意匠拒絶査定不服審判
2020-013479
ハンガー
- 審判番号
- 2020-013479
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2019-028506
- 登録番号
- 意匠登録第1682340号(D1682340)
- 請求日
- 2020年09月28日
- 審決日
- 2021年02月17日
- 公報発行日
- 2021年04月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社チャナカンパニー
- 【請求人代理人】八木澤 史彦
- 審判長/審判官
- 審判長 北代 真一
- 審判官 小林 裕和
- 審判官 濱本 文子
- 分類
- D18 .121-WY (D6-1)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2019- 28506「ハンガー」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
令和 1年(2019年)12月23日 意匠登録出願
令和 2年(2020年) 5月11日付け 拒絶理由通知書
令和 2年(2020年) 6月11日 意見書
令和 2年(2020年) 6月25日付け 拒絶査定
令和 2年(2020年) 9月28日 審判請求書
第2 本願意匠
本願は物品の部分について意匠登録を受けようとするものであって、本願意匠の意匠に係る物品は、本願の願書の記載によれば「ハンガー」であり、本願意匠の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」ともいう。)は、願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりであり、願書の「意匠の説明」の欄には「実線で表された部分(当審注:以下「本願部分」という。)が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。実線で表された部分は、ハンガーの本体部分である。ハンガーのフック部分は、点線で表されており、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分ではない。」と記載されている(別紙第1参照)。
第3 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」ともいう。)が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。
「本願意匠は、端部が丸みを帯びている略丸棒状の部材を、正面視略半円形状に湾曲させ形成したハンガーの本体部分(衣服掛け部)について意匠登録を受けようとするものです。以下では、本願意匠の創作非容易性について検討します。
本願意匠の属するハンガーの分野においては、端部が丸みを帯びた略丸棒状の部材でハンガーの本体部分(衣服掛け部)を構成することは、例えば下記の【意匠1】及び【意匠2】においてみられるとおり、本願出願前より公然知られたものです。
また同分野においては、ハンガーの本体部分(衣服掛け部)を、正面視略半円形状に湾曲させることは、例えば下記の【意匠3】においてみられるとおり、本願出願前より公然知られたものです。
さらに、これらを組み合わせることについても、上記のいずれも本願物品と同種の物品分野に属するものであることを考慮すると、当業者であれば格別の創意を要するものということができません。
そうすると、ハンガーの本体部分(衣服掛け部)を、本願出願前より公然知られた下記の【意匠1】及び【意匠2】のように端部が丸みを帯びた略丸棒状の部材で構成し、その湾曲の態様を下記の【意匠3】のように正面視略半円形状にしたに過ぎない本願の意匠は、当業者であれば容易に創作することができたものです。
(中略)
【意匠1】
独立行政法人工業所有権情報・研修館が2018年6月22日に受け入れた
SPEED INDUSTRY CO.,LTD.勢必▲徳▼實業有限公司
第17頁所載
ハンガーの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HD30004756号)
の本体部分(衣服掛け部)
【意匠2】
特許庁意匠課が1999年 2月16日に受け入れた
商品カタログ(日刊工業新聞10.9.2P29)
第A-1頁所載
ハンガーの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HN11000188号)
の本体部分(衣服掛け部)
【意匠3】
特許庁発行の公開特許公報記載
平成 9年特許出願公開第182656号
【図1】ないし【図4】及び関連する記載により表された
ハンガーの意匠の衣服掛けアーム部」
第4 当審の判断
以下、本願意匠が意匠法第3条第2項の規定に該当するか否か、すなわち、本願意匠が、この意匠の属する分野における通常の知識を有する者が容易に創作することができたものであるか否かについて検討する。
1 本願意匠(別紙第1参照)
本願意匠の意匠に係る物品(以下「本願物品」という。)は「ハンガー」であり、本願の願書及び願書に添付した図面の記載によれば、本願物品は、衣類用のハンガーであって、本体部分とフック部分から成るものである。
物品の部分として意匠登録を受けようとする本願部分は、実線で表された本体部分である。
本願部分は、フック部分の下端の位置から左右に広がっており、本願部分の最大横幅は、フック部分の最大横幅の約7.5倍の大きさを占めている。そうすると、本願部分の用途及び機能は、衣服の肩の部分を掛けることであると推認される。
本願部分の形態は、次のとおりである。
