特許拒絶査定不服審判
2020-014578
端末装置
- 審判番号
- 2020-014578
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-107450
- 請求日
- 2020年10月19日
- 審決日
- 2021年11月12日
- 公報発行日
- 2022年02月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】サン電子株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人快友国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 清水 正一
- 審判官 五十嵐 努
- 審判官 渡辺 努
- 分類
- P18 .121-Z (G06T)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第4号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第1号、特許法第17条の2第5項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2016-107450「端末装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年12月 7日出願公開、特開2017-215664〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成28年5月30日を出願日とする特許出願であって、その後の手続の経緯は、以下のとおりである。
令和元年 5月22日 :手続補正書の提出
令和2年 4月16日付け:拒絶理由通知
同年 6月19日 :意見書、手続補正書の提出
同年 7月17日付け:拒絶査定
同年10月19日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 本件補正について
1 本件補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲
令和2年10月19日の手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についての補正であり、本件補正により、特許請求の範囲は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所を示す)
「 【請求項1】
端末装置であって、
撮影部と、
表示部と、
制御部と、
記憶部と、を備え、
前記制御部は、
前記撮影部に撮影を実行させる撮影制御部と、
前記撮影部が対象画像を撮影する対象タイミングにおける前記端末装置の環境の特徴を示す特徴情報を生成する生成部であって、前記対象タイミングにおいて前記撮影部が撮影する前記対象画像内に含まれる特徴要素を特定し、特定された前記特徴要素を含む前記特徴を示す前記特徴情報を生成する、前記生成部と、
撮影された前記対象画像と、生成された前記特徴情報と、を対応付けて前記記憶部に記憶させる記憶制御部と、
前記対象画像及び前記特徴情報が前記記憶部に記憶された後で、前記撮影部によって前記特徴要素が撮影されることが検出される特定の場合に、当該特徴要素を含む前記特徴を示す前記特徴情報に対応付けられて前記記憶部に記憶されている前記対象画像を、前記表示部において前記端末装置が位置する周囲の現在の状態と比較可能に、前記対象画像と、前記端末装置が位置する周囲の現在の状態と、が前記表示部において重なるように、前記表示部に表示させる、表示制御部と、を備える、
端末装置。
【請求項2】
端末装置であって、
撮影部と、
表示部と、
制御部と、
記憶部と、
所定の領域内における前記端末装置の位置を検出する位置検出手段と、を備え、
前記制御部は、
前記撮影部に撮影を実行させる撮影制御部と、
前記撮影部が対象画像を撮影する対象タイミングにおける前記端末装置の環境の特徴を示す特徴情報を生成する生成部であって、前記対象タイミングにおいて前記位置検出手段によって検出される対象位置を含む前記特徴を示す前記特徴情報を生成する、前記生成部と、
撮影された前記対象画像と、生成された前記特徴情報と、を対応付けて前記記憶部に記憶させる記憶制御部と、
前記対象画像及び前記特徴情報が前記記憶部に記憶された後で、前記位置検出手段によって前記対象位置が検出される特定の場合に、前記対象位置を含む前記特徴を示す前記特徴情報に対応付けられて前記記憶部に記憶されている前記対象画像を、前記表示部において前記端末装置が位置する周囲の現在の状態と比較可能に、前記対象画像と、前記端末装置が位置する周囲の現在の状態と、が前記表示部において重なるように、前記表示部に表示させる、表示制御部と、を備える、
端末装置。
【請求項3】
前記端末装置は、さらに、前記端末装置の姿勢を検出するセンサを備え、
前記生成部は、前記対象タイミングにおいて前記センサによって検出される対象姿勢をさらに含む前記特徴を示す前記特徴情報を生成し、
