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特許拒絶査定不服審判

2020-015238

動物用コンタクトレンズ

審判番号
2020-015238
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-245787
請求日
2020年11月02日
審決日
2021年12月21日
公報発行日
2022年01月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】株式会社メニコンネクト
  • 【請求人代理人】神谷 英昭
審判長/審判官
  • 審判長 里村 利光
  • 審判官 下村 一石
  • 審判官 関根 洋之
分類
P18 .121-WY (G02C) / P18 .561-WY (G02C) / P18 .575-WY (G02C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2015-245787「動物用コンタクトレンズ」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 7月 7日出願公開、特開2016-122188、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 事案の概要 1 手続等の経緯 特願2015-245787号(以下「本件出願」という。)は、平成27年12月17日(先の出願に基づく優先権主張 平成26年12月24日)を出願日とする出願であって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。 令和元年 6月28日提出:刊行物等提出書 令和元年 8月27日付け:拒絶理由通知書 令和2年 1月 7日提出:手続補正書 令和2年 1月 7日提出:意見書 令和2年 2月 7日提出:刊行物等提出書 令和2年 7月30日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) 令和2年11月 2日提出:手続補正書 令和2年11月 2日提出:審判請求書 令和2年12月 1日提出:刊行物等提出書 令和3年 1月19日提出:上申書 令和3年 6月15日付け:拒絶理由通知書 令和3年 6月15日付け:補正の却下の決定 令和3年 8月12日提出:手続補正書 令和3年 8月12日提出:意見書 令和3年 9月 9日提出:刊行物等提出書 2 本願発明 本件出願の請求項1に係る発明は、令和3年8月12日にした手続補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明は、次のものである(以下「本願発明」という。) 「人の視覚により識別可能な認識領域を、コンタクトレンズの表面又は内部の少なくとも一部に有し、 前記認識領域は、染料、顔料及び発光剤の一つ以上を含んで形成されると共に、 前記認識領域が、380~780nmの波長における光反射率が10%以上の物性を有し、 かつ、前記認識領域内に無機粒子を含む光反射領域を有し、 前記光反射領域の少なくとも1つにおいて、JISZ8781-4によって算出される明度指数Wと面積S(mm2)との積にて算出される明度指数強度J(J=W*S(mm2))が10以上で600以下であり、 前記光反射領域の少なくとも1つにおいて、光反射率R(%)と面積S(mm2)との積にて算出される光反射強度I(I=R*S(%・mm2))が3以上で400以下であり、 飼い主が外観上、装用の有無を視認できる、 ラブラドール・レトリバーまたはシーズーである犬用コンタクトレンズ。」 2 原査定の概要 原査定の概要は次のとおりである。 本件出願の請求項1~4に係る発明は、先の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、先の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2009-151340号公報 引用文献2:Soczewkowa menazeria,2009年7月17日,URL,https://kopalniawiedzy.pl/szkla-kontaktowe-zwierzeta-S-and-V-Technologies-wszczepiac-Christine-Kreiner,8018 3 当合議体が通知した拒絶の理由の概要 令和3年6月15日付け拒絶理由通知書において通知した、当合議体の拒絶の理由の概要は、次のとおりのものを含む。 (進歩性)本願の請求項1~4に係る発明は、先の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、先の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2009-151340号公報 引用文献2:Soczewkowa menazeria,2009年7月17日,URL,https://kopalniawiedzy.pl/szkla-kontaktowe-zwierzeta-S-and-V-Technologies-wszczepiac-Christine-Kreiner,8018 引用文献3:特開平1-187527号公報 引用文献4:特表2003-532911号公報 (当合議体注:主引用例は、引用文献1であり、引用文献2~4は周知技術を示す文献である。) 第2 当合議体の判断 1 引用文献の記載および引用発明 (1)引用文献1の記載 当合議体が通知した拒絶の理由で引用された引用文献1(特開2009-151340号公報)は、先の出願前に日本又は外国において頒布された刊行物であるところ、そこには、以下の記載がある。なお、当合議体が付した下線は、引用発明の認定や判断等に活用した箇所を示す。以下同様とする。 ア 「【0006】 上記した課題を解決するため、本発明のコンタクトレンズは、レンズの素材が有する色とは異なる色の複数の着色部を離散的に備えることを特徴とする。かかるコンタクトレンズは、その離散的な着色部のために自然物の中に置かれたとき、それら自然物と区別することが容易である。従って、簡単に判別することができ、不測の紛失を防止することができる。また、離散的という特異な着色部は、装着時に多種多様な印象を対人に与えることができ、変化に富んだ生活に適合した装飾品としての付加価値が発生する。」 ・・・中略・・・ 【0010】 上記の構成を有する本発明のコンタクトレンズは、以下の態様を採ることもできる。まず、着色部は、幾何学的な形状でとすることができる。ここで幾何学的な形状とは、ハート形、星形、円形、四角形、三角形、千鳥格子などの広く知られた形状、表意文字、表音文字、音符や交通標識など所定の観念を想起させる記号など、人間によって案出された形状である。この様な幾何学的な形状は、自然界に存在する形状を人間の観念によって抽象化したり、特定の意志や意味を伝えるために案出されたものであり、自然界に存在する形状と異なっている。従って、自然物との峻別は容易となって紛失防止の効果が顕著となる。また、コンタクトレンズの着色部が、虹彩や角膜などの疾病に起因するものとの誤解を招くこともなくなる。 【0011】 複数の着色部の形状は、互いに同一形状としても良いし、互いに形状が異なるものとすることもできる。前者にあっては着色部の製作が容易となり、後者にあっては、識別がより容易となる。また、コンタクトレンズに上下左右の別を付けることができる。 【0012】 また、複数の着色部は、対称的に配置してもよいし、非対称的に配置してもよい。前者にあっては、対称性が識別の容易さを醸成することがあり、後者にあってはコンタクトレンズに上下左右の別を付けることができる。なお、対称性は、複数の着色部の集合に対して考えることもできるが、通常円形に作られるコンタクトレンズのレンズ形状に対する対称性(同心性) を考えることもできる。この結果、複数の着色部を、該着色部の集合としては対称的に配置し、かつレンズに対しては非同心的に配置するといった構成も考えることができる。 【0013】 着色部が離散的に配置されるコンタクトレンズは、眼球および/または瞼との相互作用により眼球との位置関係が所定位置となる特定形状に形成することができる。一般的に屈折異常を矯正するために使用されるコンタクトレンズは、コンタクトレンズと角膜との間に介在する涙液との相互作用により複合的な屈折作用を奏し、瞳孔との位置関係や回転位置などは問題とならない。他方、離散的に着色部が存在する本発明のコンタクトレンズは、その着色部の形状あるいは着色部の離散的な配置状態などによって前述のように自然物との相違を表現するものである。この様な着色部による表現は、上下あるいは左右が逆になるなどその見方によっては意味をなさないもの、例えば逆さになったハート、トーン記号のように本来の意味を失ったり、伝達できず、却って滑稽にさえ映るものもある。そこで、眼球および/または瞼との相互作用により眼球との位置関係が所定位置となるように特定されるコンタクトレンズに上述の着色部を設けるならば、その着色部に求めた効果を確実に奏することができる。