2020-007934
LED照明装置
- 審判番号
- 2020-007934
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-151478外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年06月09日
- 審決日
- 2020年12月24日
- 公報発行日
- 2021年02月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】アール・ビー・コントロールズ株式会社
- 【請求人代理人】打揚 洋次
- 分類
- P18 .121-WY (H05B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 15項目
第1 手続の経緯
折りたたみ中(クリックで表示)
本願は、平成27年7月31日の出願であって、平成31年4月22日付けで拒絶理由が通知され、令和1年7月5日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年9月6日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年10月29日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、令和2年3月12日付けで令和1年10月29日付けの手続補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、令和2年6月9日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がされたものである。
第2 令和2年3月12日付けの補正の却下の決定及び原査定の概要
1.令和2年3月12日付けの補正の却下の決定は次のとおりである。
令和1年10月29日付けの手続補正書における請求項1に係る補正は、願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではないから、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。
2.原査定の概要は次のとおりである。
本願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1~2に記載された発明に基いて、本願の請求項2に係る発明は、以下の引用文献1~3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2014-120316号公報
2.特開2015-56974号公報
3.特開2012-28292号公報
第3 本願発明
本願の請求項1~2に係る発明(以下「本願発明1~2」という。)は、令和2年6月9日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~2に記載された事項により特定される、次のとおりの発明である。
「 【請求項1】外部の商用電源から供給される交流電力を所定の電圧の直流電力である駆動電力に変換し、複数個のLEDが直列に接続されたLED列に一定電流を供給してLED列の輝度を一定に保持する定電流制御用の駆動ICに上記駆動電力を供給すると共に、上記商用電源からの電力によってバックアップ電源を充電すると共に、商用電源が停電した際に、バックアップ電源に充電した電力を上記駆動ICに供給して、LED列の点灯を継続するLED照明装置において、上記駆動ICは上記のように駆動電力が供給されるものであり、この駆動ICは供給された駆動電力の電圧を昇圧するものであり、かつ、この駆動ICは入力される電圧値によってLED列に供給する電流値を変化させるアジャスト端子を有しており、停電が生じていない状態では上記駆動電力の電圧値を分圧してアジャスト端子に入力し、停電が発生した状態では、上記バックアップ電源の電圧を分圧してアジャスト端子に入力させ、このバックアップ電源の電圧の低下に連動して上記LED列に供給する電流値を減少させ、LED列の輝度を低下させることを特徴とするLED照明装置。【請求項2】上記バックアップ電源はコンデンサで構成されていることを特徴とする請求項1に記載のLED照明装置。」
第4 引用文献の記載事項、認定事項及び引用発明
折りたたみ中(クリックで表示)
1 引用文献1について
ア 記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(なお、下線は当審で付した。以下同様である。)。
(1a)「【0017】