前記表示制御部は、前記対象画像及び前記特徴情報が前記記憶部に記憶された後で、前記位置検出手段によって前記対象位置が検出されるとともに、前記センサによって前記対象姿勢が検出される前記特定の場合に、当該対象位置及び当該対象姿勢を含む前記特徴を示す前記特徴情報に対応付けられて前記記憶部に記憶されている前記対象画像を、前記表示部に表示させる、
請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記端末装置は、さらに、
ユーザの頭部に装着可能なフレームを備え、
前記撮影部は、前記フレームに搭載され、前記フレームを装着した前記ユーザの視界範囲に対応する範囲を撮影可能であり、
前記表示部は、前記フレームに搭載され、前記フレームを装着した前記ユーザの右眼と左眼の少なくとも一方に対向する位置に配置される、
請求項1から3のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項5】
端末装置であって、
表示部と、
制御部と、
記憶部と、を備え、
前記制御部は、
撮影部が撮影した対象画像と、前記撮影部が前記対象画像を撮影する対象タイミングにおける前記撮影部の環境の特徴を示す特徴情報と、を取得する取得部であって、前記特徴情報は、前記対象タイミングにおいて前記撮影部が撮影する前記対象画像内に含まれる特徴要素を含む前記特徴を示す、前記取得部と、
取得された前記対象画像と前記特徴情報とを対応付けて前記記憶部に記憶させる記憶制御部と、
前記対象画像及び前記特徴情報が前記記憶部に記憶された後で、前記撮影部によって前記特徴要素が撮影されることが検出される特定の場合に、当該特徴要素を含む前記特徴を示す前記特徴情報に対応付けられて前記記憶部に記憶されている前記対象画像を、前記表示部において前記端末装置が位置する周囲の現在の状態と比較可能に、前記対象画像と、前記端末装置が位置する周囲の現在の状態と、が前記表示部において重なるように、前記表示部に表示させる、表示制御部と、を備える、
端末装置。
【請求項6】
前記表示部は、光透過性を有しており、
前記表示制御部は、前記ユーザが前記表示部を通して前記表示部の後方を視認可能に、前記対象画像を前記表示部に表示させる、請求項1から5のいずれか一項に記載の端末装置。」
(2)本件補正前
本件補正前の令和2年6月19日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の記載は、次のとおりである。
「 【請求項1】
端末装置であって、
撮影部と、
表示部と、
制御部と、
記憶部と、を備え、
前記制御部は、
前記撮影部に撮影を実行させる撮影制御部と、
前記撮影部が対象画像を撮影する対象タイミングにおける前記端末装置の環境の特徴を示す特徴情報を生成する生成部であって、前記対象タイミングにおいて前記撮影部が撮影する前記対象画像内に含まれる特徴要素を特定し、特定された前記特徴要素を含む前記特徴を示す前記特徴情報を生成する、前記生成部と、
撮影された前記対象画像と、生成された前記特徴情報と、を対応付けて前記記憶部に記憶させる記憶制御部と、
前記対象画像及び前記特徴情報が前記記憶部に記憶された後で、前記撮影部によって前記特徴要素が撮影されることが検出される特定の場合に、当該特徴要素を含む前記特徴を示す前記特徴情報に対応付けられて前記記憶部に記憶されている前記対象画像を、前記表示部において前記端末装置が位置する周囲の現在の状態と比較可能に、前記表示部に表示させる、表示制御部と、を備える、
端末装置。
【請求項2】
端末装置であって、
撮影部と、
表示部と、
制御部と、
記憶部と、
所定の領域内における前記端末装置の位置を検出する位置検出手段と、を備え、
前記制御部は、
前記撮影部に撮影を実行させる撮影制御部と、
前記撮影部が対象画像を撮影する対象タイミングにおける前記端末装置の環境の特徴を示す特徴情報を生成する生成部であって、前記対象タイミングにおいて前記位置検出手段によって検出される対象位置を含む前記特徴を示す前記特徴情報を生成する、前記生成部と、
撮影された前記対象画像と、生成された前記特徴情報と、を対応付けて前記記憶部に記憶させる記憶制御部と、
前記対象画像及び前記特徴情報が前記記憶部に記憶された後で、前記位置検出手段によって前記対象位置が検出される特定の場合に、当該特徴要素を含む前記特徴を示す前記特徴情報に対応付けられて前記記憶部に記憶されている前記対象画像を、前記表示部において前記端末装置が位置する周囲の現在の状態と比較可能に、前記表示部に表示させる、表示制御部と、を備える、
端末装置。
【請求項3】
前記端末装置は、さらに、前記端末装置の姿勢を検出するセンサを備え、
前記生成部は、前記対象タイミングにおいて前記センサによって検出される対象姿勢をさらに含む前記特徴を示す前記特徴情報を生成し、
前記表示制御部は、前記対象画像及び前記特徴情報が前記記憶部に記憶された後で、前記位置検出手段によって前記対象位置が検出されるとともに、前記センサによって前記対象姿勢が検出される前記特定の場合に、当該対象位置及び当該対象姿勢を含む前記特徴を示す前記特徴情報に対応付けられて前記記憶部に記憶されている前記対象画像を、前記表示部に表示させる、