なお、この様な眼球との位置関係を所定位置とするコンタクトレンズは、特開昭57-210319号公報などに開示される技術に限らず、何れの技術を利用するものであってもよい。 【0014】 更に着色部は、特定波長の光に反応する材質とすることができる。ここで、特定波長の光とは紫外線、赤外線、可視光などの光であり、日常生活上で容易に取り扱うことができるものであることがより好ましい。また、反応とは、その特定波長の光に起因して着色部が発光したり変色したりするなどの変化である。この様な材質により構成された着色部は、特定波長の光が照射されることでその存在を容易に知ることができる。このため、眼球にコンタクトレンズが存在していることの認識を自他共に容易としたり、コンタクトレンズの紛失時に特定波長の光を照射して簡単に探し出すことができる。また、複数個を組としたコンタクトレンズに異なる反応の着色部を設けることで、自然な状態では左右何れに装着するものであるか判別不可能なコンタクトレンズに対し、特定波長の光を照射することで左右何れに装着するものであるかを見分ける識別表示としても利用できる。また、着色部の一部にのみこうした特殊なインクを用い、ブラックライトなどを当てたときのみ、そのインクが蛍光を発するようにすること可能である。こうしたインク(染料)としては、フローレスセインといった材料が知られている。」 イ 「【0017】 以上のような優れた効果を発揮するコンタクトレンズを製造するコンタクトレンズの製造方法の発明は、コンタクトレンズの素材と同一または異なるモノマーに所定の色素を混合してインクを製造し、このインクを、所定の形状の複数かつ離散的に配置された凹部に充填し、該凹部のインクをパッドにて採取してコンタクトレンズの成型型に転写し、該転写された成型型にてコンタクトレンズの少なくとも一方面の成型を行なうことを特徴とする。 ・・・中略・・・ 【0019】 ここで、色素としては、Iron oxide,Titanium dioxide,Phthalocyanine green,Phthalocyanine blue,Reactive Red11,Reactive Yellow86,Reactive Black5等を単体または適宜配合したものが利用できる。また、インクを注入する凹部としては、微細加工の容易な金属板が利用でき、特に銅板が適している。インクを採取するパッドとしては、モノマーに対して科学的に安定した物性を有する軟質ポリマーなどの材質が適しており、特にシリコンが好適である。インクをプリントする成型型としては、ポリビニール製樹脂が適しているが、他に金属製の型なども用いることができる。この様にして製造されるコンタクトレンズは、その着色部の製造に当たって大幅な製造工程の追加・改変を必要としない。また、形成される着色部をコンタクトレンズと全く同一のモノマーから形成すれば、光学的特性を同一とし、屈折異常の矯正用のコンタクトレンズとして利用可能となる。異なるモノマーを用いれば、そのモノマーの特性を着色部に利用することができる。かかる構成では、着色用に用いる色素をモノマーに混合するため、その着色部はコンタクトレンズと完全一体となり、たとえ色素の成分が単独では涙液などによって劣化する性質のものであっても使用することができる。なお、コンタクトレンズの製造方法としては、上記の成型を伴う手法の他に、前面(外界からの光線が最初に接触する面)と後面(角膜に接触する面)とをポリマーから削り出すレースカット法がある。この製造方法を採用する場合には、所望の形状のコンタクトレンズを予め削りだしておき、これに後から、着色部を環状に配置すれば、本発明のコンタクトレンズを得ることができる。この場合の着色部の配置は、レンズ前面側または後面側を削りだした後、この面にインクを転写し、インクの重合を行ない、表面研磨後、反対側の面を切削するといった手法を用いて行なえば良い。」 ウ 「【0021】 以上説明した本発明の構成及び作用を一層明らかにするために、以下本発明のコンタクトレンズについて、その実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施例であるコンタクトレンズ10の正面図である。図示するように本実施例のコンタクトレンズ10は、円形の外形をしており、全体的には無色透明であって所望の光学特性を有する一般的なコンタクトレンズである。図中に点線で示す仮想線は、このコンタクトレンズ10の光学効果を有する光学部12とその外周に位置するベベル14との境界線であり、ベベル14には4つの星形の着色部16が等間隔、すなわち90度毎に離散的に配置されている。従って、この着色部16はコンタクトレンズ10の光学特性には全く影響を与えることなく、単に印としてのみ機能する。 