本発明の実施の形態に係る照明装置を備えた照明システム1は、列車の室内を照射するためのシステムである。照明システム1は、図1に示すように、客室灯300と非常灯400とを備えている。外部電力が供給されている時(以下、『通常時』という。)、照明システム1は、客室灯300と非常灯400の両方を使って室内に光を供給する。また、照明システム1は、非常灯400に電力を供給するバッテリ100を備えていて、外部電力が途絶えた時(以下、『非常時』という。)には、バッテリ100に蓄えられた電力を使って非常灯400を動作させる。
【0018】
ここで『外部電力』とは、照明装置の設置対象となる設備(例えば、列車、自動車、自転車、船舶、飛行機、ヘリコプター等の輸送機器や、オフィスビル等の建物)の外部にある電力供給設備(例えば、発電所、変電所、発電機、蓄電設備等)から架線や電力ケーブル等の電線を介して供給される電力のことをいう。」
(1b)「【0020】
バッテリ100は、鉛電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の二次電池(蓄電池)から構成される。バッテリ100は、入力端子110と、出力端子120を備えている。入力端子110は、電力線601と接続されている。電力線601はパンタグラフ等の集電装置を介して架線に接続されていて、バッテリ100は、架線および電力線601を介して外部の電力供給設備から外部電力を受給する。また、出力端子120は、電力線602を介して電源切替装置200と接続されている。バッテリ100は、非常時に備え、通常時に外部電力を蓄える。」
(1c)「【0022】
電源切替装置200の内部には、スイッチ231と、スイッチ232とが配置されている。入力端子211は出力端子221およびスイッチ231の一端に、出力端子221は入力端子211およびスイッチ231の一端に、それぞれ接続されている。また、入力端子212はスイッチ231の一端に、出力端子221はスイッチ231およびスイッチ232の他端に、それぞれ接続されている。電源切替装置200は、内部に不図示のプロセッサを有していて、そのプロセッサを使ってスイッチ231およびスイッチ231のON/OFFを自在に変更可能になっている。なお、電源切替装置200は、入力端子211に入力された交流電力を直流電力に変換して出力してもよいし、入力端子212に入力された直流電力を交流電力に変換して出力してもよい。客室灯300や非常灯400の仕様に合わせて、適宜、変更可能である。」
(1d)「【0024】
非常灯400は、客室灯300と同様に、車両の室内を照らすための室内灯である。非常灯400は、1車両あたり例えば4つ程度設置されており、通常時および非常時に室内に光を供給する。非常灯400は、客室灯300と同様の形状をしていて、通常時には、客室灯300と同様に室内灯として機能する。外部電力が停止すると、非常灯400はバッテリ100からの電力で室内に光を供給する。非常灯400は、図3に示すように、照明器具410と、LEDランプ500とから構成される。
【0025】
照明器具410は、LEDランプ500を装着するための灯具である。照明器具410は、例えば、AC-DCコンバータやDC-DCコンバータ等を内蔵していて、電源切替装置200から供給された電力を所定電圧の直流電力に変換してLEDランプ500に供給する。照明器具410は、直管形蛍光ランプを装着する蛍光灯具と同様の外見をしている。照明器具410は、蛍光灯具と同様に、直管形のランプを支持しLEDランプ500に電力を供給する2組の口金装着部(口金装着部411a、411b、口金装着部412a、412b)を有している。なお、照明器具410は、例えば、従来の蛍光灯具を改造する等により製作されてもよい。例えば、改造予定の蛍光灯具がインバータ式の灯具なのであれば、蛍光灯具に内蔵されている高周波発生回路(インバータ)を迂回する配線工事をする等により製作される。」
(1e)「【0029】
LED530は、2組のLED(LED531、LED532)から構成される。LED531およびLED532は、それぞれ、LEDの消灯・点灯の単位としてグループ化された複数個のLED素子から構成される。LED531およびLED532は、それぞれ3個以上のLED素子から構成され、各組のLED素子は直列接続されている。LED531およびLED532それぞれのLED素子は、透光管510内部に配置されたLED設置用の基板(以下、『LED基板』という。)の上に透光管510の長手方向に沿って一列に配置されている。なお、LED531およびLED532は平行に配置されている 。」
(1f)「【0031】
電流制御回路541は、2組のLEDの一方のLED531に流れる電流を制御する降圧チョッパ回路である。電流制御回路541の出力端子にはLED531が接続されており、照明器具410から口金520を介して供給された電圧(図5に示すVdd)を降圧してLED531に供給する。LED531を構成する複数個のLED素子は直列に接続されていて、両端の電圧(V1-V2間電圧)が所定電圧以上になると発光を開始する(以下、発光を開始する電圧を『順方向電圧Vz』という)。」
(1g)「【0045】