請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記端末装置は、さらに、
ユーザの頭部に装着可能なフレームを備え、
前記撮影部は、前記フレームに搭載され、前記フレームを装着した前記ユーザの視界範囲に対応する範囲を撮影可能であり、
前記表示部は、前記フレームに搭載され、前記フレームを装着した前記ユーザの右眼と左眼の少なくとも一方に対向する位置に配置される、
請求項1から3のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項5】
端末装置であって、
表示部と、
制御部と、
記憶部と、を備え、
前記制御部は、
撮影部が撮影した対象画像と、前記撮影部が前記対象画像を撮影する対象タイミングにおける前記撮影部の環境の特徴を示す特徴情報と、を取得する取得部であって、前記特徴情報は、前記対象タイミングにおいて前記撮影部が撮影する前記対象画像内に含まれる特徴要素を含む前記特徴を示す、前記取得部と、
取得された前記対象画像と前記特徴情報とを対応付けて前記記憶部に記憶させる記憶制御部と、
前記対象画像及び前記特徴情報が前記記憶部に記憶された後で、前記撮影部によって前記特徴要素が撮影されることが検出される特定の場合に、当該特徴要素を含む前記特徴を示す前記特徴情報に対応付けられて前記記憶部に記憶されている前記対象画像を、前記表示部において前記端末装置が位置する周囲の現在の状態と比較可能に、前記表示部に表示させる、表示制御部と、を備える、
端末装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記対象画像と、前記端末装置が位置する周囲の現在の状態と、を前記表示部において重なるように、前記表示部に表示させる、請求項1から5のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項7】
前記表示部は、光透過性を有しており、
前記表示制御部は、前記ユーザが前記表示部を通して前記表示部の後方を視認可能に、前記対象画像を前記表示部に表示させる、請求項1から6のいずれか一項に記載の端末装置。」
2 補正の適否について
(1)本件補正は、次の補正事項からなる。
ア 補正事項1
本件補正前の請求項1、2及び5の「前記表示部に表示させる、表示制御部」を「前記対象画像と、前記端末装置が位置する周囲の現在の状態と、が前記表示部において重なるように、前記表示部に表示させる、表示制御部」と補正する。
イ 補正事項2
本件補正前の請求項2の「当該特徴要素を含む前記特徴を示す前記特徴情報に対応付けられて前記記憶部に記憶されている前記対象画像」を「前記対象位置を含む前記特徴を示す前記特徴情報に対応付けられて前記記憶部に記憶されている前記対象画像」と補正する。
ウ 補正事項3
本件補正前の請求項6を削除する。
エ 補正事項4
本件補正前の請求項7を請求項6に繰り上げるとともに、引用する請求項について「請求項1から6のいずれか一項」を「請求項1から5のいずれか一項」と補正する。
(2)各補正事項について
ア 補正事項1について
補正事項1は、本件補正前の請求項1、2、5に対して、請求項1、2、5を引用する請求項6の発明特定事項を付加するものであるから、本件補正後の請求項1は本件補正前の請求項1を引用する請求項6であり、本件補正後の請求項2は本件補正前の請求項2を引用する請求項6であり、本件補正後の請求項5は本件補正前の請求項5を引用する請求項6である。
また、上記に伴い、本件補正前の請求項2を引用する請求項3を引用する請求項6は、本件補正後の請求項2を引用する請求項3であり、本件補正前の請求項1から3を引用する請求項4を引用する請求項6は、本件補正後の請求項1から3を引用する請求項4である。
そうしてみると、補正事項1は、本件補正前の請求項1、2、5、請求項2を引用する請求項3、及び請求項1から3を引用する請求項4を削除し、請求項6について、請求項1、2、5を引用するものを、それぞれ本件補正後の請求項1、2、5とし、請求項3を引用するものを本件補正後の請求項3とし、請求項4を引用するものを本件補正後の請求項4とする補正であるから、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除を目的とする補正である。
また、補正事項1は、請求項の削除を目的とする補正であるから、特許法第17条の2第3項及び第4項に違反するところはない。
イ 補正事項2について
本件補正前の請求項2では「特徴要素」がこの記載の他に存在せず、「当該特徴要素を含む前記特徴を示す前記特徴情報」というものが前後の文脈と整合しない記載であった。
その記載を、本件補正後の請求項2では、前後の文脈で「前記位置検出手段によって検出される対象位置を含む前記特徴を示す前記特徴情報を生成する」、及び「前記位置検出手段によって前記対象位置が検出される特定の場合に」との記載と整合するように「前記対象位置」と補正したものであるから(下線は当審が付与。以下、同様。)、補正事項2は、特許法第17条の2第5項第3号に掲げる誤記の訂正を目的とする補正である。
