させることにより、電極の単位体積中に存在する活物質(単層CNT)濃度を変化させた場合の、電気二重層キャパシタの性能を評価した。[実施例3-1~3-4](混練物の作製)単層CNTとEMI-BF4とを用いて、実施例1と同様の方法で混練物を得た。なお、単層CNTの量が、単層CNTとEMI-BF4の合計量の7質量%となるように準備した。(蓄電デバイス用電極の作製)実施例1と同様の方法で混練物を三次元網目状アルミニウム多孔体(実施例3-1、3-2、3-4:平均孔径550μm、厚さ1.0mm、実施例3-3:平均孔径850μm、厚さ1.0mm)中に摺りこんだ。次に、電極の両面にポリテトラフルオロエチレン製メンブレンフィルタ(ミリポア社製の「オムニポアメンブレン」)を設置した後、30MPa(実施例3-1)または300MPa(実施例3-2、3-3)の圧力で一軸圧延して、それぞれ厚さ285μm(実施例3-1)、198μm(実施例3-2)、158μm(実施例3-3)の電極を得た。[0096] 実施例3-4は、厚さ1mmの電極に前記メンブレンフィルタを設置した後、30~450MPaの範囲で段階的に昇圧しつつ圧延した後、最後にメンブレンフィルタを外して450MPaで圧延し、厚さ140μmの電極を得た。(電気二重層キャパシタの作製)各実施例について、実施例1と同様の方法でコイン(R2032)型の電気二重層キャパシタを得た。」
「実施例 8
[0121] 本実施例では、混練物中の活物質としてグラフェンおよび単層CNTを用いた場合の電気二重層キャパシタの性能を評価した。
[実施例8-1~8-3]
(混練物の作製)
単層CNTとグラフェンとEMI-BF4とを用いて、実施例1と同様の方法で混練物を得た。なお、単層CNTとグラフェンとEMI-BF4
の合計量に対するグラフェンの割合と単層CNTの割合が、実施例8-1では、それぞれ0.7質量%と6.3質量%、実施例8-2では、それぞれ3.5質量%と3.5質量%、実施例8-3では、それぞれ0.7質量%と6.3質量%となるように準備した。
(蓄電デバイス用電極の作製)
実施例8-1、8-2は、実施例1と同様の方法で、厚さ300μmの電極を得た。
[0122] 実施例8-3は、実施例3-2と同様の方法で、厚さ188μmの電極を得た。なお、表8中、電極の活物質含有量は、単層CNTとグラフェンとEMI-BF4との合計量に対する単層CNTの割合、グラフェンの割合を示している。
(電気二重層キャパシタの作製)
各実施例について、実施例1と同様の方法でコイン(R2032)型の電気二重層キャパシタを得た。
<性能評価>
実施例1と同様の方法で、作動電圧範囲、静電容量およびエネルギー密度を評価した。
[0123] 評価結果を表8に示す。
[0124]
[図:0001381401000001.jpg]
(2)上記記載から、引用文献1には、実施例8-3に着目すれば、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
ア 段落[0001]、[0122]より、引用文献1は、蓄電デバイスである「電気二重層キャパシタ」の「製造方法」に関するものであることがわかる。
イ 「実施例 8」に係る段落[0121]、[0122]より、「活物質としてグラフェンおよび単層CNTを用い」、「単層CNTとグラフェンとEMI-BF4とを用いて」、「混練物を得」、「実施例8-3は、実施例3-2と同様の方法で、厚さ188μmの電極」「(蓄電デバイス用電極)」「を得」、「各実施例について、実施例1と同様の方法でコイン」、「型の電気二重層キャパシタを得た。」との技術的事項を読み取ることができる。
ウ 「実施例 1」に係る段落[0083]より、「三次元網目状アルミニウム多孔体の上面に各実施例の混練物を置き、スキージを使用して多孔体内部に摺りこ」み、「蓄電デバイス用電極を」、「2枚打ち抜き、それぞれ正極電極、負極電極とし」、「セパレータ」「を挟んで対向して配置させ、」「コインセルケースに収納し」、「次にコインセルケース内に電解液としてEMI-BF4を注入し、その後ケースを封口して、コイン型の電気二重層キャパシタを作製した。」との技術的事項を読み取ることができる。
エ 「実施例 3」に係る段落[0095]より、「実施例1と同様の方法で混練物を三次元網目状アルミニウム多孔体(実施例3-2)」、「中に摺りこ」み、「次に、」「一軸圧延して、」「(実施例3-2)」、「電極を得た。」との技術的事項を読み取ることができる。
オ 段落[0066]、[0073]より、「蓄電デバイス用電極はバインダーを含まないことが好まし」く、「電極の厚さは、電極の単位面積あたりの放電容量の観点からは、0.2mm以上1.0mm以下の範囲とすることが好ましい。」との技術的事項を読み取ることができる。