電源切替装置200は、通常時、図2に示すように、スイッチ231をON、スイッチ232をOFFして、客室灯300および非常灯400の両方に対し、架線からの外部電力を供給している。電源切替装置200は、不図示の電圧計や電流計等で、常時、入力端子211から入力される電力をモニタしていて、外部電力が途絶えたら、図6に示すように、スイッチ231をOFF、スイッチ232をONして、非常灯400に供給される電力をバッテリ100からの電力に切り替える。
【0046】
LEDランプ500の制御部543は、FB1端子に入力された電圧値と電流検出抵抗541eの抵抗値とを基に、随時、LED531に流れている電流の大きさを算出している。また、制御部543は、FB2端子に入力された電圧値と電流検出抵抗542eの抵抗値とを基に、随時、LED532に流れている電流の大きさを算出している。制御部543は、LED531およびLED532に流れる電流が一定になるように、ゲート端子に印加するパルス波のデューティー比を適宜変更しながら、スイッチング素子541aおよびスイッチング素子542aをスイッチング制御する。
【0047】
また、制御部543は、MON端子に入力された入力端子電圧Vddの値を随時取得している。外部電力が停止し、バッテリ100から電力供給が開始されると、バッテリ100の消費に伴い、入力端子電圧Vddは、図7に示すように、徐々に低下する。」
(1h)「【0055】
例えば、上述の実施の形態では、制御部543は、LED530に流れる電流が一定になるように、スイッチング素子541aおよびスイッチング素子542aをスイッチング制御したが、LED530の照度が、例えば図10(A)に示すように、入力端子電圧Vddの低下に追従して低下するように、LED530に流れる電流を徐々に減少させていってもよい。例えば、LEDランプ500に、入力端子電圧Vddの『計測値』と、LED531やLED532に流す電流の『目標値』と、の対応関係を示すデータを格納した、 例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等から構成される記憶部を設置する。そして、制御部543は、電圧計544で計測した計測値(電圧値)を取得するたびに、取得した計測値に対応する目標値(電流値)を記憶部から取得する。さらに、制御部543は、LED531およびLED532に流れる電流が取得した目標値と一致するように、ゲート端子に印加するパルス波のデューティー比を適宜変更しながら、スイッチング素子541aおよびスイッチング素子542aをスイッチング制御する。なお、記憶部に格納するデータ(計測値と目標値の対応関係)の内容は、従来の蛍光灯と同様の照度低下となるように調整されたデータ内容であってもよい。」
(1i)「【0065】
また、図5の例では、電流制御回路541および電流制御回路542の構成が降圧チョッパ回路であるものとして説明したが、電流制御回路541および電流制御回路542の構成は降圧チョッパ回路に限定されず、例えば、昇圧チョッパ回路、フライバックコンバータ、フォワードコンバータ等の他のスイッチング制御型のDC-DCコンバータであってもよい。また、DC-DCコンバータの前段に整流平滑回路を設け、LEDランプ500に交流電力を直接入力できるようにしてもよい。また、LEDランプ500に高周波発生回路(インバータ)で発生した高周波をキャンセルするフィルタを設け、LEDランプ500をインバータ式の蛍光灯具に直接装着できるようにしてもよい。
【0066】
また、図5の例では、電圧レベル計測部として機能する電圧計544を設けたが、制御部543を電圧レベル計測部として機能させることも可能である。例えば、制御部543の入力端子とVdd端子を導線で接続し、制御部543に入力されたVdd電圧をA/D変換して入力端子電圧の電圧値を取得してもよい。」
(1j)引用文献1には、以下の図が示されている。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
イ 認定事項
(a)段落【0017】の「外部電力が供給されている時(以下、『通常時』という。)、照明システム1は、客室灯300と非常灯400の両方を使って室内に光を供給する。」、段落【0018】の「ここで『外部電力』とは、・・・外部にある電力供給設備・・・から架線や電力ケーブル等の電線を介して供給される電力のことをいう。」なる記載を踏まえると、照明システム1には、外部にある電力供給設備から供給される外部電力が供給されることが理解できる。
(b)図2から、電源切替装置200の入力端子211には、車両から電力線601を介して電力が供給されることが看取でき、段落【0022】には「電源切替装置200は、入力端子211に入力された交流電力を」と記載されているから、上記(a)の外部にある電力供給設備から供給される外部電力が交流電力であることは明らかである。