次に、出願当初の明細書の第1実施例には、
「【0039】
続くS18では、制御部30は、S16で特定された対象位置を示す情報及び対象姿勢を示す情報を含む特徴情報を生成する。特徴情報には、対象位置を示す情報及び対象姿勢を示す情報に加えて、対象画像の撮影日時、対象画像を識別するための画像番号等の各種情報が含まれる。
【0040】
続くS20では、制御部30は、S14で生成された対象画像と、S18で生成された特徴情報とを対応付けてメモリ32の画像記憶領域36に記憶させる。これにより、画像記憶領域36には、対象画像と特徴情報との組合せが記憶される。」
と記載されており、「対象位置を示す情報」を含む「特徴情報」は、「対象画像」と対応付けられて「画像記憶領域36」に記憶されている。
したがって、本件補正後の「前記対象位置を含む前記特徴を示す前記特徴情報に対応付けられて前記記憶部に記憶されている前記対象画像」という構成は出願当初の明細書に記載されたものであり、また補正事項2は誤記を訂正とする目的であり、特許法第17条の2第3項及び第4項に違反するところはない。
ウ 補正事項3について
補正事項3は、補正事項1によって本件補正前の請求項6を本件補正後の請求項1から5にしたことに伴い、本件補正前の請求項6を残すと重複する記載となるため、これを削除するものであり、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とする補正である。
また、補正事項3は、補正事項1に伴って発生する重複する記載を削除する補正であるから、特許法第17条の2第3項及び第4項に違反するところはない。
エ 補正事項4について
補正事項4は、補正事項3により補正前の請求項6を削除したことに伴って、補正前の請求項7を請求項6に繰り上げて項番を整理するものであるから、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とする補正である。
また、補正事項4は、請求項の項番を整理する補正であるから、特許法第17条の2第3項及び第4項に違反するところはない。
(3)したがって、本件補正は適法になされたものである。
第3 本願発明
本件補正後の特許請求の範囲の請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
なお、A~Fについては、説明のために当審にて付したものである。(以下、「構成A」~「構成F」という。)
「A 端末装置であって、
B 撮影部と、
C 表示部と、
D 制御部と、
E 記憶部と、
F 所定の領域内における前記端末装置の位置を検出する位置検出手段と、を備え、
D 前記制御部は、
D1 前記撮影部に撮影を実行させる撮影制御部と、
D2 前記撮影部が対象画像を撮影する対象タイミングにおける前記端末装置の環境の特徴を示す特徴情報を生成する生成部であって、前記対象タイミングにおいて前記位置検出手段によって検出される対象位置を含む前記特徴を示す前記特徴情報を生成する、前記生成部と、
D3 撮影された前記対象画像と、生成された前記特徴情報と、を対応付けて前記記憶部に記憶させる記憶制御部と、
D4 前記対象画像及び前記特徴情報が前記記憶部に記憶された後で、前記位置検出手段によって前記対象位置が検出される特定の場合に、前記対象位置を含む前記特徴を示す前記特徴情報に対応付けられて前記記憶部に記憶されている前記対象画像を、前記表示部において前記端末装置が位置する周囲の現在の状態と比較可能に、前記対象画像と、前記端末装置が位置する周囲の現在の状態と、が前記表示部において重なるように、前記表示部に表示させる、表示制御部と、を備える、
A 端末装置。」
第4 原査定の概要
原査定の拒絶の理由は、本件補正前の請求項2を引用する請求項6に係る発明、すなわち本願発明に対する拒絶理由を含むものであって、次のとおりである。
この出願の請求項6に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1.特開2005-147674号公報
引用文献2.特開2010-176346号公報(周知技術を示す文献)
引用文献3.特開2011-138258号公報(周知技術を示す文献)
第5 引用文献
1 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、ナビゲーション装置に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は、当審で付した。以下同様。)
「【0001】
本発明は、市街地などのナビゲーションを行う手法や装置に関し、特に過去に行ったことのある場所の景観情報を記録および参照表示できるようにした景観記録ナビゲーション装置に関するものである。」
「【0004】
