2020-008418
ベッド装置
- 審判番号
- 2020-008418
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-045458外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年06月17日
- 審決日
- 2021年10月05日
- 公報発行日
- 2021年11月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】パラマウントベッド株式会社
- 【請求人代理人】藤本 英介
- 【請求人代理人】神田 正義
- 【請求人代理人】宮尾 明茂
- 【請求人代理人】馬場 信幸
- 分類
- P18 .121-WY (A47C) / P18 .537-WY (A47C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成28年3月9日の出願であって、令和1年10月7日付けで拒絶理由が通知され、同年12月16日に意見書及び手続補正書が提出され、令和2年3月19日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、同年6月17日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、令和3年6月3日付けで当審から拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年6月28日に意見書及び手続補正書が提出され、同年7月30日に手続補正書が提出されたものである。
第2 当審拒絶理由の概要及びその判断
当審は、令和2年6月17日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の「前記第1背部の下面に取り付けられ、前記第1支持フレームを支点に、前記第1背部を起伏させる第1背部側方起伏機構と、前記第2背部の下面に取り付けられ、前記第2支持フレームを支点に、前記第2背部を起伏させる第2背部側方起伏機構と有する第2の背部起伏機構と、」との記載について、発明の詳細な説明の記載と整合しておらず、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないとの拒絶の理由を通知したが、これに対して、令和3年7月30日付けの手続補正書により当該記載が「前記第1背部の下側に設けられ、前記第1支持フレームを支点に、前記第1背部を起伏させる第1背部側方起伏機構と、前記第2背部の下側に設けられ、前記第2支持フレームを支点に、前記第2背部を起伏させる第2背部側方起伏機構と有する第2の背部起伏機構と、」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
第3 本願発明
本願請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和3年7月30日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「床部を起伏させる起伏機構を備えるベッド装置において、前記床部は、背部を備え、前記背部は、ベッド利用者の右側を主に支持する第1背部と、続きを表示(全15行)ベッド利用者の左側を主に支持する第2背部と、ベッド幅方向中央部より左側に配置する第1支持フレームと、ベッド幅方向中央部より右側に配置する第2支持フレームと、を有し、前記起伏機構として、前記背部のベッド長手方向頭部側を起伏させる第1の背部起伏機構と、前記第1背部の下側に設けられ、前記第1支持フレームを支点に、前記第1背部を起伏させる第1背部側方起伏機構と、前記第2背部の下側に設けられ、前記第2支持フレームを支点に、前記第2背部を起伏させる第2背部側方起伏機構と有する第2の背部起伏機構と、を備え、前記第1の背部起伏機構が、前記背部のベッド長手方向頭部側を起こした状態で、前記第1背部側方起伏機構は前記第1背部を又は前記第2背部側方起伏機構は前記第2背部を起こした状態が可能であり、前記第1の背部起伏機構と、前記第1背部側方起伏機構又は前記第2背部側方起伏機構とは、前記第1の背部起伏機構が動作して所定位置まで前記背部のベッド長手方向頭部側を起こした後に、前記第1背部側方起伏機構は前記第1背部を又は前記第2背部側方起伏機構は前記第2背部を指定された向きに所定量傾斜させるように、連動した駆動制御が可能に構成されることを特徴とするベッド装置。」
第4 原査定の概要
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
・請求項 1~3、5、6、8、9
・引用文献 1、2
・請求項 4
・引用文献 1、2
・請求項 7
・引用文献 1~3
・請求項 10
・引用文献 1、2、4
<刊行物等一覧>
引用文献1.再公表特許第2011/062169号
引用文献2.特開2003-310668号公報
引用文献3.特開2001-095858号公報
引用文献4.特開2002-085481号公報
第5 原査定の判断
第5-1 引用文献の記載事項等
1 引用文献1
(1)記載事項
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原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付与。以下同様。)。
・「【請求項5】
臥床する被介護者を支承するベッド床を長手方向の左右に分割構成し、この左右ベッド床の長手方向の内側を傾動支点として外側が上下動するようになし、前記左右ベッド床により傾斜面が形成されるようにした介護ベッドであり、前記左右ベッド床の内側の一部を交互に延長し、該延長部の先端を左右方向の傾動支点となるようにすると共に、該左右ベッド床の下肢側の端部を前後方向の傾動支点となるようにしたことを特徴とする介護ベッド。」
・「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
・・・