(c)上記(b)を踏まえつつ、図2~3、5を見ると、非常灯400の照明器具410には、上記(a)の「外部にある電力供給設備から供給される外部電力」が供給されており、さらに、段落【0025】には「照明器具410は、・・・電源切替装置200から供給された電力を所定電圧の直流電力に変換してLEDランプ500に供給する。」と記載されているから、照明器具410が、上記(a)の上記外部にある電力供給設備から供給される外部電力を所定電圧の直流電力に変換していることは明らかである。
(d)段落【0031】の「電流制御回路541は、2組のLEDの一方のLED531に流れる電流を制御する降圧チョッパ回路である。」及び「LED531を構成する複数個のLED素子は直列に接続されていて」なる記載、段落【0046】の「制御部543は、LED531およびLED532に流れる電流が一定になるように、ゲート端子に印加するパルス波のデューティー比を適宜変更しながら、スイッチング素子541aおよびスイッチング素子542aをスイッチング制御する。」なる記載及び図5から、電流制御回路541が、複数個のLED素子が直列に接続されたLED531に流れる電流が一定になるように制御することが理解できる。
また、図5から、上記(c)の照明器具410で変換された所定電圧の直流電力を、電流制御回路541に供給することが理解できる。
(e)段落【0020】の「バッテリ100は、架線および電力線601を介して外部の電力供給設備から外部電力を受給する。・・・バッテリ100は、非常時に備え、通常時に外部電力を蓄える。」なる記載及び図2から、上記(a)の外部にある電力供給設備から供給される外部電力によってバッテリ100に外部電力を蓄えることが理解できる。
(f)段落【0017】の「本発明の実施の形態に係る照明装置を備えた照明システム1は、列車の室内を照射するためのシステムである。」及び「外部電力が途絶えた時(以下、『非常時』という。)には、バッテリ100に蓄えられた電力を使って非常灯400を動作させる。」なる記載、段落【0045】の「外部電力が途絶えたら、図6に示すように、スイッチ231をOFF、スイッチ232をONして、非常灯400に供給される電力をバッテリ100からの電力に切り替える。」なる記載、段落【0024】の「非常灯400は、1車両あたり例えば4つ程度設置されており、通常時および非常時に室内に光を供給する。・・・外部電力が停止すると、非常灯400はバッテリ100からの電力で室内に光を供給する。」なる記載及び図4~5から、照明システム1は、外部電力が途絶えた時には、バッテリ100に蓄えられた電力を照明器具410を介して電流制御回路541に供給して、LED531の点灯を継続する」することが理解できる。
(g)上記(d)でも述べたとおり、図5から、電流制御回路541は、上記(c)の照明器具410で変換された所定電圧の直流電力が供給されるものであることが理解できる。
(h)段落【0065】の「電流制御回路541および電流制御回路542の構成は降圧チョッパ回路に限定されず、例えば、昇圧チョッパ回路・・・であってもよい。」なる記載から、電流制御回路541は供給された直流電力の電圧を昇圧するものといえる。
(i)段落【0047】の「制御部543は、MON端子に入力された入力端子電圧Vddの値を随時取得している。」なる記載、段落【0055】の「入力端子電圧Vddの低下に追従して低下するように、LED530に流れる電流を徐々に減少させていってもよい。」なる記載及び図5から、電流制御回路541を制御する制御部543は入力された入力端子電圧Vddの低下に追従してLED531に流れる電流を徐々に減少させるMON端子を有していることが理解できる。
(j)図5から、電流制御回路541を制御する制御部543のMON端子に、照明器具410からの電力の電圧値を入力していることが看取でき、段落【0066】の「制御部543の入力端子とVdd端子を導線で接続し、制御部543に入力されたVdd電圧をA/D変換して入力端子電圧の電圧値を取得してもよい。」なる記載及び上記(c)も踏まえると、通常時は外部にある電力供給設備から供給される外部電力を変換した所定電圧の直流電力の電圧値をMON端子に入力しているといえる。
(k)図5から、電流制御回路541を制御する制御部543のMON端子に、照明器具410からの電力の電圧値を入力していることが看取でき、段落【0066】の「制御部543の入力端子とVdd端子を導線で接続し、制御部543に入力されたVdd電圧をA/D変換して入力端子電圧の電圧値を取得してもよい。」なる記載、段落【0047】の「外部電力が停止し、バッテリ100から電力供給が開始されると、バッテリ100の消費に伴い、入力端子電圧Vddは、図7に示すように、徐々に低下する。」なる記載及び上記(f)も踏まえると、外部電力が途絶えた時には、バッテリ100から照明器具410を介して供給される電圧をMON端子に入力させているといえる。