カ 段落[0067]より、「蓄電デバイス用電極は導電助剤を含んでいても良い。」との技術的事項を読み取ることができる。
キ 段落[0059]、[0065]より、「三次元網目状金属多孔体は、蓄電デバイス用電極において集電体の役割を担」い、「気孔率は」「80%~98%程度とするのが好ましい。」との技術的事項を読み取ることができる。
ク 段落[0124][表8]の実施例8-3欄には、「電極」における「単極中の活物質含有量(mg)」が、「グラフェン 6」「単層CNT 60」であることが記載されている。
そして、段落[0083]には「蓄電デバイス用電極」について、「電極面積1.77cm2」と記載されているから、実施例8-3における単位面積当たりの活物質の質量は37mg/cm2(=(60+6)/1.77)であることがわかる。
(3)上記(2)イにおける「実施例3-2と同様の方法」を、上記(2)エの(実施例3-2)の方法(さらに、「実施例1と同様の方法」)に読み替え、上記(2)イにおける「実施例1と同様の方法」を、上記(2)ウに記載された「実施例 1」の方法に読み替えると、上記(2)ア、イ、オないしクより、上記引用文献1には、実施例8-3として、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「電気二重層キャパシタの製造方法であって、活物質としてグラフェンおよび単層CNTを用い、単層CNTとグラフェンとEMI-BF4とを用いて、混練物を得、混練物を三次元網目状アルミニウム多孔体の上面に置き、スキージを使用して多孔体内部に摺りこみ、次に、一軸圧延して、厚さ188μmの電極(蓄電デバイス用電極)を得、蓄電デバイス用電極を、2枚打ち抜き、それぞれ正極電極、負極電極とし、セパレータを挟んで対向して配置させ、コインセルケースに収納し、次にコインセルケース内に電解液としてEMI-BF4を注入し、その後ケースを封口して、コイン型の電気二重層キャパシタを作製し、単位面積当たりの活物質の質量は37g/cm2であり、蓄電デバイス用電極はバインダーを含まないことが好ましく、電極の厚さは、電極の単位面積あたりの放電容量の観点からは、0.2mm以上1.0mm以下の範囲とすることが好ましく、蓄電デバイス用電極は導電助剤を含んでいても良く、三次元網目状金属多孔体は、蓄電デバイス用電極において集電体の役割を担い、気孔率は80%~98%程度とするのが好ましい、方法。」
2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2の段落【0049】には、次の事項が記載されている。
「なお、正極合剤スラリーを作製する際に用いる有機溶剤としては、アルミニウム多孔体に充填する材料(即ち、活物質、導電助剤、バインダー、及び必要に応じて固体電解質)に対して悪影響を及ぼさないものであれば、適宜選択することができる。」
3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3の段落【0014】には、次の事項が記載されている。
「正極11は、例えば、正極集電体11Aの一面に正極活物質層11Bを有している。正極集電体11Aは、例えば、アルミニウム(Al)などの金属材料により構成されている。正極活物質層11Bは、活物質、イオン液体および高分子化合物を含んでおり、必要に応じて導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。なお、上記した活物質、イオン液体および高分子化合物などは、それぞれ1種でも2種以上でもよい。」
第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明1における「三次元網目状アルミニウム多孔体」が、本願発明1における「(A)複数の導電性多孔質層と」に相当する。
イ 引用発明1における「活物質としてグラフェンおよび単層CNTを用い、単層CNTとグラフェンとEMI-BF4とを用いて」「得」た「混練物」であって、「バインダーを含まない」が「導電助剤を含んでいても良い」、「負極電極」に用いられる「混練物」が、本願発明1における「第1の液体またはゲルの電解質と混合されたアノード活性材料および任意選択の導電性添加剤を含有しかつバインダーを含有しない複数の湿潤アノード層と」に相当する。
また、引用発明1おける上記「混練物」であって、「正極電極」に用いられる「混練物」が、本願発明1における「第2の液体またはゲルの電解質と混合されたカソード活性材料および任意選択の導電性添加剤を含有しかつバインダーを含有しない複数の湿潤カソード層」に相当する。
ウ 上記イを踏まえると、引用発明1において「それぞれ正極電極、負極電極」として用いられる「混練物を得」ることと、本願発明1における「複数の湿潤アノード層」と「複数の湿潤カソード層とを用意するステップ」とは、「湿潤アノード層」と「湿潤カソード層とを用意するステップ」の点で一致する。