本発明は、かかる従来の介護ベッドの問題を解決するためになされたもので、被介護者の褥瘡を予防できるようにすると共に、被介護者に対する介護者の負担の軽減が可能となるようにし、呼吸介助、拘縮や筋緊張などの緩和が可能となるリハビリテーション機能を備え、さらに、被介護者の上半身を斜めに起こす半挫位も可能となるようにした介護ベッドを提供するものであり、臨床医療に大きく貢献できることを目的とするものである。」
・「【0013】
図4に示す実施例4の介護ベッドは、左右ベッド床の上体と臀部に対応する部分を一体化して上体と臀部を同時に傾動して左右方向に傾斜すると共に、前後方向にも傾動して半挫位が可能となるようにしたもので、同図に示すように枠組みされたベッドフレーム2内に傾動フレーム70が配設され、さらに、この傾動フレーム70内に被介護者HBの上体と臀部に対応する左右ベッド床5が収容されている。被介護者HBの脚部に対応する位置には前記傾動フレーム70に連設される状態で脚部ベッド床4がベッドフレーム2に固定されている。
前記左右ベッド床5は、図32に示すように左側ベッド51と右側ベッド床52の内側の一部を交互に延長した櫛歯状の傾動片51a、52aを組み合わせたものであり、前記傾動片51a、52aの先端の裏面には、同図に示すようにスピンドルブロック71が固定されている。なお、前記左右ベッド床5を構成するための素材は、例えば、板状体あるいは金属素材によるメッシュをフレームに張設したものなど広く採用することができ、材質、構造は限定されるものではない。
前記傾動フレーム70は図32に示すように、方形に枠組みされ、フランジ70aが下辺から内方に張り出すように形成されており、このフランジ70a間に縦ビーム70cが架設されている。この縦ビーム70cの前記傾動片51a、52aの先端のスピンドルブロック71に対応する位置にはアングルホルダー72が固定されており、左右ベッド床51、52を傾動フレーム70に収容したとき、前記スピンドルブロック71がアングルホルダー72に嵌合し、スピンドル73により回動可能に支持することにより、傾動片51a、52aの左右方向への傾動支点となるようにしている。
このようにして、左右ベッド床5を収容した傾動フレーム70は、その脚部側の端部に設けた枢支ローラー74を図33に示すベッドフレーム2に形成したローラーホルダー2bに回動可能に係合させてベッドフレーム2上に配置する。このとき、傾動フレーム70はその頭部側および両側部がベッドフレーム2のフランジ2a上に載置状態となる。したがって、ベッドフレーム2は枢支ローラー74を傾動支点とし、左右ベッド床5を収容した状態で前後方向の傾斜が可能となる。
つぎに、前記左右ベッド床5の左右方向および前後方向への傾動に関する駆動機構について以下に説明する。図34は実施例4の介護ベッド1における駆動機構の理解が容易となるように透視状態で示した斜視図であり、右側ベッド床52を傾斜するための動力源となる電動アクチュエータ75、左側ベッド床51を傾動するための電動アクチュエータ76、傾動フレーム70を前後方向に傾動するための電動アクチュエータ77を備える。
前記左右ベッド床5の背面には、両端部が回動可能にベッドフレーム2に固定された一対のパイプシャフト78、79が配設される。前記パイプシャフト78には、右側ベッド床52の傾動片52aに対応する位置に、先端に押圧ローラー16を備えた揺動アーム81a基端が固定される。一方、前記パイプシャフト79には、左側ベッド床51の傾動片51aに対応する位置に、先端に押圧ローラー82を備えた揺動アーム83の基端が固定される。
前記パイプシャフト78の中央部には、クランクアーム84の基端が固定され、その先端が電動アクチュエータ75のロッド75aの先端に接続されている。一方、パイプシャフト79の中央部には、クランクアーム85の基端が固定され、その先端が電動アクチュエータ76のロッド76aに接続されている。なお、電動アクチュエータ75、76の本体は、上下方向の遊動が可能となるようにしてベッドフレーム2に取り付ける。
左右ベッド床5の駆動機構は以上のように構成されていることから、電動アクチュエータ75を作動することにより、そのロッド75aが前進してパイプシャフト78を回転し、これに伴って揺動アーム81が揺動して先端の押圧ローラー80が右側ベッド床52の傾動片52aを押し上げる。一方、電動アクチュエータ76を作動することにより、そのロッド76aが前進してパイプシャフト79を回転し、これに伴って揺動アーム83が揺動して先端の押圧ローラー82が左側ベッド床51の傾動片51aを押し上げることになる。
つぎに、左右ベッド床5の前後方向への傾動に関する駆動機構は、両端部がベッドフレーム2 に固定されているビームシャフト86に懸架された揺動レバー87を揺動するようにしている。この揺動レバー87は、その中心部にクランクアーム88の基端が固定され、その先端に電動アクチュエータ77のロッド77aの先端が接続されている。なお、この電動アクチュエータ77の本体は、上下方向の遊動が可能となるようにしてベッドフレーム2に取り付ける。このように構成されていることから、電動アクチュエータ77を作動することにより、そのロッド77aが前進して揺動レバー87を揺動する。これにより、この揺動レバー87の両端から延設されたレバーアーム87aの押圧ローラー89が上昇し、傾動フレーム70を押し上げて左右ベッド床5の傾斜状態が得られる。
・・・
本発明の実施例4の介護ベッド1は以上のように構成されており、その動作態様を以下に説明する。なお、介護ベッド1を動作した場合のピース・マットレス91A、91B、91Cの態様の変化の理解が容易となるようにするため、以下でその説明に援用する図面では、カバーシートCSを除去した状態で示している。電動アクチュエータ11を作動すると、図35に示すように押圧ローラー80の上昇に伴って右側ベッド床52を傾動させることができる。この状態では、同図に示すようにピース・マットレス91Bは定位置にあるが、スリット91aで屈曲したピース・マットレス91A、91Cは傾斜状態となる。したがって、ベッド上の被介護者HBは図37に示すように身体左側を下にする側臥位となる。