従来は、過去の地図と現在の地図との差分によって、建物の新築や取り壊しなどの比較や、過去の地図を見ながら過去の時点の景観を想像したり、現在の景観との違いを想像したりすることはできても、ユーザが実際に過去に訪れた際に見た景観情報(周囲の町並みや風景)を再現して様々な記憶をたどったり、現在の景観と比較して景観の変化を確認したりすることはできなかった。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、ユーザが実際に訪れた際に見た景観情報を記録し、再現表示することができる景観記録ナビゲーション装置を提供することを目的とする。」
「【0013】
以上述べたように、本発明によれば、移動しながら常に位置情報と日時情報に連動した景観情報を記録、蓄積し、保存しておくため、過去にユーザが実際に訪れた際に見た景観情報を後に再現表示することができるとともに、本発明によるナビゲーション装置を持ちながら再び現地を訪れた場合に、現在の現実の景観情報と比較して、本装置の中に構築されるカメラなどによる取得した景観情報の中の町並みや風景の変化を知ることができ、これにより、過去の記憶を喚起することもできる効果が得られる。」
「【0016】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
実施の第1形態を述べるに当たり、景観情報の取得手段として「S.Ozawa,I.Miyagawa,K.Wakabayashi,T.Arikawa,”Mobile Mapping from Stereo 0mnidirectional Vision”,Proceeding of ISPRS Com.V Sympoium,pp.198-203,2002」(以下文献と称す)にあるような建物モデル復元手法を用いて3次元的景観情報を構築し、時刻取得、測位手段としてD-GPS装置を利用し、さらに景観情報の記録手段としてリムーバブルメディアを利用したときの本発明を車載用カーナビゲーション装置ヘ適用した場合について説明する。
【0018】
なお、上記以外の手段の組み合わせ、例えば、測位手段としてRTK-GPS装置を利用した場合や、適用するナビゲーション装置としても、車載用ナビゲーション装置の場合、さらに、歩行者用ナビゲーション装置の場合においても、本発明が成立することは白明である。」
「【0032】
・・・(中略)・・・
[実施の第2形態]
第2形態は、第1形態と同様の構成を具備している。ただし、第2形態では、景観情報を表示する際の、位置の範囲を指定する対象位置指定部に関して、位置情報取得部で取得した位置情報を入力することで、自動で指定を行うことが可能となるものである。
【0033】
図2は、第2形態を示すブロック構成図で、第2形態は、前記第1形態と同様に、景観画像取得手段21、景観情報記憶手段22および景観画像表示手段23から構成される。
【0034】
そして、景観画像取得手段21は、周囲の景観画像を取得する景観画像取得部201と、D-GPS測位などによって現在の位置情報を取得する位置情報取得部204と、D-GPS装置などによって現在時刻を取得する時刻取得部202と、取得した景観画像、位置情報、時刻を景観情報として取得する景観情報取得部203とから構成される。
【0035】
また、景観情報記憶手段22は、取得した景観情報を記録しておく景観情報記録部205から構成される。
【0036】
さらに、景観画像表示手段23は、過去に記録した景観情報を再現する際の過去の日時の範囲を指定する対象日時指定部208と、過去に記録した景観情報を再現する際の過去に存在した位置の範囲を位置情報取得部204で取得された現在の位置を中心とし、予め設定された半径の円の範囲に指定する対象位置自動指定部207と、指定された範囲の過去の日時と位置から過去に記録した景観情報の中から対象となる景観情報を呼び出して再現表示する景観情報表示部206とから構成される。
【0037】
なお、対象位置自動指定部207で指定する位置範囲が円形ではなく、位置情報取得部204で取得された現在の位置を含む任意の矩形形状であったとしても本発明が成立することは白明である。
【0038】
第2形態において、D-GPS測位などによって現在の位置情報を取得する位置情報取得部204から得られる現在の位置情報を中心とした円状の範囲を対象位置自動指定部207の位置範囲として指定することにより、表示する過去の景観情報の位置が自動で設定されるため、第2形態のナビゲーション装置を利用するユーザは、表示したい日時を指定するだけで、過去に通過した際の景観情報を現在の位置に連動させながら3次元的に再現表示することが可能となる。
【0039】
これにより、ユーザは移動しながら、現在見ている景観情報と連動して変化する過去の景観情報を比較したり、過去の記憶を喚起したりすることを、現在のユーザの位置を意識せず、よりスムーズに行うが可能となる。」
2 引用文献1の記載事項、図面及びこの分野における技術常識を考慮すると、次のことがいえる。
・上記【0001】及び【0018】の記載によれば、引用文献1には、過去に行ったことのある場所の景観情報を記録および参照表示できるようにした、歩行者用ナビゲーション装置に適用可能な景観記録ナビゲーション装置に関する発明が記載されている。
・上記【0033】によれば、景観記録ナビゲーション装置は、景観画像取得手段21、景観情報記憶手段22および景観画像表示手段23から構成されている。
