意匠拒絶査定不服審判
2020-008266
化粧台
- 審判番号
- 2020-008266
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2019-009345
- 登録番号
- 意匠登録第1693804号(D1693804)
- 請求日
- 2020年06月15日
- 審決日
- 2021年06月22日
- 公報発行日
- 2021年09月24日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社ベガコーポレーション
- 【請求人代理人】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
- 【請求人代理人】椙山 敬士
- 【請求人代理人】片山 史英
- 審判長/審判官
- 審判長 北代 真一
- 審判官 内藤 弘樹
- 審判官 渡邉 久美
- 分類
- D18 .113-WY (D7-5)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条、意匠法第4条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2019- 9345「化粧台」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 事案の概要
1 手続の経緯
本願は、意匠法4条2項の規定の適用を受けようとする、平成31年(2019年)4月25日付けの意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。
令和1年(2019年) 5月17日付け 新規性の喪失の例外証明書提出書の提出
同年 10月15日付け 拒絶理由の通知
同年 12月 3日 意見書の提出
令和2年(2020年) 3月 6日付け 拒絶査定
同年 6月15日 審判請求書の提出
同年 12月22日付け 審尋
令和3年(2021年) 2月 1日 回答書の提出
同年 4月22日 面接の実施
2 本願の意匠の願書及び添付図面の記載
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「化粧台」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)
3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下、「引用意匠」といい、本願意匠と併せて「両意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
引用意匠(別紙第2参照)
著者の氏名 Amazon.co.jp
表題 LOWYA ドレッサー 鏡台 メイク台 チェア付き コンパクト 省スペース 木目調 ガラス天板 収納&引き出し付き幅81cm オーク/ホワイト
掲載箇所 ページ左上の商品写真部の複数の商品画像
媒体のタイプ [online]
掲載年月日 平成30年2月12日
検索日 令和1年10月7日
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス URL:https://www.amazon.co.jp/dp/B07NMG8NPC/
に掲載された、メイク台の意匠
第2 当審の判断
1 意匠の認定
(1)本願意匠
ア 意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、願書の意匠に係る物品の説明によれば、透明体板、引き出し自在テーブル、鏡等を備えた「化粧台」であって、鏡はネジで固定する仕様であり、好みの高さに再度ネジ留めして調整できるものである。
イ 本願意匠の形態
全体は、略横長長方形板状の透明な天板の両端に略縦長長方形板状の側板(脚)を上端を揃えて取り付け、背面にやや背の高い略縦長長方形板の背板を両端と下端を揃えて貼り合わせ、天板の直下に同幅の引き出しを設け、右の側板の内側で引き出しの直下に上下に三段に仕切った略箱形の棚を一体状に設けたものであって、天板の上面奥の左寄りに略縦長長方形板状の鏡を背板に密着して配置したものである。
(2)引用意匠
ア 意匠に係る物品
引用意匠の意匠に係る物品は、透明体板、引き出し自在テーブル、鏡等を備えた「メイク台」である。
イ 引用意匠の形態
全体は、略横長長方形板状の透明な天板の両端に略縦長長方形板状の側板(脚)を上端を揃えて取り付け、背面にやや背の高い略縦長長方形板の背板を両端と下端を揃えて貼り合わせ、天板の直下に同幅の引き出しを設け、右の側板の内側で引き出しの直下に上下に三段に仕切った略箱形の棚を一体状に設けたものであって、天板の上面奥の左寄りに略縦長長方形板状の鏡を背板に密着して配置したものである。
模様及び色彩は、天板、引き出し及び鏡を除き、全体に木目模様を施した木肌色とし、天板は透明で、引き出しは白色である。
(3)本願意匠と引用意匠の対比
ア 意匠に係る物品の対比
本願意匠は、「化粧台」であり、引用意匠は、「メイク台」であって、表記は異なるが、いずれも化粧をするための鏡台であるから、同一である。
イ 形態の対比
(共通点)
両意匠の形状は、おおむね共通する。
(差異点)
本願意匠は、線図による形状のみの意匠であるのに対し、引用意匠は、全体に模様及び色彩を施している点において相違する。
ウ 両意匠の類否判断
(ア)共通点の評価
共通点は、両意匠の全体に関わるものであるから、両意匠の類否判断に与える影響は大きいものである。
(イ)差異点の評価
本願意匠は、形状のみの意匠で、色彩は施していないものであるのに対し、引用意匠は、模様及び色彩を施した意匠である点において相違するが、模様及び色彩の有無については、その差異のみによって、両意匠を別異のものとする程の大きな相違であるとはいえず、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
(ウ)形態の類否判断
両意匠の形態における共通点及び差異点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察した場合、共通点が、両意匠の類否判断に与える影響は大きいのに対して、差異点が、両意匠の類否判断に与える影響は小さいから、両意匠の形態は類似する。
(4)小括
以上のとおり、意匠に係る物品が同一で、その形態において類似するから、両意匠は類似する。
2 引用意匠が意匠法3条1項2号に該当するに至らなかったとみなすことができるか否かについて
前記、第1の1に示すとおり、本願は、意匠法(以下「法」ともいう。)4条2項の適用を受けようとする出願であるところ、引用意匠が、法3条1項3号に該当するに至らなかったとみなすことができるか否かについて検討する。
(1)法4条2項及び3項の規定について
法4条2項の規定は、創作した意匠が、意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して、法3条1項1号又は2号に該当するに至った意匠(以下「公開意匠」という。)となったときには、その公開意匠が最初に公開された日から1年以内に当該公開意匠について意匠登録を受ける権利を有する者が意匠登録出願した場合、その出願に限り、新規性(法3条1項各号)及び創作性(法3条2項)の要件の判断において、当該公開意匠は法3条1項1号又は2号に該当するに至らなかったとみなすものである。