一方、電動アクチュエータ76を作動すると、図36に示すように押圧ローラー82の上昇に伴って左側ベッド床51を傾動させることができる。この状態では、同図に示すようにピース・マットレス91Cは定位置にあるが、スリット91bで屈曲したピース・マットレス91A、91Bは傾斜状態となる。したがって、ベッド上の被介護者HBは図38に示すように身体右側を下にする側臥位となる。
上記のようにして被介護者HBの身体が側臥位になると、被介護者HBは左側ベッド床51の傾動片51aまたは右側ベッド床52の傾動片52aで支承される状態となる。即ち、図39、図40において斜線で示す部位は、被介護者HBの身体背面とマットレスが密着状態にならず、傾動片51aと傾動片52aの各側部には空間が形成される状態となることから、この空間部分においては被介護者HBの身体背面への圧迫は緩和されることになる。また、この空間部分に被介護者HBの体圧が及ばないことになるので、介護者は手先を差し込み易くなり、そして、被介護者HBの身体が左傾または右傾の側臥位になることから、力点P1に与える僅かな力Fで被介護者HBの体位変換が支点P2を中心として可能となり、介護作業の能率を向上することができる。
なお、図37、図38に示すような側臥位に体位変換するだけで、被介護者HBの身体荷重が低位となった身体左右の一方に偏ることから、高位の身体背面に対する圧迫が緩和されることになり、身体側部の鬱血状態が緩和され血流を促すことができる。また、図37、図38に示す側臥位を交互に繰り返すことにより、身体背面に対する弛緩と圧迫が交互に繰り返されるので、褥瘡の治療効果が得られる。
このように実施例4による本発明の介護ベッド1によれば、被介護者HBはベッド上の中央に臥床したままの状態で左傾または右傾の側臥位が可能となるので、被介護者HBの左右両方向からの介護作業が可能となり、また、ベッド配置の方向が限定されず室内の条件に対応することができる融通性を具えることになる。
以上の説明では被介護者HBの側臥位の傾斜角を大きくし、介護作業の能率向上、褥瘡の治療効果を中心に説明したが、側臥位の傾斜角を小さくして左傾または右傾を交互に繰り返すことにより、被介護者HBに違和感を与えることなくリハビリテーションを行うことができる。
即ち、図41に示すように、右側ベッド床52を僅かに傾斜させたのみで被介護者HBの身体背面は傾動片52aにより支承され、図39の斜線で示す部分の傾動片51aに対応する身体背面は圧迫から解放される状態となる。一方、図42に示すように、右側ベッド床51を僅かに傾斜させると、被介護者HBの身体背面は傾動片51aで支承され、図40の斜線で示す部分の傾動片52aに対応する身体背面は圧迫から解放される状態となる。
このように左側ベッド床51、右側ベッド床52を交互に僅かに傾斜させるだけで身体背面の弛緩と圧迫が交互に繰り返されるので、被介助者HBに違和感を与えずにマッサージ効果が得られ、身体背面の血行が促されて褥瘡治療が可能となる。また、前記傾斜角を適度に設定することにより、呼吸介助、拘縮や筋緊張を緩和するリハビリテーション機能を得ることができる。
さらに本発明の実施例4の介護ベッド1によれば、上述したように被介護者HBの半挫位が可能となるので、食事や読書などの日常生活への対応が可能となる。図43、図44は電動アクチュエータ77を作動し、傾動フレーム70を押し上げて前後方向の傾斜状態を形成する過程を模式的に示したもので、図43は水平の定位置にある左右ベッド床5上に被介護者HBが臥床している状態を示す。かかる状態でアクチュエータ77が作動し、そのロッド77aが前進するとビームシャフト86を支点にして揺動レバー87が揺動を開始する。これにより、押圧ローラー89が傾動フレーム70を押し上げ、図44に示すごとく被介助者HBの半挫位が得られる。」
なお、段落【0013】の「図32に示すように左側ベッド51と右側ベッド床52の」という記載は、「図32に示すように左側ベッド床51と右側ベッド床52の」の、また、「先端に押圧ローラー16を備えた揺動アーム81a基端が固定され」という記載は、「先端に押圧ローラー80を備えた揺動アーム81の基端が固定され」の誤記と認める。
・図4、32~38、43、44は次のとおりである。
なお、実施例4に係る図39、40に「頭部ベッド床3」が記載されているが、他の図面(特に図4、33、34、43、44)から明らかなように、実施例4は「頭部ベッド床3」を有しておらず、図39、40の記載は誤記であることが明らかである。
(2)認定事項
・図32より、「縦ビーム70c」は、ベッド幅方向中央部より左側に配置されたものと、右側の配置されたものがあることが看取できる。
・図33~35より、「電動アクチュエータ75」は「左側ベッド床51」の下方に配置され、「電動アクチュエータ76」は「右側ベッド床52」の下方に配置されていることが看取できる。また、同図より、「パイプシャフト78、79」は、ベッド長さ方向に交互に連なる「左側ベッド床51」の「傾動片51a」及び「右側ベッド片52」の「傾動片52a」の下方にそれぞれ配置されていることが看取できる。
(3)引用発明
上記(1)、(2)より、引用文献1には、実施例4に係る事項を有する次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。