しかしながら、本願発明1では、「湿潤アノード層」と「湿潤カソード層」とが「複数」であるのに対し、引用発明1ではその点が示されていない点で相違する。
エ 引用発明1における「三次元網目状アルミニウム多孔体」が「蓄電デバイス用電極において集電体の役割を担い、気孔率は80%~98%程度」であることが、本願発明1における「前記導電性多孔質層が」「相互接続された電子伝導経路と」「少なくとも80体積%の細孔とを含む」ことに相当する。
オ 引用発明1における「混練物を三次元網目状アルミニウム多孔体の上面に置き、スキージを使用して多孔体内部に摺りこみ、次に、一軸圧延して、厚さ188μmの電極(蓄電デバイス用電極)を得、蓄電デバイス用電極を」「負極電極」とすることと、本願発明1における「(B)所望の数の前記導電性多孔質層および所望の数の前記湿潤アノード層を積層して圧密化して、400μm~5mmの厚さを有するアノード電極を形成するステップ」とは、「(B')前記導電性多孔質層および前記湿潤アノード層を積層して圧密化して、アノード電極を形成するステップ」である点で一致する。
しかしながら、
(ア)本願発明1では、積層される「導電性多孔質層」および「湿潤アノード層」の数が「所望の数」であるのに対し、引用発明1では、その点について示されていない点、及び、
(イ)本願発明1における「アノード電極」は「400μm~5mmの厚さを有する」のに対し、引用発明1における「負極電極」の「厚さ」は「188μm」である点で相違する。
カ 引用発明1における「負極電極」を「セパレータを挟んで対向して配置させ」ることが、本願発明1における「(C)多孔質セパレータ層を前記アノード電極と接触させて配置するステップ」に相当する。
キ 引用発明1における「混練物を三次元網目状アルミニウム多孔体の上面に置き、スキージを使用して多孔体内部に摺りこみ、次に、一軸圧延して、厚さ188μmの電極(蓄電デバイス用電極)を得、蓄電デバイス用電極を」「正極電極」とし、「正極電極」を「セパレータを挟んで対向して配置させ」ることと、本願発明1における「(D)所望の数の前記導電性多孔質層および所望の数の前記湿潤カソード層を積層して圧密化して、前記多孔質セパレータ層と接触するカソード電極を形成するステップであって、ここで、前記カソード電極が400μm~5mmの厚さを有し;ステップ」とは、「(D')前記導電性多孔質層および前記湿潤カソード層を積層して圧密化して、前記多孔質セパレータ層と接触するカソード電極を形成するステップ」である点で一致する。
しかしながら、
(ア)本願発明1では、積層される「導電性多孔質層」および「湿潤カソード層」の数が「所望の数」であるのに対し、引用発明1では、その点について示されていない点、及び、
(イ)本願発明1では、「カソード電極が400μm~5mmの厚さを有」するのに対し、引用発明1における「正極電極」の「厚さ」は「188μm」である点で相違する。
ク 本願発明1では、「所望の数の前記導電性多孔質層および所望の数の前記湿潤カソード層を積層して圧密化して、前記多孔質セパレータ層と接触するカソード電極を形成するステップであって、ここで、前記カソード電極が400μm~5mmの厚さを有」するステップ」(ステップ(D))が「所望の数の前記導電性多孔質層および所望の数の前記湿潤アノード層を積層して圧密化して、400μm~5mmの厚さを有するアノード電極を形成するステップ」(ステップ(B))の「前または後に行われる」のに対し、引用発明1では「正極電極、負極電極」の作製順序について示されていない点で相違する。
ケ 引用発明1における「正極電極、負極電極」を「セパレータを挟んで対向して配置させ、コインセルケースに収納し、次にコインセルケース内に電解液としてEMI-BF4を注入し、その後ケースを封口して、コイン型の電気二重層キャパシタを作製」することが、本願発明1における「(E)前記アノード電極、前記多孔質セパレータ層、および前記カソード電極を組み立ててハウジング内に封止して、前記スーパーキャパシタセルを製造するステップ」に相当する。
コ 引用発明1における「正極電極、負極電極」の「単位面積当たりの活物質の質量は37mg/cm2であ」ることは、本願発明1における「前記アノード電極および/または前記カソード電極が、20mg/cm2~100mg/cm2の活性材料質量装填量を有し」ているとの要件を満たしている。
サ 引用発明1の「正極電極、負極電極」における「活物質」として、「グラフェンおよび単層CNTを用い」ることが、本願発明1における「前記アノード活性材料および/または前記カソード活性材料が、複数の炭素材料粒子および複数のグラフェンシートを含み、ここで、前記複数のグラフェンシートが、単層グラフェン、または1~10個のグラフェン面をそれぞれが有する少数層グラフェンを含」むことに相当する。