また、法4条3項の規定は、法4条2項の規定の適用を受けるための具体的な手続を定めたものであり、法4条2項の規定を受けようとする旨を記載した書面を意匠登録出願と同時に特許庁長官に提出しなければならないこと及び公開意匠が法4条2項の規定の適用を受けることができる意匠であることを証明する書面(以下「証明書」という。)を意匠登録出願の日から30日以内に特許庁長官に提出しなければならないことが規定されているものである。また、この証明書は、創作された意匠が、意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して、法3条1項1号又は2号に該当するに至った意匠であることを証明するものであるから、当該証明書には、創作された意匠が法3条1項1号又は2号に該当するに至ったこと(以下「公開の事実」という。)及びその公開の事実が、意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因するものであることを、具体的に記載することが必要となる。
なお、法4条2項の規定は、新規性及び創作性の要件の判断において、公開意匠を法3条1項1号又は2号に該当するに至らなかったとみなす例外規定であることから、下記のアないしウについては、創作者の救済措置として必要な限度に留め、制限的に運用すべきものであり、意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して同一の意匠が複数回公開された場合(公開の事実が複数存在する場合)において、法4条2項の規定の適用を受けるためには、原則として、それぞれの公開の事実が、上記証明書に記載されていなければならないと解される。
ア 引用意匠が法3条1項2号に該当するに至ったことが意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因するものであるか否か
イ 引用意匠が法3条1項2号に該当するに至ったことが証明書に記載されているか否か
ウ 引用意匠が法3条1項2号に該当するに至った意匠であるか否か
これらを踏まえ、以下、検討する。
(2)引用意匠が法3条1項2号に該当するに至ったことが意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因するものであるか否か
審判請求人は、令和1年5月17日付けで提出した「新規性の喪失の例外証明書提出書」と共に提出した「意匠の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書」中の1.公開の事実において、公開者を株式会社ベガコーポレーション(審判請求人)とし、その後に「(家具通販のロウヤ)」と記載していることから、家具通販ロウヤは、審判請求人のブランドと認められる。
一方、前記第1、3の引用意匠の表題にある“LOWYA”の記載は、家具通販ロウヤのアルファベット表記と認められ、また、審判請求書の記載及び本件審判請求人が令和3年2月1日に提出した審尋に対する回答書の記載からも、引用意匠の出品者は、本件審判請求人と同一人であるものと認められるものである。
したがって、引用意匠が法3条1項2号に該当するに至ったことは、意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因するものと認められる。
(3)引用意匠が法3条1項2号に該当するに至ったことが証明書に記載されているか否か
審判請求人が提出した「意匠の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書」は、下記の通り、公開意匠がインターネット通販サイト「楽天市場」に掲載されたことを通じて公衆に利用可能となったことを証明するものである。
ア 意匠の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書に掲載された写真(別紙第3参照)
[楽天市場の掲載アドレス]
https://item.rakuten.co.jp/low-ya/f599-g1077-100/
しかしながら、引用意匠のアドレスは、前記第1の3に示すとおり、上記の掲載アドレスとは異なるから、引用意匠が法3条1項2号に該当するに至ったことは、当該証明書に記載されているとはいえない。
なお、当合議体が、審尋の中で、本件の2つのインターネット通販サイト(楽天市場とアマゾン)が、実質的に同一である等、密接に関連するものであれば、それを明らかにし、引用意匠は二次的に公開したものであるとする合理的な説明をするよう求めたのに対し、審判請求人は、審尋に対する回答書において、「楽天サイト及びアマゾンサイトにおける商品の販売は、楽天やアマゾンによる販売ではなく(楽天やアマゾンが小売店として商品を販売しているものではなく)、いずれも請求人であるベガコーポレーションが管理運営し、請求人が直接顧客に販売するものであって、異なる販売ルートにより販売されているとは言えない」旨回答しているが、どの通販サイトを利用して販売するかは販売者の選択によるものであるところ、本件のように、先に楽天市場で公開したからといって、必然的にアマゾンでも公開されるものではなく、同一の販売者による同一商品であっても、異なる通販サイトに公開した場合には、それら公開行為ごとに法4条3項の証明書を提出すべきものであることは、前記(1)なお書きに記載のとおりであって、本件の引用意匠は、当該証明書に記載の意匠を二次的に公開したものと認めるに足る事情は見当たらないから、請求人の主張は採用することができない。
(4)引用意匠が法3条1項2号に該当するに至った意匠であるか否か
引用意匠は、インターネット通販サイト「Amazon.co.jp」において掲載されたものであるところ、拒絶理由通知に添付された当該サイトにおける引用意匠の登録情報(第3頁所載)によれば、Amazon.co.jp(以下「アマゾン」という。)での取り扱い開始日として記載されている日付は、2019年2月12日であるが、引用意匠が、アマゾンにおける取り扱い開始日に、現実に当該サイトに掲載されたことを裏付けるための補足的証拠(例えば、本願の出願前の日付で投稿された引用意匠についてのカスタマーレビューが掲載されている等。)がない限り、引用意匠の掲載年月日は、直ちに信用することができず、証拠性を欠くものといわざるを得ない。
(5)小括
以上のとおり、引用意匠は、(2)意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因するものであり、(3)引用意匠が法3条1項2号に該当するに至ったことは証明書に記載されているとはいえないが、(4)引用意匠が法3条1項2号に該当するに至った意匠であるとすることはできないから、本願意匠の新規性の要件の判断において、引用意匠を根拠に本願意匠が法3条1項2号に該当するということはできない。
第3 むすび
以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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