「臥床する被介護者HBを支承するベッド床を長手方向の左右に分割構成し、この左右ベッド床5の長手方向の内側を傾動支点として外側が上下動するようになし、前記左右ベッド床5により傾斜面が形成されるようにした介護ベッド1であり、前記左右ベッド床5の内側の一部を交互に延長し、該延長部の先端を左右方向の傾動支点となるようにすると共に、該左右ベッド床5の下肢側の端部を前後方向の傾動支点となるようにした介護ベッド1であって、枠組みされたベッドフレーム2内に傾動フレーム70が配設され、さらに、この傾動フレーム70内に被介護者HBの上体と臀部に対応する左右ベッド床5が収容され、被介護者HBの脚部に対応する位置には前記傾動フレーム70に連設される状態で脚部ベッド床4がベッドフレーム2に固定され、前記左右ベッド床5は、左側ベッド51床と右側ベッド床52の内側の一部を交互に延長した櫛歯状の傾動片51a、52aを組み合わせたものであり、前記傾動片51a、52aの先端の裏面には、スピンドルブロック71が固定され、前記傾動フレーム70は、方形に枠組みされ、フランジ70aが下辺から内方に張り出すように形成されており、このフランジ70a間に、ベッド幅方向中央部より左側に配置された縦ビーム70cと、ベッド幅方向中央部より右側に配置された縦ビーム70cが架設され、この縦ビーム70cの前記傾動片51a、52aの先端のスピンドルブロック71に対応する位置にはアングルホルダー72が固定されており、左右ベッド床51、52を傾動フレーム70に収容したとき、前記スピンドルブロック71がアングルホルダー72に嵌合し、スピンドル73により回動可能に支持することにより、傾動片51a、52aの左右方向への傾動支点となるようにしてあり、左右ベッド床5を収容した傾動フレーム70は、その脚部側の端部に設けた枢支ローラー74をベッドフレーム2に形成したローラーホルダー2bに回動可能に係合させてベッドフレーム2上に配置し、ベッドフレーム2は枢支ローラー74を傾動支点とし、左右ベッド床5を収容した状態で前後方向の傾斜が可能となるものであり、左右ベッド床5の左右方向および前後方向への傾動に関する駆動機構は、右側ベッド床52を傾斜するための動力源となる電動アクチュエータ75、左側ベッド床51を傾動するための電動アクチュエータ76、傾動フレーム70を前後方向に傾動するための電動アクチュエータ77を備え、前記左右ベッド床5の背面には、両端部が回動可能にベッドフレーム2に固定された一対のパイプシャフト78、79が配設され、前記パイプシャフト78には、右側ベッド床52の傾動片52aに対応する位置に、先端に押圧ローラー80を備えた揺動アーム81の基端が固定され、一方、前記パイプシャフト79には、左側ベッド床51の傾動片51aに対応する位置に、先端に押圧ローラー82を備えた揺動アーム83の基端が固定され、前記パイプシャフト78の中央部には、クランクアーム84の基端が固定され、その先端が電動アクチュエータ75のロッド75aの先端に接続され、一方、パイプシャフト79の中央部には、クランクアーム85の基端が固定され、その先端が電動アクチュエータ76のロッド76aに接続され、電動アクチュエータ75を作動することにより、そのロッド75aが前進してパイプシャフト78を回転し、これに伴って揺動アーム81が揺動して先端の押圧ローラー80が右側ベッド床52の傾動片52aを押し上げ、一方、電動アクチュエータ76を作動することにより、そのロッド76aが前進してパイプシャフト79を回転し、これに伴って揺動アーム83が揺動して先端の押圧ローラー82が左側ベッド床51の傾動片51aを押し上げることになり、電動アクチュエータ75は左側ベッド床51の下方に配置され、電動アクチュエータ76は右側ベッド床52の下方に配置され、パイプシャフト78、79は、ベッド長さ方向に交互に連なる左側ベッド床51の傾動片51a及び右側ベッド片52の傾動片52aの下方にそれぞれ配置されており、左右ベッド床5の前後方向への傾動に関する駆動機構は、両端部がベッドフレーム2 に固定されているビームシャフト86に懸架された揺動レバー87を揺動するようにしており、この揺動レバー87は、その中心部にクランクアーム88の基端が固定され、その先端に電動アクチュエータ77のロッド77aの先端が接続され、電動アクチュエータ77を作動することにより、そのロッド77aが前進して揺動レバー87を揺動し、これにより、この揺動レバー87の両端から延設されたレバーアーム87aの押圧ローラー89が上昇し、傾動フレーム70を押し上げて左右ベッド床5の傾斜状態が得られる、介護ベッド1。」
2 引用文献2
(1)記載事項
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原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、次の事項が記載されている。
・「【要約】
【課題】ベッドに寝ている被介護者に肉体的な苦痛や精神的な不安をあまり覚えさせることなく、寝返り体位変換を比較的容易に支援できる可動ベッドを提供する。
【解決手段】固定ステージ30、可動ステージ20、ベッドフレーム10の順に重ねて寝返り支援ベッドを構成する。ベッドフレーム10は連結背板11a~11dおよび側板12Ra~12Rd、12La~12Ldで構成され、可動ステージとの間に配されたアクチュエータM1、M2、M3R、M3Lの作動により側板起こし/ギャッチアップ体勢を形成する。そして、固定ステージ30の両サイドに配置された平行四辺形機構36R、36Lによって、前記側板起こし/ギャッチアップ体勢を形成したまま、可動ステージ20を左右どちらかに傾斜させ、被介護者の体位変換を行う。」
・「【0005】したがって、現在の寝返り支援ベッドでは、被介護者の側に立った十分な介護支援がなされているとは言いがたい。本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、ベッドに寝ている被介護者に肉体的な苦痛や精神的な不安をあまり覚えさせることなく、寝返り体位変換を比較的容易に支援できる可動ベッドを提供することにある。」
・「【0015】寝返り支援ベッド1は、固定ステージ30上に可動ステージ20を載置し、さらにこの上にベッドフレーム10を配置した構成になっている。ベッドフレーム10は、そのベッドの表面となる面部分を、被介護者が上に寝たときの身体の位置に合わせて、背中、腰、腿、膝下の計4つの関節部分を有するように分け、これを可動自在に連結してなる連結床部11a~11dを備えている。連結床部11a~11dのうち、腰板11bは、可動ステージ20と溶接などにより直付け固定されているので、ベッドフレーム10が可動ステージ20からはずれてしまうことはない。そして、各連結床部11a~11dの左右両側には、被介護者の身体側面をサポートするための側部材12Ra~12Rd、12La~12Ldがそれぞれ連結されている。このベッドフレーム10の上体板11aおよび腿板11cは、可動ステージ20のセンターフレーム21Aに配された直動アクチュエータM1、M