シ 本願発明1では、「前記複数の炭素材料粒子が、乾燥状態で測定したとき、500m2/g~2500m2/gの比表面積を有し、前記グラフェンは、黒鉛をインターカレーションして得られる黒鉛インターカレーション化合物(GIC)または酸化黒鉛(GO)である」のに対し、引用発明1では、「グラフェンおよび単層CNT」がそのそのような構成を備えるか不明な点で相違する。
ス 引用発明1における「電気二重層キャパシタの製造方法」が、本願発明1における「スーパーキャパシタセルを製造するための方法」に相当する。
したがって、上記アないしスより、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「スーパーキャパシタセルを製造するための方法であって、複数の導電性多孔質層と、第1の液体またはゲルの電解質と混合されたアノード活性材料および任意選択の導電性添加剤を含有しかつバインダーを含有しない複数の湿潤アノード層と、第2の液体またはゲルの電解質と混合されたカソード活性材料および任意選択の導電性添加剤を含有しかつバインダーを含有しない複数の湿潤カソード層とを用意するステップであって、前記導電性多孔質層が、相互接続された電子伝導経路と、少なくとも80体積%の細孔とを含むステップと、前記導電性多孔質層および前記湿潤アノード層を積層して圧密化してアノード電極を形成するステップと、多孔質セパレータ層を前記アノード電極と接触させて配置するステップと前記導電性多孔質層および前記湿潤カソード層を積層して圧密化して、前記多孔質セパレータ層と接触するカソード電極を形成するステップと、前記アノード電極、前記多孔質セパレータ層、および前記カソード電極を組み立ててハウジング内に封止して、前記スーパーキャパシタセルを製造するステップとを含み、前記アノード電極および/または前記カソード電極が、20mg/cm2~100mg/cm2の活性材料質量装填量を有し、前記アノード活性材料および/または前記カソード活性材料が、複数の炭素材料粒子および複数のグラフェンシートを含み、ここで、前記複数のグラフェンシートが、単層グラフェン、または1~10個のグラフェン面をそれぞれが有する少数層グラフェンを含む、方法。」
(相違点1)
本願発明1では、「湿潤アノード層」と「湿潤カソード層」とが「複数」であるのに対し、引用発明1ではその点が示されていない点。
(相違点2)
本願発明1では、アノード電極について積層される「導電性多孔質層」と「湿潤アノード層」の数が「所望の数」であるとともに、カソード電極について積層される「導電性多孔質層」および「湿潤カソード層」の数も「所望の数」であるのに対し、引用発明1ではその点が示されていない点。
(相違点3)
本願発明1における「アノード電極」及び「カソード電極」は、それぞれ「400μm~5mmの厚さ」を有するのに対し、引用発明1における「負極電極」及び「正極電極」の「厚さ」は、それぞれ「188μm」である点。
(相違点4)
本願発明1では、「所望の数の前記導電性多孔質層および所望の数の前記湿潤カソード層を積層して圧密化して、前記多孔質セパレータ層と接触するカソード電極を形成するステップであって、ここで、前記カソード電極が400μm~5mmの厚さを有」するステップ」(ステップ(D))が「所望の数の前記導電性多孔質層および所望の数の前記湿潤アノード層を積層して圧密化して、400μm~5mmの厚さを有するアノード電極を形成するステップ」(ステップ(B))の「前または後に行われる」のに対し、引用発明1では「正極電極、負極電極」の作製順序について示されていない点。
(相違点5)
本願発明1では、「前記複数の炭素材料粒子が、乾燥状態で測定したとき、500m2/g~2500m2/gの比表面積を有し、前記グラフェンは、黒鉛をインターカレーションして得られる黒鉛インターカレーション化合物(GIC)または酸化黒鉛(GO)である」のに対し、引用発明1では、「グラフェンおよび単層CNT」がそのそのような構成を備えるか不明な点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、先ず上記相違点5について検討する。
ア 引用文献1の段落[0049]に「活性炭の粒径は限定的でないが、たとえば、20μm以下であることが好ましい。比表面積も限定的ではないが、表面積が大きい方が蓄電デバイスの静電容量が大きくなるため、たとえば、2000m2/g以上あることが好ましい。」と記載されているものの、引用文献1には、活性炭とは異なる炭素材料である引用発明1の「グラフェンおよび単層CNT」について、その「比表面積」を「500m2/g~2500m2/g」とすることは何ら示唆されていない。