(l)段落【0047】の「バッテリ100の消費に伴い、入力端子電圧Vddは、図7に示すように、徐々に低下する。」なる記載、段落【0055】の「入力端子電圧Vddの低下に追従して低下するように、LED530に流れる電流を徐々に減少させていってもよい。」及び「制御部543は、LED531およびLED532に流れる電流が取得した目標値と一致するように、ゲート端子に印加するパルス波のデューティー比を適宜変更しながら、スイッチング素子541aおよびスイッチング素子542aをスイッチング制御する。」なる記載から、バッテリ100の電圧の低下に伴い、LED531に供給する電流を減少させていることが理解できる。
ウ 引用発明
上記ア、イから、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「外部にある電力供給設備から供給される外部電力である交流電力を所定電圧の直流電力に変換し、複数個のLED素子が直列に接続されたLED531に流れる電流が一定になるように制御する電流制御回路541に所定電圧の直流電力を供給すると共に、上記外部にある電力供給設備から供給される外部電力によってバッテリ100に外部電力を蓄えると共に、外部電力が途絶えた時には、バッテリ100に蓄えられた電力を照明器具410を介して電流制御回路541に供給して、LED531の点灯を継続する照明システム1において、電流制御回路541は、所定電圧の直流電力が供給されるものであり、電流制御回路541は供給された直流電力の電圧を昇圧するものであり、かつ、電流制御回路541を制御する制御部543は入力された入力端子電圧Vddの低下に追従してLED531に流れる電流を徐々に減少させるMON端子を有しており、通常時は外部にある電力供給設備から供給される外部電力を変換した所定電圧の直流電力の電圧値をMON端子に入力し、外部電力が途絶えた時には、バッテリ100から照明器具410を介して供給される電圧をMON端子に入力させ、バッテリ100の電圧の低下に伴い、LED531に供給する電流を減少させる照明システム1。」
2 引用文献2について
ア 記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、次の事項が記載されている。
(2a)「【0007】
抵抗R1およびR2は、出力電圧VOUTを分圧し、電圧検出信号VOVPを生成する。電圧検出信号VOVPは、制御回路300rの過電圧保護(OVP)端子に入力される。」
3 引用文献3について
ア 記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、次の事項が記載されている。
(3a)「【0021】
蓄電器3Cは、蓄電池あるいは電気二重層コンデンサなどを直接あるいは昇圧形双方向DCDCコンバータを介して、停電動作時における非常灯機能回路部3に接続する。」
第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「外部にある電力供給設備から供給される外部電力である交流電力」と、本願発明1の「外部の商用電源から供給される交流電力」とは、「外部の電源から供給される交流電力」という点で共通する。
イ 引用発明の「所定電圧の直流電力に変換」することは、本願発明1の「所定の電圧の直流電力である駆動電力に変換」することに相当する。
ウ 引用発明の「複数個のLED素子が直列接続されたLED531に流れる電流が一定になるように制御する電流制御回路541」と、本願発明1の「複数個のLEDが直列に接続されたLED列に一定電流を供給してLED列の輝度を一定に保持する定電流制御用の駆動IC」とは、引用発明において「LED531に流れる電流が一定になるように制御」した場合に、LED531の輝度が一定に保持されることは明らかであるから、両者は、「複数個のLEDが直列に接続されたLED列に一定電流を供給してLED列の輝度を一定に保持する定電流制御用の回路」という点で共通する。
エ 引用発明の「所定電圧の直流電力を供給する」ことは、上記イを踏まえると、本願発明1の「上記駆動電力を供給する」ことに相当する。
オ 引用発明の「バッテリ100」は、段落【0017】に「外部電力が途絶えた時(以下、『非常時』という。)には、バッテリ100に蓄えられた電力を使って非常灯400を動作させる。」と記載されているから、本願発明1の「バックアップ電源」に相当する。
カ 上記ア、オを踏まえると、引用発明の「上記外部にある電力供給設備から供給される外部電力によってバッテリ100に外部電力を蓄える」ことと、本願発明1の「上記商用電源からの電力によってバックアップ電源を充電する」こととは、「上記外部の電源からの電力によってバックアップ電源を充電する」点で共通する。
キ 引用発明の「LED531」は、「複数個のLED素子が直列接続された」ものであるから、本願発明1の「LED列」に相当し、以下同様に、「外部電力が途絶えた時には」は、「停電した際に」に、「蓄えられた電力」は「充電した電力」に、それぞれ相当する。