2(図3のベッド上面図を参照)の軸とL字型連結部材211、212を介して連結されているので、このアクチュエータM1、M2の作動により、被介護者が屈曲姿勢になるように変形する(図6のベッド状態図、図8(b)のベッド側面図を参照)。」
・「【0020】ここで図2(a)~(c)は、可動ステージ20およびベッドフレーム10の腰板11c付近における模式的なベッド断面のアクチュエータ動作図である。当図に示すように、可動ベッド20には前記したベッドフレーム10の変形のためのアクチュエータM1、M2の他、センターフレーム21Aの左右方向、すなわちy方向両側から連結部材236Ra、236Laへ対称的に直動アクチュエータM3R、M3Lが配置されており、これらのアクチュエータM3R、M3Lの各軸先端が、回転バー22R、22Lより垂下して固定されたL字部材235R、235Lと連結されている。この構成によって、アクチュエータM3R、M3Lが軸を伸ばすことにより、L字部材235R、235Lおよびバー23R、23Lが回転バー22R、22Lを軸中心にして回転し、側部材支持フレーム24R、24Lがベッド水平面から起き上がり、ベッド水平面に対して垂直方向へと起きる(動作図2(a)→(b)→(c))。
・・・
【0026】そして、以上の動作により側部材起こし・屈曲体勢が整うと、固定ステージ30のサイドフレーム32R側におけるアクチュエータM4Rが作動し、軸が延伸する。これにより、ステージバー受け36Rと水平リンク353Rとの斜交い距離が離間し、支持腕354R、356Rがサイドフレーム32Rのスライド溝上をスライドして持ち上がり、平行四辺形機構35Rが動作する。このとき、支持腕354R、356R、354L、356Lは回転腕351R、352R、351L、352Lの前記円運動によって、可動ステージの片側部を垂直方向へ持ち上げる。これとともに、可動ステージ20の右サイドが固定ステージ30より高い位置に上げられ、可動ステージ20のローラ200、……がローラスライドフレーム300上を転がり、ベッドフレーム10は固定ステージ30のサイドフレーム32L、すなわちベッド左方向へ傾斜する(ベッド傾斜時のベッド状態図;図7)。このときの好ましい傾斜角としては、例えば水平面に対して約30度から70度の範囲、一例として約50度である。」
・「【0029】1-3.寝返り支援ベッドの動作バリエーションについて
1-3-1.動作シーケンスのバリエーション
上記実施の形態1の動作例では、まず側部材を起こした後ギャッチアップ体勢を取り、その後被介護者の仰臥位から側臥位への体位変換を行う例について示した。しかしながら本発明はこれに限定するものではなく、例えば図9に示すように、まずギャッチアップ体勢を形成し、しかる後に側部材を起こし(例えば図10を参照)、そして仰臥位から側臥位への体位変換を行う駆動シーケンスを採用してもよい。
【0030】このような駆動シーケンスによれば、被介護者は仰臥位の状態から、いわゆるリクライニング姿勢を取った後に体位変換することになるので、ベッド駆動時に側部材がいきなり立ち上がり、仰臥スペースが狭くなることによる精神的な不安(例えば閉鎖感覚)を回避することができ、より快適に体位変換を行うことができる。
【0031】また、このような動作シーケンスによれば、例えば左方向に側臥位への体位変換を行った後、右方向に側臥位への体位変換を行う場合に、床面を一旦平坦な状態に戻すことなく屈曲体勢を保ったまま、左方向から右方向への体位変換を連続的に行うことができる。
したがって、被介護者はリクライニング姿勢を取った状態のままで左方向から右方向、またはその逆への体位変換を行うことができ、より快適に体位変換を行うことができる。
【0032】1-3-2.側部材圧迫リリース制御上記寝返り支援ベッド1の動作は、基本的に被介護者にとって安全に作動するようになっているが、被介護者によっては側部材12Ra~12Rdまたは12La~12Ldによって強めの圧迫ホールド感を感じる場合がある。このような場合、体位変換した後に、側部材12Ra~12Rd、12La~12Ldを若干動作解放する(リリースする)制御を行うことによって、前記ホールド感を和らげることができる。
【0033】図11は、このような圧迫ホールド感を改善するための側部材リリース制御についてのフロー例である。当図に示す制御例によれば、まず背中・膝を起こしてギャッチアップ体勢を取るためにアクチュエータM1、M2を作動させ(ステップ100)、これを所定角度まで連続動作させる(ステップ101)。そして、前記アクチュエータM1、M2を停止させたのち(ステップ102)、今度は側部材12Ra~12Rdまたは12La~12Ldを起こすためのアクチュエータM3RまたはM3Lを作動させ(ステップ103)、このときの側部材12Ra~12Rdまたは12La~12Ldの曲げ角度が90°になるまで連続動作させる(ステップ104)。そして、前記アクチュエータM3RまたはM3Lを停止させたのち(ステップ105)、次に可動ステージ20を傾斜させるために平行四辺形機構35Rまたは35Lを作動させ(ステップ106)、これが傾斜角度50°になるまで行い、(ステップ107)一例としての角度50°で駆動停止させる(ステップ108)。ここにおいて、被介護者の荷重が掛かっている側部材12Ra~12Rdまたは12La~12LdをリリースするようにアクチュエータM3RまたはM3Lを作動
させ(ステップ109)、側部材12Ra~12Rdまたは12La~12Ldの曲げ角度を90°から70°に戻す(ステップ110)。このときの角度は70°に限らず、被介護者の身体を支持できる角度であればよい。曲げ角度が適当値に達したら、前記アクチュエータM3RまたはM3Lの作動を停止し、リリース制御を終える。」
・図1、2、7、9、10は以下のとおりである。
(2)引用文献2技術