・上記【0034】によれば、景観画像取得手段21は、周囲の景観画像を取得する景観画像取得部201と、D-GPS測位などによって現在の位置情報を取得する位置情報取得部204と、D-GPS装置などによって現在時刻を取得する時刻取得部202と、取得した景観画像、位置情報、時刻を景観情報として取得する景観情報取得部203とから構成されている。
・上記【0035】によれば、景観情報記憶手段22は、取得した景観情報を記録しておく景観情報記録部205から構成されている。
・上記【0036】によれば、景観画像表示手段23は、過去に記録した景観情報を再現する際の過去の日時の範囲を指定する対象日時指定部208と、過去に記録した景観情報を再現する際の過去に存在した位置の範囲を位置情報取得部204で取得された現在の位置を中心とし、予め設定された半径の円の範囲に指定する対象位置自動指定部207と、指定された範囲の過去の日時と位置から過去に記録した景観情報の中から対象となる景観情報を呼び出して再現表示する景観情報表示部206とから構成されている。
・上記【0038】及び【0039】によれば、位置情報取得部204から得られる現在の位置情報を中心とした円状の範囲を対象位置自動指定部207の位置範囲として指定することにより、表示する過去の景観情報の位置が自動で設定されるため、ナビゲーション装置を利用するユーザは、表示したい日時を指定するだけで、過去に通過した際の景観情報を現在の位置に連動させながら3次元的に再現表示することが可能となり、これにより、ユーザは移動しながら、現在見ている景観情報と連動して変化する過去の景観情報を比較することが可能となるものである。
3 以上によれば、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、a~fについては、説明のために当審にて付したものである。(以下、「構成a」~「構成f」という。)
「a 過去に行ったことのある場所の景観情報を記録および参照表示できるようにした、歩行者用ナビゲーション装置に適用可能な景観記録ナビゲーション装置であって、
b 景観画像取得手段21、景観情報記憶手段22および景観画像表示手段23から構成されており、
c 景観画像取得手段21は、周囲の景観画像を取得する景観画像取得部201と、D-GPS測位などによって現在の位置情報を取得する位置情報取得部204と、D-GPS装置などによって現在時刻を取得する時刻取得部202と、取得した景観画像、位置情報、時刻を景観情報として取得する景観情報取得部203とから構成されており、
d 景観情報記憶手段22は、取得した景観情報を記録しておく景観情報記録部205から構成されており、
e 景観画像表示手段23は、過去に記録した景観情報を再現する際の過去の日時の範囲を指定する対象日時指定部208と、過去に記録した景観情報を再現する際の過去に存在した位置の範囲を位置情報取得部204で取得された現在の位置を中心とし、予め設定された半径の円の範囲に指定する対象位置自動指定部207と、指定された範囲の過去の日時と位置から過去に記録した景観情報の中から対象となる景観情報を呼び出して再現表示する景観情報表示部206とから構成されており、
f 位置情報取得部204から得られる現在の位置情報を中心とした円状の範囲を対象位置自動指定部207の位置範囲として指定することにより、表示する過去の景観情報の位置が自動で設定されるため、ナビゲーション装置を利用するユーザは、表示したい日時を指定するだけで、過去に通過した際の景観情報を現在の位置に連動させながら3次元的に再現表示することが可能となり、これにより、ユーザは移動しながら、現在見ている景観情報と連動して変化する過去の景観情報を比較することが可能となる、
a 景観記録ナビゲーション装置。」
第6 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
1 本願発明の構成Bについて
引用発明の構成cの「景観画像」を取得する「景観画像取得部201」は、【0013】を参照すると「カメラなど」により「景観画像」を撮影していることが明白であり、本願発明の構成Bの「撮影部」に相当する。
2 構成Cについて
引用発明の構成eの「景観情報」を再現表示する「景観情報表示部206」は、本願発明の構成Cの「表示部」に相当する。
3 本願発明の構成Dについて
引用発明の景観記録ナビゲーション装置は、この分野の技術常識を考慮すると、「景観画像取得手段21」、「景観情報記憶手段22」及び「景観画像表示手段23」が行う処理の制御に係る構成を有していることが自明といえる。
したがって、引用発明は、本願発明の構成Dと同様の「制御部」を備えるものである。
4 本願発明の構成Eについて
引用発明の構成dの「景観情報」を記録しておく「景観情報記録部205」は、本願発明の構成Eの「記憶部」に相当する。
5 本願発明の構成Fについて
引用発明の構成cの「位置情報取得部204」は、ユーザが過去に行ったことのある場所、すなわち所定の領域内において、現在の景観記録ナビゲーション装置の位置情報を取得しているといえ、本願発明の構成Fの「所定の領域内における前記端末装置の位置を検出する位置検出手段」に相当する。