ク 上記ア、ウ、オ、キを踏まえると、引用発明の「外部電力が途絶えた時には、バッテリ100に蓄えられた電力を照明器具410を介して上記電流制御回路541に供給して、LED531の点灯を継続する」ことと、本願発明1の「商用電源が停電した際に、バックアップ電源に充電した電力を上記駆動ICに供給して、LED列の点灯を継続する」こととは、「外部の電源が停電した際に、バックアップ電源に充電した電力を上記電流制御用の回路に供給して、LED列の点灯を継続する」点で共通する。
ケ 引用発明の「照明システム1」は、「LED531」を有するから、本願発明1の「LED照明装置」に相当する。
コ 上記イ、ウ、エを踏まえると、引用発明の「電流制御回路541は、所定電圧の直流電力が供給されるものであ」ることと、本願発明1の「上記駆動ICは上記のように駆動電力が供給されるものであ」ることとは、「上記定電流制御用の回路は上記のように駆動電力が供給されるものであ」る点で共通する。
サ 上記イ、ウ、エを踏まえると、引用発明の「電流制御回路541は供給された直流電力の電圧を昇圧するものであ」ることと、本願発明1の「この駆動ICは供給された駆動電力の電圧を昇圧するものであ」ることとは、「この定電流制御用の回路は供給された駆動電力の電圧を昇圧するものであ」る点で共通する。
シ 上記イ、ウ、キを踏まえると、引用発明の「電流制御回路541を制御する制御部543は入力された入力端子電圧Vddの低下に追従してLED531に流れる電流を徐々に減少させるMON端子を有して」いることと、本願発明1の「この駆動ICは入力される電圧値によってLED列に供給する電流値を変化させるアジャスト端子を有して」いることとは、「この定電流制御用の回路は入力される電圧値によってLED列に供給する電流値を変化させる端子を有して」いる点で共通する。
ス 引用発明の「通常時」は、段落【0017】に「外部電力が供給されている時(以下、『通常時』という。)」と記載されているから、本願発明1の「停電が生じていない状態」に相当する。よって、上記イ、シも踏まえると、引用発明の「通常時は外部にある電力供給設備から供給される外部電力を変換した所定電圧の直流電力の電圧値をMON端子に入力」することと、本願発明1の「停電が生じていない状態では上記駆動電力の電圧値を分圧してアジャスト端子に入力」することとは、「停電が生じていない状態では上記駆動電力に係る電圧値を端子に入力」する点で共通する。
セ 上記オ、キ、シを踏まえると、引用発明の「外部電力が途絶えた時には、バッテリ100から照明器具410を介して供給される電圧をMON端子に入力させ」ることと、本願発明1の「停電が発生した状態では、上記バックアップ電源の電圧を分圧してアジャスト端子に入力させ」ることとは、「停電が発生した状態では、上記バックアップ電源に係るに関する電圧を端子に入力させ」る点で共通する。
ソ 引用発明の「LED531に供給する電流を減少させる」ことは、結果として、LED531の輝度を低下させることは明らかである。そうすると、上記オ、キ、ク、シ、セも踏まえると、引用発明の「外部電力が途絶えた時には、バッテリ100から照明器具410を介して供給される電圧をMON端子に入力させ、バッテリ100の電圧の低下に伴い、LED531に供給する電流を減少させる」ことと、本願発明1の「停電が発生した状態では、上記バックアップ電源の電圧を分圧してアジャスト端子に入力させ、このバックアップ電源の電圧の低下に連動して上記LED列に供給する電流値を減少させ、LED列の輝度を低下させる」こととは、「停電が発生した状態では、上記バックアップ電源に係る電圧を端子に入力させ、このバックアップ電源の電圧の低下に連動して上記LED列に供給する電流値を減少させ、LED列の輝度を低下させる」点で共通する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があると認める。
〔一致点〕
「外部の電源から供給される交流電力を所定の電圧の直流電力である駆動電力に変換し、複数個のLEDが直列に接続されたLED列に一定電流を供給してLED列の輝度を一定に保持する定電流制御用の回路に上記駆動電力を供給すると共に、上記外部の電源からの電力によってバックアップ電源を充電すると共に、外部の電源が停電した際に、バックアップ電源に充電した電力を上記定電流制御用の回路に供給して、LED列の点灯を継続するLED照明装置において、上記定電流制御用の回路は上記のように駆動電力が供給されるものであり、この定電流制御用の回路は供給された駆動電力の電圧を昇圧するものであり、かつ、この定電流制御用の回路は入力される電圧値によってLED列に供給する電流値を変化させる端子を有しており、停電が生じていない状態では上記駆動電力に係る電圧値を端子に入力し、停電が発生した状態では、上記バックアップ電源に係る電圧を端子に入力させ、このバックアップ電源の電圧の低下に連動して上記LED列に供給する電流値を減少させ、LED列の輝度を低下させるLED照明装置。」