上記(1)より、引用文献2には、次の技術的事項(以下「引用文献2技術」という。)が記載されているものと認める。
「固定ステージ30上に可動ステージ20を載置し、さらにこの上にベッドフレーム10を配置した構成になっている寝返り支援ベッド1であって、ベッドフレーム10は、そのベッドの表面となる面部分を、被介護者が上に寝たときの身体の位置に合わせて、背中、腰、腿、膝下の計4つの関節部分を有するように分け、これを可動自在に連結してなる連結床部11a~11dを備え、各連結床部11a~11dの左右両側には、被介護者の身体側面をサポートするための側部材12Ra~12Rd、12La~12Ldがそれぞれ連結され、アクチュエータM1、M2の作動により、被介護者が屈曲姿勢になるように変形するものであり、まず背中・膝を起こしてギャッチアップ体勢を取るためにアクチュエータM1、M2を作動させ、これを所定角度まで連続動作させ、前記アクチュエータM1、M2を停止させたのち、今度は側部材12Ra~12Rdまたは12La~12Ldを起こすためのアクチュエータM3RまたはM3Lを作動させ、このときの側部材12Ra~12Rdまたは12La~12Ldの曲げ角度が90°になるまで連続動作させ、次に可動ステージ20を左右どちらかに傾斜させるために平行四辺形機構35Rまたは35Lを作動させる」技術。
第5-2 対比・判断
1 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)後者の「介護ベッド1」は、前者の「ベッド装置」に相当する。
また、前者の「床部」について、具体的には、本件の願書に添付された明細書(以下「本件明細書」という。)の段落【0029】に「マットレス4と、マットレス4が載置される分割されたボトム(床部)3と、その分割されたボトム3の一部を起伏させる起伏機構と、起伏機構を支持するベッドフレーム2とを備えたベッド装置」と記載されていることを踏まえると、後者の「左右ベッド床5」及び「脚部ベッド床4」が、前者の「床部」に相当する。
そして、後者の「右側ベッド床52」、「左側ベッド床51」は、それぞれベッド利用者の右側、左側の背中を主に支持することは明らかであるから、前者の「ベッド利用者の右側を主に支持する第1背部」、「ベッド利用者の左側を主に支持する第2背部」にそれぞれ相当し、また、後者の「右側ベッド床52」、「左側ベッド床51」を合わせたものが、前者の「背部」に相当する。
(2)後者の「ベッド幅方向中央部より左側に配置された縦ビーム70c」、「ベッド幅方向中央部より右側に配置された縦ビーム70c」は、前者の「ベッド幅方向中央部より左側に配置する第1支持フレーム」、「ベッド幅方向中央部より右側に配置する第2支持フレーム」にそれぞれ相当する。
(3)上記(1)を踏まえると、後者の「左右ベッド床5の左右方向および前後方向への傾動に関する駆動機構」は、前者の「床部を起伏させる起伏機構」に相当する。
そして、後者の「左右ベッド床5の」「前後方向への傾動に関する駆動機構」は、ベッド長手方向頭部側を起伏させるものであるから、前者の「背部のベッド長手方向頭部側を起伏させる第1の背部起伏機構」に相当する。
(4)前者の「第1の背部側方起伏機構」、「第2の背部側方起伏機構」について、具体的には、本件明細書の段落【0045】に「背部側方起伏機構320は、・・・第1背ボトム3a1と第2背ボトム3a2とをそれぞれ駆動するために第1背部側方起伏機構320a1と第2背部側方起伏機構320a2の2ユニットが設けられている。」、同【0046】に「第1背部側方起伏機構320a1と第2背部側方起伏機構320a2は、同様な構成を備えているため、第1背部側方起伏機構320a1を例にあげて構成を説明する。」、同【0047】に「第1背部側方起伏機構320a1は、・・・駆動アーム321と、駆動アーム321を動作させる第2アクチュエータ322とを備えている。」と記載されていることを踏まえると、後者の「右側ベッド床52を傾斜するための動力源となる電動アクチュエータ75」「を備え、」「前記左右ベッド床5の背面には、両端部が回動可能にベッドフレーム2に固定された一対のパイプシャフト78、79が配設され、前記パイプシャフト78には、右側ベッド床52の傾動片52aに対応する位置に、先端に押圧ローラー16を備えた揺動アーム81a基端が固定され、」「前記パイプシャフト78の中央部には、クランクアーム84の基端が固定され、その先端が電動アクチュエータ75のロッド75aの先端に接続され、」「電動アクチュエータ75を作動することにより、そのロッド75aが前進してパイプシャフト78を回転し、これに伴って揺動アーム81が揺動して先端の押圧ローラー80が右側ベッド床52の傾動片52aを押し上げ」る構成が、前者の「第1背部側方起伏機構」に相当する。
同様に、後者の「左側ベッド床51を傾動するための電動アクチュエータ76」「を備え、」「前記左右ベッド床5の背面には、両端部が回動可能にベッドフレーム2に固定された一対のパイプシャフト78、79が配設され、」「前記パイプシャフト79には、左側ベッド床51の傾動片51aに対応する位置に、先端に押圧ローラー82を備えた揺動アーム83の基端が固定され、」「パイプシャフト79の中央部には、クランクアーム85の基端が固定され、その先端が電動アクチュエータ76のロッド76aに接続され、」「電動アクチュエータ76を作動することにより、そのロッド76aが前進してパイプシャフト79を回転し、これに伴って揺動アーム83が揺動して先端の押圧ローラー82が左側ベッド床51の傾動片51aを押し上げる」構成が、前者の「第2背部側方起伏機構」に相当する。
そして、後者の「左右ベッド床5の左右方向」「への傾動に関する駆動機構」は、前者の「第2の背部起伏機構」に相当する。
(5)上記(1)、(3)を踏まえると、後者の「左右ベッド床5の左右方向および前後方向への傾動に関する駆動機構」を備える「臥床する被介護者HBを支承するベッド床を長手方向の左右に分割構成し、この左右ベッド床5の長手方向の内側を傾動支点として外側が上下動するようになし、前記左右ベッド床5により傾斜面が形成されるようにした介護ベッド1であり、前記左右ベッド床5の内側の一部を交互に延長し、該延長部の先端を左右方向の傾動支点となるようにすると共に、該左右ベッド床5の下肢側の端部を前後方向の傾動支点となるようにした介護ベッド1」は、前者の「床部を起伏させる起伏機構を備えるベッド装置」に相当する。