6 本願発明の構成Aについて
上記1から5のように、引用発明の「景観記録ナビゲーション装置」は、本願発明の「撮影部」、「表示部」、「制御部」、「記憶部」及び「位置検出手段」に相当する構成を備えており、本願発明の構成Aの「端末装置」に相当する。
7 本願発明の構成D1について
上記3で述べた引用発明の「制御部」のうち、構成cの「周囲の景観画像」を取得する「景観画像取得部201」が行う処理の制御に係る構成は、構成D1の「前記撮影部に撮影を実行させる撮影制御部」に相当する。
8 本願発明の構成D2及びD3について
(1)引用発明の構成cの「景観画像取得部201」が取得する「景観画像」は、本願発明の構成D2の「撮影部」が撮影する「対象画像」に相当する。
(2)引用発明の構成cの「景観画像」とともに取得される「位置情報」及び「時刻」は、「景観画像」を撮影するタイミングで取得されることが自明である。
(3)そうすると、引用発明の「位置情報」及び「時刻」と本願発明の構成D2の「前記撮影部が対象画像を撮影する対象タイミングにおける前記端末装置の環境の特徴を示す特徴情報」は、「前記撮影部が対象画像を撮影する対象タイミングにおける情報」である点で共通する。
また、構成cの「位置情報」は本願発明の構成D2の「前記対象タイミングにおいて前記位置検出手段によって検出される対象位置」に相当する。
(4)ここで、引用発明の構成cの「景観画像取得部201」、「位置情報取得部204」、「時刻取得部202」及び「景観情報取得部203」から構成される「景観画像取得手段21」は、「景観画像」を撮影するタイミングにおける「位置情報」及び「時刻」を生成するといえ、当該「景観画像取得手段21」と本願発明の構成D2の「生成部」は「前記撮影部が対象画像を撮影する対象タイミングにおける情報を生成する生成部であって、前記対象タイミングにおいて前記位置検出手段によって検出される対象位置を含む前記情報を生成する、前記生成部」である点で共通する。
(5)そして、引用発明の構成dの「景観情報記録部205」は、構成cで取得した「景観画像」と「位置情報」などを対応付けて記録するといえ、当該「景観情報記録部205」と本願発明の構成D3の「記憶制御部」は「撮影された前記対象画像と、生成された前記情報と、を対応付けて前記記憶部に記憶させる記憶制御部」である点で共通する。
ただし、生成部によって生成され、記憶部に記憶される「前記撮影部が対象画像を撮影する対象タイミングにおける情報」に関して、本願発明は「端末装置の環境の特徴を示す特徴情報」であるのに対して、引用発明はその旨の特定がない点で相違する。
9 本願発明の構成D4について
(1)引用発明の構成eの「景観情報表示部206」による「過去に記録した景観情報の中から対象となる景観情報を呼び出して再現表示する」処理は、構成dにおいて「景観情報」が記録された後に行われることが自明である。
(2)引用発明の構成eにおいて「景観情報表示部206」が「過去に記録した景観情報の中から対象となる景観情報を呼び出す」ことができるのは、取得された「現在の位置情報」から「過去に記録した景観情報」を呼び出すことができる特定の場合であるから、当該特定の場合と本願発明の構成D4の「特定の場合」は「前記対象画像及び前記情報が前記記憶部に記憶された後で、前記位置検出手段によって前記対象位置が検出される特定の場合」である点で共通する。
(3)引用発明の構成fの「過去に通過した際の景観情報を現在の位置に連動させながら3次元的に再現表示する」ことは、「過去に通過した際の景観情報」を現在の周囲の状況と比較可能に表示するといえ、当該表示と本願発明の構成D4の「表示部」における「表示」は「前記対象位置を含む前記情報に対応付けられて前記記憶部に記憶されている前記対象画像を、前記表示部において前記端末装置が位置する周囲の現在の状態と比較可能に、前記表示部に表示させる」点で共通する。
(4)そうすると、上記3で述べた引用発明の「制御部」のうち、構成e及び構成fの「景観画像表示手段23」が行う処理の制御に係る構成と本願発明の構成D4の「表示制御部」は「前記対象画像及び前記情報が前記記憶部に記憶された後で、前記位置検出手段によって前記対象位置が検出される特定の場合に、前記対象位置を含む前記情報に対応付けられて前記記憶部に記憶されている前記対象画像を、前記表示部において前記端末装置が位置する周囲の現在の状態と比較可能に、前記表示部に表示させる、表示制御部」である点で共通する。
ただし、対象画像を表示部に表示させる際に、本願発明は「前記対象画像と、前記端末装置が位置する周囲の現在の状態と、が前記表示部において重なるように」表示させるのに対して、引用発明はその旨の特定がない点で相違する。
10 上記1~9から、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
A 端末装置であって、
B 撮影部と、
C 表示部と、
D 制御部と、
E 記憶部と、
F 所定の領域内における前記端末装置の位置を検出する位置検出手段と、を備え、