(1)全体について
全体の形状は、正面から見て、略丸棒状体を略倒弓形状に曲げたものであって、最大縦幅:最大横幅の比率が約4:9である。
(2)略倒弓形状について
略倒弓形状は半円弧に近い態様ではあるが、左端寄り及び右端寄りがごく僅かに内側に屈曲しているため、上半部がやや緩やかな凸弧状になっており、当該屈曲より下側の左端部分と右端部分がより急な凸弧状になっている。
(3)端部について
略丸棒状体の左右の端部は、略凸球面状に膨出している。
2 意匠1ないし意匠3
原査定における拒絶の理由で引用された意匠1ないし意匠3について、以下のとおり認定する。なお、意匠1ないし意匠3の出典や公知日などについては、前記第3に記載したとおりである。
(1)意匠1(別紙第2参照)
意匠1の意匠に係る物品は「ハンガー」であり、本願部分に対応する意匠1の部分(以下「意匠1部分」という。)は、フック部分を除く本体部分である。
意匠1部分は、フック部分の下端の位置から左右に広がっており、意匠1部分の最大横幅は、フック部分の最大横幅の約8.6倍の大きさを占めている。そうすると、意匠1部分の用途及び機能は、衣服の肩の部分を掛けることであると推認される。
意匠1部分の形態は以下のとおりである。
(ア)全体について
全体の形状は、正面から見て、略丸棒状体を緩やかな略凸弧状に曲げたものであって、最大縦幅:最大横幅の比率が約1:5.5である。
(イ)端部について
略丸棒状体の左右の端部は、略凸球面状に膨出している。
(2)意匠2(別紙第3参照)
意匠2の意匠に係る物品は「ハンガー」であり、本願部分に対応する意匠2の部分(以下「意匠2部分」という。)は、フック部分を除く本体部分である。
意匠2部分は、フック部分の下端の位置から左右に広がっており、意匠2部分の最大横幅は、フック部分の最大横幅の約7.1倍の大きさを占めている。そうすると、意匠2部分の用途及び機能は、衣服の肩の部分を掛けることであると推認される。
意匠2部分の形態は以下のとおりである。
(ア)全体について
全体の形状は、正面から見て、略丸棒状体を緩やかな略凸弧状に曲げたものであって、最大縦幅:最大横幅の比率が約1:5.5である。
(イ)端部について
略丸棒状体の左右の端部は、略凸球面状に膨出している。
(3)意匠3(別紙第4参照)
意匠3の意匠に係る物品は「洋服用簡易ハンガー」であり、【図1】によれば吊り下げフック部(3)、襟掛け部(2)及び衣服掛けアーム部(1)の3つから成る。本願部分に対応する意匠3の部分(以下「意匠3部分」という。)は、衣服掛けアーム部である。
意匠3部分は、吊り下げフック部の下端から奥行き方向に伸びた襟掛け部の後方の位置で左右に広がっており、意匠3部分の最大横幅は、吊り下げフック部の最大横幅の約3倍の大きさを占めている。そして、洋服用簡易ハンガーの使用状態を示す正面図である【図6】によれば、意匠3部分には衣服の襟首の周りが当たっているので、意匠3部分の用途及び機能は衣服の襟首の部分を掛けることである。
意匠3部分の形態は以下のとおりである。なお、【図1】を正面右上から見た斜視図、【図2】を正面やや上から見た斜視図、【図3】を右側面図、【図4】を上下反転させたものを平面図として認定する。
(ア)全体について
全体の形状は、正面から見て、略線状体を略円弧状に曲げたものであって、最大縦幅:最大横幅の比率が約1.1:2である。
(イ)略円弧状について
略円弧状は、【図2】において略線状体の左右端部の位置が略円弧状の中心点よりも下方に位置しているから、半円弧よりも弧度が大きい。
(ウ)略線状体について
略線状体は、正面視右端で後方に、左端で前方に、それぞれ右側面視180度折り返して前後に重なっており、平面から見ると、襟掛け部の後端が平面視右方向に90度折り曲げられて始まった略線状体は、右端で折り返して左方向に連続し、左端で折り返して襟掛け部の後端に近接した位置で途切れている。
(エ)端部について
略線状体の折り返し端部は、正面視、平面視及び右側面視において、略小弧状に表されている。
3 創作非容易性の判断
「ハンガー」の意匠の物品分野において、本体部分の形態について、略丸棒状体を弧状に曲げて、左右の端部を略凸球面状に膨出させたものは、意匠1部分及び意匠2部分に見られるように本願の出願前に広く知られている。しかし、本願部分のように、半円弧に近い略倒弓形状の形態、詳細には、左端寄り及び右端寄りをごく僅かに内側に屈曲させて上半部をやや緩やかな凸弧状にし、当該屈曲より下側の部分をより急な凸弧状にした形態は意匠3部分に表されておらず、意匠3部分の形態に基づいて本願部分の形態を容易に創作することができたということはできない。
また、意匠3部分は、前記2(3)で認定したとおり、衣服の襟首の部分を掛ける用途及び機能を有する点で、本願部分の用途及び機能とは異なるところ、衣服の肩の部分を掛ける用途及び機能を実現する本願部分の大きさ(吊り下げフック部に対する大きさ)や形態の創作に当たって、当業者が意匠3部分の形態に依拠したとはいい難い。
したがって、原査定における拒絶の理由で引用された意匠に基づいて、当業者が容易に本願意匠の創作をすることができたということはできない。
第5 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法第3条第2項が規定する、意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができたとはいえないものであるから、原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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