(6)上記(1)を踏まえると、後者の「枠組みされたベッドフレーム2内に傾動フレーム70が配設され、さらに、この傾動フレーム70内に被介護者HBの上体と臀部に対応する左右ベッド床5が収容され、被介護者HBの脚部に対応する位置には前記傾動フレーム70に連設される状態で脚部ベッド床4がベッドフレーム2に固定され」ることは、前者の「前記床部は、背部を備え」ることに相当する。
(7)上記(1)、(2)を踏まえると、後者の
「前記左右ベッド床5は、左側ベッド床51と右側ベッド床52の内側の一部を交互に延長した櫛歯状の傾動片51a、52aを組み合わせたものであり、前記傾動片51a、52aの先端の裏面には、スピンドルブロック71が固定され、前記傾動フレーム70は、方形に枠組みされ、フランジ70aが下辺から内方に張り出すように形成されており、このフランジ70a間に、ベッド幅方向中央部より左側に配置された縦ビーム70cと、ベッド幅方向中央部より右側に配置された縦ビーム70cが架設され、この縦ビーム70cの前記傾動片51a、52aの先端のスピンドルブロック71に対応する位置にはアングルホルダー72が固定されており、左右ベッド床51、52を傾動フレーム70に収容したとき、前記スピンドルブロック71がアングルホルダー72に嵌合し、スピンドル73により回動可能に支持することにより、傾動片51a、52aの左右方向への傾動支点となるようにしてあ」
ることは、前者の
「前記背部は、ベッド利用者の右側を主に支持する第1背部と、ベッド利用者の左側を主に支持する第2背部と、ベッド幅方向中央部より左側に配置する第1支持フレームと、ベッド幅方向中央部より右側に配置する第2支持フレームと、を有し」
ていることに相当する。
(8)上記(1)~(4)を踏まえると、後者の
「左右ベッド床5の左右方向および前後方向への傾動に関する駆動機構は、右側ベッド床52を傾斜するための動力源となる電動アクチュエータ75、左側ベッド床51を傾動するための電動アクチュエータ76、傾動フレーム70を前後方向に傾動するための電動アクチュエータ77を備え、前記左右ベッド床5の背面には、両端部が回動可能にベッドフレーム2に固定された一対のパイプシャフト78、79が配設され、前記パイプシャフト78には、右側ベッド床52の傾動片52aに対応する位置に、先端に押圧ローラー80を備えた揺動アーム81の基端が固定され、一方、前記パイプシャフト79には、左側ベッド床51の傾動片51aに対応する位置に、先端に押圧ローラー82を備えた揺動アーム83の基端が固定され、前記パイプシャフト78の中央部には、クランクアーム84の基端が固定され、その先端が電動アクチュエータ75のロッド75aの先端に接続され、一方、パイプシャフト79の中央部には、クランクアーム85の基端が固定され、その先端が電動アクチュエータ76のロッド76aに接続され、電動アクチュエータ75を作動することにより、そのロッド75aが前進してパイプシャフト78を回転し、これに伴って揺動アーム81が揺動して先端の押圧ローラー80が右側ベッド床52の傾動片52aを押し上げ、一方、電動アクチュエータ76を作動することにより、そのロッド76aが前進してパイプシャフト79を回転し、これに伴って揺動アーム83が揺動して先端の押圧ローラー82が左側ベッド床51の傾動片51aを押し上げることになり、」
「左右ベッド床5の前後方向への傾動に関する駆動機構は、両端部がベッドフレーム2 に固定されているビームシャフト86に懸架された揺動レバー87を揺動するようにしており、この揺動レバー87は、その中心部にクランクアーム88の基端が固定され、その先端に電動アクチュエータ77のロッド77aの先端が接続され、電動アクチュエータ77を作動することにより、そのロッド77aが前進して揺動レバー87を揺動し、これにより、この揺動レバー87の両端から延設されたレバーアーム87aの押圧ローラー89が上昇し、傾動フレーム70を押し上げて左右ベッド床5の傾斜状態が得られる」
ことと、前者の
「前記起伏機構として、前記背部のベッド長手方向頭部側を起伏させる第1の背部起伏機構と、前記第1背部の下側に設けられ、前記第1支持フレームを支点に、前記第1背部を起伏させる第1背部側方起伏機構と、前記第2背部の下側に設けられ、前記第2支持フレームを支点に、前記第2背部を起伏させる第2背部側方起伏機構と有する第2の背部起伏機構と、を備え」
ていることとは、
「前記起伏機構として、前記背部のベッド長手方向頭部側を起伏させる第1の背部起伏機構と、前記第1支持フレームを支点に、前記第1背部を起伏させる第1背部側方起伏機構と、前記第2支持フレームを支点に、前記第2背部を起伏させる第2背部側方起伏機構と有する第2の背部起伏機構と、を備え」
ていることにおいて共通するといえる。
(9)以上のことから、本願発明と引用発明との一致点、相違点は次のとおりと認める。
〔一致点〕
「床部を起伏させる起伏機構を備えるベッド装置において、前記床部は、背部を備え、前記背部は、ベッド利用者の右側を主に支持する第1背部と、続きを表示(全12行)ベッド利用者の左側を主に支持する第2背部と、ベッド幅方向中央部より左側に配置する第1支持フレームと、ベッド幅方向中央部より右側に配置する第2支持フレームと、を有し、前記起伏機構として、前記背部のベッド長手方向頭部側を起伏させる第1の背部起伏機構と、前記第1支持フレームを支点に、前記第1背部を起伏させる第1背部側方起伏機構と、前記第2支持フレームを支点に、前記第2背部を起伏させる第2背部側方起伏機構と有する第2の背部起伏機構と、を備えたベッド装置。」
〔相違点1〕