イ また、引用発明1には「グラフェン」として「黒鉛をインターカレーションして得られる黒鉛インターカレーション化合物(GIC)または酸化黒鉛(GO)」を用いることも何ら記載されていない。
ウ さらに、引用文献2、3には「正極合剤スラリー」や「正極活物質層11B」の構成材料に関する周知技術が記載されているものの、「アノード活性材料および/または前記カソード活性材料」に含まれる「グラフェンおよび単層CNT」について、その「比表面積」を「500m2/g~2500m2/g」とすることはもとより、「グラフェン」として「黒鉛をインターカレーションして得られる黒鉛インターカレーション化合物(GIC)または酸化黒鉛(GO)」を用いることも何ら示唆されていない。
エ よって、引用発明1において上記相違点7に係る構成とすることは、当業者であっても容易になし得たことではない。
(3)まとめ
以上のとおり、上記相違点1ないし6について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用文献1に記載された発明及び周知技術(引用文献2、引用文献3)に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2.本願発明4ないし11、13、14、16ないし21、23、24、26、28について
請求項4ないし11、請求項13、請求項14、請求項16ないし21、請求項23、請求項24、請求項26、請求項28は請求項1を引用する請求項であるから、本願発明4ないし11、13、14、16ないし21、23、24、26、28も、本願発明1の「前記複数の炭素材料粒子が、乾燥状態で測定したとき、500m2/g~2500m2/gの比表面積を有し、前記グラフェンは、黒鉛をインターカレーションして得られる黒鉛インターカレーション化合物(GIC)または酸化黒鉛(GO)である」と同一の構成を備えるものである。
よって、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、本願発明4ないし11、13、14、16ないし21、23、24、26、2815は、引用文献1に記載された発明及び周知技術(引用文献2、引用文献3)に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
3.本願発明2について
本願発明2は、本願発明1の「前記複数の炭素材料粒子が、乾燥状態で測定したとき、500m2/g~2500m2/gの比表面積を有し、前記グラフェンは、黒鉛をインターカレーションして得られる黒鉛インターカレーション化合物(GIC)または酸化黒鉛(GO)である」と同一の構成を備えるものである。
よって、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、本願発明2は、引用文献1に記載された発明及び周知技術(引用文献2、引用文献3)に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
4.本願発明3、12、15、22、25、27、29
請求項3、請求項12、請求項15、請求項22、請求項25、請求項27、請求項29は請求項2を引用する請求項であるから、本願発明3、12、15、22、25、27、29は、本願発明2の「前記複数の炭素材料粒子が、乾燥状態で測定したとき、500m2/g~2500m2/gの比表面積を有し、前記グラフェンは、黒鉛をインターカレーションして得られる黒鉛インターカレーション化合物(GIC)または酸化黒鉛(GO)である」と同一の構成を備えるものである。
よって、本願発明2と同じ理由により、当業者であっても、本願発明3、12、15、22、25、27、29は、引用文献1に記載された発明及び周知技術(引用文献2、引用文献3)に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
第7 原査定について
理由2(特許法第29条第2項)について
本件補正により、本願発明1ないし29は「前記複数の炭素材料粒子が、乾燥状態で測定したとき、500m2/g~2500m2/gの比表面積を有し、前記グラフェンは、黒鉛をインターカレーションして得られる黒鉛インターカレーション化合物(GIC)または酸化黒鉛(GO)である」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1ないし3に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定の理由2を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2020-015790