【0022】 この様に構成されるコンタクトレンズ10は、角膜に装着したときには多種多様な印象を対人に与えることができ、変化に富んだ生活に適合した装飾品としての付加価値が発生する。また、意図的にあるいは不用意に角膜から取り外したときには、その離散的な着色部16のために、周辺の自然物と明らかな区別が可能となっている。したがって、簡単にその存在を認識することができ、不測の紛失などを防止することができる。しかも、着色部16は星形という極めて人工的な形状であるため、自然物との峻別はより容易であり、かつ、着色部16が意図的になされたものであって虹彩や角膜などの疾病に起因するものとの誤解を招くこともない。 【0023】 次に本発明の第2の実施例について説明する。第2実施例のコンタクトレンズは、図1に示したコンタクトレンズ10と、図2に示すコンタクトレンズを20とからなる。図2は、コンタクトレンズ10と同時に使用される一対のコンタクトレンズの他方のコンタクトレンズ20の正面図である。このコンタクトレンズ20の光学効果を有する光学部22の外周に位置するベベル24には、4つの三日月形の着色部26が90度毎に離散的に配置されている。従って、この着色部26もコンタクトレンズ20の光学特性には全く影響を与えることなく、単に印としてのみ機能する。この様なコンタクトレンズ10と一対となるコンタクトレンズ20は、前述したコンタクトレンズ10が奏する効果を発揮することは勿論のこと、その着色部26の形状がコンタクトレンズ10の着色部16と相違するためにコンタクトレンズ10,20を同時に洗浄、殺菌などの保守を行ったり、同一箇所に管理しても左右どの眼球に適合するものであるかを簡単に判別することができる。しかも、一対のコンタクトレンズ10,20の着色部16,26の形状は、星形、三日月形という天体を連想させる相互補完の形状であるため、相乗効果として対人に与える印象が深まり、より一層の人工的、意図的な表現が可能となる。」 エ 「【0027】 準備工程PROVの残りの作業は、インクを調合する工程である(工程S120)。インクは、色素としてReactiveRed 11を使用し、コンタクトレンズ10,20の主たる材料であるヘマと同一のモノマーと混合する。ここでは、赤色の色素を用いたが、混合する色素を適宜選択すれば、インクは、種々の色に調合することができる。以上の各工程(工程S100ないし120)により、コンタクトレンズ製造の準備が整ったことになる。 【0028】 次にコンタクトレンズの成形工程MOLDについて声明する。準備工程PROVで準備したインクを銅板に塗布し(工程S200)、その後銅板表面のインクをぬぐい取る(工程S210)。この結果、銅板には、その刻線の凹部にのみインクが残っていることになる。次に、シリコン製のパッドをこの銅板の表面に押しつける(工程S220)。シリコン製のパッドは弾力に富むので、押しつけることにより変形し、刻線内部のインクは、パッドの表面に採取される。そこで次に、このシリコン製のパッドを、図3に示す雄型34の凸部に押し当てる(工程S230)。パッド表面のインクは、この結果、凸部表面に転写される。さらに、この雄型34を、50度~60度Cの状態に置き、インクを乾燥させる(工程S240)。 【0029】 他方、コンタクトレンズとなるモノマーを調合し(工程S250)、これにより成形を行なう。本実施例では、最終的にコンタクトレンズ10,20となる素材として、Hydroxyethyl Mathacrylate( 通称「ヘマ」)を用いている。このモノマーを、成分の調整後に雌型32の凹部に適量入れ(工程S260)、工程S200ないし240により、表面にインクがプリントされた雄型34を、図3に示すように装着して固定する(工程S270)。そして、固定されたプラスチック製型30をオーブンに入れて、70度~80度で加熱する(工程280)。加熱することにより、モノマーは、重合しコンタクトレンズ10,20の大まかな形状が成型される。このとき、色素が調合された図柄のインクも重合し、コンタクトレンズに一体となる。成型後に雌型32を取り外すと(工程290)、雄型34には、図1,図2に示した着色部16,26を有するコンタクトレンズ10,20が固定された状態で、得られる。以上でコンタクトレンズの成形工程MOLDは完了する。」 オ 「【0033】 以上、本発明が実施される形態を説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる様態で実施し得ることは勿論である。