「第1背部側方機構」、「第2背部側方起伏機構」に関し、本願発明は、それぞれ「前記第1背部の下側に設けられ」、「前記第2背部の下側に設けられ」るという事項を有するのに対し、引用発明は、「電動アクチュエータ75は左側ベッド床51の下方に配置され、電動アクチュエータ76は右側ベッド床52の下方に配置され、パイプシャフト78、79は、ベッド長さ方向に交互に連なる左側ベッド床51の傾動片51a及び右側ベッド片52の傾動片52aの下方にそれぞれ配置されて」いるものであるから、かかる事項を有していない点。
〔相違点2〕
本願発明は、
「前記第1の背部起伏機構が、前記背部のベッド長手方向頭部側を起こした状態で、前記第1背部側方起伏機構は前記第1背部を又は前記第2背部側方起伏機構は前記第2背部を起こした状態が可能であり、前記第1の背部起伏機構と、前記第1背部側方起伏機構又は前記第2背部側方起伏機構とは、前記第1の背部起伏機構が動作して所定位置まで前記背部のベッド長手方向頭部側を起こした後に、前記第1背部側方起伏機構は前記第1背部を又は前記第2背部側方起伏機構は前記第2背部を指定された向きに所定量傾斜させるように、連動した駆動制御が可能に構成される」
という事項を有するのに対し、
引用発明は、かかる事項を有していない点。
2 判断
事案に鑑み、まず、上記相違点2について検討する。
(1)引用発明において、「右側ベッド床52を傾斜するための動力源となる電動アクチュエータ75」「を備え、」「前記左右ベッド床5の背面には、両端部が回動可能にベッドフレーム2に固定された一対のパイプシャフト78、79が配設され、前記パイプシャフト78には、右側ベッド床52の傾動片52aに対応する位置に、先端に押圧ローラー80を備えた揺動アーム81の基端が固定され、」「前記パイプシャフト78の中央部には、クランクアーム84の基端が固定され、その先端が電動アクチュエータ75のロッド75aの先端に接続され、」「電動アクチュエータ75を作動することにより、そのロッド75aが前進してパイプシャフト78を回転し、これに伴って揺動アーム81が揺動して先端の押圧ローラー80が右側ベッド床52の傾動片52aを押し上げ」る構成(「第1背部側方起伏機構」に相当)、及び、「左側ベッド床51を傾動するための電動アクチュエータ76」「を備え、」「前記左右ベッド床5の背面には、両端部が回動可能にベッドフレーム2に固定された一対のパイプシャフト78、79が配設され、」「前記パイプシャフト79には、左側ベッド床51の傾動片51aに対応する位置に、先端に押圧ローラー82を備えた揺動アーム83の基端が固定され、」「パイプシャフト79の中央部には、クランクアーム85の基端が固定され、その先端が電動アクチュエータ76のロッド76aに接続され、」「電動アクチュエータ76を作動することにより、そのロッド76aが前進してパイプシャフト79を回転し、これに伴って揺動アーム83が揺動して先端の押圧ローラー82が左側ベッド床51の傾動片51aを押し上げる」構成(「第2部側方起伏機構」に相当)は、「ベッドフレーム2」側に配置されているものであるから、引用文献1の図43、44からも明らかなように、「左右ベッド床5」(「背部」に相当)が傾斜していない状態でしか、「右側ベッド床52」(「第1背部」に相当)や「左側ベッド床51」(「第2背部」に相当)の左右方向への傾動を行えるものではなく、本願発明の「前記第1の背部起伏機構が、前記背部のベッド長手方向頭部側を起こした状態で、前記第1背部側方起伏機構は前記第1背部を又は前記第2背部側方起伏機構は前記第2背部を起こした状態が可能」となるようなことは、そもそも構成上実施できないものである。
(2)ここで、引用文献2技術について検討すると、引用文献2技術の「寝返り支援ベッド1」は本願発明の「ベッド装置」に相当し、以下同様に、「連結床部11a~11d」は「床部」に、「連結床部11a」は「背部」に相当する。そして、引用文献2技術における「屈曲姿勢」は、「連結床部11a」(「背部」に相当)のベッド長手方向頭部側を起こした状態ではある。
しかしながら、引用文献2技術の「側部材12Ra~12Rd、12La~12Ld」は、「各連結床部11a~11dの左右両側」に連結された「被介護者の身体側面をサポートするための」部材であって、背を支持するものではないから、本願発明の「ベッド利用者の右側を主に支持する第1背部」や「ベッド利用者の左側を主に支持する第2背部」に相当するものとはいえず、さらに、当該「側部材12Ra~12Rd、12La~12Ld」は、「可動ステージ20」を左右どちらかに傾斜させた際に被介護者の身体を側面から支持するためのものであるから、本願発明の「第1背部」や「第2背部」とは、その構成のみならず作用効果も異なるものである。
したがって、引用発明に引用文献2技術を適用したとしても、上記相違点2に係る本願発明の事項を有するものには至らない。
また、原査定において、請求項7、10に対し引用された引用文献3、4にも、上記相違点2に係る本願発明の事項について記載も示唆もない。
そして、本願発明は、かかる事項を有することにより、本件明細書の段落【0022】に記載される「ベッド利用者を起き上がらせる際に、第1の背部起伏機構によるベッド利用者の上体を起こす動作と、第2の背部起伏機構によるベッド利用者の背部を側端側へ傾斜させる動作を連動させることで、ベッド利用者の背部を起伏させて傾斜させる一連の動作により、ベッド利用者の上体を無理なく所望の向きに向かうように背部を側端側へ傾斜させることができるので、ベッド利用者は楽に起き上がることができる」という格別の効果を奏するものである。
よって、相違点1について検討するまでもなく、本願発明は、引用発明及び引用文献2技術、引用文献3、4に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第5-3 小括
以上検討したとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2技術に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。
第6 むすび
以上のとおり、原査定及び当審の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2020-008418