D 前記制御部は、
D1 前記撮影部に撮影を実行させる撮影制御部と、
D2’前記撮影部が対象画像を撮影する対象タイミングにおける情報を生成する生成部であって、前記対象タイミングにおいて前記位置検出手段によって検出される対象位置を含む前記情報を生成する、前記生成部と、
D3’撮影された前記対象画像と、生成された前記情報と、を対応付けて前記記憶部に記憶させる記憶制御部と、
D4’前記対象画像及び前記情報が前記記憶部に記憶された後で、前記位置検出手段によって前記対象位置が検出される特定の場合に、前記対象位置を含む前記情報に対応付けられて前記記憶部に記憶されている前記対象画像を、前記表示部において前記端末装置が位置する周囲の現在の状態と比較可能に、前記表示部に表示させる、表示制御部と、を備える、
A 端末装置。
<相違点1>
生成部によって生成され、記憶部に記憶される「前記撮影部が対象画像を撮影する対象タイミングにおける情報」に関して、本願発明は「端末装置の環境の特徴を示す特徴情報」であるのに対して、引用発明はその旨の特定がない点。
<相違点2>
対象画像を表示部に表示させる際に、本願発明は「前記対象画像と、前記端末装置が位置する周囲の現在の状態と、が前記表示部において重なるように」表示させるのに対して、引用発明はその旨の特定がない点。
第7 判断
上記相違点1及び2について検討する。
1 相違点1について
本願発明の「端末装置の環境の特徴を示す特徴情報」について、本願明細書を参照すると、実施例に記載された「特徴情報」は次のとおりである。
(1)第1実施例に記載された「特徴情報」は、「対象位置を示す情報」と「対象姿勢を示す情報」を含むものである(【0044】)。
(2)第2~4実施例に記載された「特徴情報」は、「対象画像中の特徴要素を示す情報」を含み、「対象位置を示す情報」及び「対象姿勢を示す情報」を含まないものである(【0065】~【0067】、【0073】)
(3)変形例4に記載された「特徴情報」は、「対象位置を示す情報」を含んでいれば「対象姿勢を示す情報」を含まなくてもよいものである(【0081】)。
(4)変形例6に記載された「特徴情報」は、第3、4実施例、すなわち「特徴情報」が「対象画像中の特徴要素を示す情報」を含む構成において、「対象位置を示す情報」と「対象姿勢を示す情報」を含んでもよいものである(【0083】)。
ここで、本願発明の「特徴情報」は「対象位置」を含むから、本願明細書中の記載では上記(1)、(3)、(4)に含まれるものである。
そうすると、上記(3)の場合には、「特徴情報」が「対象位置を示す情報」を含んでいればよいから、引用発明の「景観画像」とともに取得される「位置情報」は、本願発明の「端末装置の環境の特徴を示す特徴情報」に相当し、相違点1は実質的な相違でない。
仮に相違点1が実質的な相違であって、例えば本願発明の「特徴情報」が上記(1)や(2)や(4)の場合であったとしても、データベースなどに記憶された画像を検索する際に、画像内に含まれる特徴要素を用いることや(原査定で周知技術を示す文献としてあげた引用文献2の【0068】-【0076】等参照)、位置及び方位を用いることは(原査定で周知技術を示す文献としてあげた引用文献3の【0025】-【0049】等参照)、いずれも周知の技術事項であり、引用発明に周知の技術事項を適用して当業者が容易になし得る。
2 相違点2について
表示装置を用いて過去の景観情報を確認する際に、変化がわかるように、現在の画像と過去の画像とを重ねて表示させることは、周知の技術事項である(必要であれば、特開2015-228050号公報の【0052】及び【図5】、特開2006-140816号公報の【0066】及び【図7】(c)等参照)。
してみると、引用発明において過去の景観情報を再現表示する際に、変化がわかるように、周知の技術事項を採用して上記相違点2に係る発明とすることは当業者が容易になし得る。
この点について、請求人は令和2年10月19日提出の審判請求書において「引用文献1において、車載用ナビゲーション装置及び歩行者用ナビゲーション装置が説明されているように、ナビゲーション装置は、主に、移動中の道順案内を行うものであり、使用者は、移動しながらナビゲーション装置の表示部を確認します。このようなナビゲーション装置において、表示部に、対象画像と、端末装置が位置する周囲の現在の状態と、を比較するために、両者を表示部において重なるように表示して、使用者が表示部を凝視することを促すような構成を、当業者がわざわざ採用したとは思えません。」旨主張している。
しかしながら、引用発明の景観記録ナビゲーション装置が解決しようとする課題には、景観の変化を確認することが含まれており(【0004】参照)、変化がわかりやすくなるように周知の技術事項を採用する動機があるといえる。そして、本願発明の効果は引用発明及び周知の技術事項からみて格別顕著なものとはいえない。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第8 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2020-014578