例えば、離散的な図柄は、星形や三日月形状などに限定されるものではなく、クローバやハート型など、様々な形状が採用可能である。また、これらの図形は、コンタクトレンズの完成後、後からフロントカーブ面に着色するといった手法で形成しても良い。また、着色するのでなければ、レーザ等で、表面に乱反射面を形成することにより、図柄を設けることも可能である。また、図柄を形成する色素としては、蛍光材料等、特定の波長の光を当てることで別の波長の光を発するようなものを用いることもできる。こうした色素を用いれば、環境や照明装置により、コンタクトレンズの色が変わると言った演出ができる。また、コンタクトレンズを紛失したときに、特定の波長の光を照射するライトなどを使うことで、容易をこれを見い出すことができる。ブラックライトとこれにより蛍光発光する色素とを組み合わせて用いれば、暗い部屋で瞳だけが特定の色に輝いたり、更にそこに特定の図柄を浮かび上がらせるといったことも可能である。」 カ 「図1 [図:0001380546000001.jpg] 」 キ 「図2 [図:0001380546000002.jpg] 」 ク 「図3 [図:0001380546000003.jpg] 」 (2)引用発明1 引用文献1の【0006】、【0011】~【0012】には、着色部を有するコンタクトレンズが記載されている。さらに、同文献の【0014】には、上記「着色部」の機能が記載されている。 また、「着色部」をコンタクトレンズの表面又は内部の少なくとも一部に有していることは自明である。 以上によれば、引用文献1には、次のコンタクトレンズの発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 「複数の着色部をコンタクトレンズの表面又は内部の少なくとも一部に有しており、当該着色部は離散的に配置され、眼球にコンタクトレンズが存在していることの認識を自他共に容易としたり、コンタクトレンズの紛失時に特定波長の光を照射して簡単に探し出すことができるコンタクトレンズ。」 (3)引用文献2の記載 当合議体が通知した拒絶の理由で引用された引用文献2(「Soczewkowa menazeria,2009年7月17日,URL,https://kopalnia wiedzy.pl/szkla-kontaktowe-zwierzeta-S-and-V-Technologies-wszczepiac-Christine-Kreiner,8018」)は、先の出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて利用可能となった発明が記載されたものであるところ、そこには以下の記載がある。 「 [図:0001380546000004.jpg] 」(第1頁下から5行-下から3行) [参考訳: 白内障で視力を失うのは人々だけではありません。馬、犬、キリン、フクロウ、ライオンも同様の問題に直面しています。これは現在、東ドイツの会社が製造したコンタクトレンズで改善できます。] 「図面 [図:0001380546000005.jpg] 」 (4)引用文献3の記載 当合議体が通知した拒絶の理由で引用された引用文献3(特開平1-187527号公報)は、先の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物であるところ、そこには以下の記載がある。 ア 「第1図では、家禽(例えばヒナ鳥、特に産卵用めんどり)、イヌ、ウマ、ブタ、ウシ、ヒツジ等のような幾つか動物種で用いるためのコンタクトレンズ10を示す。」(第5頁左下欄第17-20行) イ 「第1図 [図:0001380546000006.jpg] 」 (5)引用文献4の記載 当合議体が通知した拒絶の理由で引用された引用文献4(特表2003-532911号公報)は先の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物であるところ、そこには以下の記載がある。 ア 「【請求項5】 青緑着色剤が、PCNブルー約0.63重量%、PCNグリーン2.25重量%、二酸化チタン8.88重量%及びカルバゾールバイオレット0.08重量%を含むインクペーストである、請求項1記載のコンタクトレンズ。」 イ 「【0006】 本発明の一つの態様では、色付きコンタクトレンズが提供される。コンタクトレンズは、瞳孔区分と、瞳孔区分を取り囲む虹彩区分とを含み、虹彩区分が、青成分、緑成分、二酸化チタン成分及び紫成分を有する青緑着色剤によって少なくとも部分的に覆われている。」 ウ 「【0011】 図面及び発明の好ましい実施態様の詳細な説明 図1はコンタクトレンズ10を示す。