〔相違点〕
〔相違点1〕
「外部の電源から供給される交流電力」について、本願発明1は、「商用電源から供給される」のに対し、引用発明は、「電力供給設備から供給される」点。
〔相違点2〕
「定電流制御用の回路」及び「端子」について、「定電流制御用の回路」が、本願発明1は、「駆動IC」であるのに対し、引用発明は「制御部543」と「電流制御回路541」とを合わせたものであり、「端子」が、本願発明1は、「アジャスト端子」であって、上記「駆動IC」が有するものあるのに対し、引用発明は、「MON端子」であって、上記「制御部543」が有するものである点。
〔相違点3〕
「停電が生じていない状態」における「端子に入力」する「駆動電力に係る電圧値」について、本願発明1は、「駆動電圧の電圧値を分圧して」アジャスト端子に入力しているのに対し、引用発明は、「所定電圧の直流電力の電圧値を」(駆動電圧の電圧値を分圧せずに)MON端子に入力している点。
〔相違点4〕
「停電が発生した状態」における「端子に入力させ」る「バックアップ電源に係る電圧」について、本願発明1では、「バックアップ電源の電圧を分圧して」アジャスト端子に入力させるのに対し、引用発明は、「バッテリ100」(バックアップ電源)「から照明器具410を介して供給される電圧を」MON端子に入力させる点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑み、まず上記相違点2について検討する。
(ア)「定電流制御用の回路」として、相違点2に係る本願発明1の「駆動IC」を用いることは、引用発明、引用文献2~3のいずれにも記載も示唆もされていない。
(イ)補足すると、引用発明は、「定電流制御用の回路」として、「制御部543」と「電流制御回路541」とを合わせたものを有するといえる。このうち、「制御部543」については、引用文献1の段落【0041】に「制御部543は、プロセッサ等の処理装置から構成される。」と記載されており、ICとすることが一般的なプロセッサであることが記載されているものの、「電流制御回路541」についてはICとすることは記載されておらず、「制御部543」と「定電流制御回路541」とを合わせたものをICとすることも記載されていない。
(ウ)また、上記第4の2~3に示したとおり、引用文献2には、「抵抗R1およびR2は、出力電圧VOUTを分圧し、電圧検出信号VOVPを生成する」こと、要するに、分圧した電圧を検出することが記載され、引用文献3には、「蓄電器3Cは、・・・電気二重層コンデンサなどを・・・停電動作時における非常灯機能回路部3に接続する」こと、要するに、蓄電器をコンデンサとすることが記載されているものの、いずれの文献にも、上記「定電流制御用の回路」を、「駆動IC」とする構成は、記載されていない。
(エ)さらに、「端子」についても、本願発明1の「アジャスト端子」は、「駆動IC」が有するものであるから、上記のとおり、「駆動IC」が、引用発明、引用文献2~3のいずれにも記載も示唆もされていない以上、引用発明において、「MON端子」を、「駆動IC」が有する「アジャスト端子」とすることが容易想到であったとはいえない。
(オ)よって、相違点2に係る本願発明1の構成は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2~3に記載された事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
(カ)したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2~3に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
2 本願発明2にについて
本願発明2は、本願発明1の発明特定事項を全て含みさらに限定したものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2~3に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
第6 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1~2は「この駆動ICは供給された駆動電圧の電圧を昇圧するものであり」という事項を有するものとなっており、これに伴い、定電流制御用の回路が、「アジャスト端子」を有する「駆動IC」である点が特定されたため、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1~3に基いて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
2020-007934