これは、レンズ中央の非不透明な瞳孔区分20と、瞳孔区分を取り囲む環状の虹彩区分22とを有する。親水性レンズの場合、周縁部部分が虹彩区分22を取り囲む。図1に示すように、色付きの不透明な断続的模様が虹彩区分22の上に渡って設けられている。この模様は、その模様の隙間に虹彩区分の実質的な部分を非不透明なまま残す。図1では、虹彩区分22の非不透明な区域は白に見える。 【0012】 模様の要素は好ましくは点であり、特に好ましいものは、図1に示すような、そのいくつかがつながる点である。虹彩区分22の特定の部分は、他の部分ほど密集して点で覆われていない。 【0013】 不透明な模様は、規則的又は不規則で均一又は不均一な形状、たとえば円形、正方形、六角形、長円形又は他の点形を有する点で形作られていることができる。さらに、模様の要素は、要素が通常の観察者にとって見分けることができず、虹彩の10~30%、好ましくは約20又は25%を覆い、模様の隙間内の虹彩区分の実質的な部分を非不透明なまま残す限り、点以外の形を有することもできる。虹彩の部分を構成する模様は、色の島形又はミミズ形、ふせん形、スターバースト形、スポーク形、スパイク形、縞、放射状の線、ジグザグ形及び稲妻形であることができる。場合によっては、単色の背景を使用して多模様の設計を補足する。これらの模様が互いにブレンドして、レンズ装用者の虹彩の構造を強める色付きコンタクトレンズを提供する。」 エ 「【0024】 図5を参照すると、コンタクトレンズ上の好ましい青緑着色剤の反射率対波長のグラフが示されている。このグラフは、青緑着色剤を上に有するコンタクトレンズが、分光測光的に計測されると、約430~約600nmの非標準反射率を含み、反射率が、約480nmの波長で約30反射単位に増大することを示す。600nm~750nmでは、反射率は約7反射単位である。 【0025】 上記反射率データを生出す青緑着色剤は、好ましくは、以下の成分を含有するインクペーストである。 【0026】 [図:0001380546000007.jpg] 【0027】 上記青緑着色剤のみを上に有するコンタクトレンズをCIE表色系で計測した。コンタクトレンズは、約43.3のL*、約-24.9のa*及び約-9.8のb*の計測値を有する。」 オ 「【0064】 本発明の特定の実施態様が、虹彩の色の外観を印象的な青緑色に変え又は変更することができるとともにその微細構造の視覚化を可能にし、自然な外観を提供するコンタクトレンズを提供するということがわかる。請求の範囲で定義する発明の本質及び範囲を逸することなく、部品の機能及び配設に種々の変更を加えることもでき、例示し、記載したものの代わりに同等な手段を用いることができ、特定の特徴を他から独立させて使用することもできる。」 カ 「【図1】 [図:0001380546000008.jpg] 」 キ 「【図5】 [図:0001380546000009.jpg] 」 2 対比 (1)本願発明と引用発明1を対比すると、以下のとおりとなる。 ア 認識領域 引用発明1の「着色部」は、「眼球にコンタクトレンズが存在していることの認識を自他共に容易と」するものであるから、他人が認識可能なものといえる。 したがって、引用発明1の「着色部」は、本願発明の「人の視覚により識別可能な」「認識領域」に相当する。 イ コンタクトレンズ 引用発明1の「コンタクトレンズ」は、用語どおりの意味であると認められ、本願発明の「コンタクトレンズ」に相当する。 また、引用発明1の「コンタクトレンズ」と、本願発明の「コンタクトレンズ」とは、「人の視覚により識別可能な認識領域を、コンタクトレンズの表面又は内部の少なくとも一部に有」する点及び「外観上、装用の有無を視認できる」という点でも本願発明と共通する。 (2)一致点及び相違点 ア 一致点 本願発明と引用発明1は、次の構成で一致する。 「人の視覚により識別可能な認識領域を、コンタクトレンズの表面又は内部の少なくとも一部に有し、 外観上、装用の有無を視認できるコンタクトレンズ。」 イ 相違点 本願発明と引用発明1は、以下の点で相違する。 (相違点) 本願発明においては、「コンタクトレンズ」が、「飼い主が外観上、装用の有無を視認できる、ラブラドール・レトリバーまたはシーズーである犬用」のものであって、「前記認識領域は、染料、顔料及び発光剤の一つ以上を含んで形成されると共に、」「380~780nmの波長における光反射率が7%以上の物性を有し、かつ、前記認識領域内に無機粒子を含む光反射領域を有し、前記光反射領域」が、その「少なくとも1つにおいて、JISZ8781-4によって算出される明度指数Wと面積S(mm2)との積にて算出される明度指数強度J(J=W*S(mm2))が10以上で600以下であり、前記光反射領域の少なくとも1つにおいて、光反射率R(%)と面積S(mm2)との積にて算出される光反射強度I(I=R*S(%・mm2))が3以上で400以下であ」るのに対して、引用発明1では、「飼い主が外観上、装用の有無を視認できる、ラブラドール・レトリバーまたはシーズーである犬用」コンタクトレンズではなく、認識領域(「着色部」)の光学特性が定かではない点。 3 判断 上記相違点について検討する。 引用発明1は、「外観上、装用の有無を視認できるコンタクトレンズ」であるものの、「飼い主が」「外観上、装用の有無を視認できる」「ラブラドール・レトリバーまたはシーズーである犬用」のものではない。また、動物用のコンタクトレンズが周知であることを示す文献である引用文献2~3においても、「コンタクトレンズ」を「飼い主が外観上、装用の有無を視認できる」ものとすることの記載ないし示唆はなく、この点について、その他の証拠も発見しない。 以上のことに鑑みると、たとえ動物用コンタクトレンズが先の出願前に周知であったとしても、上記引用文献2~3には、引用発明1の「コンタクトレンズ」を、「ラブラドール・レトリバーまたはシーズーである犬用」のものとすることを動機付けるような記載は存在しない。 もっとも、動物用コンタクトレンズにおいても、人間用と同様、紛失防止等の必要性は認められることから、、引用発明1の「コンタクトレンズ」を「動物用」または「犬用」のものとする動機がなくもない。そして、その場合、引用発明1の「コンタクトレンズ」の「着色剤」に周知の二酸化チタン等を採用すれば、引用発明1の「着色部」(認識領域)は、「380~780nmの波長における光反射率が10%以上の物性を有し、かつ、前記認識領域内に無機粒子を含む光反射領域を有し、前記光反射領域の少なくとも1つにおいて、JISZ8781-4によって算出される明度指数Wと面積S(mm2)との積にて算出される明度指数強度J(J=W*S(mm2))が10以上で600以下であり、前記光反射領域の少なくとも1つにおいて、光反射率R(%)と面積S(mm2)との積にて算出される光反射強度I(I=R*S(%・mm2))が3以上で400以下であ」るという相違点に係る構成を具備するものとなるとも考えられる。 しかしながら、当該構成が奏する効果、すなわち、「獣医師だけでなく、一般の飼い主からもレンズの有無や装用状態の観察が容易になる」(特に、本件明細書の【0024】、【0065】~【0066】(実施例1)及び【0074】~【0075】)という効果は、引用文献1~4に記載された目的ないし効果とは異質な効果であって、先の出願時の技術水準から当業者が予測することができない顕著な効果といえる。 (当合議体注:引用文献1~4のいずれの文献にも、先の出願時に、動物用コンタクトレンズにおいて、(動物の)眼球にコンタクトレンズが存在していることの認識が自他共に(特に、飼い主)に容易とするようなニーズが当業者に周知であったことを示すものはない。また、当該ニーズを示唆する他の証拠も発見しない。) したがって、本願発明は、引用発明1及び引用文献2~4に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 第3 拒絶の理由について 1 原査定の拒絶の理由について 本願発明と、原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1に記載される「コンタクトレンズ」の発明とを対比すると、前記「第2」2(2)イの相違点と同様な相違点が見いだされる。そして、原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1~2を含めて検討したとしても、前記「第2」3で述べた理由と同様な理由により、相違点に係る本願発明の構成に至らない。 してみると、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 2 当合議体が通知した拒絶の理由について 当合議体が通知した拒絶の理由は、いずれも令和3年8月12日にした手続補正により解消した。 第4 むすび 以上のとおり、原査定の理由及び当合議体が通知した拒絶の理由によっては本件出願を拒絶することはできない。 また、他に本件出願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2020-015238

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